JP2005118381A - 医療用接着剤 - Google Patents

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Tetsuji Yoshimura
哲治 吉村
Tetsuya Yamada
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Abstract

【課題】医療用接着剤として不可欠なγ線照射による滅菌処理しても着色せず、湿潤接着強度も低下しない医療用接着剤を提供すること。
【解決手段】含フッ素ポリイソシアネート成分(A)と、親水性ポリオール(B1)を必須成分とするポリオール成分(B)とを反応させて得られる親水性ウレタンプレポリマー(UP)からなり、(B)の過酸化物価(POV)が0.01当量/kg以下であることを特徴とする医療用接着剤、(A)と(B)とを反応させて得られる(UP)からなり、(UP)の過酸化物価(POV)が0.007当量/kg以下であることを特徴とする医療用接着剤、又はポリイソシアネート非使用プレポリマー(NUP)からなり、(NUP)の過酸化物価(POV)が0.007当量/kg以下であることを特徴とする医療用接着剤を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、医療用接着剤に関する。さらに詳しくは生体組織、特に肺や動脈、心臓など、動きを伴う組織の接着に好適な医療用接着剤に関するものである。
従来、医療用接着剤としては、含フッ素ポリイソシアネートと親水性ポリエーテルポリオールとの反応によって得られるイソシアネート基末端親水性ウレタンプレポリマー等が知られている(特許文献1及び2)。
特開平1−227762号公報 国際公開WO03/051952パンフレット
医療用接着剤を体内、あるいは体表の創傷患部、粘膜部分に適用する場合、殺菌もしくは滅菌が充分なされている必要がある。医療用品、器具の殺菌、滅菌方法としては、蒸気加熱(オートクレーブ)滅菌、エチレンオキシドガスなどの消毒ガスによる滅菌、およびγ線照射による滅菌が知られている。しかし、接着剤の場合はその形態上、物性上の理由から、蒸気では水分、高温加熱による変性劣化の問題があり、エチレンオキサイド等の有毒ガスでは表面しか滅菌できずかつ残留の問題があるため、γ線照射による滅菌方法しか適用できない。
従来の含フッ素ポリイソシアネートと親水性ポリエーテルポリオールとの反応によってイソシアネート基末端親水性ウレタンプレポリマーを医療用接着剤として使用すると、通常有効とされる25kGy前後のγ線を滅菌のため照射すると、著しく着色する、湿潤接着強度が低下するという問題がある。
すなわち、本発明は、医療用接着剤として不可欠なγ線照射による滅菌処理しても、着色せず、湿潤接着強度も低下しない医療用接着剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねたところ、ウレタンプレポリマー又はポリオール成分(B)の過酸化物価(POV)がγ線照射による着色及び湿潤接着強度へ極めて大きく影響することを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明の医療用接着剤の特徴は、含フッ素ポリイソシアネート成分(A)と親水性ポリオール(B1)を必須成分とするポリオール成分(B)を反応させて得られる親水性ウレタンプレポリマー(UP)からなり、(B)の過酸化物価(POV)が0.01当量/kg以下である点を要旨とする。
また、本発明の医療用接着剤の特徴は、含フッ素ポリイソシアネート成分(A)と、親水性ポリオール(B1)を必須成分とするポリオール成分(B)とを反応させて得られる親水性ウレタンプレポリマー(UP)からなり、(UP)の過酸化物価(POV)が0.007当量/kg以下である点を要旨とする。
本発明の医療用接着剤は、医療用接着剤として不可欠なγ線照射による滅菌処理しても、着色せず、湿潤接着強度も低下しない。
本発明において、含フッ素ポリイソシアネート成分(A)としては、含フッ素ポリイソシアネート化合物(A1)を必須とするが、フッ素原子を含まないポリイソシアネート化合物(A2)等を併用してもよい。
含フッ素ポリイソシアネート化合物(A1)としては、炭素数5〜22の含フッ素脂肪族ジイソシアネート、炭素数8〜19の含フッ素脂環族ジイソシアネート、炭素数8〜19の含フッ素芳香族ジイソシアネート、炭素数8〜19の含フッ素芳香族ジイソシアネートの水素添加物及び炭素数15〜66の含フッ素ポリ(3〜6価)イソシアネート等が使用できる。
炭素数5〜22の含フッ素脂肪族ジイソシアネートとしては、OCN−Rf−NCOで表されるもの及びOCN−CH2−Rf−CH2−NCOで表されるもの等が含まれる。但し、両式中Rfは、エーテル結合を含有してもよい炭素数1〜20のパーフルオロアルキレン基を表す。
OCN−Rf−NCOで表されるものとしては、ジフルオロメチレンジイソシアネート、パーフルオロジメチレンジイソシアネート、パーフルオロトリメチレンジイソシアネート、パーフルオロエイコサジイソシアネート、ビス(イソシアナトパーフルオロエチル)エーテル及びビス(イソシアナトパーフルオロイソプロピル)エーテル等が挙げられる。
OCN−CH2−Rf−CH2−NCOで表されるものとしては、ビス(イソシアナトメチル)ジフルオロメタン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロエタン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロプロパン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロブタン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロペンタン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロエイコサン及びビス(イソシアナトメチルパーフルオロエチル)エーテル等が挙げられる。
炭素数8〜19の含フッ素脂環族ジイソシアネートとしては、ジイソシアナトパーフルオロシクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロシクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロジメチルシクロヘキサン、ビス(イソシアナトパーフルオロシクロヘキシル)、ビス(イソシアナトパーフルオロシクロヘキシル)パーフルオロプロパン及びビス(イソシアナトメチルパーフルオロシクロヘキシル)パーフルオロプロパン等が挙げられる。
炭素数8〜19の含フッ素芳香族ジイソシアネートとしては、ジイソシアナトパーフルオロベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ジメチルパーフルオロベンゼン、ビス(イソシアナトパーフルオロフェニル)、ビス(イソシアナトパーフルオロフェニル)パーフルオロプロパン及びビス(イソシアナトメチルパーフルオロフェニル)パーフルオロプロパン等が挙げられる。
炭素数15〜66の含フッ素ポリ(3〜6価)イソシアネートとしては、上記のジイソシアネートのヌレート体、トリス(イソシアナトパーフルオロフェニル)メタン及びトリス(イソシアナトテトラフルオロシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。
なお、含フッ素ポリイソシアネート成分(A)中のイソシアネート基の位置は、ポリオール成分(B)との反応性及び血液や体液等との反応性の観点等から、立体障害の少ない位置が好ましく、さらに好ましくは立体障害の少ない末端位置である。
また、含フッ素ポリイソシアネート成分(A)は、1種でも、2種以上の混合物でもよい。
含フッ素ポリイソシアネート成分(A)のうち、変異原性試験等によって安全性が高いという点等から、含フッ素脂肪族ポリイソシアネート及び含フッ素脂環族ポリイソシアネートが好ましく、さらに好ましくはOCN−CH2−Rf−CH2−NCOで表される含フッ素脂肪族ポリイソシアネート、特に好ましくはビス(イソシアナトメチル)パーフルオロプロパン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロブタン、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロペンタン及びビス(イソシアナトメチル)パーフルオロヘキサンである。
フッ素原子を含まないポリイソシアネート化合物(A2)としては、炭素数(イソシアネート基中の炭素を除く、以下同様)6〜19のフッ素原子を含まない芳香族ポリイソシアネート、炭素数1〜22のフッ素原子を含まない脂肪族ポリイソシアネート、炭素数6〜19のフッ素原子を含まない脂環族ポリイソシアネート、フッ素原子を含まない炭素数8〜16の芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらの変性体等が用いられる。
フッ素原子を含まない芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート(PDI)、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられる。
フッ素原子を含まない脂肪族ポリイソシアネートとしては、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、及び2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
フッ素原子を含まない脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、4,4’,4’’−トリシクロヘキシルメタントリイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
フッ素原子を含まない芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、及びα,α,α’,α’−テトラエチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
また、これらの変性体としては、変性HDI(ウレタン変性HDI、カルボジイミド変性HDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性HDI等)、変性FHMDI(ウレタン変性FHMDI、カルボジイミド変性FHMDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性FHMDI等)、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、及び変性TDI(ウレタン変性TDI、カルボジイミド変性TDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性TDI等)等が挙げられる。
なお、フッ素原子を含まないポリイソシアネート化合物(A2)は、1種でも、2種以上の混合物でもよい。
また、含フッ素ポリイソシアネート成分(A)のうち、架橋反応等の副反応の観点等から、イソシアネート基を2個持つものが好ましい。
フッ素原子を含まないポリイソシアネート化合物(A2)を用いる場合、(A2)の含有量(重量%)は、含フッ素ポリイソシアネート化合物(A1)の重量に基づいて、1〜50が好ましく、さらに好ましくは2〜30、特に好ましくは3〜10である。すなわち、この場合、(A2)の含有量(重量%)の下限は、(A1)の重量に基づいて、1が好ましく、さらに好ましくは2、特に好ましくは3であり、また同様上限は50が好ましく、さらに好ましくは30、特に好ましくは10である。この範囲であると、水との反応性が速いため湿潤接着強度等がさらに良好となる。
ポリオール成分(B)としては、親水性ポリオール(B1)を必須とするが、他のポリオール(B2)を併用してもよい。
親水性ポリオール(B1)としては、オキシエチレン基を含有するポリエーテルポリオール(B1−1)、及び分子内にオキシエチレン基を含有するポリエーテルポリオールを必須成分としてなるポリエステルポリオール(B1−2)等が使用できる。
オキシエチレン基を含有するポリエーテルポリオール(B1−1)としては、少なくとも2個の活性水素を有する化合物のエチレンオキシド付加体あるいは、エチレンオキシドと炭素数3〜8のアルキレンオキシド(1,2−又は1,3−プロピレンオキシド、1,2−、1,3−、2,3−又は1,4−ブチレンオキシド及びスチレンオキシド等)との共付加体等が使用できる。共付加体の場合、その付加形式はランダム、ブロック及びこれらの組合せのいずれでもよいが、好ましくはランダムである。
また、炭素数3〜8のアルキレンオキシドとしては1,2−プロピレンオキシドが好ましい。
エチレンオキシドを付加させる少なくとも2個の活性水素を有する化合物としては、水、ジオール、3〜8価のポリオール、ジカルボン酸、3〜4価又はそれ以上のポリカルボン酸、モノアミン、ポリアミン及びポリチオール等が使用できる。
なお、活性水素を2個有する化合物を用いた場合には2価の親水性ポリオールが得られ、活性水素を3個以上有する化合物を用いた場合には3価以上の親水性ポリオールが得られる。
ジオールとしては、炭素数2〜30のアルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等);炭素数6〜24の脂環式ジオール(例えば、1,4-シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等);炭素数15〜30のビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等);ジヒドロキシベンゼン(例えば、カテコール及びハイドロキノン等);重量平均分子量100〜5000のポリエステルジオール[ポリラクトンジオール(例えば、ポリε−カプロラクトンジオール等)、脂肪族ポリエステルジオール(例えば、エチレングリコール及びアジピン酸のポリエステルジオール、並びにブチレングリコール及びアジピン酸のポリエステルジオール等)、芳香族ポリエステルジオール(例えば、エチレングリコール及びテレフタル酸のポリエステルジオール等)等];及び重量平均分子量1000〜20000のポリブタジエンジオール等が用いられる。
3〜8価のポリオールとしては、炭素数3〜8の脂肪族多価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びソルビトール等);炭素数25〜50のトリスフェノール(例えば、トリスフェノールPA等);重合度3〜50のノボラック樹脂(例えば、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等);炭素数6〜30のベンゼントリオール(例えば、ピロガロール及びフロログルシノール等);及び重合度20〜2000のアクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニルモノマー(例えばスチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合物等]等が用いられる。
ジカルボン酸としては、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等);炭素数4〜32のアルケンジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、メサコン酸、ダイマー酸、ドデセニルコハク酸及びペンタデセニルコハク酸等);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)等が用いられる。
3〜4価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(例えば、トリメリット酸及びピロメリット酸等)等が用いられる。
また、これらのジカルボン酸又はポリカルボン酸の酸無水物及び低級アルキルエステル等も使用することができる。
これらのジカルボン酸又はポリカルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸及び無水ピロメリット酸等が挙げられる。
また、低級アルキルとしては、炭素数1〜4のアルキルが使用でき、例えば、メチル、エチル、イソプロピル及びt−ブチル等が挙げられる。
これらの低級アルキルエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等が挙げられる。
モノアミンとしては、アンモニア及び炭素数1〜20の脂肪族アミン{炭素数1〜20のアルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン及びエイコシルアミン等)等}、炭素数4〜15の脂環式アミン(アミノシクロヘキサン、イソホロンモノアミン及び4−メチレンジシクロヘキサンモノアミン);炭素数4〜15の複素環式アミン(ピペリジン及びN−アミノエチルピリジン等);炭素数6〜15の芳香環含有脂肪族アミン(アニリン等)等が用いられる。
ポリアミンとしては、炭素数2〜18の脂肪族ポリアミン{炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びウンデシレンジアミン等)及びポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン(ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びペンタエチレンヘキサミン等)等}、炭素数4〜15の脂環式ポリアミン(1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン及び4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン);炭素数4〜15の複素環式ポリアミン(ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン及び1,4−ジアミノエチルピペラジン等);炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン(キシリレンジアミン及びテトラクロル−p−キシリレンジアミン等);炭素数6〜20の芳香族ポリアミン(フェニレンジアミン、ビス(アミノフェニル)メタン、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン及び1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等)等が用いられる。
ポリチオールとしては、炭素数2〜24のジチオール(エタンジチオール、1,4−ブタンジチオール及び1,6−ヘキサンジチオール等)、3〜6価又はそれ以上の炭素数5〜3000のポリチオール[商品名:カプキュア3800(ジャパンエポキシレジン社製)及びポリビニルチオール等]等が用いられる。
これらの少なくとも2個の活性水素を有する化合物以外に、アミノ酸、オキシカルボン酸及びアミノアルコール等も使用できる。
これらの少なくとも2個の活性水素を有する化合物は、1種でも2種以上の混合物でもよい。
これら少なくとも2個の活性水素を有する化合物のうち、水及びジオールが好ましく、さらに好ましくは水及びアルキレングリコール、特に好ましくは水及び炭素数2〜4のアルキレングリコールである。
オキシエチレン基を含有するポリエーテルポリオール(B1−1)の好適な例としては、ジオールのエチレンオキシド付加体、及びジオールのエチレンオキシドと炭素数3〜8のアルキレンオキシドとの共付加体等が挙げられる。
これらの(B1−1)は、1種でも2種以上の混合物でもよい。
これらのうち、水との反応性が速くなり湿潤接着強度等がさらに良好となるという観点等から、ジオールのエチレンオキシド付加体、及びジオールのエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共付加体が好ましく、特に好ましくはジオールのエチレンオキシド付加体である。
分子内にオキシエチレン基を含有するポリエーテルポリオールを必須成分としてなるポリエステルポリオール(B1−2)としては、上述のポリエーテルポリオール(B1−1)と、上記のジカルボン酸、ジカルボン酸酸無水物及び/又はジカルボン酸低級アルキルエステルとのポリエステル等が用いられる。これらのポリエステルの末端は、ヒドロキシル基である。
なお、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸無水物及びポリカルボン酸低級アルキルエーテル等も使用でき、これらを使用する場合、これらの使用量(モル%)は、全カルボン酸のモル数に基づいて、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5、特に好ましくは0.1〜2である。この範囲であると、湿潤接着接着強度等がさらに良好となる。
分子内にオキシエチレン基を含有するポリエーテルポリオールを必須成分としてなるポリエステルポリオール(B1−2)の好適な例としては、ジオールのエチレンオキシド付加体とジカルボン酸とのポリエステルジオール、並びにジオールのエチレンオキシド及び炭素数3〜8のアルキレンオキシドの共付加体とジカルボン酸とのポリエステルジオール等が挙げられる。
これらの(B1−2)は、1種でも2種以上の混合物でもよい。
これらのうち、湿潤接着強度の観点等から、ジオールのエチレンオキシド付加体とジカルボン酸とのポリエステルジオール、並びにジオールのエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの共付加体とジカルボン酸とのポリエステルジオールが好ましく、さらに好ましくはジオールのエチレンオキシド付加体とジカルボン酸とのポリエステルジオールである。
親水性ポリオール(B1)中のオキシエチレン基の含有量(重量%)は、オキシエチレン基及びオキシアルキレン基の合計重量に基づいて、30〜100であり、好ましくは50〜98、さらに好ましくは60〜95、特に好ましくは70〜90である。すなわち、(B1)中のオキシエチレン基の含有量(重量%)の下限は、オキシエチレン基及びオキシアルキレン基の合計重量に基づいて、30であり、好ましくは50、さらに好ましくは60、特に好ましくは70であり、また同様に上限は、100であり、好ましくは98、さらに好ましくは95、特に好ましくは90である。この範囲であると、湿潤接着強度等がさらに良好となる。
親水性ポリオールのヒドロキシル基当量(ヒドロキシル基1当量あたりの分子量)は、50〜5000が好ましく、さらに好ましくは100〜4000、特に好ましくは200〜3000である。すなわち、親水性ポリオールのヒドロキシル基当量(ヒドロキシル基1当量あたりの分子量)の下限は、50が好ましく、さらに好ましくは100、特に好ましくは200であり、また同様に上限は、5000が好ましく、さらに好ましくは4000、特に好ましくは3000である。この範囲であると、湿潤接着強度等がさらに良好となる。
特に好ましい親水性ポリーエテル(B1)としては、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダム共重合体(活性水素を有する化合物は水、エチレングリコールまたはプロピレングリコールを使用)であって、数平均分子量(Mn)が2000〜6000、オキシエチレン基の含有量が60〜95重量%のものである。
他のポリオール(B2)としては、上記のジオール、上記の3〜6価のポリオール、オキシエチレン基の含有量が30重量%未満のポリエーテルポリオール(B2−1)、このポリエーテルポリオールを必須成分とするポリエステルポリオール(B2−2)、及びオキシエチレン基及びオキシアルキレン基を含有しないポリエステルポリオール(B2−3)等が使用できる。
オキシエチレン基の含有量が30重量%未満のポリエーテルポリオール(B2−1)としては、少なくとも2個の活性水素を有する化合物の炭素数3〜8のアルキレンオキシドの(共)付加体、及びエチレンオキシドと炭素数3〜8のアルキレンオキシドとの共付加体等が使用できる。ただし、オキシエチレン基の含有量はオキシエチレン基及びオキシアルキレン基の合計重量に基づいて30重量%未満である。
ポリエーテルポリオール(B2−1)の好適な例としては、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの含有量5〜15重量%)、プロピレンオキシド90重量%とエチレンオキシド10重量%のランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール及びテトラヒドロフラン90重量%とエチレンオキシド10重量%の共重合体等が挙げられる。
これらの(B2−1)は、1種でも2種以上の混合物でもよい。
これらのうち、親水性の観点等から、ポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの含有量5〜30重量%未満)が好ましく、さらに好ましくはポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの含有量15〜30重量%未満)である。
ポリエーテルポリオール(B2−1)を必須成分とするポリエステルポリオール(B2−2)としては、ポリエーテルポリオール(B2−1)と、上記のジカルボン酸、ジカルボン酸酸無水物又はジカルボン酸低級アルキルエステルとから誘導され得るポリエステルポリオール等が使用できる。
ポリエステルポリオール(B2−2)の好適な例としては、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの含有量5〜15重量%)、プロピレンオキシド90重量%とエチレンオキシド10重量%のランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール及び/又はテトラヒドロフラン90重量%とエチレンオキシド10重量%の共重合体と、ジカルボン酸とから誘導され得るポリエステルポリオール等が挙げられる。
これらの(B2−2)は、1種でも2種以上の混合物でもよい。
オキシエチレン基及びオキシアルキレン基を含有しないポリエステルポリオール(B2−3)としては、上記のジオール及び/又は上記の3〜6価のポリオールと、上記のジカルボン酸、ジカルボン酸酸無水物又はジカルボン酸低級アルキルエステルとから誘導され得るポリエステル等が使用できる。
ポリエステルポリオール(B2−3)の好適な例としては、ブタンジオール及びアジピン酸から誘導されるポリエステルジオール、エチレングリコール、ブタンジオール及びアジピン酸から誘導されるポリエステルジオール、並びにシクロヘキサンジオール及びフタル酸から誘導されるポリエステルジオール等が挙げられる。
これらの(B2−3)は、1種でも2種以上の混合物でもよい。
これらの他のポリオール(B2)のうち、湿潤接着強度の観点等から、オキシエチレン基の含有量が30重量%未満のポリエーテルポリオール(B2−1)が好ましく、さらに好ましくはポリプロピレングリコール及びポリプロピレングリコールのエチレンオキシド5〜15重量%付加体、特に好ましくはポリプロピレングリコールである。
これらの他のポリオール(B2)のヒドロキシル基当量は、50〜5000が好ましく、さらに好ましくは100〜3000、特に好ましくは200〜2000である。すなわち、(B2−1)のヒドロキシル基当量の下限は、50が好ましく、さらに好ましくは100、特に好ましくは200であり、また同様に上限は5000が好ましく、さらに好ましくは3000、特に好ましくは2000である。この範囲であると、湿潤接着強度等がさらに良好となる。
他のポリオール(B2)を使用する場合、親水性ポリオール(B1)の含有量(重量%)は、ポリオール成分(B)の重量に基づいて、30〜99が好ましく、さらに好ましくは50〜98、特に好ましくは80〜95である。すなわち、この場合、(B1)の含有量(重量%)の下限は、ポリオール成分(B)の重量に基づいて、30が好ましく、さらに好ましくは50、特に好ましくは80であり、また同様に上限は、99が好ましく、さらに好ましくは98、特に好ましくは95である。この範囲であると、湿潤接着強度等がさらに良好となる。
他のポリオール(B2)を使用する場合、他のポリオール(B2)の含有量(重量%)は、ポリオール成分(B)の重量に基づいて、1〜70が好ましく、さらに好ましくは2〜50、特に好ましくは5〜20である。すなわち、この場合、(B2)の含有量(重量%)の下限は、ポリオール成分(B)の重量に基づいて、1が好ましく、さらに好ましくは2、特に好ましくは5であり、また同様に上限は、70が好ましく、さらに好ましくは50、特に好ましくは20である。この範囲であると、湿潤接着強度等がさらに良好となる。
また、この場合、ポリオール成分(B)全体におけるオキシエチレン基の含有量(重量%)は、(B)の重量に基づいて、30〜99が好ましく、さらに好ましくは60〜95、特に好ましくは70〜90である。すなわち、この場合、ポリオール成分(B)全体におけるオキシエチレン基の含有量(重量%)の下限は、(B)の重量に基づいて、30が好ましく、さらに好ましくは60、特に好ましくは70であり、また同様に上限は、99が好ましく、さらに好ましくは95、特に好ましくは90である。この範囲であると、湿潤接着強度等がさらに良好となる。
また、ポリオール成分(B)全体の平均のヒドロキシル基当量は、50〜5000が好ましく、さらに好ましくは100〜4000、特に好ましくは200〜3000である。すなわち、ポリオール成分(B)全体の平均のヒドロキシル基当量の下限は、50が好ましく、さらに好ましくは100、特に好ましくは200であり、また同様に上限は、5000が好ましく、さらに好ましくは4000、特に好ましくは3000である。この範囲であると、湿潤接着強度等がさらに良好となる。
ポリオール成分(B)の過酸化物価(POV)(当量/kg)は、0.01以下であり、好ましくは0.005以下、さらに好ましく0.002以下である。この範囲であると、γ線照射後でも着色しにくく、湿潤接着強度が低下しにくい。
なお、過酸化物価(POV)は、次のようなチオ硫酸ナトリウムによる滴定法で測定できる。
(1)<本試験>試料にクロロホルムと氷酢酸(体積比2:3)を加えて溶かし、これに飽和ヨウ化カリウム標準液1mlを加えた後、0.01Nチオ硫酸ナトリウム滴定用溶液で滴定し、微黄色になったときにでんぷん指示薬1〜2滴を加え、ヨウ素でんぷんの青色が消失するまで滴定する。
(2)<空試験>試料を含まないクロロホルム−氷酢酸溶液について、本試験と同様にして滴定する。
(3)下記の計算式で過酸化物価(POV)を算出する。
POV(当量/kg)=(A−B)×f/(S×100)
但し、A:本試験に要した0.01Nチオ硫酸ナトリウム滴定用溶液のml数
B:空試験に要した0.01Nチオ硫酸ナトリウム滴定用溶液のml数
f:0.01Nチオ硫酸ナトリウム滴定用溶液の力価
S:試料採取量(g)
ポリオール成分(B)は、酸素と接触した状態にしておくと、比較的容易に酸化されて過酸化物価(POV)が増加する。これは、ポリオール成分(B)中のオキシエチレン基やオキシプロピレン基等のエーテル結合が酸素によって徐々に酸化されてパーオキサイドが生成することに起因すると考えられる。
従って、ポリオール成分(B)の過酸化物価(POV)を上記の範囲にするには、酸素にできるだけ触れないようにして(B)を製造する(例えば、原料を仕込む際に窒素などの不活性ガスで予め置換をし、密閉下でエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの付加重合を行う。また、残存するアルカリ金属、アルカリ土類金属を吸着剤で除去する処理工程中も窒素雰囲気下で処理する。重合容器内又は処理容器内の気相部の酸素濃度(ppm)は、1000以下が好ましく、さらに好ましくは700、特に好ましくは500、最も好ましくは450である。)ことが好ましい。
また、ポリオール成分(B)を保存するには、酸化防止剤を添加して保存する方法;酸素に触れないように、窒素などの不活性ガス雰囲気下で、又は真空下で保存する方法、低温度(−20〜−80℃の冷凍フリーザー等)で保存する方法等が好ましい。
酸化防止剤としては、公知のものが使用でき、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤等が含まれる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)などのモノフェノール系;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール系;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンなどの高分子型フェノール系などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト(TPP)、トリイソデシルホスファイト(TDP)、ジフェニルイソデシルホスファイト(DPDP)、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト(TNP)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(DLTDP)、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート(DSTDP)、ラウリルステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジブチレート、ジラウリスサルファイドなどが挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、オクチル化ジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノール、N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフリルアミン、フェノチアジンなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤のうち、湿潤接着強度の観点等から、フェノール系酸化防止剤が好ましく、さらに好ましくはモノフェノール系酸化防止剤、特に好ましくは2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)及びブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、最も好ましくはBHTである。
これらの酸化防止剤を含有する場合、この含有量(重量%)は、ポリオール成分(B)の重量に基づいて、0.01〜1が好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.5、特に好ましくは0.05〜0.1である。すなわち、この場合、酸化防止剤の含有量(重量%)の下限は、ポリオール成分(B)の重量に基づいて、0.01が好ましく、さらに好ましくは0.02、特に好ましくは0.05であり、また同様に上限は、1が好ましく、さらに好ましくは0.5、特に好ましくは0.1である。この範囲であると、ポリオール成分(B)をさらに良好に(過酸化物価を上記の範囲に)保存できる。
ポリオール成分(B)のうち、架橋反応等の副反応の観点等から、ヒドロキシ基を2個持つものが好ましい。
親水性ウレタンプレポリマー(UP)は、含フッ素ポリイソシアネート成分(A)と親水性ポリオール成分(B)とを反応させることにより得られる。
ポリイソシアネート成分(A)と親水性ポリオール成分(B)との使用量比としては、(A)のイソシアネート基と(B)のヒドロキシル基との当量比(A/B)として、1.5〜3が好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.3、特に好ましくは1.9〜2.1である。すなわち、(A)のイソシアネート基と(B)のヒドロキシル基との当量比(A/B)の下限は、1.5が好ましく、さらに好ましくは1.8、特に好ましくは1.9であり、また同様に上限は、3が好ましく、さらに好ましくは2.3、特に好ましくは2.1である。この範囲であると、粘度が比較的低く、接着剤としてさらに取り扱いやすくなり、また湿潤接着強度もさらに良好となる。
この親水性ウレタンプレポリマー(UP)を製造する方法としては、従来公知の方法(国際公開WO03/051952パンフレット等)でよく、例えば、含フッ素ポリイソシアネート成分(A)と親水性ポリオール成分(B)とを50〜100℃で、1〜10時間反応させる方法等が挙げられる。この場合、含フッ素ポリイソシアネート成分(A)と親水性ポリオール成分(B)との投入方法としては、最初から加えておく方法でも徐々に適下する方法でもよい。
親水性ウレタンプレポリマー(UP)は、分子内に、少なくとも2個(好ましくは2個)のイソシアネート基を持ち、活性水素を持たない構造を有する。
なお、親水性ウレタンプレポリマー(UP)中のイソシアネート基の位置は、血液や体液等との反応性の観点等から、立体障害の少ない位置が好ましく、さらに好ましくは立体障害の少ない末端位置である。
親水性ウレタンプレポリマー(UP)の過酸化物価(POV)(当量/kg)は、0.007以下であり、好ましくは0.004以下、さらに好ましく0.002以下である。この範囲であると、γ線照射後でも着色しにくく、湿潤接着強度が低下しにくい。
親水性ウレタンプレポリマー(UP)は、ポリオール成分(B)と同様に、酸素と接触した状態にしておくと、比較的容易に酸化されて過酸化物価(POV)が増加する。これは、ポリオール成分(B)と同様に、オキシエチレン基やオキシプロピレン基等のエーテル結合が酸素によって徐々に酸化されてパーオキサイドが生成することに起因すると考えられる。
親水性ウレタンプレポリマー(UP)の過酸化物価(POV)を上記の範囲にするには、過酸化物価が前述の範囲であるポリオール成分(B)を原料として、含フッ素ポリイソシアネート成分(A)と親水性ポリオール成分(B)との反応を、不活性ガス(窒素、アルゴン及び/又は二酸化炭素等)雰囲気下で行うこと(反応容器は予め、不活性ガスで置換しておくこと。さらに、反応容器に窒素気流をわずかにパスさせながら反応させる。重合容器内の気相部の酸素濃度(ppm)は、1000以下が好ましく、さらに好ましくは700、特に好ましくは500、最も好ましくは450である。)が好ましい。
また、親水性ウレタンプレポリマー(UP)を保存するには、酸化防止剤を添加して保存する方法;酸素に触れないように、不活性ガス雰囲気下で、又は真空下で保存する方法、低温度(−20〜−80℃の冷凍フリーザー等)で保存する方法等が好ましい。
なお、酸化防止剤を添加して保存するとき、酸化防止剤を添加しないポリオール成分(B)を原料として使用して親水性ウレタンプレポリマー(UP)を得た場合は、このウレタンプレポリマーの製造後に、酸化防止剤を添加することが好ましい。また、酸化防止剤を添加したポリオール成分を原料として親水性ウレタンプレポリマー(UP)を得た場合でも、さらに酸化防止剤を追加しても差し支えない。
これらの酸化防止剤を含有する場合、この含有量(重量%)は、親水性ウレタンプレポリマー(UP)の重量に基づいて、0.01〜1が好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.5、特に好ましくは0.05〜0.1である。すなわち、この場合、酸化防止剤の含有量(重量%)の下限は、(UP)の重量に基づいて、0.01が好ましく、さらに好ましくは0.02、特に好ましくは0.05であり、また同様に上限は、1が好ましく、さらに好ましくは0.5、特に好ましくは0.1である。この範囲であると、(UP)をさらに良好に(過酸化物価を上記の範囲に)保存できる。
また、親水性ウレタンプレポリマー(UP)のイソシアネート基含有率(重量%){(UP)全体の重量に占めるイソシアネート基の重量比率}は、1〜10が好ましく、さらに好ましくは1.2〜8、特に好ましくは1.5〜6である。すなわち、(UP)のイソシアネート基含有率(重量%)の下限は、1が好ましく、さらに好ましくは1.2、特に好ましくは1.5であり、また同様に上限は、10が好ましく、さらに好ましくは8、特に好ましくは6である。この範囲であると、湿潤接着強度がさらに良好となる。
イソシアネート基含有率は、試料に過剰のジ−n−ブチルアミン溶液を加えて反応させ、未反応のジ−n−ブチルアミンを塩酸標準溶液で逆滴定する方法で測定することができ、例えばJIS K7301−1995、6.3イソシアナネート基含有率に準拠して測定される。
親水性ウレタンプレポリマー(UP)の数平均分子量(Mn)は、500〜30,000が好ましく、さらに好ましくは800〜20,000、特に好ましくは1,000〜10,000、最も好ましくは1,200〜8,000である。すなわち、(UP)のMnの下限は、500が好ましく、さらに好ましくは800、特に好ましくは1,000、最も好ましくは1,200であり、また同様に上限は、30,000が好ましく、さらに好ましくは20,000、特に好ましくは10,000、最も好ましくは8,000である。この範囲であると、湿潤接着強度がさらに良好となる。
親水性ウレタンプレポリマー(UP)に換えて、ポリイソシアネート非使用プレポリマー(NUP)も、医療用接着剤として好適である。すなわち、このような医療用接着剤の特徴としては、ポリイソシアネート非使用プレポリマー(NUP)からなり、(NUP)の過酸化物価(POV)が0.007当量/kg以下である点を要旨とする。
ポリイソシアネート非使用プレポリマー(NUP)は、イソシアネート基含有ポリマーであって、活性水素含有ポリマー(D)中の官能基の1個以上をイソシアネート基に変換した構造を有するものである。
ポリイソシアネート非使用プレポリマー(NUP)は、分子内に、少なくとも2個(好ましくは2個)のイソシアネート基を持ち、活性水素を持たない構造を有する。
なお、(NUP)中のイソシアネート基の位置は、血液や体液等との反応性の観点等から、立体障害の少ない位置が好ましく、さらに好ましくは立体障害の少ない末端位置である。
このポリイソシアネート非使用プレポリマー(NUP)は、活性水素含有ポリマー(D)の官能基1個以上をそのままイソシアネート基に変換する方法、及びエーテル結合及び/又はエステル結合を介してイソシアネート基を導入する方法等によって製造され得る構造を有するもの等が含まれる。
活性水素含有ポリマー(D)の官能基(ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基及びアミノ基等)の少なくとも1個をイソシアネート基に変換する方法としては、公知の方法(国際公開WO03/051952パンフレット等)等が適用でき、1級ヒドロキシル基又は1級メルカプト基の場合、(1)官能基を酸化してカルボキシル基に変換し、さらに酸ハロゲン化物とした後、アジド化合物を反応させ熱分解することにより、酸アジドを経由しイソシアネート基に変換する方法(特開昭57−108055号公報等)、及び(2)官能基を酸化してカルボキシル基に変換した後、カルボキシル基をアジド化合物によりアミノ基に変換しイソシアネート基に変換する方法等が挙げられ、また、2級ヒドロキシル基又は2級メルカプト基の場合、(3)官能基を酸化してカルボニル基に変換し、アンモニアを反応させると同時に水素還元してアミノ基とした後、イソシアネート基に変換する方法等が挙げられ、また、1級若しくは2級のヒドロキシル基又は1級若しくは2級メルカプト基の場合、(4)官能基をアミノ基に変換した後、ホスゲンを反応させることによりイソシアネート基に変換する方法、及び(5)(D)とイソシアネート基含有不飽和化合物とを反応させる方法等が挙げられる。また、官能基がカルボキシル基の場合、(1)又は(2)の方法でカルボキシル基に変換後の工程が適用できる。また、(5)の方法によることも可能である。官能基がアミノ基の場合、(3)又は(4)の方法でアミノ基に変換後の工程が適用できる。
活性水素含有ポリマー(D)の官能基(ヒドロキシル基)をカルボキシル基に変換する方法としては、カルボキシメチルエーテル化による方法[活性水素含有ポリマー(D)とハロゲン化カルボン酸(クロロ酢酸、クロロジフルオロ酢酸、3−クロロプロピオン酸、3−クロロ−2,2−ジフルオロプロピオン酸、4−クロロブタン酸、クロロメチル安息香酸等)とをアルカリ触媒(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等)の存在下に反応させる方法等]及び酸化による方法[過マンガン酸カリウム等の存在下にアルカリ水溶液中で加熱する方法、白金触媒(白金−活性炭及び白金黒等)を弱塩基化合物(炭酸水素ナトリウム及び炭酸カリウム等)の存在下に使用して空気酸化する方法及び6価クロム化合物等の存在下、硫酸酸性条件下で加熱する方法等]等が挙げられる。カルボキシル基を酸ハロゲン化物に変換する方法としては、ハロゲン化リン(5塩化リン等)と反応させる方法、及びハロゲン化チオニル(塩化チオニル等)と反応させる方法等が挙げられる。酸ハロゲン化物をアジド化合物と反応させる方法としては、酸ハロゲン化物とアジド化合物(アジ化水素酸及びアジ化ナトリウム等)と低温で混合する方法等が挙げられ、これを60〜150℃に加熱するとイソシアネート基に変換できる。カルボキシル基をアジド化合物と反応させてアミノ基にする方法としては、アジ化金属(アジ化ナトリウム等)を濃硫酸とともに反応させる方法、ジフェニルホスホロアジダード、ヒドロキサム酸又はヒドロキシルアミン塩酸塩とともに加熱する方法等が挙げられる。アミノ基をイソシアネート基に変換する方法としては、ホスゲンを反応させる方法[ホスゲン(ホスゲン及び塩化オキサル等)の溶液にアミンを滴下する方法等]、N,N’−カルボニルジイミダゾールと反応させた後に室温で分解させる方法、遷移金属錯体触媒(塩化パラジウム、塩化ロジウム及び塩化白金酸等)の存在下に一酸化炭素と反応させる方法、次亜塩素酸ナトリウム又は次亜臭素酸ナトリウム等を反応させてアルカリ処理する方法等が挙げられる。2級ヒドロキシル基をカルボニル基に変換する方法としては、酸化による方法[過マンガン酸カリウム等の存在下にアルカリ水溶液中で加熱する方法、白金触媒(白金−活性炭及び白金黒等)を使用して空気酸化する方法及び6価クロム化合物等の存在下、硫酸酸性条件下で反応させる方法等]等が挙げられる。カルボニル基とアンモニアとを反応させると同時に水素還元して、カルボニル基をアミノ基とする方法としては、アンモニアの存在下、水素ガスで加圧し、水素化触媒(ラネーニッケル、塩化白金酸等)の存在下で反応させる方法等が挙げられる。ヒドロキシル基にアミノ基を導入する方法としては、ヒドロキシル基とエチレンイミン(エチレンイミン及びN−メチルエチレンイミン等)とを反応させる方法等が挙げられる。イソシアネート基含有不飽和化合物としては、イソシアネートメチル(メタ)アクリレート及びイソシアネートメチルアリルエーテル等が挙げられる。
ポリイソシアネート非使用プレポリマー(NUP)の数平均分子量(Mn)は、500〜500,000が好ましく、さらに好ましくは800〜100,000、特に好ましくは1,000〜10,000、最も好ましくは1,200〜5,000である。すなわち、(NUP)のMnの下限は、500が好ましく、さらに好ましくは800、特に好ましくは1,000、最も好ましくは1,200であり、また同様に上限は、500,000が好ましく、さらに好ましくは100,000、特に好ましくは10,000、最も好ましくは5,000である。この範囲であると、湿潤接着強度がさらに良好となる。
ポリイソシアネート非使用プレポリマー(NUP)のうち、末端にフッ素原子を含む有機基が存在する活性水素含有ポリマー(D)を用いることがポリマーの反応性が高くなって好ましい。すなわち、イソシアネート基に変換した末端構造としては、−Rf−NCO(Rfは炭素数1〜4のパーフルオロアルキレン基)で表されるもの及び/又は−CH(CF2)−NCOで表されるものが好ましく、さらに好ましくは−CH(CF2 )−NCOで表されるものである。
また、ポリイソシアネート非使用プレポリマー(NUP)のイソシアネート基含有率(重量%){(UP)全体の重量に占めるイソシアネート基の重量比率}、及び過酸化物価(POV)(当量/kg)について、好ましい範囲、調整方法、保存方法及び酸化防止剤の添加量等は親水性ウレタンプレポリマー(UP)と同様である。
親水性ウレタンプレポリマー(UP)及びポリイソシアネート非使用ポリマー(NUP)は、その他の成分を含有させることができ、その他の成分としては、生理活性を有する薬物、充填剤、可塑剤及び安定剤(例えば、国際公開WO03/051952パンフレットの36頁)等が挙げられる。
親水性ウレタンプレポリマー(UP)及びポリイソシアネート非使用ポリマー(NUP)は、水分により容易に重合を起こす傾向があるので、本発明の接着剤に配合するその他の成分は、水分を含まないことが必要がある。
また、(UP)、(NUP)とその他の成分とを配合する際にも空気を遮断して水分の混入を防ぐことが水分との反応や過酸化物価(POV)の観点等から好ましい。
また、本発明の接着剤は、水分との反応や過酸化物価の観点等から、酸素及び水分に触れないようにして(例えば空気を遮断したアンプル等の容器に充填)保存することが好ましく、さらに好ましくは酸素及び水分に触れないようにして低温度(10〜−70℃、好ましくは5〜−50℃、さらに好ましくは0〜−30℃、特に好ましくは−5〜−20℃)で保存することである。
本発明の接着剤に含まれる親水性ウレタンプレポリマー(UP)及びポリイソシアネート非使用ポリマー(NUP)は、イソシアネート基と水分(血液やリンパ液等の体液中の水等)とが反応して、アミノ基と二酸化炭素とが生成し、このアミノ基がさらにイソシアネート基と反応して高分子量化(重合)が進行する。このとき発生する二酸化炭素により発泡状(スポンジ状)となり、湿潤接着強度及び柔軟性のある発泡体を含む皮膜が生成する。
従って、本発明の接着剤は、手術などの医療行為において、血液などの体液と接触すると、その水分により急速に重合が進行し、接着力が発現する。また、必要に応じて、例えば生理食塩水などを噴霧して水分を補給することにより、初期接着力を高めることができる。
手術において、生体組織を本発明の接着剤で接合する際の接合方法としては、切開部に直接本発明の接着剤を塗布する直接接着法;シリコーンフィルム及びフッ素フィルム等の剥離性の高いフィルムに接着剤を塗布してから切開部をフィルムと一緒に覆い、反応後フィルムを除く転写接着法等が挙げられる。
本発明の医療用接着剤は、生体組織に好適であり、さらに好ましくは肺、動脈、心臓、静脈、気管、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸、肝臓、脾臓、腎臓、膵臓及び神経、さらに好ましくは肺、動脈及び心臓、特に好ましくは動脈である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、部は重量部を、%は重量%を示す。
<製造例1>
オートクレーブにエチレングリコール15.5部、水酸化カリウム3.8部を仕込み、窒素置換後(気相部の酸素濃度450ppm)120℃にて60分間真空脱水した。
ついで、100〜130℃でエチレンオキシド784.5部とプロピレンオキシド200部との混合物を約10時間で圧入した後、130℃で3時間反応を続け、オキシエチレン基の含有量が80%である液状粗ポリエーテル(b1)を得た。数平均分子量は4000であった。
この液状粗ポリエーテル(b1)の1000部をオートクレーブに入れ、窒素置換(気相部の酸素濃度450ppm)を行い、30部のイオン交換水を加え、その後、合成ケイ酸マグネシウム(ナトリウム含有量0.2%)を10部加え、再度窒素置換した後、90℃にて45分間、攪拌速度300rpmで攪拌した。次いで、ガラスフィルタ−(GF−75:東洋濾紙製)を用い、窒素下で濾過を行い、エチレンオキシド/プロピレンオキシドランダム共重合物を得た後、これに酸化防止剤として1部のBHTを添加して親水性ポリオール(b2)を得た。この(b2)の過酸化物価は0.001当量/kg、であった。
<製造例2>
製造例1の前半で得た液状粗ポリエーテル(b1)1000部をオートクレーブに入れ、窒素置換をせずに、30部のイオン交換水を加え、その後、合成ケイ酸マグネシウムを10部加え、90℃にて45分間、攪拌速度300rpmで攪拌した。次いで、ガラスフィルタ−を用い、空気下で濾過を行い、エチレンオキシド/プロピレンオキシドランダム共重合物の親水性ポリオール(b3)を得た。さらに、酸化防止剤を添加せずに、ビーカーに(b3)100gを入れ、130℃に設定した防爆形循風乾燥機で空気に曝気しながら24時間加熱放置し、比較実施例のためのエチレンオキシド/プロピレンオキシドランダム共重合物の親水性ポリオール(b4)を得た。この(b4)の過酸化物価は0.012当量/kgであった。
<製造例3>
オートクレーブにエチレングリコール15.5部、水酸化カリウム3.8部を仕込み、窒素置換後(気相部の酸素濃度450ppm)120℃にて60分間真空脱水した。
ついで、100〜130℃でエチレンオキシド209部とプロピレンオキシド116部との混合物を約10時間で圧入した後、130℃で3時間反応を続け、オキシエチレン基の含有量が60%である液状粗ポリエーテル(b5)を得た。数平均分子量は1400であった。
この液状粗ポリエーテル(b5)1000部をオートクレーブに入れ、窒素置換を行い、30部のイオン交換水を加え、その後、合成ケイ酸マグネシウムを12部加え、再度窒素置換した後に、90℃にて240分間、攪拌速度300rpmで攪拌した。次いで、ガラスフィルタ−を用い、窒素下で濾過を行い、エチレンオキシド/プロピレンオキシドランダム共重合物を得た後、これに酸化防止剤として0.1部のBHTを添加して親水性ポリオール(b6)を得た。この(b6)の過酸化物価は0.002当量/kgであった。
<製造例4>
製造例3の前半で得た液状粗ポリエーテル(b5)1000部をオートクレーブに入れ、窒素置換をしない点を除いては製造例1と同様に合成ケイ酸マグネシウム処理し、空気下で濾過を行い、エチレンオキシド/プロピレンオキシドランダム共重合物の親水性ポリオール(b7)を得た。さらに、酸化防止剤を添加せずに、ビーカーに(b7)100gを入れ、130℃に設定した循風乾燥機で空気に曝気しながら24時間加熱放置し、比較実施例のためのエチレンオキシド/プロピレンオキシドランダム共重合物の親水性ポリオール(b8)を得た。この(b8)の過酸化物価は0.015当量/kgであった。
<実施例1>
製造例1で得た親水性ポリオール(b2)400部を、窒素雰囲気下、90℃にて8時間減圧下脱水した後、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロブタン{OCN−CH2−(CF24−CH2−NCO}62.4部(NCO基/OH基比=2/1)を25℃で加え、均一に撹拌した後、30分間で80℃に昇温し、80℃で8時間反応させて、液状のウレタンプレポリマー(UP1)を得た。この(UP1)をこのまま本発明の接着剤1として、以下の評価を行った。(UP1)のイソシアネート基含有量は1.8%、過酸化物価POVは0.001当量/kg、数平均分子量(Mn)は5600であった。
<実施例2>
製造例1で得た親水性ポリオール(b2)400部を、窒素雰囲気下、90℃にて8時間減圧下脱水した後、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロペンタン{OCN−CH2−(CF25−CH2−NCO}72.4部(NCO基/OH基比=2/1)を25℃で加え、均一に撹拌した後、30分間で80℃に昇温し、80℃で8時間反応させて、液状のウレタンプレポリマー(UP2)を得た。この(UP2)をこのまま本発明の接着剤2として、以下の評価を行った。(UP2)のイソシアネート基含有量は1.7%、過酸化物価POVは0.001当量/kg、数平均分子量(Mn)は5800であった。
<実施例3>
製造例1で得た親水性ポリオール(b2)400部を、窒素雰囲気下、90℃にて8時間減圧下脱水した後、ビス(イソシアナトメチル)パーフルオロヘキサン{OCN−CH2−(CF25−CH2−NCO}78.3部(NCO基/OH基比=1.9/1)を25℃で加え、均一に撹拌した後、30分間で80℃に昇温し、80℃で8時間反応させて、液状のウレタンプレポリマー(UP3)を得た。この(UP3)をこのまま本発明の接着剤3として、以下の評価を行った。(UP3)のイソシアネート基含有量は1.6%、過酸化物価POVは0.001当量/kg、数平均分子量(Mn)は6000であった。
<実施例4>
製造例3で得られた親水性ポリオール(b6)400部とビス(イソシアナトメチル)パーフルオロブタン{OCN−CH2−(CF24−CH2−NCO}178.3部(NCO基/OH基比=2/1)を用いる以外は実施例1と同様にして反応させ、液状のウレタンプレポリマー(UP4)を得た。この(UP4)をこのまま本発明の接着剤4として、以下の評価を行った。(UP4)のイソシアネート基含有量は4.1%、過酸化物価POVは0.002当量/kg、数平均分子量(Mn)は3000であった。
<比較例1>
製造例2で得られた親水性ポリオール(b4)340部とOCN−CH2(CF24−CH2−NCO62.4部(NCO基/OH基比=2/1)を用いる以外は実施例1と同様にして反応させ、液状の比較ウレタンプレポリマー(HUP1)を得た。この(HUP1)をこのまま比較用の接着剤5として以下の評価を行った。(HUP1)のイソシアネート基含有量は1.8%、過酸化物価POVは0.008当量/kg、数平均分子量(Mn)は57000であった。
<比較例2>
製造例4で得られた親水性ポリオール(b8)400重量部とOCN−CH2−(CF24−CH2−NCO178.3部(NCO基/OH基比=2/1)を用いる以外は実施例1と同様にして反応させ、液状の比較ウレタンプレポリマー(HUP2)を得た。この(HUP2)をこのまま比較用の接着剤6として以下の評価を行った。(HUP2)のイソシアネート基含有量は4.1%、過酸化物価POVは0.01当量/kg、数平均分子量(Mn)は2900であった。
<γ線照射>
本発明の接着剤1〜4、及び比較用の接着剤5〜6をポリプロピレン製の2mlアンプルチューブに、窒素雰囲気下で充填し、γ線照射受託業者(ラジエ工業株式会社)に委託して25kGyのγ線を照射してもらい、照射後の接着剤1’〜6’を得た。
<評価1:γ線照射前後の接着剤の色相>
γ線照射前後の接着剤1〜6及び1’〜6’の色相(ガードナー色数、JIS K0071−2:1998、5.ガードナー色数試験方法)を測定し、その結果を表1に示す。
<評価2:湿潤接着強度>
コラーゲンフィルム(1×5cm)2枚を生理食塩水中に24時間浸漬後、表面の水をふき取った状態として、その一方のフィルムの端の部分1×1cmの広さに約0.1mLの接着剤をポリフッ化エチレン製のスパチュラを使用して塗布した。
接着剤を塗布した上に、もう一方のフィルムの端の部分1×1cmを張り合わせ、張り合わせた部分に100g/cm2の荷重がかかるように100gの重りを乗せて、37±2℃、湿度98±5RH%の環境下で5分間放置後、重りを外してから24時間37±2℃の生理食塩水中で放置した。その後、張り合わせたフィルムを取り出し、ガーゼで水滴を除いた後、JIS K6850(1999年)に従って、一方のフィルムの接着させていない端1cmの部分ともう一方のフィルムの接着させていない端1cmの部分の引張り強さを、37±2℃、湿度98±5RH%の環境下で測定し、破断時の荷重を湿潤接着強度(kg/cm)とした。
なお、引っ張り試験機は島津製作所製オートグラフAGS-500Bを使用し、引っ張り速度は300mm/分とした。
γ線照射前の接着剤1〜6及び照射後の接着剤1’〜6’の湿潤接着強度(Kg/cm)の測定結果を表1に示す。
Figure 2005118381
本発明の医療用接着剤は、極めて着色性及び湿潤接着強度に優れるため、動きのある生体組織の接着に特に有効に使用でき、例えば、肺、動脈、心臓、静脈、気管、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸、肝臓、脾臓、腎臓、膵臓及び神経等の接着、出血阻止、消化器官からの酵素の漏れ防止、縫合に先立つ仮固定、及び患部の補強等に用いる医療用接着剤として極めて有効であるばかりでなく、創傷面及び切創部等の接合、歯科における接着治療に対しても高信頼性と高性能を発揮する。
特に肺、動脈及び心臓等の動きを伴う組織の接着に極めて高い信頼性と高性能を発揮する。

Claims (8)

  1. 含フッ素ポリイソシアネート成分(A)と、親水性ポリオール(B1)を必須成分とするポリオール成分(B)とを反応させて得られる親水性ウレタンプレポリマー(UP)からなり、(B)の過酸化物価(POV)が0.01当量/kg以下であることを特徴とする医療用接着剤。
  2. 含フッ素ポリイソシアネート成分(A)と、親水性ポリオール(B1)を必須成分とするポリオール成分(B)とを反応させて得られる親水性ウレタンプレポリマー(UP)からなり、(UP)の過酸化物価(POV)が0.007当量/kg以下であることを特徴とする医療用接着剤。
  3. 親水性ウレタンプレポリマー(UP)のイソシアネート基含有率が(UP)の重量に基づいて1〜10重量%である請求項1または2記載の接着剤。
  4. 親水性ポリオール成分(B)中のオキシエチレン基の含有量が(B)の重量に基づいて30重量%以上である請求項1〜3いずれか記載の接着剤。
  5. 親水性ポリオール成分(B)がエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダム共重合体とポリプロピレングリコールとの混合物からなる請求項1〜4のいずれか記載の接着剤。
  6. ポリイソシアネート非使用プレポリマー(NUP)からなり、(NUP)の過酸化物価(POV)が0.007当量/kg以下であることを特徴とする医療用接着剤。
  7. 生体組織の接着に使用される請求項1〜6のいずれか記載の接着剤。
  8. 生体組織が、肺、動脈及び心臓からなる群より選ばれる少なくとも一種の組織である請求項7記載の接着剤。
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