JP2005116330A - 有機発光素子の製造方法および有機発光素子並びに表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 発光強度を確保し、表示性能を向上させることができる有機発光素子の製造方法および有機発光素子並びに表示装置を提供する。
【解決手段】 第1電極15および補助配線16が形成された基板11の略全面に正孔輸送層17Aを成膜する。続いて、正孔輸送層17Aの補助配線16を覆う部分に圧子42の先端部42Aを接触させて圧子42に例えば2gの荷重を加えながら、圧子42と基板11との相対的位置を変化させる。有機材料よりなる正孔輸送層17Aは金属よりなる補助配線16に比べて軟らかいため、圧子42に加える荷重を適当に調整することにより正孔輸送層17Aのみを除去することができる。これにより、正孔輸送層17Aの補助配線16を覆う部分が物理的に除去され、補助配線16の上面が露出する。そののち、発光層および第2電極を順に形成し、補助配線16と第2電極とを電気的に接続する。
【選択図】図6
【解決手段】 第1電極15および補助配線16が形成された基板11の略全面に正孔輸送層17Aを成膜する。続いて、正孔輸送層17Aの補助配線16を覆う部分に圧子42の先端部42Aを接触させて圧子42に例えば2gの荷重を加えながら、圧子42と基板11との相対的位置を変化させる。有機材料よりなる正孔輸送層17Aは金属よりなる補助配線16に比べて軟らかいため、圧子42に加える荷重を適当に調整することにより正孔輸送層17Aのみを除去することができる。これにより、正孔輸送層17Aの補助配線16を覆う部分が物理的に除去され、補助配線16の上面が露出する。そののち、発光層および第2電極を順に形成し、補助配線16と第2電極とを電気的に接続する。
【選択図】図6
Description
本発明は、画素間に補助配線を備えた有機発光素子の製造方法およびこの方法により製造された有機発光素子並びにこの有機発光素子を用いた表示装置に係り、特に高分子材料を用いた有機発光素子に好適な有機発光素子の製造方法および有機発光素子並びに表示装置に関する。
近年、液晶ディスプレイに代わる表示装置として、有機発光素子を用いた有機発光ディスプレイが注目されている。有機発光ディスプレイは、自発光型であるので視野角が広く、消費電力が低いという特性を有し、また、高精細度の高速ビデオ信号に対しても十分な応答性を有するものと考えられており、実用化に向けて開発が進められている。
従来、低分子材料を用いた有機発光素子の製造に多用されている真空蒸着法は、大画面の表示装置を製造する際に蒸着マスクを高精度に位置合わせする必要があり、技術的に困難であった。そのため、インクジェットプリンティング法(例えば特許文献1参照)あるいは転写印刷法(例えば特許文献2参照)など、高分子材料を用いた有機発光素子の製造方法が注目されている。
高分子材料を用いた有機発光素子は、従来では、例えば次のようにして形成される。まず、第1電極が形成された基板の略全面に、例えばスピンコート法により、例えばポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)とを混合したもの(以下、「PEDOT/PSS」という)よりなる正孔輸送層を形成する。続いて、インクジェットプリンティング法または転写印刷法により発光層を形成したのち、第2電極を基板の略全面に形成する。
このような高分子材料を用いた有機発光素子では、更に、第1電極に反射層を兼ねさせると共に第2電極を透明導電膜あるいは発光層で発生した光に対して半透過性の金属薄膜とし、発光層で発生した光を第2電極側から取り出すことにより開口率を向上させる場合がある。この場合、光を効率良く取り出すためには第2電極を薄くすることが望ましいが、同時に第2電極の電気抵抗が高くなって電圧降下が発生し、画面内で輝度のばらつきが生じてしまうおそれがある。そのため、有機発光素子間に低抵抗の補助配線を設け、この補助配線と第2電極とを電気的に接続することが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平10−153967号公報
特開2003−17248号公報
特開2001−195008号公報
しかしながら、従来の高分子材料を用いた有機発光素子の製造方法では、基板の略全面に正孔輸送層が形成されるので、補助配線と第2電極との間に正孔輸送層が介在してしまい、補助配線と第2電極との十分な電気的導通が得られないという問題があった。また、正孔輸送層の材料として一般的に用いられているPEDOT/PSSは水溶性であるため、通常のフォトリソグラフィ技術などによりパターニングすることは困難であった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、発光強度を確保し、表示性能を向上させることができる有機発光素子の製造方法および有機発光素子並びに表示装置を提供することにある。
本発明による有機発光素子の製造方法は、第1電極と第2電極との間に正孔輸送層および発光層を含む有機層を備えると共に第2電極に電気的に接続された補助配線を備えた有機発光素子を製造するものであって、第1電極および補助配線が形成された基板の略全面に、有機層のうち少なくとも正孔輸送層を成膜したのち補助配線を覆う部分を物理的に除去するようにしたものである。補助配線を覆う部分を除去する方法としては、補助配線を覆う部分に圧子の先端部を接触させて圧子に荷重を加えながら圧子と基板との相対的位置を変化させるようにすることが好ましい。
本発明による有機発光素子は、第1電極と第2電極との間に正孔輸送層および発光層を含む有機層を備えると共に第2電極に電気的に接続された補助配線を備えたものであって、有機層のうち少なくとも正孔輸送層は、第1電極および補助配線が形成された基板の略全面に成膜したのち補助配線を覆う部分を物理的に除去することにより形成されたものである。
本発明による表示装置は、基板に複数の有機発光素子を備えたものであって、有機発光素子は、第1電極と第2電極との間に正孔輸送層および発光層を含む有機層を備えると共に第2電極に電気的に接続された補助配線を備え、有機層のうち少なくとも正孔輸送層は、第1電極および補助配線が形成された基板の略全面に成膜したのち補助配線を覆う部分を物理的に除去することにより形成されたものである。
本発明による有機発光素子の製造方法では、第1電極および補助配線が形成された基板の略全面に、有機層のうち少なくとも正孔輸送層が成膜されたのち補助配線を覆う部分が物理的に除去される。そののち、基板の略全面に第2電極が形成されることにより補助配線と第2電極とが電気的に接続される。
本発明による有機発光素子、または本発明による表示装置では、有機層のうち少なくとも正孔輸送層が、第1電極および補助配線が形成された基板の略全面に成膜したのち補助配線を覆う部分を物理的に除去することにより形成されているので、補助配線と第2電極との電気的接続が良好になり、第2電極の透過性を落とすことなく補助配線により第2電極における電圧降下が抑制されて輝度のばらつきの発生が防止される。よって、発光層で発生した光は第2電極を効率良く透過し、発光強度が確保され、表示性能が向上する。
本発明の有機発光素子の製造方法によれば、第1電極および補助配線が形成された基板の略全面に、有機層のうち少なくとも正孔輸送層を成膜したのち補助配線を覆う部分を物理的に除去するようにしたので、正孔輸送層をスピンコート法などにより基板の略全面に簡単に形成することができ、複雑な工程が不要で生産性が向上する。
本発明の有機発光素子、または本発明の表示装置によれば、有機層のうち少なくとも正孔輸送層が、第1電極および補助配線が形成された基板の略全面に成膜したのち補助配線を覆う部分を物理的に除去することにより形成されているので、補助配線と第2電極との良好な電気的接続を得ることができ、第2電極の透過性を落とすことなく補助配線により第2電極における電圧降下を抑制して輝度のばらつきの発生を防止することができる。よって、発光層で発生した光を第2電極側から効率良く取り出し、発光強度を確保し、表示性能を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る有機発光素子を用いた表示装置の断面構造を表すものである。この表示装置は、極薄型の有機電界発光カラーディスプレイ装置などとして用いられるものであり、例えば、基板11と封止用基板21とが対向配置され、熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂よりなる接着層30により全面が貼り合わされている。基板11は、ガラスなどの絶縁材料により構成され、赤色の光を発生する有機発光素子10Rと、緑色の光を発生する有機発光素子10Gと、青色の光を発生する有機発光素子10Bとが、図2に示したように順に全体としてマトリクス状に設けられている。有機発光素子10R,10G,10Bは、それぞれ一つのサブピクセルに対応し、隣接する三つの有機発光素子10R,10G,10Bにより一つの画素が形成されている。
TFT12は、有機発光素子10R,10G,10Bの各々に対応する能動素子であり、有機発光素子10R,10G,10Bはアクティブマトリクス方式により駆動されるようになっている。TFT12のゲート電極(図示せず)は、図示しない走査回路に接続され、ソースおよびドレイン(いずれも図示せず)は、例えば酸化シリコンあるいはPSG(Phospho-Silicate Glass)などよりなる層間絶縁膜12Aを介して設けられた配線12Bに接続されている。配線12Bは、層間絶縁膜12Aに設けられた図示しない接続孔を介してTFT12のソースおよびドレインに接続され、信号線として用いられる。配線12Bは、例えばアルミニウム(Al)もしくはアルミニウム(Al)―銅(Cu)合金により構成されている。なお、TFT12の構成は、特に限定されず、例えば、ボトムゲート型でもトップゲート型でもよい。
平坦化層13は、TFT12が形成された基板11の表面を平坦化し、有機発光素子10R,10G,10Bの各層の膜厚を均一に形成するためのものである。平坦化層13には、有機発光素子10R,10G,10Bの第1電極14と配線12Bとを接続する接続孔13Aが設けられている。平坦化層13は、微細な接続孔13Aが形成されるため、パターン精度が良い材料により構成されていることが好ましい。平坦化層13の材料としては、ポリイミド等の有機材料、あるいは酸化シリコン(SiO2 )などの無機材料を用いることができる。
有機発光素子10R,10G,10Bは、例えば、基板11の側から、TFT12および平坦化膜13を介して、陽極としての第1電極14、絶縁層15、補助配線16、有機層17、および陰極としての第2電極18がこの順に積層された構造とされている。本実施の形態では、第1電極14は個々の有機発光素子10R,10G,10Bに対応する個別電極として基板11にマトリクス状に配置されており、第2電極18は、すべての有機発光素子10R,10G,10Bの共通電極として形成されている。第2電極18の上には、必要に応じて保護膜19が設けられている。
第1電極14は、反射層としての機能も兼ねており、できるだけ高い反射率を有するようにすることが発光効率を高める上で望ましい。例えば、第1電極14を構成する材料としては、白金(Pt),金(Au),銀(Ag),クロム(Cr)あるいはタングステン(W)などの金属元素の単体または合金が挙げられ、第1電極14の積層方向の厚み(以下、単に厚みと言う)は100nm以上300nm以下とされることが好ましい。
絶縁層15は、第1電極14と第2電極17との絶縁性を確保するとともに有機発光素子10R,10G,10Bの発光領域の形状を正確に所望の形状にするためのものである。絶縁層15は親水性の材料により構成され、あるいは、絶縁層15は疎水性の材料により構成されると共にその表面の疎水性が抑制されていることが好ましい。後述する正孔輸送層17Aは水溶性のポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)により構成されているので、絶縁層15の表面と正孔輸送層17Aとがなじみやすくなり、正孔輸送層17Aの膜厚分布を小さくすることができるからである。親水性の材料としては、例えば、水酸基,カルボキシル基,アミノ基,ケトン基あるいはスルホ基を含むポリイミド系材料が好ましく、例えば東レ社製「フォトニースシリーズ(登録商標)」あるいは日本ゼオン社製「ZPN2000シリーズ(商品名)」が挙げられる。また、疎水性の材料としては、例えば、ポリイミド系材料が挙げられる。「表面の疎水性が抑制されている」とは、疎水性の材料よりなる絶縁層15の表面が親水化され、あるいは活性化されていることをいう。絶縁層15の表面の疎水性を抑制する方法としては、例えば酸素プラズマ照射が挙げられる。絶縁層15の厚みは例えば600nm程度とされ、発光領域(すなわち第1電極14の各々)に対応して開口部15Aが設けられている。
補助配線16は、図示しない電源と個々の有機発光素子10R,10G,10Bとの間の配線抵抗を均一化し、電圧降下の差による発光むら(特に,画面内の中央部と周縁部との間の発光むら)の発生を抑制するためのものであり、例えば、アルミニウム(Al)あるいはクロム(Cr)のような低抵抗の導電性材料を単層あるいは積層構造としたものにより構成されている。補助配線16は、絶縁層15の上に、第1電極14の行間および列間の領域に設けられ、第2電極18に電気的に接続されている。補助配線16の端部は、基板11の周辺部において、有機発光素子10R,10G,10Bが設けられた領域を取り囲むように形成された図示しない母線に接続されている。
有機層17は、正孔輸送層17Aおよび発光層17Bが第1電極14の側からこの順に積層された構造を有し、発光層17Bで発生した光は第2電極18の側から取り出されるようになっている。正孔輸送層17Aは発光層17Bへの正孔注入効率を高めるためのものである。発光層17Bは、電界をかけることにより電子と正孔との再結合が起こり、光を発生するものであり、電子輸送層を兼ねている。正孔輸送層17Aおよび発光層17Bの合計厚みは、例えば15nm以上100nm以下とすることが好ましい。
正孔輸送層17Aは、例えばPEDOT/PSSにより構成されている。この正孔輸送層17Aは、後述するように、第1電極14および補助配線16が形成された基板11の略全面に成膜したのち補助配線16を覆う部分を物理的に除去することにより形成されている。
有機発光素子10Rの発光層17Bは、例えば化1に示したポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレン(MEH−PPV)などの高分子有機発光材料により構成されている。なお、高分子材料とは、分子量10000以上のものである。
有機発光素子10Gの発光層17Bは、例えば化2に示したポリパラフェニレンビニレン(PPV)などの高分子有機発光材料により構成されている。
青色発光素子10Bの発光層17Bは、例えば化3に示したポリビニルカルバゾールなどの高分子有機発光材料により構成されている。
第2電極18は、発光層17Bで発生した光に対して半透過性を有し、発光層17Bで発生した光を第2電極18側から取り出すようになっている。第2電極18は、例えば、厚みが5nm以上50nm以下であり、アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ナトリウム(Na)などの金属元素の単体または合金により構成されている。中でも、マグネシウムと銀との合金(Mg−Ag合金)が好ましい。
保護膜19は、透明誘電体からなるパッシベーション膜である。保護膜19は、例えば、厚みが2μmであり、窒化シリコン(SiN)により構成されている。
封止用基板21は、基板11の第2電極18の側に位置しており、接着層30と共に有機発光素子10R,10G,10Bを封止している。封止用基板21は、有機発光素子10R,10G,10Bで発生した光に対して透明なガラスなどの材料により構成されている。封止用基板21には、例えば、カラーフィルタ22が設けられており、有機発光素子10R,10G,10Bで発生した光を取り出すと共に、有機発光素子10R,10G,10B並びにその間の配線において反射された外光を吸収し、コントラストを改善するようになっている。
カラーフィルタ22は、封止用基板21のどちら側の面に設けられてもよいが、基板11の側に設けられることが好ましい。カラーフィルタ22が表面に露出せず、接着層30により保護することができるからである。カラーフィルタ22は、赤色フィルタ22R,緑色フィルタ22Gおよび青色フィルタ22Bを有しており、有機発光素子10R,10G,10Bに対応して順に配置されている。
赤色フィルタ22R,緑色フィルタ22Gおよび青色フィルタ22Bは、それぞれ例えば矩形形状で隙間なく形成されている。これら赤色フィルタ22R,緑色フィルタ22Gおよび青色フィルタ22Bは、顔料を混入した樹脂によりそれぞれ構成されており、顔料を選択することにより、目的とする赤,緑あるいは青の波長域における光透過率が高く、他の波長域における光透過率が低くなるように調整されている。
この有機発光素子10R,10G,10Bを備えた表示装置は、例えば、次のようにして製造することができる。
図3ないし図11は、この表示装置の製造方法を工程順に表すものである。まず、図3(A)に示したように、上述した材料よりなる基板11の上に、TFT12,層間絶縁膜12Aおよび配線12Bを形成する。
次に、図3(B)に示したように、基板11の全面に、例えばスピンコート法により上述した材料よりなる平坦化層13を形成し、露光および現像により平坦化層13を所定の形状にパターニングすると共に接続孔13Aを形成する。
続いて、図4(A)に示したように、平坦化層13の上に、例えば、上述した厚みおよび材料よりなる第1電極14を形成する。
そののち、図4(B)に示したように、基板11の全面にわたり、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition ;化学的気相成長)法により絶縁層15を上述した厚みで成膜し、例えばリソグラフィ技術を用いて絶縁層15のうち発光領域に対応する部分を選択的に除去し開口部15Aを形成する。
続いて、図5(A)に示したように、絶縁膜15の上に、例えばスパッタリング法およびリソグラフィ技術を用いて、上述した材料よりなる補助配線16を形成する。
そののち、図5(B)に示したように、PEDOT/PSSを例えば3%含む正孔輸送層原料溶液を作製し、この正孔輸送層原料溶液を、基板11の略全面に、例えば回転数4000rpmでスピンコート法により塗布したのち、例えば120℃で10分間加熱して乾燥させることにより、正孔輸送層17Aを成膜する。
続いて、図6に示した加工装置により、正孔輸送層17Aの補助配線16を覆う部分を物理的に除去する。この加工装置は、基板11が載置されるX−Yステージ41と、圧子42とが対向配置されている。圧子42は、支持アーム43の一端に設けられ、支点44において支持部45に支持されている。支持アーム43の他端には、圧子42に加えられる荷重を調整する荷重調整用バランスウェイト46が設けられている。X−Yステージ41および支持部45は、基台47上に配置されている。
図7は、図6に示した圧子42を拡大して表すものである。圧子42の先端部42Aは、例えば半径0.15mmの球面状とされていることが好ましい。補助配線16に損傷を与えるおそれがないからである。そのほか、図8に示したような台形形状であってもよい。その場合、先端部42Aの底面42Bは完全に平坦であることが望ましい。
圧子42の先端部42Aの構成材料としては、例えばダイヤモンドが挙げられるが、ダイヤモンドのみには限定されず、適当な硬度を有するものであればよく、サファイアなどの硬質無機材料または工具鋼などでもよい。
この加工装置では、図9に示すように、正孔輸送層17Aの補助配線16を覆う部分に圧子42の先端部42Aを接触させて圧子42に例えば2gの荷重を加えながら、X−Yステージ41により基板11を例えば0.5mm/sの速度で移動させて圧子42と基板11との相対的位置を変化させる。有機材料よりなる正孔輸送層17Aは金属よりなる補助配線16に比べて軟らかいため、圧子42に加える荷重を適当に調整することにより正孔輸送層17Aのみを除去することができる。これにより、正孔輸送層17Aの補助配線16を覆う部分が、例えば10μmの幅で物理的に除去され、補助配線16の上面が露出する。正孔輸送層17Aが除去される幅は、圧子42の先端部42Aの半径、圧子42に加える荷重、またはX−Yステージ41の移動速度などにより適切に調節することが可能である。
このとき、加工時間を短縮するため、圧子42を往復させながら正孔輸送層17Aの補助配線16を覆う部分を除去するようにしてもよい。
なお、正孔輸送層17Aの補助配線16を覆う部分を除去したのち、補助配線16の両側および基板11の端部において、正孔輸送層17Aに極めて微小な盛り上がりが形成される場合があるが、この盛り上がりは発光領域の外側なので表示性能に悪影響を及ぼすおそれはない。
このようにして正孔輸送層17Aの補助配線16を覆う部分を物理的に除去したのち、必要に応じて洗浄を行ってもよい。このときの洗浄液としては、水溶性のPEDOT/PSSよりなる正孔輸送層17Aに悪影響を与えないように、水溶性でないものを用いることが好ましく、例えばフッ素系のものを使用することが好ましい。
続いて、図10に示したように、例えば特許文献1記載のインクジェット法または特許文献2記載の凸版反転オフセット法により、発光層17Bを形成する。これにより、正孔輸送層17Aと発光層17Bとを含む有機層17が形成される。
有機層17を形成したのち、図11に示したように、基板11の全面に、例えば真空蒸着法により、Mg−Ag合金よりなる第2電極18を形成する。このとき、正孔輸送層17Aの補助配線16を覆う部分が除去されているので、補助配線16と第2電極18とが電気的に接続される。そののち、図12に示したように、第2電極17の上に、必要に応じて例えばプラズマCVD法により、上述した厚みおよび材料よりなる保護膜19を形成する。
また、図13(A)に示したように、例えば、上述した材料よりなる封止用基板21の上に、赤色フィルタ22Rの材料をスピンコートなどにより塗布し、フォトリソグラフィ技術によりパターニングして焼成することにより赤色フィルタ22Rを形成する。続いて、図13(B)に示したように、赤色フィルタ22Rと同様にして、青色フィルタ22Bおよび緑色フィルタ22Gを順次形成する。
そののち、図1に示したように、基板11と封止用基板21とを接着層30を介して貼り合わせる。以上により、図1に示した表示装置が完成する。
この表示装置では、第1電極14と第2電極18との間に所定の電圧が印加されると、発光層17Bに電流が注入され、正孔と電子とが再結合することにより、発光が起こる。この光は、第2電極18および封止用基板21を透過して取り出される。このとき、正孔輸送層17Aが、基板11の略全面に成膜したのち補助配線16を覆う部分を物理的に除去することにより形成されているので、補助配線16と第2電極18との電気的接続が良好になり、第2電極18の透過性を落とすことなく補助配線16により第2電極18における電圧降下が抑制されて輝度のばらつきの発生が防止される。よって、発光層17Bで発生した光は第2電極18を効率良く透過し、発光強度が確保され、表示性能が向上する。
このように本実施の形態では、第1電極14および補助配線16が形成された基板11の略全面に、正孔輸送層17Aを成膜したのち補助配線16を覆う部分を物理的に除去するようにしたので、正孔輸送層17Aをスピンコート法などにより基板11の略全面に簡単に形成することができ、複雑な工程が不要で生産性が向上する。
また、本実施の形態では、正孔輸送層17Aが、第1電極14および補助配線16が形成された基板11の略全面に成膜したのち補助配線16を覆う部分を物理的に除去することにより形成されているので、補助配線16と第2電極18との良好な電気的接続を得ることができ、第2電極18の透過性を落とすことなく補助配線16により第2電極18における電圧降下を抑制して輝度のばらつきの発生を防止することができる。よって、発光層17Bで発生した光を第2電極18側から効率良く取り出し、発光強度を確保し、表示性能を向上させることができる。
(変形例)
図14は、本発明の変形例に係る有機発光素子を用いた表示装置の断面構造を表すものである。この表示装置は、基板11に、白色の光を発生する有機発光素子10Wがマトリクス状に設けられていることを除いては、上記実施の形態で説明した表示装置と同一である。よって、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
図14は、本発明の変形例に係る有機発光素子を用いた表示装置の断面構造を表すものである。この表示装置は、基板11に、白色の光を発生する有機発光素子10Wがマトリクス状に設けられていることを除いては、上記実施の形態で説明した表示装置と同一である。よって、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
有機発光素子10Wは、白色発光用の発光層17Wを備え、カラーフィルタ22により3原色の表示を行うようになっている。発光層17Wは、例えば、白色発光材料よりなる単層構造の発光層でもよいし、2種類以上の白色以外の発光層を積層したものでもよい。
この表示装置は、例えば、次のようにして製造することができる。
図15ないし図17は、この表示装置の製造方法を工程順に表すものである。まず、図3(A)ないし図5(A)に示した工程により、上述した材料よりなる基板11の上に、TFT12,平坦化層13,第1電極14,絶縁層15および補助配線16を形成する。
そののち、図5(B)に示した工程により、PEDOT/PSSを例えば3%含む正孔輸送層原料溶液を作製し、この正孔輸送層原料溶液を、基板11の略全面に、例えば回転数4000rpmでスピンコート法により塗布したのち、例えば120℃で10分間加熱して乾燥させることにより、正孔輸送層17Aを成膜する。
続いて、図15に示したように、正孔輸送層17Aの上に、例えばスピンコート法により、発光層17Wを成膜する。
そののち、図6に示した加工装置により、図16に示したように、正孔輸送層17Aおよび発光層17Wの補助配線16を覆う部分を物理的に除去する。このとき、発光層17Wが多層構造であっても正孔輸送層17Aおよび発光層17Wの補助配線16を覆う部分を一括して除去することが可能であり、加工時間が更に短縮される。
続いて、図17に示したように、基板11の全面に、例えば真空蒸着法により、Mg−Ag合金よりなる第2電極18を形成する。このとき、正孔輸送層17Aおよび発光層17Wの補助配線16を覆う部分が除去されているので、補助配線16と第2電極18とが電気的に接続される。そののち、図12に示した工程により、第2電極17の上に、必要に応じて例えばプラズマCVD法により、上述した厚みおよび材料よりなる保護膜19を形成する。
保護膜19を形成したのち、基板11と封止用基板21とを接着層30を介して貼り合わせる。以上により、図14に示した表示装置が完成する。
この表示装置では、第1電極14と第2電極18との間に所定の電圧が印加されると、発光層17Wに電流が注入され、正孔と電子とが再結合することにより、発光が起こる。この光は、第2電極18を透過し、カラーフィルタ22により3原色の光として封止用基板21を透過して取り出される。このとき、正孔輸送層17Aおよび発光層17Bが、基板11の略全面に成膜したのち補助配線16を覆う部分を物理的に除去することにより形成されているので、補助配線16と第2電極18との電気的接続が良好になり、第2電極18の透過性を落とすことなく補助配線16により第2電極18における電圧降下が抑制されて輝度のばらつきの発生が防止される。よって、発光層17Wで発生した光は第2電極18を効率良く透過し、発光強度が確保され、表示性能が向上する。
このように本変形例では、正孔輸送層17Aだけでなく発光層17Wについても、第1電極14および補助配線16が形成された基板11の略全面に成膜したのち、補助配線16を覆う部分を物理的に除去するようにしたので、加工時間を更に短縮することができる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、加工装置の構成を具体的に挙げて説明したが、加工装置は、圧子42に適切な荷重を加えながら移動させることのできる構成であればよく、上記実施の形態に限定されない。
また、例えば、上記実施の形態では、加工装置が圧子42を一つ備えた場合について説明したが、加工時間を短縮するため、図18に示したように、支持アーム43の先端に、支持アーム43に直交するように支持梁43Aを設け、この支持梁43Aに複数の圧子42を取り付けるようにしてもよい。
更に、例えば、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
加えて、上記実施の形態においては、有機層17が正孔輸送層17Aおよび発光層17Bの2層構造を有する場合について説明したが、正孔輸送層,発光層および電子輸送層の3層構造など、他の構造を有していてもよい。
更にまた、上記変形例においても、有機層17は、正孔輸送層17A、発光層17Wおよび電子輸送層の3層構造など、他の構造を有していてもよい。この場合、有機層17の構造にかかわらず、有機層17のすべての層を成膜したのち補助配線16を覆う部分を一括して除去することが可能である。
更にまた、上記実施の形態では、補助配線16を第1電極14の行間および列間の領域に設けた場合について説明したが、補助配線16は、第1電極14の行間または列間のいずれか一方のみに設けられていてもよい。
加えてまた、例えば、上記実施の形態では、第1電極14を陽極、第2電極18を陰極とする場合について説明したが、陽極および陰極を逆にして、第1電極14を陰極、第2電極18を陽極としてもよい。
更にまた、上記実施の形態では、有機発光素子10R,10G,10Bの構成を具体的に挙げて説明したが、全ての層を備える必要はなく、また、他の層を更に備えていてもよい。例えば、第1電極14と有機層17との間に、酸化クロム(III)(Cr2 O3 ),ITOなどからなる正孔注入用薄膜層を備えていてもよい。例えば第1電極14を、誘電体多層膜またはアルミニウムなどの反射膜の上部に透明導電膜を積層した2層構造とすることもできる。
加えてまた、上記実施の形態では、第2電極18がMg−Ag合金により構成された単層構造の場合について説明したが、第2電極18は、例えばフッ化リチウム(LiF)よりなる電子注入層とMg−Ag合金よりなる半透過性電極とが第1電極14の側から順に積層された構造を有してもよい。また、第2電極18は、電子注入層と半透過性電極とITOなどよりなる透明電極とが第1電極14の側から順に積層された構成を有していてもよい。
更にまた、上記実施の形態では、フルカラー表示装置の場合について説明したが、本発明は、単色の表示装置の場合にも適用可能である。
10R,10G,10B,10W…有機発光素子、11…基板、12…TFT、13…平坦化膜、14…第1電極、15…絶縁層、16…補助配線、17…有機層、17A…正孔輸送層、17B,17W…発光層、18…第2電極、21…封止用基板、30…接着層、42…圧子、42A…先端部
Claims (8)
- 第1電極と第2電極との間に正孔輸送層および発光層を含む有機層を備えると共に前記第2電極に電気的に接続された補助配線を備えた有機発光素子の製造方法であって、
前記第1電極および前記補助配線が形成された基板の略全面に、前記有機層のうち少なくとも正孔輸送層を成膜したのち前記補助配線を覆う部分を物理的に除去する
ことを特徴とする有機発光素子の製造方法。 - 前記補助配線を覆う部分に圧子の先端部を接触させて前記圧子に荷重を加えながら前記圧子と前記基板との相対的位置を変化させることにより、前記補助配線を覆う部分を除去する
ことを特徴とする請求項1記載の有機発光素子の製造方法。 - 前記圧子の先端部をダイヤモンドにより構成する
ことを特徴とする請求項2記載の有機発光素子の製造方法。 - 前記圧子の先端部を球面状とする
ことを特徴とする請求項2記載の有機発光素子の製造方法。 - 第1電極と第2電極との間に正孔輸送層および発光層を含む有機層を備えると共に前記第2電極に電気的に接続された補助配線を備えた有機発光素子であって、
前記有機層のうち少なくとも正孔輸送層は、前記第1電極および前記補助配線が形成された基板の略全面に成膜したのち前記補助配線を覆う部分を物理的に除去することにより形成されたものである
ことを特徴とする有機発光素子。 - 前記補助配線を覆う部分は、圧子の先端部を接触させて前記圧子に荷重を加えながら前記圧子と前記基板との相対的位置を変化させることにより除去された
ことを特徴とする請求項5記載の有機発光素子。 - 基板に複数の有機発光素子を備えた表示装置であって、
前記有機発光素子は、第1電極と第2電極との間に正孔輸送層および発光層を含む有機層を備えると共に前記第2電極に電気的に接続された補助配線を備え、
前記有機層のうち少なくとも正孔輸送層は、前記第1電極および前記補助配線が形成された基板の略全面に成膜したのち前記補助配線を覆う部分を物理的に除去することにより形成されたものである
ことを特徴とする表示装置。 - 前記補助配線を覆う部分は、圧子の先端部を接触させて前記圧子に荷重を加えながら前記圧子と前記基板との相対的位置を変化させることにより除去された
ことを特徴とする請求項7記載の表示装置。
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WO2007116806A1 (ja) * | 2006-03-31 | 2007-10-18 | Pioneer Corporation | 低抵抗基板の作製方法 |
JP2009087903A (ja) * | 2007-10-03 | 2009-04-23 | Hitachi Displays Ltd | 有機el表示装置 |
JP2016103395A (ja) * | 2014-11-28 | 2016-06-02 | 株式会社ジャパンディスプレイ | 表示装置 |
-
2003
- 2003-10-07 JP JP2003348799A patent/JP2005116330A/ja active Pending
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