JP2005114364A - 低温履歴インジケーター - Google Patents

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Abstract

【課題】 荷物の保存温度が冷凍・冷蔵に不適な高温状態になったか否かの温度履歴を検知することができ、かつ、様々な冷凍温度の条件下に保存される荷物に対しても当該検知を可能とする低温履歴インジケーターを提供する。
【解決手段】 本発明に係る低温履歴インジケーターは、密封容器1内に、氷点下において凝固した乳化液2を備え、乳化液2は昇温により水相4と油相5に相分離することを特徴としている。乳化液2は、水、脂肪酸および脂肪酸ナトリウムから構成され、前記水は、糖類又は高分子からなる添加剤を含むものが用いられる。前記脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸若しくはイノレン酸から選択される1種又は2種以上の混合物が好適である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、冷凍・冷蔵荷物の運搬に際し、荷物の保存温度が冷凍・冷蔵に不適な高温状態になったか否かの温度履歴を容易に確認できる低温インジケーターに関する。
近年、冷凍あるいは冷蔵した状態で配送される荷物が一段と増加し、これらの荷物を配達先まで予め決められた低温に保ちながら運搬する宅配便などの配送手段が広く普及しつつある。このような配達手段においては、例えば集荷元の冷凍・冷蔵施設から配送車へ荷物を積み込む場合、配送車間で荷物を積み替える場合、あるいは配送車から荷物を取り出し配達先へ配達する場合、冷凍・冷蔵状態を保つべき荷物は、直射日光による高温雰囲気や室温雰囲気に曝される場面に遭遇せざるを得ない。
また、製造後、無事に冷凍・冷蔵状態を保ちながら配達先に届けられた荷物についても、その荷物は冷凍・冷蔵状態が維持されることが求められる。例えば、荷物の中身が食品や医薬品であれば、内容物の変質や雑菌の繁殖などが発生し、その本来の品質が損なわれる恐れがあり、極端な場合は食中毒や医療事故などを誘発しかねない。このような温度管理が求められるものとしては、食品や医薬品の他に、化学関係や写真関係で用いられる各種薬品などが挙げられる。
上記温度管理が正常に行われているか否かを簡便に確認する方法として、以下に示す方法が提案されている。
(1)脂溶性色素を溶解した炭素数7〜15の高級アルコールの1種または2種以上を非イオン系界面活性剤および水によって乳化してなる乳化液を密封容器に充填してなる保存温度管理用インデイケーターが開示されている(特許文献1:ミドリ十字)。かかる構成によれば、通常の温度条件下では、乳化液は外観上は色素の色調が抑えられ、不透明な乳白色を呈する。乳化液が氷結する温度以下にすると、一旦はそのまま全成分が凝固し、再び融解したとき、粗大化した乳化粒子は浮上し、色素の濃い色調を有した油滴または油層が上層へ浮上し、水層と油滴または油層とに分離される。よって、このような変化が認められたインデイケーターを含む包装内の物品は劣化している恐れがあるとして使用時に注意を促すことができる。
(2)ポリオレフィン・フィルムおよび水溶性染料を含有する白色系油性インキを印刷したポリオレフィン・フィルムの間に、寒天水性ゲルを含浸したポリオレフィン不織布、さらに必要に応じてポリオレフィン不織布を重ね、周辺を接着して得られる構造を特徴とする冷凍食品の温度表示用シートが開示されている(特許文献2:東洋インキ)。この構造を採ることにより、冷凍操作以前においては、水溶性染料は白色系油性インキ中に含有され発色しないが、一旦冷凍された後、内容物の温度が解凍される温度に上昇するとき、不織布の微細な孔を通して浸出する水によって、前記の水溶性染料が溶解して白色系油性インキ印刷面が着色して、温度表示用シートを貼付した物品の温度変化を指示することができる。
(3)基材シートの片面に有機キレート発色剤を有する粘着剤層を設けた第一ラベル用シート、他の基材シートの片面に前記有機キレート発色剤と反応して発色し得る金属化合物を有する粘着剤層を設けた第二ラベル用シート、及び、第一ラベル用シートの粘着剤層と第二ラベル用シートの粘着剤層との間に配される多孔質シートからなり、第一ラベル用シートの粘着剤層、第二ラベル用シートの粘着剤層及び多孔質シートの少なくとも1つに温度制御剤を含有させたことを特徴とする温度管理ラベルが開示されている(特許文献3:リンテック)。かかる構成によると、所望の温度になると温度制御剤が流動し、その流動に伴って有機キレート発色剤又は金属化合物を多孔質シート内を移動させてお互いに接触させ、反応させて不可逆的に発色させ、その発色を検知することにより、この温度管理ラベルを貼付した物品の保存温度が所定温度以上になったか否かの温度履歴を検知することができる。
上述した従来の方法には、以下に示すような課題があった。
第一には、近年、環境ホルモンであることが知られてきている、非イオン性界面活性剤を使用することから、食品や医薬品などに貼付して用いる場合、その安全性を確保することが難しい。
第二には、高級アルコールを用いているため、誤って漏洩した場合には、悪臭が発生することから、特に食品分野での使用は望ましくない。
第三には、有機キレート発色剤又は金属化合物を多孔質シート内を移動させてお互いに接触させ、反応させて不可逆的に発色させる方法においては固体である多孔質シートが必須構成のため、外力が加わった際にその構造が損なわれる恐れがあり、搬送中の物品に貼付する際にはその取り扱いに注意を要する。また、使用前に貼り合わせる必要があることから、取り扱いの自由度が狭い。
特開昭57−37227号公報 特開平7−49656号公報 特開平7−286914号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、外部環境への影響が小さく安全な物質を使用し、荷物の保存温度が冷凍・冷蔵に不適な高温状態になったか否かの温度履歴を検知することができ、かつ、外力に影響されにくい構成を備えてなる低温履歴インジケーターを提供することを目的とする。
本発明に係る低温履歴インジケーターは、密封容器内に、氷点下において凝固した乳化液を備え、前記乳化液は昇温により相分離する低温履歴インジケーターであって、前記乳化液は、水、脂肪酸および脂肪酸ナトリウムから構成され、前記水は、糖類又は高分子からなる添加剤を含むことを特徴としている。
かかる構成の低温履歴インジケーターであれば、外部と遮断された空間を有する密封容器内に、雰囲気あるいは貼付された荷物の温度が氷点下にあるとき凝固した状態を維持する不透明な乳化液が配されており、この乳化液は氷点を越えるような温度域に昇温した際には、乳化状態から分離状態に相変化し、不透明な油相と透明な水相に分かれる、いわゆる相分離を起こす。
ゆえに、このような状態変化、すなわち油相と水相に区分された状態あるいは発色を検知することにより、この低温履歴インジケーターを貼付した物品の保存温度が氷点を越えるような温度以上になったか否かの温度履歴を容易かつ確実に検知することができる。
また、前記水は糖類又は高分子からなる添加剤を含む構成としたので、様々な冷凍温度の条件下に保存される荷物に対しても、荷物の保存温度が冷凍・冷蔵に不適な高温状態になったか否かの温度履歴を検知することが可能となる。その際、添加剤の添加量を変えることにより、前記乳化液の氷点を細かく調整できる。
前記乳化液は、水、脂肪酸および脂肪酸ナトリウムから構成されているものが好ましい。脂肪酸とは、カルボキシル基(COOH)を1個もつ鎖式化合物、すなわち鎖式モノカルボン酸の総称である。低級の(炭素数の少ない)脂肪酸は刺激臭と酸味をもち水に可溶であるが、高級の(炭素数の多い)脂肪酸は不溶となる傾向をもつ。これら3者の割合や、脂肪酸および脂肪酸ナトリウムの材料を適宜選択することにより、保存温度が氷点を越えて上記相分離が生じる温度や、上記相分離の変化が開始されるまでの時間などを調整することができるので、物品の保管状態や運搬形態に合わせた低温履歴インジケーターの提供が可能となる。
前記脂肪酸としては、例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ヘプタン酸、オクタン酸などが挙げられる。中でも、オレイン酸、リノール酸若しくはリノレン酸から選択される1種又は2種以上の混合物が好適である。オレイン酸、リノール酸若しくはリノレン酸を用いた場合、仮にこれらが密封容器から外部に漏洩したとしても、周囲に強い悪臭等を放つことが無いので、保管中の物品に臭いが移ったり、あるいは保管環境に影響を及ぼしてしまい、物品等の商品的な価値を損ねる恐れがないことから芳しい。
本発明に係る低温履歴インジケーターは、密封容器と、その内部に氷点下において凝固した乳化液とを備えており、前記乳化液は昇温により相分離する構成としたことにより、この低温履歴インジケーターを荷物に貼付するだけで、その荷物の保存温度が冷凍・冷蔵に不適な高温状態になったか否かの温度履歴、すなわち低温状態にあるべき荷物が所定の温度以下の条件で保管され続けたか否かを容易に検知できる。
これに加えて、前記水は糖類又は高分子からなる添加剤を含む構成としたことにより、乳化液の氷点を細かく調整できるので、様々な冷凍温度の条件下に保存される荷物に対しても、荷物の保存温度が冷凍・冷蔵に不適な高温状態になったか否かの温度履歴を検知可能となる。これは、荷物の保存温度に応じた特性を有する低温履歴インジケーターをもたらす。
よって、本発明は、製造後、様々な冷凍温度の条件下に保ちながら配達先に届けられることが求められている荷物の運搬において、その荷物の保存温度が適正な冷凍条件下に保たれていたのか、それとも不適な高温状態に曝された履歴があるのか、簡易かつ簡便に判別し、その荷物の品質を保証することに寄与する。
以下、実施の形態に基づいて本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明に係る低温履歴インジケーターの一例を示す模式的な断面図であり、図1(a)は氷点下において凝固した乳化液2が密封容器1内に収納された状態を、図1(b)は氷点下において凝固していた乳化液が昇温により相分離した状態を、それぞれ表している。相分離によって体積の変動が生じてもその影響を受けないようにするために、例えば空気などの気体3を密封容器1内に封入しておいても構わない。
本発明の低温履歴インジケーターは、密封容器1内における乳化液2の相分離を利用したものであり、氷点下において凝固した状態にあり色調が白色の乳化液2が、昇温して特定の温度(乳化液2を構成する脂肪酸及び脂肪酸ナトリウムの融点)以上にある雰囲気に暴露され続けた時、相分離し、これに応じて乳化液2が透明な水相4と不透明な油相5とに分かれる。このように相分離した状態を、例えば目視やセンサにより光学的に識別することで、この低温履歴インジケーターが貼付された荷物が、設定した以上の高温にどの程度の期間曝されたのかを判別できる。
密封容器1としては、乳化液2が相分離した様子を光学的に確認できる材質からなるものが好ましく、ガラスやプラスチックが好適である。その形態としては、例えば管状、板状、フィルム状、球状などが挙げられる。なお、相分離を確認するだけなら、水相4と油相5の境界付近のみ透明な材質とし、他は光学的に不透明な金属などを用いた構成としても構わない。
特に、可撓性のあるフィルム状のプラスチックを用いた場合は、荷物の外形に沿って貼付することができ、さらには外力が加わった際に密封容器1自身が柔軟に変形してその影響を回避することが可能なので望ましい。密封容器1を容易に荷物に貼付するため、粘着物からなる接着シートを密封容器1は備えても構わない。
また、相分離後に透明となる水相4の性質を利用する技術としては、目視あるいはセンサで水相4を確認する際に、水相4の向こう側に識別記号や文字を配置してその下地の情報を読み取ったり、または鏡面を設けることによって反射光を捉えて識別することで、相分離が生じたか否かを正確にかつ定量的に確認することも可能である。
乳化液2の乳化形態は、水中油型(水分の中に油分が均一に分散したもの:O/W型)、油中水型(油分の中に水分が均一に分散したもの:W/O型)の何れであっても良い。油相と水分の割合(油相:水相)としては、5:95〜95:5が適当であり、好ましくは40:60〜60:40の範囲が良い。
相分離して得られる水相4としては、水とこれに糖類又は高分子からなる添加剤を含むものが挙げられる。水に糖類又は高分子からなる添加剤を加えてなる水相4を用いることにより、乳化液2の氷点を調整することが可能となる。その調整は、添加剤の材料、種類および添加量などを変えることにより行われる。
糖類としては、例えば、フルクトース(果糖)やグルコース(ブドウ糖)、ガラクトース、マンノース等の単糖類、麦芽糖やショ糖、ラクトース、セルビオース等の2糖類、スタキオースやラフィノース等のオリゴ糖類、ペクチンやガラクタン、デンプン、アミロース、ブルラン、アラビアガム、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、カルボキシメツルキチン等の多糖類、が挙げられる。中でも、氷点調整の意味から分子量の分かっている、単糖類や2糖類が望ましい。
高分子としては水溶性高分子が用いられるが、例えば、アルギン酸ナトリウムや、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ゼラチン、ポリアクリル酸サミド、ポリオキシエチレンオキサイド、ポリオキシプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、イソブテン−無水マレイン酸共重合体、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルエーテル、が挙げられる。しかし、重合度が大きくなると粘性が高くなり、乳化が困難となる傾向にあることから、分子量100,000以下の高分子を使用することが好ましい。
相分離して得られる油相5としては、零度近傍または、それ以下の融点をもち、15℃程度の水(水相4)と相分離する脂肪酸が好適に用いられる。融点の異なる脂肪酸を単独または、2種以上を混合して用い、融点の制御を行っても構わない。このような脂肪酸としては、例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ヘプタン酸、オクタン酸などが挙げられる。中でも、オレイン酸、リノール酸若しくはリノレン酸から選択される1種又は2種以上の混合物が好適である。オレイン酸、リノール酸若しくはリノレン酸は無臭であることから、密封容器から外部に漏洩した際にも周囲への影響が無いので望ましい。
以下、本発明を、さらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
本例に係る乳化液は、脂肪酸であるオレイン酸と脂肪酸ナトリウムであるオレイン酸ナトリウム(オレイン酸Naとも表記)に、添加剤を含む水を加えたものを、混練装置(特殊機化工業製、T.K.ロボミックス)に入れて、例えば12000rpm、5分間、常温にて混練することにより乳化させた。ここでは、添加剤として、砂糖、ブドウ糖(以上、糖類)、エチレングリコール(高分子)、比較のためにNaCl(塩類)を用いた。
乳化液をガラス瓶に入れ、冷凍庫(−15℃)に4時間以上放置した後、室温(25℃)にて約30分放置したものの状態A(相分離の有無)を目視で観察した。また、乳化液をガラス瓶に入れ、室温で1日、1週間静置したものの状態B(相分離の有無)を目視で観察し安定性を調査した。表1にその結果を示す。表1において、○印は明確な相分離が生じたことを、△印は相分離が一部で生じたことを、×印は相分離が生じなかったことを、−印は未確認を、それぞれ表している。
Figure 2005114364
表1から、以下の点が明らかとなった。
(1)NaCl(塩類)を添加剤とした場合は、氷点下から室温へ温度が変化したとき一部で相分離は見られたが、明確な相分離は確認されなかった(試料2、3の状態A)。添加量が増えると室温放置でも相分離することが分かった(試料1の状態B)。
(2)ブドウ糖(糖類)を添加剤とした場合は、氷点下から室温へ温度が変化したとき、相分離が生じるか否かは、その添加量に依存することが分かった。添加量が少ないと明確な相分離が生じる(試料5、6)のに対して、添加量が増えると相分離は一部でのみ生じる傾向(試料7〜11)となり、さらに添加量を増やすと相分離は生じない(試料12、13)ことが確認された。室温放置した場合は、何れの添加量であっても相分離は見られなかった。(状態B)
(3)エチレングリコール(高分子)を添加剤とした場合も、糖類と同様に、氷点下から室温へ温度が変化したとき、相分離が生じるか否かは、その添加量に依存することが分かった。添加量が少ないと明確に相分離が発生し(試料14)、添加量が増えると一部で相分離する傾向を示し(試料15)、添加量が多量となると相分離は確認されなかった(試料16)。
上記(1)〜(3)に述べた結果より、氷点下から室温へ温度が変化したとき、相分離が発生し、その相分離の程度を微妙に読み取ることが可能な添加剤としては、糖類又は高分子が好ましいと判断した。
以下では、上述したブドウ糖を添加剤とした試料5〜13を用い、当初に冷凍する温度条件を−5℃、−10℃、−15℃の3種類とし、これらの異なる冷凍条件から室温へ温度が変化したとき、相分離が発生するか否かを調べた。比較のため、添加剤としてブドウ糖を添加しないもの(試料17)についても評価した。表2にその結果を示す。表2において、○印は明確な相分離が生じたことを、△印は相分離が一部で生じたことを、×印は相分離が生じなかったことを、−印は未確認を、それぞれ表している。
Figure 2005114364
表2から、以下の点が明らかとなった。
(4)ブドウ糖の添加量を増加させることにより、相分離が認められる当初に冷凍する温度が変わることが分かった。ブドウ糖の添加しなかったもの(試料17)は、何れの当初に冷凍する温度でも相分離が見られた。
(5)ブドウ糖の添加量を0.1(g)としたもの(試料5)は、当初に冷凍する温度が−10℃以下の場合にのみ相分離が確認された。ブドウ糖の添加量を1(g)としたもの(試料6)は、当初に冷凍する温度が−15℃以下の場合にのみ相分離が確認された。
(6)ブドウ糖の添加量を3(g)、5(g)としたもの(試料7,8)は、何れの当初に冷凍する温度でも、一部で相分離が生じる傾向を示した。
(7)ブドウ糖の添加量が10(g)としたもの(試料9)は、当初に冷凍する温度が−5℃の場合には相分離が発生しない。−10℃以下の場合にのみ相分離が一部で確認された。
(8)ブドウ糖の添加量を15(g)、20(g)としたもの(試料10、11)は、当初に冷凍する温度が−15℃の場合にのみ相分離が一部で確認された。
(9)ブドウ糖の添加量を25(g)、30(g)としたもの(試料12、13)は、当初に冷凍する温度が−15℃の場合でも相分離が認められなかった。
以上の結果より、水に添加する添加剤の量を変化させた乳化剤を用いれば、当初に冷凍する温度に依存して相分離する低温履歴インジケーターが得られることが分かった。例えば、試料17、5、6、3の乳化剤を用いた低温履歴インジケーターを同じ荷物に貼付することにより、荷物が如何なる冷凍条件下に保たれていたのかを正確に把握することが可能となる。
本発明に係る低温履歴インジケーターは、密封容器に収納され、氷点下において凝固した乳化液が、氷点より高い温度域まで昇温した際に相分離する現象を利用することにより、保存温度が冷凍・冷蔵に不適な高温状態になったか否かの温度履歴を視覚的に識別が容易な形態で表示できる。特に、水に糖類又は高分子からなる添加剤を加えることにより、冷凍温度を−5℃〜−15℃の範囲で異なる保存条件とした場合でも、上記温度履歴の判断を的確に行うことが可能である。
したがって、本発明の低温履歴インジケーターを、製造後、冷凍・冷蔵状態を保ちながら配達先に届けられることが求められている荷物に貼付するだけで、運搬中に、その荷物の保存温度が如何なる冷凍条件下に保たれていたのか、それとも不適な高温状態に曝された履歴があるのか、細かく判別できる。よって、本発明はその荷物の品質を高精度に保証することが求められる医薬品などを収納した荷物の運搬業務における適正な温度管理に寄与する。
本発明に係る低温履歴インジケーターの一例を示す模式的な断面図である。
符号の説明
1 密封容器、2 乳化液、3 気体、4 水相、5 油相。

Claims (2)

  1. 密封容器内に、氷点下において凝固した乳化液を備え、前記乳化液は昇温により相分離する低温履歴インジケーターであって、
    前記乳化液は、水、脂肪酸および脂肪酸ナトリウムから構成され、
    前記水は、糖類又は高分子からなる添加剤を含むことを特徴とする低温履歴インジケーター。
  2. 前記脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸若しくはイノレン酸から選択される1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の低温履歴インジケーター。
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