JP2005111471A - 弾性表面波を利用した加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 弾性表面波の新たな用途を提供する。
【解決手段】 圧電体基板と、該圧電体基板上に形成されたすだれ状電極と、を有する弾性表面波発生器を備え、前記圧電体基板の一部に加熱反応部が形成されている、ことを特徴とする加熱装置とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は弾性表面波を利用した装置に関する。詳しくは、弾性表面波を利用した加熱装置及びそれを使用した加熱方法などに関する。
弾性表面波(以下、「SAW」ともいう)を用いたデバイスは携帯電話やTV、VTRなどの周波数フィルタとして広く利用されている。また、ガスセンサをはじめとする各種の検出器や超音波噴霧器、インクジェット記録装置、ワイパー、液体の噴射装置などへも応用されている(特許文献1〜6)。
一方、SAWを用いると、液体を流動、飛翔あるいは霧化させることができる(非特許文献1、2)。このような現象は、SAWが励振されている間のみ生じるので、応答性がよく、様々な分野への応用が期待されている。しかし、これまでの研究では上記現象のメカニズムについて十分に検討がされていない。
特開平5−5869号公報 特開平5−34349号公報 特開平7−232114号公報 特開平8−140898号公報 特開平9−201961号公報 特開平10−193592号公報 丁野、近藤、松井、塩川、音響学会講演論文集1−Q17(2002.09) 丁野、近藤、松井、塩川、信学技報、US2002−68(2002−11) 塩川、上田、松井、信学技報US89−51
本発明は、弾性表面波の新たな用途を提供することを目的とする。
本発明者らは以上の課題に鑑み、SAW伝搬面の温度に着目し、温度と霧化現象の関係について考察した。まず、SAWデバイスを構成する圧電体基板上に水を保持させた状態と保持させない状態でSAWを発生させて基板表面温度を計測したところ、水の有無によって基板表面温度が大きく異なることが判明した。このことは、圧電体基板上に保持した水(液体)にSAWを伝搬させれば、その温度を上昇させることができることを意味する。
また、印加電圧の上昇に伴って基板表面温度が上昇する現象が認められた。これによって印加電圧によって加熱温度を制御できるものと考えられた。
さらに、圧電体基板上に保持した水が霧化する程度まで印加電圧を大きくしても、基板温度が100℃を超えることはなかった。この結果は、加熱対象を沸騰させることが好ましくない場合の加熱手段としてSAWが有効であることを示すとともに、SAWの加熱が温度安定性に優れていることを意味する。
さらに検討を進めたところ、SAWによる加熱効果は極めて短時間で得られることが判明し、瞬間的な温度上昇が必要な用途に対するSAWの利用価値の大きさが示唆された。
更には、SAWによる加熱停止後の温度低下は急峻であり、瞬時に加熱前の温度状態へと回復する現象が認められた。これにより、SAWを利用した加熱方法によれば加熱対象の迅速な昇温及び迅速な降温が可能になることが判明した。従って、温度変化を伴う一連の反応、特に周期的に(及び/又は連続的に)温度を変化させることが要求される一連の反応における加熱手段としてSAWが極めて有効であると考えられた。
本発明は以上の知見に基づいて完成されたものであって、以下の構成を提供する。
[1] 弾性表面波発生器を備える、加熱装置。
[2] 圧電体基板と、該圧電体基板上に形成されたすだれ状電極と、を有する弾性表面波発生器を備え、
前記圧電体基板の一部に加熱反応部が形成されている、ことを特徴とする加熱装置。
[3] 前記加熱反応部を挟むように、前記すだれ状電極が複数形成される、[2]に記載の加熱装置。
[4] 前記加熱反応部が、前記圧電体基板の表面に形成された凹部からなる、[2]又は[3]に記載の加熱装置。
[5] 圧電体基板と、該圧電体基板上に形成されたすだれ状電極とを有する弾性表面波発生器と、
弾性表面波を伝搬可能な材料からなり、直接又は他の弾性表面波伝搬材料を介して前記圧電体基板に接続した状態に配置される加熱反応器と、
を備える加熱装置。
[6] 圧電基板と、該圧電体基板上に形成された電極とを有し、バルク波を発生する圧電素子と、
直接又は他の伝搬材料を介して前記圧電素子に接続した状態に配置される弾性表面波伝搬基板であって、前記圧電素子が発生するバルク波が伝搬する領域に該バルク波を弾性表面波に変換する変換手段を有し、且つ生じた弾性表面波が伝播する領域に加熱反応部を有する弾性表面波伝搬基板と、
を備える加熱装置。
[7] 前記すだれ状電極へ印加する励振周波数、電圧、及び励振時間を調節する高周波入力手段を備える、[2]〜[5]のいずれかに記載の加熱装置。
[8] 前記高周波入力手段は、加熱装置が第1状態のときに第1励振周波数、第1電圧、及び第1励振時間で前記すだれ状電極に印加し、加熱装置が第2状態のときに第2励振周波数、第2電圧、及び第2励振時間で前記すだれ状電極に印加する、[7]に記載の加熱装置。
[9] 加熱装置が前記第1状態及び前記第2状態と異なる一以上の状態になることができ、各状態において前記高周波入力手段は、該状態に特有の励振周波数、電圧、及び励振時間で前記すだれ状電極に印加する、[8]に記載の加熱装置。
[10] 冷却器を更に備える、[2]〜[9]のいずれかに記載の加熱装置。
[11] 対象に弾性表面波を伝搬させる工程、を含む、前記対象を加熱する方法。
[12] 第1周波数、第1振幅、及び第1励振時間を有する第1弾性表面波を対象に伝搬させる第1工程、
前記第1工程の後に、第2周波数、第2振幅、及び第2励振時間を有する第2弾性表面波を前記対象に伝搬させる第2工程と、
を含む、前記対象を加熱する方法。
[13] 前記第1工程と前記第2工程との間に、弾性表面波を前記対象に伝播させない工程を実施する、[12]に記載の方法。
[14] 前記第2工程後に、その工程に特有の周波数、特有の振幅、及び特有の励振時間を有する弾性表面波を前記対象に伝搬させる工程を少なくとも一つ実施する、[12]又は[13]に記載の方法。
[15] 前記の一連の工程を一組として、これを連続して複数回実施する、[12]〜[14]のいずれかに記載の方法。
本発明では、弾性表面波を加熱手段とした加熱装置及び加熱方法が提供される。弾性表面波を利用して加熱することによって、液体又は液体を含む物質の温度を短時間で上昇させることが可能となる。また、弾性表面波による加熱は温度安定性に優れ、一定温度に物質を維持することも容易となる。さらに、印加電圧を調節することによって加熱温度の制御ができることから、目的に応じた加熱状態を実現できる。
一方、弾性表面波には液体を振動、流動、飛翔、又は霧化させる作用があることから、加熱と同時に液体を振動させたり、或いは流動させたりすることなどができる。したがって、例えば、本発明の加熱装置又は加熱方法をある反応の進行に利用する場合に当該反応を促進させることができる。
本発明の加熱装置は弾性表面波(SAW)発生器を備える。ここに「弾性表面波(SAW)」とは、半無限弾性体の表面に沿って、表面にエネルギーが集中した形で伝搬する波のことをいう。SAWの中でも、縦波(P波)成分と表面に垂直な変位を持つ横波(SV波)成分とを含んでいる(P+SV)形の表面波がレイリー波と呼ばれる。SAWの研究は、圧電体の上に形成されたすだれ状電極によって多彩な伝搬特性を実現できるようになったことをきっかけに全世界で盛んに行なわれるようになった。
図9aに示すようにSAW発生器は一般に圧電体基板100と、その上に形成されたすだれ状電極101とからなり、すだれ状電極101には高周波電源102が接続される。すだれ状電極に高周波電圧を印加することによって電極間に電界が発生し、弾性表面波が励振され、そして圧電体基板上を伝搬していく。ここに「圧電体」とは、歪みを加えると電界を生じ、逆に電界を加えると歪みを生ずる物質であって、圧電効果を示すタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの強誘電体や、水晶、酸化亜鉛薄膜などがその材料として用いられる。
本発明の加熱装置では、以上のようなSAW発生器によって得られるSAWを加熱対象に伝搬させることによって加熱対象中にエネルギーを放出させ、そのエネルギーを熱に変換させて加熱作用を得る(図9bを参照)。尚、本発明における用語「加熱」は、対象の物質の温度を上昇させることを意味し、用語「加温」を含む意味として用いられる。
加熱対象は特に限定されないが、好ましくは液体又は液体を含む物質である。液体としては水、各種緩衝液、化学反応用溶液、微生物や細胞などの培養に使用される培養液、半導体の製造過程で使用されるエッチング液や洗浄液などの各種処理液、溶剤、塗料などを例示できる。一方、液体を含む物質としては細胞(生体より分離されたもの、及び生体内に存在するものを含む)、組織(生体より分離されたもの、及び生体内に存在するものを含む)、ろ紙や高分子材料などの網目構造を備える材料を液体に含浸させたものや、これらの材料に細胞や組織などを保持させたものを例示できる。
本発明の加熱装置によって加熱可能な物質のサイズは特に限定されないが、例えば、数十nL〜数十mLの体積ないし容積の物質を加熱対象とすることができる。加熱対象が微量である場合には瞬時の加熱が可能となることから、好ましくは数十nL〜数百μL、さらに好ましくは数百nL〜数十μLの体積ないし容積の物質を加熱対象とする。
本発明の加熱装置ではSAWを加熱対象に伝搬させることによって加熱作用が得られることから、伝搬媒体である圧電体基板に接触した状態となるように加熱対象が置かれる。このように加熱対象が接触することとなる領域のことを本発明では「加熱反応部」と呼ぶ。加熱反応部は、圧電体基板においてSAWが伝搬する任意の領域に形成される。加熱反応部内に加熱対象を良好に保持するため、圧電体基板表面に凹部を形成し、これを加熱反応部とすることが好ましい。ここでの凹部にはピット状(図10aを参照)、溝状(図10bを参照)などが含まれるが、特にその形状は限定されない。また、その周囲を突出させることによって、圧電体基板の表面の一部が平面視コの字状に囲まれるようにし、このようにして得られたチャンバー状の領域(空間)を加熱反応部としてもよい(図10cを参照)。尚、加熱反応部を複数設けても良い。
圧電体基板上に、金属やろ紙、或いは親水性ポリマーなどで被覆された領域を設け、当該領域を加熱反応部とすることもできる。例えば、圧電基板上に、平面視が円形となるように金からなる薄膜を形成し、この薄膜上を加熱反応部とする。このような加熱反応部は液体に対する親和性が高くなり、加熱対象を良好に保持可能となる。
ここで、圧電体基板上に複数のすだれ状電極を形成し、各すだれ状電極によって発生するSAWが加熱反応部に伝搬するように構成することが好ましい。このような構成では複数のSAWによる効率的な加熱が達成されることは勿論のこと、加熱対象が複数のSAWによって挟まれることとなり、加熱中に加熱対象が移動することを防止できる。典型的な例としては、すだれ状電極を二つ形成し、両者の間に挟まれる位置に加熱反応部を設ける。このような構成において各すだれ状電極より同一特性のSAWを発生させれば、左右両側よりSAWの伝搬を受けて効率的に加熱対象が加熱されるとともに、二つのSAWがそれぞれ相手の流動作用等を打ち消す状態が作られることになって加熱対象の移動を防止できる。
すだれ状電極の配置や形状は特に限定されず、加熱反応部との関係や使用目的(加熱対象)などを考慮して任意に設計することができる。尚、SAWの伝搬幅は、すだれ状電極の交差幅に依存することが知られている。したがって、加熱反応部の大きさに対応する伝搬幅のSAWが得られるように、すだれ状電極の交差幅を設計することが好ましい。
すだれ状電極には高周波電源が接続され、所定の励振周波数(例えば20 MHz〜50 MHz)の電圧が印加される。すだれ状電極に入力する高周波の制御条件(特に印加電圧と励振時間(パルス波周波数、duty比))に依存して加熱温度が変化する。換言すれば、高周波の調節(特に印加電圧と励振時間の調節)によって加熱温度を制御できる。このような高周波の調節を可能とすべく、高周波電源の動作状態を調節して所望の励振周波数、電圧、及び励振時間で印加する高周波入力手段(調節手段)を本発明の加熱装置が備えることが好ましい。このような高周波入力手段を用いて目的に応じた適切な高周波入力条件を設定するとともに、加熱温度を変化させる必要がある場合には、達成すべき加熱温度に対応する高周波入力条件へと調節する。即ち、加熱温度を考慮して高周波入力条件を設定する。具体的には例えば、加熱装置が第1状態のときに所定の高周波がすだれ状電極に入力されるように、また加熱装置が第2状態のときに所定の高周波(第1高周波と特性が異なる高周波)がすだれ状電極に入力されるように、高周波入力手段は励振周波数、電圧、及び励振時間を制御する。このような制御によれば、加熱装置が第1状態のときにはその状態に特有の高周波入力に応じた弾性表面波(第1周波数、第1振幅、及び第1励振時間を有する第1弾性表面波)が発生して加熱対象に伝搬し、同様に加熱装置が第2状態のときにもその状態に特有の高周波入力に応じた弾性表面波(第2周波数、第2振幅、及び第2励振時間を有する第2弾性表面波)が発生し加熱対象に伝播する。尚、典型的には、弾性表面波を規定する周波数としては中心周波数が用いられ、振幅としては最大変位が用いられる。
弾性表面波による加熱では、その到達温度(加熱温度)は弾性表面波の励振特性に依存する。従って、上記のように高周波入力を制御して二種類の弾性表面波を加熱対象に伝搬させれば、異なる温度条件の二つの加熱工程(第1工程及び第2工程)が実施されることとなる。
弾性表面波の特性は、それを発生させる際の条件(基板材料や電極形状(対数、交差幅など)、高周波入力条件(励振周波数、電圧、励振時間(パルス周波数、duty比))などによって規定される。換言すれば、これらの条件を適宜設定することにより所望特性の弾性表面波を発生させることができる。
以上の二つの加熱工程の間に、加熱対象に弾性表面波を所定時間伝搬させない工程を実施するように制御してもよい。このような制御によれば第1工程の後、加熱対象は迅速に降温する。従って、第1工程として高温度の加熱を実施し、第2工程として第1工程よりも低温度の加熱を実施する場合に、第1工程から第2工程への移行がより迅速に進む。これによって全体の加熱時間(反応時間)の短縮化を達成できる。
三以上の状態を採ることができるように本発明の加熱装置を構成することもできる。この場合、高周波入力手段は、各状態のときに当該状態に特有の高周波入力条件となるように周波数、電圧、及び励振時間を制御する。原則として各状態の高周波入力条件は他の状態の高周波入力条件と相違するが、複数の状態間(例えば、二つの状態間や三つの状態間)において高周波入力条件が一致することを妨げない。各状態の高周波入力条件は、その状態において期待される加熱効果を考慮して設定することができる。
以上の各工程ではそれぞれ、所望の加熱状態が得られるように特有の弾性表面波による加熱が所定時間実施される。典型的には、各工程において特有の弾性表面波を連続的に加熱対象に伝搬させる。但し、弾性表面波を間欠的に加熱対象に伝搬させてもよい。
以上のように、高周波入力を調節する機構を備えることによって加熱温度の制御が行なえることとなり、加熱温度を変化させる必要のある用途(例えば、温度条件の変化を伴う一連の反応)に対して好適な加熱装置(或いは反応装置)となる。
本発明の用途の具体例としては、核酸増幅反応(例えばPCR(Porimerase chain reaction)法やその変法(アレル特異的PCRや非対称PCRなど)あるいはそれを利用した方法(PCR-SSCP法など))を挙げることができる。核酸増幅反応の代表であるPCRは、94℃付近の温度条件によるDNA変性、約45℃〜約65℃の温度条件によるプライマーとのアニーリング、72℃付近の温度条件によるポリメラーゼ伸長反応を一サイクルとし、これを繰り返し行う(通常数十サイクル)。このようにPCRでは周期的に温度条件を変化させる必要があり、効率的な増幅を実現するためには温度条件の迅速な切換えが要求される。上述のように本発明の加熱装置は迅速な昇温及び降温を実現できることから、PCRのような周期的な温度変化を伴う一連の反応を実施することに好適に利用され得る。また、様々な加熱温度に対応でき、汎用的な加熱装置となる。本発明の加熱装置によれば、例えば約20℃〜約90℃の間で加熱温度を適宜設定できる。
以上の構成ではSAW発生器内に加熱反応部を設けることとしているが、加熱反応部をSAW発生器とは別の部材(このような加熱反応部に対応する部材のことを本明細書中では「加熱反応器」と呼ぶ)として設けてもよい。この場合には、SAWを伝搬可能な材料で形成された加熱反応器が、直接又は他の部材を介して、SAW発生器を構成する圧電基板に接続される。かかる構成では、SAW発生器で発生したSAWが加熱反応器に伝搬し、そこにおいて加熱作用を奏する。ここでのSAWを伝搬可能な材料としては、圧電体、ガラス、プラスチック、金属などを例示することができる。加熱反応器は、上述した加熱反応部に相当する領域を備える。尚、上記他の部材は、加熱反応器と同様に、SAWを伝搬可能な材料で形成される。但し、加熱反応器の形成材料と、他の部材の形成材料とは同一であっても、異なっていてもよい。
一方、圧電素子が発生したバルク波を変換して弾性表面波を得て、これを加熱源として用いることもできる。この場合には、バルク波を発生可能な圧電素子に対して、直接又は他の部材を介して、弾性表面波伝搬材料からなる加熱反応用の部材(加熱反応器)が接続される。
ここで使用される圧電素子は、バルク波が得られる限りその構成は特に限定されないが、典型的な構成では、圧電体基板を上下から挟むように、圧電基板の上下両面に金属薄膜の電極が形成される。
加熱反応器にはバルク波をSAWに変換するための変換手段が備えられる。ここでの変換手段には、典型的には、加熱反応器の表面の一部に金属材料層をストライプ状に形成することや、或いは加熱反応器の表面の一部にストライプ状の溝を形成することなど、いわゆるグレーティングが用いられる。
他の部材を介して加熱反応器を圧電素子に接続する場合には、当該他の部材においてバルク波がSAWに変換され、SAWが加熱反応器に伝搬するように構成してもよい。
バルク波を介して弾性表面波を発生させる構成を採用する場合には、弾性表面波の特性はバルク波の特性に依存するから、バルク波の特性を調節する手段(バルク波調節手段)を設けることによって二種類以上の弾性表面波を発生可能な加熱装置となる。このような機能を備える加熱装置は複数の加熱条件で加熱対象を加熱することができ、温度変化を伴う一連の反応用の加熱手段として好適なものとなる。
上述のように、SAWには液体を飛散させる作用がある。この飛散作用の結果得られる液滴のサイズは周波数に依存し、周波数が高い場合ほど液滴が小さくなることが報告されている(非特許文献3)。したがって、本発明の加熱装置を用いて液体を加熱する場合において周波数を高くすれば、飛散作用に伴って生ずる液滴のサイズが小さくなる。これとは逆に周波数を低くすれば液滴のサイズは大きくなる。このように、液体を加熱する場合には得られる液滴のサイズを周波数によって制御することが可能である。このような特性は例えば、スプレイノズルやインクジェットノズル、或いはセルソータ(細胞分離装置)など、液滴のサイズを均一化することが必要とされる用途において特に有効となる。
SAWは振動作用、流動作用、飛翔作用、霧化作用などを奏する。本発明の加熱装置では、加熱作用に加えてこれらの作用をも利用することができる。例えばある物質を、加熱すると同時に振動させたり、又は加熱すると同時に流動させたり、或いは加熱すると同時に飛翔ないし霧化させたり、更には加熱するとともに振動及び流動させたり、これに加えて飛翔ないし霧化させたりすることも、印加電圧の調節や装置設計の如何によっては可能である。
本発明の加熱装置が冷却器を更に備えていてもよい。冷却器を備えることによって、物質の加熱に加えて冷却をも行うことが可能な装置となる。このような構成は例えば、温度条件の異なる複数の反応を連続して行う必要がある方法の実施に好適なものとなる。このような方法としてはPCR(Porimerase chain reaction)法やその変法(例えばアレル特異的PCRや非対称PCR)あるいはそれを利用した方法(PCR-SSCP法など)を例示できる。
冷却器には、空冷式や水冷式など公知の方式を利用したものを採用できる。具体的にはファンを利用した冷却器やペルチェ素子を利用した冷却器などを用いることができる。
上述のように弾性表面波を利用した加熱では、弾性表面波の伝搬を停止させることによって迅速な降温効果が得られる。従って本発明の加熱装置では、以上のような冷却器に拠らずとも対象を昇温させ、そして降温させることができる。但し、例えばより迅速な冷却(降温)が必要な場合や、対象が大量などの理由によって十分な冷却(降温)作用が得られない場合には冷却器を併用することが好ましい。
本発明の加熱装置は単独で又は他の装置に組み込まれて使用される。後者の場合としては、スプレイノズルに組み込み加熱源として使用する例を挙げることができる。ここで例えば半導体の製造工程におけるエッチング処理や洗浄処理では各処理に適した温度に予め加温された処理液(エッチング液、洗浄液)がノズルを介して噴霧されるが、ノズルに到達する前に処理液が降温し、十分な効果が得られない場合が予想される。これに対して、上記のように本発明の加熱装置をノズルに組み込めばノズル部において加熱を行えることから、噴霧時の処理液の温度を適切な状態にすることが容易となる。
図1に、本発明に係る弾性表面波ヒータ(以下、「SAWヒータ」という)1の模式図を示す。SAWヒータ1は圧電体基板10、二つのすだれ状(交差指)電極20、及び加熱反応部30を備える。圧電体基板10は、128度回転Y板X伝搬ニオブ酸リチウム(128°XY-LiNbO3)製である。各すだれ状電極20は金/クロムを材料とした電極であって、加熱反応部30を左右から挟むように、圧電体基板10の表面に形成されている。尚、各すだれ状電極20と加熱反応部30との距離は等しい。
各すだれ状電極20には高周波電源40が接続される。図2に示すように高周波電源40は標準信号発生器41、マルチファンクションジェネレータ42、RFパワー増幅器43、マッチングメータ44が接続された回路を含む。
加熱反応部30は、圧電体基板10の表面に形成された、円柱状の凹部からなる。
SAWヒータ1の使用にあたっては、まず標準信号発生器41から所定の周波数の正弦波を発生させる。これに合わせてマルチファンクションジェネレータ42を用いて任意のパルス信号を発生させる。このようにして得られる二つの信号を、RFパワー増幅器43を用いてミキシング及び増幅した後、マッチングメータ44を介してすだれ状電極20に入力する。以上のようにして、すだれ状電極20にパルス変調した信号が入力されると、反圧電効果により弾性表面波(レイリー波)が励起される。レイリー波は圧電体基板10上を伝搬し、加熱反応部30へと至る。加熱反応部30に液体が保持されていると、レイリー波は漏洩レイリー波となり、液体中に縦波を放射しながら減衰する。放射された縦波によって液体中に対流がおき、その結果として液体の温度が上昇する。SAWヒータ1では、各すだれ状電極20によってレイリー波が発生する。したがって、左右両方から加熱反応部30にレイリー波が伝搬する。その結果、加熱反応部30内の液体が二つのレイリー波に挟まれる状態が形成される。これによって、加熱反応部30内の液体を加熱反応部30内に良好に保持することが可能となる。尚、各すだれ状電極20に印加する電圧を調節することによって加熱温度を制御することができる。
以上のSAWヒータ1において圧電体基板10の材料は特に限定されるものではない。例えば圧電セラミックスを用いて圧電体基板10を作製することもできる。同様に、電極材料も限定されず、金/クロム以外にもアルミニウム、銅、アルミニウム合金等を用いることができる。一方、本実施例では加熱反応部30を一つのみ形成したが、これを複数形成してもよい。また、加熱反応部の形状、大きさは図1に示したものに限定されない。
図3に他の実施例を示す。尚、上記実施例と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この例の弾性表面波ヒータ(SAWヒータ)1aでは円弧型電極(IDT)21が用いられ、これによって弾性表面波を集束し、加熱効率の向上が図られる。圧電体基板10上において弾性表面波が集中する領域は、金属(例えば金)薄膜で円形に被覆されている。SAWヒータ1aでは、この金属薄膜の上面が加熱反応部35となる。
図4にさらに他の実施例を示す。尚、上記実施例と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この例の弾性表面波ヒータ(SAWヒータ)1bでは圧電素子15、SAW伝搬基板50が使用される。圧電素子15は概略して圧電体基板16及びバルク波励振用電極22からなる。圧電体基板16の上面及び下面の実質的に全体を被覆するようにバルク波励振用電極22が形成されている。換言すれば、バルク波励振用電極22によって圧電体基板16が挟まれるような状態となっている。
SAW伝搬基板50はガラス製であって、その上面の一端領域には、金属層をストライプ状に形成してなるグレーティング51が備えられている。さらに、SAW伝搬基板50の上面において、グレーティング51が形成される側と反対側の端部領域には金属薄膜からなる加熱反応部35が形成されている。尚、図示されるように、SAW伝搬基板50は、圧電素子15に接触した状態に配置される。
SAWヒータ1bでは、高周波電源からの電圧の印加によって圧電素子15内にバルク波が発生する。このバルク波は、圧電素子15との接触面を介してSAW伝搬基板50に伝搬する。伝搬したバルク波はグレーティング51の作用によって弾性表面波(SAW)へと変換される。このようにして得られたSAWは基板表面を伝搬し、加熱反応部35へと至ることとなる。
実施例1の構成と同様の構成からなるSAWデバイスを構築し、以下の各実験を行った。但し、ここで使用したSAWデバイスにおいては、圧電体基板上に加熱反応部は形成されていない。また、標準信号発生器としてリーダー電子株式会社製の標準信号発生器3220を、マルチファンクションジェネレータとしてNF回路ブロック社製1940を、RFパワー増幅器として株式会社アールアンドケイ製A100-510を、マッチングメータとしてダイワ製CNW-319IIをそれぞれ使用した。
4−1.SAWストリーミングと発熱特性
SAWデバイスを用いてSAWストリーミングと発熱特性の関係について検討した。尚、SAWストリーミングとは、レイリー波が伝搬面上に置かれた液体内に縦波成分を放射し、それが液体内に圧力差をもたらすことで液体が流動、飛翔、霧化する現象である。
4−1(a).水の有無による基板表面温度の違い
SAWデバイスにクロメル−アルメル熱電対の先端を接触させて表面温度の計測を行った。水がない場合には熱電対をデバイス表面に直接接触させた。水がある場合、デバイス上に水を薄く保持させるためにろ紙をのせ、その上に熱電対を接触させた。
SAWデバイスへの入力電圧はパルス周波数1 kHz、Duty比50%とし、振幅を5 Vp-pから5 V間隔で変化させた。測定は電圧を印加し始めてから12秒間隔で行った。ここで水が霧化するのは、30 Vp-p、35 Vp-pの場合である。水がある場合は、霧の出始めるろ紙上の地点の温度を計測した。図5に1分後の結果を示す。図5のグラフより、水の有無によって表面温度が大きく異なっていることがわかる。また、印加電圧を水が霧化する程度まで大きくしても、温度が100℃まで上がることはなかった。このことから霧化現象は沸騰とは異なる現象であると考えられた。
4−1(b).SAW伝搬面内の温度分布の違い
SAWの伝搬方向に対して垂直な方向に、伝搬面とその周辺における温度分布を、図6のような測定方法を用いて計測した。基板上に水を保持する場合は、2 mm X 20 mmのろ紙60を用い、伝搬面全体に均一に水が保持されるようにした。印加電圧は10 Vp-p、20 Vp-p、30 Vp-pとし、パルス波1 kHzで、電圧を印加し始めてから1分後の温度を計測した。また、すだれ状電極(IDT)の中心点から左右に0.2 mmずつ、2 mmまで計測した。図7に30 Vp-pの結果を示す。図7のグラフから、基板上に水を保持した場合、伝搬面内の温度が最も高く、ほとんど一定であることが判る。また水の有無による違いを見ると、水がある場合に温度が非常に高い。このことから、伝搬面に水があると波の伝搬が遮られることでエネルギーが集中し、大きな温度上昇が生じたと考えられる。
4−2.温度上昇を伴わない霧発生
霧の発生がエネルギーの集中によるものか、それともSAWの振幅によるものかについて調べた。印加電圧を35 Vp-pに保ち、印加電圧のDuty比を75%、50%、25%、10%と変えることで、基板表面温度がどのように変化するかを計測し、同時にストリーミングの状態を観察した。計測間隔は12秒とした。図8に計測結果を示す。図8のグラフから、Duty比が大きいほど温度が高いことがわかる。またストリーミングの様子を観察したところ、Duty比を小さくすると霧の発生が弱くなった。しかし、Duty比を大きくしても霧の発生し始める電圧に変わりはなかった。このことから、霧の発生開始はSAWの励振強度によって決まるということが明らかになった。
以上の実験によって、伝搬面に水を保持することでエネルギーが集中し、基板表面温度が上がることが示された。また、SAWを用いた霧化現象は発熱によるものではなく、SAWの励振強度によるものであることが明らかとなった。Duty比によって基板温度と霧発生量が異なることから、Duty比は温度と霧化量を制御することができる。
4−3.水滴の加熱
ろ紙の代わりに水滴を伝搬面中央に置いて温度の計測を行った。片側励振では水滴が流動し温度の計測ができない。そこで、両側のすだれ状電極(IDT)よりSAWを励起した(両側励振)。また、印加電圧を大きくすると、飛翔などの現象が生じ水滴量が減少するため、20VP-P以下で測定を行った。
図11は水滴10μlのときの測定結果である。パルス周波数とDuty比はそれぞれ1kHz、50%とした。1分間入力信号を印加した。測定は12秒間隔で、印加中及びオフした後それぞれ1分ずつ計2分間行った。ろ紙を用いた場合同様、立ち上がりが急峻で、印加後約45秒で定常状態となることが分かる。また、入力信号をオフにすると初期温度に戻ることが分かる。この場合の立下りも急峻であり、この結果より、入力信号印加中のみ加熱が行われることがわかる。図11の到達温度は、図5のろ紙に水を含ませた場合よりも高い。この主な原因は両側励振にある。
次に、水滴量について検討した。水滴量が少ない場合、20VP-Pでは安定した測定ができないため、最大印加電圧を15VP-Pとした。印加電圧が15VP-Pのときの結果を図12に、5〜15VP-Pの印加1分後の液滴量に対する温度を図13に示す。これらの結果より、液適量が少ないほど温度が高くなることが分かる。しかし、同一入力電圧に対する温度差は約3度である。従って、液滴の温度は、量よりも印加電圧に大きく依存するといえる。また、図12より、液適量が少ないほど定常状態に達する時間が速いことがわかる。液適量が少ないほど、内部の熱拡散に要する時間が短いと考えると、この結果は妥当である。
以上の実験結果から、温度上昇は、入力信号を印加している間のみ生じ、信号をオフにすると初期温度に戻ることが分かり、局所的に温度を制御可能であることが明らかとなった。この現象は、例えばマイクロ流路中の一部分を加熱させることに利用可能である。
4−4.グリセリン水溶液の加熱
水と物性が異なる液体としてグリセリン水溶液を選び、濃度を変えて測定を行った。測定は、4−3.と同様、両側励振とし、伝搬面中央に液滴を載せた。印加電圧は15VP-Pとした。図14は時間に対する温度、図15は印加1分後の濃度に対する温度を示している。これらの図より、低濃度の場合、温度はほぼ水と同じであることが分かる。濃度が40wt.%以上になると、水よりも温度が高くなることが分かる。また、図14の80wt.%に対する時間応答を見ると、電圧印加1分後ではまだ定常状態に達していないことが分かる。この原因をグリセリン水溶液の物性から論じる。図15の表(R.C. West ed, "CRC Handbook of Chemistry and Physics, 60th ed.," CRC Press Inc., pp.D-239-D-240(1979))はグリセリン水溶液の濃度に対する密度と粘度を表している。表より、40wt.%を超えると、粘度が大きく増加していることが分かる。液体に放射された縦波の粘性減衰による効果が40wt.%以上だと大きくなり、その結果として温度が増加したと考えられる。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本発明の加熱装置又は加熱方法は、様々な物質の加熱に利用できる。特に、微量の物質を加熱することに好適であって、例えば、微量サンプルの反応において加熱が必要な用途(例えば、生体試料の加熱・加温)に対して有効な加熱手段となる。また、本発明の加熱装置又は加熱方法は、迅速な昇温に加えて迅速な降温を可能とすることから、温度変化を伴う一連の反応に対する有効な加熱手段となる。
一方、本発明では加熱作用に加えて、振動作用や流動作用或いは霧化作用などのSAW特有の作用を利用できることから、単に加熱するだけでなく、例えば化学反応の促進、流動化や霧化などを同時に行なうこともできる。このような特性を備える本発明は、各種の反応装置や検出装置などへもその利用が図られるものである。さらには、スプレイノズルやインクジェットノズルに組み込むことによって、スプレイ液等の加熱・加温手段として本発明を利用することもできる。
図1は、本発明の実施例である弾性表面波ヒータ1を模式的に示す斜視図である。 図2は、弾性表面波ヒータ1に使用される高周波電源40の構成を示す図である。 図3は、本発明の他の実施例である弾性表面波ヒータ1aを模式的に示す斜視図である。 図4は、本発明の他の実施例である弾性表面波ヒータ1bを模式的に示す斜視図である。 図5は、SAWデバイスの表面温度を計測した結果を表すグラフである。 図6は、SAWデバイスの基板における温度分布を測定するために採用した方法を示す図である。 図7は、図6で示した位置でSAWの伝搬方向に対して垂直な方向に、伝搬面とその周辺における温度分布を測定した結果(30 Vp-pの結果)を示すグラフである。 図8は、印加電圧のDuty比を75%、50%、25%、10%とした場合の基板表面温度をそれぞれ測定し、その測定結果をまとめたグラフである。 図9は、弾性表面波発生器の構成(a)、及びレイリー波による加熱現象(b)を模式的に示す図である。 図10は、圧電体基板上に形成される加熱反応部の形状の例を示す断面図である。図中の符号110は圧電体基板を、符号111、112、及び113は加熱反応部をそれぞれ示す。 図11は、水滴10μlを両側励振したときの温度の経時変化を示すグラフである。尚、パラメータは印加電圧である。 図12は、水滴量を変えたときの温度の経時変化を示すグラフである。印加電圧は15VP-Pとした。 図13は、電圧印加1分後の水滴量と到達温度の関係を示すグラフである。尚、パラメータは電圧である。 図14は、グリセリン水溶液を用いたときの温度の経時変化を示すグラフである。印加電圧は15VP-Pとした。パラメータはグリセリン水溶液の濃度である。 図15は、グリセリン水溶液を用いたときの電圧印加1分後の到達温度を示すグラフである。 図16は、グリセリン水溶液の密度と粘度の関係を表した表である。
符号の説明
1 1a 1b 弾性表面波ヒータ
10 16 100 110 圧電体基板
15 圧電素子
20 101 すだれ状電極
21 円弧型すだれ状電極
22 バルク波励振用電極
30 111 112加熱反応部
40 102 高周波電源
41 標準信号発生器
42 マルチファンクションジェネレータ
43 RF−パワー増幅器
44 マッチングメータ
50 弾性表面波伝搬基板
51 グレーティング

Claims (15)

  1. 弾性表面波発生器を備える、加熱装置。
  2. 圧電体基板と、該圧電体基板上に形成されたすだれ状電極とを有する弾性表面波発生器を備え、
    前記圧電体基板の一部に加熱反応部が形成されている、ことを特徴とする加熱装置。
  3. 前記加熱反応部を挟むように、前記すだれ状電極が複数形成される、請求項2に記載の加熱装置。
  4. 前記加熱反応部が、前記圧電体基板の表面に形成された凹部からなる、請求項2又は3に記載の加熱装置。
  5. 圧電体基板と、該圧電体基板上に形成されたすだれ状電極とを有する弾性表面波発生器と、
    弾性表面波を伝搬可能な材料からなり、直接又は他の弾性表面波伝搬材料を介して前記圧電体基板に接続した状態に配置される加熱反応器と、
    を備える加熱装置。
  6. 圧電基板と、該圧電体基板上に形成された電極とを有し、バルク波を発生する圧電素子と、
    直接又は他の伝搬材料を介して前記圧電素子に接続した状態に配置される弾性表面波伝搬基板であって、前記圧電素子が発生するバルク波が伝搬する領域に該バルク波を弾性表面波に変換する変換手段を有し、且つ生じた弾性表面波が伝播する領域に加熱反応部を有する弾性表面波伝搬基板と、
    を備える加熱装置。
  7. 前記すだれ状電極へ印加する励振周波数、電圧、及び励振時間を調節する高周波入力手段を備える、請求項2〜5のいずれかに記載の加熱装置。
  8. 前記高周波入力手段は、加熱装置が第1状態のときに第1励振周波数、第1電圧、及び第1励振時間で前記すだれ状電極に印加し、加熱装置が第2状態のときに第2励振周波数、第2電圧、及び第2励振時間で前記すだれ状電極に印加する、請求項7に記載の加熱装置。
  9. 加熱装置が前記第1状態及び前記第2状態と異なる一以上の状態になることができ、各状態において前記高周波入力手段は、該状態に特有の励振周波数、電圧、及び励振時間で前記すだれ状電極に印加する、請求項8に記載の加熱装置。
  10. 冷却器を更に備える、請求項2〜9のいずれかに記載の加熱装置。
  11. 対象に弾性表面波を伝搬させる工程、を含む、前記対象を加熱する方法。
  12. 第1周波数、第1振幅、及び第1励振時間を有する第1弾性表面波を対象に伝搬させる第1工程、
    前記第1工程の後に、第2周波数、第2振幅、及び第2励振時間を有する第2弾性表面波を前記対象に伝搬させる第2工程と、
    を含む、前記対象を加熱する方法。
  13. 前記第1工程と前記第2工程との間に、弾性表面波を前記対象に伝播させない工程を実施する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記第2工程後に、その工程に特有の周波数、特有の振幅、及び特有の励振時間を有する弾性表面波を前記対象に伝搬させる工程を少なくとも一つ実施する、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 前記の一連の工程を一組として、これを連続して複数回実施する、請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
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