JP2005111125A - 遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大当り中に大入賞口に入賞すべき遊技球が第一種始動口に入賞してしまうことを防止する。
【解決手段】 第一種始動口の底面に開閉扉を設けておき、大当り中で特別図柄の保留数が所定数以上となった場合には、開閉扉を開放する。こうすれば、例え遊技球が第一種始動口に入賞しても、そのまま始動口を通過して、下方に設けられた大入賞口に入賞させることができ、その結果、特別遊技状態を速やかに消化することが可能となる。第一種始動口に開閉扉を設ける代わりに、始動口の翼片部を閉じて入賞を妨げたり、あるいは入賞を妨げる障害物を突出させても良い。
【選択図】 図25

Description

本発明は、遊技機に関し、特にいわゆるパチンコ機と呼ばれる弾球遊技機に関する。
いわゆる第1種パチンコ機には、大入賞口と呼ばれる第一種特別電動役物と、第一種始動口あるいは単に始動口と呼ばれる普通電動役物などが設けられている。大入賞口は始動口に比べて大きく開口し、その意味では遊技球が入球し易いが、通常の遊技状態では開口しておらず、従って大入賞口に遊技球を入球させることはできない。この大入賞口を開口させるためには、大入賞口の上方に設けられた始動口に遊技球を入球させて抽選を行い、当りの抽選結果を得る必要がある。抽選で当り判定が得られれば、抽選に伴う所定の演出表示の後、所定の期間だけ大入賞口を開口させることができる。
このように、大入賞口を開口させるためには、その前提として先ず始動口に遊技球を入球させる必要があるので、始動口へ遊技球が容易に入球するように、所定の条件が成立した場合には所定の期間だけ始動口を大きく開口させることが広く行われている。また、始動口が大きく開口している期間を適切な期間に調整可能とする目的で、大きく開口中に入球した遊技球と通常の開口中に入球した遊技球とを分けて検出しておき、大開口中に入球した遊技球の割合が適切な割合となるように、大きく開口する期間を調整する技術も提案されている(特許文献1)。
特開2000−288179号公報
しかし、始動口は、大入賞口の開口中(例えば、いわゆる特別遊技中など)も、所定の条件が成立しさえすれば大開口状態となり、しかも、上述したように始動口は大入賞口の上方に設けられているために、大入賞口に入るべき遊技球が始動口に入球してしまうことがある。始動口は、入球しても払い出される遊技球の個数が大入賞口の場合よりも少なく、加えて、大入賞口が開口している期間は限られていることから、大入賞口に入球すべき遊技球が始動口に入球したのでは、遊技者の興趣を大きく損なってしまうという問題があった。
また、大入賞口に入るべき遊技球が始動口に入球することは、遊技店にとっても、次のような理由から好ましいことではない。すなわち、遊技店にとっては、大入賞口が開口している期間は、遊技者から持ち玉を回収する以上に遊技球を払い出している期間に相当し、逆に、大入賞口が開口していない期間は、遊技者から遊技球を少しずつ回収している期間に相当する。通常、大入賞口が開口している状態は、大入賞口の開口時間が一定時間に達していなくても、入球数が一定数に達した時点で終了させることができることから、遊技店にとっては、一定数の遊技球が大入賞口に入球して、大入賞口の開口状態を速やかに終了させた方が望ましい。ところが、大入賞口に入球すべき遊技球が始動口に入球したのでは、大入賞口が開口している状態を速やかに終了させることが妨げられてしまうという問題があった。
この発明は、従来技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、大入賞口に入るべき遊技球が始動口に入球してしまうことを、簡便且つ確実に回避可能として、遊技者の興趣を損なうことのない遊技機の提供を目的とする。
また、本発明の他の目的は、遊技者の興趣を損なうことなく、大入賞口の開口状態を速やかに終了可能とすることで、遊技店の経営効率を向上させることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
遊技球が入球する開口部の状態を、通常の状態である第1の状態と該遊技球が入球し易い状態である第2の状態とに切り換え可能な始動口と、
前記始動口の下方に開閉可能に設けられた大入賞口と、
前記始動口への入球を受けて抽選を行い、該抽選の結果に応じて前記大入賞口を開閉させる大入賞口開閉手段と、
所定の図柄を変動表示させた後に前記抽選の結果を表示する表示手段と、
前記図柄の変動表示中もしくは前記大入賞口が開口状態の時に遊技球が前記始動口に入球した場合には、該入球に伴う前記変動表示および抽選の結果の表示を該大入賞口の閉口後に行うべく、該始動口への入球数を保留数として計数する保留数計数手段と
を備え、
前記始動口は、前記大入賞口が開口状態で且つ前記保留数が所定値以上である場合には、前記第1の状態よりも遊技球が入球し難い第3の状態に設定される始動口であることを特徴とする。
かかる本発明の遊技機においては、始動口の状態として、通常の状態である第1の状態と、遊技球が入球し易い第2の状態とに加えて、遊技球が入球し難い第3の状態の少なくとも3つの状態を取ることが可能となっている。そして、大入賞口が開口状態で且つ保留数が所定値以上である場合には、始動口が第3の状態に設定される。
遊技者は、大入賞口が開口状態となっている場合、できるだけ多くの遊技球が大入賞口に入球することを望むのが通常であり、大入賞口に入球しそうな遊技球が途中で始動口に入球することは望まないものである。特に、保留数がある程度の数に達している場合は、始動口に入球して保留数が増加するよりも、大入賞口に入球させて遊技を進行させることを強く望む傾向にあることから、大入賞口に入球しそうな遊技球が途中で始動口に入球することが重なると、遊技者の興趣が損なわれてしまう。また、遊技店にとっても、大入賞口の開口状態を速やかに終了し、通常の遊技状態である期間の比率を高くした方が、経営の効率を上げることができる。こうした点に鑑みて、上記の本発明の遊技機においては、大入賞口が開口状態で、且つ保留数計数手段で計数されて記憶されている保留数が所定値以上である場合には、始動口が第3の状態に設定される。第3の状態とは、遊技球が入球し難い状態であるから、こうすれば大入賞口に入球しそうな遊技球が始動口に入球してしまい、遊技者の興趣が損なわれることを回避することができ、更に、大入賞口が開口している状態を速やかに終了させることができるので、遊技店の経営効率を向上させることができる。
こうした遊技機において、保留数計数手段が計数して記憶する保留数に上限値が設けられている場合には、大入賞口が開口状態で且つ記憶されている保留数が該上限値である場合に、前記始動口を第3の状態に設定することとしてもよい。
保留数計数手段が計数して記憶している保留数が上限値に達している場合は、遊技球が始動口に入球しても保留数が増加することはない。従って、大入賞口が開口状態で且つ保留数計数手段に記憶された保留数が上限値に達している場合に、大入賞口に入球しそうな遊技球が始動口に入球したのでは、遊技者の興趣が大きく損なわれてしまう。これに対して、上記の遊技機においては、大入賞口が開口状態で且つ保留数が上限値に達している場合に始動口が第3の状態に設定されるので、遊技者の興趣が損なわれることを回避することができ、更に、大入賞口が開口している状態を速やかに終了させることができるので、遊技店の経営効率を向上させることができる。
こうした上記の遊技機においては、第3の状態として始動口を次のような状態としても良い。すなわち、遊技球が始動口に入球しても、入球した遊技球が検知されることなく、大入賞口の上方から遊技盤面上に戻されるような状態に、始動口を設定することとしてもよい。
こうして遊技球を大入賞口の上方から遊技盤面上に戻してやれば、遊技球はそのまま下方に落ちて行くので、大入賞口に入球させることができ、従って、遊技者の興趣が損なわれることがない。更に、大入賞口が開口している状態を速やかに終了させることができるので、遊技店の経営効率を向上させることも可能となる。
こうした遊技機においては、入球した遊技球を検知する遊技球検知手段と、始動口の開口部と該遊技球検知手段との間で遊技球の通路を切り換える通路切り換え手段とを、始動口に備えることとして、第3の状態として始動口を次のような状態としても良い。すなわち、入球した遊技球が、該遊技球検知手段に導かれることなく大入賞口の上方から遊技盤面上に戻されるように、前記通路が切り換えられた状態に設定することとしてもよい。
このように、始動口の開口部と遊技球検知手段との間で、通路切り換え手段を用いて通路を切り換えてやれば、遊技球を大入賞口の上方から遊技盤面上に、簡便に且つ確実に戻してやることができ、その結果、遊技球を大入賞口に入賞させることが可能となるので好ましい。
あるいは、上記の遊技機においては、第3の状態として始動口を次のような状態としても良い。すなわち、始動口の開口部の両側に一対の翼片部を備えておき、該翼片部を閉じることによって始動口に遊技球が入球することを妨げるような状態に、該始動口の状態を設定することとしても良い。
多くの場合、始動口の開口部には一対の翼片部が設けられている。従って、このようにすれば、大幅な設計変更をしなくても、既存の翼片部を利用しながら始動口を第3の状態に設定することが可能となるので好ましい。
また、上記の遊技機においては、第3の状態として始動口を次のような状態としても良い。すなわち、始動口の開口部の上流側に、遊技盤面の内側から突出可能な可動式の障害物を設けておき、遊技盤面の内側から該障害物が突出した状態に、始動口を設定することとしてもよい。
こうすれば、始動口に障害物を追加することで、始動口を第3の状態とすることができるので、既存の始動口を流用することが可能となるので好適である。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.遊技盤の表面構造:
A−3.裏面構造:
A−4.パチンコ機の制御回路の構成:
B.賞球動作の概要:
C.制御ジョブの概要:
C−1.主制御部メインジョブ:
C−2.普通図柄制御ジョブ:
C−3.特別図柄制御ジョブ:
C−4.特別遊技関連ジョブ:
C−5.サブ基板メインルーチン:
D.第1実施例の始動口特別制御:
D−1.第1実施例の第1の変形例:
D−2.第1実施例の第2の変形例:
E.第2実施例の始動口特別制御:
A.パチンコ機の装置構成:
本発明は、いわゆる第1種パチンコ機、第2種パチンコ機、第3種パチンコ機、あるいはアレンジボール遊技機などの弾球遊技機一般に適用することができるが、以下では、デジパチと呼ばれるタイプの第1種パチンコ機(弾球遊技機)を例にとって、具体的に説明する。
A−1.全体構成:
先ず初めに、図1および図2を参照しながら本実施例のパチンコ機1の大まかな構造について説明する。図1は、パチンコ機1の前面側(すなわち、遊技者の側)から見たときのパチンコ機1の正面図である。また、図2は、パチンコ機1を斜め上方から見たときの斜視図である。図示されているように、パチンコ機1は主に、木製の板状体を略長方形の額縁状に組み立てて固着した外枠(本体枠とも言う)2と、外枠2の前面に開閉可能に軸支されたプラスチック製の中枠3と、中枠3の左端部で開閉可能に軸支されたプラスチック製の前面枠4と、前面枠4の下方に設けられた上皿部5および下皿部6と、中枠3の右側に設けられて前面枠4の施錠を行う施錠装置7と、中枠3の前面側に取り付けられた図示しない遊技盤などから構成されている。上皿部5は、前面枠4を施錠したときに前面枠4のちょうど下側に来る位置に、中枠3に対して開閉可能に軸着されている。また、下皿部6は、上皿部5の下方の位置で中枠3に取り付けられている。
図1に示されているように、前面枠4はパチンコ機1の前面の略2/3を占めており、そのほぼ中央部には略円形の開口部4aが形成されている。後述する遊技領域は、この開口部4aの内側に形成される。開口部4aの左方には略円弧状の左LED表示部4bが、更にその外側上方には左上LED表示部4dが設けられ、一方、開口部4aの右方には略円弧状の右LED表示部4cが、その外側上方には右上LED表示部4eが設けられている。また、開口部4aの上方で且つ、左LED表示部4bおよび右LED表示部4cの間には、略円形状の中上LED表示部4fが2つ並べて配置されている。これら2つの中上LED表示部4fの間には、2つの賞球LED表示部4gが設けられている。これらのLED表示部4d〜4gは、遊技効果を高めることなどを目的として、遊技の進行に応じて点灯および消灯あるいは点滅する。また、賞球LED表示部4gの上方には、略扇形状のエラーLED表示部4hが設けられている。更に、前面枠4の裏面側にはガラス枠41sが取り付けられており、ガラス枠41sには二枚のガラス板41rが装着されている(図2参照のこと)。パチンコ機1の遊技者は、このガラス板41rを介して遊技領域を目視することが可能となっている。遊技領域については、後ほど詳しく説明する。
前面枠4の下方に設けられた上皿部5には、複数の長孔を有する第1音声出力部5cと、皿外縁部5aと、パチンコ機1の内部の遊技球を上皿部5に排出するための排出口5bなどが設けられている。第1音声出力部5cには、遊技状態に応じて効果音あるいは音声などを発生するためのスピーカー400aと、後述する音量スイッチ基板12とが接続されている。尚、本実施例のスピーカー400aは、中高音用ユニット(ツィータ)および低音用ユニット(ウーハ)を含んだマルチウェイ方式とされており、第1音声出力部5cには、中高音用ユニット(ツィータ)が図示しないダクトを介して接続されている。また、低音用ユニット(ウーハ)は、後述する第2音声出力部6dに、図示しないダクトを介して接続されている。皿外縁部5aには玉抜きボタンや遊技球の貸出・返却ボタンなどが設けられている。また、本実施例の上皿部5には、前面左端側の部位に、2つの操作スイッチSW1およびSW2が設けられている。更に、上皿部5には、貯留されている遊技球を発射装置に供給するための図示しない供給装置や、遊技球を発射するための図示しない発射装置ユニットなどが設けられている。
上皿部5の下方に設けられた下皿部6には、略中央部に排出口6aが設けられており、下皿部6の左端には灰皿6bが、右端には発射ハンドル9が設けられている。排出口6aからは、パチンコ機1の内部から下皿部6に遊技球が排出されてくる。また、下皿部6の底面には図示しない球抜き孔が設けられている。球抜き孔は通常時には閉鎖されているが、下皿部6の略中央手前側に設けられた排出ノブ6cを操作して球抜き孔を開放状態とすれば、下皿部6に貯留された遊技球をパチンコ機1から排出することができる。排出ノブ6cは、プルロック式のノブであり、通常は直立状態となっている。そして、排出ノブ6cの上端を手前側に倒すと、ノブの動きに連動して球抜き孔が開放状態となり、下皿部6から遊技球が排出される。また、遊技者が排出ノブ6cを押すとノブのロックが解除され、排出ノブ6cを直立状態に戻して、球抜き孔を閉鎖状態に戻すことができる。この排出ノブ6cの右側下面および左側下面には、前述した第2音声出力部6dが設けられている。
発射ハンドル9は、遊技領域に向かって遊技球を射出する図示しない発射装置ユニットに接続されており、パチンコ機1の遊技者は発射ハンドル9を操作することによって遊技球の発射動作を制御することができる。発射ハンドル9には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。また、パチンコ機1の左端側には、プリペイドカードユニット13が設けられている。
次に、図2を参照しながら、中枠3の構成について説明する。中枠3は、枠体部3aと下板部3bとを備えている。このうち枠体部3aは、前述した前面枠4を施錠すると前面枠4がちょうど覆い被さるような位置に、すなわち中枠3の上端から下方に向かって略2/3の大きさを占める位置に設けられている。また、下板部3bは、上皿部5および下皿部6に対応する位置、すなわち中枠3の下端から上方に向かって略1/3の大きさを占める位置に設けられている。
枠体部3aの上部には、前面枠4の枠飾りランプ用レンズ4bに対応する位置に、図示しない複数個の遊技効果ランプと、前面枠4の枠飾りLED用レンズ4cに対応する位置に、図示しない賞球表示LEDと、同じく枠飾りLED用レンズ4eに対応する位置に、図示しないストップ表示LEDなどが設けられている。更に枠体部3aには、遊技効果ランプの点滅を制御するための枠飾りランプ基板4gと、賞球表示LEDの点滅を制御するための賞球表示LED基板4dと、ストップ表示LEDの点滅を制御するストップ表示LED基板4fなどの各種基板も取り付けられている。これら基板の詳細については後述する。
ここで、図1に示した各種のLED表示部4b〜4hを駆動する各種LED基板の位置関係について説明する。図3は、各種LED基板4i〜4oの位置関係を示す説明図である。図示されている各種LED基板4i〜4oは、中枠3の枠体部において、上述の各種LED表示部4b〜4hに対応する位置に設けられている。具体的には、左LED基板4iは左LED表示部4bに対応し、右LED基板4jは右LED表示部4cに対応し、左上LED基板4kは左上LED表示部4dに対応し、右上LED基板4lは右上LED表示部4eに対応している。また、中上LED基板4mは中上LED表示部4fに対応し、賞球LED基板4nは賞球LED表示部4gに対応し、エラーLED基板4oはエラーLED表示部4hに対応している。
A−2.遊技盤の表面構造:
次に、遊技盤10の構成について説明する。図4は、遊技盤10の表面の構造を示した説明図である。図示するように遊技盤10は、木製で略長方形の板状体であって、中枠3の表面側に着脱可能に取り付けられているとともに、その背面側は後述する裏機構盤102(図6参照)によって覆われている。遊技盤10の表面には外レール14と内レール15とが設けられており、これらレールに囲まれた部分に、略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11内には、略中央部に設けられて特別図柄表示装置27を備えた中央装置26と、遊技領域11の下部に設けられた変動入賞装置18と、中央装置26と変動入賞装置18との間に設けられた第一種始動口(普通電動役物)17と、変動入賞装置18の左上方および右上方にそれぞれ設けられた左入賞口19および右入賞口20などが備えられている。尚、以下では、第一種始動口を単に「始動口」と呼ぶことがあるものとする。また、左入賞口19と第一種始動口17との間には普通図柄作動左ゲート36が、右入賞口20と第一種始動口17との間には普通図柄作動右ゲート37が設けられている。更に、中央装置26の左右には一対のランプ風車24,25が設けられ、遊技領域11の左右両端部には縦円弧状の一対のサイドランプ38、39がそれぞれ相対称状に配設されている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
中央装置26には、その中央には前述の特別図柄表示装置27が設けられ、上部には普通図柄表示装置32が、そして特別図柄表示装置27と普通図柄表示装置32との間には、4個の赤色LEDから構成された特別図柄保留表示LED16aが設けられている。また、普通図柄表示装置32には、7セグメント表示器32aと、普通図柄保留表示LED32bとが設けられている。7セグメント表示器32aは1〜9の数字を変動表示可能となっており、前述した普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を遊技球が通過すると、変動表示を開始して、所定時間経過後に任意の数字で停止する。この時、停止した表示が所定の数字の場合には、第一種始動口(普通電動役物)17が所定時間(例えば0.5秒)開放するようになっている。
普通図柄保留表示LED32bも、特別図柄保留表示LED16aと同様に4個の丸形の赤色LEDで構成されており、7セグメント表示器32aの左右に2つずつ設けられている。7セグメント表示器32aの変動表示中に、遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過した場合には、遊技球が通過したことを最大4個まで記憶しておき、現在の変動表示の停止後に、続いて7セグメント表示器32aの変動表示を行うことが可能となっている。
中央装置26の略中央(普通図柄表示装置32の下方)に設けられた表示装置としての特別図柄表示装置27の表面には、大きさが縦50〜120mm、横80〜200mmで平面略矩形状の表示画面271が設けられており、表示画面271には、下縁側に横長に形成された主表示領域271Aと、表示画面271の大部分を占める演出用表示領域271Bとが設けられている。このうち、主表示領域271Aには、右端寄りの部分に本図柄表示部が形成され、略中央には特別図柄保留表示部が形成されている。また、演出用表示領域271Bには、左・中・右の3つ表示部と、その他の部分で構成される背景画面表示部とが形成されており、左・中・右の3つ表示部には、それぞれ左図柄・中図柄・右図柄の3つの特別図柄を変動表示することが可能となっている。この特別図柄表示装置27では、遊技者にとって有利な特別遊技状態を成立させるか否かの抽選結果の表示が、特別図柄の変動表示および停止表示によって行われる。
これら特別図柄の変動表示は、第一種始動口(普通電動役物)17に遊技球が入球することによって開始されるが、特別図柄の変動表示中に遊技球が入球した場合には、最大4つまでの第一種始動口17aへの入球が、特別図柄表示装置27にて抽選結果の表示が未実施である保留として蓄えられる。特別図柄保留表示LED16aは、こうした保留が発生するたびに赤色LEDが順次シフトしながら点灯する。また、次の特別図柄の変動が開始されると、そのたびに保留数が消化されて点灯中の赤色LEDが一つ消灯する。このように特別図柄保留表示LED16aは、現在の保留数を表示する機能を有している。特別図柄の変動表示の詳細な内容については後述する。
変動入賞装置18は、大入賞装置31と、その左右に左下入賞口21および右下入賞口22とがそれぞれ設けられており、左下入賞口21の下方には複数個の左下入賞口LED223が、また、右下入賞口22の下方には複数個の右下入賞口LED224が設けられている。これらLEDは飾りレンズによって覆われており、左下入賞口LED基板21f(図6参照)および右下入賞口LED基板22f(図6参照)によって点滅動作が制御されている。大入賞装置31を初めとして、これら全ては、前面側が略逆台形状に形成された基板34に装着されている。また、左下入賞口21の内部には左下入賞口通過検知スイッチ21s(図6参照)が、右下入賞口22の内部に右下入賞口通過検知スイッチ22s(図6参照)が設けられている。
大入賞装置31は、略中央に形成されて帯状に開口した大入賞口311と、この大入賞口311を開放・閉鎖する開閉板312と、この開閉板312を開閉するための大入賞口ソレノイド313(図6参照)と、大入賞口311に入賞した後に遊技球が通過する特定領域(V入賞口及び一般入賞口/図示略)と、図示しない連動杆と、入賞球を検知する入賞球検知スイッチ318(図6参照)と、裏箱(図示略)と、大入賞口中継基板(図示略)などから構成されている。前述した特別図柄表示装置27の表示画面271で特別図柄の変動表示が開始され、所定の図柄で停止表示すると、遊技者にとって有利な特別遊技状態となって大入賞口311が開放される。ここで開閉板312および大入賞口ソレノイド313は、大入賞口開閉手段を構成している。
第一種始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口であり、その前面に設けられた飾りとともに、基板34に取り付けられている。第一種始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s(図6参照)と、翼片部を作動させるための第一種始動口(普通電動役物)ソレノイド17c(図6参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
翼片部の開閉は次のようにして行われる。第一種始動口17の左右に設けられた普通図柄作動左ゲート36、普通図柄作動右ゲート37のいずれかを遊技球が通過すると、普通図柄作動左ゲート36および普通図柄作動右ゲート37の内部にそれぞれ設けられた左、右普通図柄作動ゲート検知スイッチ36s、37s(図6参照)で検出され、普通図柄表示装置32に設けられた7セグメント表示器32aの変動表示が開始される。そして、所定時間経過後に、7セグメント表示器32aが所定の図柄で停止表示すると、所定時間(例えば、0.5秒間)だけ第一種始動口17の翼片部が開放される。
前述したように、特別図柄表示装置27における特別図柄の変動表示は第一種始動口(普通電動役物)17に遊技球が入球することによって開始され、特別図柄が所定の図柄で停止表示すると大入賞口311が開放される。従って、遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過し、7セグメント表示器32aに所定の図柄が表示されると、第一種始動口17が開放状態となって入球し易くなり、特別図柄の変動が頻繁に開始され、延いては大入賞口311が開放し易くなる。
本実施例のパチンコ機1に搭載された第一種始動口(普通電動役物)17は、上述したように、遊技球が入球し易い状態である開放状態、および開放状態に比べて入球し難い通常状態の2つの状態に加えて、通常状態よりも更に遊技球が入球し難い状態の、合計3つの状態を取ることが可能となっている。そして、特別遊技状態で且つ所定条件が成立した場合には、第一種始動口(普通電動役物)17を更に遊技球が入球し難い状態とすることで、特別遊技状態において遊技者の興趣が損なわれることを回避するとともに、特別に伴う遊技を順調に消化することが可能となっている。この点については、後ほど詳しく説明する。
また、変動入賞装置18の上方左右に取り付けられた左入賞口19および右入賞口20の内部には、それぞれ左入賞口通過検知スイッチ19s(図6参照)、右入賞口通過検知スイッチ20s(図6参照)が設けられている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられており、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。一方、ファール球防止部材59は、内レール15の先端部に取り付けられ、返しゴム60は、ファール球防止部材59の位置とは略正反対側の、遊技盤10の右半分側の位置であって、外レール14に沿って嵌合状に取り付けられている。
以上、パチンコ機1の表面構造について説明したが、最後に上皿部5の前面左端部に設けられた2つの操作スイッチSW1,SW2の働きについて説明しておく。操作スイッチSW1、SW2は、表示画面271で表示される演出の形態を、選択する作用を有している。つまり、遊技者が、この操作スイッチSW1、SW2を操作すると、所定の条件の下、表示画面271で表示される演出の形態を変更することができる。このため、遊技者は、あたかも、表示画面271で表示される演出に実際に参加しているような気分を味わうことができる。
本パチンコ機1では、2つの操作スイッチSW1、SW2を備えると共に、一方の操作スイッチ(以下、「第1の操作スイッチ」という。)SW1が「演出モードの選択用スイッチ」とされ、他方の操作スイッチ(以下、「第2の操作スイッチ」という。)SW2が「演出モードの確定用スイッチ」とされている。後述する疑似図柄表示が変動しているときに、遊技者が第1の操作スイッチSW1を操作すると、図柄の背景を変更するための表示が点滅を開始し、点滅を介してから所定の時間(例えば、5秒)内に、第2の操作スイッチSW2を操作すると、複数種類(例えば、10種類)の背景図柄から所望の背景を選択することができる。
また、図柄の背景を変更するための表示が点滅状態となった後に、当該所定の時間(例えば、5秒)内に、第1の操作スイッチSW1を再び操作すると、キャラクターを選択するための表示が点滅を開始し、点滅状態となってから所定の時間(例えば、5秒)内に、第2の操作スイッチSW2を操作すると、複数種類(例えば、3種類)のキャクター図柄から所望のキャクターを選択することができる。更に、背景やキャクターを変更するための表示部分が点滅状態となってから所定の時間(例えば、5秒)放置すると、これらの点滅状態を終了し、現在選択している背景やキャラクターがそのまま選択され続けることになる。
また、後述する疑似図柄表示がリーチ表示を行っているときや、表示画面271でいわゆる予告表示を行った後に、操作スイッチ(SW1及びSW2のうちの少なくとも一方)を操作すると、これらの表示の信頼性(実際の大当りとなる確率)を示す表示が表示画面271内に現れる。
ここで、本パチンコ機1が、複数段階で発展する「発展型」のリーチ表示を行う場合には、操作スイッチ(SW1及びSW2のうちの少なくとも一方)を以下のように用いることもできる。即ち、疑似図柄で発展のリーチ表示がなされる場合には、リーチ表示が発展する従って表示する信頼度を高めることで、本パチンコ機1の遊技上の興趣をより一層高めることができる。例えば、信頼度が「30%」の「発展型」のリーチ表示において、発展の初期段階に操作スイッチ(SW1及びSW2のうちの少なくとも一方)を操作すると、リーチ表示の信頼度として実際よりも低い信頼度を表示する(例えば、10%)。そして、発展の中期段階に、操作スイッチを操作すると、初期段階のリーチ表示の場合よりも、高い値を示すが、実際よりも低い信頼度を表示する(例えば、20%)。更に、発展の最終段階で、操作スイッチを操作すると、実際の信頼度を表示することとすれば、遊技者は、リーチ表示の発展に沿って上昇する信頼度を期待感をもって認識することができる。
但し、遊技者がパチンコ機1によって行われる演出に参加するための参加手段は、この操作スイッチSW1、SW2に限定されるものではない。例えば、このような操作スイッチSW1、SW2や参加手段を遊技者が操作することで、スピーカー400aから発音される効果音を変更可能とすることもできる。
A−3.裏面構造:
次に、パチンコ機1の裏面構造について説明する。図5は、本実施例のパチンコ機1の裏面構造を示した説明図である。本実施例では、パチンコ機1の裏面構造は、大きな裏機構盤102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏機構盤102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。図5では、ヒンジ103は、中枠3右側の上端付近および下端付近に示されている。
裏機構盤102には、遊技球が蓄えられる賞球タンク105と、賞球の払出を行う賞球払出装置109と、前述した液晶表示装置27が格納された蓋付きの裏ケース111と、後述する主制御基板340が格納された主制御基板ケース112と、前述した発射装置ユニットを制御する発射装置制御基板が格納された発射装置制御基板ケース113と、賞球払出装置109を制御する払出制御基板が格納された払出制御基板ケース118と、主制御基板340と各種スイッチ類とを中継する中継基板190などが搭載されている。
賞球タンク105には底部にタンク球切れ検知スイッチ104が設けられており、球切れを検出することができる。賞球タンク105と賞球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されており、図上でタンクレール106の右側には球抜きレバー107が設けられ、またタンクレール106の下流側には図示しない補給球切れ検知スイッチが設けられている。更に、賞球払出装置109の下流側には、球技球の振り分け部が設けられている。尚、図5では、図示が煩雑となることを避けるために、振り分け部の表示は省略されている。
また、主制御基板ケース112、中継基板190や、払出制御基板ケース118などの各種基板は、裏機構盤102に回動自在に懸架された図示しない金属板に、着脱自在に装着されている。
裏機構盤102の右上端部には、ヒューズボックス119、電源スイッチ120、電源ターミナル基板121および大当り、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、球貸し用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた端子基板122が設けられている。尚、電源ターミナル基板121には、ラムクリア信号を発生させるためのラムクリアスイッチ(図示を省略)を接続してもよい。また、端子基板122の上側には、外部からの電力の供給を受けるための電源ケーブル123も配設されている。更に、払出制御基板ケース118からは接続ケーブル124が上方へ延出し、電源ケーブル125を備えたプリペイドカードユニット13に接続されている。また、裏機構盤102の略中央下端部には、下皿部用球通路部材126が設けられている。
A−4.パチンコ機の制御回路の構成:
次に、本実施例のパチンコ機1の制御回路の構成について説明する。図6は、本実施例のパチンコ機1に搭載された電子制御装置130における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように、電子制御装置130は、その機能に着目すると、主制御部140と、複数の副制御部とから構成されている。また副制御部は、主制御部140に直接に接続された第1次副制御部と、第1次副制御部を介して主制御部140に接続された第2次副制御部とから構成されている。主制御部140と第1次副制御部とは信号伝送経路500aによって接続されている。尚、パチンコ機の機種によっては、第1次副制御部と第2次副制御部とを介して主制御部140に接続される第3次副制御部が設けられている場合もある。
図示されているように、本実施例の電子制御装置130には、第1次副制御部として、払出制御部150と音声・ランプ制御部170とが設けられており、第2次制御部として、払出制御部150に接続された発射装置制御部193と、音声・ランプ制御部170に接続された図柄制御部160とが設けられている。
主制御部140から、払出制御部150および音声・ランプ制御部170へは、一方向形式若しくは双方向形式でデータが伝送される。また、本実施例では音声・ランプ制御部170から図柄制御部160へも一方向形式でデータが伝送されるものとして説明するが、音声・ランプ制御部170と図柄制御部160との間では双方向形式でデータを伝送することとしてもよい。
また、図6に示した破線の矢印は、各制御部140ないし180への電源供給経路を表している。図示されているように、電源は先ず初めに電源受電基板410に供給され、電源ユニット420で所定電圧に変換された後、分電基板430から各制御部140ないし180に電力が供給される。更に、電源投入時には、後述するシステムリセット信号が全制御基板に送信される。
詳細には後述するが、主制御部140は各種スイッチや検知器などからの情報を受け取って所定の演算を行った後、払出制御部150や音声・ランプ制御部170に各種のコマンドを出力するとともに、各種の基板やソレノイドなどに駆動信号を出力する。後述するように、本実施例の第一種始動口(普通電動役物)17は、通常状態と、遊技球が入球し易いように翼片部が開放した状態と、遊技球が入球し難い状態の3つの状態を取ることが可能であるが、こうした状態の切り換えも、主制御部140からソレノイド17c、17r、17m、313を駆動することによって実現されている。以下では、主制御部140や、払出制御部150、音声・ランプ制御部170、図柄制御部160、各種基板などの構成について順番に説明する。
主制御部140は、主制御基板ケース112に格納された主制御基板340によって主に構成されており、主制御基板ケース112は、不正行為者が容易に開閉できないような構造に形成されている。図7は、主制御基板340の構成を概念的に示した説明図である。図示されているように、主制御基板340は、CPU401を含む主回路部400と入出力回路部500とが、バスで接続されて相互にデータをやりとり可能に構成されている。主回路部400には、CPU401と、発振部410と、リセット回路部450と、I/Oデコード回路部420と、データバス安定化部411と、第1外部入力回路部430などが設けられている。
図8は、CPU401の詳細な構造を示した説明図である。図8に示すようにCPU401は、CPUコア480と、内蔵RAM481と、内蔵ROM482と、メモリ制御回路483と、クロック発生器484と、アドレスデコーダ485と、ウオッチドッグタイマ486と、カウンタ/タイマ487と、パラレル入出力ポート488と、リセット/割り込みコントローラ489と、外部バスインターフェース490と、出力制御回路491などから構成されている。CPU401は、ワークエリアとしてRAM481を使用しながら、ROM482に格納された制御プログラムを実行することにより、パチンコ機1全体の作動制御(すなわち、遊技の基本進行制御)を司るとともに、ROM482に記憶された当否判定プログラムを実行することにより、当否判断制御を行う。
上述した主回路部400とともに主制御基板340を構成する入出力回路部500には、外部端子部145が接続されており、この外部端子部145によってパチンコホールの「ホールコンピューター」に接続されている。主制御基板340はRAMクリア処理を実行するに際して、RAMクリア信号をONにした後、一定時間経過後に再びOFFとする動作を行うが、このRAMクリア信号は外部端子部145を介してパチンコホールのシステム等に報知されている。このため、不正行為者によってRAMクリア処理が実行された場合には、不正行為者に悟られることなく、パチンコホールの管理者側で不正行為を検知することが可能となっている。
入出力回路部500には、信号伝送経路500aを介して払出制御部150および音声・ランプ制御部170が接続されている(図6参照)。入出力回路部500は、払出制御部150や音声・ランプ制御部170での処理内容を指示する指令信号たるコマンドデータを、信号伝送経路500aを介して払出制御部150あるいは音声・ランプ制御部170に出力する。また、入出力回路部500からは、図柄制御部160での処理内容を指示するコマンドデータも出力される。図柄制御部160に対するコマンドデータは、一旦、音声・ランプ制御部170に向けて出力された後、音声・ランプ制御部170から信号伝達経路500bを経由して図柄制御部160に供給される。
加えて入出力回路部500には、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知器(入賞検知スイッチ)17sや、普通図柄表示装置基板32f、各種ソレノイド17c,17r,17m,313、右普通図柄作動ゲート通過検知器(右普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ)37s、左普通図柄作動ゲート通過検知器(左普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ)36sなどが接続されている。
尚、本実施例では、主制御部140に格納されたプログラムによって「本抽選手段」、「特別図柄抽選手段」、「普通図柄抽選手段」、「可変入賞手段制御手段」、「始動口制御手段」等を構成する。
次に、払出制御部150の構成について説明する。払出制御部150は、払出制御基板ケース118に格納された払出制御基板350によって主に構成されている。図9は、払出制御基板350の構成を概念的に示した説明図である。前述した主制御基板340と同様に払出制御基板350も、主回路部600と入出力回路部700とがバスで相互にデータをやりとり可能に接続されて構成されている。入出力回路部700には信号伝送経路500aが接続されており、主制御基板340から出力された前述のコマンドデータは信号伝送経路500aを介して入出力回路部700に入力される。また、入出力回路部700には、賞球払出装置109や発射装置制御部193なども接続されている。
音声・ランプ制御部170は、スピーカー400aやランプ等の制御を主に行うための制御基板370と、制御基板370からの命令を受けて、ランプ等に駆動信号を出力するための駆動基板380の、主に2つの基板から構成されている。図10は、音声・ランプ制御部170の構成を概念的に示した説明図である。制御基板部370には、演算回路構成要素として、CPU171と、RAM172と、ROM173と、入出力ポート174と、サウンドジェネレータ176と、コネクタCN1が設けられており、これらがバス175で相互にデータをやりとり可能に接続されている。サウンドジェネレータ176は、予め記憶された音声データをゲームの進行に合わせて再生することで、スピーカー400aから各種の音声を出力する。尚、スピーカー400aから出力される音量は、音量スイッチ基板12によって調整可能となっている。
また、入出力ポート174には信号伝送経路500aが接続されている。前述した主制御部140が、特別図柄の変動・停止、リーチ発生、リーチ表示の態様、特別遊技態様、確率変動や時短などの遊技モードを指示する制御命令を出力すると、出力された各種の制御命令は信号伝送経路500aを介して入出力ポート174に入力される。制御基板370では、こうして制御命令を受け取ると、ROM173に予め記憶されているプログラムに従って所定の処理を行い、駆動基板380に向かって各種の命令を出力する。制御基板370と駆動基板380とは、コネクタCN1とコネクタCN2とで互いに接続されている。
駆動基板380には、各種LEDやランプなどを駆動するための駆動信号を発生させる駆動回路部382と、発生した駆動信号を、各種LED基板4d,4f,19f〜22fや、各種ランプ基板216f,262f、枠飾り基板4gなどに出力するためのコネクタ出力部384とが設けられている。これら各基板にランプあるいはLED等が1個または複数個接続されており、コネクタ出力部384から供給される駆動信号により、ゲームの進行に対応して点灯・消灯または点滅する。尚、コネクタ出力部384を、駆動回路部382とは別基板に設ける構成としても良い。こうすることで、各種LEDなどのランプの数や色が変更されても駆動回路部382の変更を要しない場合には、コネクタ出力部384のみを変更して対応することが可能となる。
また、パチンコ機1に、モータなどによって駆動される可動式役物が設けられている場合には、モータを駆動するための駆動回路を、駆動回路部382あるいはコネクタ出力部384に搭載することとしても良い。こうすれば、可動式役物の有無もしくは個数が変更された場合でも、容易に対応することが可能となる。
図柄制御部160は、特別図柄制御基板360によって主に構成されている。図11は、図柄制御部160の構成を概念的に示した説明図である。図示されているように図柄制御部160は、演算回路構成要素としてCPU161と、RAM162と、ROM163と、入出力ポート164と、駆動回路166とを備えており、これら演算回路構成要素がバス165により接続されて相互にデータをやりとり可能に構成されている。入出力ポート164には、信号伝送経路500aや特別図柄表示装置27が接続されている。CPU161は、RAM162をワークエリアとして使用しながら、ROM163に格納された制御プログラムを実行することにより、中央表示装置26の制御を行っている。
中継基板190には、入賞球検知スイッチ318,19s〜22s等が接続されており、中継基板190の出力端子は、主制御部140の入出力回路部500と接続されている。
払出用端子基板191には、タッチスイッチ9a、発射停止スイッチ9b、ヴォリュームスイッチ192、タンク球切れ検知スイッチ104及び補給球切れ検知スイッチ108等が接続され、払出用端子基板191の出力端子は、図9に示す払出制御部150の入出力回路部700に接続されている。
以上のような構成の本実施例の電子制御装置130においては、遊技球が第一種始動口17に入球すると、その情報が第一種始動口入球検知スイッチ17sによって検知されて、主制御部140に入力される。遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過すると、その情報が普通図柄作動口通過検知器36s,37sにより検知されて、主制御部140に入力される。また、入賞球検知スイッチ19s〜22s,318で遊技球の入球が検知されると、その情報は、中継基板190を介して主制御部140に入力される。主制御部140は、これらの情報を受け取って、変動コマンド、停止図柄コマンド、及び変動停止コマンドを送信する。これらのコマンドは、信号伝送経路500a、音声・ランプ制御部160、信号伝送経路500bを経由して図柄制御部160に供給される。図柄制御部160では、変動コマンドを受けとると、複数の変動態様から乱数等による抽選を行って変動態様を決定する。また、主制御部140は、図柄制御部160に出力するコマンドに同期させて、音声・ランプ制御部170にも所定のコマンドを送信する。こうして、図柄の表示と音声の出力とを併せて行うことによって各種の演出を行う。
B.賞球動作の概要:
次に、本実施例のパチンコ機1の賞球動作について簡単に説明する。遊技球が大入賞口311に入球すると、大入賞口311の内部に設けられた入賞球検知スイッチ318がこれを検知して、入球を知らせる信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。信号を受け取ると、主制御部140は後述する処理を行って、払出制御部150に向かって15個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを出力する。また、遊技球が第一種始動口(普通電動役物)17に入球した場合は、始動口の内部に設けられた第一種始動口入賞検知スイッチ17sがこれを検知して、信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。この信号を受けて主制御部140は、後述する処理を行った後、6個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを払出制御部150に向かって出力する。左右下入賞口など、他の入賞口に入球した場合は、内部に設けられた通過検出スイッチが入球を検知して、入球した旨の信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。主制御部140は、後述する処理を行って10個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを払出制御部150に向かって出力する。これら賞球コマンドは、払出制御部150を作動指令対象とする指令信号として、遊技球の通過を検知した順番に従って信号伝送経路500aを介して送信される。払出制御部150は、こうして主制御部140から賞球コマンドを受け取って、賞球払出信号を出力することにより、賞球払出装置109を作動させて指示された個数分の賞球動作を行う。
また、主制御部140は、上述した各種検知スイッチの出力に基づいて遊技状態を判断し、また、その遊技状態に基づいて当否判定を行うとともに、判定内容に応じて対応する図柄表示態様で画像表示制御を行うためのデータを読み込む。例えば、主制御部140は、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s、入賞球検知スイッチ318等の検知結果や、特別図柄当否判定乱数の取得値などを使用して、「遊技が行われていない客待ちの状態」、「遊技は行われているが始動入賞がない状態(変動準備状態)」、「始動入賞があった状態」、および「特別遊技状態」などを判断する。また主制御部140は、始動入賞を検知すると乱数値に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させるか否かの当否判定(特別図柄の当否判定)を行い、その判定結果に基づいて特別図柄の変動(リーチ表示態様を含む)や確定などの表示態様制御を行うための各種コマンドを出力する。これらコマンドは、前述した信号伝送経路500aを介して一旦、音声・ランプ制御部170に出力された後、音声・ランプ制御部170から信号伝送経路500bを介して図柄制御部160に送信される。
C.制御ジョブの概要:
C−1.主制御部メインジョブ:
次に、上述した電子制御装置130によって実行されるパチンコ機1の制御の内容について説明する。図12は、主制御部メインジョブの流れを示すフローチャートである。かかるジョブは、主制御部140に搭載された主制御基板340によって実行されるジョブであり、パチンコ機1における遊技全体の進行を制御する根幹をなすジョブである。主制御部メインジョブは、パチンコ機1の電源が投入され、あるいはリセットスイッチが押された時に、主回路部401に内蔵されたCPU480が内蔵ROM482のブート領域に格納されているプログラムを読み出すことによって、自動的に開始される。パチンコ機1では主制御部メインジョブ以外にも多数のジョブが存在するが、これらジョブの多くは、所定の条件が成立すると主制御部メインジョブから呼び出されることによって実行される。以下では、図12のフローチャートに従って、主制御部メインジョブについて説明する。
主制御部メインジョブを開始すると、先ず初めに初期化ジョブを実施する(S10)。図13は初期化ジョブの流れを示したフローチャートである。初期化ジョブでは、電源投入時に行われる所定の各種処理を行った後(S12)、音声・ランプ制御部170に向かって初期図柄指定コマンドを出力する処理を行う(S14)。ここで、電源投入時に行われる各種処理とは、例えば主回路部401に内蔵されているCPU480の動作チェックやRAMの初期化を行ったり、音声・ランプ制御部や、払出制御部、図柄制御部などの各制御部を初期化する処理である。また、初期図柄とは、パチンコ機1の電源投入時あるいはリセットボタンを押されたときに、普通図柄表示装置32や特別図柄表示装置27(図4を参照のこと)などに表示される図柄を言い、初期図柄指定コマンドとは、これら初期図柄の表示を図柄制御部160に対して指定するコマンドである。
図14は、主制御部140から初期図柄指定コマンドが出力される様子を概念的に示した説明図である。主制御部140に設けられた主制御基板340は、1bitのストローブ信号と8bitのコマンドデータとを、音声・ランプ制御基板370に向かって出力する。音声・ランプ制御基板370では、ストローブ信号の立ち上がりのタイミングでコマンドデータを読み取ることにより、初期図柄指定コマンドを確実に読み取ることができる。尚、ここでは初期図柄指定コマンドを出力する場合について説明したが、主制御部140が出力する他のコマンドも同様の手順によって出力されている。こうしてストローブ信号とともに供給された初期図柄制定コマンドは、直ちに音声・ランプ制御部170から図柄制御部160に転送され、図柄制御部160の制御の下で普通図柄表示装置32あるいは特別図柄制御装置27のそれぞれに初期図柄が表示される。
以上の説明からも明らかなように、パチンコ機1では、主制御部140が所定の処理を行って各種のコマンドを出力し、このコマンドを受けて、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160、払出制御部150など所定の処理を行うことによって遊技が進行する。換言すれば、主制御部140と、その他の各種制御部とは、互いに処理を分担しながら、パチンコ機1の動作を制御している。そこで、理解の便宜を図るために、以下では、主制御部140内で実施される処理は「ジョブ」と呼び、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160などで行われる処理は「ルーチン」と呼んで区別することにする。例えば、図13に示した初期化ジョブ、あるいは図15に示したデモ表示ジョブは「ジョブ」という名前が示すように、いずれも主制御部140で実施される処理である。
主制御部140は、以上のようにして初期化ジョブを終了したら、図12に示した主制御部メインジョブに復帰して、今度はデモ表示ジョブを開始する(S20)。ここでデモ表示とは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態の時に、遊技客の注意を引きつけるために、普通図柄や特別図柄で特別に行われる演出の表示を言う。
図15は、デモ表示ジョブの流れを示すフローチャートである。デモ表示ジョブを開始すると、先ず初めに、発射ハンドル9に設けられたタッチスイッチ9a(図1を参照のこと)がONとなっているか否かを判断する(S22)。前述したように、遊技者が発射ハンドル9に触れていればタッチスイッチ9aはONになるから、タッチスイッチがONであれば(S22:yes)、客待ち状態ではないと判断される。そこで、このような場合はデモ表示は不要であり、直ちにデモ表示ジョブを終了して、主制御部メインジョブに復帰する。一方、タッチスイッチがOFFであれば(S22:no)、客待ち状態となっている可能性がある。そこで、タッチスイッチが継続してOFFとなっている経過時間を検出し(S24)、連続してOFFとなっている経過時間が、所定時間(例えば2分)に達しているか否かを判断する(S26)。経過時間が所定時間に達していない場合は(S26:no)、客待ち状態ではないと判断してデモ表示ジョブを終了する。経過時間が所定時間に達している場合は(S26:yes)、主制御部140はデモ指定コマンドを出力する(S28)。
デモ指定コマンドは、図14を用いて前述した初期図柄指定コマンドと同様に、主制御基板340から音声・ランプ制御基板370に向かってストローブ信号とともに出力される。音声・ランプ制御部170は、受け取ったデモ指定コマンドを図柄制御部160に転送するとともに、スピーカーやランプを駆動してデモ時の演出を行う。一方、図柄制御部160は、音声・ランプ制御部170からデモ指定コマンドを受け取ると、普通図柄制御装置32aや特別図柄制御装置27を制御して、所定のデモ表示を行う。
主制御部メインジョブでは、以上のような一連の処理を終了すると、図4に示した普通図柄変動ゲート36,37を遊技球が通過したか否かを判断する(S30)。遊技球が通過している場合は(S30:yes)、普通図柄表示装置32における演出を制御するためのジョブ(普通図柄制御ジョブ)を開始する(S40)。普通図柄制御ジョブの内容については後ほど詳細に説明する。
次いで主制御部140は、遊技機に複数設けられた入賞口のいずれかに遊技球が入球したか否かを判断する(S50)。前述したように、各入賞口の内部には入賞球の通過を検知するスイッチが設けられており、スイッチで検出された信号が信号ケーブルによって主制御基板340に伝達される。主制御部140は、いずれの信号ケーブルから信号が伝達されたかに基づいて、入球のあった入賞口を容易に検出することができる。そして、入球のあった入賞口に応じて、所定数の遊技球を払い出す旨の賞球コマンドを出力する(ステップS52)。賞球コマンドは、主制御部140から払出制御部150に向かって出力され、払出制御部150ではコマンドに従って賞球払出装置109を制御することにより、所定数の遊技球の払出を行う。もちろん、主制御部140から音声・ランプ制御部170にもコマンドを出力して、賞球に伴う所定の演出を行うこととしても良い。
続いて主制御部140は、遊技球の入球した入賞口が第一種始動口17か否かを判断する(S54)。そして、入球した入賞口が第一種始動口17である場合は(S54:yes)、内蔵RAM481内の特別図柄保留数メモリ(保留数計数手段)に記憶されている保留数が4以上か否かを判断し、その保留数が4に達していなければ(S56:no)、その保留数を1加算する(S58)。ここで、特別図柄保留数メモリ(保留数計数手段)に記憶される保留数は、特別図柄変動中もしくは特別遊技状態における第一種始動口17への遊技球の入球数に該当し、この入球数は、特別図柄表示装置27にて、後述する特別図柄制御ジョブ(図19)の特別図柄当否判定処理(S82)の結果表示を行っていない数に該当する。次に、主制御部140は特別図柄当否判定乱数を発生し、その判定乱数値を内蔵RAM481内の特別図柄当否判定乱数メモリに記憶する(S59)。この特別図柄当否判定乱数メモリは、発生した判定乱数値を始動入賞の時系列にシフトメモリ形式で記憶されている。この後、特別図柄表示装置27の動作を制御するためのジョブ(特別図柄制御ジョブS80)、更には、特別遊技状態時の動作を制御するためのジョブ(特別遊技関連ジョブS100)を実施する。この特別図柄制御ジョブおよび特別遊技関連ジョブの内容については後述する。一方、ステップS56において保留数が4に達している場合は(S56:yes)、保留数を加算する処理をスキップする。
また、ステップS54において、入球した入賞口が第一種始動口17でない場合は(S54:no)、内蔵RAM481内の特別図柄保留数メモリ(保留数計数手段)に記憶されている保留数が0か否かを判断し(S60)、0でない場合は(S60:no)、特別図柄制御ジョブ(S80)および特別遊技関連ジョブ(S100)を行う。一方、保留数が0の場合は(S60:yes)、特別図柄制御ジョブや特別遊技関連ジョブは行わない。
以上の様な処理を行ったら、パチンコ機1の電源がOFFとされたか否かを判断し(S62)、電源がONであると判断された場合は(S62:no)、再びS20のデモ表示ジョブに戻って続く一連の処理を行う。これに対して、パチンコ機1の電源がOFFになったと判断された場合は(S62:yes)、主制御部メインジョブを終了する。こうして主制御部メインジョブを終了すると、遊技の進行が停止しパチンコ機1の遊技状態が終了する。
以下では、普通図柄制御ジョブ(S40)、特別図柄制御ジョブ(S80)、および特別遊技関連ジョブ(S100)の各ジョブについて、順番に説明する。
C−2.普通図柄制御ジョブ:
図16は、普通図柄制御ジョブの流れを示すフローチャートである。前述したように、この処理は、遊技球が普通図柄変動ゲートを通過すると、図12に示した主制御部メインジョブから呼び出されて開始されるジョブである。また、「ジョブ」という名称から分かるように、この処理は主制御部140によって実行される。
普通図柄制御ジョブを開始すると、先ず初めに普通図柄の当否判定を行い(S42)、続いて、当否の結果に応じた変動パターンと停止図柄とを決定する(S44)。当否判定およびこれらを決定する手法としては種々の方法を用いることができるが、本実施例のパチンコ機1では、乱数を利用した抽選を行うことによって、これらを決定する。また、ここでは変動パターンとして、普通図柄を変動表示させる時間を決定している。もちろん、より詳細な内容まで決定することも可能である。
こうして普通図柄の当否と、当否に応じた変動パターンおよび停止する普通図柄とを決定したら、これら決定内容に従って、普通図柄関連コマンドを音声・ランプ制御基板370に向かって出力する処理を行う(S46)。普通図柄関連コマンドとは、普通図柄制御のために主制御基板340から出力される各種のコマンドであり、具体的には、普通図柄の変動パターンを指定するコマンド(普通図柄変動パターン指定コマンド)や、変動後に停止する普通図柄を指定するコマンド(普通図柄指定コマンド)、普通図柄の変動を停止させるコマンド(普通図柄停止コマンド)などの各種コマンドを言う。
図17は、これら普通図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。普通図柄の変動パターンに応じて、コマンドChp1 ,コマンドChp2 ,コマンドChp3 ,コマンドChp4 ・・・など、各種の指定コマンドが予め設定されている。また、変動後に停止させる普通図柄に応じて、コマンドChs1 ,コマンドChs2 ,コマンドChs3 ,コマンドChs4 ・・・などの各種の指定コマンドが設定されており、普通図柄の変動表示を停止させるためのコマンドとしては、コマンドChstpが設定されている。もちろん、表示されているコマンド以外に他のコマンドを設定しておくことも可能である。これらの普通図柄関連コマンドは、図8に示した主回路部401の内蔵ROM482に予め記憶されている。図16のステップS46では、ステップS42およびS44で決定した変動パターンおよび普通図柄に応じて、内蔵ROM482から対応するコマンドを読み出した後、音声・ランプ制御基板370に向かってストローブ信号とともに出力する処理を行う(図14を参照のこと)。
図18は、上述したステップS46において、主制御部140が各種の普通図柄関連コマンドを出力する様子を概念的に示した説明図である。普通図柄制御ジョブが開始されて、ステップS46の処理が初めて実行される場合は、先に決定しておいた普通図柄の変動パターン指定コマンドが、主制御基板340から出力される。図18に示した白抜きの矢印は、コマンドが出力されていることを模式的に示したものである。音声・ランプ制御基板370は、普通図柄の変動パターン指定コマンドを受け取ると、直ちに図柄制御基板360に転送する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、こうして受け取ったコマンドに基づいてそれぞれの処理が開始され、その結果、所定の効果音やランプの点滅をともなって普通図柄表示装置32の変動表示が開始される。
ここで、図12を用いて前述した主制御部メインジョブのS20からS62までの処理は、ほぼ4msec間隔で繰り返されており、従って、図16の普通図柄制御ジョブも約4msec間隔で実行される。初回の実行時には普通図柄の変動パターン指定コマンドを出力するが、2周目の実行時には、変動表示後に停止表示する普通図柄を指定するコマンド、すなわち普通図柄指定コマンドを出力する。図柄の指定が1回で良い場合、すなわち普通図柄表示装置32が同時には1つの図柄しか表示することができず、且つ変動開始後に1回だけ図柄を停止表示させる場合は、普通図柄指定コマンドは1回だけ出力される。しかし、普通図柄表示装置32が同時に複数の図柄を表示可能な場合、あるいは同時には1つの図柄しか表示できないものの変動表示と擬似的な停止とを何回か繰り返した後に最終的な普通図柄で停止表示する場合などには、普通図柄指定コマンドを複数回出力することになる。図18では、普通図柄表示装置32で同時に3つの普通図柄を表示可能な場合について表示している。この場合は、図16の普通図柄制御ジョブを2周目に実行する場合には、1桁目の普通図柄についての指定コマンドを出力し、3周目に実行する場合には2桁目の図柄についての指定コマンドを、4周目に実行する場合には3桁目の図柄の指定コマンドを出力する。こうして出力された普通図柄指定コマンドは、音声・ランプ制御基板370を介して図柄制御基板360に転送され、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360では、それぞれのコマンドに合わせて所定の演出のための制御を実行する。
こうして普通図柄変動パターン指定コマンドと普通図柄指定コマンドとを出力したら、変動パターンに応じて定まる所定のタイミングで、普通図柄変動表示を停止するコマンド(普通図柄停止コマンド)を出力する。つまり、前述したように、当否判定を行って決定する変動パターンには、図柄の変動時間に関する情報を含んでいるので、図柄停止コマンドを出力するタイミングは、変動パターンに依存するのである。例えば、4秒間だけ図柄を変動させる変動パターンを選択していた場合、主制御部メインジョブが1回まわるために約4msecかかるから、100周目の実行時に図柄停止コマンドを出力すればよいことになる。
図16に示したステップS46の処理では、図17に示す各種の普通図柄関連コマンドを、以上に説明したようにして順番に出力する処理を行う。こうして、ステップS42およびS44で決定した内容に応じて各種の普通図柄関連コマンドを出力し、最後に図柄停止コマンドを出力したら、普通図柄制御ジョブを終了する。
C−3.特別図柄制御ジョブ:
次に、図12のステップS80の特別図柄制御ジョブの内容について説明する。図19は、特別図柄制御ジョブの流れを示すフローチャートである。この処理は、主制御部140によって開始される処理である。
特別図柄制御ジョブでは、先ず、特別遊技状態であるか否かを判断し(S81)、特別遊技状態でない場合には(S81:no)、特別図柄の当否判定を行い(S82)、続いて当否に応じた変動パターンと変動後に停止させる特別図柄とを決定する処理を行う(S84)。ステップS82の特別図柄の当否判定処理は、遊技者にとって有利な特別遊技状態を成立させるか否かの抽選処理であり、主制御部140の内蔵ROMに格納されたプログラムによって構成される特別図柄抽選手段によって行われる。このステップS82の処理は、図12のステップS59で記憶されている最も古い先頭の特別図柄当否判定乱数を読み出して、その読み出した判定乱数値と、内蔵ROM482内の大当り乱数メモリに記憶されている大当り乱数値との比較を行うものであり、両者が一致すれば当り判定となって、遊技者にとって有利な特別遊技状態が成立し、一致しなければ外れ判定となって、通常の遊技状態が維持される。尚、本実施例のパチンコ機1では、特別図柄に関する当否判定と普通図柄に関する当否判定とは、異なる乱数値を用いた別個の処理によって実施されている。こうすれば、特別図柄で更に複雑な演出を行う必要が生じた場合でも、容易に対応することが可能となる。もちろん、特別図柄の当否判定処理を利用して普通図柄の当否判定を行うことも可能である。また、特別図柄制御ジョブにおいても普通図柄制御ジョブと同様に、変動パターンとしては、特別図柄を変動表示させる時間を決定している。もちろん、より詳細な内容まで決定することとしても良い。
特別図柄の変動パターンと停止図柄とを決定したら、これら決定内容に従って、特別図柄関連コマンドを音声・ランプ制御基板370に向かって出力する処理を行う(S86)。特別図柄関連コマンドとは、特別図柄制御のために主制御基板340から出力される各種のコマンドであり、図8に示した主回路部401の内蔵ROM482に予め記憶されている。図20は、記憶されている各種の特別図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。特別図柄関連コマンドとしては、特別図柄の変動パターンを指定するコマンド(特別図柄変動パターン指定コマンド)や、変動後に停止する特別図柄を指定するコマンド(特別図柄指定コマンド)、特別図柄の変動を停止させるコマンド(特別図柄停止コマンド)、更には、大当り時にスピーカーから出力する効果音を指定するコマンド(大当り効果音指定コマンド)、大当り時に行われる特別遊技に関する各種コマンド(大当りラウンド指定コマンド、大入賞口カウント指定コマンド)などが設定されている。もちろん、これらコマンド以外に、他のコマンドを設定しておくことも可能である。
また、前記したステップS81において、特別遊技状態である場合には(S81:yes)、前記したステップS82〜S86の処理を行わず、内蔵RAM481内の特別図柄保留数メモリに記憶されている特別図柄の保留数が4以上か否かを判断し(S90)、その保留数が4以上の場合には(S90:yes)、始動口特別制御コマンドを出力する(S92)。この始動口特別制御コマンドは、特別遊技中に大入賞口311に入賞すべき遊技球が第一種始動口17に入賞してしまうことを避けるために、始動口の状態を特別に制御するためのコマンドである。尚、始動口に対する特別制御の内容については、後ほど詳しく説明する。一方、特別図柄の保留数が4に達していない場合は(S90:no)、始動口特別制御コマンドを出力することなく、図19に示した特別図柄制御ジョブを終了する。
図21は、図19のステップS86において、上述した特別図柄関連コマンドが主制御基板340から出力される様子を概念的に示した説明図である。前述した普通図柄制御ジョブと同様に、特別図柄制御ジョブにおいてもステップS86の処理が初めて実行される時には、特別図柄変動パターン指定コマンドが出力される。図21中に示された白抜きの矢印は、主制御部140の発するコマンドが、音声・ランプ制御部170あるいは図柄制御部160に供給されていることを模式的に示したものである。また、図21中で斜線が付された矢印は、音声・ランプ制御部170の発するコマンドが、図柄制御部160に供給されていることを模式的に示したものである。音声・ランプ制御部170から出力されるコマンドについては、後ほど詳しく説明する。
特別図柄制御ジョブにおいても、音声・ランプ制御基板370は特別図柄変動パターン指定コマンドを受け取ると、直ちに図柄制御基板360に転送する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、こうして受け取ったコマンドに基づいて、後述する処理が開始される。
特別図柄制御ジョブが1周目の処理を終了して、2周目にS86(図19参照のこと)の処理が実行されるときには、特別図柄の変動表示後に停止表示する左特別図柄を指定するコマンド(左特別図柄指定コマンドCtsL )を音声・ランプ制御基板370に向かって出力する。前述したように、主制御部メインジョブは一連の処理を完了するために約4msecかかるから、特別図柄変動パターン指定コマンドを出力してから、ほぼ4msec後に左特別図柄指定コマンドを出力することになる。更に、その約4msec後に3周目の処理が実行される時には、中特別図柄の指定コマンド(中特別図柄指定コマンドCtsM )が出力され、その約4msec後に4周目の処理が実行される時には、右特別図柄指定コマンドCtsR が出力されることになる。尚、図21に示した例では、特別図柄としては、左特別図柄、中特別図柄、右特別図柄の3つの図柄しか同時には表示できないものとして説明したが、もちろん、より多くの特別図柄を表示可能としても構わない。
以上のようにして、特別図柄についての変動パターン指定コマンドと図柄指定コマンドを出力したら、変動パターンに応じて定まる所定のタイミングで、特別図柄変動表示を停止するコマンド(特別図柄停止コマンドCtstp)を出力する。
また、図19のステップS92において出力される始動口特別制御コマンドは、中継基板を介してデコードされた後、第一種始動口17を駆動するソレノイド17c(もしくは17r、17mなど)に入力され、その結果、第一種始動口17は後述する特別な状態に制御される。
音声・ランプ制御部170および図柄制御部160は、こうして主制御部140から出力された特別図柄関連コマンドを受け取ると、直ちにコマンドを図柄制御部160に転送するとともに、受け取ったコマンドに応じて詳細な特別図柄変動の制御を開始する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160で行われるこれらの処理は、サブ基板メインルーチンによって実行される。「ルーチン」という名称は、これら処理が音声・ランプ制御部170および図柄制御部160で行われることに対応したものである。サブ基板メインルーチンの内容については後述する。
C−4.特別遊技関連ジョブ:
図12に示したように、主制御部140は、以上のようにして特別図柄制御ジョブ(S80)を終了すると、続いて特別遊技関連ジョブ(S100)を開始する。図22は、特別遊技関連ジョブの流れを示したフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。
特別遊技関連ジョブを開始すると、先ず初めに、特別遊技状態か否かを判断する(S102)。すなわち、特別遊技状態は、特別図柄の当否判定において当り判定となったときに発生することから、先ず初めに特別遊技状態か否かを確認するのである。そして、特別遊技状態であることが確認されたら(S102:yes)、連続カウンタを初期化する(S104)。一方、特別遊技状態でない場合は、後述する特別遊技を行うことなく、そのまま図22に示した特別遊技関連ジョブを終了する。
特別遊技状態であることが確認され、連続カウンタを初期化したら、図4に示した大入賞口311を開口させる(S106)。図4に示されているように、大入賞口は他の入賞口よりも大きく開校するので、大入賞口311を開口させれば、遊技球は大変入賞し易くなる。尚、「連続カウンタ」の値は、特別遊技状態における「ラウンド回数」に相当している。
大入賞口311を開口させると、開口時間が所定時間(例えば30秒間)に達したか否かを判断し(S108)、所定時間に達していない場合は更に、遊技球の入賞数が所定数に達したか否かを判断する(S110)。開口時間は主回路部401に内蔵されたタイマ487を用いて検出する。また、遊技球の入球は、入賞球検知スイッチ318(図6参照)によって検出することができる。入賞数が所定数に達していない場合は(S110:no)、再びS108に戻って、開口時間が所定時間に達したか否かを判断する。こうした操作を何度も繰り返して、大入賞口311の開口時間が所定時間に達するか(S108:yes)、若しくは遊技球の入賞数が所定数に達したことが確認されたら(S110yes)、大入賞口311を一旦閉鎖する(S112)。このように、大入賞口311が開口してから閉鎖するまでが1つのラウンドとなる。
大入賞口311を一旦閉鎖したら、所定の継続条件が成立しているか否かを判断する(S114)。本実施例のパチンコ機1では、大入賞口311の内部に設けられた特定領域(いわゆるV入賞口)を遊技球が通過していれば、継続条件が成立したものと判断される。もちろん、継続条件はこうした条件に限られるものではなく、他に適切な条件を設定しておくことができる。継続条件が成立していると判断された場合は(S114:yes)、連続カウンタの値に1を加算した後(S116)、連続カウンタが所定回数に達したか否かを判断する(S118)。本実施例のパチンコ機1では、所定回数は16回に設定されている。そして、連続カウンタが所定回数に達していなければ(S118:no)、S104に戻って再び大入賞口311を開口し、第2ラウンドの特別遊技を開始する。
第2ラウンドにおいても、第1ラウンドと同様に、開口時間が所定時間に達したか否か(S108)、入賞数が所定数に達したか否か(S110)を判断する操作を繰り返し、開口時間が所定時間に達するか(S108:yes)若しくは入賞数が所定数に達したら(S110:yes)、大入賞口311を一旦閉鎖して(S112)、継続条件が成立しているか否かを判断する(S114)。そして、継続条件が成立していれば、連続カウンタを1つ増加させて、所定回数(16回)に達したか否かを判断する。
このように、継続条件が成立している限りは、大入賞口の開口と閉鎖とを繰り返す操作を、16ラウンドに達するまで繰り返す。一方、大入賞口311の閉鎖後に、継続条件が成立していないと判断された場合は(S114:no)、16ラウンドに達する前に特別遊技を終了してしまう。このような状態は「パンク」と呼ばれることがある。以上のように、大入賞口311の開口と閉鎖とを16ラウンド繰り返すか、若しくはパンク状態となったら、図22に示した特別遊技関連ジョブを終了して、図12の主制御部メインジョブに復帰する。
C−5.サブ基板メインルーチン:
以上に説明したように、主制御部140は、上述した主制御部メインジョブを繰り返し行いながら、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160に対して各種のコマンドを出力する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160は、こうして主制御部140から受け取った各種コマンドに基づいて、以下に説明するようなサブ基板メインルーチンを実行する。
図23は、サブ基板メインルーチンの流れを示したフローチャートである。かかる処理は、パチンコ機1の電源が投入あるいはリセットスイッチが押されて、図12に示した主制御部メインジョブ中で初期化ジョブが実行され、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160が初期化されると、自動的に開始される。
サブ基板メインルーチンを開始すると、先ず初めに特別図柄変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S502)。前述したように、特別図柄変動パターン指定コマンドとは、図19に示した特別図柄制御ジョブ中で主制御基板340から出力されるコマンドである。変動パターン指定コマンドを受信した場合は(S502:yes)、特別図柄の変動を開始する(S504)。もちろん、特別図柄の変動開始に合わせて、所定の効果音を出力しても良い。
次いで、特別図柄指定コマンドを全て受信したか否かを判断する(S506)。図20および図21を用いて説明したように、特別図柄指定コマンドとしては、左図柄,中図柄,右図柄の3つの図柄について、それぞれ図柄指定コマンドが出力されるので、S506ではこれら全てのコマンドを受信したか否かを判断するのである。3つの特別図柄が全て指定されれば、大当り状態か否か、確変当りか否かなどの、特別図柄表示装置27を用いた詳細な演出内容を決定することができる。そこで、特別図柄演出ルーチンを開始し(S508)、続いて大当り演出ルーチンを行う(S510)。
特別図柄演出ルーチン(S508)では、主制御部140から受け取った左・中・右の特別図柄の組合せが(図21参照のこと)、大当り図柄か否かを判断する。更に、大当り図柄である場合は、確変図柄か否か、再抽選を行うか否か、更には再抽選を行う場合には擬似的に表示する特別図柄をセットする処理も行う。尚、こうした判断は、主制御部140から受け取った各種の指定コマンドによって一義的に決定することもできるし、あるいはサブ基板メインルーチンの中で抽選を行って、より詳細な演出内容を決定することとしても良い。
大当り演出ルーチン(S510)では、特別図柄演出ルーチンでの決定した内容、すなわち、大当りか否か、確変か否か、再抽選を行うか否か、更には擬似的に表示する特別図柄の決定内容に従って、表示画面271(図4参照)における所定の演出表示を行う。また、こうした演出表示に併せて、各種の効果音を出力する制御を行う。
以上の処理を行ったら、パチンコ機1の電源がOFFになっていないことを確認し(S512)、電源がOFFでなければステップS502に戻って続く一連の処理を行う。ステップS512において電源がOFFであると判断されたら、図22に示したサブ基板メインルーチンを終了する。
上述したように、本実施例のパチンコ機1は、特別遊技状態になると大入賞口311が開口して遊技球が入賞し易くなるので、遊技者は多数の遊技球の払い出しを期待することができる。しかし、図4に示したように、大入賞口311の上方には第一種始動口17が設けられていることから、大入賞口311に入るべき遊技球が第一種始動口17に入賞してしまうことがある。上述したように、大入賞口311は所定時間しか開口していないから、大入賞口311に入賞すべき遊技球が、払い出し球数の少ない第一種始動口17に入賞したのでは、いわゆる「パンク」状態になってしまうのではないかと遊技者はイライラしてしまい、興趣が大きく損なわれてしまう。
また、結果的にパンクすることなく16ラウンドの特別遊技を消化できた場合でも、本来、遊技者は、できるだけ速やかに所定数の遊技球を入賞させ、それに伴う払い出しを受けて16ラウンドを消化し、再び「大当り」を引き当てて新たな特別遊技を行うことを望むものである。従って、16ラウンドを消化するために長い時間がかかったのでは、やはり遊技者はイライラしてしまい、興趣が大きく損なわれる結果を招いてしまう。
特に、遊技ホールは遊技球の払い出し個数を抑制するために、大入賞口311に遊技球が入球し難い釘調整をすることがある。このような状態において、特別遊技中に遊技球が第一種始動口17に入球してしまうと、大入賞口311への入球数が少なくなって、特別遊技状態において払い出される遊技球が減少したり、いわゆるパンク状態になる可能性がある。従って、遊技者は少しでも多くの遊技球が、しかも短時間のうちに大入賞口311に入球するよう望むものであって、大入賞口311に入球すべき遊技球が第一種始動口17に入球したのでは、大きく興趣が損なわれる結果となる。
更に、遊技ホールにとっても、特別遊技の期間は、遊技者から持ち玉を回収する以上に遊技球を払い出している期間に相当するから、速やかに16ラウンドを消化して、通常の遊技状態に復帰した方が望ましく、従って、大入賞口311に入賞すべき遊技球が第一種始動口17に入賞してしまうことは望ましことではない。こうした点に鑑みて本実施例のパチンコ機1では、図19に示したように、特別遊技状態で且つ内蔵RAM481の特別図柄保留数メモリに記憶された特別図柄の保留数が4以上である場合には、始動口特別制御コマンドを出力して、第一種始動口17を特別な状態に制御している。始動口を制御する特別な状態は種々の態様とすることが可能であり、以下では、これら各種の始動口特別制御の内容について説明する。
D.第1実施例の始動口特別制御:
第1実施例の始動口特別制御の内容について説明する前に、その準備として、始動口が開口する動作について簡単に説明しておく。図24は、第一種始動口17が開口する動作を概念的に示した斜視図であり、図24(a)は始動口が開口していない状態(通常状態)を、図24(b)は開口した状態を表している。図24に示されるように、第一種始動口17には、一対の翼片部17wや、翼片部17wを開口させるための第一種始動口ソレノイド17c、第一種始動口ソレノイド17cの動きを翼片部17wに伝達するためのリンク機構17k、遊技球が第一種始動口17に入賞したことを検知する入賞検知スイッチ17sなどが設けられている。
ソレノイド17cが駆動されていない状態では、ソレノイド17cのシャフトがバネの力によって引き出された状態(ソレノイドが伸長した状態)となっており、これに伴って2つの翼片部17wはいずれも立設した状態となっている。こうした通常の状態では、遊技球は、第一種始動口17に上方から落下する場合にだけ入賞することができる。図24(a)は、上方からの遊技球が第一種始動口17に入賞した様子を示しており、図中に破線で示した矢印は、入賞した遊技球の経路を示している。このように、入賞した遊技球は、遊技盤の内部に形成された通路に導かれて、入賞検知スイッチ17sを通過する。主制御部140は、遊技球が通過したときの入賞検知スイッチ17sの出力に基づいて、遊技球が第一種始動口17に入賞したことを検知すると、前述したように特別図柄の当否判定を行う。
図24(b)は、第一種始動口17が開口状態となっている様子を示している。前述したように、普通図柄の当否判定を行って当り判定となった場合には、所定の期間だけ第一種始動口ソレノイド17cが駆動され、バネの力に打ち勝って、シャフトがソレノイド17cの内部に引き込まれる。この動きが、リンク機構17kによって翼片部17wに伝達され、その結果、図24(b)に示すように翼片部17wが回転して、第一種始動口17が開口状態となる。図24(b)には、遊技球が入賞する様子が示されている。図示されているように、第一種始動口17が開口状態となっていれば、上方からの遊技球に加えて、左右方向からの遊技球も入賞することができる。こうして入賞した遊技球は、遊技盤の内部に形成された通路によって、入賞検知スイッチ17sに導かれる。主制御部140は、遊技球が入賞検知スイッチ17sを通過したときの出力を検知して、特別図柄の当否判定を行う。このように、第一種始動口17が開口状態となると遊技球が第一種始動口17に入賞し易くなるので、特別遊技状態において下方にある大入賞口311に入賞すべき遊技球まで、大入賞口311の上方にある第一種始動口17に入賞してしまうことが生じ得る。そこで、第1実施例では、第一種始動口17の底面に開閉扉を設けておき、始動口特別制御コマンドが出力された場合には、この開閉扉を開くことによって、こうした問題を回避している。
図25は、こうした第1実施例の始動口特別制御において、底面に設けられた開閉扉を開閉する様子を概念的に示す説明図である。図25は、第一種始動口17のほぼ中央で縦方向に切断したときの縦断面図を示している。尚、図示が煩雑となることを避けるために、図25では、開閉扉の動作に関する部分を中心に表示することとして、第一種始動口ソレノイド17cや、リンク機構17kなどの表示は省略している。図示されているように第1実施例の第一種始動口17は、図24に示した通常の始動口に加えて、底面に設けられた開閉扉17pや、開閉扉を駆動するための開閉ソレノイド17r、開閉ソレノイド17rの動きを開閉扉17pに伝達するためのリンク機構17qなどが追加された構成となっている。以下、開閉扉17pの開閉動作について説明する。
図25(a)は、通常の状態、すなわち始動口特別制御を行っていない状態を示している。図19を用いて前述した始動口特別制御コマンドが出力されていない状態では、開閉ソレノイド17rは駆動されておらず、開閉扉17pはヒンジ部に設けられたバネの力によって、図示されるような閉じた状態に保たれている。このとき、開閉ソレノイド17rのシャフトは、バネの力によって引き出された状態となっている。開閉扉17pが閉状態となっているので、図中の破線で示すように、第一種始動口17に入賞した遊技球は遊技盤の内側に導かれて入賞検知スイッチ17sを通過する。
これに対して、始動口特別制御コマンドが出力されると、開閉ソレノイド17rが駆動され、ソレノイドのシャフトが内側に引き込まれる。この動きがリンク機構17qによって開閉扉17pに伝達され、ヒンジ部に設けられたバネの力に打ち勝って、開閉扉17pを開放状態とする。図25(b)は、始動口特別制御を行うことにより、開閉扉17pを開放した様子が表されている。このように、開閉扉17pが開放状態となっていれば、例え遊技球が入賞しても、遊技球は遊技盤の内側に導かれることなく、第一種始動口17を通過してしまう。図25(b)に破線で示した矢印は、入賞した遊技球が遊技盤の内部に導かれることなく、そのまま第一種始動口17を通過する様子を示したものである。図4を用いて前述したように、大入賞口311は第一種始動口17の下方に設けられているから、こうして第一種始動口17を通過した遊技球は、そのまま下方の大入賞口311に入賞する可能性が高くなる。
また、図19のフローチャートに示したように、始動口特別制御コマンドは、特別遊技状態で且つ特別図柄の保留数が所定値以上になると出力される。特別遊技中は、特別図柄の当否判定および変動表示が行われず、保留数が減ることはないから、始動口特別制御コマンドは、一旦出力されると特別遊技の継続中は常に出力されていることになり、これに伴って、開閉ソレノイド17rも特別遊技が終了するまで、常にバネの力に打ち勝って開閉扉17pを開いた状態に保っておく必要がある。このように、ソレノイドを長時間駆動すると、コイルが発するジュール熱によってソレノイドが焼き付くおそれがある。
こうした問題を回避するために、本実施例の開閉ソレノイド17rでは、駆動開始時と駆動中とで電流量を切り換える制御を行っている。すなわち、開閉ソレノイド17rの駆動直後は、ヒンジ部に組み込まれたバネの力に打ち勝って、開閉扉17pを動かさなければならず、大きな駆動力が必要になるのに対し、駆動中は開閉扉17pを開いた状態で維持しておけばよいので、駆動開始直後ほどには大きな駆動力を必要としない。そこで、駆動開始直後には開閉ソレノイド17rに供給する電流量を大きくし、開閉扉17pが開いた後は、電流量を小さくする制御を行うのである。電流量を切り換える制御には、周知の種々の方法を適用することができる。例えば、スイッチング素子を用いてソレノイドに接続された抵抗を切り換えたり、あるいはいわゆるPWM制御を用いて電流値を変更すればよい。本実施例では、こうして電流値を制御しているために、長時間、開閉ソレノイド17rを駆動し続けた場合でもソレノイドが焼き付くことがなく、従って、特別遊技が終了するまで開閉扉17pを開いた状態で維持することが可能となっている。
以上に説明したように、第1実施例の始動口特別制御においては、特別遊技状態で且つ特別図柄の保留数が4以上である場合には、第一種始動口17の底面に設けられた開閉扉17pが開くように構成されている。このため、例え遊技球が第一種始動口17に入賞しても、そのまま始動口を通過してしまい、下方に設けられた大入賞口311に入賞させることができる。このため、本来、大入賞口311に入賞するべき遊技球が第一種始動口17に入賞してしまうことを回避することができ、16ラウンドの特別遊技状態を速やかに消化することが可能となる。
尚、上述した第1実施例の始動口特別制御では、開放扉17pを開放するのは、特別遊技状態で且つ特別図柄の保留数が4以上の場合に限られており、保留数が少ない場合には大当り中であっても開閉扉17pは閉じられた状態に保たれている。これは、次のような理由によるものである。前述したように、遊技球が第一種始動口17に入賞すると、特別図柄の当否判定が行われ、当り判定となると特別遊技状態となるが、特別図柄の変動表示中あるいは特別遊技状態で第一種始動口17に入賞した場合には、これらが終了した後に特別遊技状態が成立するか否かの抽選を行うべく、4回分の入賞までは保留数として、内蔵RAM481内の特別図柄保留数メモリ(保留数計数手段)に記憶される。しかし、4回以上は例え第一種始動口17に入賞しても、保留数は増えることなく入賞はほとんど無駄になってしまう。従って、保留数が4未満の場合には、例え特別遊技状態であっても、第一種始動口17に入賞すれば保留数が増加するので、必ずしも入賞が無駄になってしまうわけではない。このことから、特別遊技状態でも保留数が4に達するまでの間は、開閉扉17pを閉じておき、保留数が多くなったら開閉扉17pを開いているのである。
また、上述した第1実施例の始動口特別制御では、特別遊技状態において開閉扉17pが開くのは、特別図柄の保留数の上限値である4に達している場合として説明したが、必ずしも保留数が上限値に達していなくても、保留数がある程度まで増加したら(例えば保留数が3に達したら)、開閉扉17pを開くこととしてもよい。すなわち、ある程度の数の始動入賞が保留されていれば事実上の不都合はないと考えられるから、保留数の上限値の設定によっては、必ずしも上限値に達していなくても、十分な保留数が確保できる場合も起こり得る。このような場合には、遊技者は、特別遊技状態において遊技球が第一種始動口17に入賞して保留数が上限値まで増加するよりは、大入賞口311に入賞して16ラウンドの特別遊技を速やかに消化する方を望むものと考えられる。こうした点に鑑みて、保留数が上限値に達していなくても、ある程度の数値まで増加したら、開閉扉17pを開放することとしてもよい。こうしても、遊技者の興趣を損なうことなく、速やかに特別遊技を終了させることが可能となる。
D−1.第1実施例の第1の変形例:
尚、上述した第1実施例においては、開閉扉17pは、第一種始動口17の底面に設けられているものとしたが、開閉扉17pを設ける位置は必ずしも第一種始動口17の底面でなくても構わない。図26は、こうした第1実施例の第1の変形例としての第一種始動口17を示す説明図である。
図26に示されているように、第1の変形例においては、入賞した遊技球を遊技盤内部の入賞検知スイッチ17sへと導く通路の床面に、開閉扉17pが設けられている。そして、開閉扉17pはリンク機構17qによって開閉ソレノイド17rに接続されている。通常の遊技状態、すなわち始動口特別制御コマンドが出力されておらず、開閉ソレノイド17rが駆動されていない状態では、開閉扉17pのヒンジ部に設けられたバネの力によって、開閉扉17pは閉じられた状態となっている。図26(a)は、こうした状態を示している。開閉扉17pが閉じた状態では、第一種始動口17に入賞した遊技球は、遊技盤内部の通路に導かれて入賞検知スイッチ17sを通過する。図26(a)に示した破線の矢印は、入賞した遊技球が入賞検知スイッチ17sを通過する様子を示したものである。
これに対して、特別遊技中で且つ特別図柄の保留数が所定数(上述した例では4)に達すると、始動口特別制御コマンドが出力され、開閉ソレノイド17rのシャフトが内側に引き込まれ、この動きがリンク機構17qによって開閉扉17pに伝達される。その結果、図26(b)に示すように、通路の床面に設けられた開閉扉17pが開放される。この状態では、遊技球が入賞しても、入賞検知スイッチ17sに導かれる途中で、開閉扉17pからバイパス通路17vを通って盤面上に戻される。その結果、第一種始動口17に遊技球が入賞しても、入賞検知スイッチ17sを通過することなく盤面上に戻されて、下方の大入賞口311に入賞することになる。
以上に説明した第1実施例の第1の変形例によっても、本来、大入賞口311に入賞するべき遊技球が第一種始動口17に入賞してしまうことを回避することができ、16ラウンドの特別遊技状態を速やかに消化することが可能となる。
D−2.第1実施例の第2の変形例:
以上に説明した各種の実施例では、特別遊技状態で且つ特別図柄の保留数が所定数に達した場合は、開閉扉17pを開く方向に切り換えている。しかし、こうした条件が成立した場合に、本来、大入賞口311に入賞すべき遊技球が第一種始動口17に入賞してしまうことを抑制することができるのであれば、必ずしも、開閉扉17pを一方に切り換えなくても構わない。すなわち、特別遊技状態で且つ特別図柄の保留数が所定数に達した場合は、所定の周期で開閉扉17pの開閉を繰り返すこととしてもよい。こうすれば、開閉扉17pが閉じているときに入賞した遊技球は、入賞検知スイッチ17sに導かれ、大入賞口311には入賞できなくなるものの、開閉扉17pが開いているときに入賞した遊技球は、大入賞口311に入賞することになる。従って、本来、大入賞口311に入賞すべき遊技球が第一種始動口17に入賞してしまうことを抑制して、特別遊技状態を速やかに消化させることが可能となる。
加えて、このように開閉扉17pを所定周期で開閉させた場合には、長い時間に亘って開閉ソレノイド17rを駆動し続けることがない。このため、ソレノイドの焼き付きを回避するために、特殊な制御を行う必要がなく、制御を簡素なものとすることができるという利点も得ることができる。
E.第2実施例の始動口特別制御:
以上に説明した第1実施例の始動口特別制御においては、特別遊技状態で且つ特別図柄の保留数が所定数以上の場合には、遊技球が第一種始動口17に入賞しても速やかにこれを排出して、下方に設けられた大入賞口331に入賞させている。これに対して、特別遊技状態で且つ特別図柄の保留数が所定数以上の場合には、そもそも遊技球が第一種始動口17に入賞しないように、あるいは入賞し難くなるように制御してもよい。以下では、こうした第2実施例の始動口特別制御について説明する。
図27は、第2実施例の一態様としての第一種始動口17を示す斜視図である。図27に示した第一種始動口17も、図24に示した通常の第一種始動口と同様に、一対の翼片部17wや、リンク機構17k、入賞検知スイッチ17sなどを備えているが、翼片部17wを開閉させるための開閉ソレノイド17cの代わりに、リニアアクチュエータ17uが使用されている点が異なっている。開閉ソレノイド17cは、ソレノイドを駆動することでシャフトを引き込むことができるが、シャフトを完全には引き込まず中間位置で固定することは困難である。これに対してリニアアクチュエータ17uは、シャフトを完全には引き込まない中間位置で固定しておくことが可能である。
図27に示した第2実施例の第一種始動口17は、次のような動作を行う。通常の遊技状態では、リニアアクチュエータ17uは、中間位置に設定されている。この位置は、前述した開閉ソレノイド17cのシャフトが引き出された位置に相当しており、翼片部17wはいずれも立設した状態となっている。普通図柄の当否判定を行って当り判定となった場合には、リニアアクチュエータ17uのシャフトが引き込まれる。前述したように、普通図柄の当否判定は、遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過することによって行われる。リニアアクチュエータ17uのシャフトが引き込まれた位置は、前述した開閉ソレノイド17cが駆動されてシャフトが引き込まれた位置に相当している。このシャフトの動きがリンク機構によって翼片部17wに伝達され、翼片部17wが回転して、第一種始動口17が大きく開口した状態となる。第一種始動口17が開口状態となれば、図24(b)を用いて説明したように遊技球が入賞し易くなる。
次いで、特別遊技状態で且つ特別図柄の保留数が所定数に達していると判断され、始動口特別制御コマンドが出力された場合には(図19参照)、リニアアクチュエータ17uはシャフトを最も突き出した状態に設定する。上述したように、中間位置からシャフトを引き込んでやると、この動きがリンク機構17kによって伝達されて翼片部17wが開口するが、逆に中間位置からシャフトを突き出してやれば、翼片部17wは閉じる方向に回転することになる。図27は、こうしてリニアアクチュエータ17uのシャフトを突き出すことで、翼片部17wが閉じられた様子を示している。このように翼片部17wを閉じてしまえば、上方からの遊技球も翼片部17wに阻まれて、入賞することはない。図27では、翼片部17wによって入賞が阻まれた遊技球の動きを、破線の矢印で表している。こうして入賞を阻まれた遊技球は下方へと落ちて行き、大入賞口311に入賞することになる。
尚、上述した第2実施例の一態様としての第一種始動口17では、翼片部17wをリニアアクチュエータ17uによって開閉させるものとして説明したが、翼片部17wの開閉機構はこうした機構に限られるものではない。例えば、前述したような翼片部17wを開口させるためのソレノイド17cに加えて、翼片部17wを閉じるための第2のソレノイドを設けておき、始動口特別制御コマンドが出力された場合には、第2のソレノイドを駆動することによって、翼片部17wを閉じることとしても構わない。
もちろん、第一種始動口17への入賞を阻む手法としては、上述したように翼片部17wを閉じる方法に限られるものではなく、他の方法を用いて実現しても良い。図28は、こうした他の態様としての、第2実施例の第一種始動口17を示す斜視図である。第2実施例の他の態様としての第一種始動口17は、図24に示した通常の第一種始動口に対して、可動ピン17eが追加された構成となっている。可動ピン17eは、通常の遊技状態では遊技盤面の内部に収容されているが、特別遊技状態で且つ特別図柄の保留数が所定数に達していると判断されて始動口特別制御コマンドが出力されると(図19参照)、盤面の内部から突出するように構成されている。図28は、こうして可動ピン17eが突出した状態を示している。尚、図28では、図示が煩雑となることを避けるために、遊技盤などの表示は省略している。
図29は、可動ピン17eを突出させるための機構を示す説明図である。図29(a)に示すように、可動ピン17eは保持板17hに立設されており、保持板17hとともに、図29(b)に示すよう遊技盤面の内部に組み込まれている。また、遊技盤面の内部には、可動ピン17eを稼働させるためのソレノイド17mと、ソレノイド17mの動きを保持板17hに伝達するためのリンク機構17jも設けられている。
通常の遊技状態ではソレノイド17mは駆動されておらず、図29(b)に示すように、可動ピン17eはバネの力によって遊技盤内に収納された状態となっている。この状態では、ソレノイド17mのシャフトは引き出されている。そして特別遊技状態で且つ特別図柄の保留数が所定数に達したと判断され、始動口特別制御コマンドが出力されると(図19参照)、ソレノイド17mが駆動されてシャフトが引き込まれる。この動きがリンク機構17jによって保持板17hに伝達され、図29(c)に示すように、可動ピン17eがバネの力に打ち勝って遊技盤面から突出する。
このように可動ピン17eが突出すると、遊技球が第一種始動口17に入賞しようとしても、可動ピン17eに阻まれて入賞できなくなる。図28では、遊技球が可動ピン17eによって入賞を阻まれる様子を、破線の矢印で示している。こうして入賞が阻まれた遊技球はそのまま落下して行き、下方に設けられた大入賞口311に入賞することになる。
尚、図28では、可動ピン17eを遊技盤から突出させることによって、遊技球が第一種始動口に入賞することを阻むものとして説明したが、可動ピン17eに代えて、可動板などの他の障害物を突出させても良いことはもちろんである。
以上に説明した第2実施例の始動口特別制御においても、特別遊技状態で且つ特別図柄の保留数が所定数以上である場合には、遊技球が第一種始動口17に入賞しようとしても阻まれてしまい、下方の大入賞口311に入賞させることができる。このため、本来、大入賞口311に入賞するべき遊技球が第一種始動口17に入賞してしまうことを回避することができ、16ラウンドの特別遊技状態を速やかに消化することが可能となる。
また、上述した第2実施例では、始動口特別制御コマンドが出力されると、特別遊技を終了して通常の遊技状態に戻るまで、図27に示した態様では翼片部17wが閉じたままになり、図28に示した態様では可動ピン17eが突出したままになるものとして説明した。しかし、始動口特別コマンドが出力されてから特別遊技状態が終了するまでの間、所定間隔で翼片部17wを閉じたり、あるいは所定間隔で可動ピン17eを突出させることとしても構わない。こうした場合は、翼片部17wが閉じていない期間、あるいは可動ピン17eが突出していない期間は、遊技球が第一種始動口17に入賞することがあり得るが、それでも全体としてみれば、遊技球は第一種始動口17に入賞し難くなっている。従って、本来、大入賞口311に入賞するべき遊技球が第一種始動口17に入賞し難くなるので、16ラウンドの特別遊技を速やかに消化することが可能となる。
以上、本発明についての各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
本発明の実施例によるパチンコ機を前面側(すなわち遊技者の側)から見た正面図である。 本発明の実施例によるパチンコ機を、前面枠を開いた状態で斜め上方から見たときの斜視図である。 本発明の実施例によるパチンコ機に搭載された各種LED基板の位置関係を示す説明図である。 本発明の実施例による遊技盤の表面の構造を示す説明図である。 本発明の実施例によるパチンコ機の裏面側の構造を示す説明図である。 本発明の実施例によるパチンコ機に搭載された電子制御装置における制御回路の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例による主制御基板の構成を概念的に示す説明図である。 本発明の実施例によるCPUの詳細な構造を示す説明図である。 本発明の実施例による払出制御基板の構成を概念的に示す説明図である。 本発明の実施例による音声・ランプ制御部の構成を概念的に示す説明図である。 本発明の実施例による図柄制御部の構成を概念的に示す説明図である。 本実施例のパチンコ機における主制御部メインジョブの流れを示すフロー図である。 本実施例のパチンコ機における初期化ジョブの流れを示すフロー図である。 本実施例のパチンコ機において主制御部から初期図柄指定コマンドが出力される様子を概念的に示す説明図である。 本実施例のパチンコ機におけるデモ表示ジョブの流れを示すフロー図である。 本実施例のパチンコ機における普通図柄制御ジョブの流れを示すフロー図である。 本実施例のパチンコ機における普通図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。 本実施例のパチンコ機における主制御部140が各種の普通図柄関連コマンドを出力する様子を概念的に示す説明図である。 本実施例のパチンコ機における特別図柄制御ジョブの流れを示すフロー図である。 本実施例のパチンコ機における各種の特別図柄関連コマンドおよび始動口特別制御コマンドを一覧的に表示した説明図である。 本実施例のパチンコ機における特別図柄関連コマンドおよび始動口特別制御コマンドが主制御基板から出力される様子を概念的に示す説明図である。 本実施例のパチンコ機における特別遊技関連ジョブの流れを示すフロー図である。 本実施例のパチンコ機におけるサブ基板メインルーチンの流れを示すフロー図である。 通常のパチンコ機において第一種始動口が開口する動作を概念的に示す斜視図である。 第1実施例のパチンコ機において第一種始動口の底面に設けられた開閉扉を開閉する様子を概念的に示す説明図である。 第1実施例のパチンコ機における第1の変形例としての第一種始動口を示す説明図である。 第2実施例のパチンコ機における一態様としての第一種始動口を示す斜視図である。 第2実施例のパチンコ機における他の態様としての第一種始動口を示す斜視図である。 第2実施例の他の態様としてのパチンコ機において可動ピン17eを突出させる機構を示す説明図である。
符号の説明
1 …パチンコ機
10 …遊技盤
17 …第一種始動口
17c …開閉ソレノイド
17k …リンク機構
17p …開閉扉
17s …入賞検知スイッチ
17w …翼片部
26 …中央表示装置
27 …特別図柄表示装置
140…主制御部
160…図柄制御部
170…音声・ランプ制御部

Claims (6)

  1. 遊技球が入球する開口部の状態を、通常の状態である第1の状態と該遊技球が入球し易い状態である第2の状態とに切り換え可能な始動口と、
    前記始動口の下方に開閉可能に設けられた大入賞口と、
    前記始動口への入球を受けて抽選を行い、該抽選の結果に応じて前記大入賞口を開閉させる大入賞口開閉手段と、
    所定の図柄を変動表示させた後に前記抽選の結果を表示する表示手段と、
    前記図柄の変動表示中もしくは前記大入賞口が開口状態の時に遊技球が前記始動口に入球した場合には、該入球に伴う前記変動表示および抽選の結果の表示を該大入賞口の閉口後に行うべく、該始動口への入球数を保留数として計数する保留数計数手段と
    を備え、
    前記始動口は、前記大入賞口が開口状態で且つ前記保留数が所定値以上である場合には、前記第1の状態よりも遊技球が入球し難い第3の状態に設定される始動口であることを特徴とする遊技機。
  2. 請求項1記載の遊技機であって、
    前記保留数計数手段によって計数される前記保留数には所定の上限値が設定されており、
    前記始動口は、前記大入賞口が開口状態で且つ前記計数されている保留数が前記上限値である場合には、前記第3の状態に設定されることを特徴とする遊技機。
  3. 請求項1または請求項2に記載の遊技機であって、
    前記始動口は、前記第3の状態として、前記入球した遊技球を検知することなく前記大入賞口の上方に戻す状態に設定されることを特徴とする遊技機。
  4. 請求項3記載の遊技機であって、
    前記始動口は、
    前記入球した遊技球を検知する遊技球検知手段と、
    前記開口部と前記遊技球検知手段との間で前記遊技球の通路を切り換える通路切り換え手段と
    を備えるとともに、
    前記第3の状態として、前記入球した遊技球が、前記遊技球検知手段に導かれることなく前記大入賞口の上方に戻されるように、前記通路が切り換えられた状態に設定されることを特徴とする遊技機。
  5. 請求項1または請求項2に記載の遊技機であって、
    前記始動口は、
    前記開口部の両側に一対の翼片部を備えるとともに、
    前記第3の状態として、前記遊技球の入球を妨げるように前記翼片部が閉じた状態に設定されることを特徴とする遊技機。
  6. 請求項1または請求項2に記載の遊技機であって、
    前記始動口は、
    前記開口部の上流側に前記遊技盤面の内側から突出可能な可動式の障害物を備えるとともに、
    前記第3の状態として、前記遊技盤面の内側から前記障害物が突出した状態に設定されることを特徴とする遊技機。
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