JP2005108894A - コイル内蔵ガラスセラミック基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コイル内蔵ガラスセラミック基板の上面や下面に搭載された半導体チップやチップ部品に対するコイル用導体に発生する電気力線の影響を大幅に抑制することができるコイル内蔵ガラスセラミック基板を提供すること。
【解決手段】 コイル内蔵ガラスセラミック基板は、複数のガラスセラミック絶縁層が積層されて成る絶縁基体11の内部に、ガラスセラミック絶縁層と同時焼成されて形成されるとともに内部にコイル用導体13が埋設された、ガラスセラミック絶縁層と同じ大きさのフェライト層12と、フェライト層12の上下面にコイル用導体13に対向するようにそれぞれ形成された接地導体層14とが設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】 コイル内蔵ガラスセラミック基板は、複数のガラスセラミック絶縁層が積層されて成る絶縁基体11の内部に、ガラスセラミック絶縁層と同時焼成されて形成されるとともに内部にコイル用導体13が埋設された、ガラスセラミック絶縁層と同じ大きさのフェライト層12と、フェライト層12の上下面にコイル用導体13に対向するようにそれぞれ形成された接地導体層14とが設けられている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁基体の内部に、ガラスセラミック絶縁層と同時焼成されて形成されるとともに内部にコイル用導体が埋設されたインダクタンス値を上げるためのフェライト層が設けられたコイル内蔵ガラスセラミック基板に関するものである。
従来、携帯電話機を始めとする移動体通信機器等の電子機器には、多数の電子装置が組み込まれている。かかる携帯電話機等の通信機器は、近年小型化が急激に進んでおり、これに搭載される各種電子装置も小型化、薄型化が要求されている。例えば、ガラスセラミック基板の内部にコイルを内蔵した構成のLCフィルタが知られている。このLCフィルタの場合、従来チップ部品のコイルを用いていたのをガラスセラミック基板の内部に内蔵することで小型化、薄型化ができるという利点を有する。
しかしながら、コイル内蔵ガラスセラミック基板では、サイズの制約上100nHを超えるコイルの内蔵は困難であった。そこで、近年ではガラスセラミック基板の内部にフェライト層を内蔵させることにより100nHを超えるコイルを内蔵することができ、これにより表面実装工程の簡略化およびコイル内蔵ガラスセラミック基板の小型化が図られている。
例えば、携帯電話機に使用されるフェライト層を内蔵したコイル内蔵ガラスセラミック基板は、一般に、図3に断面図で示すように、複数のガラスセラミック絶縁層から成る絶縁基体1の内部に、コイル用導体3と、コイル用導体3の上下面を覆うとともにガラスセラミック絶縁層と同じ大きさのフェライト層2によって製作されている。
このようなコイル内蔵ガラスセラミック基板においては、今後さらに小型化、薄型化、高機能化を行なっていくためには、内部にフェライト層を設けたコイル内蔵ガラスセラミック基板の上面や下面に半導体チップやチップ部品を表面実装する必要がでてきた。
特開平6−20839号公報
特開平6−21264号公報
しかしながら、従来の内部にコイル用導体およびフェライト層を設けたコイル内蔵ガラスセラミック基板では、コイル用導体に発生する電気力線がコイル内蔵ガラスセラミック基板の外側に向かって放射されるため、例えばコイル内蔵ガラスセラミック基板の上面や下面に実装した半導体チップやチップ部品に対して電気的に影響を及ぼす。そのため、コイル内蔵ガラスセラミック基板に形成された回路の誤動作の原因となっていた。
また、コイル用導体に発生する電気力線がコイル内蔵ガラスセラミック基板の上面や下面に実装した半導体チップやチップ部品に対して電気的に影響を及ばさないようにするには、コイル用導体と半導体チップやチップ部品との間の距離を十分に取る必要があり、その結果、コイル内蔵ガラスセラミック基板全体が厚くなり、薄型化に適さないものとなっていた。
本発明は以上のような従来の技術における問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、コイル内蔵ガラスセラミック基板の上面や下面に搭載された半導体チップやチップ部品に対するコイル用導体に発生する電気力線の影響を大幅に抑制することができるコイル内蔵ガラスセラミック基板を提供することにある。
本発明のコイル内蔵ガラスセラミック基板は、複数のガラスセラミック絶縁層が積層されて成る絶縁基体の内部に、前記ガラスセラミック絶縁層と同時焼成されて形成されるとともに内部にコイル用導体が埋設されたフェライト層と、該フェライト層の上下面に前記コイル用導体に対向するようにそれぞれ形成された接地導体層とが設けられていることを特徴とするものである。
本発明のコイル内蔵ガラスセラミック基板は、好ましくは、前記接地導体層は、前記コイル用導体の面積以上の面積を有していることを特徴とするものである。
本発明のコイル内蔵ガラスセラミック基板によれば、複数のガラスセラミック絶縁層が積層されて成る絶縁基体の内部に、ガラスセラミック絶縁層と同時焼成されて形成されるとともに内部にコイル用導体が埋設されたフェライト層と、フェライト層の上下面にコイル用導体に対向するようにそれぞれ形成された接地導体層とが設けられていることから、コイル用導体に発生する電気力線がコイル用導体の上下の接地導体層間に閉じ込められて電気力線が安定することから、電気力線の乱れによって生じるフェライト層の磁気飽和が起きにくくなるため、大きな電流を流した際のインダクタンスの低下を防ぐことができる。
また、コイル用導体に発生する電気力線がコイル内蔵ガラスセラミック基板の上面や面に搭載される半導体チップやチップ部品に電気的な影響を与えることがなく、その結果、コイル内蔵ガラスセラミック基板に形成された回路の誤動作を防ぐことができるという効果を有する。
以上より、本発明によれば、コイル用導体に発生する電気力線を抑制することができ、重畳特性が向上するとともに、コイル内蔵ガラスセラミック基板の上面や下面に搭載される半導体チップやチップ部品に対する電気的な影響を改善したコイル内蔵ガラスセラミック基板を提供することである。
本発明のコイル内蔵ガラスセラミック基板は、好ましくは、接地導体層は、コイル用導体の面積以上の面積を有していることから、コイル用導体に発生する電気力線をより安定させることができ、その結果重畳特性を十分に改善することができる。
本発明のコイル内蔵ガラスセラミック基板(以下、基板ともいう)を添付図面に基づいて以下に詳細に説明する。
図1は本発明の基板の実施の形態の一例を示す断面図であり、11は複数のガラスセラミック絶縁層から成る絶縁基体、12はフェライト層、13はコイル用導体、14はコイル用導体13の上下に設けられた接地用導体層、15は半導体チップやチップ部品を搭載する搭載用電極、16は基板を外部電気回路に電気的に接続するための電極パッドである。
複数のガラスセラミック絶縁層を積層して成る絶縁基体11は、まず、ガラス粉末およびフィラー粉末(セラミック粉末)、さらに有機バインダ,可塑剤,有機溶剤等を混合してスラリーを得て、このスラリーを用いてドクターブレード法,圧延法,カレンダーロール法等によってガラスセラミックグリーンシートを製作し、このガラスセラミックグリーンシートを複数積層した後、大気中または加湿窒素雰囲気中で800〜1100℃の温度で焼成することによって作製される。
上記のガラス粉末としては、例えばSiO2−B2O3系,SiO2−B2O3−Al2O3系,SiO2−B2O3−Al2O3−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO2−Al2O3−M1O−M2O系(但し、M1およびM2は同じまたは異なっていて、Ca,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO2−B2O3−Al2O3−M1O−M2O系(但し、M1およびM2は上記と同じである),SiO2−B2O3−M3 2O系(但し、M3はLi,NaまたはKを示す),SiO2−B2O3−Al2O3−M3 2O系(但し、M3は上記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等を用いることができる。
また、フィラー粉末としては、例えばAl2O3,SiO2,ZrO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物や、TiO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,Al2O3およびSiO2から選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等を用いることができる。
フェライト層12は、内部にコイル用導体13が埋設された状態で絶縁基体11の内部に形成されており、99重量%以上のフェライトおよび1重量%以下のガラスから成るものである。フェライト層12のフェライトとしては、ZnFe2O4,MnFe2O4,FeFe2O4,CoFe2O4,NiFe2O4,BaFe12O4,SrFe12O4およびCuFe2O4のうちの少なくとも1種のフェライトを用いることが、より高い透磁率を得られる点で好ましい。
フェライト層12の形成は、まずフェライト粉末に適当な有機バインダ,可塑剤,有機溶剤等を混合してスラリーを得て、このスラリーを用いてドクターブレード法,圧延法,カレンダーロール法等によってフェライトグリーンシートを製作する。次に、フェライトグリーンシートをコイル用導体13周囲を覆うものとして、好ましくはガラスセラミックグリーンシートと同じ大きさ(平面視のおける大きさが同じ大きさ)となるように同形状にカットし、ガラスセラミックグリーンシート積層体の内部に、フェライトグリーンシート間にコイル用導体13となるパターンを形成して、コイル用導体13の上下面を覆うようにして積層する。
フェライト層12となるフェライトグリーンシートを形成するのに用いるフェライト粉末は、仮焼済みのフェライト粉末で、粒径が均一で球形状に近い粒がよい。これは、均一な焼結状態を得ることができるからであり、例えばフェライト粉末のなかに部分的に小さい粒径のものが存在した場合、その部分のみ結晶粒の成長が低下し、焼結後に得られるフェライト層12の透磁率が安定しにくい傾向がある。
フェライト層12は、1重量%以下のガラスを含んで成るものである。ただし、この1重量%以下のガラスは焼成時にガラスセラミック絶縁層から拡散して混入するものであり、焼成前のフェライトグリーンシートには含まれない。
メタライズ配線層から成るコイル用導体13は、フェライト層12に上下面を覆われてフェライト層12に埋設されており、Cu,Ag,Au,Ag合金等の金属粉末に、適当な有機バインダ,溶剤を混練して作製した導体ペーストを、スクリーン印刷法やグラビア印刷法等によりフェライトグリーンシートの表面に塗布し、ガラスセラミックグリーンシートおよびフェライトグリーンシートと同時焼成されて形成される。
メタライズ層から成る搭載用電極15は、Cu,Ag,Au,Ag合金等の金属粉末に、適当な有機バインダ,溶剤を混練して作製した導体ペーストを、スクリーン印刷法やグラビア印刷法等によりガラスセラミックグリーンシートの表面に塗布しておくことによって、絶縁基体11の上面や下面に形成される。
なお、搭載用電極15は、半田等による半導体チップやチップ部品,外部電気回路の配線導体との接合を強固なものにするために、その表面にニッケル層および金層をメッキ法により順次被着するとよい。
外部電気回路に電気的に接続されるメタライズ配線層から成る電極パッド16は、Cu,Ag,Au,Ag合金等の金属粉末に適当な有機バインダ,溶剤を混練して作製した導体ペーストを、スクリーン印刷法やグラビア印刷法等によりガラスセラミックグリーンシートの表面に塗布しておくことによって、絶縁基体11の上面、下面の少なくとも一方に形成されている。
なお、メタライズ配線層から成る電極パッド16は、半田等による半導体チップやチップ部品,外部電気回路の配線導体との接合を強固なものにするために、その表面にニッケル層および金層をメッキ法により順次被着するとよい。
本発明の基板において、接地用導体層14は、フェライト層12の上下面に少なくともコイル用導体13に対向するようにそれぞれ形成されている。
この接地用導体層14は、フェライト層12の上下面にコイル用導体13の面積以上の面積で形成することがよい。これにより、コイル用導体13に発生する電気力線をより安定させることができ、その結果重畳特性を十分に改善することができる。より好ましくは、上記の理由でフェライト層12の上下面の全面に形成されていることがよい。
なお、上記の接地用導体層14の面積とは、フェライト層12に対向する側の面(主面)の面積であり、フェライト層12についても同じである。
メタライズ配線層から成る接地用導体層14は、Cu,Ag,Au,Ag合金等の金属粉末に適当な有機バインダ,溶剤を混練して作製した導体ペーストを、スクリーン印刷法やグラビア印刷法等によりガラスセラミックグリーンシートまたはフェライトグリーンシートの表面に塗布し、ガラスセラミックグリーンシートおよびフェライトグリーンシートと同時焼成されて形成される。
本発明の基板におけるコイル用導体(内蔵コイル)13の重畳特性を図2のグラフに示す。図2において、横軸は電流(単位:mA)を、縦軸はインダクタンス(単位:μH)を表し、実線の直線はインダクタンス規格値2μH、破線の特性曲線は従来の基板における内蔵コイルの重畳特性、実線の特性曲線は本発明の基板における内蔵コイルの重畳特性を示している。
図2より、本発明の基板は、一般に携帯電話機の電源用回路で使用される最大電流である300mAでのインダクタンス値が、規格値である2μH以上を十分に満たすことが可能である。すなわち、本発明の基板は、コイル用導体13に発生する電気力線の放射を接地導体層14によって閉じ込める閉磁路となるため、コイル用導体13に電流を流した際のフェライト層14の磁気飽和が起きにくくなり、重畳特性の劣化を防ぐことができる。
また、コイル用導体13に発生する電気力線の放射を接地導体層14によって閉じ込める閉磁路となり重畳特性が改善されることから、電気力線の放射が抑制されているため、本発明の基板の上面や下面に搭載される半導体チップやチップ部品に対する電気的な影響も抑制される。
11:絶縁基体
12:フェライト層
13:コイル用導体
14:接地用導体層
15:搭載用電極
16:電極パッド
12:フェライト層
13:コイル用導体
14:接地用導体層
15:搭載用電極
16:電極パッド
Claims (2)
- 複数のガラスセラミック絶縁層が積層されて成る絶縁基体の内部に、前記ガラスセラミック絶縁層と同時焼成されて形成されるとともに内部にコイル用導体が埋設されたフェライト層と、該フェライト層の上下面に前記コイル用導体に対向するようにそれぞれ形成された接地導体層とが設けられていることを特徴とするコイル内蔵ガラスセラミック基板。
- 前記接地導体層は、前記コイル用導体の面積以上の面積を有していることを特徴とする請求項1記載のコイル内蔵ガラスセラミック基板。
Priority Applications (1)
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JP2003336310A JP2005108894A (ja) | 2003-09-26 | 2003-09-26 | コイル内蔵ガラスセラミック基板 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003336310A JP2005108894A (ja) | 2003-09-26 | 2003-09-26 | コイル内蔵ガラスセラミック基板 |
Publications (1)
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ID=34532485
Family Applications (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011114173A (ja) * | 2009-11-27 | 2011-06-09 | Kyocera Corp | ガラスセラミック配線基板およびコイル内蔵ガラスセラミック配線基板ならびにガラスセラミック配線基板の製造方法 |
JP2012015173A (ja) * | 2010-06-29 | 2012-01-19 | Kyocera Corp | ガラスセラミック配線基板およびフェライト内蔵ガラスセラミック配線基板 |
JP2012033622A (ja) * | 2010-07-29 | 2012-02-16 | Kyocera Corp | コイル内蔵配線基板 |
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2003
- 2003-09-26 JP JP2003336310A patent/JP2005108894A/ja active Pending
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