JP2005108788A - 反射構造及び反射シート - Google Patents

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Abstract

【課題】導光板の表面にキズを付ける傾向のあった反射シートについて、キズをもたらさないようにし、導光板のキズにより生じる難点を解決し、これにより少ないシート点数の有効な光照射システムを得る。
【解決手段】1枚の反射シートと、該反射シートにより反射された光を被照射方向に導く1枚の導光板と、該導光板により導かれた光を被照射方向に拡散する1枚の拡散シートとにより、主構造が成る反射構造。光を被照射方向に反射する反射シートで、少なくとも一方の面に微粒子を含有した表面層が形成されて成り、該表面層は、間接法印刷による印刷形成によるものである反射シート。
【選択図】図1−a

Description

本発明は、反射構造及び反射シートに関するものである。本発明に係る反射構造及び反射シートは、たとえばパーソナルコンピューターのディスプレイの照射システムとして、また、携帯電話等の携帯端末の画面の照射等のために用いることができる。
従来より、光源の光を被照射方向に反射する反射構造(反射システム)が用いられている。
たとえば、光源光を後方に配置した反射シートにより反射して、前方に位置する液晶等のパネルの方向に導き、これにより液晶等のパネルを照射してディスプレイの機能を果たさせる構造が知られている。かかる後方からの反射光を前方の被照射体に照射する構造を、バックライト構成とか、バックライトシステムとか称している。
従来の代表的なバックライト構成は、被照射体(前方)を上とすると、上から
上拡散シート、レンズフィルム2枚、下拡散シート、導光板、反射シート(後方)
という組み合わせでなる。この構成により、光の輝度、及びムラ防止性能を向上させるバックライトユニットとしている。そのうち導光板は、一般にアクリル樹脂等の透明な樹脂からなるものを使い、これには印刷や成型においてムラを取り除くパターンが描かれているのが通常である。
典型的には、図4に示すような構造などが採用されている。図中、符号1Aは反射シートであり、この反射シート1Aにより反射された光は、光を制御しつつ被照射体方向へ導く光制御構造2Aを介して導かれ、図示例における被照射体5である液晶ディスプレイを照明する。反射シート1Aにより反射された光は、アクリル等の導光板3Aに導かれ、下拡散シート3Bで光拡散され、2枚のプリズムシート3D,3Eで光制御され、上拡散シート3Fで光拡散されて、被照射体5(液晶ディスプレイ)を照明する。なお図中符号1Bは反射シート1Aを支持する保持枠をなすフレームである。符号4は光源で、図示例の場合蛍光管である。
最近の動向として、このバックライトユニットをいかに軽く、部品点数を減らし部品コスト及び組立コストを抑えるかが課題となっている。新しいトレンドとして、従来より用いられてきている上述のシート6点からなるユニット、すなわち
上拡散シート、レンズフィルム2枚、下拡散シート、導光板、反射シート
という構成から、用いるシートの枚数を減らすことが試みられている。
その一つの構成として、シート点数を3つに減らし、3枚のシートでバックライトシステムを構成する提案がなされている。
試みとして、
上拡散シート、レンズフィルム、反射シート
の3点からなるバックライトシステムが検討されている。この場合に、レンズフィルムとして、従来の導光板にレンズフィルムの機能をも持たせたものとして、下向きレンズフィルムと称される、一方の側(反射シート側)にレンズが形成された特定のシートを用いることで、シート点数を低減したシステムの開発が進められ、実用可能な段階まで至っている。
かかるユニットは、アクリル樹脂シートによる光学要素の形成技術の進歩で、可能になったものと言える。すなわち、上述の導光板にレンズフィルムの機能をも持たせた下向きレンズフィルムを、プリズム付きアクリル導光板として形成することで、得ることができるようになった。
この新規なアクリル導光板はムラを取り除くパターンではなく、光を集光させる目的も兼ね備える構成にできるため、輝度の上昇に役立っている。
しかし従来のバックライトにはシートが導光板3Aの上に4枚(上拡散シート3F、レンズフィルム2枚3E,3D、下拡散シート3B。図5参照)使われていて導光板のキズや欠点をぼかして見えにくくしていたが、この新規なシステムでは、従来の導光板に該当する部分にはシートが2枚しかなく、たとえばアクリルの導光板にキズが付くと、従来の物よりもキズがはっきりと見えてしまうという難点がある。
これは、上部の上拡敢シート、下向きレンズフィルムにキズが付くよりも、導光板にキズが付いた場合の方が顕著である。導光板はある程度厚みがあり自重があるので、この導光板が振動などにより反射シートと擦れて、アクリル等のシートである導光板の表面に擦り傷を付けてしまうことがあり、これが原因で上記のようなキズが生じる。このように導光板の表面に反射シートとのこすれ等でキズが付く傾向があり、かつ、導光板の表面のキズは、特に全体のシート数を低減したシステムでは目だってしまうという問題点が生じるのである。
従来から、アクリルのシートについては表面にキズが付かないようにした処理として、コーティング処理を施したシートはある。しかしどのようなコーティング処理を施したアクリルシートも、今回の3点構成のシステムに導光板として使用すると、満足する結果が現れなかった。従来のバックライト構造ではそこそこの性能が得られるが、シート数が少ない今回のシステムでは、シート数が少ないゆえに従来構造では見えなかった物が見えてしまうのが原因と思われる。
キズ付きを防止した反射シート及びバックライトユニットとして、次に掲げる特許文献での提案があるが、十分な大きさの微粒子を含有させることができず、不十分である(後記詳述)。
特開2003−107216号公報 特開2003−92018号公報
解決しようとする問題点は、第1に、従来はアクリル樹脂等の導光板の表面にキズを付ける傾向のあった反射シートについて、そのようなキズをもたらさないものを用いることにより導光板のキズにより生じる難点を解決することである。これによって、少ないシート点数のシステムにおいても、有効な光照射システムとすることができる。
第2に、アクリル樹脂等の導光板の表面にキズを付けることがなく、かつ、扱いやすい反射シートを提供することである。
本発明に係る反射構造は、
反射シートと、該反射シートにより反射された光を被照射方向に導く導光板とを備え、該反射シートは、該導光板との間に他のシートを介在させることなく、該導光板の被照射方向とは逆の側に配置される光反射構造において、
前記導光板にはその反射シート側に光学素子が形成され、かつ、
前記反射シートの前記導光板の側の面には微粒子を含有した表面層が形成されていることを特徴とするものである。
本発明に係る他の反射構造は、
1枚の反射シートと、該反射シートにより反射された光を被照射方向に導く1枚の導光板と、該導光板により導かれた光を被照射方向に拡散する1枚の拡散シートの3要素のみから成る主構造を備え、
前記導光板にはその反射シート側に光学素子が形成され、かつ、
前記反射シートの前記導光板の側の面には微粒子を含有した表面層が形成されていることを特徴とするものである。
なお本明細書中、反射シートから被照射部のすぐ前までの構造を反射構造の「主構造」と称することとする。
本発明に係るさらに他の反射構造は、
1枚の反射シートと、該反射シートにより反射された光を被照射方向に導く1枚の導光板と、該導光板により導かれた光を被照射方向に拡散する1枚の拡散シートと、該拡散シートと前記導光板との間に位置するフィルムの4要素のみから成る主構造を備え、
前記導光板にはその反射シート側に光学素子が形成され、かつ、
前記反射シートの前記導光板の側の面には微粒子を含有した表面層が形成されていることを特徴とするものである。
上記反射構造における導光板に形成されている光学素子は、集光作用または屈折作用を有するものとすることができる。また、上記拡散シートと上記導光板との間に位置する上記フィルムは、光学性をもつフィルム、たとえばレンズフィルムとすることができる。特に、下向きレンズフィルム(光源方向に光学性をもつ部分であるレンズが形成されるもの)とすることができる。
本発明に係る反射シートは、
光を被照射方向に反射する反射シートであって、少なくとも一方の面に微粒子を含有した表面層が形成されて成るとともに、該表面層は、間接法印刷による印刷形成によるものであることを特徴とするものである。
間接法印刷としては、代表的にスクリーン印刷を用いることができる。
これにより、絶対反射率が大きく、かつ取り扱い性が良い(すべりが良い)反射シートが得られる、
本発明に係る反射シートは、前記微粒子を含有した表面層が両面に形成されている構成をとることができる。
このように微粒子を含有した表面層が両面に形成されると、各面でキズがつきにくくなる。また、腰がある分、折れにくくなる。よって、基材が折れやすい材質のものであるとか、キズ付きやすいやすいなどの場合に、特に有利である。
かつ、微粒子を含有した表面層が両面に形成されると、取り扱いが容易になる。両面がキズつきにくく、また、折れにくいからである。
バックライトに組み込んだ状態でも、裏面にキズがつかないので、外観の見栄えもよくなるという利点がある。
本発明に係る反射シートは、前記微粒子を含有した表面層が片面に形成され、他の片面は平滑面となっている構成をとることができる。
本発明に係る反射シートは、前記微粒子の直径は10〜25ミクロンである構成をとることができる。該粒径のさらに好ましい範囲は、10〜20ミクロンであり、さらには15〜20ミクロンであることが好ましい。
本発明に係る反射シートは、前記微粒子を含有した表面層の厚さは10〜50ミクロンである構成をとることができる。
本発明に係る反射構造は、反射シートは導光板との間に他のシートを介在させることなく、導光板の被照射方向とは逆の側に配置されるが、このように反射シートが導光板と直接接して擦れる可能性がある場合でも、反射シートの導光板の側の面には微粒子を含有した表面層が形成されているので、反射シートは導光板にキズを付けることが抑制される。特に本発明に係る反射構造では、シート点数を低減するために、導光板として光学素子が形成されたものを用い、したがってその光学素子側の面は反射シート側に来て反射シートからの光を制御することになるが、このような場合に従来技術であると該光学素子側の面が反射シートに擦れるなどしてキズが付き、さらには素子の光学特性に悪影響を及ぼすおそれもあるのであるが、本発明においては、上記微粒子を含有した表面層の作用により、導光板にかかる不都合がもたらされることが防止される。よってこれにより、光ムラの生じない反射システムを提供できる。
また本発明に係る他の反射構造は、その主構造、つまり反射シートから被照射部のすぐ前までの構造が、1枚の反射シートと、該反射シートにより反射された光を被照射方向に導く1枚の導光板と、該導光板により導かれた光を被照射方向に拡散する1枚の拡散シートの3要素のみから成り、あるいはこれにフィルムを加えた4要素のみから成るので、バックライトユニット等に用いる反射構造の軽量化を実現でき、部品点数を減らして部品コスト及び組立コストを抑えることができる。しかもこのように構成要素を低減させた場合の難点であった導光板にキズに由来する問題点も、この反射構造における反射シートは微粒子を含有した表面層を備えるので、その作用により導光板にキズをもたらさず、よって従来技術の難点が解決された、光ムラの生じない反射システムを提供できる。
かつ、本発明に係る上記各反射構造に用いる反射シートは、微粒子を含有した表面層を有するので、滑り性が良好で、扱いやすい。
本発明に係る反射シートは、少なくとも一方の面に微粒子を含有した表面層が形成されて成るとともに、該表面層は、間接法印刷による印刷形成によるものであるので、表面層は十分な厚みをもって形成可能であり、よって十分な滑り性を有し、取り扱いが容易である。かつ、該表面は滑り性が良好であるので、他の材料にキズを付けることが防止されている。よって、アクリル樹脂その他の材料からなる導光板と接する可能性のある構造または組み付け工程に用いても、当該導光板をキズ付けない。よってこれにより、光ムラの生じない反射システムを提供できる。
これにより、絶対反射率が大きく、かつ取り扱い性が良い(滑りが良い)反射シートが得られる、
本発明の好ましい実施の形態においては、間接印刷法、特にシルクスクリーン印刷により微粒子含有のインキ層を印刷形成して、これを反射シートの表面層とする。間接法印刷、特にスクリーン印刷、特にシルクスクリーン印刷によれば、ある程度の膜厚を柔らかいインキを印刷でき、なおかつ柔らかい塗膜のインキの中にウレタンビーズを入れることにより微粒子を含有した表面層を形成できる。この表面層により、反射シートの表面に凹凸ができ滑り性もよくなる。かかる滑り性により、取り扱い性が良好になるばかりでなく、導光板と組み合わせてこれと接する可能性のある構造または組み付け工程に用いても、当該導光板をキズ付けない。よってこれにより、光ムラの生じない反射システムを提供できる。
前掲の特開2003−107216号公報や特開2003−92018号公報に記載の従来の傷つき防止反射シートは、特定の基材ポリマー中の樹脂ビ−ズは、そのビーズ径が1〜15ミクロン程度である。上限は好ましくは15ミクロン、特に10ミクロン、さらには8ミクロンとしている。これに対し、本発明では、より大粒径の15〜20ミクロンのビーズを使って、微粒子含有表面とすることが好ましい。
これは、従来技術にあってはコーティング技術を用いるので、厚い塗膜の形成ができないため、大粒径の微粒子を用いると該微粒子が塗膜から突出して、却ってキズ付きを助長してしまうためである(上記公報参照)。
これに対し、本発明に係る反射シートにあっては、シルクスクリーン等の間接法による厚膜の印刷ができることから、厚い表面層を形成でき、よって、上記のごとき粒径の範囲で、好結果を得ることができた。
本発明の好ましい実施態様においては、従来のビーズ印刷は、印刷開始時と印刷終了時でビーズのスクリーンを通る量がバラついて安定性に欠けたが、15〜20ミクロンの粒径の微粒子(ビーズ)を使い、スクリーン版のメッシュを粒径に合わせることで、安定したビーズを印刷する。
上記印刷手法を採用することにより、今までは選択肢としてコーティングしかなかったのに対し、シルク印刷でも表面層の形成が可能となった。
コーティングでは8ミクロン程度が限界のビーズ粒径が、印刷により20ミクロン程度の樹脂層が形成できるシルクスクリーン印刷の採用により、15ミクロン以上のビーズが使える。
同条件のコーティングではビーズがバインダーから突出してしまい、かえって導光板にキズを付けてしまうことになる。これは上記公報にも記載されていることである。
また、光学的にもビーズの粒径を大きくしたことにより絶対反射が高い反射膜が形成できる。これは、光を集光させているためだと思われる。見かけ上の分光反射率ではない、絶対反射が高いため裏面に漏れる光を遮断する隠蔽層がなくても反射率自体は遜色ない性能を出すことが可能となった。これは表面での光の屈折が従来品よりも高いため裏側に抜けていた光も反射しているためだと思われる。
また、組立工程の上でも表面硬度は柔らかいが滑り性が高いため、キズが付きにくい。作業も容易になり、これらは実用上の大きなメリットである。
以下に、本発明の好ましい実施例について、図面を参照して説明する。
本実施例は、部品点数、特にシート点数を少なくしたバックライト反射システムに、本発明の反射構造、及び本発明の反射シートを適用したものである。
図1-aを参照する。本実施例のシステムは、
1枚の反射シートと、該反射シートにより反射された光を被照射方向に導く1枚の導光板と、該導光板により導かれた光を被照射方向に拡散する1枚の拡散シートと、該拡散シートと前記導光板との間に位置するフィルムの4要素のみから、主構造が成る。ここで、反射構造の主構造とは、反射シートから被照射部のすぐ前までの構造を言う。
本実施例において、導光板にはその反射シート側に光学素子が形成され、かつ、反射シートの該導光板の側の面には微粒子を含有した表面層が形成されている。
図示の例は、パーソナルコンピューターの液晶ディスプレイのバックライトシステムである。ただし当然のことであるが、他の被照射体への本発明の適用は任意である。図中、符号1で本発明に係る反射シートを示す。符号1Bは反射シート1を支持する保持枠をなすフレームである。符号4は光源で、本例の場合蛍光管である。符号4Bは該光源用のリフレクター(ランプリフレクター)である。このリフレクター4Bは、光源4の光を被照射方向に有効かつ均一に反射する役割を果たす。
次に、符号3で示すのが、導光板である。また符合3Fで示すのが、拡散シートである。ここでは拡散シートとして該拡散シート3Fのみを1枚用いる。これは従来技術における上拡散シートにあたる。
本実施例においては、該拡散シート3Fと前記導光板3との間にフィルム6を介在させる。本例におけるフィルム6は、光学性をもつフィルムであり、特にレンズフィルム(下向きレンズフィルム)である。
図1-bに、図1-aに示した構成要素を組立てて、バックライトユニットにした構成を示す。図1-b中、符号5は被照射体(液晶パネル)を示し、符号Uは、図1-aに示した構成要素を組立てて構成したバックライトユニットである。また図1-cに、本実施例システムの主要断面構成を示す。図示のように、導光板3には、その反射シート1に対向する面に、光学素子が形成されている。図示では、プリズムが切られている。
次に、本実施例における反射シートについて述べる。図2を参照する。
ここで用いる反射シート1は、基体シート1a上に、表面層1b(ここでは印刷インキを主とするインキ層)が形成されている。この表面層1b中には、微粒子1cとして、ビーズが含有されている。
本実施例にあっては、反射シート1の基体シート1aとしては、白色発泡樹脂からなる樹脂シートを用い、特に、ポリエステル白色発泡樹脂シートを用いた(たとえば東レ製のE−60)。表面層1bは、ポリエステルをバインダーとしてここにウレタンビーズを含有させたものをインキとし、これを基体シート1a上にシルクスクリーン印刷して表面層1bを形成した。
この表面層1bを形成するためにインキは、ウレタンビーズを10wt%含有するものを用いたが、微粒子であるビーズの含有量は目的に応じて任意に選ぶことができる。たとえば、好ましくは、1〜60wt%の範囲から選ぶことができる。
微粒子の粒径は、ここでは15ミクロンとした。この粒径も目的に応じて任意に選ぶことができ、たとえば、好ましくは、10〜25ミクロン、特に10〜20ミクロン、さらには15〜20ミクロンの範囲から選ぶことができる。
本実施例においては、シルクスクリーン印刷により、表面層を形成したが、シルクスクリーン印刷によれば厚く層形成ができるので、上記のような、15ミクロン径の微粒子でも、該微粒子が層から突出することなく、表面層の形成が可能である。微粒子が15ミクロン径の場合、表面層の厚さは好ましくは、30ミクロンとする。ここでは微粒子径の2倍程度の厚さとしたものである。本実施例の形態においては、この程度の表面層厚さであることが、良好な効果を得る上で好ましい。なおスクリーン素材としては、ナイロン、またはテトロンを用いることができる。
従来のコーティング(ロール等から直接に被印刷体に塗布を行う手法)による層形成では、同条件のビーズを用いると、厚い膜を塗布形成することができないため、図6に示すように、ビーズが反射シート1Aの表面層から突出し、この突出部が逆に導光板等をキズ付けることになる。
本実施例の反射シート1によれば、厚い表面層が形成できるので、好ましい光学挙動を得るために、15ミクロン(あるいはそれ以上)といった大粒径の微粒子を用いても、導光板等のキズ付け等の問題点は生じない。
また本実施例の反射シート1によれば、微粒子1cの屈折により、光を正面に集めて正面輝度を高める効果も合わせて発揮される(絶対反射)。なお、ビーズとなるたとえば白色発泡樹脂内の泡による屈折が界面より劣るため拡散反射は落ちる傾向はあるが、実測によれば絶対反射が大きくなり、術用的には有利である。
なおインキのバインダー、微粒子素材、基材の材質等についても、適宜所望に応じて任意の材料を用いることができる。たとえば、インキのバインダーとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)系、アクリル樹脂系、UV硬化インキなどを好ましく使用できる。好ましい微粒子素材としては、ウレタンビーズ、アクリルビーズ、ガラスビーズ、シリカ系粉体、パール、チタン等を挙げることができる。好ましい基材としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)系、ポリカーボネート系、アクリル系の各樹脂等を挙げることができる。
上記のように本実施例に係る反射シート1は、スクリーン印刷を用い、コーティングでは困難な十分な膜厚を得るとともに、透明インキとウレタンビーズとの組み合せで表面硬度を柔らかくし、また滑り性を良くした。これにより、従来の反射シートに比較し、傷つき性が少ない反射シート1が得られた。
この反射シートは、表面硬度が鉛筆硬度で6B未満(JIS K5600塗料一般試験法による)という柔らかさを実現した。
傷つきに関しては数字で表すことはできないが、振動試験の結果、この反射シートは従来のキズ付き防止処理の反射シートと比較し、明らかに見た目(目視)でのキズが無いことが評価されている。
また、反射シートとしての性能を左右する反射率では、上述したように拡散反射で従来の白色発泡樹脂性の反射シートに比較し2〜3%劣るが、見かけの分光反射率では逆に2〜3%高くなる。見かけの分光反射率が高くなっているということは、実際の使用時には、反射が高く視認されるということである。
この光学特性につき、実測した結果を下記表1及び表2に示す。表1は拡散反射法によるものであり、表2は絶対反射法によるものである。表中、FDRとするのが本実施例で得られる反射シートであり、E60Lとするのが従来の反射シートである。
測定機器は紫外可視分光光度計(島津製作所製 UV−3100PC)を用いた。参照物質は硫酸バリウムである。
Figure 2005108788
Figure 2005108788
さらに、本発明に係る試料である上記FDR(試料番号S1とする)、及び従来技術に係る試料E60L(試料番号S2とする)及び他の2種類の比較試料(試料番号S3,4とする)、合計4種の試料について、その拡散反射法による反射測定結果(図7)、及び絶対反射法による反射測定結果(図8)を、それぞれの図に示した。図7のように、拡散反射で従来の白色発泡樹脂性の反射シートである試料S2等に比較し数%劣るが、図8の絶対反射測定では逆に本発明に係る試料は顕著に反射が高く、他の試料S2〜S3を圧倒している。
なお図7及び図8の測定条件は、下記のとおりである。
測定装置:紫外可視分光光度計(島津製作所製 UV−3100PC)
測定方法:拡散反射法(図7)、絶対反射法(図8)
参照:硫酸バリウム
測定波長:300nm−800nm
スリット:5nm
光源:重水素ランプ(300−360nm)、ハロゲンランプ(360nm−800nm)
検出器:PM
上記の各データからも明らかなように、本発明に係る試料は、分光反射は基材となる白色発泡樹脂より低いが、絶対反射では逆に高くなるため、表面での反射効率が優れ、反射シートとしての性能も損なわれていない。使用の上ではむしろ優れている。
この反射シート1は、その裏面に透過防止層を入れてもよい。透過防止層を入れることにより、裏面も反射層とすることができる。また、裏面は平滑面としてもよい。あるいは、別の態様として、裏面にも同様に微粒子入り表面層を形成して、反射シート1とすることも、好ましい形態である。取り扱い等で有利である。
次に、上記反射シート1と、導光板3の作用について、説明する。反射シート1及び導光板3の光学的挙動は、光学的全反射と屈折の応用に基づくものであり、次のとおりである。図3を参照する。
導光板3内を進む光は多くの反射と屈折を繰り返すが、その際、反射面においてエネルギーロスを伴うと、導光板の光効率は極端に低くなる。
一般に反射面というと、金属面反射が想起されるが、たとえば金属面における反射は決して効率の良いものではない。最も優秀な金属面反射でも通常、10%〜15%程度のロスをともなう。よって、3回も反射を繰り返すと、光のエネルギーは半分以下になってしまう。
一方、屈折率界面における全反射は、エネルギーロスのない完璧な反射であり、反射率は100%である。反射を何十回繰り返してもエネルギーロスはゼロである。導光板においてこのことは重要な要素となっている。したがって、導光板では、至る所に屈折率界面における全反射を利用することが好ましい。
すなわち、導光板3の表面、代表的にはアクリル平滑面における全反射が、利用される。図3に示すように、アクリル端面から入光した光L1は、平滑面で全反射(図3に符号R1で示す)を繰り返しながら、導光板3の内部を進んで行く。
アクリル樹脂の屈折率は約1.49であるので、導光板3をアクリル樹脂製とした場合、これから計算して得られる全反射角(臨界角)は、42.2°となる(図4参照)。
このことは、図4に示すように、アクリル板の端面では接線すれすれの光を含むすべての角度の光がアクリル板内に入光し、一旦入光した光はすべてが全反射光となってアクリル坂内を進んでいくことを示している。(表面反射7%を除く)。
次に、反射シート1の全反射について述べる。本実施例において、導光板3の裏面に抜けた光を正面に反射する反射シート1の基体は、見た目は真っ白なつや紙のように見えるが、これはPET(ポリエチレンテレフタレート)やポリカーボネートなど、光学的に透明度の高い樹脂を微細発泡させて作られている。
この泡の直径は数ミクロン程度であるが、泡が微細で密度が高いほど反射率は高くなる。反射シート1の素材として代表的なものは東レのE−60(ポリエステル樹脂)などがある。
泡は空気からなり、屈折率約1.00の素材であり、透明樹脂との間で良好な屈折率界面を形成する。導光板においては空気も構成部品の一部をなす。
本実施例の反射シート1は、上述のような基体上に微粒子含有層が形成され、これが導光板3の素子面(図3の導光板3の下側のプリズム面)側に位置することにより、上述した光学的作用を果たすとともに、導光板3をきずつけることなく、配置されるのである。
また本実施例の反射構造は、上述のような反射シート1を用いることにより、従来より少ないシート点数で有効な反射を達成できる。
本実施例は、実施例1と同様、部品点数を少なくしたバックライト反射システムに、本発明を適用したものである。本実施例においては、実施例1を示す図1の構造から、フィルム6を除いた構成とした。すなわち本例では、1枚の反射シートと、該反射シートにより反射された光を被照射方向に導く1枚の導光板と、該導光板により導かれた光を被照射方向に拡散する1枚の拡散シートの3要素のみから成る主構造を備える構成としたものである。導光板にはその反射シート側に光学素子が形成され、かつ、反射シートの導光板の側の面には微粒子を含有した表面層が形成されていることは、実施例1と同様である。本実施例においても、実施例1と同様の形態で反射シート及び導光板が構成されているので、ほぼ同様の作用効果が実現できた。
実施例に係る反射構造の構成図である(分解構造図)。 実施例に係る反射構造の構成図である(ユニット組立図)。 実施例に係る反射構造の構成図である(断面構成図)。 実施例に係る反射シートの構成図である。 反射シートと素子付き導光板の作用を説明する図である。 アクリル導光板の光学作用を説明する図である。 従来技術に係る反射構造の構成図である。 従来技術に係る反射シートの構成図である。 本発明に係る試料と比較試料の拡散反射測定の結果のグラフである。 本発明に係る試料と比較試料の絶対反射測定の結果のグラフである。
符号の説明
1 反射シート
3 導光板
3F 拡散シート
4 光源(蛍光管)
5 被照射体(液晶パネル)
6 フィルム
S1 本発明に係る試料
S2〜S4 比較試料

Claims (10)

  1. 反射シートと、該反射シートにより反射された光を被照射方向に導く導光板とを備え、該反射シートは、該導光板との間に他のシートを介在させることなく、該導光板の被照射方向とは逆の側に配置される光反射構造において、
    前記導光板にはその反射シート側に光学素子が形成され、かつ、
    前記反射シートの前記導光板の側の面には微粒子を含有した表面層が形成されていることを特徴とする反射構造。
  2. 1枚の反射シートと、該反射シートにより反射された光を被照射方向に導く1枚の導光板と、該導光板により導かれた光を被照射方向に拡散する1枚の拡散シートの3要素のみから成る主構造を備え、
    前記導光板にはその反射シート側に光学素子が形成され、かつ、
    前記反射シートの前記導光板の側の面には微粒子を含有した表面層が形成されていることを特徴とする反射構造。
  3. 1枚の反射シートと、該反射シートにより反射された光を被照射方向に導く1枚の導光板と、該導光板により導かれた光を被照射方向に拡散する1枚の拡散シートと、該拡散シートと前記導光板との間に位置するフィルムの4要素のみから成る主構造を備え、
    前記導光板にはその反射シート側に光学素子が形成され、かつ、
    前記反射シートの前記導光板の側の面には微粒子を含有した表面層が形成されていることを特徴とする反射構造。
  4. 前記導光板に形成されている光学素子は、集光作用または屈折作用を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の反射構造。
  5. 前記拡散シートと前記導光板との間に位置する前記フィルムが、光学性をもつフィルムであることを特徴とする請求項3に記載の反射構造。
  6. 光を被照射方向に反射する反射シートであって、少なくとも一方の面に微粒子を含有した表面層が形成されて成るとともに、該表面層は、間接法印刷による印刷形成によるものであることを特徴とする反射シート。
  7. 前記微粒子を含有した表面層が両面に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の反射シート。
  8. 前記微粒子を含有した表面層が片面に形成され、他の片面は平滑面あるいは反射面となっていることを特徴とする請求項6に記載の反射シート。
  9. 前記微粒子の直径は10〜25ミクロンであることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の反射シート。
  10. 前記微粒子を含有した表面層の厚さは10〜50ミクロンであることを特徴とする請求項6に記載の反射シート。
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