JP2005108445A - アルミ電線用接続端子 - Google Patents

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茂 荻原
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Abstract

【課題】防水構造を採用することなくアルミ電線の電線端末部から露出されたアルミ導体線との接触腐食を防止することができる銅合金よりなるアルミ電線用接続端子を提供すること。
【解決手段】アルミ電線4のアルミ導体4a端末部分が溶融接続される接続面3aを有する銅合金よりなる接続端子1において、その接続面3aには、アルミ導体4a端末部分の溶融接続の際に形成されるアルミ導体4aと接続面3aとの境界露出部6において両導体間を隔絶する亜鉛層5が介在するように、亜鉛メッキが施されている。
【選択図】図2

Description

本発明はアルミ電線の接続に関し、更に詳しくは、アルミ電線の異種金属の接触腐食が抑制される銅合金からなる接続端子に関する。
従来より架空送電線などの電力分野においては、軽量かつ電気伝導性に優れることから、アルミニウム系材料からなる導体線を有するアルミ電線が使用されている。これに対して、自動車、OA機器、家電製品の分野においては、電気伝導性に優れた銅系材料からなる導体線を有する銅電線が信号線、電力線として使用されている。
中でも自動車分野においては、車輌の高性能・高機能化が急速に進められてきていることから車載される各種電気機器、制御機器等の増加に伴って使用される銅電線も増加する傾向にあるのが現状である。また最近では環境への負荷の少ない電気自動車や燃料電池自動車の開発が盛んに行われているが、この種の自動車においては、バッテリーや燃料電池等から大きなエネルギーを取り出す必要があることから、これらに接続される電線としては従来の信号線に比べてより大径の電力線が必要とされる。
このような状況の下で車両の軽量化により燃費効率を向上させようとする場合、自動車1台当たりに使用される電線の総重量は決して軽視することができるものではなく、重量削減の対象となりうるものである。特に近い将来普及が見込まれている電気自動車や燃料電池自動車等においては、車載されるバッテリーや燃料電池などそれ自体が重いことから、少しでも車輌を軽くしたいという要望が強い。そこで、軽量化を図る目的から、比重が銅の約3分の1であるアルミニウムを導体線に用いたアルミ電線が最近自動車分野において特に注目されている(銅の8.96g/cmに対し、アルミニウムは2.70g/cm)。
実開平4−99364号
従来より、アルミ電線に限らず配線工事を行う場合には、電線どうしの接続や電線と外部電気機器の端子との接続、あるいは外部電気機器と接続するための接続端子が用いられる。この接続端子は、導電性、経済性等の観点から銅系材料で成形されたものが多く、アルミ電線の接続端子としてもこの銅端子を用いることができれば良いのであるが、アルミと銅の接合部において異種金属の接触腐食が懸念される。
この場合、銅の標準電極電位は+0.34Vであり、アルミニウムの標準電極電位は−1.66Vであるため、相互の標準電極電位差が2.00Vと大きなものとなる。このため雨天時の走行や洗車、或いは結露などによって被水して、2つの導体の接触部に、雨水等の電解質水溶液が侵入して滞留すると、アルミ、銅および電解質水溶液の三者により電池を形成して、この電池の陽極となるアルミ導体に異種金属の接触腐食による腐食が発生する。
このように電気的に卑であるアルミ導体のイオン化が進行して腐食が促進されると、接合部の接触状態が悪化し電気的特性が不安定になる他、接触抵抗の増大や腐食による線径の減少による電気抵抗の増大、更には断線が生じるおそれがあり、その結果電装部品の誤動作、機能停止に至ることも考えられる。
このような接触腐食を防ぐため、一般的には異種金属が接触・接合している箇所に耐水性の塗装を施して塗膜を形成する方法や、防水キャップを被せるなどする方法により接合部分に直接水分が付着するのを防止する方法が用いられているが、異種金属の接触部分に塗装を施して塗膜を形成し塗膜により被水しないようにする方法については、使用条件によっては塗膜の下で電食が進行し塗膜にブリスター(膨れ)が発生して電気化学的に卑であるアルミニウムの腐食が進行することが知られている。このため塗膜による保護も電食の防止としては充分な効果を有しているとはいえない。
また、防水キャップを用いる場合であっても被水を完全に防ぐことは困難であり、キャップは絶縁体である樹脂やゴムなどで成形されるのが一般的であるため、劣化などによって本来の機能を有しなくなる場合も生じる。
本発明が解決しようとする課題は、防水構造を採用することなくアルミ電線の電線端末部から露出されたアルミ導体との接触腐食を防止することができる銅合金よりなるアルミ電線用接続端子を提供することである。
この課題を解決するために本発明に係るアルミ電線用接続端子は、アルミ電線のアルミ導体端末部分が溶融接続される接続面を有する銅合金よりなる接続端子であって、この接続端子の前記接続面には、前記アルミ導体端末部分の溶融接続の際に形成されるアルミ導体と前記接続面との境界露出部において両導体間を隔絶する亜鉛層が介在するように、亜鉛メッキが施されていることを要旨とするものである。
上記構成を有するアルミ電線用接続端子によれば、アルミ導体端末部分の溶融接続の際に形成されるアルミ導体と接続面との境界露出部において両導体間を隔絶する亜鉛層が介在するので、境界露出部においては銅−亜鉛−アルミという接合状態が形成されることになる。これにより雨水等の電解質水溶液が侵入して滞留しても、もっぱら亜鉛層が接触腐食を引き受けることになり、アルミ導体が防食される。
また、アルミ導体端末部分の溶融接続の際に形成されるアルミ導体と接続面との境界露出部において両導体間を隔絶する亜鉛層が介在するように、接続端子の接続面に亜鉛メッキ層を形成するという構成なので、亜鉛メッキ部分は接続面の一部で良いため、メッキ部分以外の接続面へのアルミの溶接性を劣らせることなく接続信頼性も良い。
このように、従来、異種金属が接触・接合している箇所に耐水性の塗装を施して塗膜を形成する方法や、防水キャップを被せるなどする方法を採ることなく、汎用の銅端子の接続面の所定の部分に亜鉛メッキ層を形成したものを用いるだけで、雨水等によるアルミ導体の電食を抑制することができ、接触状態が悪化し電気的特性が不安定になる他、接触抵抗の増大や腐食による線径の減少による電気抵抗の増大、更には断線が生じることが防止される。
以下に、本発明に係るアルミ電線用接続端子の実施の形態について図面を参照して説明する。図1に示される接続端子1は、銅や銅合金材料から鋳造や板金加工等により一体成形されたもので、各種電気装置等の被接続部への接続部分としての締結部2と、アルミ電線4の端末部が皮剥ぎされて露出されたアルミ導体4aが溶接される接続面3aを有する接続部3とが連結した状態に構成されている。
凹形状の接続部3の底壁のベース3bに連結された前方の締結部2は、貫通孔2aが形成さたリング形状を有している。接続端子1を各種電気装置等に接続する際に、この締結部2に形成された貫通孔2aに図示しないボルト等の締結手段を通し、各種電気装置等の被接続部に締め付け固定することで、アルミ電線4と各種電気装置等が接続端子1を介して接続される。
接続部3のベース3bの左右側壁3c,3cの内面側の所定高さ位置には、帯状の亜鉛メッキが施されて亜鉛層5が形成されている。この部分メッキは、接続端子1の接続部3の表面をマスク処理してメッキ槽に浸漬することにより形成される。そして、この接続部3のベース3b上にアルミ電線4のアルミ導体4aを載置して、図示しない抵抗溶接機又は超音波溶接機により、アルミ導体4a端末部分を溶融させると、図2に示すように、接続部3との導通接続がなされる。
溶融−硬化したアルミ導体4aの端末部分は、図示されるように、ベース3b上から左右側壁3c,3cの所定高さの位置まで密着した状態になる。このとき、亜鉛層5は、図3の断面図にも示されるように、溶融−硬化したアルミ導体4a内に埋没することなく、上側部分が一部露出された状態になり、アルミ導体4aと接続面3aとの境界露出部6において両導体間(銅−アルミ間)を隔絶するように亜鉛層5が介在することになる。これにより、境界露出部6には、銅−亜鉛−アルミという接合状態が形成される。
従って、この境界露出部6に、雨水等の電解質水溶液が侵入して滞留しても、もっぱら亜鉛層5が異種金属の接触腐食を引き受けることになり、アルミ導体4aが防食される。例えば、海水中の銅の腐食電位は約−0.15〜−0.30V、亜鉛の腐食電位は約−0.95〜−1.03V、アルミの腐食電位は約−1.05〜−1.15Vであるので、アルミと亜鉛の腐食電位の電位差は0.2V以下と小さいため、境界露出部6においてはアルミ導体4aが腐食しにくい。
また、水中(pH=6)での銅の腐食電位は約+0.13V、亜鉛の腐食電位は約−0.78V、アルミの腐食電位は約−0.15Vであるので、接続面3aである銅との電位差はアルミよりも亜鉛の方が大きいため、境界露出部6においては亜鉛層5に腐食が起きるためアルミ導体4aが腐食しにくい。
このように、従来、異種金属が接触・接合している箇所に耐水性の塗装を施して塗膜を形成する方法や、防水キャップを被せるなどする方法を採ることなく、汎用の銅端子の接続面の所定の部分に亜鉛メッキ層を形成したものを用いるだけで、雨水等によるアルミ導体の電蝕を抑制することができ、接触状態が悪化し電気的特性が不安定になる他、接触抵抗の増大や腐食による線径の減少による電気抵抗の増大、更には断線が生じることが防止される。
また、亜鉛層は溶接接続される接続面の一部にメッキ形成するだけでよいので、メッキ部分以外の接続面へのアルミ導体の溶接性が劣ることなく、接続信頼性も良い。
以上、本発明に係るアルミ電線用接続端子の一実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、図4に示すように亜鉛層7を接続部3と溶融接続後のアルミ導体4aの境界露出部となる部分全てに亘って形成した構成でもよく、すべての境界露出部において亜鉛層を介在させることができる。
本発明に係るアルミ電線用接続端子の一実施形態の外観斜視図を示したものである。 図1の溶接接続後の接続端子を示した図である。 図2の接続端子の接続部の断面構造を示した図である。 図1の接続端子の亜鉛層のメッキ部分の変形例を示した図である。
符号の説明
1 接続端子
2 締結部
2a 貫通孔
3 接続部
3a 接続面
3b ベース
3c 側壁
4 アルミ電線
4a アルミ導体
5 亜鉛層
6 境界露出部
7 亜鉛層

Claims (1)

  1. アルミ電線のアルミ導体端末部分が溶融接続される接続面を有する銅合金よりなる接続端子であって、この接続端子の前記接続面には、アルミ導体溶融接続の際に形成されるアルミ導体と前記接続面との境界露出部において両導体間を隔絶する亜鉛層が介在するように、亜鉛メッキが施されていることを特徴とするアルミ電線用接続端子。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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