JP2005105446A - エアバッグ用基布およびその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エアバッグ用基布として要求される機械的特性を確保しつつ、低通気性でしかも収納性に優れたエアバッグ用基布を提供する。また、上記エアバッグ用基布を簡便且つ安価に製造できる方法を提供する。
【解決手段】 合成繊維よりなるマルチフィラメント糸を製織し、得られた織物に収縮加工を施すことにより得られるエアバッグ用基布であって、前記マルチフィラメント糸として、扁平度が1.2〜6の単糸で構成されていると共に沸水収縮率が5〜15%であるものを使用し、収縮加工後の基布を構成する経糸と緯糸の繊度と密度から求められるカバーファクター(CF)が所定の関係を満たし、且つ、前記マルチフィラメント糸の総繊度をD(dtex)、収縮加工後の基布を構成する経糸の幅をWw、緯糸の幅をWfとしたときに、これらの値が所定の関係を満たすエアバッグ用基布である。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車の安全装置として用いられるエアバッグを構成するエアバッグ用基布に関し、より詳細には、機械的特性を損なうことなく収納性に優れ、しかも低通気度の基布および該基布を製造する方法に関するものである。
近年、安全装置の一つとして多くの自動車にエアバッグが装備されている。エアバッグは、衝突事故の際に自動車本体に衝撃を受けたことをセンサーが感知すると、高温・高圧のガスをインフレーターからエアバッグ内へ供給し、該エアバッグを車内に急展開させることによって運転者や同乗者が受ける衝撃を緩和する装置であり、例えば頭部がハンドルやフロントガラス、ドアガラス等に激突するのを防止したり、さらには身体が衝突方向へ飛び出すのを防ぐ装置である。
こうしたエアバッグを構成するエアバッグ用基布は、一般的には合成繊維よりなるマルチフィラメント糸を製織し、得られた織物に収縮加工を施すことにより製造されるが、その素材としては、耐熱性や空気遮断性(低通気性)、難燃性などを高めるために、織物の表面にクロロプレンやクロロスルフォン化オレフィン、シリコーンなどの合成ゴムを被覆したコーティング基布が用いられていた。しかし、表面をコーティングした基布は重くなり、また柔軟性が低下して収納性が悪くなり、しかも製造コストがかかるためエアバッグ用基布として使用するには問題が多かった。そこで、こうした問題を解決すべく合成ゴムコーティングの代わりにシリコーンコーティングした基布が開発された。ところがこの基布でも、上記問題を完全に解決できるわけではなかった。
そこで、最近では表面にコーティングを施さない基布(ノンコートエアバッグ用基布)を用いたノンコートエアバッグが主流になっており、軽量化や収納性を改善している。そして、ノンコートエアバッグ用基布の空気遮断性(低通気性)を更に改善すべく種々の技術が提案されている。
例えば特許文献1には、通気性の低いエアバッグ用織物を製造する方法として、織物の両面にカレンダ掛けを行なうことが提案されている。しかしカレンダ加工を施すことである程度の低通気性化は達成できるが、製造工程数の増大によるコストアップは免れない。またカレンダ加工を施すと基布の柔軟性が損なわれ、収納性が悪くなる。
特許文献2には、車両エアバッグ用基布を製造する際に、織物に化学収縮処理を施すことが提案されている。しかし化学収縮処理のために工程数を増やすと、コストアップになる他、化学処理によって布帛強度が低下することがあるため、エアバッグとしての信頼性に問題を生じる。
特許文献3には、単糸繊度の異なる熱可塑性合成繊維糸を混合した糸条を用いたノンコートエアバッグ用布帛が提案されている。しかし単糸繊度の異なる熱可塑性繊維糸を製造する工程が別途必要となり煩雑となる。
特開平4-2835号公報 特開平6-41844号公報([特許請求の範囲]、[0005]ご参照) 特開平8-325888号公報([特許請求の範囲]、[0017]ご参照)
本発明は、この様な状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、エアバッグ用基布として要求される機械的特性を確保しつつ、低通気性でしかも収納性に優れたエアバッグ用基布を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記エアバッグ用基布を簡便且つ安価に製造できる方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係るエアバッグ用基布は、合成繊維よりなるマルチフィラメント糸を製織し、得られた織物に収縮加工を施すことにより得られるエアバッグ用基布であって、前記マルチフィラメント糸として、扁平度が1.2〜6の単糸で構成されていると共に沸水収縮率が5〜15%であるものを使用し、収縮加工後の基布を構成する経糸と緯糸の繊度と密度から求められるカバーファクター(CF)が下記(1)式の関係を満たし、且つ、前記マルチフィラメント糸の総繊度をD(dtex)、収縮加工後の基布を構成する経糸の幅をWw、緯糸の幅をWfとしたときに、下記(2)〜(4)式の関係を満たす点に要旨を有する。
2000≦CF≦2400 ・・・(1)
Aw=D0.5/Ww≦45 ・・・(2)
Af=D0.5/Wf≦45 ・・・(3)
0.90≦Aw/Af≦1.10 ・・・(4)
但し、上記(1)式中、
CF[(dtex)0.5本/2.54cm]=(経糸の繊度)0.5×経糸の密度+(緯糸の繊度)0.5×緯糸の密度
である。
前記単糸としては、単糸の繊度が1〜6dtexで構成されたマルチフィラメント糸を用いたものが好ましい。本発明のエアバッグ用基布は、20kPa差圧下における通気度が0.5L/cm/min以下という優れた低通気性を達成できる。
上記エアバッグ用基布を確実に製造するには、前記マルチフィラメント糸を製織する際の経糸テンションを0.1〜0.3cN/dtexに制御することが重要である。前記収縮加工には、熱水を用いることが好ましい。また、製織して得られた織物は、乾燥することなく収縮加工を施すことが好ましい。
本発明によれば、エアバッグ用基布として要求される機械的特性を確保しつつ、低通気性でしかも収納性に優れたエアバッグ用基布を提供することができる。本発明の製法で得られるエアバッグ用基布は、特にノンコートエアバッグ用基布として有用である。
また、本発明の製法によれば、エアバッグ用基布を製造する際の工程数を増やす必要が無いので、上記エアバッグ用基布を低コストで提供できる。
上述した様に、エアバッグ用基布の低通気性を高めるべく工程数を増やすと、コスト高となり、コスト低減は難しい。また、車内のスペースは限られているためエアバッグ装置を小型するにはエアバッグ用基布の柔軟性を高め、収納性を向上させる必要があるが、従来の方法で得られるエアバッグ用基布の柔軟性は満足のいくものではなかった。そこで本発明者らは、低通気性でしかも柔軟性の高いエアバッグ用基布について鋭意検討を重ねた。その結果、基布の素材として扁平形状の単糸を用いると共に、該単糸よりなるマルチフィラメント糸の熱水収縮率を特定し、さらに織物に収縮加工を施す前のマルチフィラメント糸の繊度と収縮加工を施した後のマルチフィラメント糸の幅との関係が所定の範囲にあるエアバッグ用基布は上記課題を克服し得るものになることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明の作用効果について説明する。
本発明のエアバッグ用基布は、合成繊維よりなるマルチフィラメント糸を製織し、得られる織物に収縮加工を施すことによって製造される。ここで、マルチフィラメント糸とは、合成繊維よりなる単糸(モノフィラメント)を複数本集めた糸である。
本発明で用いることのできる合成繊維の種類は特に限定されないが、例えばナイロン66,ナイロン6,ナイロン46,ナイロン12等の脂肪族ポリアミド繊維、アラミド繊維のような芳香族ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維が使用される。また、全芳香族ポリエステル繊維や超高分子量ポリエチレン繊維、PPS繊維、ポリエーテルケトン繊維等も用いることができる。但し、経済性を考慮するとポリアミド繊維やポリエステル繊維を用いることが好ましく、さらに素材としての特性を考慮するとポリアミド繊維が特に好ましい。
合成繊維の原料としては、その一部または全部が再利用したものであってもよく、また原糸製造工程や後加工工程での工程通過性を向上させるため、各種添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤や熱安定剤、平滑剤、帯電防止剤、増粘剤、難燃剤等が挙げられる。なお、上記合成繊維は色糸であっても勿論構わない。
本発明で用いるマルチフィラメント糸は、上記合成繊維よりなる単糸を複数本集めたものであるが、本発明では単糸の断面形状が、扁平度1.2〜6のものを用いることが重要である。即ち、通常の単糸断面は、扁平度が約1.0の円形(以下、「円形単糸」と称する場合がある)であるが、本発明では断面形状が扁平した単糸(以下、「扁平単糸」と称する場合がある)を用いる。
そして、本発明では扁平単糸を複数本集めてマルチフィラメント糸とし、このマルチフィラメント糸を製織して織物とする。このとき単糸が扁平断面の短径方向に積重なるように配置することで、織物の断面における単位面積あたりの隙間が減少する。そのため、繊度が同程度の円形単糸を複数本集めたマルチフィラメント糸を用いて製織された織物と比較すると、織密度が同程度のものであっても扁平単糸を用いて得られた織物の方が、エアバッグが展開する際の通気量を抑えることができる。また、円形単糸を用いて得られた織物の通気量と同レベルの通気量を有する織物を、扁平単糸を用いて設計すると、織物の総繊度を小さくすることが可能となり、織物を薄くでき、軽量で柔軟性のある基布ができる。
こうした効果を得るには、扁平単糸として扁平度が1.2〜6のものを用いることが必要である。扁平度が1.2未満では、扁平による上記効果が有効に発揮されないからである。より好ましくは扁平度が1.5以上、さらに好ましくは扁平度が2.0以上の扁平単糸でマルチフィラメント糸を構成することが望ましい。一方、扁平度が6を超えると、扁平単糸を製糸する際に切れやすくなり、また毛羽の原因となる。より好ましくは扁平度が5.0以下、さらに好ましくは扁平度が4.0以下の扁平単糸でマルチフィラメント糸を構成することが推奨される。
扁平単糸でマルチフィラメント糸を構成する際には、全ての扁平単糸が同一の扁平度である必要はなく、扁平度の異なる扁平単糸を任意の割合で混合してもよい。この場合、扁平による効果を有効に発揮させるには、マルチフィラメント糸を構成する扁平単糸の総数に対して、扁平度の等しい扁平単糸の割合を50%以上とすることが好ましく、より好ましくは70%以上である。
本発明において単糸断面の扁平度とは、単糸断面の形状を楕円に近似し、その長径と短径の比(長径/短径)として定義する。図1に、本発明における扁平単糸の断面形状の一例を示す。図中、aは扁平単糸の長径、bは扁平単糸の短径を夫々示しており、扁平度はa/bを計算することにより算出される。なお、図1に示した断面形状は代表例であって、本発明の扁平単糸の断面形状はこれに制限されるものではない。即ち、扁平単糸の断面は完全な楕円状である必要はなく、全体としての扁平性に影響を与えない範囲で、一部に突起や窪みを有していても差し支えない。また、図1に示した様に、左右対称である必要もない。この様な場合でも全体の外形を損ねないように楕円状に近似し、最も長い径を長径aとし、最も短い径を短径bとして、扁平度を算出すればよい。なお、好ましい断面形状は楕円形である。
単糸断面の扁平度は、具体的には、JIS規格のL 1096(6)により調製した布帛の断面写真を、走査型電子顕微鏡(SEM)で写真撮影し、単糸断面の写真上での単位長さを基準として最も長いところをa1、最も短いところをb1として求め、観察倍率T(倍)で割った値を夫々長径a、短径bとし、a/bを計算することにより算出する。
本発明では繊度が1〜6dtexの扁平単糸を用いることが好ましい。扁平単糸の繊度が1dtex未満では、単糸自体が細く紡糸が困難となり、また扁平の効果が得られ難い。一方、扁平単糸の繊度が6dtexを超えると、最終的に得られる織物の柔軟性が損なわれて収納性が悪くなり、また人体への影響の面から不利になる傾向がある。より好ましくは繊度が5dtex以下の扁平単糸を用いることが望ましい。なお、扁平単糸の繊度は、後述するマルチフィラメント糸の総繊度を、該マルチフィラメント糸を構成する扁平単糸の数で割ることで算出する。
本発明ではマルチフィラメント糸として、沸水収縮率が5〜15%のものを用いることが重要である。沸水収縮率が5%未満では、扁平単糸を用いた場合でも収縮加工時の充填率(緻密度)が充分に上がらず、低通気性が得られない。より好ましくは沸水収縮率が7%以上のマルチフィラメント糸を用いることが望ましい。一方、沸水収縮率が15%を超えると、収縮加工後の織物(基布)が厚くなり過ぎて収納性を損ねる。より好ましくは沸水収縮率が12%以下のマルチフィラメント糸を用いることが推奨される。なお、沸水収縮率は、JIS規格のL 1013(8.18.1の熱水収縮率B法)に準じて100℃で測定した値である。
本発明ではマルチフィラメント糸として、総繊度が100〜700dtexのものを用いることが好ましい。総繊度が100dtex未満では、引張強力および引裂強力が不足する傾向があるからであり、より好ましくは総繊度が120dtex以上のマルチフィラメント糸を用いることが望ましい。これに対し、総繊度が700dtexを超えると、強度には影響を与えないが、最終的に得られる織物の柔軟性が低下して収納性が悪くなる。また布帛表面が硬くなり、衝突時に却って人体に傷をつける恐れが生じてくる。マルチフィラメント糸のより好ましい総繊度は500dtex以下である。なお、マルチフィラメント糸の総繊度は、JIS規格のL 1013(8.3.1のA法)に準じて測定できる。
本発明のエアバッグ用基布は、上記マルチフィラメント糸を製織し、この織物に収縮加工を施すことによって得られるが、収縮加工後のエアバッグ用基布は、該基布を構成する経糸と緯糸の繊度と、経糸と緯糸の密度から求められるカバーファクター(CF)が下記(1)式の関係を満たすことが重要である。
2000≦CF≦2400 ・・・(1)
但し、上記(1)式中、
CF[(dtex)0.5本/2.54cm]=(経糸の繊度)0.5×経糸の密度+(緯糸の繊度)0.5×緯糸の密度
である。
カバーファクターとは、収縮加工されたエアバッグ用基布の織物状態での通気性を、経糸と緯糸の繊度(dtex)と、それらの各密度(本/2.54cm)との関係として表わした指標であり、所謂織密度を表わしている。即ちCF値が2400より大きければ、糸同士の隙間が小さい織物となり、エアバッグ用基布の低通気性(気密性)は良好となるが、その反面柔軟性は低下し、しかも重くなる。好ましいCF値は2350以下である。一方、織物のCF値が2000未満では、エアバッグ用基布の柔軟性は良好となり、しかも軽量化されるが、その一方で低通気性が悪くなる。従って、エアバッグ用基布として適度の柔軟性と充分な気密性(低通気性)を確保するには、CF値が2000以上のエアバッグ用基布でなければならない。好ましいCF値は2100以上である。
ここで、収縮加工後のエアバッグ用基布を構成するマルチフィラメント糸について、経糸または緯糸の繊度および密度は、JIS規格のL 1096(8.8)およびL 1096(8.6)に準じて測定できる。
エアバッグ用基布の特性は上記CF値によってある程度決まってくるが、本発明者らが更に検討を重ねたところ、上記CF値に加えて、収縮加工前におけるマルチフィラメント糸の総繊度D(dtex)と、収縮加工後の基布を構成するマルチフィラメント糸の幅との関係も、エアバッグ用基布としての低通気性の厳密な評価要素になることが明らかとなった。
即ち、本発明のエアバッグ用基布は、収縮加工前におけるマルチフィラメント糸の総繊度をD(dtex)、収縮加工後の基布を構成する経糸の幅をWw、緯糸の幅をWfとしたときに、下記(2)〜(4)式の関係を満たすことが重要である。なお、下記(2)式ではDとして経糸の総繊度を用い、下記(3)式ではDとして緯糸の総繊度を用いて算出する。
Aw=D0.5/Ww≦45 ・・・(2)
Af=D0.5/Wf≦45 ・・・(3)
0.90≦Aw/Af≦1.10 ・・・(4)
上記(2)式と(3)式からは、織物の素材として用いたマルチフィラメント糸の総繊度(D)を、織物状態でのマルチフィラメント糸の幅(W)で除した値(A)が算出される。この値は、収縮加工後の基布の表面を観察したときに、該基布の素材となるマルチフィラメント糸を構成する個々の扁平単糸がどの程度幅方向に広がり、単糸同士の隙間をどの程度狭めているかを表わしている。そして、上記(2)式では織物の素材となるマルチフィラメント糸の総繊度Dを、収縮加工後の基布の経糸の幅Wwで除すことによりAw値を算出しており、上記(3)式では織物の素材となるマルチフィラメント糸の総繊度Dを、収縮加工後の基布の経糸の幅Wfで除すことによりAf値を算出している。なお、上記(2)式と(3)式において、総繊度の平方根を用いているのは、総繊度は単位長さ当たりの重さであり、比重がほぼ同等であれば、その平方根は繊維を理想的な円柱と仮定したときの直径(半径)に比例するからである。
上記Aw値とAf値は夫々45以下でなければならない。単糸の繊度が大きい場合や、あるいは撚糸の如く収束性の高いマルチフィラメント糸を用いると、糸全体としての収束性が高くなって上記Aw値またはAf値は45を超えてしまい、満足のいく低通気性を確保できなくなる。しかしAw値とAf値が夫々45以下であれば、製織して得られる織物に表面コート処理やカレンダ加工を施さなくても、安定して高レベルの低通気性を確保できる。Aw値とAf値は夫々43以下であることが好ましい。
更に本発明では、上記Aw値と上記Af値の関係(Aw/Af)が0.90〜1.10でなければならない。通常は、緯糸のクリンプ率は経糸に比べて高く、緯糸単糸が横方向へ広がらないためにWf値が小さくなってしまうためAw<Afとなるが、収縮加工工程での条件を適正化するとAf値を小さくすることができ、その結果Aw値とAf値の差を10%以内にでき、経糸と緯糸のバランスが良好となる。即ち、Af値を小さくするとより一層低通気度化し、しかもAw値とAf値の差を小さくすることで織物の経方向と緯方向の剛軟度の差も小さくなり、収納性に優れた織物(基布)になる。なお、Af値を小さくするには、具体的には製織工程において経糸テンションを0.1〜0.3cN/dtexに調整すればよい。
本発明のエアバッグ用基布は、20kPa差圧下での通気度が0.5L/cm/min以下という非常に低通気性の布帛となり、エアバッグ展開時における人体の初期拘束性能の向上に寄与する。なお、エアバッグ用基布の通気度は、例えば高圧通気度試験機(OEMシステム株式会社製)を用いて測定できる。
次に、本発明に係る製法について説明する。
本発明に用いることのできる合成繊維は、通常の溶融紡糸法により合成樹脂を口金から紡出して得られる。紡糸条件は合成繊維の原料となる合成樹脂(ポリマ)の種類によって異なり、ポリマの粘性や熱特性等を考慮して適当な条件を選択すればよい。一般的には、ポリマの熱による劣化を防ぐために、紡糸機内におけるポリマの滞留時間を短くすることが好ましく、通常は10分以内とするのがよい。より好ましくは1〜5分程度とすることが推奨される。
例えば合成樹脂として、ポリエチレンテレフタレートやポリヘキサメチレンアジパミドを原料として合成繊維を得る場合は、紡糸温度を280〜310℃とすると共に、口金の直下に、長さが5〜50cm程度で、温度を200〜350℃程度、相対湿度を85%程度に制御した加熱筒内を設け、この加熱筒内を通過させることが好ましい。該加熱筒内を通過させることにより溶融ポリマの固化を遅らせ、高強度を発現させることができる。なお、加熱筒の長さや温度、相対湿度の条件は、得られる合成繊維(単糸)の繊度や扁平度、さらには該単糸をまとめてマルチフィラメント糸を得る際の単糸の数等により最適化される。また、加熱筒内を高温にすることによる熱劣化を抑制するため、必要に応じて加熱筒内の雰囲気を高温不活性ガスでシールすることも有効である。
ここで、合成繊維(単糸)断面の扁平度を上記範囲に制御するには、例えば、上記口金として異形孔のものを用い、この異形口金孔よりポリマを吐出させる直接製糸法や、複合紡糸法を用い2種以上のポリマを同時に吐出した後、少なくとも1成分を除去する方法などを適用すればよい。複合紡糸法を適用する場合は、延伸後または布帛作製後に少なくとも1成分を除去することによって、単糸繊度の小さい扁平単糸(モノフィラメント)を得ることができる。なお、製糸のしやすさや工程の容易さを考慮すると異形孔を有する口金を使用することが好ましい。
扁平単糸の繊度やマルチフィラメント糸の総繊度を上記範囲に制御するには、公知の方法に従って、口金のサイズを変化させたり、ポリマの吐出量と孔の数を定めることにより調整できる。扁平単糸を集めてマルチフィラメント糸を得るには、例えば、多孔口金を用いる方法や複数の口金から排出されるポリマを合わせる方法等を採用できる。マルチフィラメント糸の沸水収縮率を上記範囲に制御するには、例えば、延伸時のローラ温度やリラックス率を制御することで調整できる。
次に、紡出された糸条は、上述した様に高温雰囲気中を通過した後、冷風で冷却固化され、次いで油剤が付与されたあと、紡糸速度を制御する引取りロールで引き取られる。引取りロールで引き取られた未延伸糸条は、通常、連続して延伸されるが、一旦巻き取った後別工程で延伸することも可能である。紡糸速度は、通常、2000m/min以下で行われ、延伸は常法の熱延伸が採用される。延伸は、2段以上の多段延伸が好ましく、延伸倍率は、未延伸糸の複屈折、延伸温度および多段延伸する際の延伸比配分等によっても変わるが、1.5〜6.0倍とすることが好ましく、より好ましくは2.0〜5.5倍である。
次に、延伸された糸を常法に従って熱固定する。このとき熱固定時の張力や温度を変化させても構わない。
なお、上記延伸工程や熱固定工程では、走行糸条に交絡をかけてもよい。交絡は、エア交絡など公知の方法を採用できる。エア交絡の場合は、例えば用いる糸条の繊度や張力に応じて、エアの圧力を適宜変更することで適当な交絡度を達成できる。
次に、上記マルチフィラメント糸を製織して織物を得る。
上記合成繊維よりなるマルチフィラメント糸を用いてエアバッグ用基布を作製するには、得られたマルチフィラメント糸をそのまま経糸と緯糸に用い、通常の方法で製織する。このとき撚糸したり、糊づけしたりする必要はない。
製織方法は特に限定するものではないが、基布物性の均一性を考えると平織りが良い。使用する経糸と緯糸は同一でなくてもよく、例えばマルチフィラメント糸の太さや、マルチフィラメント糸を構成する単糸の本数、繊維の種類が異なっても何ら差し支えない。織機としては、例えばエアージェットルーム、レピアルーム、ウオータージェットルーム等特に限定するものではないが、生産性・品位の面からウオータージェットルームを用いることが好適である。
本発明の製法では、布帛を製織する際の経糸テンションを0.1〜0.3cN/dtexに設定する必要がある。即ち本発明では、特定の断面形状を有する扁平単糸よりなり、且つ、特定の熱水収縮率を有するマルチフィラメント糸を用いると共に、製織時における経糸テンションを所定の範囲に制御することによって、得られる織物は後段の収縮工程で充分に収縮し得るものとなり、結果として織り目の詰まったエアバッグ用基布を実現できる。つまり、経糸テンションが0.3cN/dtexを超えると単糸断面が揃いやすく、布帛はより低通気性化するが、経糸切れの原因になるなど生産面でのデメリットが大きくなる。好ましくは0.25cN/dtex以下に抑えるのがよい。一方、経糸テンションが0.1cN/dtexより小さいと、織物が厚くなり、収納性が悪くなるので0.1cN/dtex以上とする必要がある。好ましくは0.15cN/dtex以上に設定することが望ましい。
次に、得られた織物に収縮加工を施した後、乾燥する。製織された織物に収縮加工を施すことにより、織り目が詰まってエアバッグ用基布の低通気性が良好になるからである。
本発明では、この収縮加工工程で経糸テンションを0.08cN/dtex以下に抑えることが好ましい。経糸テンションが0.08cN/dtexを超えると、布帛を収縮させた時の応力が大きくなりすぎるため繊維同士の空隙が大きくなり、結果として低通気性の基布が得られなくなる。より好ましくは経糸テンションを0.06cN/dtex以下に抑えることが推奨される。なお、経糸テンションを小さくしすぎると収縮加工による効果が不充分となり、エアバッグ用基布の低通気性化を達成し難くなるため、経糸テンションは少なくとも0.03cN/dtex以上にすることが推奨される。
本発明では、収縮加工後の織物(エアバッグ用基布)の残留乾熱収縮率を3%以下に抑えることが好ましい。残留乾熱収縮率とは、収縮加工を経た織物を120℃で30分間乾燥させたときの乾燥前後における収縮率を示し、残留乾熱収縮率が3%を超えると寸法精度が悪くなる。
収縮加工としては、例えば熱水加工やピンテンターに代表される熱セット加工が挙げられるが、経糸テンションを0.08cN/dtex以下とし、且つ収縮加工後の織物の残留乾熱収縮率(120℃×30分間)を3%以下に抑制するには、収縮加工に熱水を用いる熱水加工が好ましい。収縮加工に熱水を用いることで繊維内の水素結合が切断されるため、経糸テンションを小さくでき、また繊維間の空隙を大きくすることなく繊維を構成する単糸の充填率を高めることができる。熱水を用いる際には、上記製織で得られた織物を熱水中に浸漬する方法や、織物に熱水を吹き付ける方法などを採用できる。熱水の温度は80〜100℃程度とすることが好ましい。なお、製織して得られた織物は、一旦乾燥させた後、収縮加工を施しても良いが、製造コストを考えると、製織して得られた織物を、乾燥することなく収縮加工を施し、次いで乾燥仕上げを行えばよい。
乾燥工程はエアバッグ用基布の通気度を高めないためにも150℃以下で行うことが望ましい。なお、乾燥後の布帛が前・後記の趣旨に適合し得る範囲であれば、乾燥後にカレンダ加工や樹脂加工、コーティング加工などを行っても差し支えない。但し、こうした加工工程を追加すると製造コストのアップを招くので注意が必要である。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、下記実施例または比較例において、扁平単糸の扁平度と繊度、マルチフィラメント糸の沸水収縮率と総繊度は、次に示す方法で測定した。
扁平度:JIS規格のL 1096(6)により調製した布帛の断面写真を、走査型電子顕微鏡(SEM)で写真撮影し、単糸断面の写真上での単位長さを基準として最も長いところをa1、最も短いところをb1として求め、観察倍率T(倍)で割った値を夫々長径a、短径bとし、a/bを扁平度とした。
繊度:マルチフィラメント糸の総繊度を、該マルチフィラメント糸を構成する扁平単糸の数で割ることで算出した。
沸水収縮率:JIS規格のL 1013(8.18.1の熱水収縮率B法)に準じて100℃で測定した。
総繊度(D):JIS規格のL 1013(8.13のA法)に準じて測定した。
また、得られたエアバッグ用基布の表面における経糸の幅(Ww)と緯糸の幅(Wf)は、次に示す方法で測定した。
WwとWf:JIS規格のL 1096(3)により調製した基布の表面写真を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真撮影し、図2の模式図に示す如く、その写真上での単位長さを基準として最も幅の広いところをWw1、Wf1(mm)として測定し、撮影倍率T(倍)で割った値(mm)をWw、Wfとする。
Ww(mm)=Ww1/T
Wf(mm)=Wf1/T
得られたWwまたはWfの値と、経糸または緯糸の総繊度(D)の値から上記(2)式と(3)式でAw値とAf値を算出した。
得られたエアバッグ用基布について、通気度、密度および剛軟度を次に示す方法で測定した。
通気度:OEMシステム株式会社製の高圧通気度試験機を用い、20kPa差圧下で測定した。
密度:JIS規格のL 1096(8.8.1)に準じて測定した。
剛軟度:JIS規格のL 1096(8.19.1のA法)に準じて測定した。
測定された密度と上記総繊度から上記(1)式でCF値を算出する。なお、下記経密度とはエアバッグ用基布を構成する経糸の密度であり、下記緯密度とはエアバッグ用基布を構成する緯糸の密度である。
実施例1
合成繊維の原料として単糸断面の扁平度が3.3のナイロン66繊維(扁平単糸)を用い、この扁平単糸を96本集めてマルチフィラメント糸を得た。扁平単糸の繊度は4.9dtexであり、マルチフィラメント糸の沸水収縮率は8.5%、総繊度は470dtexである。
得られたマルチフィラメント糸を、ウオータージェットルームにて経糸テンションを0.25cN/dtexに調整して平織りで製織し織物を得た。
得られた織物を95℃の熱水に浸漬して収縮加工を施し、次いで130℃で乾燥仕上げを行ってエアバッグ用基布を得た。なお、収縮加工工程での経糸テンションは0.06cN/dtexとした。
得られたエアバッグ用基布の密度を測定すると、経密度は49本/2.54cm、緯密度は50本/2.54cmであり、CFは2210であった。なお、2.54cmは1inchである。
また、エアバッグ用基布の通気度を測定し、結果を下記表1に示した。表1から明らかな様に、得られたエアバッグ用基布は、通気性が極めて低く、剛軟度も低く、経緯のバランスも良く優れた収納性を有しており、エアバッグ用基布として非常に優れたものであることが分かる。
実施例2
合成繊維の原料として単糸断面の扁平度が4.2のナイロン66繊維(扁平単糸)を用い、この扁平単糸を96本集めてマルチフィラメント糸を得た。扁平単糸の繊度は4.9dtexであり、マルチフィラメント糸の沸水収縮率は5.2%、総繊度は470dtexである。
得られたマルチフィラメント糸を、ウオータージェットルームにて経糸テンションを0.18cN/dtexに調整して平織りで製織し織物を得た。
得られた織物を98℃の熱水に浸漬して収縮加工を施し、次いで130℃で乾燥仕上げを行ってエアバッグ用基布を得た。なお、収縮加工工程での経糸テンションは0.07cN/dtexとした。
得られたエアバッグ用基布の密度を測定すると、経密度は51本/2.54cm、緯密度は51本/2.54cmであり、CFは2255であった。また、エアバッグ用基布の通気度を測定し、結果を下記表1に示した。表1から明らかな様に、通気性が極めて低く、剛軟度も低く経緯のバランスも良く優れた収納性を有しており、エアバッグ用織物として非常に優れたものであることが分かる。
実施例3
合成繊維の原料として単糸断面の扁平度が4.2のナイロン66繊維(扁平単糸)を用い、この扁平単糸を72本集めてマルチフィラメント糸を得た。扁平単糸の繊度は4.9dtexであり、マルチフィラメント糸の沸水収縮率は9.6%、総繊度は350dtexである。
得られたマルチフィラメント糸を、ウオータージェットルームにて経糸テンションを0.22cN/dtexに調整して平織りで製織し織物を得た。
得られた織物を85℃の熱水に浸漬して収縮加工を施し、次いで125℃で乾燥仕上げを行ってエアバッグ用基布を得た。なお、収縮加工工程での経糸テンションは0.05cN/dtexとした。
得られたエアバッグ用基布の密度を測定すると、経密度は57本/2.54cm、緯密度は58本/2.54cmであり、CFは2226であった。
エアバッグ用基布の通気度を測定し、下記表1に示した。表1から明らかな様に、通気性が極めて低く、剛軟度も低く経緯のバランスも良く優れた収納性を有しており、エアバッグ用織物として非常に優れたものであることがわかる。
実施例4
合成繊維の原料として単糸断面の扁平度が2.8のポリエステル繊維(扁平単糸)を用い、この扁平単糸を72本集めてマルチフィラメント糸を得た。扁平単糸の繊度は5.3dtexであり、マルチフィラメント糸の沸水収縮率は5.5%、総繊度は385dtexである。
得られたマルチフィラメント糸を、ウオータージェットルームにて経糸テンションを0.25cN/dtexに調整して平織りで製織し織物を得た。
得られた織物を98℃の熱水に浸漬して収縮加工を施し、次いで130℃で乾燥仕上げを行ってエアバッグ用基布を得た。なお、収縮加工工程での経糸テンションは0.07cN/dtexとした。
得られたエアバッグ用基布の密度を測定すると、経密度は59本/2.54cm、緯密度は59本/2.54cmであり、CFは2361であった。また、エアバッグ用基布の通気度を測定し、結果を下記表1に示した。表1から明らかな様に、低通気度基布であり、優れたエアバッグ用基布であった。
比較例1
合成繊維の原料として単糸断面の扁平度が3.3のナイロン66繊維(扁平単糸)を用い、この扁平単糸を96本集めてマルチフィラメント糸を得た。扁平単糸の繊度は4.9dtexであり、マルチフィラメント糸の沸水収縮率は3.0%、総繊度は470dtexである。
得られたマルチフィラメント糸を、ウオータージェットルームにて経糸テンションを0.25cN/dtexに調整して平織りで製織し織物を得た。
得られた織物を95℃の熱水に浸漬して収縮加工を施し、次いで130℃で乾燥仕上げを行ってエアバッグ用基布を得た。なお、収縮加工工程での経糸テンションは0.06cN/dtexとした。
得られたエアバッグ用基布の密度を測定すると、経密度は49本/2.54cm、緯密度は50本/2.54cmであり、CFは2167であった。また、エアバッグ用基布の通気度を測定し、結果を下記表1に示した。表1から明らかな様に、通気性が高くエアバッグ用基布として劣っていた。
比較例2
合成繊維の原料として単糸断面の扁平度が3.3のナイロン66繊維(扁平単糸)を用い、この扁平単糸を96本集めてマルチフィラメント糸を得た。扁平単糸の繊度は4.9dtexであり、マルチフィラメント糸の沸水収縮率は8.0%、総繊度は470dtexである。
得られたマルチフィラメント糸を、ウオータージェットルームにて経糸テンションを0.44cN/dtexに調整して平織りで製織し織物を得た。
得られた織物を95℃の熱水に浸漬して収縮加工を施し、次いで130℃で乾燥仕上げを行ってエアバッグ用基布を得た。なお、収縮加工工程での経糸テンションは0.06cN/dtexとした。
得られたエアバッグ用基布の密度を測定すると、経密度は56本/2.54cm、緯密度は56本/2.54cmであり、CFは2428であった。また、エアバッグ用基布の通気度を測定し、結果を下記表1に示した。表1から明らかな様に、この織物の通気性は非常に低いが、剛軟度が大きくて柔軟性に劣り、密度が高い分単位面積あたりの繊維量が多いために経済性においても好ましくないものであった。
比較例3
合成繊維の原料として単糸断面の扁平度が3.3のナイロン66繊維(扁平単糸)を用い、この扁平単糸を36本集めてマルチフィラメント糸を得た。扁平単糸の繊度は13.1dtexであり、マルチフィラメント糸の沸水収縮率は8.5%、総繊度は470dtexである。
得られたマルチフィラメント糸を、ウオータージェットルームにて経糸テンションを0.25cN/dtexに調整して平織りで製織し織物を得た。
得られた織物を95℃の熱水に浸漬して収縮加工を施し、次いで130℃で乾燥仕上げを行ってエアバッグ用基布を得た。なお、収縮加工工程での経糸テンションは0.06cN/dtexとした。
得られたエアバッグ用基布の密度を測定すると、経密度は49本/2.54cm、緯密度は50本/2.54cmであり、CFは2218であった。また、エアバッグ用基布の通気度を測定し、結果を下記表1に示した。表1から明らかな様に、剛軟度は低く収納性は良好であるが、通気性が高くエアバッグ用基布として劣っていた。
比較例4
合成繊維の原料として単糸断面の扁平度が1.0のナイロン66繊維(扁平単糸)を用い、この扁平単糸を144本集めてマルチフィラメント糸を得た。扁平単糸の繊度は2.4dtexであり、マルチフィラメント糸の沸水収縮率は8.5%、総繊度は350dtexである。
得られたマルチフィラメント糸を、ウオータージェットルームにて経糸テンションを0.25cN/dtexに調整して平織りで製織し織物を得た。
得られた織物を95℃の熱水に浸漬して収縮加工を施し、次いで130℃で乾燥仕上げを行ってエアバッグ用基布を得た。なお、収縮加工工程での経糸テンションは0.06cN/dtexとした。
得られたエアバッグ用基布の密度を測定すると、経密度は57本/2.54cm、緯密度は57本/2.54cmであり、CFは2197であった。エアバッグ用基布の通気度を測定し、結果を下記表1に示した。表1から明らかな様に、この基布は通気度が高く、経緯の剛軟度のバランスも悪かった。
比較例5
合成繊維の原料として単糸断面の扁平度が4.2のナイロン66繊維(扁平単糸)を用い、この扁平単糸を72本集めてマルチフィラメント糸を得た。扁平単糸の繊度は4.9dtexであり、マルチフィラメント糸の沸水収縮率は9.6%、総繊度は350dtexである。
得られたマルチフィラメント糸を、ウオータージェットルームにて経糸テンションを0.25cN/dtexに調整して平織りで製織した後、120℃で乾燥して織物を得た。
得られた織物を、ピンテンターを用いて180℃で収縮加工を施してエアバッグ用基布を得た。なお、収縮加工工程での経糸テンションは0.12cN/dtexとした。
得られたエアバッグ用基布の密度を測定すると、経密度は57本/2.54cm、緯密度は58本/2.54cmであり、CFは2223であった。また、エアバッグ用基布の通気度を測定し、結果を下記表1に示した。表1から明らかな様に、この基布は剛軟度のバランスが悪く、エアバッグ用織物として劣っていた。
本発明における扁平単糸の断面形状の一例を示す模式図である。 基布表面の模式図である。
符号の説明
a:長径
b:短径
Ww1:経糸の幅(mm)
Wf1:緯糸の幅(mm)

Claims (6)

  1. 合成繊維よりなるマルチフィラメント糸を製織し、得られた織物に収縮加工を施すことにより得られるエアバッグ用基布であって、
    前記マルチフィラメント糸として、扁平度が1.2〜6の単糸で構成されていると共に沸水収縮率が5〜15%であるものを使用し、
    収縮加工後の基布を構成する経糸と緯糸の繊度と密度から求められるカバーファクター(CF)が下記(1)式の関係を満たし、且つ、
    前記マルチフィラメント糸の総繊度をD(dtex)、収縮加工後の基布を構成する経糸の幅をWw、緯糸の幅をWfとしたときに、下記(2)〜(4)式の関係を満たすことを特徴とするエアバッグ用基布。
    2000≦CF≦2400 ・・・(1)
    Aw=D0.5/Ww≦45 ・・・(2)
    Af=D0.5/Wf≦45 ・・・(3)
    0.90≦Aw/Af≦1.10 ・・・(4)
    但し、上記(1)式中、
    CF[(dtex)0.5本/2.54cm]=(経糸の繊度)0.5×経糸の密度+(緯糸の繊度)0.5×緯糸の密度
    である。
  2. 単糸の繊度が1〜6dtexであるマルチフィラメント糸を用いたものである請求項1に記載のエアバッグ用基布。
  3. 請求項1または2に記載のエアバッグ用基布であって、20kPa差圧下における通気度が0.5L/cm/min以下であるエアバッグ用基布。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のエアバッグ用基布を製造する方法であって、
    前記マルチフィラメント糸を製織する際の経糸テンションを0.1〜0.3cN/dtexに制御することを特徴とするエアバッグ用基布の製法。
  5. 前記収縮加工に熱水を用いる請求項4に記載の製法。
  6. 製織して得られた織物を、乾燥することなく収縮加工を施す請求項4または5に記載の製法。

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