JP2005105197A - ポリエステル樹脂組成物及びそれからなるポリエステル繊維 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物及びそれからなるポリエステル繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた制電性、易染性、熱安定性を有し、熱劣化による物性低下が少なく、高速紡糸法によって紡糸した場合でも製糸性の良好なポリエステル樹脂と、それからなる繊維を提供する。
【解決手段】分子量100〜4000の脂肪族多価カルボン酸が1〜20モル%の割合で共重合された共重合ポリエステルであり、(A)該共重合ポリエステルに対して、スルホン酸アルカリ金属塩を0.5〜5重量%、重量平均分子量10000〜30000のポリオキシアルキレングリコールを0.3〜5重量%、二酸化チタンを0.03〜1重量%含有し、(B)該二酸化チタンの平均粒径が0.1〜0.5μmで、粒径が1μmを超える粒子の重量分率が0.5〜2重量%であり、Li、Na、K及びAlの群から選択される少なくとも1種の元素を二酸化チタン中に0.1〜0.5重量%含有し、(C)常圧下285℃で溶融保持したとき、ポリエステル樹脂組成物10g当りの分子鎖の見かけ切断数速度が、0.1〜1を満足する。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた制電性と優れた常圧可染性を有し、熱安定性に優れ熱劣化による物性低下が少なく、高速紡糸法によって紡糸した場合でも製糸性の良好な繊維を得ることができるポリエステル樹脂組成物、およびそれからなる易染性・制電性に優れたポリエステル繊維に関する。
ポリエステル繊維布帛、特にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートおよびこれらを主体とするポリエステル繊維布帛は、機械的強度、耐久性、機能性等の面で優れ、広く使用されているが、静電気が発生し易いため、製造時、加工時および使用時に種々のトラブルを発生し易いという欠点がある。従来このような欠点を解決する種々の方法が提案されている。
また一方、ポリエステル繊維布帛は染色されにくく、一般的な染色条件は130℃程度の高温条件で行われる。このため、他の素材糸との混繊布帛の染色が困難であるという問題があった。
現在の多様化する素材要求に対して十分な制電性、および他の素材との混繊が可能な染色性を共に兼ね備えるポリエステルは未だ存在しない。
ポリエステルに制電性を付与する方法としては例えば、最も簡単な方法として、帯電防止剤を繊維表面に塗布する方法が挙げられるが、この場合、染色工程や洗濯によって帯電防止剤が消失し易く、永続的な制電効果が期待できない欠点がある。
制電性繊維布帛における制電効果の永続性は基本的な要求特性であり、この特性を得るため、帯電防止剤をポリマーに練り込んでポリエステル自体を改質する方法、例えば、ポリオキシアルキレングリコールを繊維中に混入する方法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。しかしながら、この方法で充分な制電性を発揮させるためには極めて多量のポリオキシアルキレングリコールを要するため、得られる制電性ポリエステル繊維の機械的性質および耐光性が大きく低下し、使用に耐えないものとなる。
また、ポリオキシアルキレングリコールとアルキルベンゼンスルホン酸ソーダとを併用し混入する方法(例えば特許文献2参照。)、ポリオキシアルキレングルコールとアルキルスルホン酸ソーダとを併用し混入する方法(例えば特許文献3参照。)、シロキサン結合を有する有機ケイ素化合物を配合する方法(例えば特許文献4参照。)が提案されている。これらの方法によればポリオキシアルキレングルコールの使用量を減じることができるため、物性低下の少ない制電性ポリエステル繊維を得ることができる。しかしながら、依然熱劣化により繊維の着色が著しい。また同時に熱劣化の原因のため紡糸口金の清掃周期が短くなり、生産性が低下し、製糸性に劣るという欠点がある。
さらに上記いずれの方法においても、110℃以下の温度における染色性は不十分であり、染色性と制電性を併せ持つポリエステルはいまだ得られていない。
このように、帯電防止法として塗布法、練込法、複合紡糸法などの多数の方法が提案されているが、実用的なレベルの制電効果およびその永続性、機械的特性、耐光性、染色性、製造コスト等を同時に満足するものが得られていないというのが現状である。まして、延伸工程を必要としない高速紡糸方法においては、通常の紡糸法よりも高温、厳しい条件でポリマーろ過を行うのが一般的であり、製糸工程における熱劣化、圧力上昇や製糸性を満足する易染・制電性ポリエステル繊維を用いた布帛はまだ得られていない。
特公昭39−5214号公報 特許請求の範囲 特公昭47−11280号公報 特許請求の範囲 特開昭53−149246号公報 特許請求の範囲 特開平3−124760号公報 特許請求の範囲
本発明の目的は、前記従来技術の問題を解決し、優れた制電性、易染性、溶融時の熱安定性を有し、熱劣化による物性低下が少なく、高速紡糸法によって紡糸した場合でも製糸性の良好なポリエステル樹脂を提供すること、およびそれからなる、優れた制電性、易染性、熱安定性を有する繊維を提供することにある。
本発明者等は、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、ポリエステル繊維特有の優れた性質を損なうことなく、良好な帯電防止効果を有し、かついわゆる常圧可染性を有し、熱劣化による工程不良が抑制されたポリエスエルを容易に得られることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、分子量100以上4000未満の脂肪族多価カルボン酸が1モル%以上20モル%以下の割合で共重合された共重合ポリエステルであり、
(A)該共重合ポリエステルに対して、
(a)スルホン酸アルカリ金属塩を0.5重量%以上5重量%以下、
(b)重量平均分子量10000以上30000以下のポリオキシアルキレングリコールを0.3重量%以上5重量%以下、
(c)二酸化チタンを0.03重量%以上1重量%以下
含有し、
(B)該二酸化チタンの平均粒径が0.1μm以上0.5μm以下で、粒径が1μmを超える粒子の重量分率が0.5重量%以上2重量%以下であり、Li、Na、K及びAlの群から選択される少なくとも1種の元素を二酸化チタン中に0.1重量%以上0.5重量%以下含有し、
(C)かつ常圧下285℃で溶融保持したとき、ポリエステル樹脂組成物10g当りの分子鎖の見かけ切断数速度Δn/tが、下記数式(1)を満足するポリエステル樹脂組成物である。
Figure 2005105197
[上記数式中、Δnは分子鎖の見かけ切断数(ケ/10g)を、tは溶融保持時間(分)を表す。ただし0≦t≦30である。]
優れた耐久制電性、常圧可染性、溶融時の熱安定性を有し、熱劣化による物性低下が少なく、高速紡糸法によって紡糸した場合でも複雑な紡糸技術を用いることなく製糸性の良好な繊維を得ることができるポリエステル樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられるポリエステルは分子量100以上4000未満の脂肪族多価カルボン酸をポリエステルに対して1モル%以上20モル%以下共重合された共重合ポリエステルである。
本発明に用いるポリエステルとしては、テレフタル酸とエチレングリコールの重縮合反応により得られるエチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルが好ましく用いられる。ここで主たるとは全繰り返し単位中70モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることを表す。しかしこれに限定されるものではなく、例えば、テレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分として、例えばイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタレンジカルボン酸等の酸成分を用いてもよく、またエチレングルコール成分以外のグリコール成分として1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグルコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを用いてもよい。これらの中でもポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。
本発明におけるポリエステルには分子量100以上4000未満の脂肪族多価カルボン酸が共重合されている必要がある。脂肪族とは、主鎖に芳香族環を含まないことを指し、直鎖型脂肪族、分岐鎖型脂肪族、脂環族いずれでもかまわない。多価とは2官能以上を指し、ジカルボン酸、トリカルボン酸などが挙げられるが、2官能を超えるとポリエステル鎖の架橋が起こるため、2価が好ましく用いられる。例示すれば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸の分子量は100以上4000未満である必要がある。平均分子量100未満であると、常圧可染性が得るために多量の共重合が必要となり、得られる繊維の強伸度等の物性が著しく失われるため好ましくない。一方分子量4000以上であるとTgが十分に低下せず、結果として常圧での染色性に劣るようになる。
十分な染色性を得るための脂肪族多価の共重合量は1モル%以上20モル%以下である必要がある。1モル%未満では染色性改善効果に乏しく、20モル%を超えると、得られる繊維の物性が低下したり、制電性の耐久性に劣るようになる。好ましくは2モル%以上18モル%以下である。
本発明においてはさらに共重合ポリエステルに対してスルホン酸アルカリ金属塩を0.5重量%以上5重量%以下含有する必要がある。スルホン酸アルカリ金属塩としては、アルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。アルキルスルホン酸アルカリ金属塩は、一般式R−SO3 M(式中のRは炭素数8〜20のアルキル基、MはLi、NaまたはKの金属原子を示す。)で表される化合物であり、具体的にはオクチルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、ステアリルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。一方アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩は、下記一般式(ア)
Figure 2005105197
[上記式中のR’は炭素数8〜20のアルキル基、M’はLi、NaまたはKの金属原子を表す。]
で表される化合物であり、具体的にはオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明者らの検討によれば、なかでもポリエステルマトリックス内で導伝相を良好に形成する点において、アルキルスルホン酸アルカリ金属塩が好ましく用いられる。アルキル鎖長は、炭素数にして8〜20であることが好ましい。炭素数が7未満であるとポリエステルとの相溶性に劣り、紡糸時に昇華性異物を発生したり、繊維表面にブリードアウトを起こすことがある。一方炭素数が20を超えると制電性能が劣るようになる。金属塩としてはLi、Na、K、などが挙げられるが、制電性に優れること、凝集異物を生成しがたいことからNaがより好ましい。すなわちスルホン酸アルカリ金属塩がアルキルスルホン酸ナトリウム塩であることがより好ましい。これらのスルホン酸アルカリ金属塩の含有量としては0.5重量%以上5重量%以下である必要がある。0.5重量%未満であると制電性能に乏しくなり、5重量%を超えると繊維の物性が劣るようになり好ましくない。スルホン酸アルカリ金属塩の含有量の好ましい範囲は、0.7重量%以上4重量%以下である。
さらに本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、重量平均分子量10000以上30000以下のポリオキシアルキレングリコールを0.3重量%以上5重量%以下含有している必要がある。ポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、その共重合体等があげられ、これらを単一種で用いても、複数種を同時に用いても良い。耐熱性、価格が優れることから好ましくは、ポリエチレングリコールが用いられる。重量平均分子量は10000以上30000以下である必要があり、10000未満のものを含有させると一部共重合されて制電性が低下し、繊維物性も低下する。また繊維の摩擦帯電圧が2000V以上となりその結果制電性に劣り、また洗濯処理による耐久性が充分でない。一方重量平均分子量が30000を越えるとポリエステルと相分離し、均一分散を維持することが困難となり、染色性に悪影響を及ぼす。さらに重量平均分子量が50000を超えると繊維が着色し、紡糸時の糸切れが多くなるなど、製糸性が悪化する。すなわち具体的には紡糸時、パック圧変動を起こすなど好ましくない。重量平均分子量の好ましい範囲は15000以上25000以下である。ポリオキシアルキレングリコールの共重合ポリエステルへの配合量は、共重合ポリエステルに対して0.3重量%以上5重量%以下の範囲、特に0.5重量%以上4重量%以下の範囲が好ましい。ポリオキシアルキレングリコールの配合量が0.3重量%未満(請求項1に合わせて直しました。)では充分な帯電防止効果が得られず、5重量%を超えると繊維の耐光性および機械的特性が低下し、繊維の着色が著しくなる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は二酸化チタンを0.03重量%以上1重量%以下含有する必要がある。0.03重量%未満ではポリエステルのつやがテカリとなって製品の品位を損ねる。1重量%を超えても艶消し感はもはや向上せず、むしろパック圧の上昇、断糸等工程調子へ悪影響を及ぼすことがある。さらに二酸化チタンの平均粒径が0.1μm以上0.5μm以下である必要があり、粒径が1μmを超える粒子の重量分率が0.5重量%以上2重量%以下であり、Li、Na、K及びAlの群から選択される少なくとも1種の元素を0.1重量%以上0.5重量%以下含有することが必要である。平均粒径が0.1μm未満では、粒子の比表面積が大きすぎ、ポリエステル樹脂組成物を製造する際に凝集粒子を形成しやすくなるため好ましくない。一方、平均粒径が0.5μmを超えると、紡糸時のパック圧上昇や断糸が多くなるので好ましくない。さらに、粒径が1μmを超える粒子の重量分率が2重量%を超えると、例えばポリエステル樹脂組成物を製糸化する際に断糸の原因となったり、熱劣化が大きくなり、溶融時の着色が著しくなる等の成形時の成形性に問題を生じ、また製糸後アルカリ減量する際に、繊維表面に形成される微細孔が大きくなって染色時の発色性が低下するので好ましくない。一方、1μmを超える粒子の割合の下限は小さいほど好ましいが、このような粗大粒子の少ない二酸化チタン粒子を製造することは困難であり、またコストも増大するため、該粒子の割合は0.5重量%以上とするのが好ましい。
本発明における二酸化チタンは、さらに、Li、Na、K及びAlの群から選択される少なくとも1種の元素を、二酸化チタン粒子の全重量を基準として0.1重量%以上0.5重量%以下含有する必要がある。これらの元素は単一であっても複数であってもよい。これらの元素の含有量が0.1重量%未満の場合には、ポリエステル樹脂組成物の溶融安定性が低下するので好ましくない。一方0.5重量%を超える場合には、ポリエステル樹脂組成物の色相が低下するので好ましくない。より好ましくは0.1〜0.3重量%の範囲である。この二酸化チタンをポリエステルに配合する方法としては特に制限はなく、例えばポリエステルの重縮合反応開始前、重縮合反応途中、重縮合反応終了時などに配合してもよいし、また通常の手法によりポリエステル樹脂を製造した後、この樹脂ペレットと二酸化チタンを押出機で混合してもよい。
さらに本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、常圧下285℃で溶融保持したとき、ポリエステル組成物10g当りの分子鎖の見かけ切断数速度Δn/tが、下記数式(1)を満足することが必要である。
Figure 2005105197
[上記数式中、Δnは分子鎖の見かけ切断数(ケ/10g)を、tは溶融保持時間(分)を表す。ただし0≦t≦30である。]
見かけ切断数速度が1を越えると、紡糸工程等の工程調子が不良となり、また得られる繊維の制電耐久性にも劣るようになる。0.1未満ではもはや制電性向上効果は見られず、技術上極めて困難であることから工業的な意義はなくなる。上記数式(1)を満たすための一例としては、共重合ポリエステルを製造する際、重縮合反応が終了する前、好ましくは90〜40分前の時点でポリオキシアルキレングリコールを重合反応器内に投入することである。この時点より後の時点で投入すると、ポリオキシアルキレングリコールの分散が悪くなって制電性が発現できないことがある。一方この時点より前の時点で投入すると、ポリオキシアルキレングリコールが熱により分解し始めこれが共重合ポリエステルの熱劣化を誘発することがある。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、さらに公知の共重合物、公知の酸化防止剤等を含有していてもよい。ポリオキシエチレングリコールは、耐熱性が高くなく、耐久性を向上せしめるために酸化防止剤が有効に用いられることが好ましい。
上記の成分、すなわち脂肪族多価カルボン酸、スルホン酸アルカリ金属塩、ポリオキシアルキレングリコール(以下「脂肪族多価カルボン酸等」と称する。)をポリエステルに配合する方法には特に制限はなく、ポリエステルの形成が終了するまでの任意の段階、例えばポリエステルの重縮合反応開始前、重縮合反応途中、重縮合反応終了時などに配合してもよいし、また通常のポリエステル樹脂組成物を製造した後、この樹脂ペレットと脂肪族多価カルボン酸等を押出機で混合してもよい。脂肪族多価カルボン酸等は同時に配合しても別々に配合してもよい。これらの方法うち、脂肪族多価カルボン酸は共重合せしめる観点から、ポリエステルの重縮合反応開始前または重縮合反応中にこれらの添加剤を同時に配合するのが、分散性の観点から好ましい。
このような本発明のポリエステル樹脂組成物を製造するにあたっては、通常公知の共重合ポリエステルの製造方法に準じて製造することができる。ただし先述のように数式(1)を満たすためには、ポリオキシアルキレングリコールの重合反応容器内への投入時期について留意することが好ましい。
本発明のポリエステル繊維は、脂肪族多価カルボン酸等を配合して得られたポリエステル樹脂組成物を公知の溶融紡糸法で紡糸して得ることができる。特に延伸工程を必要としない高速紡糸法は、生産性の向上、延伸工程の省略によるコスト低減、染色性の向上および他の種類の繊維との交編交織が容易で用途拡大が可能となる点で好ましい。延伸工程を経ることなく溶融紡糸工程のみで充分な実用特性を有する高配向糸を得るためには、巻取速度を5200m/分以上とするのが好ましい。5200m/分以下の巻取速度では製織・製編工程において伸長が起こり易く、また染斑や布帛の品質低下が生じ易くなる。高速紡糸法で得られた糸は延伸法で得られた糸に比べてソフトな風合いを有しているのでファンデーション、ランジェリー等インナー分野に特に有用である。
さらに本発明のポリエステル繊維には、ヒンダードフェノール系、ホスファイト系化合物などの抗酸化剤を配合してもよく、またその他必要に応じて着色剤、艶消剤等の添加剤を配合してもよい。さらに本発明に用いられるポリエステル繊維から得られる布帛は、公知の方法で織編して得られる。上記特定のポリエステル繊維を一部に用いる場合には制電性を失わない範囲で他の素材、例えば通常のポリエステル繊維が用いられるが、他の素材の種類、混合方法には特に制約はない。
また公知の後加工剤を布帛の表面に付着させることにより、布帛の柔軟性が向上し、吸水性および防汚性も向上するという効果が得られ好ましい場合が多い。本発明の布帛は、その優れた制電性、低温染色性、柔軟な風合い、吸水性、防汚性等を生かしてファンデーション、ランジェリー等のインナー分野、他の種類の繊維と混用してアウター分野など種々の用途への展開が可能である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、実施例中の測定値は次の方法により測定したものである。
(1)ポリマーの固有粘度:
o−クロロフェノールを溶媒として35℃で測定した。
(2)摩擦帯電圧:
小池製作所製の小型筒編み機(CR−B型、針3.5インチ×220本)を用いてメリヤス編地を作製した。この編地を洗剤ニュービーズ(花王(株)社製)2g/リットルを使用して40℃で5分間洗濯し、常温で2分間のすすぎを2回行う。これを1サイクルとして30回繰り返して行った。この後、編地に30秒間帯電させ、放電半減期を測定した。
(3)易染性:
メリヤス編地をアルカリ減量20重量%処理後、染料としてSuk Navy Blue(住友化学工業(株)製)を使用、4wt%owf、98℃×1hrの条件で染色し、色差計ミノルタ製CE−300Rで測定した。
(4)二酸化チタン、リチウム、カリウム、ナトリウム、及びアルミニウム含有量:
ポリエステル樹脂組成物中の二酸化チタンの含有量は、リガク株式会社製3270E型蛍光X線装置を用いてチタン元素量を測定し、その値から計算した。また二酸化チタン中のリチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウムの含有量は、二酸化チタンを塩酸抽出してICPで分析を行った。ICPはセイコーインスツルメンツ(株)製「Vista−PRO CCD多元素同時型ICP発光分光分析装置」を用いた。
(5)粒径測定:
微粒子の平均粒径及び粒度分布は、大塚電子製DLS−7000で測定し、粒度分布より0.1μmを超える重量分率として算出した。
(6)スルホン酸アルカリ金属塩の含有量:
ポリエステル樹脂組成物サンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平坦面を有する試験成形体を作成し、蛍光X線装置(理学電機工業株式会社製3270E型)を用いて硫黄元素の含有量を測定して、その値から算出した。
(7)ポリオキシアルキレングリコール(POA−1)および(POA−2)の含有量:
ポリマーサンプルを重水素化トリフルオロ酢酸/重水素化クロロホルム=1/1混合溶媒に溶解後、日本電子(株)製JEOL A−600 超伝導FT−NMRを用いて核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定して、そのスペクトルパターンから常法に従って、ポリエチレングリコール成分含有量を定量した。
(8)分子鎖の見かけ切断数:
固有粘度IVから下記数式(2)を用いて粘度平均分子量Mvを計算する。さらにMvから下記数式(3)により計算した値を10gあたりの分子鎖の末端数(ケ/10g)とみなした。この値を溶融保持前後について計算し、その差を分子鎖の見かけ切断数Δnとした。
Figure 2005105197
(あ)共重合ポリエステルの合成
[実施例1]
ジメチルテレフタレート700部、エチレングリコール470部を酢酸カルシウム0.7部を触媒として、窒素気流下140℃から240℃まで攪拌しながら、2時間30分かけて昇温し、エステル交換反応を終了した。次いでこの反応物にトリメチルホスフェート0.53部、表2に示す物性を有する平均粒径0.42μmの二酸化チタンを20重量%含有したエチレングルコールスラリーを1.8部、三酸化アンチモン(II)0.35部、および表1に示す配合量のアジピン酸(旭化成(株)製)をそれぞれ添加した後、1時間かけて240℃から260℃に昇温し、その後、1時間かけて260℃から280℃に昇温しながら、0.133kPa以下まで減圧した。所定の攪拌電力に到達した時点で、得られた共重合ポリエステルに対してテトラデシルスルホン酸ナトリウムを0.8重量%、PEG20000(日本油脂製)を0.8重量%、酸化防止剤0.4重量%となるように添加し、280℃、0.133kPaで55分間反応を継続した段階で反応を終了、固有粘度0.64dl/gのポリエステル樹脂組成物を得た。二酸化チタン含有量は0.3重量%であった。得られたポリエステル樹脂組成物をポリマーIとする。
[実施例2〜4]
脂肪族多価カルボン酸等、二酸化チタンを表1、表2に記載のとおりに変更する他は実施例1と同様の操作を行い、固有粘度0.62〜0.70dl/gのポリエステル樹脂組成物を得た。二酸化チタン含有量はいずれも0.3重量%であった。得られたポリエステル樹脂組成物をポリマーII〜IVとする。
[比較例1]
脂肪族多価カルボン酸等を添加しない以外は実施例1と同様の方法で重縮合反応を行い、通常のポリエチレンフタレートのみからなるポリエステル樹脂組成物を製造した。二酸化チタン含有量は0.3重量%であった。得られたポリエステル樹脂組成物をポリマーVとする。
Figure 2005105197
Figure 2005105197
(い)ポリエステル繊維の製造
[実施例5〜8、比較例2]
(あ)で得られたポリマーI〜Vをそれぞれ常法により、乾燥し、直接巻取方式の高速紡糸装置で公称口径(公称目開)20μmのろ過フィルターを通しながら、紡糸温度290℃で、スリット幅0.11mm、スリット長さ0.34mmおよび孔数12の3軸等長紡糸口金より紡出し、冷却、固化させた後、33dtex/12fの原糸を得た。メリヤス編地を作成した後、20重量%のアルカリ減量処理した後、易染色性、摩擦耐電圧を測定した。ポリマーI〜Vから得られた繊維をそれぞれ実施例5〜8、比較例2とし、結果を表3に示した。
Figure 2005105197
本発明で得られたポリエステル樹脂組成物は制電性、易染色性、耐熱安定性に優れた繊維を製造するのに好適である。またこのポリエステル樹脂組成物から得られるポリエステル繊維、及び布帛はその柔軟性が向上し、吸水性および防汚性も向上するという効果が得られる。さらに本発明の布帛は、その優れた制電性、低温染色性、柔軟な風合い、吸水性、防汚性等を生かしてファンデーション、ランジェリー等のインナー分野、他の種類の繊維と混用してアウター分野など種々の用途への展開が可能である。

Claims (4)

  1. 分子量100以上4000未満の脂肪族多価カルボン酸が1モル%以上20モル%以下の割合で共重合された共重合ポリエステルであり、
    (A)該共重合ポリエステルに対して、
    (a)スルホン酸アルカリ金属塩を0.5重量%以上5重量%以下、
    (b)重量平均分子量10000以上30000以下のポリオキシアルキレングリコールを0.3重量%以上5重量%以下、
    (c)二酸化チタンを0.03重量%以上1重量%以下
    含有し、
    (B)該二酸化チタンの平均粒径が0.1μm以上0.5μm以下で、粒径が1μmを超える粒子の重量分率が0.5重量%以上2重量%以下であり、Li、Na、K及びAlの群から選択される少なくとも1種の元素を二酸化チタン中に0.1重量%以上0.5重量%以下含有し、
    (C)かつ常圧下285℃で溶融保持したとき、ポリエステル樹脂組成物10g当りの分子鎖の見かけ切断数速度Δn/tが、下記数式(1)を満足するポリエステル樹脂組成物。
    Figure 2005105197
    [上記数式中、Δnは分子鎖の見かけ切断数(ケ/10g)を、tは溶融保持時間(分)を表す。ただし0≦t≦30である。]
  2. 脂肪族多価カルボン酸がコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸よりなる群から少なくとも一種選ばれるジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体である請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. スルホン酸アルカリ金属塩がアルキルスルホン酸ナトリウム塩である請求項1または2記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載されたポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸してなるポリエステル繊維。
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JP2009091702A (ja) * 2007-10-11 2009-04-30 Teijin Fibers Ltd エアレイド不織布用短繊維

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