JP2005104400A - ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ブレーキペダル1に入力された踏力をマスターシリンダ2で機械的にブレーキ液圧に変換して車輪3FR,3FLを制動する第1ブレーキ系6を、ブレーキ配管5R,5Lの2系統とし、それぞれのブレーキ液圧Pml,Pmrを圧力センサ19R,19Lで検出する。通常は、ブレーキ液圧Pml,Pmrのうち高い方を基準液圧Pmsとし、アンチスキッド(ABS)制御中には、ブレーキ液圧Pml,Pmrの平均値を基準液圧Pmsとし、圧力センサ19が過大異常値を検出する場合には、ブレーキ液圧Pml,Pmrのうち低い方を基準液圧Pmsとする。基準液圧Pmsに基づき、後輪3RL,3RRの制動力配分量Rを算出し、Rを実現するよう後輪ブレーキバイワイヤ式の第2ブレーキ系14のブレーキ液圧Prl,Prrを制御する。
【選択図】図1
Description
つまり、ブレーキペダルの踏み込みに応動するマスターシリンダからの液圧を車輪のホイールシリンダへ供給するブレーキ液圧回路中に、上記の電子制御に際して閉じるマスターカット弁を挿置し、マスターシリンダのリザーバ内における作動液を媒体として吐出するポンプ、これを駆動する電動モータ、およびポンプからの作動液を蓄圧するアキュムレータで構成された圧力源を設ける。
上記の電子制御に際しては、マスターシリンダおよびホイールシリンダ間のブレーキ液圧回路をマスターカット弁により遮断した状態で、上記圧力源のアキュムレータ内圧を用いて増圧弁を介しホイールシリンダ内のブレーキ液圧を増圧したり、減圧弁を介しホイールシリンダ内のブレーキ液圧を減圧することにより、マスターシリンダ液圧とは別個にブレーキ液圧を電子制御し得るようにしたものである。
このセミブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置によれば、第1ブレーキ系が機械式であるため通常通りのブレーキペダルフィーリングを発生させることができることから、従来のフルブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置のようにストロークシュミレータを必要とすることなく、従って、少ない部品点数で安価にブレーキ装置の電子制御化が可能である。
例えば、第1ブレーキ系のブレーキ液圧がアンチスキッド制御などにより脈動する時、アンチスキッド制御の必要がない第2ブレーキ系のブレーキ液圧も脈動することとなり、違和感を与える。
また、第1ブレーキ液圧の検出手段が故障して検出値が異常に低くなったり、高くなった時に、第2ブレーキ系のブレーキ液圧が異常に低くなって制動力不足を生じたり、第2ブレーキ系のブレーキ液圧が異常に高くなって急制動を生じたりする。
そして、機械式の第1ブレーキ系を成す複数系統の機械的制動操作伝達力を個々に検出して、複数の検出値に基づき第2ブレーキ系の制動エネルギーを制御すれば、これら複数の検出値の適切な使用形態により上記の問題をことごとく解消し得るとの観点から、この着想を具体化したブレーキ装置を提供することを目的とする。
運転者の制動操作力を複数の系統により機械的に複数車輪へ個々に伝達してこれら車輪を制動する第1ブレーキ系と、
別のエネルギー源からのエネルギーを上記第1ブレーキ系の機械的制動操作伝達力に基づき電子制御し、このエネルギーにより他の車輪を制動する第2ブレーキ系とを具えたブレーキ装置において、
上記複数系統の機械的制動操作伝達力を個々に検出する複数の機械的制動操作伝達力検出手段を設け、
これら複数の手段による機械的制動操作伝達力検出値に基づいて上記第2ブレーキ系の制動エネルギーを制御するよう構成したものである。
機械式の第1ブレーキ系により通常通りのブレーキペダルフィーリングを発生させることができ、従来のフルブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置のようにストロークシュミレータを必要とすることなく、従って、少ない部品点数で安価にブレーキ装置の電子制御化が可能である。
例えば、第1ブレーキ系の機械的制動操作伝達力がアンチスキッド制御などにより脈動する時は、機械的制動操作伝達力検出値の平均値を基に第2ブレーキ系の制動エネルギーを制御することで、この平均値が脈動を平滑化されていることから第2ブレーキ系の制動エネルギーが脈動を抑制されたものとなり違和感を解消し得る。
また、通常時は、最も大きな機械的制動操作伝達力検出値を用いて第2ブレーキ系の制動エネルギーを制御することで、運転者が要求する車両としての総制動力が不足するのを回避することができる。
更に、機械的制動操作伝達力検出手段の1つが故障してその検出値が異常に低くなったり、高くなった時には、機械的制動操作伝達力検出値のうち最も大きなものを用いたり、最も小さな検出値を用いて第2ブレーキ系の制動エネルギーを制御することで、第2ブレーキ系の制動エネルギーが異常に小さくなって制動力不足を生じたり、第2ブレーキ系の制動エネルギーが異常に大きくなって急制動を生じたりする問題を解消することができる。
図1は、本発明の一実施例になるセミブレーキバイワイヤ式のブレーキ装置を示し、1は、運転者が踏み込んで制動操作力を付与するブレーキペダル、2は、ブレーキペダル1からの制動操作力を入力されるマスターシリンダである。
ブレーキペダル1からの制動操作力は、負圧式や、正圧式や、油圧式を可とする倍力装置(図示せず)を介して倍力下にマスターシリンダ2へ入力する。 マスターシリンダ2はタンデムマスターシリンダとし、該マスターシリンダ2は制動操作力により内部ピストンカップを押し込まれる時、リザーバ2aからの作動液を媒体として2個の液圧出口2L,2Rより、制動操作力に対応したマスターシリンダ液圧Pmを出力するものとする。
マスターシリンダ2の2個の液圧出口2L,2Rから左右前輪3FL,3FRの制動ユニット(ドラムブレーキやディスクブレーキ等)4FL,4FRまでブレーキ配管5L,5Rを延在させて設け、これら独立した2系統(複数系統)により機械的な前輪用の第1ブレーキ系6を構成する。
モータ11により駆動されるポンプ10は、プランジャポンプやギヤポンプ等の任意のものとすることができ、リザーバ2a内の作動液を吸入してポンプ出口回路12に吐出し、これからの吐出作動液を媒体とするポンプ液圧Pprにより左右後輪3RL,3RRを制動するものとする。
これがためポンプ出口回路12は、ブレーキ配管13L,13Rを介して左右後輪3RL,3RRの制動ユニット4RL,4RRに接続し、これら独立した2系統により後輪用の第2ブレーキ系14を構成する。
先ず、第1ブレーキ系6を成す左右前輪ブレーキ配管5L,5Rには、左右前輪のブレーキ液圧Pfl,Pfrを個々に制御可能にする第1増圧弁15FL,15FRおよび第1減圧弁16FL,16FRを設ける。
増圧弁15FL,15FRは常開の電磁弁としてブレーキ配管5L,5R中に挿入し、増圧弁15FL,15FRが電磁力を増大されて開度を減じられるにつれブレーキ配管5L,5Rの開通度が低下されるものとする。
減圧弁16FL,16FRは、電磁力の増大につれ開度を増大される常閉の電磁弁とし、増圧弁15FL,15FRおよび制動ユニット4FL,4FR間におけるブレーキ配管部分と、リザーバ2aに至るドレン回路17との間に接続して設ける。
これらマスターカット弁18L,18Rはそれぞれ常開の電磁弁とするが、上記した増圧弁15FL,15FRおよび減圧弁16FL,16FRによる左右前輪ブレーキ液圧Pfl,Pfrの個別制御中は、左右前輪ブレーキ液圧Pfl,Pfrをマスターシリンダ液圧Pmよりも高くする制御であればマスターカット弁18L,18RをONにより閉じておき、左右前輪ブレーキ液圧Pfl,Pfrをマスターシリンダ液圧Pm以下の範囲内で調圧する制御であればマスターカット弁18L,18RをOFFにより開いておいても、ONにより閉じておいてもよい。
マスターカット弁18L,18Rとマスターシリンダ2との間におけるブレーキ配管5L,5Rの部分には圧力センサ19L,19Rを接続して設け、これら圧力センサ19L,19Rによりマスターシリンダ液圧Pmを検出する。
また、増圧弁15FL,15FRと制動ユニット4FL,4FRとの間におけるブレーキ配管5L,5Rの部分には圧力センサ20FL,20FRを接続して設け、これら圧力センサ20FL,20FRにより左右前輪ブレーキ液圧Pfl,Pfrを検出する。
増圧弁15RL,15RRは常開の電磁弁としてブレーキ配管13L,13R中に挿入し、増圧弁15RL,15RRが電磁力を増大されて開度を減じられるにつれブレーキ配管13L,13Rの開通度が低下されるものとする。
減圧弁16RL,16RRは、電磁力の増大につれ開度を増大される常閉の電磁弁とし、増圧弁15RL,15RRおよび制動ユニット4RL,4RR間におけるブレーキ配管部分と、リザーバ2aに至るドレン回路17との間に接続して設ける。
また、増圧弁15RL,15RRと制動ユニット4RL,4RRとの間におけるブレーキ配管13L,13Rの部分には圧力センサ20RL,20RRを接続して設け、これら圧力センサ20RL,20RRにより左右後輪ブレーキ液圧Prl,Prrを検出する。
これら連通路22,23にはそれぞれ第1ブレーキ系6用の圧力源切替弁24L,24Rを挿置する。
これら圧力源切替弁24L,24RはそれぞれONにより閉じる常開電磁弁とするが、上記した増圧弁15FL,15FRおよび減圧弁16FL,16FRによる左右前輪ブレーキ液圧Pfl,Pfrの個別制御時には圧力源切替弁24L,24RをOFFにより開通しておくものとする。
ここでポンプ10の吐出圧(圧力源9からの圧力)Pprは、後輪ブレーキ液圧Prl,Prrをマスターシリンダ液圧Pmよりも高い圧力に調圧する必要があるとき以外はマスターシリンダ液圧Pmと同じ調圧し、後輪ブレーキ液圧Prl,Prrをマスターシリンダ液圧Pmよりも高い圧力に調圧する必要があるときのみマスターシリンダ液圧Pmよりも高い圧力にするものとし、
このような調圧が行われるよう圧力Pprの検出値をフィードバックしつつ電磁調圧弁25の開度を電子制御する。
コントロールユニット26は、圧力センサ19,20,21からの信号を受信し、図2に示す制御プログラムを実行して、前記の電磁弁15,16,18,24,25の開通度を制御する。
マスターシリンダ液圧Pmr,Pmlから、ブレーキ配管5L,5Rを介して機械的に連通する第1ブレーキ系の制動ユニット4FL,4FRの制動力配分量Fを求めることができるので、つぎのステップS2では、あらかじめメモリしておいた図3に例示する前後制動力配分の特性図を参照して、後輪3RL,3RRへの制動力配分量Rを算出する。通常では、前輪の制動力Fと後輪の制動力Rとの配分比は約6:4である。
一方、通常のブレーキ制御以外の制御(ABS、TCS、VDC制御)を実行するのであれば、ステップS5へ進み、各制御ABS、TCS、VDCに基づく制動力を実現するための目標前輪液圧tPfl,tPfrおよび目標後輪液圧tPrl,tPrrを算出する。
図4は、基準マスターシリンダ液圧値Pmsを設定する制御プログラムを示すフローチャートである。ステップS11では、圧力センサ19Lからの信号から、第1ブレーキ系6を構成する2本のブレーキ系統5L,5Rのうち、一方をなす左前輪用ブレーキ配管5Lのブレーキ液圧Pmlを読み込む。つぎのステップS12では、圧力センサ19Rからの信号から、第1ブレーキ系6を構成する2本のブレーキ系統5L,5Rのうち、他方をなす右前輪用ブレーキ配管5Rのブレーキ液圧Pmrを読み込む。
Pms=Pml=Pmr
となる。
一方、ABS制御,TCS制御またはVDC制御中では、マスターシリンダ2の液圧値Pml,Pmrの平均値を算出して基準液圧Pmsとする(セレクトアベレージ)。
圧力センサ19からの液圧検出信号Vpmr,Vpmlの出力異常を検出した場合には、ABS制御,TCS制御またはVDC制御の有無にかかわらず、マスターシリンダ2の液圧値Pml,Pmrのうち最小値を選択して基準液圧Pmsとする(セレクトロー)。
これにより、前輪ブレーキ液圧Pfl,Pfrをマスターシリンダ液圧Pmよりも高くする前者の制御が要求される場合であっても、左右前輪ブレーキ液圧Pfl,Pfr制御の圧力源がマスターシリンダ2から後輪用の圧力源9に切り替わってこれを兼用することとなり、前輪ブレーキ液圧Pfl,Pfr制御用の圧力源を別に設ける必要がなくて、その設置スペースの確保に難儀したり、コスト高になるという問題を解消することができる。
またこの間、マスターカット弁18L,18Rを遮断させておくことから、前輪ブレーキ液圧Pfl,Pfrの制御中にブレーキペダル1のストロークが変化する(ペダルキックバック等が発生する)問題をも回避することができる。
なお、前輪ブレーキ液圧Pfl,Pfrをマスターシリンダ液圧Pm以下の範囲内の圧力に調圧する場合のように、ブレーキペダル1の操作によるマスターシリンダ液圧Pm以下の範囲でポンプ圧Pprを制御するような形態であれば、必ずしもマスターカット弁18L,18Rを必要としない。
すなわち、マスターシリンダ2と圧力源9とを同時に併用してもよく、本明細書で「兼用」と称するは、当該併用をも含み、上記のごとく圧力源9に切り替えることのみを意味するものではない。
或いは、左前輪3FLおよび右後輪3RRに係わるブレーキ系をマスターシリンダ液圧Pmに応動する機械的な第1ブレーキ系とし、右前輪3FRおよび左後輪3RLに係わるブレーキ系を電子制御式の第2ブレーキ系としてもよい。
2 マスターシリンダ
3FL,3FR 左右前輪
3RL,3RR 左右後輪
4FL,4FR 制動ユニット
4RL,4RR 制動ユニット
5L,5R 前輪ブレーキ配管
6 第1ブレーキ系
9 圧力源
9L 圧力源
9R 圧力源
12 ポンプ出口回路
13L,13R 後輪ブレーキ配管
14 第2ブレーキ系
15FL,15FR 第1増圧弁
15RL,15RR 第2増圧弁
16FL,16FR 第1減圧弁
16RL,16RR 第2減圧弁
17 ドレン回路
18L,18R マスターカット弁
24L,24R 圧力源切替弁
25 電磁調圧弁
26 コントロールユニット
Claims (6)
- 運転者の制動操作力を複数の系統により機械的に複数車輪へ個々に伝達してこれら車輪を制動する第1ブレーキ系と、
別のエネルギー源からのエネルギーを前記第1ブレーキ系の機械的制動操作伝達力に基づき電子制御し、このエネルギーにより他の車輪を制動する第2ブレーキ系とを具えたブレーキ装置において、
前記複数系統の機械的制動操作伝達力を個々に検出する複数の機械的制動操作伝達力検出手段を設け、
これら複数の手段による機械的制動操作伝達力検出値に基づいて前記第2ブレーキ系の制動エネルギーを制御するよう構成したことを特徴とするブレーキ装置。 - 請求項1に記載のブレーキ装置において、
前記複数の機械的制動操作伝達力検出手段による機械的制動操作伝達力検出値のうち、最も大きな検出値に基づいて前記第2ブレーキ系の制動エネルギーを制御するよう構成したことを特徴とするブレーキ装置。 - 前記第1ブレーキ系の複数系統に係わる複数車輪の機械的制動力を、運転者の制動操作とは別個に制御する制動力自動制御手段を具えた請求項1または2に記載のブレーキ装置において、
前記制動力自動制御手段の作動中は、前記複数の機械的制動操作伝達力検出手段による機械的制動操作伝達力検出値の平均値に基づいて前記第2ブレーキ系の制動エネルギーを制御するよう構成したことを特徴とするブレーキ装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブレーキ装置において、
前記複数の機械的制動操作伝達力検出手段による機械的制動操作伝達力検出値の過大異常を判断する異常判断手段を設け、
該手段が機械的制動操作伝達力検出値の過大異常を検知した場合、前記機械的制動操作伝達力検出値のうち最も小さな検出値に基づいて第2ブレーキ系の制動エネルギーを制御するよう構成したことを特徴とするブレーキ装置。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブレーキ装置において、
前記第1ブレーキ系は、運転者が操作するブレーキペダルに連結した2系統マスターシリンダの2個の出力ポートから左右前輪のブレーキユニットに至る2系統を有した前輪ブレーキ系とし、
前記第2ブレーキ系は、別の液圧源からの液圧を前記左右前輪のブレーキ液圧に基づき制御して得られる液圧により左右後輪を制動するブレーキ系としたことを特徴とするブレーキ装置。 - 請求項3または5に記載のブレーキ装置において、
前記制動力自動制御手段は、車輪の制動スリップを防止するアンチスキッド制御装置、車輪の制動により駆動スリップを防止するトランクションコントロール装置、左右輪の制動力差により車両の挙動制御を行うビークルダイナミックコントロール装置の少なくとも1つを含むことを特徴とするブレーキ装置。
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2003
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