JP2005104342A - 車両のステア特性制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両のステア特性制御装置に関し、ドライバの制動要求を考慮しながら、制動制御によって車両のスピン,ドリフトアウトを効果的に抑制できるようにする。
【解決手段】各車輪を個々に制動しうる制動機構と、該制動機構を制御する制動制御手段3と、旋回時の車両のステア特性を判定するステア特性判定手段34と、旋回外輪側の車輪への制動力を付与させるように制動機構を制御するオーバステア抑制制御及び旋回内輪側の車輪への制動力を付与させるように制動機構を制御するアンダステア抑制制御を行うステア特性制御手段21とを備え、該制動制御手段3は、オーバステア抑制制御又はアンダステア抑制制御の実施時にドライバによる制動操作があった場合、ドライバの制動操作による各車輪の制動制御量を該オーバステア抑制制御及び該アンダステア抑制制御の各々の制御に応じて設定し、該制動制御量を加算補正する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両の運動状態に応じた制動制御と運転者による制動操作とを両立させながら車両の安定性を確保する、車両のステア特性制御装置に関するものである。
車両の旋回時の姿勢を制御する一般的な技術として、旋回時に特定の車輪に制動力を加えることによって車両のステア特性を制御し、旋回時の車両の旋回方向に対する姿勢を修正し車両の走行安定性を確保する技術が、従来より開発されている。
例えば、旋回時に車両のオーバステアが強い場合には、車両が旋回内側に回頭し過ぎ、走行経路も旋回内側に入り過ぎてスピンのおそれを招いてしまう。これに関して、特許文献1に記載の技術がある。この技術では、旋回外輪に制動力を加えることにより、車両に復元方向のヨーモーメントを発生させ、車両の旋回内側への回頭し過ぎを抑制し走行経路が旋回内側に入り過ぎてしまうのを抑制できるようにする(即ち、オーバステアを抑制する)。
また、このような旋回中にブレーキ操作が行なわれると、旋回外側前輪の制動力を増加させるようにするか、あるいは、旋回外側前輪の制動力を増加させるとともに旋回内側後輪の制動力を減少させるようにすることで、効果的にオーバステアを抑制しながらドライバの制動要求に応じた制動制御を行うことができるようにする(段落0240〜0241参照)。
一方、旋回時に車両のアンダステアが強い場合には、車両が旋回内側に回頭しにくく走行経路も旋回外側に膨らみドリフトアウトのおそれを招いてしまう。そこで、旋回内輪に制動力を加えることにより、車両に回頭方向のヨーモーメントを発生させ、車両を旋回方向に回頭させ走行経路が旋回外側に膨らむのを抑制できるようにする(即ち、アンダステアを抑制する)。
また、旋回中にブレーキ操作が行なわれると、旋回内側後輪の制動力を増加させるようにするか、あるいは、旋回内側後輪の制動力を増加させるとともに旋回外側前輪の制動力を減少させるようにすることで、効果的にアンダステアを抑制しながら、ドライバの制動要求に応じた制動制御を行うことができるようにする(段落0229〜0234参照)。
このように、各輪の制動力を制御することによって車両にヨーモーメントを発生させ、復元方向,または回頭方向への姿勢制御を行うようになっている。
特許第3257354号公報
ところで、上述の特許文献1に記載の技術では、オーバステアやアンダステアを抑制するステア特性制御と、ドライバのブレーキ操作による制動制御とが同時に行われた場合には、各車輪のホイールブレーキへのマスタシリンダ圧の伝達を制御する入口バルブ,出口バルブの開閉制御によって制動力が制御されるようになっている(段落0234〜0235参照)。つまり、各々の制御に必要な制動量がバルブの開閉によって単純加算されて、車両を安定させるために必要なヨーモーメントを車両に付与しながら、ドライバの制動要求に応じた制動を行うことができるようになっている。
このようなステア特性制御によって制御されるヨーモーメントの大きさは、ドライバのブレーキ操作によって全車輪へ制動力が付与されたとしても、旋回の内外輪の制動力の差が変化しない限り増減しないため、各輪の分担荷重が変化しなければ、ヨーモーメントによるスピンやドリフトアウトの抑制効果を維持しながら、ドライバの制動要求に応じた制動制御を行うことができる。
しかし、ドライバのブレーキ操作による大きな制動力が働いた場合、車両進行方向への慣性の働きによって、後輪から前輪へ、負担する荷重が大きく移動する。そしてこの荷重移動によって、前輪の横力(すなわち、コーナリングフォース)は増加する一方、後輪の横力が減少する。つまり、車両のステア特性がアンダステア傾向にある場合には、前輪の横力の増加によってアンダステア傾向が弱められることになるが、車両のステア特性がオーバステア傾向にある場合には、後輪の横力の減少によってさらにオーバステア傾向が強められてしまう。したがって、車両のステア特性がオーバステア傾向にある場合には、ステア特性制御による制動制御量にドライバのブレーキ操作による制動制御量を単純に加算することは、スピンの抑制効果を小さくしかねない、という課題がある。
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、ドライバの制動要求を考慮しながら、制動制御によって車両のスピン,ドリフトアウトを効果的に抑制できるようにした、車両のステア特性制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の車両のステア特性制御装置(請求項1)は、各車輪を個々に制動しうる制動機構と、該制動機構を制御する制動制御手段と、旋回時の車両のステア特性がオーバステアであるかアンダステアであるかを判定するステア特性判定手段と、該ステア特性判定手段により該ステア特性が過剰なオーバステアであると判定されると旋回外輪側の車輪への制動力を付与させるように該制動機構を制御するオーバステア抑制制御を行い、該ステア特性が過剰なアンダステアであると判定されると旋回内輪側の車輪への制動力を付与させるように該制動機構を制御するアンダステア抑制制御を行うステア特性制御手段とを備え、該制動制御手段は、該オーバステア抑制制御又は該アンダステア抑制制御の実施時にドライバによる制動操作があった場合、上記のドライバの制動要求を反映させるように、ドライバの制動操作による各車輪の制動制御量を該オーバステア抑制制御及び該アンダステア抑制制御の各々の制御に応じて設定し、該制動制御量を加算補正することを特徴としている。
この場合、各車輪の制動制御量を、オーバステア抑制制御時とアンダステア抑制制御時とで、別々に設定することが好ましい。
また、該制動制御量は、ドライバによる制動操作量の時間微分値であることが好ましく(請求項2)、該制動制御手段は、ドライバの制動操作による制動制御量に、予め設定された1以下のゲインを乗算した制御量を加算補正することが好ましい(請求項3)。
また、該オーバステア抑制制御の実施時にドライバによる制動操作があった場合の該ゲインは、ドライバによる制動操作量が増大するのに伴って減少するように設定されていることが好ましく(請求項4)、該オーバステア抑制制御の実施時にドライバによる制動操作があった場合の該ゲインは、該制動操作量が第1所定値未満の時には1となり、該制動操作量が該第1所定値以上で且つ該第1所定値よりも大きい第2所定値以下の時には該制動操作量の増大に応じて減少し、該制動操作量が該第2所定値以上の時には1よりも小さい一定値となるように設定されていることが好ましく(請求項5)、該アンダステア抑制制御の実施時にドライバによる制動操作があった場合の該ゲインは、1に設定されていることが好ましい(請求項6)。
本発明の車両のステア特性制御装置(請求項1)によれば、オーバステア、またはアンダステアといった車両のステア特性に応じて制動制御量を設定することができ、ドライバの制動要求を満たしながら、車両のスピン,ドリフトアウトといったヨー方向の姿勢制御を効果的に実施することができる。
また、本発明の車両のステア特性制御(請求項2)によれば、ドライバの減速意思を車両の制動制御量へ反応性良く反映させることができる。
また、本発明の車両のステア特性制御装置(請求項3)によれば、ドライバの制動操作による制動制御量は、1以下のゲインを乗算されているため、ドライバの制動操作による制動制御を緩和することができ、ステア特性制御による制動制御量とドライバの制動操作による制動制御量との和が過大になることを防ぐことができる。また、ゲインの設定によって、ステア特性制御による制動制御量とドライバの制動操作による制動制御量との和が、車輪がロックする最大制動量を超えないようにすることができる。
また、本発明の車両のステア特性制御(請求項4)によれば、車両のステア特性がオーバステア傾向である場合には、車両の前輪への荷重移動を小さくすることができ、車両後輪の横力(コーナリングフォース)を確保することができ、車両のスピン抑制効果を上昇させることができる。また、ドライバによる制動操作量の増大に伴って制動制御量が減少するため、低μ路などで左右輪の制動量の差を確保することができ、スピン抑制効果を保持することができる。
また、本発明の車両のステア特性制御(請求項5)によれば、ドライバの制動操作に応じた適切な制動制御量を設定することができる。
また、本発明の車両のステア特性制御(請求項6)によれば、アンダステア時には、ドライバの制動操作による制動制御量がステア特性制御手段による制動制御量に加算されるため、制動量の増加によって後輪の横力が小さくなり、アンダステア傾向をより小さくすることができる。また、ゲインが1に設定されてドライバの制動操作による制動制御量がそのままステア特性制御手段による制動制御量に加算されるため、ドライバの制動要求が反映された制動制御量が加算補正され、ドライバの操作感に見合った制動制御を実施することができ、良好な操作フィーリングを実現することができる。
特に、アンダステア時における車両の挙動の安定化のためには、ステア特性制御(ヨーモーメント制御)よりも、車速低下(減速)制御の方が有効な場合が多いため、ドライバの制動操作による制動制御量をそのままステア特性制御手段による制動制御量に加算することで、より確実に車両の安定化を図ることができる。
本発明は、ドライバの制動要求を考慮しながら、車両のスピン,ドリフトアウト抑制制御を効果的に実施するという目的を、車両のステア特性に応じた制御量を設定し制御を行うことで実現した。
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図7は本発明の一実施形態にかかる車両のステア特性制御装置を示すものであり、図1はそのステア特性制御装置における制御ブロック図、図2は本装置を備えた車両の制動システムの全体構成を示すシステム構成図、図3は本装置によるステア特性制御において、ドライバのブレーキペダル踏込み量に対応する制動制御量の設定にかかる補正特性を示す図であり(a)はオーバステア時の制動制御量補正特性図、(b)はアンダステア時の制動制御量補正特性図、図4は本装置におけるヨーモーメント制御の開始,終了条件を判定するメインフロー図、図5は本装置のヨーモーメント制御とドライバによる制動制御との統合制御を示す制御フロー図、図6は本装置のヨーモーメント制御におけるブレーキ踏込み時の制御終了条件を判定する制御フロー図、図7は本装置を備えた車両の右旋回時の制動力を示すもので(a)はオーバステア時の統合制御を示す模式図、(b)はアンダステア時の統合制御を示す模式図である。
本車両のステア特性制御装置には、図2に示すような車両の制動システムが利用される。つまり、この車両の制動システムは、ブレーキぺダル1と、ブレーキぺダル1の踏込みに連動して作動するマスタシリンダ2と、マスタシリンダ2の状態に応じて、あるいは制動用コントローラ(ブレーキECU)3からの指令に応じて、マスタシリンダ2あるいはブレーキ液リザーバ4から各制動輪(前輪の左右輪及び後輪の左右輪)5FL,5FR,5RL,5RRのホイールブレーキ(以下、ブレーキという)10のホイールシリンダに供給するブレーキ液圧を制御するハイドロリックユニット6とをそなえている。なお、ここでは、マスタシリンダ2,ハイドロリックユニット6等の液圧調整系と各制動輪のホイールブレーキ10等から制動機構が構成されるものとする。
本実施形態においては、車両の挙動を安定させる挙動制御のひとつとして、ヨーモーメントの大きさに応じた制動制御を行うようになっている。また、このようなヨーモーメントの大きさに応じた制動制御とブレーキペダル1の踏込み量に応じた制動制御(ドライバ制御)との両方の制動制御を統合した制動制御を行うことができるようになっている。
図2に示すように(図2には前輪の左右輪ブレーキについてのみ示す)、ハイドロリックユニット6にはステア特性制御時、差圧弁68の上流と下流とで所定の圧力差が生じるように差圧弁68が作動する。車両の挙動制御モードでありブレーキペダル1が踏み込まれていない時には、インライン吸入弁61が閉鎖され、アウトライン吸入弁62が開放されるため、ブレーキ液リザーバ4内のブレーキ液がアウトライン64,アウトライン吸入弁62及びポンプ65を通じて導入され、ポンプ65により加圧されるとともに液圧保持弁66及び減圧弁67により圧力調整されて各輪のブレーキ10に供給される。車両の挙動制御モードでありブレーキペダル1が踏み込まれている時には、インライン吸入弁61が開放され、アウトライン吸入弁62が閉鎖されるため、マスタシリンダ2内のブレーキ液がインライン63,インライン吸入弁61及びポンプ65を通じて導入され、ポンプ65により加圧されるとともに液圧保持弁66及び減圧弁67により圧力調整されて各輪のブレーキ10に供給される。
なお、この車両の挙動制御時にドライバによる制動制御(ドライバ制御)がなされた場合には、液圧センサ14で検知されたマスタシリンダ内のブレーキ液の圧力情報に基づいて、液圧保持弁66及び減圧弁67の圧力調整がなされるようになっている。また、インライン63とアウトライン64とはインライン吸入弁61及びアウトライン吸入弁62の下流で合流しており、この合流部分の下流にポンプ65が配置され、ポンプ65の下流には、各制動輪5FL,5FR,5RL,5RR毎に液圧保持弁66及び減圧弁67が装備されている。
通常制動時には、インライン吸入弁61及びアウトライン吸入弁62は閉鎖されて、差圧弁68,液圧保持弁66は開放されて、減圧弁67は閉鎖される。これにより、マスタシリンダ2内の圧力(即ち、ブレーキ踏力)に応じたブレーキ液圧がインライン63,差圧弁68,液圧保持弁66を通じて各輪のブレーキ10に供給される。また、ABS(アンチロックブレーキシステム又はアンチスキッドブレーキシステム)の作動時には、液圧保持弁66及び減圧弁67を通じてブレーキ踏力に応じたブレーキ液圧が車輪のロックを生じないように適宜調整される。
このようなハイドロリックユニット6のインライン吸入弁61,アウトライン吸入弁62,ポンプ65,及び各制動輪の液圧保持弁66,減圧弁67,差圧弁68は、ブレーキECU3により制御される。
ブレーキECU3には、ステアリングホイール(ハンドル)に付設されたハンドル角センサ11からハンドル角信号が、車体に設置されたロールレイトセンサ13から車体のロールレイト信号が、マスタシリンダ液圧センサ14からマスタシリンダ液圧信号が、各輪の車輪速センサ15から車輪速信号が、ブレーキスイッチ16からブレーキぺダル踏込信号が、車体に設置された前後・横加速度センサ17から前後加速度信号,横加速度信号が、それぞれ入力されるようになっている。
ブレーキECU3は、図1に示すような各機能要素、つまり、ドライバの運転状態を判定又は推定するドライバ運転状態判定手段25と、車両の理論上の運動状態を演算する車両運動状態演算手段26と、車輪のスリップや車両の回転といった車両の不安定な挙動を安定化させるためにヨーモーメントの大きさに応じた制動制御を行うヨーモーメント制御手段(ステア特性制御手段)21と、ヨーモーメント制御手段21によって設定された制動制御量に基づいて制動制御を実行する制動制御手段22とを備えている。なお、ブレーキECU3には、車両の挙動を安定させるその他の制御手段として、自動減速制御手段やロールオーバ抑制制御手段(ともに図示せず)等が併せて備えられているが、ここではその他の制御手段については説明を省略する。
ドライバ運転状態判定手段25では、ドライバによるブレーキペダル1の踏込み操作が行われているか否かを判定してブレーキスイッチフラグFbswのオン/オフを設定するとともに、そのブレーキペダル1の踏込み量PRDRを、マスタシリンダ液圧センサ14から入力されるマスタシリンダ液圧情報に基づいて算出するようになっている。このドライバ運転状態判定手段25における判定結果,算出結果は、ヨーモーメント制御手段21へ出力されるようになっている。
なおここで設定されるブレーキスイッチフラグFbswは、ドライバによってブレーキペダル1が踏込まれている時にはオン(Fbsw=1)に、踏込まれていない時にはオフ(Fbsw=0)に設定されるようになっている。
また、ここでは、ドライバのブレーキペダル1の踏込み圧PRDRと図示しないABS制御手段からの制御情報に基づいて、ドライバによる急制動の操作の有無を判定するようになっている。具体的には、ブレーキペダル1の踏込み圧PRDRに応じて制御されるマスタシリンダ2のブレーキ液圧の大きさが所定の基準値以上、または、ABS装置が所定個数以上の車輪において作動した場合には、ドライバの急制動の意思が強い(あるいは、走行路面の摩擦係数μが低い)ものと判定する。なお、この判定は、後述するヨーモーメント統合制御量設定手段33における判定条件として用いられるようになっている。
車両運動状態演算手段26では、ヨーレイトセンサ12からのヨーレイト信号によって車体に発生する実ヨーレイトYr、前後・横加速度センサ17から入力される横加速度信号によって車体に発生する実横加速度Gy、ハンドル角センサ11から入力されるハンドル角情報によってハンドル角θhを、それぞれ認識し、ヨーモーメント制御手段21へ出力するようになっている。また、ここでは、車体速Vb,ハンドル角速度ωh及び実舵角δが算出されるようになっている。車体速Vbは、通常は車輪速センサ15からの車輪速信号に基づいて算出されるが、車輪にスリップが生じたら、それまで得られた車輪速信号に基づく車体速に、前後加速度センサ17から得られる前後加速度の時間積分値が加算されて算出される(この場合、推定車体速となる)。また、ハンドル角速度ωh及び実舵角δは、ハンドル角センサ11からのハンドル角情報に基づいて算出される。なお、ハンドル角θhがドライバによって操舵されたステアリングホイールのニュートラル位置に対する角度を表すのに対して、実舵角δは操舵輪のニュートラル位置に対する角度を表すものである。
ヨーモーメント制御手段21は、車両のステア特性をニュートラルステアの状態に近づけるようにヨーモーメントを制御して車両の挙動を安定化させるための制御(ヨーモーメント制御)、すなわち、車両の回頭,復元に必要なヨーモーメントを演算し、制御量を設定するヨーモーメント制御量設定手段31と、このヨーモーメント制御時にドライバのブレーキ踏込み操作による制動制御量を演算し設定するドライバ操作対応制御量設定手段32と、ヨーモーメント制御量設定手段31とドライバ操作対応制御量設定手段32との双方の制御を統合した制御量を演算し設定するヨーモーメント統合制御量設定手段33と、車両のステア特性がオーバステア傾向にあるかアンダステア傾向にあるかを判定するオーバステア・アンダステア判定手段34とを備えて構成されている。
このヨーモーメント制御手段21は、ヨーモーメント制御が必要な状態にあるか否かを判定して制動制御を行うようになっている。ヨーモーメント制御が必要であると判定されると、ヨーモーメント制御実施フラグFymcがFymc=1(オン)が設定され、ヨーモーメント制御手段21内で車輪に付与される制動力が設定されて、制動制御手段22においてその設定に基づいた制動制御が行われるようになっている。また、ヨーモーメント制御が必要でないと判定されると、ヨーモーメント制御実施フラグFymcがFymc=0(オフ)が設定され、制動制御手段22において制動制御を終了するようになっている。
なお、ヨーモーメント制御の開始条件とは、(1)車体速Vbが基準値(予め設定された低速値)V1以上であること、(2)OS時には、ヨーレイト偏差Ydevが基準値(予め設定された閾値としての基準ヨーレイトであり、オーバステア抑制制御開始閾値)Yostに補正ゲインKを乗じた値(負の値)よりも小さいこと、又は、US時には、ヨーレイト偏差Ydevが基準値(予め設定された閾値としての基準ヨーレイトであり、アンダステア抑制制御開始閾値)Yustに補正ゲインKを乗じた値よりも大きいこと、である。これらの条件がすべて成立すると、ヨーモーメント制御が開始される。
このヨーモーメント制御が開始された時に、上記(2)の条件中のOS時の条件が成立している場合にはオーバステア抑制制御として、US時の条件が成立している場合にはアンダステア抑制制御としてのヨーモーメント制御が実施されるようになっている。また、この条件(2)によって、車両のステア特性が過剰なOS・US状態か否か、すなわち、ニュートラルステアであるか否かを判定するようになっている。
また、ヨーモーメント制御の終了条件とは、(1)車体速Vbが基準値(予め設定された低速値)V2未満であること、(2)ヨーレイト偏差Ydevの大きさ|Ydev|が基準値Ye未満で所定時間Te以上継続すること、である。これらの条件のいずれかが成立すると、ヨーモーメント制御が終了される。
次に、ヨーモーメント制御手段21を構成する各機能要素の構成を説明する。ヨーモーメント制御量設定手段31は、ヨーモーメント制御における制動制御量を設定する。
ヨーモーメント制御量設定手段31は、ヨーモーメント制御に必要なヨーモーメントの大きさを設定する。具体的には、車両運動状態演算手段26で算出された車体速Vbと実舵角δとスタビリティファクタAとから、規範とする線形二輪モデルを用いて目標ヨーレイトYtが求められ、この目標ヨーレイトYtと車両運動状態演算手段26から入力された実ヨーレイトYrとの偏差、すなわちヨーレイト偏差Ydevが算出される。そして、ヨーレイト偏差Ydevから目標ヨーモーメントYMdが算出される。この目標ヨーモーメントYMdの大きさが、制動制御によって車両に発生させるモーメントの大きさとして設定される。
そして、この目標ヨーモーメントYMdに基づいて、ヨーモーメント制御において車輪に付与される制御量の大きさが以下の式1によってヨーモーメント制御のブレーキ液圧勾配(増減圧勾配)PRymcとして算出されるようになっている。
Figure 2005104342
なお、ここでは、制御量として制動力自体(絶対的な制動力の大きさ)ではなく、制御力増減値が設定されるようになっている。これは、本制御が所定の周期で行われるものであり、前回の制御周期での制御力に対して制動力をどれだけ増減させるかを設定するようになっているためである。そのため、ここでは制動力としてブレーキ液圧に換えて増減圧勾配(制御用増減圧量)PRymcとして設定している。
ここで設定される制御量は、オーバステア・アンダステア判定手段34における車両のステア特性の判定結果に応じて各制動輪5のホイールブレーキ10の制動量として設定されるようになっている。すなわち、車両のステア特性がOSの場合には、旋回外輪側の車輪へ制動力を付与するように機能する。また、車両のステア特性がUSの場合には、旋回内輪側の車輪へ制動力を付与するように機能する。なお、本実施形態において、OS時には旋回外輪側の前輪に制動力が付与されるとともに旋回内輪側の後輪に制動力が働いている場合には、その制動力を減少させるようになっている。また、US時には旋回内輪側の後輪に制動力が付与されるようになっている。
ドライバ操作対応制御量設定手段32は、ヨーモーメント制御時におけるドライバのブレーキ操作に対応する制動量を演算し設定する。具体的には、ドライバ運転状態判定手段25から入力されるブレーキペダル1の踏込み圧PRDRの時間微分値MCDRを算出し、これに踏込み圧ゲインKDRを乗じたものを、ドライバのブレーキ操作に対応する制動量として設定する。
踏込み圧ゲインKDRは、車両のステア特性と踏込み圧PRDRとに応じた値として設定されるようになっている。車両のステア特性は、オーバステア・アンダステア判定手段34の判定結果が入力されるようになっている。
まず、車両のステア特性がオーバステア時には、図3(a)に示すように、ドライバ踏込み圧PRDRが所定値PRDR1(第1所定値)未満の時には、踏込み圧ゲインKDRは1であり、ドライバ踏込み圧PRDRが所定値PRDR1以上で所定値PRDR2(第2所定値)未満の時には、踏込み圧ゲインKDRはドライバ踏込み圧PRDRの増大に応じて減少し、ドライバ踏込み圧PRDRが所定値PRDR2以上の時には、踏込み圧ゲインKDRは一定の値KDR0に設定されるようになっている(ただし、PRDR1<PRDR2)。
つまり、ドライバ操作対応制御量設定手段32では、オーバステア時のヨーモーメント制御時にドライバによるブレーキペダル1の踏込みがあった場合のドライバ踏込み圧に対応する制動制御量の設定にあたって、ドライバ踏込み圧PRDRが所定値PRDR2以上の時には、踏込み圧ゲインKDRを一定の値KDR0に設定することで、ドライバ制御による制動制御量を抑えるようになっている。
また、ドライバ踏込み圧PRDRが所定値PRDR1以上で所定値PRDR2未満の時には、踏込み圧ゲインKDRをドライバ踏込み圧PRDRの増大に応じて減少する1より小さい値に設定することで、ドライバ踏込み圧が大きいほど、制動制御量が過大な値に設定されないようになっている。
さらに、ドライバ踏込み圧PRDRが所定値PRDR1未満の時には、制動制御量が過大になるおそれがないため、踏込み圧ゲインKDRを1に設定して、ドライバの減速意思を反映した制動制御量が設定される。
一方、車両のステア特性がアンダステア時には、図3(b)に示すように、ドライバ踏込み圧PRDRの大きさに関わらず、踏込み圧ゲインKDRは1に設定されるようになっている。つまり、アンダステア時のヨーモーメント制御時にはドライバによるブレーキペダル1の踏込み操作があった場合のドライバの踏込み圧に対応する制動制御量の設定においては、ドライバの減速意思を反映した制動制御量がそのまま設定される。
ヨーモーメント統合制御量設定手段33は、ヨーモーメント制御量設定手段31とドライバ操作対応制御量設定手段32とで設定された各々の制御量から、以下の式2に従って制御用増減圧勾配PRTymcを算出し設定する。
PRTymc=PRymc+KDR・MCDR ・・・(式2)
ただし、PRymc:ブレーキ液圧勾配(増減圧勾配)
DR :踏込み圧ゲイン
MCDR :踏込み圧PRDRの時間微分値
なお、ヨーモーメント制御時に、ドライバのブレーキ操作がない場合には、踏込み圧PRDRの時間微分値が0であるため、以下の式3に従って制御用増減圧勾配PRTymcが算出されることになる。
PRTymc=PRymc ・・・(式3)
また、ヨーモーメント統合制御量設定手段33では、ヨーモーメント制御時にドライバのブレーキ操作時には、ヨーモーメント制御手段21における、ヨーモーメント制御が必要な状態にあるか否かの判定に加えて、ブレーキ踏込み時ヨーモーメント制御終了判定条件が満たされるか否かに応じて、ヨーモーメント制御自身の終了の判定を行うようになっている。具体的には、ドライバ運転状態判定手段25において判定されるドライバの急制動の意思が強い場合には、ヨーモーメント制御を終了するようになっている。ただし、車両のオーバステア・アンダステア判定手段34において判定されるステア特性がオーバステア傾向にある時には、車両の安定性を確保するため、ヨーモーメント制御が終了しないようになっている。
オーバステア・アンダステア判定手段34は、ヨーモーメント制御量設定手段31から入力される目標ヨーモーメントYMd値の正負に基づいて、車両のステア特性がオーバステア(以下、単にOSとも記載する)傾向、又はアンダステア(以下、単にUSとも記載する)傾向のどちらであるかを判定する。つまり、目標ヨーモーメントYMd値が正の場合にはアンダステア傾向にあると判定し、目標モーメントYMd値が負の場合にはオーバステア状態にあると判定するようになっている。なお、ここで判定された車両のOS、又はUSの状態は、ヨーモーメント統合制御量設定手段33へ出力されるとともに、制動制御手段22へも出力される。
このように、ヨーモーメント制御手段21で算出され設定されたヨーモーメントの制御量は、制動制御手段22へ出力されて、実質的なヨーモーメント制御の制動制御、すなわち、各制動輪5のホイールブレーキ10の制動力が制御されるようになっている。
本発明の一実施形態にかかる車両のステア特性制御装置は、上述のように構成されているので、例えば図4〜図6に示すように、制御が実施される。
本ステア特性制御装置では、図8に示すメインフローに従って、ヨーモーメント制御全体が制御される。
まず、ステップA10では、本ヨーモーメント制御に必要なパラメータが入力される。具体的には、車両運動状態演算手段26から車速Vb,ハンドル角θh,ハンドル角速度ωh,横加速度Gyが入力され、ドライバ運転状態入力部25からブレーキスイッチフラグFbsw情報と、ドライバによるブレーキペダル1の踏込み圧PRDR、ドライバによる急制動操作の有無の判定情報が入力される。また、これらのパラメータから、ヨーモーメント制御量設定手段31において、ブレーキ液圧勾配(増減圧勾配)PRymcが算出される。
次にステップA20では、ヨーモーメント制御実施フラグFymcがFymc=0(オフ)であるか否かが判定される。Fymc=0の場合には、まだヨーモーメント制御が行われていないので、ステップA30へ進んでヨーモーメント制御開始条件が成立するか否かが判定され、一方、Fymc=1の場合には、ヨーモーメント制御が行われているので、ステップA60へ進んでヨーモーメント制御終了条件が成立するか否かが判定される。
ステップA30においてヨーモーメント制御開始条件が成立すると、ステップA40へ進み、ヨーモーメント制御実施フラグFymcをFymc=1(オン)に設定してステップA50のヨーモーメント統合制御フローへと進む。このステップA50のフローは、本メインフローのサブルーチンとしての制御フローである。
また、ステップA60においてヨーモーメント制御終了条件が成立すると、ステップA70へ進み、ヨーモーメント制御実施フラグFymcをFymc=0(オフ)に設定してステップA80でヨーモーメント制御を終了し、このフローを終了する。
ヨーモーメント統合制御フローは、図5に示すように、ヨーモーメント制御量設定手段31,ドライバ操作対応制御量設定手段32及びヨーモーメント統合制御量設定手段33において、制動制御の具体的な制御量を設定する。
まず、ステップB10では、ヨーモーメント制御量設定手段31でヨーモーメント制御のブレーキ液圧勾配(増減圧勾配)PRymcを算出する。次にステップB20へ進んで、ブレーキスイッチフラグFbswのオン/オフに応じて、ドライバによるブレーキ操作が行われているか否かが判定される。ブレーキスイッチフラグFbswがFbsw=1の場合には、ステップB30へ進み、ブレーキ踏込み時ヨーモーメント制御終了判定フローへ進むが、=0の場合には、ステップB80へ進んで、制御用増減圧勾配PRTymcとしてヨーモーメント制御のブレーキ液圧勾配(増減圧勾配)PRymcをそのまま設定し、ステップB90で制動制御を実施し、このルーチンを終了する。
ステップB20においてFbsw=1の場合に進む、ステップB30のブレーキ踏込み時ヨーモーメント制御終了判定フローは、本フローのサブルーチンとしての制御フローであり、ヨーモーメント制御中であってドライバによるブレーキペダル1の踏込みがあった場合に限って判定される、ヨーモーメント制御の終了条件(ヨーモーメント制御ブレーキ踏込み時終了条件)を判定するためのフローであり、このフローに関しては後述する。
ステップB40では、ヨーモーメント制御実施フラグFymcがFymc=1であるか否かが判定される。これは、ステップB30において、ヨーモーメント制御の終了条件が成立した場合には、Fymc=0に設定された状態になるため、ここでフラグを判定して、Fymc=0の場合にはこのサブルーチンを終了するようになっている。また、Fymc=1の場合には、ステップB30において、ヨーモーメント制御の終了条件が成立しなかったことになり、ステップB50へ進む。
ステップB50では、ドライバ操作対応制御量設定手段32でドライバのブレーキ踏込み圧PRDRの時間微分値MCDRを算出する。そして次のステップB60では、オーバステア又はアンダステアといった車両のステア特性と、ドライバの踏込み圧PRDRとに応じた踏込み圧ゲインKDRが設定され、ステップB70へ進んで制御用増減圧勾配PRTymcが設定される。ここで設定される制御用増減圧勾配は、ヨーモーメント制御のブレーキ圧勾配と、ドライバのブレーキ踏込み圧PRDRの時間微分値MCDRに踏込み圧ゲインKDRを乗じたものとの和として算出される。そしてステップB90へ進み、ステップB70で設定された制御用増減圧勾配に基づいて制動制御を実施し、このサブルーチンを終了する。
上記フローのステップB30における、ブレーキ踏込み時ヨーモーメント制御終了判定フローは、図6に示すように、ヨーモーメント制御中であってドライバによるブレーキペダル1の踏込みがあった場合に限って判定される、ヨーモーメント制御ブレーキ踏込み時終了条件を判定する。
まずステップC10では、ドライバ運転状態判定手段25における判定に基づいて、ドライバによるブレーキ踏込みが急制動ではないか否かが判定される。ここでドライバによるブレーキ踏込みが急制動ではない場合には、ヨーモーメント制御ブレーキ踏込み時終了条件が成立しないため、そのままサブルーチンを終了するが、急制動である場合には、ステップC20へ進む。
ステップC20では、オーバステア・アンダステア判定手段34の判定に基づいて、車両のステア特性がOS状態であるか否かが判定される。ここで車両のステア特性がOS状態である場合には、そのままサブルーチンを終了し、OS状態でない場合には、ステップC30へ進んでヨーモーメント制御実施フラグFymcをFymc=0に設定し、ステップC40でヨーモーメント制御を終了して、このサブルーチンを終了する。
つまり、ドライバによるブレーキ踏込みが急制動である場合には、ドライバ自身による制動意思が強いものと判断して、ヨーモーメント制御を終了するようになっているが、車両のステア特性がUS状態でない場合、すなわちOS状態においては、急制動によってOSのステア特性がさらに強まってしまうため、車両の安定性の確保のためにヨーモーメント制御を終了しないようになっている。
本発明の一実施形態にかかる車両のステア特性制御装置は、上述のように構成されているので、この制御によって、車両は図7に示すような挙動を示す。
車両の右方向への旋回中に、ヨーモーメント制御手段21によってヨーモーメント制御の開始判定条件が成立したと判定されると、制動制御手段22は車両のステア特性と車両に発生するヨーモーメントの大きさに応じて車輪へ制動力を付加する。ステア特性がオーバステア傾向にある場合には、図7(a)に示すように、旋回外輪の前輪である左前輪5FLへ制動力が付加される。このようなヨーモーメント制御によって車両に復元方向へのヨーモーメントが発生し、車両は安定した旋回を行うことができる。
このヨーモーメント制御中にドライバによるブレーキペダル1の踏込みがあった場合、ドライバ操作対応制御量設定手段32において、ドライバのブレーキ操作に対応する制動量が設定される。車両のステア特性はOS傾向にあるため、図3(a)に示すマップに基づいて踏込み圧ゲインKDRが決定される。ドライバ踏込み圧による制動力は、踏込みゲインKDRと踏込み圧PRDRの時間微分値とを乗じた値であるため、踏込みゲインKDRに応じて小さく設定されることになる。したがって、ドライバの踏込み圧による制動力が小さくなり、ヨーモーメント制御による制動量とドライバのブレーキ操作による制動量との和が過大になることを防止することができる。また、踏込みゲインKDRは、踏込み圧PRDRが大きいほど小さく設定されるため、踏込み圧PRDRが大きい場合であっても、ヨーモーメント制御による制動量とドライバのブレーキ操作による制動量との和が過大になることを防止することができる。
また、ドライバ踏込み圧による制動力が小さく設定されるため、ヨーモーメント制御による制動量とドライバのブレーキ操作による制動量との和が、車輪がロックする制動力の最大値を超えにくくなり、旋回の内外輪の制動力の差が小さくなりにくくなるため、ヨーモーメント制御によって車両に発生させようとするヨーモーメントの大きさが小さくなりにくく、ヨーモーメントによるスピンやドリフトアウトの抑制効果を保持することができる。
また、踏込みゲインKDRの設定値によっては、ヨーモーメント制御による制動量とドライバのブレーキ操作による制動量との和が、車輪がロックする制動力の最大値を超えないようにすることができ、ヨーモーメントによるスピンやドリフトアウトの抑制効果をより確実に保持することもできる。
また、車両のステア特性がオーバステア傾向にある場合には、制動力の増加によって後輪から前輪への負担荷重の移動が発生し、後輪の横力の減少によってオーバステア傾向が強められてスピンの抑制効果が小さくなりかねないが、このような制動力の減少によって後輪の横力の減少を抑制することができ、車両のスピンの抑制効果の減少を緩和することができる。
また、ここで設定されるドライバのブレーキ操作による制動量は、踏込み圧PRDRの時間微分値の大きさに応じて設定されるため、ドライバの減速意思を的確に反映した制御を実施することができる。
一方、車両の右方向への旋回中に、ヨーモーメント制御の開始判定条件が成立し場合であって、車両のステア特性がアンダステア傾向にあるときには、図7(b)に示すように、旋回内輪の後輪である右後輪5RRへ制動力が付加される。このようなヨーモーメント制御によって車両に回頭方向へのヨーモーメントが発生し、車両は安定した旋回を行うことができる。
このヨーモーメント制御中にドライバによるブレーキペダルの踏込みがあった場合、ドライバ操作対応制御量設定手段32においてドライバのブレーキ操作に対応する制動量が設定される。車両のステア特性はUS傾向にあるため、図3(b)に示すマップに基づいて踏込み圧ゲインKDRが決定される。すなわち、踏込み圧ゲインKDRは、ドライバによる踏込み圧の大きさに関わらず常に1となる。したがって、ドライバの踏込み圧による制動量が踏込みゲインによって小さく設定されることがなく、ドライバの減速意思に応じた制動量を設定することができる。
また、車両のステア特性がUS傾向にあるため、減速によってUS傾向を速やかに弱めることができ、車両の安定性を向上させることができる。
このように、本ステア特性制御装置によれば、車両のステア特性に応じた制動制御を行うことができ、ドライバの制動要求を満たしながら、車両のヨー方向の姿勢制御を効果的に実施することができる、
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述の実施形態においては、ステア特性制御の制動力について詳述したが、ロールオーバ抑制制御や自動減速制御等、その他の車両挙動制御が同時に実行されるように構成されることも考えられる。この場合、各々の制御量の算出過程においては独立した演算を行い、制動制御を行う時点で各々の制御量を加算して制御を行うように構成してもよいし、各々の制御量の和を算出するにあたって重み付け加算(例えば、各々の制御量に所定の係数を乗じた後に加算するといった演算)行うように構成してもよい。
また、上述の実施形態において、ヨーモーメントの増減圧勾配PRymcが、目標ヨーモーメントYMdに応じた値として、予め設定された対応マップに基づいて設定されるようになっているが、例えばPID制御によって設定されるように構成してもよく、あるいは別のロジックによって設定されるように構成してもよい。
本発明の一実施形態にかかる車両のステア特性制御装置の制御ブロック図である。 本発明の一実施形態にかかる車両のステア特性制御装置を備えた車両の制動システムの全体構成を示すシステム構成図である。 本発明の一実施形態にかかる車両のステア特性制御装置によるステア特性制御において、ドライバのブレーキペダル踏込み量に対応する制動制御量の設定にかかる補正特性を示す図であり(a)はオーバステア時の制動制御量補正特性図、(b)はアンダステア時の制動制御量補正特性図である。 本発明の一実施形態にかかる車両のステア特性制御装置による、ヨーモーメント制御の開始,終了条件を判定する制御フロー図である。 本発明の一実施形態にかかる車両のステア特性制御装置による、ヨーモーメント制御とドライバによる制動制御との統合制御を説明する制御フロー図である。 本発明の一実施形態にかかる車両のステア特性制御装置による、ヨーモーメント制御におけるブレーキ踏込み時の制御終了条件を判定する制御フロー図である。 本発明の一実施形態にかかる車両のステア特性制御装置を備えた車両の右旋回時の制動力を示すもので(a)はオーバステア時の統合制御を示す模式図、(b)はアンダステア時の統合制御を示す模式図である。
符号の説明
1 ブレーキぺダル
2 マスタシリンダ
3 制動用コントローラ(ブレーキECU)
4 ブレーキ液リザーバ
5FL,5FR,5RL,5RR 制動輪
6 ハイドロリックユニット
10 ホイールブレーキ
11 ハンドル角センサ
12 ヨーレイトセンサ
14 マスタシリンダ液圧センサ
15 車輪速センサ
16 ブレーキスイッチ
17 前後・横加速度センサ
21 ヨーモーメント制御手段(ステア特性制御手段)
22 制動制御手段
25 ドライバ運転状態判定手段
26 車両運動状態演算手段
31 ヨーモーメント制御量設定手段
32 ドライバ操作対応制御量設定手段
33 ヨーモーメント統合制御量設定手段
34 オーバステア・アンダステア判定手段

Claims (6)

  1. 車両の各車輪を個々に制動しうる制動機構と、
    該制動機構を制御する制動制御手段と、
    旋回時の車両のステア特性がオーバステアであるかアンダステアであるかを判定するステア特性判定手段と、
    該ステア特性判定手段により該ステア特性が過剰なオーバステアであると判定されると旋回外輪側の車輪への制動力を付与させるように該制動機構を制御するオーバステア抑制制御を行い、該ステア特性が過剰なアンダステアであると判定されると旋回内輪側の車輪への制動力を付与させるように該制動機構を制御するアンダステア抑制制御を行うステア特性制御手段とを備え
    該制動制御手段は、該オーバステア抑制制御又は該アンダステア抑制制御の実施時にドライバによる制動操作があった場合、上記のドライバの制動要求を反映させるように、ドライバの制動操作による各車輪の制動制御量を該オーバステア抑制制御及び該アンダステア抑制制御の各々の制御に応じて設定し、該制動制御量を加算補正する
    ことを特徴とする、車両のステア特性制御装置。
  2. 該制動制御量は、ドライバによる制動操作量の時間微分値である
    ことを特徴とする、請求項1記載の車両のステア特性制御装置。
  3. 該制動制御手段は、ドライバの制動操作による制動制御量に、予め設定された1以下のゲインを乗算した制御量を加算補正する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の車両のステア特性制御装置。
  4. 該オーバステア抑制制御の実施時にドライバによる制動操作があった場合の該ゲインは、ドライバによる制動操作量の増大に伴って減少するように設定されている
    ことを特徴とする、請求項3記載の車両のステア特性制御装置。
  5. 該オーバステア抑制制御の実施時にドライバによる制動操作があった場合の該ゲインは、該制動操作量が第1所定値未満の時には1となり、該制動操作量が該第1所定値以上で且つ該第1所定値よりも大きい第2所定値以下の時には該制動操作量の増大に応じて減少し、該制動操作量が該第2所定値以上の時には1よりも小さい一定値となるように設定されている
    ことを特徴とする、請求項4記載の車両のステア特性制御装置。
  6. 該アンダステア抑制制御の実施時にドライバによる制動操作があった場合の該ゲインは、1に設定されている
    ことを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の車両のステア特性制御装置。

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