JP4277641B2 - 車両のロールオーバ抑制制御装置 - Google Patents
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Description
例えば、同一方向への旋回が継続するループ橋等の旋回時(すなわち、定常旋回時)には、旋回開始時や旋回終了時といった車両の旋回挙動の変化時以外、車両に大きなロールレイトは発生しないが、旋回外側方向への横加速度は常に発生している。そしてこの横加速度が過大になると、たとえロールレイトが小さいままであっても車両が横転に至ることがある。
このように、ロールレイトは、車両の旋回開始や旋回終了、旋回方向の切り換えなどに対しては応答性良く検出されるため、急激な挙動変化時のロールオーバ制動制御パラメータとして(すなわち、制動制御量を決定するパラメータとして)好適であるが、定常旋回時における車両のロールオーバ制動制御には不向きである。また一方、横加速度は、定常旋回時における車両の制動制御には好適であるが、車両の旋回開始や旋回終了、旋回方向の切り換えなどに対する応答性はロールレイトに劣り、急激な旋回挙動変化時の制動制御パラメータとして不向きである。
また、特許文献2に記載の技術においては、車両の横転の危険度を示す指標としての横転傾向指標値Vrの演算にあたって横加速度Gy及びロールレートRraを考慮しているが、実際の制動制御量の算出にはこれらのパラメータ値が反映されていないため、正確な制動制御が期待できない。
また、ロールレイトや横加速度の大きさに応じた、制動力の重み付け加算を適切に行うことができ、ロールレイト値に対応した制御量と横加速度値に対応した制御量と各々の必要十分な制御量を確保することができる。
図1〜図7は本発明の一実施形態にかかる車両のロールオーバ抑制制御装置を示すものであり、図1はその抑制制御にかかる制御ブロック図、図2は本装置を備えた車両の制動システムの全体構成を示すシステム構成図、図3は本装置を備えた車両における旋回方向と制動力との関係を示す模式図、図4は本装置による制御における制動制御量の補正特性を示す図、図5〜図7は本装置による制御を説明するフローチャートである。
ブレーキECU3には、ステアリングホイール(ハンドル)に付設されたハンドル角センサ11からハンドル角信号が、車体に設置されたヨーレイトセンサ12から車体のヨーレイト信号が、車体に設置されたロールレイトセンサ(ロールパラメータ値検出手段)13から車体のロールレイト信号(パラメータ値)が、各輪の車輪速センサ15から車輪速信号が、ブレーキスイッチ16からブレーキぺダル踏込信号が、車体に設置された前後・横加速度センサ17から前後加速度信号,横加速度信号が、それぞれ入力されるようになっている。
車両運動状態演算手段32では、ロールレイトセンサ13からのロールレイト信号によって車体に発生する実ロールレイトRr、前後・横加速度センサ17から入力される横加速度信号によって車体に発生する実横加速度Gy、ハンドル角センサ11から入力されるハンドル角情報によってハンドル角θh、ヨーレイトセンサ12からのヨーレイト信号によって車体に発生する実ヨーレイトYrを、それぞれ認識するようになっている。また、ここでは、車体速Vbが算出されるようになっている。車体速Vbは、通常は車輪速センサ15からの車輪速信号に基づいて算出されるが、車輪にスリップが生じたら、それまで得られた車輪速信号に基づく車体速に、前後加速度センサ17から得られる前後加速度の時間積分値が加算されて算出される(この場合、推定車体速となる)。
まず、本ロールオーバ抑制制御装置では、ロールオーバ抑制制御手段34のロールレイト制御手段34bにおいて、ロールレイト制御を実施するか否かが、図5に示すフローに従って判定される。このフローは、ロールレイトに応じたロールオーバ抑制制御の開始条件や終了条件を判定し、ロールレイト制御を行うためのフローである。
まずステップB10では、横加速度制御の開始又は終了を判定するために必要なパラメータが入力される。次にステップB20では、横加速度制御が行われているか否かが判定される。この判定にかかるフラグFropLAは、横加速度制御が行われている状態か否かを示すフラグ(横加速度制御実施フラグ)であり、初期値が0として設定されている。ここで、FropLA=0の場合には、横加速度制御が開始されていないので、ステップB30へ進んで横加速度制御の開始条件が判定される。また、FropLA=1の場合には、横加速度制御が開始されているので、ステップB60へ進んで横加速度制御の終了条件が判定される。
まずステップC10で、フラグFropRRとFropLAとがともに1(オン)であるか否かが判定される。つまりこのステップでは、ロールレイト制御と横加速度制御の両方が実施されているか否かが判定される。ここで、FropRR=1且つFropLA=1の場合には、ステップC20以降の統合制御を行うフローへ進む。また、FropRR=0又はFropLA=0の場合には、ステップC60の統合制御を行わないフローへ進む。
ステップC30では、横加速度制御による増減圧勾配PRLAが算出される。この演算は、横加速度制御手段において、横加速度Gyの大きさに応じた値として演算される。そしてステップC40へ進む。
PRrop=KRR・PRRR+KLA・PRLA ・・・ (式1)
ただし、
PRRR:ロールレイト制御による増減圧勾配
PRLA:横加速度制御による増減圧勾配
KRR:ロールレイトゲイン(0≦KRR≦1)
KLA:横加速度ゲイン(0≦KLA≦1)
つまり、制御用増減圧勾配は、ロールレイトと横加速度との大きさに応じたロールレイトゲイン及び横加速度ゲインとによって、ロールレイト制御と横加速度制御とによる増減圧勾配が重み付け加算される。そして、ステップC50へ進んで、設定された制御用増減圧勾配PRropに基づいて実際のブレーキ制御を実施して、このフローを終了する。
PRrop=PRRR+PRLA ・・・ (式2)
ただし、
PRRR:ロールレイト制御による増減圧勾配(非ロールレイト制御時には0)
PRLA:横加速度制御による増減圧勾配(非横加速度制御時には0)
つまり、制御用増減圧勾配PRropは、ロールレイト制御のみが実施されている場合にはロールレイト制御による増減圧勾配PRRRに設定され、横加速度制御のみが実施されている場合には横加速度制御による増減圧勾配PRLAに設定され、またいずれのロールオーバ抑制制御も行われていない場合には、0に設定されるようになっている。そして、ステップC50へ進んで、設定された制御用増減圧勾配PRropに基づいて実際のブレーキ制御を実施して、このフローを終了する。
本実施形態においてはロールオーバ抑制制御時のブレーキ制御に際し、上述のように設定された制動制御量が、旋回外輪への制動力として付与されるようになっている。例えば図3(a),(b)に示すように、車両が左方向への旋回中には、旋回外輪である右前輪5FRと右後輪5RRとに制動力が付与され、車両が右方向への旋回中には、左前輪5FLと左後輪5RLとに制動力が付与される。
また、ロールレイト,横加速度の大きさが大きい場合にはゲインが1に設定されるため、ロールレイトの大きさが大きい時にはロールレイト制御に十分な増減圧勾配が確保され、横加速度の大きさが大きい時には横加速度制御に十分な増減圧勾配が確保されて、確実に両方の制御を行うことのできる増減圧勾配を確保することができる。
また、図4に示すロールレイトゲイン及び横加速度ゲインの設定によって、必要十分量の制動制御を実行することができる。
例えば、上述の実施形態においては、ロールオーバ抑制制御の制動力について詳述したが、ヨーモーメント制御や自動減速制御等、その他の車両挙動制御が同時に実行されるように構成されることも考えられる。この場合、各々の制御量の算出過程においては独立した演算を行い、制動制御を行う時点で各々の制御量を加算して制御を行うように構成してもよいし、各々の制御量の和を算出するにあたって重み付け加算(例えば、各々の制御量に所定の係数を乗じた後に加算するといった演算)行うように構成してもよい。
また、上述の実施形態において、増減圧勾配PRRR,増減圧勾配PRLAが、各々ロールレートRr,横加速度Gyに応じた値として、予め設定された対応マップに基づいて設定されるようになっているが、例えばPID制御によって設定されるように構成してもよく、あるいは別のロジックによって設定されるように構成してもよい。
2 マスタシリンダ
3 制動用コントローラ(ブレーキECU)
4 ブレーキ液リザーバ
5FL,5FR,5RL,5RR 制動輪
6 ハイドロリックユニット
10 ホイールブレーキ
11 ハンドル角センサ
12 ヨーレイトセンサ
13 ロールレイトセンサ
15 車輪速センサ
16 ブレーキスイッチ
17 前後・横加速度センサ
31 ドライバ運転状態判定手段
32 車両運動状態演算手段
34 ロールオーバ抑制制御手段
34a ロールオーバ抑制統合制御手段
34b ロールレイト制御手段
34c 横加速度制御手段
Claims (1)
- 車両の左右輪を個々に制動しうる制動機構と、
該車両のロールレイトを検出するロールレイト検出手段と、
該車両の横加速度を検出する横加速度検出手段と、
該車両の旋回時に該ロールレイト検出手段によって検出されたロールレイトの値に基づく第1制御開始条件が成立したら該ロールレイト値に対応した第1制御量の制動力を旋回外輪へ付与させるように該制動機構を制御し、該車両の旋回時に該横加速度検出手段によって検出された横加速度の値に基づく第2制御開始条件が成立したら該横加速度値に対応した第2制御量の制動力を該旋回外輪へ付与させるように該制動機構を制御するロールオーバ抑制制御手段とを備え、
該ロールオーバ抑制制御手段では、該車両の旋回時に、該第1制御開始条件及び該第2制御開始条件の何れもが成立したら、上記のロールレイト値に対応した第1制御量に1以下のロールレイト対応ゲインを乗算した第1の補正制御量と、上記の横加速度値に対応した第2制御量に1以下の横加速度対応ゲインを乗算した第2の補正制御量との加算値の制動力を該旋回外輪へ付与させるように該制動機構を制御し、
該ロールレイト対応ゲインは、該ロールレイトの値が第1所定値未満の時には0よりも大きく1よりも小さい一定値となり、該ロールレイトの値が該第1所定値以上で且つ該第1所定値よりも大きい第2所定値未満の時には該ロールレイトの値の増大に応じて増大し、該ロールレイトの値が該第2所定値以上の時には1となるように設定されているとともに、
該横加速度対応ゲインは、該横加速度の値が第3所定値未満の時には0よりも大きく1よりも小さい一定値となり、該横加速度の値が該第3所定値以上で且つ該第3所定値よりも大きい第4所定値未満の時には該横加速度の値の増大に応じて増大し、該横加速度の値が該第4所定値以上の時には1となるように設定されている
ことを特徴とする、車両のロールオーバ抑制制御装置。
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JP2003341502A JP4277641B2 (ja) | 2003-09-30 | 2003-09-30 | 車両のロールオーバ抑制制御装置 |
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- 2003-09-30 JP JP2003341502A patent/JP4277641B2/ja not_active Expired - Fee Related
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