JP2005101479A - 半導体基板用洗浄液 - Google Patents

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Abstract

【課題】
半導体デバイスの微細化、高速化のためには、デバイス製造時の半導体基板表面の洗浄技術は益々重要となってきている。ウエハー上に形成される半導体デバイスの素子を構成する材料としてはシリコンの他、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等が用いられており、更に近年では新たにコバルトやタングステン等の金属膜が導入されつつある。このような近年用いられるようになった半導体デバイスの素子を構成する材料に対して、ダメージを与えることなく、ウエハー面内に付着する不純物等を効率的に除去できる洗浄液の開発が望まれている。
【解決手段】
優れた半導体基板表面の金属イオンや金属不純物の除去性能を維持しつつ、常温で使用可能であり、しかもシリコン酸化膜やタングステン等の金属膜に対してもエッチング等を生じることのない優れた半導体基板用洗浄液を提供する。




【選択図】なし


Description

本発明は、半導体基板用洗浄液に関する。
半導体デバイスの微細化、高速化に伴い、デバイス製造時の半導体基板表面の洗浄技術は益々重要となってきている。基板として用いられるシリコンウエハーは、デバイスの製造歩留まり向上のため、大口径化が進み、ウエハー上に形成される半導体デバイスの素子を構成する材料としてはシリコンの他、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等が用いられており、更に近年では新たにコバルトやタングステン等の金属膜が導入されつつある。このような近年用いられるようになった半導体デバイスの素子を構成する材料に対して、ダメージを与えることなく、ウエハー面内に付着する不純物等を効率的に除去できる洗浄液の開発が望まれている。
従来より、基板ウエハーの洗浄液としては、アンモニア水と過酸化水素水と水との混合液、あるいは塩酸と過酸化水素水と水との混合液等が用いられ、これを40〜80℃で加熱し、微粒子や金属不純物を除去するといったことが行われていた(特許文献1)。しかし、このような方法を大口径ウエハーに適用する場合、エネルギー効率が悪いという問題や、加温によって生じた蒸気による装置の腐食等の問題があった。
そこで、フッ酸のような酸性の水溶液中に、アルカリ成分として微量のアンモニアか、キレート剤であるエチレンジアミン4酢酸を含有させたpH1の常温で使用可能な洗浄液が提案されている(特許文献2)。しかしながらこのような酸性の洗浄液はシリコン酸化膜やタングステン等の金属膜をエッチングし、腐食等のダメージを与えるといった問題があった。
特許3198878号公報。 特許2586304号公報。
本発明は、常温で使用でき、半導体基板上の粒子状異物やイオン状異物等の除去において優れた洗浄性を維持しつつ、シリコン酸化膜やタングステン等の金属膜に対してのエッチングを大幅に抑制しうる半導体基板用洗浄液を提供するものである。
本発明者らは、上記した問題を解決し得る半導体基板用洗浄液を見出すべく、鋭意検討を重ねた結果、キレート剤とキレート促進剤とを含有しpHが6〜12である洗浄液が、常温で使用した際に半導体基板表面の金属イオンや金属不純物の除去に関して優れた洗浄性を維持しつつ、シリコン酸化膜やタングステン等の金属膜に対してのエッチングを大幅に抑制しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
1.キレート剤とキレート促進剤とを含有し、pHが6〜12であることを特徴とする半導体基板用洗浄液、
2.キレート剤が、水酸基又は/及びカルボキシル基を有する複素環式化合物類、ポリアミノカルボン酸類、ポリカルボン酸類、ホスホン基を有する化合物類、オキシカルボン酸類、フェノール類及びトロポロン類からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1項記載の半導体基板用洗浄液、
3.キレート剤が、エチレンジアミン4酢酸、シュウ酸、シュウ酸アンモニウム、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、クエン酸、クエン酸アンモニウム、カテコール、8−キノリノールおよびトロポロンからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1または2項記載の半導体基板用洗浄液、
4.キレート促進剤が、水酸基を有する化合物とフッ化物又はその塩とからなる上記1〜3項のいずれかに記載の半導体基板用洗浄液、
5.水酸基を有する化合物が、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム及び水酸化トリメチル(2―ヒドロキシ)エチルアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記4項記載の半導体基板用洗浄液、
6.フッ化物又はその塩が、フッ化水素酸又はフッ化アンモニウムである上記4又は5項記載の半導体基板用洗浄液、
7.水酸基を有する化合物が水酸化アンモニウムであり、フッ化物又はその塩がフッ化アンモニウムである上記4〜6項のいずれかに記載の半導体基板用洗浄液、
8.更にpH緩衝剤を含むことを特徴とする上記1〜7項のいずれかに記載の半導体基板用洗浄液、
9.pH緩衝剤がフタル酸水素アンモニウム、クエン酸二水素アンモニウム、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム及び酢酸アンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種である上記8項記載の半導体基板用洗浄液、
10.更に、以下の式I又は式IIで示される界面活性剤のいずれか一方又は両方を含有することを特徴とする上記1〜9項のいずれかに記載される半導体基板用洗浄液。
HO−((EO)−(PO)−H (I)
(EOはオキシエチレン基を表わし、POはオキシプロピレン基を表わし、x及びyはx/(x+y)=0.05〜0.4を満足する正の数を表わし、zは正の整数を表わす。)
R−[((EO)−(PO)−H] (II)
(EOはオキシエチレン基を表わし、POはオキシプロピレン基を表わし、x及びyはx/(x+y)=0.05〜0.4を満足する正の数を表わし、zは正の整数を表わし、mは1以上4以下の整数を表わし、Rは、R−O−、HN−R−NH−、HN−R−O−で表される1価の基、HN−R−N< 、−HN−R−O−、−NH−R−NH−で表される2価の基、−HN−R−N< 、>N−R−O−で表される3価の基、または >N−R−N<で表される4価の基を表わし、mはRの価数に対応した1以上4以下の整数を表わす。Rは炭素数1〜20のアルキル基を表わし、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基を表わす。)
及び
11.上記1〜11項のいずれかに記載の半導体基板用洗浄液を用い、半導体基板を洗浄することを特徴とする半導体基板の洗浄方法、を提供するものである。
本発明によれば、優れた半導体基板表面の金属イオンや金属不純物の除去性能を維持しつつ、常温で使用可能であり、しかもシリコン酸化膜やタングステン等の金属膜に対してもエッチング等を生じることのない優れた半導体基板用洗浄液を提供することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の半導体基板用洗浄液は、キレート剤とキレート促進剤とを含有してなる。
ここで、キレート剤としては、水酸基又は/及びカルボキシル基を有する複素環式化合物類、ポリアミノカルボン酸類、ポリカルボン酸類、ホスホン基を有する化合物類、オキシカルボン酸類、フェノール類及びトロポロン類からなる群から選ばれる少なくとも1種のキレート剤を挙げることができる。
ここで、ポリアミノカルボン酸類としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−トリ酢酸(EDTA−OH)等が挙げられ、更にこれらの化合物の塩が挙げられる。
ポリアミノカルボン酸類の塩としては、例えば、上記の酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
これらの中ではエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びそのアンモニウム塩が好ましい。
ポリカルボン酸類としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタン酸、メチルマロン酸、2−カルボキシ酪酸等が挙げられ、更にはこれらの化合物の塩が挙げられる。
ポリカルボン酸類の塩としては、例えば、上記の酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
これらの中では、シュウ酸及びそのアンモニウム塩が好ましい。
ホスホン基を有する化合物類としては、例えばエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、エチレンジアミンジメチレンホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸等が挙げられ、更にはこれらの化合物の塩が挙げられる。
ホスホン基を有する化合物類の塩としては、例えば、上記の化合物のアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
これらの中で1−ヒドロキシエチリデンジホスホン酸及びそのアンモニウム塩が好ましい。
オキシカルボン酸類としては、例えば、グルコン酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられ、更にはこれらの化合物の塩が挙げられる。
オキシカルボン酸類の塩としては、例えば、上記の酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
これらの中ではクエン酸及びそのアンモニウム塩が好ましい。
フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、t-ブチルフェノール、メトキシフェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、4−メチルピロカテコール、2−メチルヒドロキノン、ピロガロール、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ−6−メチル安息香酸、エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸[EDDHA]、N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N−2酢酸[HBED]、エチレンジアミンジヒドロキシメチルフェニル酢酸[EDDHMA]などが挙げられ、中でもカテコールが好ましい。
水酸基及び/又はカルボキシル基を有する複素環式化合物類としては、例えば、8−キノリノール、2−メチル−8−キノリノール、キノリンジオール、1−(2−ピリジルアゾ)−2−ナフトール、2−アミノ−4,6,7−プテリジントリオール、5,7,3’4’−テトラヒドロキシフラボン[ルテオリン]、3,3’−ビス〔N,N−ビス(カルボキシメチル)アミノメチル〕フルオレセイン[カルセイン]、2,3−ヒドロキシピリジンなどが挙げられ、中でも8−キノリノールが好ましい。
トロポロン類としては、例えば、トロポロン、6−イソプロピルトロポロンなどが挙げられ、中でもトロポロンが好ましい。
本発明の洗浄液におけるキレート剤の含有量は、通常0.00001〜10重量%であり、好ましくは0.0001〜1重量%である。0.00001重量%未満では、キレート剤として金属の除去性能が低下する傾向があり、10重量%を超えると、洗浄液中での溶解性が低下する傾向がある。
本発明の洗浄液にはキレート促進剤が含有される。
キレート促進剤としては、キレート剤の金属除去性を向上させるものであれば特に限定されず、例えばフッ化物又はその塩や、水酸基を有する化合物、フッ化物又はその塩と水酸基を有する化合物との両方等が挙げられる。
中でも、半導体基板の表面に付着している金属不純物のキレート化促進効果が高いことから、フッ化物又はその塩と水酸基を有する化合物との両方を含有することが好ましい。
ここで、フッ化物又はその塩としては、例えば、フッ化水素酸、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウムなどが挙げられる。中でもフッ化アンモニウムが好ましい。
水酸基を有する化合物としては、無機化合物、第4級アンモニウム等の水酸化物やアルカノールアミン類が挙げられ、具体的には例えば、無機化合物として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等、第4級アンモニウムとして水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化トリメチル(2−ヒドロキシ)エチルアンモニウム等、アルカノールアミン類としてモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノール、2−エチルアミノエタノール、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、モノプロパノールアミン、ジブタノールアミン等が挙げられる。
中でも半導体基板表面を金属汚染させないという観点から、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムが好ましい。
本発明の洗浄液中には、キレート促進剤が通常0.0001〜40重量%含有され、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%含有される。
本発明の洗浄液に、キレート促進剤として、フッ化物又はその塩と水酸基を有する化合物とが両方含有される場合、その含有量は上記の範囲から選ばれる任意の割合が選択され、具体的には水酸基を有する化合物が通常0.00005〜30重量%、好ましくは0.001〜1重量%、フッ化物又はその塩が通常0.00005〜40重量%、好ましくは0.01〜5重量%含有される。
本発明洗浄液における、水酸基を有する化合物の濃度が0.00005重量%未満では、金属除去性が低下する傾向があり、30重量%を超えると、シリコンなどの半導体基板の表面が荒れる傾向がある。本発明洗浄液におけるフッ化物又はその塩の濃度が0.00005重量%未満では、金属除去性が低下する傾向があり、40重量%を超えると、金属除去性が向上しない傾向があるので経済的とは言えない。
本発明の洗浄液にキレート促進剤としてフッ化物又はその塩と、水酸基を有する化合物との両方が含有される場合、本発明の洗浄液におけるこれらの化合物の含有量は、上記のキレート促進剤の含有量の範囲内において、pH6〜12の範囲で、液の目的とするpHとなるような最適な量がそれぞれ選択される。
具体的には水酸基を有する化合物として水酸化アンモニウムを、フッ化物又はその塩としてフッ化アンモニウムを含有する場合、水酸化アンモニウム0.015重量%に対し、フッ化アンモニウムが通常0.45〜0.015重量%の範囲で選択される。
本発明の洗浄液はpH6〜12の中性からアルカリ性であることが好ましい。
本発明の洗浄液は、半導体基板上の金属イオンや金属不純物を除去するのみならず、基板上の半導体素子にエッチングダメージを与えにくいという性能を有しており、こうした性能を満足するために上記のpHであることが求められる。この範囲よりも低いpHの場合は、液が酸性となって半導体素子を構成する金属膜やシリコン酸化膜をエッチングする場合があり、高いpHの場合は、基板のシリコンそのものをエッチングしてしまう場合がある。
本発明の洗浄液をpH6〜12の中性からアルカリ性にするには、上記に記載された各成分の濃度範囲から適当な濃度を選択し、最適なpHになるように調整すればよい。
本発明の洗浄液には、必要に応じてpH緩衝剤が含有される。
本発明の洗浄液に含有されるpH緩衝剤としては、金属を含まない化合物の塩が好ましく、具体的には例えばフタル酸水素アンモニウム、クエン酸二水素アンモニウム、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム等が挙げられ、中でも炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等がより好ましい。
本発明の洗浄液中にpH緩衝剤が含有される場合は、本発明の洗浄液において通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%含有される。
pH緩衝剤は液のpHを安定化させる働きを有しており、本発明の洗浄液中にpH緩衝剤を含有させることで、本発明の洗浄液を循環使用する際にもpHを安定させることができる。
本発明の洗浄液を循環使用する際において、本発明の洗浄液におけるpH緩衝剤の含有量が0.01重量%未満では液のpHの安定化が不十分となる傾向があり、10重量%を超えると、液中での溶解性が不十分となる傾向があり、また洗浄した半導体基板表面に不溶解成分が付着して基板を汚染させる傾向にある。
本発明の洗浄液にpH緩衝剤が含有される場合、洗浄液中の水酸基を有する化合物とpH緩衝剤の組み合わせにより、安定的にpHが存在する範囲が決定され、例えば水酸基を有する化合物として水酸化アンモニウムを、pH緩衝剤として炭酸アンモニウムを用いた場合、pHは7.0〜8.5で安定し、また、水酸化アンモニウムと、pH緩衝剤として炭酸アンモニウムの代わりに塩化アンモニウムとを用いた場合、pH8.0〜11.0で安定化する。
本発明の洗浄液には界面活性剤が含有されていてもよい。
その際、本発明の洗浄液に含有される界面活性剤としては例えば次の式I
HO−((EO)x−(PO)y)z−H (I)
(EOはオキシエチレン基を表わし、POはオキシプロピレン基を表わし、x及びyはx/(x+y)=0.05〜0.4を満足する正の数を表わし、zは正の整数を表わす。)
で表される界面活性剤及び式II
R−[((EO)−(PO)−H] (II)
(EOはオキシエチレン基を表わし、POはオキシプロピレン基を表わし、x及びyはx/(x+y)=0.05〜0.4を満足する正の数を表わし、zは正の整数を表わし、Rは、R−O−、HN−R−NH−、HN−R−O−で表される1価の基、HN−R−N< 、−HN−R−O−、−NH−R−NH−で表される2価の基、−HN−R−N< 、>N−R−O−で表される3価の基、または >N−R−N<で表される4価の基を表わし、mはRの価数に対応した1以上4以下の整数を表わす。Rは炭素数1〜20のアルキル基を表わし、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基を表わす。)で表される界面活性剤が挙げられる。
前記式I及びIIで示される化合物において、EOはオキシエチレン基[−CH2−CH2−O−]を表わし、POはオキシプロピレン基[−CH(CH3)−CH2−O−]または[−CH2−CH(CH3)−O−]を表わす。
x及びyは、x/(x+y)が0.05〜0.4を満足する正の数を表わす。
x/(x+y)が0.05未満では、洗浄液調整時の溶解性が不十分となり、一方0.4を超えると、液の消泡性が不十分となる傾向がある。
ここで、一般式(I)及び(II)における((EO)x−(PO)y)zで示されるユニットは、ブロック共重合体であってもランダム共重合体であっても、ブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。中でも、ブロック共重合体であることが好ましい。
式(II)中、Rは、R−O−、HN−R−NH−、HN−R−O−で表される1価の基、HN−R−N< 、−HN−R−O−、−NH−R−NH−で表される2価の基、−HN−R−N< 、>N−R−O−で表される3価の基、または >N−R−N<で表される4価の基を表わし、mはRの価数に対応した1以上4以下の整数を表わす。当該置換基においてRは炭素数1〜20のアルキル基を表わし、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基を表わす。
R1−O−は、R1−OHの水酸基から水素原子を除いた残基であるが、R1−OHとしては、例えば、2−エチルヘキシルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、牛脂アルコール、ヤシ油アルコール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3ープロパンジオール、1、2ーブタンジオール、1、3ーブタンジオール、2、3ーブタンジオール、1、4ーブタンジオール、2ーメチルー1、2ープロパンジオール、2ーメチルー1、3ープロパンジオール等の2価のアルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価のアルコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の4価のアルコール等が挙げられる。
N−R−NH−、HN−R−N< 、−HN−R−NH−、−HN−R−N< 、>N−R−N<は、HN−R−NHのアミンから水素原子を除いた残基であるが、HN−R−NHとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどが挙げられる。
N−R−O−、−HN−R−O−または >N−R−O− は、HN−R−OHから水素原子を除いた残基であるが、HN−R−OHとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノール、2−エチルアミノエタノール、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、モノプロパノールアミン、ジブタノールアミンなどが挙げられる。
前記式(I)及び(II)で示される化合物中の、(PO)y部分の平均分子量は500〜5000であることが好ましい。
平均分子量が500未満では、洗浄性能が不十分となる傾向があり、一方、平均分子量が5000を超えると、調合時の溶解性が不十分となる傾向がある。
式(I)の具体例としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが挙げられ、(II)で表される化合物のより具体例としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリデシルエーテル、エチレンジアミン付加型ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。
本発明の洗浄液にはこれらが一種または2種以上含有されていても良い。
本発明の洗浄液に界面活性剤が含有される場合には、シリコンやポリシリコン等に対するエッチングがより一層抑制される。
その場合には本発明の洗浄液に対して界面活性剤が通常0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜0.1重量%、更に好ましくは0.001〜0.01重量%含有される。
この濃度より低い場合は、その添加効果が発揮されず、濃度が高い場合には洗浄液の気泡性が激しくなり、洗浄液をポンプ等で供給する場合等の取り扱いが困難となる。
本発明の洗浄液には式(I)及び式(II)で表される界面活性剤が両方含有されていてもよく、またどちらか一方のみが含有されていても良い。
本発明の洗浄液に、式(I)または式(II)で表される構造の界面活性剤を含有させることにより、半導体基板、特にシリコンやポリシリコンへのエッチングダメージをより抑制することができる。
本発明の洗浄液には必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、アニオン系、カチオン系等の各種界面活性剤、分散剤、金属の防食剤、過酸化水素水等のその他の成分が含有されていてもよい。
これらその他の成分の含有量としては0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%である。
本発明の洗浄液は、溶媒としての水、有機溶媒又はそれらの混合液の中に、キレート剤、キレート促進剤、必要に応じてpH緩衝剤や界面活性剤等その他の成分を添加して溶解させることで得ることができる。
本発明の洗浄液に含有されうる有機溶媒としては、キレート剤とキレート促進剤を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、(多価)アルコール類およびその誘導体、アミド類、ケトン類、エステル類及び含硫黄化合物が挙げられる。
ここで、(多価)アルコールおよびその誘導体としては、例えば、テトラヒドロフルフリルアルコ−ル、フルフリルアルコ−ル、プロパギルアルコ−ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリントリアセテート、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、グリセリン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール等が挙げられ、好ましくは、テトラヒドロフルフリルアルコ−ル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートである。
アミド類としては、例えば、N- メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、好ましくは、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンである。
ケトン類としては、例えば、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
エステル類としては、例えば、γ-ブチロラクトン、エチレンカーボネートが
挙げられ、好ましくは、γ-ブチロラクトンである。
含硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
また、これら有機溶媒は水と任意に混合して用いてもよい。
本発明の洗浄液を用いて半導体基板を洗浄することにより、該表面の金属イオンや金属不純物が効率的に除去される。
本発明の洗浄液が用いられる半導体基板としては、例えばデバイスを製造する前のシリコンウエハー表面はもとより、その後デバイスを製造する上で、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の絶縁膜が挙げられ、またタングステンやコバルト、銅、アルミニウム、チタン、チタンナイトライド、タンタル、ルテニウム、ハフニウム等の金属膜、比誘電率が3.0以下の低誘電率絶縁膜、ポリシリコン膜、アモルファスシリコン膜等、デバイスを構成する材料が露出しているあらゆる表面を有する基板が挙げられる。
本発明の洗浄液を半導体基板の洗浄に用いる場合、本発明の洗浄液の温度は40℃未満であることが好ましく、20℃〜40℃未満がより好ましくは、20℃〜30℃の温度であることが特に好ましい。
本発明の洗浄方法としては、本発明の洗浄液を用いて半導体基板を洗浄する方法が挙げられ、具体的には半導体基板を本発明の洗浄液に直接浸漬することによる浸漬洗浄法、浸漬洗浄法に超音波照射を併用した方法、本発明の洗浄液を半導体基板表面に吹きかけるスプレー洗浄、本発明の洗浄液を吹きかけながらブラシにより洗浄するブラシスクラブ洗浄法、ブラシスクラブ洗浄法に超音波照射を併用する方法などが挙げられる。
本発明の洗浄液は、シリコンウエハーなどの半導体基板の表面に付着している金属イオンや金属不純物の除去に好適である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明が実施例により限定されるものでない。
実施例1
表1記載の組成及び濃度に従い、本発明の洗浄液(洗浄液1とする。)を調製した。また、比較として表1記載の濃度に従い、水酸化アンモニウムとフッ化水素酸からなる洗浄液(これを、比較例1とする。)及び比較例1に更にキレート剤としてエチレンジアミン4酢酸を含有する洗浄液(これを、比較例2とする。)、同じく1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸を含有する洗浄液(これを、比較例3とする。)を調製した。上記で調製した各洗浄液中に、あらかじめ金属汚染をさせたシリコンが全面に露出しているウエハー(これを、基板1とする。)及びシリコン酸化膜が全面露出しているウエハー(これを、基板2とする)を5分間浸漬した。また、洗浄前後においてウエハー上の金属不純物濃度をICP−MS分析装置により分析した。その後、洗浄前と洗浄後におけるシリコンウェハーの金属不純物濃度から以下に示す方法により洗浄率を求めた。また、基板2については、洗浄前後のシリコン酸化膜の膜厚を測定し、各洗浄液でのエッチングレートの比較を行った。結果を表2に示す。
洗浄前の基板1上における金属不純物濃度は、Fe:28×1010atoms/cm、Al:51×1010atoms/cm、Cu:72×1010atoms/cmであり、基板2上における金属不純物濃度はFe:300×1010atoms/cm、Al:400×1010atoms/cm、Cu:160×1010atoms/cmであった。
洗浄率の求め方は次の通り。
<数1>
洗浄率=(1−洗浄後のシリコンウェハー上の不純物濃度/洗浄前のシリコンウェハー上の不純物濃度)×100
Figure 2005101479
*1:1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸
各洗浄液の洗浄率及びシリコン酸化膜のエッチングレート。
Figure 2005101479
表2より、洗浄液1が比較例1、2及び3と比較して、同等程度の洗浄性を維持していることが分かる。一方で、比較例1、2及び3では、シリコン酸化膜が激しくエッチングされているのに対し、洗浄液1ではエッチングが抑制されている。このことから洗浄液1が比較例1、比較例2及び比較例3と比較してシリコン酸化膜が露出しているような半導体基板の洗浄にも適していることが分かる。
実施例2
表3に記載された組成に従い、洗浄液2及び洗浄液3を調製した。洗浄液2及び3と、図1に示すような循環装置を用いて半導体基板の洗浄を行った。
調製した洗浄液2を図1に示すような循環装置の薬液タンク1に収納し、ノズル2まで循環ポンプ3により供給した。シリコン酸化膜からなる半導体基板4に洗浄液をスプレーし、半導体基板の洗浄を行った。その後洗浄液を回収ドレン5を経て薬液タンク内に戻した。循環ポンプを連続で稼動させ、薬液タンク内の洗浄液pHを経時的に測定した。また、洗浄液3でも同様の試験を行った。結果をあわせて表3に示す。
Figure 2005101479
*1:1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸
本実施例のような洗浄液の循環使用においては、ノズルより洗浄液がスプレーされることで洗浄液内の成分の一部が揮発し、pHが変動しやすいが、pH緩衝液として炭酸アンモニウムを含有させることによりその変化が抑制され、洗浄液の安定性が向上した。
実施例3
表4に記載された組成に従って、洗浄液4及び5を調製した。この洗浄液中にポリシリコン膜が成膜された半導体基板を浸漬させ、浸漬前後のポリシリコン膜の膜厚を測定することによりエッチングレートを測定した。結果を表4に示す。
Figure 2005101479
*1:1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸
* アデカTR702:
オキシプロピレン基の平均分子量が2500〜3000、x/(x+y)=0.2、Rが >N−R−N< で、Rはエチレンであり、m=4である式(II)で示される化合物。
実施例3から、式(II)で表される界面活性剤を含有する洗浄液の方が、よりポリシリコン膜のエッチングを抑制していることが分かる。このことから式(II)で表される界面活性剤を含有する洗浄液の方が、ポリシリコン膜等が露出している基板にはより好適であることが分かる。
本実施例に用いられた洗浄液を循環使用する半導体基板を洗浄するための洗浄装置の構成の一例。

Claims (11)

  1. キレート剤とキレート促進剤とを含有し、pHが6〜12であることを特徴とする半導体基板用洗浄液。
  2. キレート剤が、水酸基又は/及びカルボキシル基を有する複素環式化合物類、ポリアミノカルボン酸類、ポリカルボン酸類、ホスホン基を有する化合物類、オキシカルボン酸類、フェノール類及びトロポロン類からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の半導体基板用洗浄液。
  3. キレート剤が、エチレンジアミン4酢酸、シュウ酸、シュウ酸アンモニウム、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、クエン酸、クエン酸アンモニウム、カテコール、8−キノリノールおよびトロポロンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の半導体基板用洗浄液。
  4. キレート促進剤が、水酸基を有する化合物とフッ化物又はその塩とからなる請求項1〜3のいずれかに記載の半導体基板用洗浄液。
  5. 水酸基を有する化合物が、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム及び水酸化トリメチル(2―ヒドロキシ)エチルアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項4記載の半導体基板用洗浄液。
  6. フッ化物又はその塩が、フッ化水素酸又はフッ化アンモニウムである請求項4または5記載の半導体基板用洗浄液。
  7. 水酸基を有する化合物が水酸化アンモニウムであり、フッ化物又はその塩がフッ化アンモニウムである請求項4〜6のいずれかに記載の半導体基板用洗浄液。
  8. 更にpH緩衝剤を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の半導体基板用洗浄液。
  9. pH緩衝剤がフタル酸水素アンモニウム、クエン酸二水素アンモニウム、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム及び酢酸アンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項8記載の半導体基板用洗浄液。
  10. 更に、以下の式I又は式IIで示される界面活性剤のいずれか一方又は両方を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載される半導体基板用洗浄液。
    HO−((EO)−(PO)−H (I)
    (EOはオキシエチレン基を表わし、POはオキシプロピレン基を表わし、x及びyはx/(x+y)=0.05〜0.4を満足する正の数を表わし、zは正の整数を表わす。)
    R−[((EO)−(PO)−H] (II)
    (EOはオキシエチレン基を表わし、POはオキシプロピレン基を表わし、x及びyはx/(x+y)=0.05〜0.4を満足する正の数を表わし、zは正の整数を表わし、Rは、R−O−、HN−R−NH−、HN−R−O−で表される1価の基、HN−R−N< 、−HN−R−O−、−NH−R−NH−で表される2価の基、−HN−R−N< 、>N−R−O−で表される3価の基、または >N−R−N<で表される4価の基を表わし、mはRの価数に対応した1以上4以下の整数を表わす。Rは炭素数1〜20のアルキル基を表わし、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基を表わす。)。
  11. 請求項1〜11のいずれかに記載の半導体基板用洗浄液を用い、半導体基板を洗浄することを特徴とする半導体基板の洗浄方法。
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