JP2005100914A - 無機質膜、それを用いたpdp用部材及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】断面の空隙サイズが0.1〜30μmであり、空隙面積率が5〜75%である、アスペクト比が1〜10でかつ高さが100〜800μmの隔壁を有する無機質膜。上記無機質膜を含むPDP用部材。軟化点および粒子サイズが互いに相違する少なくとも2種類の無機粉末を含むペースト層に、サンドブラスト法により隔壁パターンを形成した後、焼成することにより上記無機質膜またはPDP用部材を形成すること。上記無機粉末を含むペースト、及び型を用いて隔壁パターンを形成した後、焼成することにより上記無機質膜またはPDP用部材を形成すること。
【選択図】 なし
Description
一方、誘電率などの電気的特性を制御するため、材料を選定することで、誘電率を低下させる試みがなされている。しかしながら、さらに低下させることが望まれており、それを実現する方法の開発が望まれていた。
又、近年、パネルの大型化や高性能化が進んでおり、大面積で均一かつ厚く膜を形成する必要があったが、焼成時にクラックなどのひび割れが生じることがあり、改良が望まれていた。
さらに、発光効率などの特性の高性能化のために、隔壁の高さを高くかつ高精細にすることが望まれていたが、高精細を維持しつつ、均一かつひび割れなどの故障なく高い隔壁を形成することが望まれていた。
この方法は、高アスペクト比のパターンが形成できることや精度が高いなどの特徴を有している。しかしながら、サンドブラスト工程において、誘電体形成層と隔壁形成層のサンドブラスト性を相違させ、サンドブラスト加工に際して、レジストパターンの開口部の隔壁形成層のみを除去し、その下層である誘電体形成層を残存させることが望ましいが、サンドブラスト性の差異をつけるのが難しかった。
又、誘電体層を感光性のドライフィルムとサンドブラスト法を用いて、パターン形成するとき、隔壁形成層と感光性レジストとの密着が弱く、現像中やサンドブラスト中にはがれるという問題があった。
また、誘電体層の誘電率を下げる場合、ガラス組成から軟化点が高くなってしまう問題があった。
サンドブラスト性を損なうことなく、感光性のサンドブラスト用レジストとの密着性がよく、焼成時にダレや変形、ひび割れの少ない、低誘電率の隔壁形成層に用いられる材料が望まれていた。
特許文献3には、無機組成物の塗布時における欠陥やサンドブラスト時におけるパターンの欠け、さらに、焼成時のひび割れなどの問題に対して、2種類の平均粒子サイズを有する無機粒子を混合したリブペーストを用いて、スクリーン印刷にてパターンを形成する方法が述べられている。
しかしながら、焼成後の高解像度の微細なパターンを形成することはできず、又、印刷法を用いているため、均一性などの点で十分満足のいくものではなく、またアスペクト比及び隔壁の高さを高くかつ高精細にすることはできなかった。また、画面の大サイズ化をすると高さの一様な隔壁を得ることが困難であった。
特許文献4には、粒度分布において、2つのピークを有するガラスを用いた誘電体ペーストが述べられているが、隔壁形成については記載されていない。
また、本発明は、低誘電率であって、発熱が抑制された省電力な無機質膜、無機質膜を含むPDP用部材、およびそれら製造方法を提供することにある。
(1)断面の空隙サイズが0.1〜30μmであり、空隙面積率が5〜75%である、アスペクト比が1〜10でかつ高さが100〜800μmの隔壁を有することを特徴とする無機質膜。
(2)誘電率が3.5〜12であることを特徴とする上記(1)に記載の無機質膜。
(3)上記(1)または(2)に記載の無機質膜を含むことを特徴とするPDP用部材。
(4)軟化点および粒子サイズが互いに相違する少なくとも2種類の無機粉末を含むペースト層に、サンドブラスト法により隔壁パターンを形成した後、焼成することにより上記(1)または(2)記載の無機質膜または上記(3)記載のPDP用部材を形成することを特徴とする無機質膜またはPDP用部材の製造方法。
(5)軟化点および粒子サイズが互いに相違する少なくとも2種類の無機粉末を含むペースト、及び型を用いて隔壁パターンを形成した後、焼成することにより上記(1)または(2)記載の無機質膜または上記(3)記載のPDP用部材を形成することを特徴とする無機質膜またはPDP用部材の製造方法。
また、本発明は、焼成後も線幅や膜厚の変化の少ない、高精度で省電力な隔壁を有した大画面PDPなどの精密電子装置を提供することができる。
該無機質膜は上記構成としたことにより、隔壁の耐収縮率が改善されると共に誘電率が低減するという効果がある。誘電率の低減は、PDP等の発熱を抑えかつ電力消費を低減する効果がある。
又、焼成時の収縮が、非常に小さいので、膜の厚みが均一に保て、ひび割れが起きにくいので、大面積でかつ厚膜の膜を容易に作製することができる。
また、本発明は無機質膜の原料となる無機粉末含有ペーストを塗布または転写フィルムから、基板上に設けられるペースト層の表面性を平滑にすることができるので、精度のよいプロファイルの優れたパターンを所望の基板上に形成することができる。
空隙サイズは、該断面の最長の直径(2点間の距離)を意味し、本発明では0.1〜30μmであり、0.3〜15μmが更に好ましい。
空隙面積は、孔の断面積の総和を意味し、個々の断面の面積は、SEMによる断面写真の孔の部分をトレーシングペーパーに写し取り、それをきりとって質量をはかることで求めることができる。
孔の断面形状は、特に制限はなく、不定形であり、円形でもかまわない。
また、本発明では、隔壁の断面積に対する空隙面積の割合を空隙面積率と定義する。ここで、空隙面積率は、隔壁の断面をSEM写真にとり、100μm×100μmの大きさ3個の断面からの測定値の平均を求めたものを言う。本発明では無機質膜の空隙面積率は、5〜75%であり、10〜65%が更に好ましい。
また、隔壁の高さは、隔壁を凸部としたとき、隔壁間の凹部の底から凸部の頂点までの距離hとする。アスペクト比は、凹部の底の位置における隔壁の幅(隔壁の長手方向に対して直角方向)をwとするとh/wで表される値である。
本発明では、無機質膜の隔壁はアスペクト比が1〜10、好ましくは4.5〜8でかつ高さが100〜800μm、好ましくは150〜700μmである。なお、隔壁の長手方向に対して直角方向の隔壁の切断面の形状は長方形、またはその高さ方向に幅が狭くなるように変化する台形が好ましく、その変動は頂部でwに対して90%以下であることが好ましい。
無機質膜の隔壁を上記構成とすることにより、無機質膜のサイズを大サイズ、例えば、1m2以上としても収縮のバラツキを3%未満に抑え、歩留まりよく無機質膜を作製することができるという効果を奏する。結果的に、高精細で色ムラがなくかつ大サイズのPDP等を作製することができる。
また、隔壁間の凹部の幅は、50〜1000μmが好ましく、100〜800μmが更に好ましい。
また、本発明の無機質膜は、多孔性のため誘電率を低くすることができるが、無機質膜の誘電率は3.5〜12が好ましく、3.5〜11が更に好ましい。これによりPDP等の装置の消費電力を削減することができると共に長寿命化が可能である。
誘電率を制御する手段としては、無機質膜の組成を選定すること、強度を確保した上で空隙面積率をできるだけ大きくすることが挙げられる。
無機粉末含有ペーストとして、粒子サイズ(平均粒子径)及び軟化点が各々相違する少なくとも2種類からなり、かつ平均粒子径の大きい種類が高い軟化点を有する無機粉末を用いることであり、好ましくは以下の手段が挙げられる。尚、ここで、平均粒子径及び軟化点が互いに異なる無機粉末を平均粒子径及び軟化点が小さい方から順に、無機粉末a、b、c、d、・・・と小文字のアルファベット順に記載する。
(1)無機粉末として、無機粉末aと無機粉末bからなる混合物を用いること。
(2)無機粉末として、平均粒子径0.2〜2.5μmの無機粉末Aとそれより平均粒子径が大きく、かつ平均粒子径2〜10μmの無機粉末Bからなる混合物を用いること。
上記(1)の手段において無機粉末bの軟化点が無機粉末aの軟化点より50℃以上高いことが好ましく、更に好ましくは100℃以上高くなるように選定する。この高い方の軟化点は600〜1500℃が好ましく、700〜1400℃がさらに好ましい。また、無機粉末aと無機粉末bは、元素組成および/または結晶構造が異なるが、両者の平均粒子径の具体的大きさは、同種の文字に対応させた場合に、上記(2)の範囲となる必要はないが、そうであることが好ましい。
上記(2)の手段において、無機粉末Aと無機粉末Bの平均粒子径を上記の通り特定することが重要である。即ち、無機粉末Aの平均粒子径は0.2〜2.5μmであり、好ましくは0.3〜2.0μmであり、無機粉末Bの平均粒子径は2〜10μmであり、好ましくは2.5〜9μmであり、且つ無機粉末Aの平均粒子径よりも無機粉末Bの平均粒子径の方を大きくする必要がある。また、無機粉末Aと無機粉末Bは、元素組成および/または結晶構造は同じでもよく、両者の軟化点の関係は、同種の文字に対応させた場合に、上記(1)の範囲となる必要はないが、そうであることが好ましい。
また、本発明に用いる無機粉末は、その粒子サイズ分布曲線が少なくとも二つの極大ピークを有することが好ましい。この無機粉末としては、例えば、無機粉末aまたはb並びにそれらの混合物、無機粉末AまたはB並びにそれらの混合物が挙げられる。この粒子サイズ分布曲線は、レーザー回折散乱法により、横軸に粒子径を縦軸に頻度(体積)をとってプロットしたものである。尚、本発明において平均粒子径とは該頻度の累積体積の総和を100%とした時に累積体積が50%となる粒子径(D50)を言う(ただし、粒子サイズ分布曲線において、必ずしも極大ピークを有しなくとも良いが、D50近辺に極大ピークを有していることが好ましい)。
無機粉末が少なくとも二つの極大ピークを有するようにするには、その極大ピークを与える粉末成分の配合割合を、各々の粉末全体の平均粒子径が本発明範囲となるように調整すればよい。
従って、この場合、極大ピークを与える粉末成分の粒子サイズ分布曲線は、種々選定されうる。
尚、本発明において粒子サイズ分布曲線の累積体積の総和を100%とした時の累積体積が10%となる粒子径(D10)は、無機粉末aまたは無機粉末Aでは0.1〜2.0μmが好ましく、無機粉末bまたは無機粉末Bでは1.0〜8.0μmが好ましい。
また、本発明において粒子サイズ分布曲線の累積体積の総和を100%とした時の累積体積が90%となる粒子径(D90)は、無機粉末aまたは無機粉末Aでは2.5〜8.0μmが好ましく、無機粉末bまたは無機粉末Bでは5〜15μmが好ましい。
また、無機粉末含有ペースト(以下、単にペーストともいう)は、上記特定の粉末成分以外の無機成分を含有してもよい。該無機成分として、例えば、サイズ、軟化点の異なる無機粉末等を用いることができる。例えば、平均粒子径50nm以下のコロイダルシリカ等を用いることもできる。
離型性層は、ペースト層をガラスなどの基板上に容易にかつ正確に転写できるように設けられる。
離型性層としては、離型剤を基板上に設けたものが挙げられ、離型剤としては、シリコーン系化合物(例えば、高粘度シリコーン化合物、低粘度シリコーン化合物、変性シリコーン化合物)、フッ素系化合物、植物油脂系化合物(例えば、植物性の燐脂体(レシチン)を主成分としたもの)、ワックス等が挙げられる。
転写フィルムは、離型性層とペースト層が共に基板上に転写されてもよいし、離型性層は可撓性仮支持体上に留まりペースト層のみが転写されるようにしてもよい。従って、転写フィルムを用いて、基板上にペースト層を転写して得られる転写層は、離型性層を有していてもよい。
また、転写フィルムを用いるとペースト層の表面を平滑にすることができ、その中心線平均表面粗さ(Ra)は、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることが更に好ましい。
又、ペースト、及び型を用いて隔壁パターンを形成した後、焼成することにより無機質膜またはPDP用部材を製造することもできる。
隔壁形成法としては、具体的には、ペーストを型に入れて隔壁パターンを基板に転写し、焼成する方法、基板及びペーストを型に入れて隔壁パターンを型内で作製し、型内で焼成する方法、基板に塗布や転写フィルムからの転写により形成したペースト層に、型を用いて隔壁パターンを形成する方法などが挙げられる。
基板等に塗布されるペースト、または転写フィルム作製のために可撓性仮支持体に塗布されるペーストは、少なくとも無機粉末を含有し、更に樹脂及び溶剤を成分とする。ペーストは、上記成分以外に公知の各種添加剤、例えば、可塑剤、保存剤、界面活性剤等を含むことができる。
ただし、ペーストは、無機粉末成分の配合率を高めた組成であり、その利点を有効に発揮させるためには有機成分はできるだけ少ない方が望ましい。
無機粉末としては、特に制限されるべきものではないが、焼成された無機質膜に主として不透明性を与える機能を有した無機物質、例えば、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、コーディライト等の金属酸化物、金属等、焼成された無機質膜に主として透明性を与える機能を有した無機物質、例えば、ガラス、好ましくは低融点ガラス等を挙げることができる。
低融点ガラス粉末の組成の好ましい例としては、(1)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(PbO−B2O3−SiO2系)の混合物、(2)酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(ZnO−B2O3−SiO2系)の混合物、(3)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(PbO−B2O3−SiO2−Al2O3系)の混合物、(4)酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(PbO−ZnO−B2O3−SiO2系)の混合物などを例示することができる。
特に、上記(1)〜(4)において鉛成分を除去した混合物、所謂、非鉛ガラスは、環境保全上好ましいだけでなく、無機質膜の誘電率を低下させるのに有効であり、PDP用部材に応用した場合、省電力性に優れ、また、アルミナ等の金属酸化物粉末との混練性もよくなり、無機質膜均一性が改良できる。
また、非鉛ガラスとしては、上記成分の他、BaO、MgO、Na2O、K2O、Li2O、Al2O3、TiO2、ZrO2、Nb2O5、Bi2O3等から選択される1種以上を含むことができ、更に所望の元素を配合することができる。
非鉛ガラスとしては、少なくともZnO、B2O3、SiO2、BaO及びBi2O3のうちの少なくとも一種以上を含むものが好ましい。この組成としては、モル比でZnO/B2O3/SiO2/BaO/Bi2O3/その他=20〜70/0〜80/0〜45/0〜50/0〜15/0〜15が好ましく、25〜65/0〜75/0〜40/0〜45/0〜13/0〜13が更に好ましい。
ペーストに含まれる樹脂としては、特に制限されるべきものではないが、セルロース化合物やアクリル化合物を用いることができる。
ペーストに用いるセルロース化合物は、セルロース及びその誘導体を含む。セルロース化合物は、エチルセルロース、メチルセルロース、エチルプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースブチレートなどのセルロース系樹脂である。
セルロース誘導体の置換基の置換率は、セルロース水酸基の0〜90%,好ましくは10〜80%である。たとえばエチルセルロースでは、10〜70%の置換率のものが適している。これらのバインダーは、単一種のポリマーを用いてもよく、また互いに混和するポリマー同士であれば上記した他のセルロース誘導体又は非セルロース系ポリマーと混合して使用してもよい。混合比率は、混和できて、かつバインダーとしての機能が維持されるかぎり任意である。
分子量(Mw)は、1万〜40万のものを、低分子単独、高分子単独、2種以上の平均分子量のものを組み合わせて使用することができる。
アクリル化合物としては、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(R1が水素原子の場合のアクリレート化合物及びR1がメチル基の場合のメタクリレート化合物の総称)の単独重合体(1a)、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の2種以上の共重合体(1b)、および下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物と他の共重合性単量体との共重合体(1c)が含まれる。
H2C=C(R1)COOR2 (1)
〔式中、R1 は水素原子またはメチル基を示し、R2 は1価の有機機を示す。有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ポリアルキレングリコールのハーフエステル残基、ポリアルキレングリコールモノエーテルのエステル残基等が挙げられる。〕
共重合体(1c)を生成するために用いる(メタ)アクリレート化合物との共重合に供される他の共重合性単量体としては、上記(メタ)アクリレート化合物と共重合可能な化合物であれば特に制限はなく、例えば(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、ビニルフタル酸などの不飽和カルボン酸類;ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどのビニル基含有ラジカル重合性化合物を挙げることができる。共重合体(1c)において、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物由来の共重合成分は、通常40質量%以上、好ましくは50質量%以上である。
単独重合体(1a)、共重合体(1b)または(1c)であるアクリル化合物の分子量としては、GPCによるポリスチレン換算の質量平均分子量として1,000〜300,000であることが好ましく、さらに好ましくは2,000〜200,000である。
本発明に用いるペーストを構成する溶剤としては、無機粉末との親和性、樹脂の溶解性が良好で、ペーストに適度な粘性を付与することができると共に、乾燥されることにより容易に蒸発除去できるものであることが好ましい。また、特に好ましい溶剤として、標準沸点(1気圧における沸点)が60〜300℃であるケトン類、アルコール類およびエステル類等を挙げることができる。
かかる溶剤の具体例としては、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ヘプタノン、オクタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドンなどのケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール類、n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、7−ブロモ−ヘプタノール、オクタノール、ジアセトンアルコール、グリセリン、ベンジルアルコール、テレビン油、ターピネオールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエーテル系エステル類などを例示することができ、これらのうち、ターピネオール、N−メチルピロリドン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、エチル−3−エトキシプロピオネートなどが好ましい。これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
又、無機質膜の柔軟性を高めたり、自己接着性を付与するために可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、ブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレートなど単独あるいは混合して使用できる。
本発明に用いるペースト(層形成前)における溶剤の含有割合としては、ペーストの粘度を好適な範囲に維持する観点から、無機粉末100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、さらに好ましくは8.0〜40質量部である。又、可塑剤の割合は、無機粉末100質量部に対して、0〜20質量部であるのが好ましい。
本発明に用いるペーストには、上記の必須成分のほかに、分散剤、レベリング剤、粘着性付与剤、表面張力調整剤、安定剤、消泡剤などの各種添加剤が任意成分として含有されていてもよい。好ましいペースト(層形成前)の一例を示せば、無機粉末100質量部に対して、樹脂1〜20質量部、溶剤10〜50質量部、可塑剤2〜10質量部を含有するペーストを挙げることができる。本発明に用いるペーストは、上記成分を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、サンドミルなどの混練・分散機を用いて混練することにより調製することができる。上記のようにして調製される本発明に用いるペーストは、層の形成に適した流動性を有するペーストである。
転写フィルムに用いる可撓性仮支持体は、ペーストを塗布により担持させるものである。この塗設されたペースト層は、経時的に保存され、使用時にガラス基板等の基板に転写されると共に可撓性仮支持体は剥離される。
なお、本発明に用いるペーストが塗布される可撓性仮支持体の表面には離型性層を有していることが好ましい。これにより、基板上へのペースト層の転写工程において、可撓性仮支持体の剥離操作を容易に行うことができる。また、転写フィルムには、ペースト層の表面に保護フィルム層が設けられてもよい。このような保護フィルム層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどを挙げることができる。
本発明のPDP用部材の製造方法は、転写フィルムからガラス板のような基板上にペースト層を形成し、該ペースト層の表面に感光性ドライフィルムをラミネートし、該感光性ドライフィルム上にパターン露光、現像を順次行って形成したレジストパターンを用い、サンドブラスト法により該基板上にパターンを形成し、次いで焼成して形成する方法が好ましい。
このペースト層の表面にラミネートされる感光性ドライフィルムは、PETフィルムのような仮支持体上に感光性樹脂組成物層(レジスト層ともいう)が設けられてなるものであり、ポジ型のレジスト材料であってもネガ型のレジスト材料であってもよいが、ネガ型の方が好ましい。ポジ型では、とくにアルカリ可溶性フェノール樹脂とナフトキノンジアジドの混合物からなるポジ型レジストが好ましい。その中でもクレゾールノボラック樹脂とo−ナフトキノンジアジドスルホン酸誘導体からなるものが好ましい。ネガ型としては、アリシクロ環を有する鎖状ポリマーなどの環化ゴムと芳香族ビスアジド化合物などのビスアジド化合物が組み合わされた環化ゴムービスアジド系レジスト、メタクレゾールノボラック樹脂に1−アジドピレンが組み合わせられたノボラック樹脂−アジド系レジスト、アクリル系モノマーと光重合開始剤が組み合わさったアクリル系レジスト液などが挙げられる。これらは、市販品として入手できる。
本発明のPDP用部材の製造方法においては、電極を具備する基板面に誘電体層用ペースト層を設け、その上に隔壁用ペースト層を設けた後、上記レジスト材料をその隔壁用ペースト層上に設けることが好ましい。
誘電体層用ペースト層は、バインダーとして隔壁用ペースト層のものより高分子のものを用いることにより、サンドブラストによる誘電体層への浸食を防止することができると共に電極を保護し、かつ一様な高さでアスペクト比が特定の隔壁を容易に得ることができる。
ここで、用いる誘電体層用ペースト層は、焼成後、隔壁用ペーストと一体化することが好ましく、各々の物性は同じでも異なってもよいが、同じとすることが、歩留まり、得られる隔壁の性能の観点から好ましい。
焼成後の誘電体層は、通常、5〜50μm程度の厚みが好ましい。
尚、所望により隔壁用ペースト層を金などの薄膜電極が露出した基板面に誘電体層を設けることなく直接設けることもできる。
PDP用部材は、隔壁パターンの凹部に蛍光体層を形成することによりPDP背面板を作製することができる。
露光工程は通常のフォトリソグラフィーで行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的である。用いるマスクは、レジスト層の感光性有機成分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。また、フォトマスクを用いずに、赤色や青色の可視光レーザー光、Arイオンレーザー、UVイオンレーザーなどで直接描画する方法を用いても良い。
尚、ペースト層のエッチングには、特開2000−16412号公報に記載の高圧スプレー現像を用いることもできる。
ペースト層のエッチングの後、ペースト層上のレジストパターンを除去する工程を設けてもよいし、そのまま焼成工程へ移ってもよい。このレジストパターンを除去する工程では、剥離液に浸漬するか、スプレー塗布して除去することができる。
他の型押し法としては、パターンの凸部に対応した穴を有した雌型をペースト層に当てて該凸部のみを取り込み、次いで雌型に取り込まれたペースト層を基板上に該穴に対応した雄型や液圧や気圧にて押し出すことによりパターンを形成する方法が挙げられる。
これら型の表面及び/又はペースト層表面には前記離型性層に用いたような離型剤が施されていることが好ましい。また、本発明は、例えば、特開平10−326562号公報、特開2002−93313号公報に記載の方法が採用できる。
この場合のペースト層は、上記型成形が可能なようにそのペースト層の組成(特に溶剤、可塑剤等の種類、量)が選定され、その可塑性が適正に調整される。
1)塗布用ペーストの調製
塗布用ペースト1の調製
平均粒子径が1.2μmの無機粉末ア(A)(表1に記載)70部と平均粒子径が7μmの無機粉末イ(アルミナ、軟化点:1200℃)30部からなる無機粉末成分を、ターピネオールとジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの混合溶剤に2部の樹脂(エチルセルロース)を溶解した溶液に分散、その後、可塑剤として、ジブチルフタレートを加え、混練して、塗布用ペースト1を得た。尚、無機粉末アの種類は組成成分の比率を設定して所定の軟化点を得た。
塗布用ペースト2〜5の調製
塗布用ペースト1において、表2に記載のように無機粉末成分を変更した以外は同様にして、塗布用ペースト2〜5を得た。
上記塗布用ペースト1〜5をガラス基板(1m×1m)上に膜厚を変更してブレードコーターで塗布し、実施例1〜7、比較例1〜7のサンプルを作製した。
3)感光性ドライフィルムのラミネート
次いで、ペースト層上に、保護膜を有するネガ型ドライフイルムレジスト(日本合成化学工業(株)製、NCP225、25μm)を100℃の熱ロールでラミネートした。
4)パターンの形成
レジスト層上に、線幅220μm、スペース80μmのラインアンドスペースのパターンマスクを位置合わせして配置し、紫外線照射(364nm、強度20mW/cm2、照射量120mJ/cm2)し、露光した後フォトレジスト層上の保護膜を剥離し、液温30℃の炭酸ナトリウム1質量%水溶液を使用しスプレー現像した。ラインパターンマスクに応じたレジストパターンが得られた。
その後、パターン処理されたペースト層を有した基板を焼成炉内に配置し、炉内の温度を常温から5℃/分の昇温速度で570℃まで昇温し、570℃の温度雰囲気で30分間にわたって焼成処理することにより、ガラス基板表面に、白色で不透明な隔壁焼成パターンを形成した。
形成された隔壁パターンのアスペクト比、隔壁高さ、多孔性、耐収縮率、ひび割れ、面内均一性、誘電率、解像性につき評価し、結果を表2に示した。
多孔性:空隙面積率を求めた。
耐収縮率(%):(100×焼成後膜厚/焼成前膜厚)で求めた。
ひび割れ:目視にて詳細に観察した。観察してなければなしと、観察されればありとした。
面内均一性:1m×1mの基板に形成した隔壁高さのバラツキを以下のようにして求めた。基板の任意の場所20点の高さの平均値からの変動量をバラツキとして求めた。
誘電率:横河電機製誘電率測定器(1MHz)にて測定した。
解像性:露光量を変更して線幅を替え、焼成後のパターンの限界解像力を調べた。この解像力は焼成後の隔壁の幅(w)である。
さらに電子顕微鏡にて隔壁の断面を観察した結果、実施例では、0.5〜10μmの無数の空隙が確認され、多孔性であることが認められた。
上表より、本発明の実施例は、比較例に比べて、適度な空隙を有し、焼成時の収縮が少なく、厚膜になってもひび割れが生じず、面内均一性も良好であることがわかる。
また、本発明の実施例は、適度な空隙を有することで低い誘電率を達成ことができた。又、焼成後の線幅変化も少なく、高い解像性が得られることが分かった。
実施例5で使用した無機粉末アの代りに、表3に記載した組成成分からなる無機ガラス粉末DからMを用いた他は実施例5と同じ条件で塗布用ペースト及び隔壁焼成パターンを作製し、同様に評価した。結果を表4に示す。
Claims (5)
- 断面の空隙サイズが0.1〜30μmであり、空隙面積率が5〜75%である、アスペクト比が1〜10でかつ高さが100〜800μmの隔壁を有することを特徴とする無機質膜。
- 誘電率が3.5〜12であることを特徴とする請求項1に記載の無機質膜。
- 請求項1または2に記載の無機質膜を含むことを特徴とするPDP用部材。
- 軟化点および粒子サイズが互いに相違する少なくとも2種類の無機粉末を含むペースト層に、サンドブラスト法により隔壁パターンを形成した後、焼成することにより請求項1または2記載の無機質膜または請求項3記載のPDP用部材を形成することを特徴とする無機質膜またはPDP用部材の製造方法。
- 軟化点および粒子サイズが互いに相違する少なくとも2種類の無機粉末を含むペースト、及び型を用いて隔壁パターンを形成した後、焼成することにより請求項1または2記載の無機質膜または請求項3記載のPDP用部材を形成することを特徴とする無機質膜またはPDP用部材の製造方法。
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