JP2005099180A - 高粘度マイクロカプセル溶液、マイクロカプセル膜及びその製造方法、並びに、機能素子及びその製造方法 - Google Patents

高粘度マイクロカプセル溶液、マイクロカプセル膜及びその製造方法、並びに、機能素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 マイクロカプセルの毛細管圧による間隙の発生が抑制されたマイクロカプセル膜を得ることが可能な高粘度マイクロカプセル溶液を提供するができる。さらにこの高粘度マイクロカプセル溶液を用いた、マイクロカプセル膜及びその製造方法、並びに、機能素子及びその製造方法を提供することができる。
【解決手段】 機能性材料を内包したマイクロカプセル膜を有する機能素子として、例えば、液晶表示素子を適用する場合、その表示層8を形成するためのマイクロカプセル溶液に、下記式(1)の条件を満たす高粘度調整剤溶液を添加させて高粘度溶液とする。
式(1):120×γ/r≦VI
ここで式(1)中、r:マイクロカプセル直径(μm)、γ:マイクロカプセルと空気との界面張力(mN/m)、VI:高粘度調整剤溶液の20℃環境下での絶対粘度(mPa・s)を示す。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば、表示材料や調光材料に代表される機能性材料を内包するマイクロカプセル溶液、マイクロカプセル膜及びその製造方法に関する。また、例えば、表示素子や調光素子に代表される機能素子及びその製造方法に関する。
従来、紙パルプの原料である森林資源の破壊や、ごみの廃却、焼却による環境汚染などから、オフィスを中心とする大量の紙の消費が問題になっている。しかしながら、パーソナルコンピュータの普及、インターネットを始めとする情報化社会の発達により、電子情報の一時的な閲覧を目的とする、いわゆる短寿命文書としての紙の消費は益々増加する傾向にあり、紙に代わる書き換え可能な表示媒体の実現が望まれている。
このような要望に対し、液晶を高分子物質よりなる外殻で覆ってマイクロカプセル化し、これをフレキシブルな基板と組合せて薄型表示媒体を形成する試みが行われている。このフレキシブルな基板を従来の液晶ディスプレイの構造にそのまま適用した場合、低分子の液晶は流動性を有するために圧力等を受けると画像の劣化が発生してしまう。したがって、液晶をマイクロカプセル化して外力の影響から機能性材料を保護し流動等を抑える手法は、紙に代わる表示媒体の実現において有効な手段となる。
このようなマイクロカプセル化は、液晶化合物のみならず、例えば、他の表示材料や調光材料などの機能性材料についても、素子内の機能性材料を保護し流動等を抑えるために行われている。
マイクロカプセル化の手法としては、界面重合法、in−situ重合法、コアセルベート法等が知られている。前記界面重合法では、互いに混ざり合わない二つの相にそれぞれ異なるモノマーを溶解させ、両相の界面においてモノマーを反応させて高分子物質(高分子シェル)を形成させる。該高分子物質としては、例えば、多価イソシアネートと多価アミン若しくは多価ヒドロキシ化合物とからなる高分子物質、あるいは水と反応させたポリウレタン、ポリウレア膜等が一般に知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
特公平3−52843号 特開平10−177191号 特開2002−90716
例えば、液晶マイクロカプセルを用いた表示層を有する表示媒体においては、その表示層に必要とされる特性に、表示の均一性がある。これを満足するために、印加電圧が均一であることから厚みが均一であると共に、高い反射率を得るために、表示層は粒径の揃ったマイクロカプセルを単層で並べて構成されていることが最も理想的である。
上記構成を得るために、例えば、カプセル1個分が通過される間隙から、マイクロカプセルを分散した分散溶液を吐出して塗布することが行われている。しかしながら、塗布直後は、均一な塗布膜が得られるにもかかわらず、乾燥とともに発生する毛細管圧により、隣り合うカプセル同士が引き寄せ合う現象が発生し、その結果、カプセル間に大きな隙間が生じてしまうといった問題が生じる。また、この現象を防いだとしても、従来のカプセルを並べただけのマイクロカプセル膜(表示層)では、反射率が低いといった問題も生じる。
一方で、従来からマイクロカプセル溶液の塗布では、塗布装置に合わせ、粘度調整剤を添加させたりしているが、従来の粘度条件の範囲では、上記現象が生じるのが現状である。
また、カプセル間に大きな隙間が生じてしまうといった現象は、液晶マイクロカプセル膜のみならず、他の機能性材料を内包したマイクロカプセル膜でも生じるため、同様に改善が望まれている。
従って、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、マイクロカプセルの毛細管圧による間隙の発生が抑制されるたマイクロカプセル膜を得ることが可能な高粘度マイクロカプセル溶液を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、この高粘度マイクロカプセル溶液を用いた、マイクロカプセル膜及びその製造方法、並びに、機能素子及びその製造方法を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
(1) 機能性材料をカプセル化したマイクロカプセルを含むマイクロカプセル溶液に、下記式(1)の条件を満たす高粘度調整剤溶液が添加されてなることを特徴する高粘度マイクロカプセル溶液。
式(1):120×γ/r≦VI
(ここで式(1)中、r:マイクロカプセル直径(μm)、γ:マイクロカプセルと空気との界面張力(mN/m)、VI:高粘度調整剤溶液の20℃環境下での絶対粘度(mPa・s)を示す)
(2) 前記高粘度マイクロカプセル溶液の揮発分が、36質量%以下であることを特徴とする前記(1)に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
(3) 前記マイクロカプセルの体積比率が、60%以上であることを特徴とする前記(1)に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
(4) 前記高粘度調整剤が、高分子化合物であることを特徴とする前記(1)に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
(5) 前記前記高粘度調整剤が、水溶性化合物であることを特徴とする前記(1)に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
(6) 前記機能性材料が、液晶化合物であることを特徴とする前記(1)に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
(7) 前記液晶化合物が、コレステリック液晶化合物であることを特徴とする前記(6)に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
(8) 前記液晶化合物が、ニ色性色素を含む液晶化合物であることを特徴とする前記(6)に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
(9) 前記(1)〜(8)のいずれかに記載の高粘度マイクロカプセル溶液を用いて形成されたことを特徴とするマイクロカプセル膜。
(10) 有効開口率(%)が下記式で表される関係を満たすことを特徴とする前記(9)に記載のマイクロカプセル膜。
式:(r−2a)2/r2
(ここで式中、r:マイクロカプセル直径(μm)、a:未機能領域定数(a=1.07を適用)を示す)
(11) 前記高粘度調整剤の面積率が、20%以下であることを特徴とする前記(9)に記載のマイクロカプセル膜。
(12) 前記高粘度調整剤の含有量が、4〜10質量%であることを特徴とする前記(9)に記載のマイクロカプセル膜。
(13) 前記マイクロカプセル膜が単層で並べられた構造であることを特徴とする前記(9)に記載のマイクロカプセル膜。
(14) 一対の基板と、前記一つの基板間に挟持されてなるマイクロカプセル膜と、を有する表示素子であって、
前記マイクロカプセル膜が、前記(9)〜(13)のいずれかに1項に記載のマイクロカプセル膜であることを特徴とする機能素子。
(15) 前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の高粘度マイクロカプセル溶液を用いて形成することを特徴とするマイクロカプセル膜の製造方法。
(16) 前記高粘度マイクロカプセル溶液をカプセル1個分が通過される間隙を通して、塗布・乾燥することを特徴とする前記(15)に記載のマクロカプセル膜の製造方法。
(17) 一対の基板と、前記一つの基板間に挟持されてなるマイクロカプセル膜と、を有する機能素子の製造方法であって、
前記一対の基板のうち一方の基板に、前記(1)〜(8)のいずれかに1項に記載の高粘度マイクロカプセル溶液を塗布・乾燥してマイクロカプセル膜を形成し、当該一方の基板と他方の基板とを貼り合わせることを特徴とする機能素子の製造方法。
(18) 前記高粘度マイクロカプセル溶液をカプセル1個分が通過される間隙を通して、塗布・乾燥することを特徴とする前記(17)に記載の機能素子の製造方法。
以上、本発明によれば、マイクロカプセルの毛細管圧による間隙の発生が抑制されたマイクロカプセル膜を得ることが可能な高粘度マイクロカプセル溶液を提供するができる。さらにこの高粘度マイクロカプセル溶液を用いた、マイクロカプセル膜及びその製造方法、並びに、機能素子及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(高粘度マイクロカプセル溶液)
本発明の高粘度マイクロカプセル溶液は、機能性材料をカプセル化したマイクロカプセルを含むマイクロカプセル溶液に、特定条件を満たす高粘度調整剤溶液が添加されてなることを特徴としている。
本発明の高粘度マイクロカプセル溶液は、例えば、マイクロカプセル溶液を調製すると共に濃縮し、当該溶液に特定条件を満たす高粘度調整剤溶液を添加することで、高粘度溶液として調製され、これを塗布・乾燥させることで、マイクロカプセルの毛細管圧による間隙(ボイド)の発生が抑制されたマイクロカプセル膜を得ることが可能となる。特に、機能性材料として液晶化合物を用いた場合、マイクロカプセルの毛細管圧による間隙(ボイド)の発生が抑制されると共に、高反射率の高い液晶マイクロカプセル膜を得ることができる。
これは、本発明の高粘度マイクロカプセル溶液が、特定条件を満たす高粘度調整剤溶液にマイクロカプセルが分散されてなるため、塗布直後にカプセル位置が流動し難くなると共に、乾燥時の毛細管圧、水圧などの圧力作用に対しても、カプセル位置の流動を抑制し、塗布直後の位置を保ちつつ乾燥されるためだと考えれる。また、高粘度調整剤が隣り合うマイクロカプセル間に介在し、塗布直後の位置を保ちつつ適度に隣り合うマイクロカプセルが引き寄せられ高パッキン状態となるためだと考えられる。
―高粘度調整剤溶液―
高粘度調整剤溶液は、高粘度調整剤と溶剤とを、下記式(1)の条件を満たすように調製されたものである。好ましくは、下記式(2)の条件を満たすように調整されたものである。
式(1):120×γ/r≦VI
式(1):200×γ/r≦VI
式中、r:マイクロカプセル直径(μm)、γ:マイクロカプセルと空気との界面張力(mN/m)、VI:高粘度調整剤溶液の20℃環境下での絶対粘度(mPa・s)を示す)
ここで、r:マイクロカプセルと空気との界面張力(mN/m)は、シェルに用いる高分子材料と空気との界面張力、表面自由エネルギーとする。
また、ポリマーと空気間の表面張力ほぼ30(mN/m)程度とみなせるため、マイクロカプセルと空気との界面張力γには、30を用いる。
界面張力γの上記範囲の両端の数値を式(1)に当てはめた計算結果を、絶対濃度VIとカプセル直径rとの関係で図1に示す。
このため、高粘度調整剤溶液は、図1から示されるように、マイクロカプセル直径rに対して、例えば界面張力γが30のときは曲線より絶対粘度VIが高くなるように調製することとなる。
なお、絶対粘度VIは、例えば、高粘度調整剤(例えば高分子化合物)の重量平均分子量や、濃度(含有量)を適宜選択して調整されるが、高分子増粘剤の濃度(含有量)は、多ければ良いというものではない。濃度が高くなるほど、機能性材料の濃度が下がるため、例えば、表示性能や調光機能などの特性に影響をきたす。具体的には、例えば、機能性材料として液晶化合物を用いた場合、反射率の低下や、色純度・彩度の低下、散乱光の増加などに繋がる。よって、高分子増粘材の濃度は、上記式(1)の条件を満たしつつ低減させることが表示性能や調光性能などの特性を向上させる観点から好適である。
また、マイクロカプセル直径rは、表示性能や調光性能などの特性を向上させる観点から、8〜30μm、好ましくは15〜25μmの範囲で選択されることが好適である。特に、機能性材料として液晶化合物を用いた場合、マイクロカプセル直径rが上記範囲であると、反射率と共に彩度を向上させることができる。
高粘度調整剤としては、高分子化合物が好適に使用で、具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、メチルセルロース、ヒロドキシエチルセルロース、カルボシキメチルセルロース、酸化スターチ、ポリエチレンオキシド、アクリル酸またはメタクリル酸共重合体等の水溶性、またはアルカリ可溶性ポリマーが材料構成・用途に応じて選択することができる。
これらの中でも、増粘効果が高く、水溶性のカプセルに合わせて用いることができ、無色透明であるPVAが好適に用いられる。
高分子化合物は、重量平均分子量が高いほど、同じ濃度において高い粘度を示す。よって、前述の理由からより低濃度で高粘度を得ることが理想であるため、高分子化合物(高分子増粘剤)の重量平均分子量は1000以上が好ましく、より好ましくは1500〜3500である。
溶媒としては、水、アルコール、揮発性油、またはそれらの混合材などが挙げられるが、カプセル種、高粘度溶剤種によって適宜選択される。
−マイクロカプセル溶液−
マイクロカプセル溶液は、機能性材料をカプセル化したマイクロカプセルを含んで構成で構成されている。
機能性材料をマイクロカプセル化する方法としては、油相を水相に乳化する公知手段の中から適宜選択でき、乳化手段として、例えば、油相と水相を混合した後、ホモジナイザ−等の機械的なせん断力で油相を微小な液滴として分散させる機械乳化法、油相を水相中に多孔質膜を通して押出し、微小な液滴として分散させる膜乳化法等が挙げられ、カプセル形成手段として、例えば、界面重合法、in−situ重合法、コアセルベート法等が挙げられる。
前記界面重合法では、互いに混ざり合わない二つの相にそれぞれ異なるモノマーを溶解させ、両相の界面においてモノマーを反応させて高分子物質(高分子シェル)を形成させる。該高分子物質としては、例えば、多価イソシアネートと多価アミン若しくは多価ヒドロキシ化合物とからなる高分子物質、あるいは水と反応させたポリウレタン、ポリウレア膜等が一般に知られている。
前記in−situ重合法では、互いに混ざり合わない二つの相のいずれか一方にモノマーを溶解させ、触媒を用いてモノマーを反応させて高分子シェルを形成させる。この場合の高分子シェルとしては、例えば、尿素−ホルマリン樹脂やメラミン−ホルマリン樹脂の縮重合を用いたもの、スチレンやアクリル樹脂のラジカル重合を用いたもの等が一般に知られている。
前記コアセルベート法は高分子溶液の相分離現象を利用したものであり、例えば、ゼラチン−アラビアゴムの静電気的相互作用を利用したもの等が一般に知られている。
機能性材料としては、例えば、表示材料(例えば、液晶化合物、具体的にはコレステリック液晶や二色性色素を含むネマチック液晶、また、電気泳動粒子などが挙げられる)、調光材料(例えば、電気泳動粒子や磁性粒子により光の透過量を調節する素子。)などが挙げられる。これらの中でも、特に、液晶化合物が好ましい。この液晶化合物を内包したマイクロカプセル膜は、ボイド発生に起因する表示性能低下が著しいため、本発明を好適に適用することができる。
液晶化合物としては、低分子液晶、例えば、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶(カイラルネマチック液晶を含む)、あるいはこれらの液晶化合物に二色性色素(分子長軸方向と短軸方向とで吸光度の異なる色素)を添加したゲストホスト液晶等が挙げられる。
これらの中でも、コレステリック液晶が好適であり、例えば、ステロイド系コレステロール誘導体;不斉炭素を有するシッフ塩基系、アゾ系、エステル系、ビフェニル系等のカイラル物質;これらのカイラル物質を、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、エタン系、ビフェニル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、安息香酸エステル系、ピリミジン系、ジオキサン系、トラン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、アルケニル系等のネマチック液晶又はこれらの混合物に添加した液晶材料;等が挙げられる。
また、液晶化合物に二色性色素(分子長軸方向と短軸方向とで吸光度の異なる色素)を添加したゲストホスト液晶も好適に用いられる。二色性色素としては、アントラキノン系化合物、スチリル系化合物、アゾメチン系化合物やアゾ系化合物等が挙げられる。
マイクロカプセル溶液は、上記手法で機能性材料をカプセル化した後、マイクロカプセル溶液調節のため濃縮させる。このとき、濃縮の目安として、体積濃度65%以上に濃縮する、より好ましくは体積濃度70%以上であることが好ましい。
―高粘度マイクロカプセル溶液―
本発明の高粘度マイクロカプセル溶液は、上述したように、上記高粘度調整剤溶液と、上記マイクロカプセル溶液と、を混合して調整される。
本発明の高粘度マイクロカプセル溶液は、マイクロカプセルの体積率が60%以上、好ましくは70以上であることが、得られるマイクロカプセル膜の表示性能や調光性能などの特性を向上させる観点から好適である。特に、機能性材料として液晶化合物を用いた場合、マイクロカプセルの体積率が上記範囲であると、反射率・彩度など光学特性を向上させることができる。
このマイクロカプセルの体積率を調整する方法として具体的には、例えば、上記高粘度調整剤溶液と上記マイクロカプセル溶液とを混合した後、体積率が上記範囲となるように濃縮させることが好適である。なお、稠密構造での球体の体積率の限界は73%である。
また、本発明の高粘度マイクロカプセル溶液は、上記調整の結果その揮発分が36質量%以下、より好ましくは27質量%以下であることが、得られるマイクロカプセル膜の表示性能や調光性能などの特性を向上させるためや、カプセル間の間隙発生防止の観点から好適である。具体的には、上記高粘度調整剤溶液と上記マイクロカプセル溶液とを混合した後、揮発分が上記範囲となるように濃縮させることが好適である。
(マイクロカプセル膜及びその製造方法)
本発明のマイクロカプセル膜は、例えば、上記本発明の高粘度マイクロカプセル溶液を、基板上に塗布・乾燥することで形成されてものである。塗布方法としては、特に限定されるわけではなく、公知の方法を利用することができる。
また、厚みの均一性や、表示性能や調光性能などの特性(例えば電界駆動時の表示均一性、反射率)の向上の観点から、マイクロカプセル膜は、粒径の揃ったマイクロカプセルが単層で並べられて構成(マイクロカプセル膜が、平面状に一段でカプセルが配列された構成)されていることが好適である。
このため、例えば、マイクロメータなどにより、高粘度マイクロカプセル溶液をカプセル1個分が通過される間隙を通して、塗布・乾燥してマイクロカプセル膜するこも好適に行われる。
なお、塗布方法は特に限定されず、ダイコート法、バーコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法等の公知の塗布方法によりマイクロカプセル膜を形成してもよい。
本発明のマイクロカプセル膜は、表示性能や調光性能などの特性を向上させる観点から、有効開口率が下記式で表される関係を満たすことが好適である。特に、機能性材料として液晶化合物を用いた場合、有効開口率が下記式で表される関係を満たすと、反射率と共に彩度を向上させることができる。
式:(r−2a)2/r2
ここで、式中、r:マイクロカプセル直径(μm)、a:未機能領域定数(本発明の結果、a=1.07が適用される)を示す
なお、上記式では直径10μmカプセルのとき有効開口率が61.8%、直径15μmカプセルのとき有効開口率が73.5%となる。本発明のサンプル(実施例)の観察の結果、はそれぞれ61.6、74.5となり式に近い値を示した。
ここで、有効開口率とは、機能性材料が機能する面積を示す。具体的には、例えば、機能性材料として液晶化合物を用いた場合、表示を行った時に、表示の明暗に寄与する液晶化合物(例えばコレステリック液晶)の面積率を示す。マイクロカプセルのシェルのギリギリまで機能性材料は実際には存在しているが、シェル近傍では立体効果などの理由からある程度の厚みに存在する機能性材料は例えば表示機能や調光機能に寄与することができない。よって、有効開口率には機能性材料存在面積ではなく、実際に表示機能や調光機能などに寄与する面積を用いる。
同様に、本発明のマイクロカプセル膜は、表示性能や調光性能などの特性を向上させる観点から、含まれる高粘度調整剤が表示面側からみて露呈されている面積率が、20%以下であることが好ましい。特に、機能性材料として液晶化合物を用いた場合、高粘度調整剤の面積率が上記範囲であると、反射率と共に彩度を向上させることができる。
ここで、高粘度調整剤の面積率は、次のように測定した。マイクロカプセル膜の塗布乾燥後に、当該膜を顕微鏡撮影し、その高分子材料が表面に見えている部分を画像解析により面積を算出し、面積率とした。
同様に、本発明のマイクロカプセル膜は、表示性能や調光性能などの特性を向上させる観点から、含まれる高粘度調整剤の含有量が、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5〜10質量%である。特に、機能性材料として液晶化合物を用いた場合、高粘度調整剤の含有量が上記範囲であると、反射率と共に彩度を向上させることができる。
(機能素子及びその製造方法)
本発明の機能素子は、既述の製造方法により得られた本発明のマイクロカプセル膜を、一対の基板間に狭持してなるものである。一対の基板には、必用に応じて表面に少なくとも一方の面が透明である電極が備えられる。本発明の機能素子は、機能性材料の種類により、例えば、表示素子、調光素子として適用することができる。
本発明の機能素子においては、マイクロカプセル膜が、マイクロカプセルを単層で並べられて構成(マイクロカプセル膜が、平面状に一段でカプセルが配列された構成)とすることで、マイクロカプセル膜の厚みが均一であると共に、表示性能や調光性能などの特性(例えば、高い反射率が付与され、表示の均一性)が得られる。
前記基板は、有色若しくは無色の光透過性及び光不透過性の材料、例えば、ガラス、シリコン、又はポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート等の高分子フィルムなどの公知の材料の中から適宜選択でき、画像表示する表示面側となる少なくとも一方の基板は、光透過性の基板を用いて構成される。基板として、フレキシブル性を有する材料を採用すれば、紙の代替となり得る薄型表示媒体を実現することができる。
前記基板の厚みとしては、一般には0.05〜5mmであり、0.1〜1mmが好ましい。
前記電極は、一対の基板のそれぞれの全面に形成してもよいし、各基板上に形成する電極を互いに直交する方向となるようにストライプ状に形成してもよい。後者の場合、各基板上に2次元的に配置された電極の交点を1つの表示画素とする、単純マトリックス書き込み型の表示素子とすることができる。
また更に、一対の基板の一方に、その全面に共通電極を形成し、他方に、TFT、MIM等の能動素子と、該能動素子と繋がる個別電極とが2次元的に配置されてなる、アクティブマトリックス書き込み型の液晶表示素子としてもよい。
前記電極としては、例えば、ITO膜;Al、Au、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等の金属膜;SiO2等の金属酸化膜などが挙げられ、少なくとも表示面側となる書き込み用電極は光透過性のもので構成される。中でも、ITO膜が特に好ましい。
本発明の機能素子は、マイクロカプセル膜と、該マイクロカプセル膜を狭持する、一対の基板(必要に応じて電極を備える基板)とから基本的に構成され、その具体的な構成態様としては、特に制限はない。
以下、機能素子として、液晶化合物物を内包したマイクロカプセル膜を有する液晶表示素子を図面を参照しつつ説明する。
−第一の態様−
本発明の液晶表示素子の第一の態様について、図2を参照して説明する。図2は、本発明の液晶表示素子の一例を示す断面図である。
本態様の液晶表示素子は、書き込み用電極4が設けられた基板2と書き込み用電極5が設けられた基板3とが、書き込み用電極4及び5が互いに対向するように一定の間隙を有して配置され、両基板の電極間には、液晶マイクロカプセルを含む層として表示層8(マイクロカプセル膜)が狭持されてなる構造を有する。表示層8は液晶マイクロカプセル7を含んで構成されている。
液晶表示素子1を構成する書き込み用電極4及び5の所望の位置に電圧を印加することにより、電極間にある液晶の分子配向を制御して所望の液晶表示を行うことができる。即ち、電圧無印加時には、前記液晶マイクロカプセルにおける液晶が、前記外殻との界面において該界面に沿って配向し、光を強く散乱するため白く表示される。一方、電圧印加時には、電圧による電界方向と平行に前記液晶が配向するため、前記電界方向と垂直な面の界面における、液晶と外殻との屈折率差は非常に小さくなるので該界面において光はほとんど散乱せず、透明な状態となる。
本態様の液晶表示素子は、電圧の印加のみにより表示の切替えを容易に行うことができ、画像情報の記録と消去とを可逆的に行うことができる。しかも、液晶がカプセル化された液晶マイクロカプセルを用いるので、フレキシブルな基板の使用が可能で、圧力等の影響を受けて画像劣化を伴うこともない。
前記表示層8には、液晶マイクロカプセル7のほか、必要に応じて他の成分が含有されていてもよい。
また、基板2及び3の少なくとも一方の表面には、必要に応じて、耐摩耗層や、液晶表示素子1内へのガスの混入を防止するバリア層等の公知の機能性層が設けられてもよい。尚、非表示面側となる一方の基板の表面と表示層8との間には、液晶マイクロカプセル7の表示モード(光吸収型又は光反射型)に対応して、光散乱層又は光吸収層を設けることが好ましい。
本態様に係る液晶表示素子1は、以下のようにして製造することができる。
即ち、一例として、高粘度液晶マイクロカプセル溶液を一方の基板の電極(例えば基板3の電極5)上に塗布して表示層8を形成し、該表示層8の表面に他方の基板の電極(例えば基板2の電極4)を配置、貼り合せることにより作製することができる。
−第二の態様−
次に、本発明の液晶表示素子の第二の態様について、図3を参照して説明する。図3は、液晶マイクロカプセルを備える本発明の液晶表示素子の一例を示す断面図である。
書き込み用電極4が設けられた基板2と書き込み用電極5が設けられた基板3とが、電極4及び5が互いに対向するように一定の間隙を有して配置され、書き込み用電極5上の全面に更に光導電層9が形成されている。書き込み用電極4と光導電層9との間には、液晶マイクロカプセルを含む層として表示層8が狭持され、表示層8はと液晶マイクロカプセル7を含有して構成されている。
光導電層9は、図示しないが、例えば、一対の電荷発生層と、当該一対の電荷発生層間に挟持された電荷輸送層とを含んだ構造(Dual CGL構造)などが挙げられる。
尚、本態様においては、光導電層9と表示層8との間には、液晶マイクロカプセル7の表示モードに対応して、前記同様に光散乱層又は光吸収層を設けることが好ましい。
本態様の液晶表示素子では、液晶表示素子1を構成する書き込み用電極4及び5にバイアス電圧を印加しておき、光を所望のパターンに照射することにより、光照射領域の液晶の分子配向が変化して所望の液晶表示を行うことができる。即ち、白表示状態にある電圧無印加時に対して、バイアス電圧として液晶配向が変化しない低電圧を印加した状態で光照射すると、光導電層のインピーダンス低下による表示層への印加電圧の増加によって前記液晶が配向するため、第一の態様の場合と同様、光照射領域では光はほとんど散乱せず透明な状態となる。
本態様の液晶表示素子は、電圧印加と光の照射により表示を切替えることができ、画像情報の記録と消去とを可逆的に行える。しかも、液晶がカプセル化された液晶マイクロカプセルを用いるので、フレキシブルな基板の使用が可能で、圧力等の影響を受けて画像劣化を伴うこともない。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
[比較例1]
(液晶マイクロカプセル溶液調製)
以下のようにして、液晶マイクロカプセルを調製した。
−乳化〜膜乳化プロセス−
分散層を多孔質膜を通して連続層中に圧入する膜乳化法(特公平8−2416参照)により、液晶の乳化を行い、粒径が揃った液晶エマルジョンを調製した。
なお、乳化条件は以下の通りである。
・SPG膜細口径;3.0μm
・使用装置;外圧式マイクロキット
・乳化圧力;0.12kgf/cm2
・連続層;0.25wt%DBS水溶液
・連続層攪拌速度;500rpm
・攪拌子;標準スターヘッド
また、液晶(コレステリック液晶化合物)の調製条件は以下の通りである。
・液晶化合物;RDP−83132(大日本インキ化学工業)
・カイラル材;R811/R1011(メルクジャパン)
・選択反射波長;550nm
―メラミンシェル重合プロセス―
in−situ重合法に従って、得られた液晶エマルジョンを用いて、水相にメラミン−ホルマリンプレポリマーを溶解させてカプセル化(重合)を行った。なお、マイクロカプセル径(直径)は10μmであった。
なお、重合条件は以下の通である。
・重合温度;65℃
・液晶濃度;1%
・重合時間;3hour
・メラミン比率;0.25(対ChLC 1ml)
・pH;6.0
・攪拌速度;200rpm
・シェル材;MX−035(三和ケミカル)
・モノマー固形分;0.69
−液晶マイクロカプセル溶液調整−
得られた液晶マイクロカプセルをカプセル濃度70%以上まで、遠心分離機を用い濃縮した。遠心条件は2000rpm5min.とした。
(液晶セルの作製)
―マイクロカプセル膜の塗布―
65mm×53mmの大きさで125μm厚のITO付きPET基板上に、上記液晶マイクロカプセル溶液を塗布して乾燥させ、単層構成のマイクロカプセル膜を形成した。塗布はマイクロメータ調節機能付アプリケータ(RK Print−Coat Instruments Ltd.製;K PAINT APPLICATOR基板固定ステージには真空吸着溝付のガラスステージを用意した。用意したITO/PET基板をステージに吸引固定し、液晶マイクロカプセル溶液を0.1ml程度直接滴下しアプリケータで塗布する。10μm径カプセルの塗布条件は、ギャップ;12μm、塗布速度;約100mm/sec.とした。
―遮光層及びラミネート層の作製―
65mm×53mmの大きさで125μm厚のITO付きPET基板上に、以下のようにして遮光層及びラミネート層を順次形成した。
・遮光層:BLFX−D1(大日本インキ化学工業)を用いて、スピンコートにて塗布を行い形成した。
・ラミネート層:ポリエステル系2液硬化型ドライラミネート剤、及びディックドライLX−719/KY−90(大日本インキ化学工業製)で構成し、ラミネートにはゴムロール方式のヒートラミネート装置を用いた。
―液晶セルの作製―
マイクロカプセル膜付き基板と、遮光層及びラミネート層付き基板とを貼り合わせて液晶セル(液晶表示素子)を作製した。
[実施例1]
―液晶マイクロカプセル溶液を調製―
比較例1で調製した液晶マイクロカプセル溶液を、カプセル濃度70%以上にまで濃縮して溶液を、20wt%PVA水溶液(PVA:平均分子量500、20℃での絶対粘度:1030mPa・s)に混合した。混合比は、濃縮カプセル溶液1に対して、PVA水溶液5とし、攪拌した後、カプセル濃度(体積率)が70%になるように再度遠心分離機を用いて濃縮して、液晶マイクロカプセル溶液を調製した。この遠心分離条件は、5000rpm40min.とした。
この液晶マイクロカプセル溶液を使用した以外は、比較例1と同様にして液晶セルを作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
20wt%PVA水溶液の代わりに、25wt%PVA水溶液(PVA:平均分子量500、20℃での絶対粘度:5000mPa・s)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶マイクロカプセル溶液を調製した。そして、この液晶マイクロカプセル溶液を使用した以外は、比較例1と同様にして液晶セルを作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
20wt%PVA水溶液の代わりに、15wt%PVA水溶液(PVA:平均分子量500、20℃での絶対粘度:300mPa・s)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶マイクロカプセル溶液を調製した。そして、この液晶マイクロカプセル溶液を使用した以外は、比較例1と同様にして液晶セルを作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
20wt%PVA水溶液の代わりに、5wt%PVA水溶液(PVA:平均分子量500、20℃での絶対粘度:10mPa・s)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶マイクロカプセル溶液を調製した。そして、この液晶マイクロカプセル溶液を使用した以外は、比較例1と同様にして液晶セルを作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
20wt%PVA水溶液の代わりに、10wt%PVA水溶液(PVA:平均分子量3500、20℃での絶対粘度:6000mPa・s)を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶マイクロカプセル溶液を調製した。そして、この液晶マイクロカプセル溶液を使用した以外は、比較例1と同様にして液晶セルを作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
比較例1の液晶マイクロカプセル溶液調製における乳化〜膜乳化プロセスにおいて、SPG細口径を4.2μm、乳化圧を0.10〜0.11kgf/cm2に変更した以外は、比較例1と同様にして、カプセル径(直径)が15μmの液晶マイクロカプセル溶液を調製した。これを、実施例1と同様な操作で、10wt%PVA水溶液(PVA:平均分子量3500、20℃での絶対粘度:6000mPa・s)と混合して液晶マイクロカプセル溶液を調製した。そして、この液晶マイクロカプセル溶液を使用した以外は、比較例1と同様にして液晶セルを作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
比較例1の液晶マイクロカプセル溶液調製における乳化〜膜乳化プロセスにおいて、SPG細口径を5.5μm、乳化圧を0.05〜0.06kgf/cm2に変更した以外は、比較例1と同様にして、カプセル径(直径)が17.5μmの液晶マイクロカプセル溶液を調製した。これを、実施例1と同様な操作で、10wt%PVA水溶液(PVA:平均分子量3500、20℃での絶対粘度:6000mPa・s)と混合して液晶マイクロカプセル溶液を調製した。そして、この液晶マイクロカプセル溶液を使用した以外は、比較例1と同様にして液晶セルを作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[評価]
上記各実施例及び比較例において以下ような評価を行った。結果を表1に示す。
―塗布・乾燥後のマイクロカプセル膜の状態―
・ボイドの有無:作製したマイクロカプセル膜を、顕微鏡観察した。(用いた顕微鏡はKEYENCE製VH−7000)
・有効開口率(%):有効開口率の算出は駆動したサンプルの顕微鏡撮影像を用いて算出した。具体的には写真を2値化処理し、その明暗面積率から求めた。画像処理にはAdobe社のPhotoShopを用いた。
・PVA量(wt%):上記液晶マイクロカプセル溶液のPVA濃度から算出した。
・PVA面積率(%):PVAの面積率は塗布乾燥後、三次元レーザー顕微鏡(キーエンス社、VH―8500)により撮影したイメージを画像処理することにより、高分子領域とそれ以外の領域の面積率を求めた。
―反射率・彩度の測定―
得られた液晶セルを駆動させ、KEYENCE CM−2022により反射率・彩度を測定した。反射率のピーク値で示す。反射率・彩度測定時の駆動条件を以下に記す。
・駆動周波数;500Hz
・印加時間;200msec.
・リフレッシュ電圧;80V〜100V
・リフレッシュ駆動間;300msec.
・駆動測定間;500msec.
・任意波形発生器;BIOMATION 2714A
・アンプ;TREK 609c−6
なお、表1には、各種データも併記する。
表1の結果から、比較例で調製した液晶マクロカプセルを用いると、ボイド(カプセル間間隙)が発生する(図4参照)と共に反射率が低下した液晶マイクロカプセル膜が得られるのに対し、実施例で調整した式(1)の条件を満たすPVA水溶液(高粘度調整剤溶液)を含む高粘度液晶マイクロカプセル溶液を用いることで、ボイド(カプセル間間隙)が無くカプセル同士が互いに引き寄せられて例えば六角形及びその他多角形状にパッキングされており(図5参照)、高い反射率を有する液晶マイクロカプセル膜が得られることがわかる。
また、式(1)の条件を満たしつつ、PVA水溶液におけるPVA量(マイクロカプセル中のPVA量も含む)を低減させると、有効開口率が向上すると共に、PVA面積率が低下するため、反射率と共に彩度も向上することもわかる。
また、液晶マイクロカプセルの粒子径を大きくすると、反射率と共に彩度も向上することもわかる。
高粘度調整剤溶液の絶対濃度VIと液晶マイクロカプセル直径rとの関係を示す図である。 液晶マイクロカプセル膜を備える本発明の液晶表示素子の一例を示す図である。 液晶マイクロカプセル膜を備える本発明の液晶表示素子の一例を示す。図である。 比較例1において形成された乾燥後の液晶マイクロカプセル膜の状態を示す模式図である。 実施例6において形成された乾燥後の液晶マイクロカプセル膜の状態を示す模式図である。
符号の説明
1,10…液晶表示素子
4,5…電極
7…液晶マイクロカプセル
8…表示層(液晶マイクロカプセル膜)
9…光導電層

Claims (18)

  1. 機能性材料をカプセル化したマイクロカプセルを含むマイクロカプセル溶液に、下記式(1)の条件を満たす高粘度調整剤溶液が添加されてなることを特徴する高粘度マイクロカプセル溶液。
    式(1):120×γ/r≦VI
    (ここで式(1)中、r:マイクロカプセル直径(μm)、γ:マイクロカプセルと空気との界面張力(mN/m)、VI:高粘度調整剤溶液の20℃環境下での絶対粘度(mPa・s)を示す)
  2. 前記高粘度マイクロカプセル溶液の揮発分が、36質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
  3. 前記マイクロカプセルの体積比率が、60%以上であることを特徴とする請求項1に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
  4. 前記高粘度調整剤が、高分子化合物であることを特徴とする請求項1に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
  5. 前記前記高粘度調整剤が、水溶性化合物であることを特徴とする請求項1に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
  6. 前記機能性材料が、液晶化合物であることを特徴とする請求項1に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
  7. 前記液晶化合物が、コレステリック液晶化合物であることを特徴とする請求項6に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
  8. 前記液晶化合物が、ニ色性色素を含む液晶化合物であることを特徴とする請求項6に記載の高粘度マイクロカプセル溶液。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の高粘度マイクロカプセル溶液を用いて形成されたことを特徴とするマイクロカプセル膜。
  10. 有効開口率(%)が下記式で表される関係を満たすことを特徴とする請求項9に記載のマイクロカプセル膜。
    式:(r−2a)2/r2
    (ここで式中、r:マイクロカプセル直径(μm)、a:未機能定数(a=1.07を適用)を示す)
  11. 前記高粘度調整剤の面積率が、20%以下であることを特徴とする請求項9に記載のマイクロカプセル膜。
  12. 前記高粘度調整剤の含有量が、4〜10質量%であることを特徴とする請求項9に記載の高粘度マイクロカプセル膜。
  13. 前記マイクロカプセル膜が単層で並べられた構造であることを特徴とする請求項9に記載のマイクロカプセル膜。
  14. 一対の基板と、前記一つの基板間に挟持されてなるマイクロカプセル膜と、を有する機能素子であって、
    前記マイクロカプセル膜が、請求項9〜13のいずれかに1項に記載のマイクロカプセル膜であることを特徴とする機能素子。
  15. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の高粘度マイクロカプセル溶液を用いて形成することを特徴とするマイクロカプセル膜の製造方法。
  16. 前記高粘度マイクロカプセル溶液をカプセル1個分が通過される間隙を通して、塗布・乾燥することを特徴とする請求項15に記載のマクロカプセル膜の製造方法。
  17. 一対の基板と、前記一つの基板間に挟持されてなるマイクロカプセル膜と、を有する機能素子の製造方法であって、
    前記一対の基板のうち一方の基板に、請求項1〜8のいずれかに1項に記載の高粘度マイクロカプセル溶液を塗布・乾燥してマイクロカプセル膜を形成し、当該一方の基板と他方の基板とを貼り合わせることを特徴とする機能素子の製造方法。
  18. 前記高粘度マイクロカプセル溶液をカプセル1個分が通過される間隙を通して、塗布・乾燥することを特徴とする請求項17に記載の機能素子の製造方法。
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