本発明の実施形態に係る電波修正時計は、たとえば、毎正時付近に時報情報を含むラジオ放送等の放送電波、および標準時刻信号を含む標準電波(標準時刻電波信号ともいう)を受信し、時報情報および標準時刻電波信号に基づいて時刻修正を行う。
たとえば本実施形態では放送電波として、時報情報を含むAMラジオ放送電波を用いる。AMラジオ放送に含まれる時報情報を採用する利点は、何点かある。
1.全国に複数の送信局が設置されている。
2.AMラジオ放送電波の送信出力は、標準電波送信局の送信出力よりも大きい。
たとえばAMラジオ放送局は、都市部近郊から比較的大きな送信出力でAMラジオ放送を行っている。
たとえば札幌、東京、大阪、福岡等の都市部近郊には、表1に示すようにAMラジオ放送局が設置されている。札幌市、東京都、大阪府、福岡市等の都市部から50km以内にラジオ放送局が設けられいる。
たとえば埼玉県南埼玉郡菖蒲町から東京NHK第1放送、周波数594kHz、送信出力300kWでAMラジオ放送電波が出力されている。大阪府南河内郡美原町丹上から大阪NHK第1放送、周波数666kHz、送信出力100kWでAMラジオ放送電波が出力されている。
3.ラジオ放送が行われている周波数帯のノイズに関する規格が規定されている。
多くの家庭電化製品等の電子装置は、この規格を満たすように設計されているために、それらの電子装置から出力されるノイズ強度が小さい。このためにAMラジオ放送の受信環境がよい。
また、AMラジオ放送電波は中波放送帯で525kHzから1605kHzであり、標準電波は数10kHzであり、同一のフェライトバーアンテナを用いてそれぞれの電波を受信することができ、アンテナを共通化できる。また変調方式もAM変調で同じである。したがって、以下に示す実施形態においては、AMラジオ放送と、標準時刻電波信号の復調部を、一部共通化している。
以下、本実施形態に係る電波修正時計を、図面に関連付けて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電波修正時計の一実施形態を示すシステム構成図である。図2は、図1の電波修正時計における電波受信系の具体的な構成例を示す回路図である。図3は、図1の電波修正時計の輪列部を含む平面図、図4は、図3の電波修正時計の断面である。
本実施形態に係る電波修正時計1は、図1および図2に示すように、電波受信系11、時刻修正スイッチ12、発振回路13、制御回路14、ドライブ回路15、発光素子16、バッファ回路17、ドライブ回路18、表示部20、ディスプレイ30、時計本体100、秒針用モータ121、時分針用モータ131、光検出センサ部140、手動修正系150、トランジスタQ1,Q2、および抵抗素子R1〜R4を有する。
本実施形態においては、アナログ式の指針による時刻表示を行うために、表示部20が、ドライブ回路15、発光素子16、バッファ回路17、ドライブ回路18、ディスプレイ30、秒針用モータ121、時分針用モータ131、光検出センサ部140、手動修正系150、トランジスタQ1,Q2、および抵抗素子R1〜R4により構成されている。また、このアナログ表示部20に加えて、液晶等のデジタル式の時刻表示装置を設けてもよい。
電波受信系11は、たとえば不図示の標準電波送信所から送信された標準時刻情報(時刻コードとも言う)を含む標準電波(標準時刻電波信号とも言う)を受信し、所定の処理を行い信号S1130として制御回路14に出力する。
また、電波受信系11は、たとえばAMラジオ放送局から送信された時報情報を含むラジオ放送電波を受信し、所定の処理を行い信号S116として制御回路14に出力する。
電波受信系11は、具体的には、図2に示すように、フェライトバーアンテナ1110、標準電波周波数切替部1120、標準電波受信回路1130、ラジオ放送周波数切替部1140、AMラジオ受信回路1150、およびフィルタ1160を有する。
フェライトバーアンテナ1110は、標準時刻電波信号およびAMラジオ放送電波を受信する。前述したように、標準時刻電波信号およびAMラジオ放送電波は波長が長く、フェライトバーアンテナ1110により受信可能である。
フェライトバーアンテナ1110は、フェライトバー1111、コイルL1111、およびコイルL1112を有する。
本実施形態では、たとえば図2に示すように、フェライトバー1111の両端にコイルL1111、およびコイルL1112が設けられている。
標準電波周波数切替部1120は、たとえば制御回路14から出力された標準電波の受信周波数、本実施形態ではたとえば40kHzと60kHzを切り替えさせる制御信号CTL1123に基づいて標準電波の受信周波数を切り替える。
詳細には、たとえば標準電波周波数切替部1120は、キャパシタ1121、キャパシタ1122、およびスイッチ1123を有する。
直列接続されたキャパシタ1122およびスイッチ1123は、キャパシタ1121とフェライトバーアンテナ1110に巻きつけられたコイル部L1111とに並列に接続されている。
また、キャパシタ1121の一端、コイル部L1111の一端、スイッチ1123の端子Tbは基準電位GNDに接続されている。スイッチ1123の端子Taにはキャパシタ1122の一端が接続されている。
キャパシタ1121の他端、コイル部L1111の他端、キャパシタ1122の他端は共通に接続され、また長波受信回路1130の入力端に接続されている。
スイッチ1123は、制御信号CTL1123に基づいて端子Taと端子Tbを導通または非導通状態に設定する。
詳細にはたとえば、60kHzの標準時刻電波信号を受信する場合には、制御回路14から端子Taと端子Tbを非導通状態に設定させる制御信号CTL1123が出力されると、スイッチ1123は、キャパシタ1122とコイル部L1111を非導通状態に設定することにより、コイル部L1111およびキャパシタ1121により共振回路を形成させ、共振周波数を60kHzに設定する。
一方、40kHzの標準時刻電波信号を受信する場合には、制御回路14から端子Taと端子Tbを導通状態に設定させる制御信号CTL1123が出力される。これにより、スイッチ1123は、端子Taと端子Tbを導通状態に設定することにより、キャパシタ1121、キャパシタ1122、およびコイル部1111とが並列接続した共振回路を形成させ、たとえば共振周波数を60kHzより低い40kHzに設定する。
長波受信回路1130は、たとえばフェライトバーアンテナ1110および標準電波周波数切替部1120を介して入力された標準時刻電波信号S1120のデコードを行い、標準時刻信号を信号S1130として制御回路14に出力する。
詳細には、長波受信回路1130は、たとえば不図示のRFアンプ、検波回路、波形整形回路を有し、増幅処理、検波処理、波形整形処理等を行い、処理結果の標準時刻信号を信号S1130として出力する。制御回路14は標準時刻信号に基づいて時刻修正を行う。
また、たとえば長波受信回路1130は、制御回路14から出力された、標準時刻電波信号の受信オン状態または受信オフ状態を制御させる制御信号CTL1130に基づいて、標準時刻電波信号の受信オン状態または受信オフ状態を制御する。
なお、日本の標準電波は独立行政法人通信総合研究所(CRL)のもとで運用されており、周波数40kHzの標準電波を送信する標準電波送信所および周波数60kHzの標準電波を送信する標準電波送信所が設けられている。
電波受信系11で受信される標準電波は、図5(a)に示すような形態で送られてくる。
具体的には、時刻コードは1,0,Pの3種類の信号パターンからなり、1秒(sec)の1信号パターン中の100%振幅期間幅によって区別され、1,0,Pはそれぞれ500ms,800ms,200msとなっている。変調方式は、最大値100%,最小値10%の振幅変調である。
そして、受信状態が良好な場合には、電波受信系11からは図5(b)に示すように、標準電波信号に応じたパルス信号として信号S1130が、制御回路14に出力される。
この信号S1130は、たとえば第1のレベルに相当するハイレベルと、第2のレベルに相当するローレベルにより構成されている。制御回路14は、ハイレベル、およびローレベル、ならびに、ハイレベルからローレベルへの立下りエッジed1、およびローレベルからハイレベルへの立上がりエッジed2に基づいて受信状態の評価処理を行う。エッジed1およびエッジed2を区別しない場合には、単にエッジedという。
次に、長波標準電波の送信データについて説明する。
図6は、標準時刻電波信号の時刻コードの一例を示している。図6(a)は毎時15,45分以外のフォーマット、図6(b)は、毎時15分,45分のフォーマットを示す。 送信情報は、分・時・1月1日からの積算日となっている。
時刻データの送信は、1bit/秒で1分間を1フレームとしており、このフレーム内に前述した分・時・1月1日からの積算日の情報がBCDコードで提供されている。また送信されるデータは、0・1の他にPコードというマーカーが含まれており、このPコードは、1フレームに数カ所あり、正分(0秒)、9秒、19秒、29秒、39秒、49秒、59秒に現れる。このPコードが続けて現れるのは1フレーム中1回で59秒、0秒の時だけで、この続けて現れる位置が正分位置となる。つまり分・時データ等の時刻データはこの正分位置を基準としてフレーム中の位置が決まっているためこの正分位置の検出を行わないと時刻データを取り出すことはできない。
ラジオ放送周波数切替部1140は、たとえば制御回路14から出力されたラジオ放送電波の受信周波数、本実施形態ではたとえば東京NHK第1放送JOAKの594kHzと、大阪NHK第1放送JOBKの666kHzを切り替えさせる制御信号CTL1143に基づいてラジオ放送電波の受信周波数を切り替える。
詳細には、たとえばラジオ放送周波数切替部1140は、キャパシタ1141、キャパシタ1142、およびスイッチ1143を有する。
直列接続されたキャパシタ1142およびスイッチ1143は、キャパシタ1141とフェライトバーアンテナ1110に巻きつけられたコイル部L1112とに並列に接続されている。
また、キャパシタ1141の一端、コイル部L1112の一端、キャパシタ1142の一端は、基準電位GNDに接続されている。キャパシタ1142の他端は端子Tcに接続されている。
キャパシタ1141の他端、コイル部L1112の他端、端子Tdは共通に接続され、またAMラジオ受信回路1150の入力端に接続されている。
スイッチ1143は、制御信号CTL1143に基づいて端子Tcと端子Tdを導通通状態または非導通状態に設定する。
詳細には大阪NHK第1放送JOBKのラジオ放送電波を受信する場合には、端子Tcと端子Tdを非導通状態に設定させる制御信号CTL1143が制御回路14から出力される。これにより、スイッチ1143は、キャパシタ1142とコイル部L1112を非導通状態に設定させることにより、たとえばコイル部L1112とキャパシタ1141により共振回路を形成させ、共振周波数を666kHzに設定する。
一方、たとえば東京NHK第1放送JOAKのラジオ放送電波を受信する場合には、制御回路14から端子Tcと端子Tdを導通状態に設定させる制御信号CTL1143が出力される。これにより、スイッチ1143は、端子Tcと端子Tdを導通状態に設定することにより、キャパシタ1141、キャパシタ1142、およびコイル部L1112とが並列接続した共振回路を形成させ、共振周波数を666kHzより低い594kHzに設定する。
AMラジオ受信回路1150は、たとえばフェライトバーアンテナ1110およびラジオ放送周波数切替部1140を介して入力されたラジオ放送電波を復調し、AMラジオ放送電波に含まれる時報情報を抽出し、信号S1150としてフィルタ1160に出力する。
また、AMラジオ受信回路1150は、たとえば制御回路14から出力されたラジオ放送の受信オン状態また受信オフ状態を制御させる制御信号CTL1150に基づいて、ラジオ放送電波の復調等の受信動作の受信オン状態また受信オフ状態を制御する。
図7は、図2に示したAMラジオ受信回路の一具体例を示す機能ブロック図である。
たとえばAMラジオ受信回路1150は、図7に示すように、アンプ1151、水晶フィルタ部1152、および検波回路1153を有する。
アンプ1151は、たとえばフェライトバーアンテナ1110およびラジオ放送周波数切替部1140から出力された信号S1140を増幅して信号S1151として水晶フィルタ部1152に出力する。
図8は、一般的なAMラジオ放送電波に毎正時付近に含まれる時報情報の一具体例を示す図である。
たとえば、ラジオ放送局から送信されるAMラジオ放送電波には、毎正時(00分00秒)付近に図8に示すような時報情報が含まれている。詳細にはたとえば57秒,58,59秒に周波数440Hzのパルス信号pがAM変調され、毎正時(00分00秒)には予め設定された周波数、たとえば880Hzの正時信号(減衰信号)dがAM変調されている。たとえばパルス信号pおよび減衰信号dの立ち上がり時間T57,T58,T59,T00それぞれが、秒同期している。
図9は、図8に示した毎正時付近に時報情報を含むAMラジオ放送電波の周波数スペクトラムを説明するための図である。
時報情報を含むAMラジオ放送電波は、図8に示したパルス信号pおよび減衰信号dを含む場合には、たとえば図9に示すように、搬送波f0を中心に、周波数(f0+f1)および周波数(f0ーf1)に線形状の周波数スペクトラムを有する。
フィルタ部1152は、放送電波を基に所定の周波数の正時信号を抽出する。本実施形態ではフィルタ部1152として水晶フィルタを用いた例を示す。
詳細には、水晶フィルタ部1152は、たとえば図7に示すように、第1水晶フィルタ11521および第2水晶フィルタ11522を有する。
水晶フィルタ部1152は、たとえば図9に示すように、アンプ1151から出力された信号S1151に基づいて、周波数(f0+f1)または周波数(f0ーf1)成分のみの信号S1152を出力する。
具体的には、東京と大阪のNHK第1放送の時報の下周波数で880Hzを検出する場合には、水晶フィルタ部1152には、第1水晶フィルタ11521として593.120kHz、第2水晶フィルタ部11522として665.120kHzのみを通過させるフィルタを設ける。
検波回路1153は、水晶フィルタ部1152から出力された信号S1152を基に、周波数440Hzまた周波数880Hzの信号をAM検波して信号S1150を出力する。検波回路1153のAM検波は一般的に用いられる検波方式、たとえば2乗検波、包絡線検波等により検波を行う。
フィルタ部1160は、検波回路1153から出力された信号S1150を基に時報情報のみを抽出し、信号S1160として制御回路14に出力する。
なお、ヘテロダイン検波方式を採用した場合、ラジオ受信回路1150は、図10に示すように、アンプ1154、局部発振回路1155、周波数変換回路1156、水晶フィルタ部1157、および検波回路1158により構成される。
ラジオ受信回路1150にヘテロダイン検波方式を採用した場合、局部発振回路1155の出力する局部発振信号S1155の周波数を変えることにより異なる入力周波数を同一周波数の中間周波数fiに変化させることができる。その結果、図11に示すように、水晶の通過周波数を(fi−f1 )、または、(fi+f1 )となる。
具体的には、東京と大阪のNHK第1放送を受信する場合、中間周波数fiを455kHzとすると、周波数変換のための局部発振周波数は(fi+f1 )に設定されるので、東京のNHK第1放送の場合、局部発振周波数は1048kHzとなり、大阪のNHK第1放送の場合、1121kHzとなる。これにより、共に同一の455kHzに変換されることから、1種類の452.12kHzまたは455.880kHzのみを通過させる水晶フィルタを用いれば良い。
時刻修正スイッチ12は、たとえば、時刻修正を行う際に操作され、操作に応じて信号S12を制御回路14に出力する。制御回路14は、時刻修正スイッチ12から信号S12が入力されると時刻修正を行う。
発振回路13は、水晶発振器CRYおよびキャパシタC2,C3により構成され、所定周波数の基本クロックを制御回路14に供給する。
制御回路14は、内部時計1401、およびメモリ1402を有する。
内部時計1401は、たとえば年情報カウンタ、月情報カウンタ、日情報カウンタ、曜情報カウンタ、時情報を計時する時カウンタ、分情報を計時する分カウンタ、および秒情報を計時する秒カウンタ等を含む。
メモリ1402は、たとえば、制御回路14のワークスペースとして用いられる。たとえば、メモリ1402はRAM(Random access memory)等で構成される。
制御回路14は、初期時に標準時刻電波信号を受信して、内部時計1401が計時する時間情報である年情報、月情報、日情報、曜日情報、時情報、分情報、および秒情報を修正し、内部時計1401が計時する時刻情報を基に、後述するように表示時刻の修正を行う。
また、制御回路14は、たとえば標準時刻電波信号の受信周波数を切り替えさせる制御信号CTL1123を出力して、標準電波周波数切替部1120に受信周波数を40kHzまたは60kHzに切り替えさせて、受信状態の良いほうの標準時刻電波信号を受信する。
また、制御回路14は、内部時計1401が計時する標準時刻情報(時刻情報ともいう)に基づいて、予め設定された時刻(設定時刻)に時刻修正動作を行う。この際、制御回路14は、設定時刻になるとAMラジオ受信回路1150に放送電波を受信させ、抽出された時報情報を基に時刻修正を行う。
また、たとえば制御回路14は、標準時刻電波信号の受信状態に応じて、長波受信回路1130が標準時刻電波信号を基に生成した標準時刻信号、または、AMラジオ受信回路1150が抽出した時報情報を基に時刻修正を行う。
たとえば、制御回路14は、設定時刻に標準時刻電波信号の受信状態が良好でない場合には、内部時計1401が計時する時刻情報に基づいて、AMラジオ受信回路1150に時報情報を含むAMラジオ放送電波を受信させて時報情報を抽出させ、その時報情報を基に内部時計1401の時刻情報、詳細には秒情報を修正する。
制御回路14は、AMラジオ放送電波を受信する際に、受信タイミング制御を行う。
詳細には、制御回路14は、受信タイミング制御として、たとえば内部時計1401が計時する時刻情報を基に毎正時を含む所定時間、たとえば毎正時の数10秒前からAMラジオ放送電波を受信させる制御信号CTL1150をAMラジオ受信回路1150に出力する。
通常、水晶時計は月差20秒の精度なので、上述したようにラジオ放送電波の受信を開始すれば確実に時報情報を受信することができる。
また、制御回路14は、受信状態の良いほうのAMラジオ放送電波を受信させるように制御信号CTL1143を出力して、AMラジオ放送電波の受信周波数を設定する。
制御回路14は、信号S1160を基に、たとえば周波数880Hzの立ち上がりを検出し、その立ち上がり時間を毎正時(00分00秒)とする。この際、内部時計1401では標準時刻電波信号に基づいて時刻情報として年情報、月情報、日情報、時情報、分情報、秒情報が計時されており、制御回路14は時報情報を基に秒情報を修正する。
制御回路14は、標準時刻電波信号の受信状態が良好であると判別した場合には、フェライトバーアンテナ1110を介して長波受信回路1130が受信した標準時刻電波信号を基に、内部時計1401が計時する時刻情報を修正し、内部時計1401が計時する時刻情報を基に、秒針駆動系120および時分針駆動系130を駆動して、指針による表示時刻を修正する。
以下、より詳細に制御回路14の機能を説明する。制御回路14は、たとえば初期状態、および時刻修正スイッチ12が操作された場合には、指針車の原点検出処理を行い、内部時計1401で計時される時刻情報に応じた駆動信号CTL1およびCTL2を出力して、指針による時刻表示を行う。
制御回路14は、指針の位置検出処理は、時分針車および秒針車の位相合わせ処理、秒針の原点検索処理、時分針の原点検索処理を行い、各指針車の位置を検出した後、所定時刻に指針を設定する。
位相合わせ処理は、たとえば、時分針車に設けられた透光部と、秒針車に設けられた透光部とを、発光素子142から出力された光が貫通するような位置にまで、時分針車および秒針車を駆動する。
秒針の原点検索処理は、発光素子142から出力された光が、秒針車に設けられた遮光部および透光部により、受光素子144に受光される、光のオンオフパターンに基づいて原点が検索される。
時分針の原点検索処理は、後述するように、発光素子142から出力された光が、時分針車に設けられた遮光部および透光部により、受光素子144に受光される、光のオンオフパターンに基づいて位置が検索される。
制御回路14は、所定の時間、たとえば本実施形態では8秒間の標準時刻電波信号のサンプリング(たとえば32Hz)を行い、そのサンプリングの結果に基づいて受信状態を判定する。
詳細には、制御回路14は、たとえば電波受信系11から入力される信号S1130のサンプリング(たとえば32Hz)を行い、エッジedを検出し、そのエッジedの有無や数に基いて受信状態を判定する。
制御回路14は、その設定された受信周波数で受信された標準電波時刻信号に基いて、時刻化が可能である場合には、発振回路13による基本クロックに基づいて内部時計1401の各種カウンタのカウント制御を行う。
制御回路14は、受信状態が基準範囲にない場合には、制御信号CTL1を出力せずに、ドライブ信号DR1をドライブ回路15に出力して、報知手段としての発光素子16を発光させてユーザに標準電波信号がほとんど受信できない旨を報知させる。
制御回路14は、電波受信系11で受信した標準時刻電波信号に基づいて、内部時計1401の各種時刻カウンタで計時されている計時時刻と標準時刻情報とを比較し、誤差が生じている場合には、その誤差に応じて時刻カウンタを修正し、その修正に応じてモータ131に制御信号CTL2として、修正のためのパルス信号Pを入力して早送り駆動等を行い、指針による時刻表示の修正を行う。
次に、電波修正時計のムーブメントおよび指針位置検出系の具体的な構成について、図3,4、図12〜図21に関連付けて説明する。
時計本体100は、図3および図4に示すように、互いに対向して接続されて輪郭を形成する下ケース111、上ケース112、ならびに、下ケース111および上ケース112で形成される空間内において下ケース111と連結した状態で配置される中板113を有する。
時計本体100は、互いに対向して接続されて輪郭を形成する第2ケースとしての下ケース111および第1ケースとしての上ケース112と、この下ケース111および上ケース112で形成される空間内のほぼ中央部において下ケース111と連結した状態で配置される中板113とを備えており、空間内の下ケース111、中板113、上ケース112の所定の位置に対して、第1駆動系(秒針駆動系)120、第2駆動系(時分針駆動系)130、光検出センサ140、手動修正系150等が固定あるいは軸支されている。
秒針駆動系120および時分針駆動系130が本発明に係る時刻表示手段に相当する。
第1駆動系120は、図3に示すように、略コ字状のステータ121a、このステータ121aの一方側の脚片に巻回された駆動コイル121b、このステータ121aの他方の磁極間において回動自在に配置されたロータ121cにより構成された秒針用ステッピングモータ121と、ロータ121cのピニオン121dに大径歯車122aが噛合した第1伝達歯車(第1検出用歯車)としての第1の5番車122と、この第1の5番車122の小型歯車122bに噛合した第2検出用歯車(第1指針車)としての秒針車123とにより構成されている。
ここで、秒針用ステッピングモータ121は、ステータ121aが中板113に載置して固定され、ロータ121cが中板113と上ケース112とに軸支されており、制御回路14の出力制御信号CTL1に基づいて、その回転方向、回転角度、および回転速度が制御される。
第1の5番車122は、大径歯車122aの歯数が60個、小径歯車122bの歯数が15個に形成され、中板113および上ケース112に回動自在に軸支され、その大径歯車122aが秒針用ステッピングモータ121のロータ121c(ピニオン121d)と噛合して、ロータ121cの回転速度を所定速度に減速させる。この第1の5番車122には、図12に示すように、秒針車123と重なる領域において周方向に等間隔(中心角α1が120°)で配置された3個の円形状をなす透孔122cが形成されている。この透孔122cは、光検出センサ140の検出光を通過させるだけでなく、少なくともその1つは、第1の5番車122を組付ける際の位置決め孔(度決め孔)として用いられるものである。
秒針車123は、大径歯車123aの歯数が60個に形成され、その軸部の一端が上ケース112に軸支され、中板113を下ケース111側に貫通したその他端側には秒針軸123bが圧入されており、この秒針軸123bは、後述する分針パイプ134pの内側に挿通されて、その先端に秒針が取り付けられている。この秒針車123には、図15に示すように、回転により第1の5番車122と重なる領域において周方向に等間隔(中心角α2が30°)で配置された11個の円形状をなす透孔123cと、一箇所だけピッチの異なる位置決め遮光部123d(透孔123cと透孔123cとの中心角が60°)とが形成されている。そして、上記第1の5番車122の透孔122cが位置決め遮光部123dに対向した後に最初に透孔123cと対向する時に、秒針が正時を指すように構成されている。
透孔123cは、光検出センサ140の検出光を通過させるだけでなく、少なくともその1つは、秒針車123を組付ける際の位置決め孔(度決め孔)として用いられるものである。
また、これらの透孔123cの内側には、周方向に長尺で回転軸方向に突出する円弧状の付勢ばね123eが、切り欠き孔123fにより画定されている。この円弧状付勢ばね123eは、秒針車123をその回転軸方向に付勢するものである。
ここで、位置決め遮光部123dは、周方向において切り欠き孔123fから離れた位置、すなわち、2つの切り欠き孔123fが途切れて離れた領域に形成されている。したがって、切り欠き孔123fと位置決め遮光部123dとの距離を十分確保できるため、位置決め遮光部123dの領域において検出光が切り欠き孔123fに回り込むようなことはなく、確実にこの位置決め遮光部123dで検出光を遮ることができる。すなわち、検出光の回り込みによる誤検出を生じ易い切り欠き孔123fを設けた領域から離れた位置に位置決め遮光部123dが形成されていることから、この位置決め遮光部123dを秒針車122の回転角度位置の位置決めに用いることで、確実な位置決めを行うことができる。
秒針車123においては、図15に示すように、複数(11個)の透孔123cを設ける代わりに、図16に示すように、位置決め遮光部123dと径方向において対向する位置にある透孔123cのみを残して、その他の透孔123cをそれぞれ切り欠き孔123gと一体的に開けてもよい。これによれば、検出光の通過を許容する部分において、検出光の通過をより一層確実なものとし、また、秒針車123を形成する材料の無駄を低減することができる。
第2駆動系130は、図3、図4、および図13に示すように、略コ字状のステータ131a、このステータ131aの一方側の脚片に巻回された駆動コイル131b、このステータ131aの他方の磁極間において回動自在に配置されたロータ131cにより構成された時分針用ステッピングモータ131とロータ131cのピニオン131dに大径歯車132aが噛合した中間歯車としての第2の5番車132と、この第2の5番車132の小径歯車132bに大径歯車133aが噛合した第2伝達歯車(第3検出用歯車)としての3番車133と、この3番車133の小径歯車133bに大径歯車134aが噛合した第4検出用歯車(第2指針車)としての分針車134と、この分針車134の小径歯車134bに大径歯車135aが噛合した中間歯車としての日の裏車135と、この日の裏車135の小径歯車135bに噛合した第5検出用歯車(第2指針車)としての時針車136とにより構成されている。
ここで、時分針用ステッピングモータ131は、ステータ131aが中板113に載置して固定され、ロータ131cが中板113と上ケース112とに軸支されており、制御回路14の出力制御信号に基づいて、その回転方向、回転角度、および回転速度が制御される。
第2の5番車132は、大径歯車132aの歯数が60個、小径歯車132bの歯数が15個に形成され、中板113および上ケース112に軸支され、その大径歯車132aが時分針用ステッピングモータ131のロータ131c(ピニオン131d)と噛合して、ロータ131cの回転速度を所定速度に減速させる。なお、この第2の5番車132としては、前述の第1の5番車122を流用、すなわち、透孔122cが設けられたものを用いてもよい。これにより、部品の共用化が行え製品のコストを低減することができる。
3番車133は、大径歯車133aの歯数が60個、小径歯車133bの歯数が10個に形成され、軸部の一端が上ケース112に軸支され、他端側が中板113を貫通した状態で回動自在に配設されており、第2の5番車132の回転を減速して分針車134に伝達する。また、3番車133には、図17に示すように、回転により秒針車123および第1の5番車122と重なる領域において周方向に等間隔(中心角α3が36°)で配置された10個の円形状をなす透孔133cが形成されている。この透孔133cは、光検出センサ140の検出光を通過させるだけでなく、少なくともその1つは、3番車133を組付ける際の位置決め孔(度決め孔)として用いられるものである。
分針車134は、大径歯車134aの歯数が60個、小径歯車134bの歯数が14個に形成され、その中央部には小径歯車134bが一体的に形成された分針パイプ134pが、側面視にて略T字形状をなすように形成されている。そして、分針パイプ134pの一端部が中板113に回動自在に軸支され、他端側の軸部は後述する時針車136の時針パイプ136pの内部に回動自在に挿通されている。また、分針パイプ134pは、下ケース111を貫通して時計の文字盤側に突出しており、その先端には分針が取り付けられている。
また、分針車134には、図18に示すように、回転により秒針車123,第1の5番車122,3番車133と重なる領域において周方向に長尺な3個の円弧状透孔134c,134d,134eが形成されている。これら円弧状透孔134cと円弧状透孔134dとは、中心角α5で30°隔てて形成され、円弧状透孔134dと円弧状透孔134eとは、中心角α6で30°隔てて形成され、また、円弧状透孔134eと円弧状透孔134cとは、中心角α7で60°隔てて形成されている。すなわち、円弧状透孔134eと円弧状透孔134cとの間に、最も幅の広い遮光部Aが形成され、円弧状透孔134cと円弧状透孔134dとの間および円弧状透孔134dと円弧状透孔134eとの間に、上記遮光部Aよりも幅狭の遮光部Bが形成されている。
また、円弧状透孔134cは、一端側の円形部134c1と、他端側から伸びる幅広円弧部134c2と、両者を連結する幅狭円弧部134c3とにより形成されている。この幅狭円弧部134c3により画定される円形部134c1は、検出光を通過させるだけでなく、分針車134を組み付ける際の位置決め孔(度決め孔)として用いられるものである。
時針車136は、大型歯車136aの歯数が40個に形成され、その中央部に円筒状の時針パイプ136pが一体的に取り付けられており、この時針パイプ136pの内部に前述の分針パイプ134pが挿通されている。そして、時針パイプ136pは、下ケース111に形成された軸受け孔111aに挿通されて回動自在に軸支されており、また、その先端側は下ケース111を貫通して時計の文字盤側に突出しており、その先端には時針が取り付けられている。
また、時針車136には、図19に示すように、回転により秒針車123,第1の5番車122,3番車133,分針車134と重なる領域において周方向に長尺な3個の円弧状透孔136c,136d,136eが形成されている。これら円弧状透孔136cと円弧状透孔136dとは、中心角α8で45°隔てて形成され、円弧状透孔136dと円弧状透孔136eとは、中心角α9で60°隔てて形成され、また、円弧状透孔136eと円弧状透孔136cとは、中心角α10で30°隔てて形成されており、更に、円弧状透孔136c,136d,136eの長さは、中心角β1+β2,β3,β4がそれぞれ75°,60°,90°となるように設定されている。すなわち、円弧状透孔136eと円弧状透孔136cとの間に、最も幅の狭い遮光部Cが形成され、円弧状透孔136cと円弧状透孔136dとの間に、遮光部Cよりも幅の広い遮光部Dが形成され、円弧状透孔136dと円弧状透孔136eとの間に、遮光部Dよりも幅の広い遮光部Eが形成されている。
また、円弧状透孔136cは、一端側から中心角β1で7.5°のところに位置する円形部136c1と、他端側から伸びる幅広円弧部136c2と、両者を連結すると共に円形部136c1の両側に位置する幅狭円弧部136c3とにより形成されている。この幅狭円弧部136c3により画定される円形部136c1は、検出光を通過させるだけでなく、時針車136を組み付ける際の位置決め孔(度決め孔)として用いられるものである。
日の裏車135は、大径歯車135aの歯数が42個、小径歯車135bの歯数が10個に形成され、下ケース111に形成された突部111bに対して回動自在に軸支されており、大径歯車135aが分針パイプ134pに形成された小径歯車134bに噛合し、また、小径歯車135bが時針車136(136a)に噛合して、分針車134の回転を減速して時針車136に伝達する。
光検出センサ140は、図4に示すように、上ケース112の壁面に固定された回路基板141に取付けられた発光ダイオードからなる発光素子142と、この発光素子142に対向するように、下ケース111の壁面に固定された回路基板143に取付けられたフォトトランジスタからなる受光素子144とにより形成されている。
そして、発光素子142のアノードは一端がpnpトランジスタQ2のコレクタに接続されたドライブ回路18における抵抗素子R4の他端に接続され、カソードは、接地されると共に、受光素子144のエミッタに接続されている。
受光素子144のコレクタは、制御回路14に接続されている。この制御回路14との接続ラインは、検出信号DT1の制御回路14への出力ラインとなっている。
ドライブ回路18のトランジスタQ2のエミッタは電源電圧Vccの供給ラインに接続され、ベースは抵抗素子R3を介してドライブ信号DR2の出力ラインに接続されている。 すなわち、発光素子142は、制御回路14からローレベルのドライブ信号DR2が出力されたとき発光するようにドライブ回路18に接続されている。
また、図4に示すように、断面視にて第1の5番車122、秒針車123、3番車133、分針車134、時針車136の全てが同時に重なる位置に配置されている。そして、第1の5番車122の透孔122c、3番車133の透孔133c、秒針車123の透孔123c、分針車134の透孔134c(134d、134e)、時針車136の透孔136c(136d、136e)が重なり合った時に、発光素子142から発せられた検出光が受光素子144により受光されて、秒針、分針、時針が正時等の位置を指していることを出力するようになっている。
さらに、発光素子142は、上ケース112の外側に開口するように形成された第1配置部としての取付け凹部112c内に配置されており、この取付け凹部112cの底面には、所定径の円形貫通孔112dが開けられている。この円形貫通孔112dは、発光素子142から発せられる検出光が末広がり状に広がる性質があるため、その広がった部分の光を遮断して収束された光のみを通過させて誤検出を防止できるようにするものである。
同様に、受光素子144は、下ケース111の外側に開口するように形成された第2配置部としての取付け凹部111c内に配置されており、この取付け凹部111cの底面には、所定径の円形貫通孔111dが開けられている。この円形貫通孔111dは、発光素子142から発せられ、上記透孔を通過してきた光のみをできるだけ通過させて誤検出を防止できるようにするものである。
第1の5番車122、3番車133、秒針車123、分針車134、時針車136を取付ける場合は、所定の位置決めピンが、下ケース111の円形貫通孔111d、位置決めとして用いられるそれぞれの透孔、および上ケース112の円形貫通孔112dを貫くように、順次に組付ける。そして、上ケース112および下ケース111を接合して一体化した後、位置決めピンを引き抜いて、貫通孔112dが位置する取付け凹部112cに発光素子142を取付け、また、貫通孔111dが位置する取付け凹部112cに受光素子144を取付ける。
これにより、貫通孔112dおよび111dは完全に塞がれ、上ケース112および下ケース111により画定される内部空間に外部の光が侵入するのを防止できる。したがって、外部の光が侵入することによる誤検出を防止できると共に、組付け時の位置決め孔と光検出用の透孔とを兼用していることから、これらの孔を別々に設ける場合に比べて装置の集約化、小型化を行うことができる。
手動修正系150は、図3および図4に示すように、上述の分針車134の小径歯車134bおよび時針車136の大径歯車136aに噛合する日の裏車135と、この日の裏車135の大径歯車135aに噛合する歯車151aを有する手動修正軸151とにより構成されている。この手動修正軸151は、上ケース112の外側に位置付けられて利用者が直接指を触れることのできる頭部151bと、この頭部151bから伸びて上ケース112に形成された開口112eを貫挿し下ケース111に形成された突部111eに対して軸支された柱状部151cとからなり、この柱状部151cの下方領域に歯車151aが形成されている。
手動修正軸151は、分針車134と同位相で回転するように構成されており、上述の第2駆動系130により分針車134が駆動されているときには日の裏車135を介して分針車134と同位相で回転すると共に、第2駆動系130の非作動時には、頭部151bを指で回転させることにより、指針位置を手動修正できるようになっている。
上記のように、秒針車123の秒針軸123bが分針車134の分針パイプ134pに挿通され、分針車134の分針パイプ134pが時針車136の時針パイプ136pに挿通されていることから、秒針車123と、分針車134と、時針車136とは、それぞれの回転中心軸が共通しており、また、時刻表示の際に、秒針が60秒間に1回転、分針が60分間に1回転、時針が12時間に1回転するように駆動される。
分針車134の分針パイプ134pの先端部および時針車136の時針パイプ136pの先端部には、図20に示すように、径方向に所定幅をなして伸びる位置決めのための第1指標としての溝134gおよび第2指標としての溝136gが形成されている。そして、これらの溝134gおよび溝136gが、一直線に並んだとき所定の時刻たとえば12時00分を指すように設定されている。
このような位置決め指標を設けたことにより、分針車134および時針車136を下ケース111および上ケース112により囲繞して覆ってしまった後においても、溝134gおよび136gが一直線に並んでいれば予め設定された概略の時刻を指していることが分かるため、その状態を基に分針および時針を容易に取り付けることができ、その他の位置合わせおよび位置確認工程が不要になり、製造ラインおよび検査ラインでの製造時間および検査時間を短縮することができる。なお、位置決め指標としては、上記の溝に限るものではなく、ポッチ等のマークでもよい。
図21は、図1に示した電波修正時計の指針位置検出処理の動作を示すフローチャートである。
制御回路14は、指針駆動系を駆動して基準位置検出手段の検出処理に基づいて指針車の基準位置を検出した後、電波受信系11のフェライトバーアンテナ1101および長波受信回路1130で受信した標準時刻電波信号に基づいて内部時計1401の計時時刻を修正し、内部時計1401の計時時刻に基づいて指針車の指針位置を設定する。
図21を参照しながら指針位置検出処理を説明する。
制御回路14から時分用パルス信号出力パターンがセットされ(ST101)、ドライブ信号DR2がドライブ回路18にローレベルで出力される。これにより、トランジスタQ2がオンし、発光素子142、すなわち発光ダイオードから検出光が発せられる。
続いて、制御回路14から制御信号CTL1が出力されて秒針用ステッピングモータ121がパルス駆動され(ST102)、受光素子144すなわちフォトトランジスタがオンし、検出信号DT1がハイレベル(電源電圧Vccレベル)からローレベルに切り換わったか否かの判別が行われる(ST103)。
ここで、フォトトランジスタからの検出信号DT1がハイレベルのままに保持されている場合には、ステップ駆動を行うためにパルス数を加算する度に、フォトトランジスタからの検出信号DT1がハイレベル(電源電圧Vccレベル)からローレベルに切り換わったか否かの判別が行われる(ST104〜ST106)。
そして、パルス数が9に達してもフォトトランジスタからの検出信号DT1出力がハイレベル(電源電圧Vccレベル)からローレベルに切り換わらない場合には、時分針用ステッピングモータ131が1ステップ(パルス)駆動され(ST107)、その後再び秒針用ステッピングモータ121がステップ駆動され(ST102)て、秒針車123が回転駆動される。
一方、ステップST103において、フォトトランジスタによる検出信号DT1がハイレベルからローレベルに切り換わったと判別されると、秒針車123が早送りされ(ST108)、制御回路14に予め記憶された出力パターンとの比較が行われる(ST109)。
比較の結果、得られた出力パターンと記憶された出力パターンとが適合しない場合は、ステップST108に戻り、再び秒針車123が早送りされる。
一方、得られた出力パターンと記憶された出力パターンとが適合した場合には、その時点(5ステップ目でもフォトトランジスタにより検出信号DT1のレベルがローレベルに切り換わらない場合において次にフォトトランジスタの出力がローレベルに切り換わった時点)で、制御信号CTL1の出力が停止されて、秒針車123の回路駆動が停止される。そして、秒針車123が帰零位置で停止する(ST110)。このとき、秒針は所定時刻たとえば正時(0秒)の位置に修正され、秒針の原点検索処理が終了する。
続いて、制御回路14から制御信号CTL2が出力されて時分針用ステッピングモータ131のみが所定の出力周波数でパルス駆動されて分針車134が早送りされる(ST111)。
そして、フォトトランジスタからの出力パターンと制御回路14に予め記憶された出力パターンとの比較が行われる(ST112)。
比較の結果、得られた出力パターンと記憶された出力パターンとが適合しない場合は、ステップST111の処理に戻り、再び分針車134が早送りされる。
一方、ステップST112の比較の結果、得られた出力パターンと記憶された出力パターンとが適合した場合は、その時点で、制御信号CTL2の出力が停止され、時分針用ステッピングモータ131が停止されて、分針車134および時針車136の駆動が停止される(ST113)。
ここで、出力パターンと予め記憶された出力パターンとの比較による時分針車の位置検出処理は、3種類のパターンのいずれかに合わせることにより行われる。
図22は、図1に示した電波修正時計の検出光の出力パターンを説明するための図である。
すなわち、分針車134によるフォトトランジスタの出力パターンは、図22(a)に示すように、遮光部が作用するオフの幅として、2つの幅狭のB部と1つの幅広のA部とが交互に現れるようなパターンとなり、また、時針車136によるフォトトランジスタの出力パターンは、図22(b)に示すように、遮光部が作用するオフの幅が3種類のD部、E部、C部が所定間隔をおいて交互に現れるようなパターンとなり、両者を合成した出力パターンは、図22(c)に示すように、D部,B部およびA部が組み合わされたパターンと、E部,B部およびA部が組み合わされたパターンと、C部,B部およびA部が組み合わされたパターンの3種類が所定の間隔をおいて現れるパターンとなる。
なお、図22に示すパターンのうちオンとなるパターンの部分は、実際には3番車133の遮光部によりオフとなる部分があるので、歯抜け状のパターンとなっている。
また、たとえば分針車134および時針車136の基準位置として、図22に示すように、0時00分、4時00分、および8時00分の位置に設定されている。
D部,B部およびA部の組み合わせからなるパターンが確認されたときをたとえば4時00分、E部,B部およびA部の組み合わせからなるパターンが確認されたときをたとえば8時00分、C部,B部およびA部の組み合わせからなるパターンが確認されたときを、たとえば12時00分として予め設定しておけば、これらのパターンのいずれかを検出したときに、時分針用ステッピングモータ131を停止させることで、分針車134および時針車136すなわち分針および時針を所定の時刻に時刻修正することができる。
そして、時分針用ステッピングモータ131を停止させた後、制御回路14によるドライブ信号DR2がハイレベルに切り換えられる。
これにより、ドライブ回路18のトランジスタQ2がオフし、発光ダイオードの発光が停止され(ST114)、時刻修正動作を終了する。
また、剣付けモードの際に、時分針車の原点検索処理が短くなるような出荷位置TS、本実施形態では10時30分に設定する場合を図22を参照しながら説明する。
たとえばユーザが外部電源201を投入すると、制御回路14は、位相合わせ処理、秒針原点検索処理、分針原点検索処理、および時刻合わせ処理を行う。出荷位置TSとして10時30分に設定した場合、図22に示したように、出荷位置TSから秒針車および時分針車を駆動させて検出光を貫通させた後、時分針を止めて秒針原点検索を行う。その後時分針車を回転させて、光センサ部140でC部を検出することで、略12時の位置であることを検出し、B部およびA部を検出した時点で停止させることにより、時分針が所定の基準位置12時00分に設定される。
たとえば、この10時30分の位置は、時分針車を基準位置に設定する際に原点検索処理を行う際に、参照される必要最小限必要なオンオフパターンを検出する位置である。この位置に出荷時の指針を設定することにより、原点検索処理の時間が最も短い。
図23は、図1に示した電波修正時計の全体の動作を説明するためのフローチャートである。図23を参照しながら、電波修正時計1の全体の動作を説明する。
たとえば、40kHzまたは60kHzの標準時刻電波信号と、2局のAMラジオ放送局、たとえば東京NHK第1放送JOAKまたは大阪NHK第1放送JOBKを受信するように設定されているとする。
ステップST201において、初期時に制御回路14は、制御信号CTL1130を出力して長波受信回路1130を受信オン状態にして、標準時刻電波信号を受信させる。
この際、たとえば標準時刻電波信号の受信周波数を切り替えさせる制御信号CTL1123を出力して、標準電波周波数切替部1120に受信周波数を40kHzまたは60kHzに切り替えさせて、受信状態の良いほうの標準時刻電波信号を受信する。
詳細には、まず制御回路14は、周波数40kHzの標準時刻電波信号を受信させる制御信号CTL1123を標準電波信号切替部1212に出力する。標準電波信号切替部1213は、その制御信号CTL1123が入力されると、端子Taと端子Tbを接続して、共振周波数を40kHzに設定する。長波受信回路1130では、フェライトバーアンテナ1110で受信した40kHzの標準時刻電波信号に基づいてデコードを行い、標準時刻情報を信号S1130として制御回路14に出力する。
たとえば、制御回路14は、正常に標準時刻情報をデコードできない場合には、周波数60kHzの標準時刻電波信号を受信させる制御信号CTL1123を標準電波信号切替部1212に出力する。標準電波信号切替部1213は、その制御信号CTL1123が入力されると、端子Taと端子Tbを非導通状態に設定して、共振周波数を60kHzに設定する。長波受信回路1130では、フェライトバーアンテナ1110で受信した60kHzの標準時刻電波信号に基づいてデコードを行い、標準時刻情報を信号S1130として制御回路14に出力する。
2つの周波数の切り替え方法は、上述した形態に限られるものではない。予め2つの周波数の標準時刻電波信号を受信して、受信状態の良いほうの周波数に設定してもよい。
ステップST202において、制御回路14は、長波受信回路1130から出力された信号S1130を基に、内部時計1401の時刻情報を修正する。この際、内部時計1401に、標準時刻情報として年情報、曜日情報、時情報、分情報、秒情報が設定される。
ステップST203において、制御回路14は、内部時計1401が計時する標準時刻情報に基づいて表示部20、たとえば上述したように秒針指針系120、分針駆動系130を駆動させて指針による表示時刻、およびディスプレイ30の表示時刻を修正させる。
ステップST204において、制御回路14は、内部時計1401が計時する標準時刻情報(時刻情報ともいう)に基づいて、予め設定された時刻(設定時刻)であるか否かが判別される。制御回路14は、たとえば設定時刻でないと判別した場合には、秒針駆動系120および時分針駆動系130を駆動させて指針による時刻表示を進める。
一方、ステップST204において、制御回路14は、内部時計1401が計時する標準時刻情報(時刻情報ともいう)に基づいて、設定時刻であると判別した場合には、時刻修正を行う。ステップST205に進む。
ステップST205において、制御回路14は、標準時刻電波信号の受信状態が良好であるか否かが判別される。この際、たとえば上述したように、40kHzおよび60kHzの標準時刻電波信号の受信状態が良好であるか否かが判別される。
ステップST205において、制御回路14は、受信状態が良好でなく正常に標準時刻情報をデコードできない場合には、内部時計1401が計時する時刻情報に基づいてAMラジオ放送電波を受信するタイミング制御を行う(ST206)。
制御回路14は、受信タイミング制御として、たとえば内部時計1401が計時する時刻情報を基に毎正時を含む所定時間、たとえば毎正時の数10秒前からAMラジオ放送電波を受信させる制御信号CTL1150をAMラジオ受信回路1150に出力する。
通常、水晶時計は月差数10秒の精度なので、上述したようにラジオ放送電波の受信を開始すれば確実に時報情報を受信することができる。
本実施形態では、2つの周波数のAMラジオ放送電波を選択して受信できるので、制御回路14は、受信状態の良いほうのAMラジオ放送電波を受信させるように制御信号CTL1143を出力して、AMラジオ放送電波の受信周波数を設定する。
する。
AMラジオ受信回路1150は、受信オン状態を示す制御信号CTL1150が入力されると、フェライトバーアンテナ1110で受信されたAMラジオ放送電波を基にアンプ1151で増幅し、水晶フィルタ部1152でフィルタリングを行い、検波回路1153で検波を行い、信号S1150を出力する。フィルタ部1160は信号S1150を基に時報情報のみを信号S1160として制御回路14に出力する(ST207)。
この際、AMラジオ放送電波と、標準時刻電波信号の周波数は、10倍程度差があるのでフェライトバーアンテナ1110で共通に受信したとしても略無干渉である。
制御回路14は、信号S1160を基に、たとえば周波数880Hzの立ち上がりを検出し、その立ち上がり時間を毎正時(00分00秒)とする。この際、内部時計1401では標準時刻電波信号に基づいて時刻情報として年情報、月情報、日情報、時情報、分情報が計時されているので、制御回路14は、時報情報を基に秒情報を修正する(ST208)。
ステップST209において、制御回路14は、内部時計1401が計時する時刻情報を基に、秒針駆動系120を駆動して、表示時刻を修正する。ステップST204に進む。
一方、ステップST205において、制御回路14は、標準時刻電波信号の受信状態が良好であると判別した場合には、フェライトバーアンテナ1110を介して長波受信回路1130が受信した標準時刻電波信号を基に、内部時計1401が計時する時刻情報を修正し(ST210,ST211)、上述したように内部時計1401が計時する時刻情報を基に、秒針駆動系120および時分針駆動系130を駆動して、指針による表示時刻を修正し(ST212)、ステップST204に戻る。
以上説明したように、内部時計1401と、時刻表示を行う表示部20と、標準時刻電波信号および所定時刻に時報情報を含む放送電波を受信可能なフェライトバーアンテナ1110と、複数の異なる標準電波の受信周波数を切り替える標準電波周波数切替部1120と、フェライトバーアンテナ1110で受信し、標準電波周波数切替部1120を介して入力された標準時刻電波信号を基に標準時刻信号を生成する長波(標準電波)受信回路1130と、フェライトバーアンテナ1110で受信した放送電波を基に時報情報を抽出するAMラジオ受信回路1150と、初期時に、長波(標準電波)受信回路1130が生成した標準時刻信号を基に内部時計1401が計時する時刻情報を修正し、設定時刻に長波(標準電波)受信回路1130による標準時刻電波信号の受信状態に応じて、長波(標準電波)受信回路1130が生成する標準時刻電波信号、またはAMラジオ受信回路1150が抽出した時報情報に基づいて内部時計1401が計時する時刻情報を修正し、内部時計1401が計時する時刻情報を基に表示部20による表示時刻を修正する制御回路14とを設けたので、標準時刻電波信号の受信環境がよくない場合であっても、ノイズに強いAMラジオ放送電波に含まれる時報情報により、時刻修正を行うことができる。
また、制御回路14は、予め設定された時刻に長波(標準電波)受信回路による標準時刻電波信号の受信状態が良好でない場合に、AMラジオ受信回路1150が生成する時報情報に基づいて、内部時計1401が計時する時刻情報を修正し、内部時計が計時する時刻情報を基に表示部20による表示時刻を修正するので、標準時刻電波信号の受信環境がよくない場合であっても、時刻修正を行うことができる。
また、標準時刻電波信号および放送電波を共通のフェライトバーアンテナ1110により受信するので、AMラジオ放送電波を受信するために、新たにアンテナを設ける必要がなく、アンテナ部を小型化することができる。
また、アンテナ部は、複数の異なる標準電波の受信周波数を設定可能な標準電波周波数切替部1120を設け、制御回路14が標準時刻電波信号の受信状態に基づいて標準電波周波数切替部1120に受信状態の良好な周波数を設定させるので、受信状態の良好な標準時刻電波信号を受信することができる。
また、放送電波は、時報情報として、少なくとも毎正時に同期した予め設定された周波数の正時信号を含み、AMラジオ受信回路1150は、放送電波を基に周波数の正時信号を抽出する水晶フィルタ部1152を含み、制御回路14は、水晶フィルタ部1152が抽出した正時信号を基に内部時計1401が計時する時刻情報を修正するので、放送電波中にノイズがあった場合でも時報情報を基に時刻修正を行うことができる。
なお、本発明は本実施形態に限られるものではなく、任意好適な種々の変更が可能である。
本実施系形態では、表示部20として指針によるアナログ式の時刻表示を行ったがこの形態に限られるものではない。たとえば液晶表示装置等のデジタル式の時刻表示を行う表示部を設けてもよい。
また、標準時刻電波信号を受信して時刻修正を行う設定時刻と、時報情報を含む放送電波を受信して時刻修正を行う設定時刻は、上述した形態に限られるものではない。
また、AMラジオ受信回路が受信するAMラジオ放送局は、上述した形態に限られるものではない。
1…電波修正時計、11…電波受信系、12…時刻修正スイッチ、13…発振回路、14…制御回路、15…ドライブ回路、16…発光素子、17…バッファ回路、18…ドライブ回路、20…表示部、100…時計本体部(機械機構:ムーブメント)、111…下ケース、112…上ケース、113…中板、114…ラジオ放送周波数切替部、115…AMラジオ受信回路、116…フィルタ、120…第1駆動系(秒針駆動系)、121…秒針用モータ(第一駆動源)、122…第1の5番車(第一伝達歯車、第一検出用歯車)、123…秒針車(第2検出用歯車、第一指針車)、126…6番車、127…7番車、130…第2駆動系(時分針駆動系)、131…時分針用モータ(第2駆動源)、132…第2の5番車、133…3番車、134…分針車(第2指針車)、135…日の裏車、136…時針車(第2指針車)、140…光検出センサ、142…発光素子、143…回路基板、144…受光素子、150…手動修正系、151…手動修正軸、1101…フェライトバーアンテナ、1120…標準電波周波数切替部、1130…長波(標準電波)受信回路、1151,1154…アンプ、1157,1152…水晶フィルタ部、1153,1158…検波回路、1155…局部発振回路、1156…周波数変換回路、1401…内部時計、1402…メモリ。