JP2005098484A - 流体封入式筒型防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 流体室内でインナ軸部材側からアウタ筒部材に向かって突出するストッパ部を設けた場合でも、本体ゴム弾性体における亀裂の発生を抑えて耐久性を改善することの出来る、新規な構造の流体封入式筒型防振装置を提供することにある。
【解決手段】 ストッパブロック22の少なくともポケット部40から突出する基端部分を矩形断面形状としてその四角部分58に角部面取を形成すると共に、ストッパブロック22を緩衝ゴム層62で被覆して形成されたストッパ部64の少なくともポケット部40から突出する基端部分における四角部分66に対して各辺方向に2mm以上の長さに亘る角部面取を設けることにより、ポケット部40の底面44の四隅部分60に対向位置するストッパ部64の四角部分66を略平坦面とした。
【選択図】 図3
【解決手段】 ストッパブロック22の少なくともポケット部40から突出する基端部分を矩形断面形状としてその四角部分58に角部面取を形成すると共に、ストッパブロック22を緩衝ゴム層62で被覆して形成されたストッパ部64の少なくともポケット部40から突出する基端部分における四角部分66に対して各辺方向に2mm以上の長さに亘る角部面取を設けることにより、ポケット部40の底面44の四隅部分60に対向位置するストッパ部64の四角部分66を略平坦面とした。
【選択図】 図3
Description
本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果を発揮する筒型防振装置に係り、特に優れた耐久性が発揮されて、例えば自動車のエンジンマウント等として好適に用いられ得る、新規な構造の流体封入式筒型防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、防振連結される各一方の部材に取り付けられるインナ軸金具とアウタ筒金具を本体ゴム弾性体で連結した筒型防振装置が知られている。特に、本体ゴム弾性体の外周面に開口するポケット部を複数形成し、それら複数のポケット部をアウタ筒金具で覆蓋することによりそれぞれ非圧縮性流体が封入された複数の流体室を形成すると共に、それら複数の流体室をオリフィス通路で相互に連通せしめた流体封入式の筒型防振装置は、所定周波数域で非常に優れた防振効果を発揮することから、例えば自動車用のエンジンマウント等への適用が進められている。
ところで、流体封入式の筒型防振装置では、過大な径方向外力が及ぼされた際のインナ軸金具とアウタ筒金具の相対変位量を緩衝的に制限するために、一般にストッパ機構が設けられている。かかるストッパ機構は、防振装置の大型化を回避するために、特許文献1に開示されているように、流体室の内部においてインナ軸部材からアウタ筒部材に向かって所定高さで突出形成されている。また、多くのストッパ機構においては、耐荷重強度を確保するために、インナ軸部材から突出する硬質のストッパブロックが設けられている。加えて、ストッパブロックのアウタ筒部材への当接時における衝撃や打音を軽減するために、ストッパブロックの表面には緩衝ゴム層が被着形成されている。また、この緩衝ゴム層は、一般に、ストッパブロックの外周面や突出先端面を含む表面全体を覆うようにして形成されていると共に、流体室の底壁部において流体室の周壁部を形成する本体ゴム弾性体と接続されており、本体ゴム弾性体と一体形成されている。
しかしながら、本発明者が検討したところ、このようなストッパ機構を採用すると流体室の周壁部を形成する本体ゴム弾性体に亀裂が発生し易く、それが流体室からの液漏れの原因となることから、充分な耐久性を得ることが難しいことが明らかとなった。特に自動車用エンジンマウントのコンパクト化のために流体室の容積を小さくした場合に、耐久性の低下が顕著であるという事実も明らかとなったのである。
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、流体室内でインナ軸部材からアウタ筒部材に向かって突出するストッパ部を設けた場合でも、本体ゴム弾性体における亀裂の発生を抑えて耐久性を改善することの出来る、新規な構造の流体封入式筒型防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
はじめに、従来構造の流体封入式筒型防振装置における亀裂の発生に対処するために、本発明者は、液漏れが発生したものについて検討したが、亀裂は液室内部から発生して成長するものであることから、その発生場所や成長過程を明確に特定することは困難であった。そこで、当初は、外観上で弾性変形が大きい流体室の周方向両側の壁部中央から亀裂が発生しているものと推定して、いろいろな対策を行ってきたが充分な効果を得るには至らなかった。なお、ストッパ部の断面積を小さくすると本体ゴム弾性体における亀裂の発生が抑えられて耐久性の向上には有効であることが確認できたが、それではストッパ部の耐荷重性能が低下してしまうことから実用的ではないのである。
そこで、本発明者は、従来構造の流体封入式筒型防振装置について有限要素法による応力解析を実施した。その結果、従来では耐久性等の観点からは全く考慮されていなかった、ポケット部の底壁部において、注目すべき結果が新たに見出されたのである。即ち、ポケット部の底壁部は、ストッパ部の緩衝ゴム層を本体ゴム弾性体と一体形成するためにそれら緩衝ゴム層と本体ゴム弾性体の接続部分として形成されるものであって、インナ軸部材の表面に固着されていることから殆ど考慮されていなかったが、特に筒型防振装置のサイズが小さくなってくると、この底壁部における応力や歪の分布に関して局所的な偏りが認められることが明らかとなったのである。
すなわち、従来構造の流体封入式筒型防振装置における流体室の底壁部の応力解析から、底壁部にも顕著な応力分布が存在し、特に略矩形状とされた底壁部のうちの対角線方向で応力集中が発生していることが明らかとなったのである。また、この結果に基づけば、流体室の周壁部において応力や歪が最も大きくなるのは、ゴム弾性体の弾性変形が外観上で最も大きくなり易い周方向両側の壁部の中央部分ではなく、周方向の側壁部と軸方向の側壁部とが接続されたコーナー部分において底壁部と接続された基端部分であると推定されるのである。なお、このような応力や歪の集中は、流体室の周方向両側の壁部の弾性変形と、流体室の軸方向両側の壁部の弾性変形の合成に起因するものと考えられる。
(本発明の態様1)
而して、本発明は、このようにして本発明者によって得られた新たな知見に基づいて完成されたものであって、本発明の態様1の特徴とするところは、インナ軸部材とその外周側に離隔配置されたアウタ筒部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体の外周面に開口するポケット部を周方向で相互に離隔して複数形成し、それら複数のポケット部を該アウタ筒部材で覆蓋することによりそれぞれ非圧縮性流体が封入された複数の流体室を形成すると共に、それら複数の流体室を相互に連通するオリフィス通路を設ける一方、該インナ軸部材から軸直角方向に突出する硬質のストッパブロックを前記複数のポケット部の少なくとも一つにおける底面の中央から所定高さで突設させて、該ストッパブロックを該本体ゴム弾性体と一体形成された緩衝ゴム層で被覆することにより、該アウタ筒部材への当接によって該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸直角方向における相対的変位量を制限するストッパ部を構成した流体封入式筒型防振装置において、前記ストッパブロックの少なくとも前記ポケット部から突出する基端部分を矩形断面形状としてその四角部分に角部面取を形成すると共に、該ストッパブロックを前記緩衝ゴム層で被覆して形成された前記ストッパ部の少なくとも前記ポケット部から突出する基端部分における四角部分に対して各辺方向に2mm以上の長さに亘る角部面取を設けて、かかる四角部分を略平坦面とした流体封入式筒型防振装置にある。
而して、本発明は、このようにして本発明者によって得られた新たな知見に基づいて完成されたものであって、本発明の態様1の特徴とするところは、インナ軸部材とその外周側に離隔配置されたアウタ筒部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体の外周面に開口するポケット部を周方向で相互に離隔して複数形成し、それら複数のポケット部を該アウタ筒部材で覆蓋することによりそれぞれ非圧縮性流体が封入された複数の流体室を形成すると共に、それら複数の流体室を相互に連通するオリフィス通路を設ける一方、該インナ軸部材から軸直角方向に突出する硬質のストッパブロックを前記複数のポケット部の少なくとも一つにおける底面の中央から所定高さで突設させて、該ストッパブロックを該本体ゴム弾性体と一体形成された緩衝ゴム層で被覆することにより、該アウタ筒部材への当接によって該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸直角方向における相対的変位量を制限するストッパ部を構成した流体封入式筒型防振装置において、前記ストッパブロックの少なくとも前記ポケット部から突出する基端部分を矩形断面形状としてその四角部分に角部面取を形成すると共に、該ストッパブロックを前記緩衝ゴム層で被覆して形成された前記ストッパ部の少なくとも前記ポケット部から突出する基端部分における四角部分に対して各辺方向に2mm以上の長さに亘る角部面取を設けて、かかる四角部分を略平坦面とした流体封入式筒型防振装置にある。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式の筒型防振装置にあっては、応力集中が発生し易いことが新たに見出された、流体室の周壁部のコーナー部分の基端部において、ゴム弾性体で形成された底壁部が連接されていることにより、この底壁部の弾性に基づいて発生応力や歪の分散が図られることとなる。しかも、略矩形状とされた底壁部の対角線方向では、ストッパ部に形成された角面取によって底壁部の自由長が大きく確保されていることから、かかる底壁部の弾性に基づく応力や歪の分散が一層有利に発揮されて、周壁部のコーナー部分の耐久性の向上がより効果的に達成され得る。
また、ストッパ部は、矩形状断面を基本形状として、その角部だけが面取されていることから、底壁部の対角線方向における自由長を充分に確保して応力や歪の分散を図りつつ、有効断面積を効率的に大きく設定することが可能となる。それ故、周壁部の耐久性を充分に確保しつつ、ストッパ部の耐荷重性能も有利に確保され得るのである。
(本発明の態様2)
本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の前記態様1に係る流体封入式筒型防振装置において、前記ストッパ部を突出方向の全長に亘って略一定の断面形状をもって形成したことにある。
本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の前記態様1に係る流体封入式筒型防振装置において、前記ストッパ部を突出方向の全長に亘って略一定の断面形状をもって形成したことにある。
このような本態様においては、本体ゴム弾性体と緩衝ゴム層を一体的に成形する成形金型の型合わせ方向を、ストッパ部の突出方向に設定することにより、かかる成形金型の構造を簡略にすることが出来、本体ゴム弾性体と緩衝ゴム層を容易に成形することが可能となるのである。
(本発明の態様3)
本発明の態様3の特徴とするところは、本発明の前記態様1又は2に係る流体封入式筒型防振装置にあって、前記ストッパ部の突出方向において、前記インナ軸部材の外周面から前記ストッパ部が突設された前記ポケット部の底面までの前記本体ゴム弾性体の肉厚寸法を3mm以上としたことにある。
本発明の態様3の特徴とするところは、本発明の前記態様1又は2に係る流体封入式筒型防振装置にあって、前記ストッパ部の突出方向において、前記インナ軸部材の外周面から前記ストッパ部が突設された前記ポケット部の底面までの前記本体ゴム弾性体の肉厚寸法を3mm以上としたことにある。
このような本態様においては、インナ軸部材の外周面からポケット部の底面までの本体ゴム弾性体で形成されたポケット部の底壁部の肉厚寸法が有効に確保されることとなり、底壁部の弾性変形がインナ軸部材での拘束下でも有効に許容されることとなり、かかる底壁部への力の分散に基づいて、流体室の周壁部における応力や歪が一層効果的に軽減されることから、目的とする耐久性の向上がより有効に実現され得るのである。
(本発明の態様4)
本発明の態様4の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至3の何れかに係る流体封入式筒型防振装置にあって、装着状態下において前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の間に前記ストッパ部の突出方向の静的な初期荷重が及ぼされるようになっていることにある。
本発明の態様4の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至3の何れかに係る流体封入式筒型防振装置にあって、装着状態下において前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の間に前記ストッパ部の突出方向の静的な初期荷重が及ぼされるようになっていることにある。
このような本態様が対象とする筒型防振装置は、装着状態下で及ぼされる初期荷重によって流体室の周壁部を構成する本体ゴム弾性体に対して弾性変形が継続的に生ぜしめられることから、流体室の周壁部の四隅部分における耐久性が大きな問題となり易い。そこにおいて、本発明を適用することにより、本体ゴム弾性体の応力や歪の分散が図られることから、耐久性の向上効果が極めて有効に享受され得ることとなるのである。
(本発明の態様5)
本発明の態様5の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至4の何れかに係る流体封入式筒型防振装置において、前記ポケット部の底面を略矩形状として、該底面の四隅部分を前記ストッパ部において前記角部面取が設けられた四角部分に対して対向位置せしめたことを、特徴とする。
本発明の態様5の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至4の何れかに係る流体封入式筒型防振装置において、前記ポケット部の底面を略矩形状として、該底面の四隅部分を前記ストッパ部において前記角部面取が設けられた四角部分に対して対向位置せしめたことを、特徴とする。
流体室の周壁部を構成する本体ゴム弾性体において応力や歪が集中し易い領域は、流体室の周方向両側壁部と軸方向両側壁部が接続されるコーナー部分の基端部となると考えられる。そこで、本態様においては、流体室の底壁部を略矩形状として、その四隅部分とストッパ部の角部面取が施された四角部分とを対向位置せしめたことにより、底壁部において、流体室の周壁部におけるコーナー部分の基端部からストッパ部の四角部分にまで至る距離、即ち底壁部の自由長を一層大きく設定することが出来るようになる。それにより、流体室の周壁部におけるコーナー部分の基端部に集中的に作用する応力や歪を、そこに連接形成された底壁部の弾性変形によって、一層有利に分散,軽減することが出来るのであり、耐久性の向上効果がより効果的に発揮され得るのである。
上述の説明から明らかなように本発明に従う構造とされた流体封入式筒型防振装置においては、特定形状のストッパ部を採用したことにより、底壁部の弾性変形による応力分散を利用して、集中的な応力や歪の発生を軽減せしめつつ、ストッパ部の耐荷重強度を有利に確保することが可能となったのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1〜2には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。かかるエンジンマウント10においては、インナ軸部材としての内筒金具12とアウタ筒部材としての外筒金具14が、互いに径方向に所定距離を隔てて且つ所定量だけ偏心して配設されていると共に、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって連結しており、図示しないパワーユニットおよびボデーの各一方に取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、エンジンマウント10の装着状態下では、パワーユニット重量が、図1,2中の略上下方向に及ぼされて本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられることにより、内筒金具12と外筒金具14が略同一中心軸上に位置せしめられると共に、パワーユニット重量の入力方向と略同じ方向に、主たる振動荷重が入力されることとなる。
より詳細には、内筒金具12は、厚肉の略円筒形状を有している。また、内筒金具12の外周面上には、ブロック18が固着されている。このブロック18は、略中央部分に形成された取付孔20において内筒金具12に外挿状態で固着されており、内筒金具12の軸方向中央部分において、軸直角方向一方向で互いに反対に向かって突出するバウンドストッパブロック22とリバウンドストッパブロック24を一体的に備えている。このストッパブロックとしてのバウンドストッパブロック22は、内筒金具12の略軸方向中央部分から軸直角方向一方(図1中、上)に向かって延びる略柱形状とされている。このようなブロック18は、例えば、内筒金具12をセットした成形キャビティに合成樹脂材料を充填することによって、成形と同時に内筒金具12に組み付けられるようにされる。なお、ブロック18を形成する合成樹脂材料としては、例えば繊維補強したポリアミド樹脂等の周知の適当なものが採用可能である。
また、内筒金具12の径方向外方には、金属スリーブ26が径方向に所定距離を隔てて且つ所定量だけ偏心して、内筒金具12の周りを取り巻くように配設されている。金属スリーブ26は、全体として薄肉の略大径円筒形状を有しており、その軸方向中央部分には、周方向に半周以上の長さで広がる第一の窓部28と第二の窓部30が径方向一方向で対向位置して形成されている。また、金属スリーブ26において第一の窓部28と第二の窓部30の周方向両端部間に位置する連結部32,32は、軸方向中央部分が径方向内方に僅かに凹陥されて小径化されており、それによって、第一の窓部28と第二の窓部30の周方向両端部間に跨って周方向に延びる幅広の周溝34,34が形成されている。換言すれば、金属スリーブ26は、軸方向に所定距離を隔てて同一中心軸上に配設された一対のリング状部36,36が、一対の連結部32,32によって一体的に連結された構造とされているのである。
さらに、内筒金具12と金属スリーブ26の間には、本体ゴム弾性体16が介装されている。この本体ゴム弾性体16は、全体として厚肉の略円筒形状を有しており、その内周面が内筒金具12の外周面に、その外周面が金属スリーブ26の内周面に、それぞれ加硫接着されている。これにより、図3にも示されているように、本体ゴム弾性体16は、内筒金具12および金属スリーブ26を一体的に備えた一体加硫成形品38として形成されている。
更にまた、本体ゴム弾性体16には、内筒金具12と金属スリーブ26の偏心方向一方の側(偏心方向における離隔距離の大なる側である、図1中、上側)に第一のポケット部40が設けられており、金属スリーブ26の第一の窓部28を通じて外周面に開口していると共に、内筒金具12と金属スリーブ26の偏心方向他方の側(偏心方向における離隔距離の小なる側である、図1中、下側)に第二のポケット部42が設けられており、金属スリーブ26の第二の窓部30を通じて外周面に開口している。これら第一のポケット部40や第二のポケット部42は、略平面視矩形状を呈している。また、このことからも明らかなように、第一のポケット部40を構成する底壁部44や周壁部46、第二のポケット部42を構成する底壁部48や周壁部50が、本体ゴム弾性体16により構成されている。
また、金属スリーブ26における連結部32,32の周溝34,34には、本体ゴム弾性体16と一体形成されたシールゴム層52,52が充填されている。更に、これらシールゴム層52,52には、第一のポケット部40と第二のポケット部42の開口部間に跨って延びる凹溝54が、それぞれ、形成されている。凹溝54は、所定の幅寸法をもって周方向に延びて、シールゴム層52の外周面に開口しており、その一方の端部が第一のポケット部40の開口部に接続されていると共に、他方の端部が第二のポケット部42の開口部に接続されている。これにより、第一のポケット部40と第二のポケット部42の両開口部が、一対の凹溝54,54を通じて接続されている。
また、第二のポケット部42の底壁部48を構成する本体ゴム弾性体16には、軸方向に貫通して延びる肉抜孔56が、底壁部48の略全体に亘って設けられている。これにより、第二のポケット部42の底壁部48が薄肉とされて、変形容易な可撓性膜乃至はダイヤフラムとして構成されている。更にまた、肉抜孔56の周方向中央部分には、内筒金具12側から径方向外方に向かってリバウンドストッパブロック24が突設されている。なお、リバウンドストッパブロック24には、その外表面を覆うようにして、被覆ゴム層が、本体ゴム弾性体16と一体的に形成されて加硫接着されている。また、リバウンドストッパブロック24の軸方向両端部分が、軸方向中央部分よりも径方向外方に突出せしめられて、肉抜孔56を挟んで金属スリーブ26のリング状部36,36に対して所定距離を隔てて対向位置せしめられている。
さらに、第一のポケット部40の内部には、その底壁部44の中央からバウンドストッパブロック22が突設されている。ここにおいて、バウンドストッパブロック22は、内筒金具12の外周面から軸直角方向外方(図1,2中、上方)に向かって所定高さで延びて、底壁部44の上端面の中央から第一のポケット部40内に突設されていると共に、突出方向の全長に亘って略一定の矩形断面形状をもって形成されている。また、本実施形態では、底壁部44がゴム弾性体で形成されており、この底壁部44を厚さ方向に貫通してバウンドストッパブロック22が突設されている。これにより、第一のポケット部40の底面となる底壁部44の表面が、バウンドストッパブロック22の突出方向中間部分から突出方向に略直交する方向に広がるような略平坦形状をもって形成されている。
また、バウンドストッパブロック22における四角部分、換言すれば4つの角部58,58,58,58には、突出方向の全長に亘って角部面取が形成されている。特に本実施形態では、角部面取が、バウンドストッパブロック22の縦辺方向(図3中、上下)と横辺方向(図3中、左右)に同一の長さに亘って設けられている。それによって、バウンドストッパブロック22の角部58が、突出方向の全長に亘って平坦面とされている。なお、このことからも明らかなように、本実施形態では、バウンドストッパブロック22が突出方向の全長に亘って略一定の矩形断面形状とされ、且つ各角部58に角部面取が形成されていることにより、バウンドストッパブロック22における第一のポケット部40から突出する基端部分が、矩形断面形状とされていると共に、該基端部分の各角部58が平坦面とされている。而して、このような基端部分の各角部58が、第一のポケット部40において略平面視矩形状を呈する底壁部44の各隅部60と軸直角方向で対向位置せしめられている。
更にまた、バウンドストッパブロック22には、緩衝ゴム層62が被着されている。この緩衝ゴム層62は、本体ゴム弾性体16と一体形成されていると共に、四角部分58を含むバウンドストッパブロック22の外周面の全体に亘って略一定の厚さ寸法で加硫接着されている。本実施形態では、第一のポケット部40内に突設されたブロック18のバウンドストッパブロック22と該バウンドストッパブロック22を被覆する緩衝ゴム層62を含んで、ストッパ部としてのバウンドストッパ部64が構成されている。即ち、かかるバウンドストッパ部64は、第一のポケット部40における底壁部44中央から外周側開口部に向かって所定高さで突出している。また、バウンドストッパ部64は、前述の如き形状を有するバウンドストッパブロック22の外周面に略一定厚さの緩衝ゴム層62が被覆された構造とされていることにより、バウンドストッパブロック22よりも一回り大きな形状とされている。従って、バウンドストッパ部64の4つの角部66,66,66,66は、各角部66に角部面取が形成されていることによって、突出方向の全長に亘って平坦面とされている。また、各角部66の基端部分が底壁部44の各隅部60と軸直角方向で対向位置せしめられている。特に本実施形態では、バウンドストッパ部64の角部面取における縦辺方向(図3中、上下)に延びる長さ:l1 と横辺方向(図3中、左右)に延びる長さ:12 (mm)が同一とされている。なお、これらl1 や12 の値は、特に限定されるものでないが、本実施形態では、l1 (12 )=2mm以上、好適にはl1 (12 )=3mm以上とされている。
また、図3からも明らかなように、第一のポケット部40を構成する周壁部46は、バウンドストッパ部64が突設された底壁部44を挟んで、周方向で対向位置せしめられた一対の周方向側壁部46a,46aと、軸方向で対向位置せしめられた一対の軸方向側壁部46b,46bとを含んで構成されている。また、内筒金具12側における周方向側壁部46aの基端部分と軸方向側壁部46bの基端部分は、第一のポケット部40における底壁部44の隅部60とバウンドストッパ部64における角部66の対向面間乃至は対向面間付近において、相互に接続されている。なお、第一のポケット部40の周方向側壁部46aは、内筒金具12だけでなくバウンドストッパ部64にも直接に加硫接着されている。また、該周方向側壁部46aの内面は、バウンドストッパ部64の突出方向中間部分から直接的に延び出している。
さらに、上述の説明から明らかなように、底壁部44は、内筒に被着された本体ゴム弾性体16で形成されている。この底壁部44は、バウンドストッパブロック22の基端部分の周囲には、内筒金具12の外周面から第一のポケット部40の底面に至る所定の厚さ寸法を有し、且つバウンドストッパブロック22の周囲を全体に亘って囲むようにして形成されている。そして、かかる底壁部44の肉厚寸法:t(図1参照)が、t=3mm以上に、好適にはt=6mm以上に設定されている。なお、底壁部44は、第一のポケット部40の周壁部を構成する周方向側壁部46a,46aと軸方向側壁部46b,46bの接続部分となる4つのコーナー部分の各基端部(各隅部)60と、それに対向位置せしめられたバウンドストッパ部64の四角部66の対向面間に亘って、それらを接続するようにして形成されている。また、かかる底壁部44は、それら第一のポケット部40の周壁部におけるコーナー部分の基端部60とバウンドストッパ部64の四角部66との対向面間の距離が、バウンドストッパ部64に形成された角部面取で大きく設定されており、大きな変形自由度が付与されている。
そして、図1〜2に示されているように、このような構造とされた一体加硫成形品38には、大径の略円筒形状を有する外筒金具14が外嵌されており、その後に外筒金具14が絞り加工されて金属スリーブ26に嵌着固定されている。これにより、第一のポケット部40の外周側開口と第二のポケット部42の外周側開口が、それぞれ、外筒金具14で覆蓋されている。以て、一体加硫成形品38の軸直角方向一方向において、内筒金具12を挟んだ一方には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16によって構成されて振動入力時に内圧変動が惹起される受圧室70が形成されていると共に、他方には、壁部の一部が変形容易な底壁部48によって構成されて該底壁部48の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室72が形成されている。更に、一対の凹溝54,54が外筒金具14で覆蓋されることにより、外筒金具14と凹溝54,54が協働して一対のオリフィス通路74,74が形成されている。それによって、受圧室70と平衡室72が、一対のオリフィス通路74,74を通じて相互に連通されている。なお、外筒金具14の内周面には、略全体に亘って薄肉のシールゴム層76が被着形成されている。
また、これら受圧室70や平衡室72、オリフィス通路74,74には、水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されている。なお、本実施形態では、受圧室70と平衡室72によって、オリフィス通路74,74で相互に連通せしめられた二つの流体室が構成されている。また、これら受圧室70や平衡室72に封入される流体の粘度等は、特に限定されるものでなく、要求されるマウント防振特性等に応じて適宜に決定されるが、オリフィス通路74,74を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果を有利に得るためには、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。また、非圧縮性流体の封入は、例えば一体加硫成形品38に対する外筒金具14の組み付けを流体中で行うこと等によって有利に為され得る。
このような構造とされたエンジンマウント10にあっては、内筒金具12が、その内孔78に挿通されるロッドやボルト等を介して、図示しないボデーとパワーユニットの何れか一方に固定される一方、外筒金具14が、それらボデーとパワーユニットの他方に設けられた装着孔に圧入等で固定されることにより、パワーユニットとボデーの間に介装されてパワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようにされる。なお、かかる装着状態下では、パワーユニットの分担支持荷重が及ぼされることにより、内筒金具12と外筒金具14の間にバウンドストッパ部64の突出方向の静的な荷重が及ぼされて、内外筒金具12,14が略同一中心軸上に位置せしめられることとなるが、内外筒金具12,14の偏心方向(図1,2中の上下方向)への振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づく内外筒金具12,14の相対変位が許容されるように、バウンドストッパ部64の突出先端面と外筒金具14の対向面間には所定量のクリアランスが確保されるようになっている。
而して、かかる装着状態下で振動が入力されると、受圧室70と平衡室72の間に相対的な圧力変動が惹起されることにより、それら両室70,72の間でオリフィス通路74,74を通じての流体流動が生ぜしめられることとなり、特に、オリフィス通路74がチューニングされた周波数域では、それらオリフィス通路74,74を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて優れた防振効果が発揮されることとなる。なお、オリフィス通路74,74のチューニングは、各凹溝54における長さと断面積を適宜に調節することによって行うことが可能であり、一般に、長さ:Lと断面積:Aの比の値:A/Lを大きくすることによって、オリフィス通路74,74を流動せしめられる流体の共振周波数を高周波数域に移行させることが可能となる。
そこにおいて、装着状態下で振動が入力されると、特にパワーユニットの分担支持荷重の入力方向であるバウンド方向に大きな振動荷重が入力された際に、第一のポケット部40の周壁部を構成する周方向側壁部46a,46aと軸方向側壁部46b,46bの接続部分となる4つのコーナー部分の各基端部60で応力集中が発生して、応力や歪が最も大きくなり易い傾向にあることが、本発明者の実験結果等により明らかにされているが、特に本実施形態では、それらコーナー部分の各基端部60に対して、本体ゴム弾性体16で一体形成された底壁部44が連続形成されている。そして、この底壁部44は、バウンドストッパ部64における面取形状の角部66によって、有効な自由長が設定されて大きな変形自由度が確保されている。従って、コーナー部分の各基端部60に生ぜしめられた大きな応力や歪が、底壁部44に分散されて軽減され得るのであり、その結果、受圧室70の周壁部において優れた耐久性能が発揮され得るのである。
加えて、本実施形態では、かかる底壁部44における肉厚寸法が大きく設定されることにより、より大きな変形自由度が付与されているのであり、それによって、本体ゴム弾性体における応力や歪の分散が一層有利に実現されて、より優れた耐久性が発揮されることとなる。
しかも、バウンドストッパ部64は、その四角部分を面取りするだけで、全体として有効な断面積を確保することが可能であり、それによって、ストッパ機構における耐荷重性能が有利に確保され得るのである。特に、本実施形態では、面取り形状とされた角部66を除いて第一のポケット部40の底面形状よりも一回り小さい矩形状の断面形状をもってバウンドストッパブロック22が突出形成されている。これにより、バウンドストッパ部64の基端部分には、その全周に亘って本体ゴム弾性体16からなる底壁部44が設けられており、バウンド方向の荷重入力時における周方向側壁部46a,46aや軸方向側壁部46b,46bの基端部分における応力が、かかる底壁部44に伝達されて分散されることにより、応力集中が一層効果的に回避されて耐久性の更なる向上効果が図られ得る。また、バウンドストッパブロック22も、突出方向の全長に亘って略一定の断面形状とされて直線的に形成されていることから、バウンド荷重が及ぼされた際にも大きな曲げモーメントの発生や局部的な応力集中が回避されて、ストッパ荷重強度も有利に確保され得るのである。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であり、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、前記実施形態に係るバウンドストッパ部64は、例示の如き構造や形状のものに限定されるものでなく、図4に示されるバウンドストッパ部80や図5に示されるバウンドストッパ部82を採用しても良いし、また、図6〜10に示されているバウンドストッパ部91を採用することも可能である。なお、以下に説明する本発明の別の実施形態において、前記実施形態と実質的に同一の構造とされた部材および部位については、図中に第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
具体的には、図4に示されるバウンドストッパ部80は、その角部66における面取り形状に関して、角部面取りの縦辺方向(図4中、上下)に延びる長さ:l3 をl3 =2mm以上に設定すると共に、横辺方向に延びる長さ:l4 をl4 =4mm以上で、且つl3 <l4 となるようにそれぞれ設定することによって、これら13 とl4 の長さを相互に異ならせている。これにより、バウンドストッパ部80が、突出方向の全長に亘って略一定の角取りされて略菱形断面形状をもって形成されている。
また、図5に示される如きバウンドストッパ部82は、その基端部から突出方向先端部付近における角部66において前記第一の実施形態と同様に角部面取が形成されていると共に、その突出方向先端部分に、傘状に広がる傘部材84が一体的に形成されている。
特に、図5に示されるバウンドストッパ部82を備えたエンジンマウントにおいては、受圧室70の周壁部46の変形に対して拘束作用が大きいバウンドストッパ部82の基端部では、角部面取が設けられていることに伴い該基端部を含む底壁部44における対角線方向の自由長を大きくして拘束作用を軽減することにより、周壁部46における応力集中とそれに起因する亀裂の発生を効果的に回避せしめ得る等という利点がある。一方、外筒金具14に当接するバウンドストッパ部82の先端面では、硬質のバウンドストッパ部82の面積を大きくして、単位面積当たりの当接荷重を軽減することにより、バウンドストッパ部82の特に緩衝ゴム層62における耐久性能をより一層向上させることが可能となる。
さらに、図6〜図8に示されたエンジンマウント92においては、バウンドストッパ部91を構成するバウンドストッパブロック90として鉄系金属やアルミニウム合金等の金属製のものが採用されている。かかるバウンドストッパブロック90は、第一の実施形態と同様に、四角部分が面取り状の角部58とされた略矩形の一定断面形状で直線的に突出形成されており、その外周面には略全面を覆うようにして緩衝ゴム層62が被着形成されている。
このような金属製のバウンドストッパブロック90を備えた本実施形態のエンジンマウント92においては、合成樹脂製のバウンドストッパブロック22を有する第一の実施形態に比して、バウンドストッパ部91における耐荷重強度を十分に確保しつつ、金属製のバウンドストッパブロック90の断面形状を合成樹脂製のバウンドストッパブロック22の断面形状に比べて小さくして細くすることができる。それ故、例えば受圧室70の軸方向の内法寸法(一対の軸方向側壁部46b,46bの対向面間距離)が小さい場合にも、強度や耐久性を有利に確保しつつ目的とするバウンドストッパ機構を形成することが可能となるのである。
なお、本実施形態では、バウンドストッパブロック90が、内筒金具12から軸直角方向に向かって突出する単体の矩形ブロック形状をもって形成されており、その基端部において、内筒金具12の外周面に対して直接に溶着されている。一方、リバウンドストッパ部96を構成するリバウンドストッパブロック94は、第一の実施形態と同様に適当な合成樹脂材料で形成されており、バウンドストッパブロック90と別体で内筒金具12に対して固着されている。なお、リバウンドストッパブロック94は、バウンドストッパブロック90に比して軸方向に長くされており、バウンドストッパブロック90を軸方向に挟んだ両側部分で、それぞれ、リバウンドストッパブロック94に一体形成された環状固定部97,97において、内筒金具12に対して嵌着固定されている。
このようなリバウンドストッパブロック94は、例えば、バウンドストッパブロック90を予め内筒金具12に対して溶着固定せしめたものを、本体ゴム弾性体16の加硫成形型の成形キャビティにセットして、かかる成形キャビティに対して、リバウンドストッパブロック94を形成する合成樹脂材料を射出成形することによって、有利に形成され得る。
なお、リバウンドストッパブロック94は、内筒金具12の軸方向両端部近くまで軸方向に延びだしており、その軸方向両端部分が軸方向中央部分よりも軸直角方向外方に大きく突出せしめられている。これにより、リバウンドストッパブロック94が、軸方向中間部分に形成された平衡室72の形成部位を避けて、軸方向両端部分において、外筒金具14の内周面に嵌め合わされた金属スリーブ26における一対のリング状部36,36に対して、軸直角方向で対向位置せしめられている。そして、バウンド方向と反対向きのリバウンド方向に大荷重が及ぼされた際には、リバウンドストッパブロック94が緩衝ゴム層を介してリング状部36,36に対して打ち当たることにより、リバウンド方向における内外筒金具12,14の相対的変位量が緩衝的に制限されるようになっている。
特に、本実施形態では、バウンドストッパブロック90に比して軸方向に大型とされたリバウンドストッパブロック94を合成樹脂材料で形成したことにより、エンジンマウント92全体の軽量化が図られ得る。特に、形状が複雑で大型のリバウンドストッパブロック94を合成樹脂製としたことにより、バウンドストッパブロック90を金属製として耐荷重強度を十分に確保しつつ、それを金属製とする場合に比して、製造が容易で製造コストも抑えることができるのである。
尤も、本実施形態においてもリバウンドストッパ部96は必須でなく、たとえ採用するに際しても、その構造は何等限定されるものでない。例えば、かかるリバウンドストッパ部96を構成する合成樹脂材料製のリバウンドストッパブロック94に代えて、図9および図10に示されているように、金属製のリバウンドストッパブロック98を採用しても良い。
このリバウンドストッパブロック98では、軸方向に延びる板状部100の両端部分において内筒金具12に向かって突出する一対の固定脚部102,102が一体形成されており、かかる一対の固定脚部102,102の突出先端部において内筒金具12の外周面に対して溶着されている。また、リバウンドストッパブロック98の表面は、上述のリバウンドストッパブロック94と同様に、本体ゴム弾性体16で一体形成された緩衝ゴム層で被覆されている。このような金属製のリバウンドストッパブロック98を採用することにより、ストッパ荷重強度の更なる向上を図ることができるのであり、特に本実施形態における略プレート構造のリバウンドストッパブロック98は、プレス加工等で容易に製造することが可能であって、製造作業が容易であると共にコスト的にも優れているといった利点がある。
また、前記実施形態では、第一のポケット部40における底壁部44の上端面が、略平面形状とされていたが、周方向に湾曲する湾曲形状とされていても良い。
さらに、前記実施形態に係るエンジンマウント10の複数の流体室は、受圧室70と平衡室72を含んで構成されていたが、振動入力に際して積極的に且つ正負反対の圧力変動が生ぜしめられる一対の受圧室で流体室を構成しても良く、或いは、受圧室と複数の平衡室によって流体室を構成しても良い。
更にまた、本実施形態のエンジンマウント10は、受圧室の圧力変動を外部から空気圧や電動モータ等のアクチュエータで制御することにより防振特性を変更調節することの出来る能動タイプのマウントにも同様に適用され得る。
また、本実施形態に係るバウンドストッパ部64は、例示の如く、内筒金具12と別体形成されて内筒金具12に固着される他、内筒金具12と一体形成されていても良い。
さらに、前記実施形態では、ブロック18にリバウンドストッパブロック24が設けられていたが、かかるリバウンドストッパブロック24は必ずしも必要でない。
更にまた、本実施形態に係るオリフィス通路74,74の形状や構造等は、何等限定されるものでなく、必要に応じて適宜に設定変更されることは勿論可能である。
また、前記実施形態では、本発明を自動車用エンジンマウントに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車用ボデーマウントやデフマウント、或いは自動車以外の各種装置における流体封入式筒型マウントに対して、何れも有利に適用され得るものである。
10 自動車用エンジンマウント
12 内筒金具
14 外筒金具
16 本体ゴム弾性体
22 バウンドストッパブロック
40 第一のポケット部
44 底壁部
62 緩衝ゴム層
64 バウンドストッパ部
58 角部
60 隅部
66 角部
70 受圧室
72 平衡室
74 オリフィス通路
12 内筒金具
14 外筒金具
16 本体ゴム弾性体
22 バウンドストッパブロック
40 第一のポケット部
44 底壁部
62 緩衝ゴム層
64 バウンドストッパ部
58 角部
60 隅部
66 角部
70 受圧室
72 平衡室
74 オリフィス通路
Claims (5)
- インナ軸部材とその外周側に離隔配置されたアウタ筒部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体の外周面に開口するポケット部を周方向で相互に離隔して複数形成し、それら複数のポケット部を該アウタ筒部材で覆蓋することによりそれぞれ非圧縮性流体が封入された複数の流体室を形成すると共に、それら複数の流体室を相互に連通するオリフィス通路を設ける一方、該インナ軸部材から軸直角方向に突出する硬質のストッパブロックを前記複数のポケット部の少なくとも一つにおける底面の中央から所定高さで突設させて、該ストッパブロックを該本体ゴム弾性体と一体形成された緩衝ゴム層で被覆することにより、該アウタ筒部材への当接によって該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸直角方向における相対的変位量を制限するストッパ部を構成した流体封入式筒型防振装置において、
前記ストッパブロックの少なくとも前記ポケット部から突出する基端部分を矩形断面形状としてその四角部分に角部面取を形成すると共に、該ストッパブロックを前記緩衝ゴム層で被覆して形成された前記ストッパ部の少なくとも前記ポケット部から突出する基端部分における四角部分に対して各辺方向に2mm以上の長さに亘る角部面取を設けて、かかる四角部分を略平坦面としたことを特徴とする流体封入式筒型防振装置。 - 前記ストッパ部を突出方向の全長に亘って略一定の断面形状をもって形成した請求項1に記載の流体封入式筒型防振装置。
- 前記ストッパ部の突出方向において、前記インナ軸部材の外周面から前記ストッパ部が突設された前記ポケット部の底面までの前記本体ゴム弾性体の肉厚寸法が3mm以上である請求項1又は2に記載の流体封入式筒型防振装置。
- 装着状態下において前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の間に前記ストッパ部の突出方向の静的な初期荷重が及ぼされる請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式筒型防振装置。
- 前記ポケット部の底面を略矩形状として、該底面の四隅部分を前記ストッパ部において前記角部面取が設けられた四角部分に対して対向位置せしめた請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式筒型防振装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008151189A (ja) * | 2006-12-14 | 2008-07-03 | Toyo Tire & Rubber Co Ltd | 液封入式防振装置 |
JP2018194097A (ja) * | 2017-05-18 | 2018-12-06 | 株式会社ブリヂストン | 防振装置 |
CN114623190A (zh) * | 2020-12-08 | 2022-06-14 | 住友理工株式会社 | 筒形防振装置 |
-
2004
- 2004-01-30 JP JP2004024793A patent/JP2005098484A/ja active Pending
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