JP2005097677A - 銅微粒子の製造方法及び銅微粒子分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】 分散液中の銅微粒子の粒径が100nm以下で、粒径の均一性が極めて高く、分散性及び耐酸化性に優れた銅微粒子の製造方法、及びその溶媒を水又はアルコールで置換した銅微粒子分散液を提供する。
【解決手段】 銅の酸化物、水酸化物又は塩をポリエチレングリコール又はエチレングリコール溶液中で加熱還元して銅微粒子を得る方法において、核生成のための銀塩を添加すると共に、分散剤としてポリビニルピロリドンを添加して、粒径100nm以下の銅微粒子を得る。最高到達温度を130〜200℃の範囲とし、還元反応制御剤としてNaOHを9g/l以下添加することが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子材料の配線形成用として有用な銅微粒子の製造方法、並びにその銅微粒子の分散液に関するものである。
従来から、金属微粒子は、電子材料用の配線形成材料として、プリント配線、半導体の内部配線、プリント配線板と電子部品の接続等に利用されている。特に粒径が100nm以下の金属微粒子は、通常のサブミクロン以上の粒子と異なり焼成温度が極めて低く、低温焼成ペースト等への応用が考えられている。
かかる金属微粒子の製造方法としては、例えば、原料となる金属を真空中又は微量のガス存在下で誘導加熱により蒸発させることにより、気相中から得る方法が公知である(特開平3−34211号公報、特開2000−123634号公報)。しかし、この方法では、誘導加熱装置や真空装置等が高コストであるうえ、金属微粒子が真空装置内で生成するため、一度に得られる金属微粒子の生成量が少なく、大量生産に適していない。
気相中から金属微粒子を得る蒸発法の中には、上記誘電加熱を利用する方法以外にも、アーク放電を利用するもの(特開2002−241806号公報、特開2002−141810号公報)、電子ビームを利用するもの、レーザーを利用するもの等もあるが、上記の誘導加熱を利用するものと同様の理由で高コストであり、やはり、大量生産に適した製造方法とは言い難い。
一方、高い量産性を得るために、液相中から金属微粒子を製造する化学的な製造方法も提案されている。一般的な方法としては、金属化合物を溶液中においてヒドラジン等の還元剤により還元する方法がある。しかし、この方法では、生成した金属微粒子間に強い凝集力が働くため、100nm以下の粒径を有する金属微粒子を作製することは困難であった。
そこで、分散安定性を与えるために、金属微粒子液中に後から界面活性剤を添加して、保護コロイド化する方法が提案されているが、分散性の悪い微粒子を保護コロイド化しても、その用途は限定されたものであった。しかも、液中の金属濃度が0.00nモル/リットルと極めて低い場合には粒径が均一な粒子を得やすいが、工業的に意味のある0.nモル/リットル以上の濃厚系では、粒径の均一性を得ることは殆ど不可能であった。
また、生産性の高い濃厚系で金属微粒子を合成する方法として、ポリオール法がよく知られている(特開昭59−173206号公報)。この方法は、酸化銅のような銅の酸化物又は塩をポリオール中で加熱還元する方法であり、ポリオールは溶媒、還元剤、保護剤の三つの役割を担っている。その結果、濃厚系でもサブミクロン〜ミクロンオーダーの金属微粒子が得られる。
このポリオール法によれば、ポリオールの種類、反応温度、原料などを調製することにより、微細な金属微粒子を得られることが知られている。しかし、ポリオール法においては、銅微粒子の場合、粒径が100nm以下の分散性の優れた銅微粒子の合成は極めて困難であった(特公平4−24402号公報、特開平5−222413号公報、特開平10−330809号公報、特開平9−160938号公報、特開2001−323304号公報)。
特開平3−34211号公報 特開2000−123634号公報 特開2002−241806号公報 特開2002−141810号公報 特開昭59−173206号公報 特公平4−24402号公報 特開平5−222413号公報 特開平10−330809号公報 特開平9−160938号公報 特開2001−323304号公報
本発明は、このような従来の事情に鑑みて成されたものであり、分散液中の銅微粒子の粒径が100nm以下で、且つその粒径の均一性が極めて高く、分散性及び耐酸化性に優れた銅微粒子の製造方法、及びその銅微粒子を含む分散液を提供することを目的とする。
本発明が提供する銅微粒子の製造方法は、銅の酸化物、水酸化物又は塩をポリエチレングリコール又はエチレングリコール溶液中で加熱還元して銅微粒子を得る方法において、核生成のための銀塩を添加すると共に、分散剤としてポリビニルピロリドンを添加して、銀を核とする粒径100nm以下の銅微粒子を得ることを特徴とするものである。
上記本発明の銅微粒子の製造方法においては、最高到達温度を130〜200℃の範囲とすることが好ましく、また、還元反応制御剤として、NaOHを9g/l以下添加することが好ましい。
また、上記本発明の銅微粒子の製造方法においては、前記銀塩の添加量を、Ag/Cu重量比で0.01〜0.1の範囲とすることが好ましい。更には、前記ポリビニルピロリドンの添加量を、銅に対する重量比で0.4以上とすることが好ましい。
本発明は、上記した本発明の銅微粒子の製造方法により得られた銅微粒子を含む溶液を、水若しくはアルコール又は水とアルコールの混合物で置換、濃縮し、銅濃度50重量%以上とした銅微粒子分散液を提供する。
本発明が提供する銅微粒子分散液は、銀を核とした銅微粒子が水若しくはアルコール又は水とアルコールの混合物中に分散した銅微粒子分散液であって、銅濃度が50重量%以上であり、銅微粒子の粒径が100nm以下で且つその標準偏差σ/平均粒径dが35%以下であることを特徴とする。
また、上記した本発明の銅微粒子分散液においては、いずれも、ナトリウム濃度が50重量ppm以下であることが好ましい。
本発明によれば、生産性に優れた液相法により、粒径が100nm以下で、且つ粒径均一性の指標である標準偏差σ/平均粒径dが35%以下と極めて均一性に優れ、分散性及び耐酸化性に優れた銅微粒子及びその分散液を提供することができる。また、本発明の銅微粒子分散液は、低温焼成での均質な導電膜の製造に好適であり、特に配線密度のファインピッチ化に対応可能なものである。
本発明の銅微粒子の製造方法は、公知のポリオール法を利用して、銅の酸化物、水酸化物又は塩をポリエチレングリコール又はエチレングリコール溶液中で加熱還元することにより、銅微粒子を合成するものである。その際、本発明方法においては、微粒子形成の核を得るために銀塩を添加すると共に、分散剤としてポリビニルピロリドン(PVP)を添加する。
核形成のための銀塩は、ポリエチレングリコール又はエチレングリコール溶液中において、還元反応の初期の段階で、例えば100℃以下の低温で、還元されてAg核を生成する。このAg核に銅の酸化物、水酸化物又は塩から還元されたCuが堆積して、粒径100nm以下の微細で均一な銅微粒子が生成する。
銀塩の添加量は、Ag/Cu重量比で0.01〜0.1の範囲が好ましい。その理由は、Ag/Cu重量比が0.01未満ではAg核の量が不足するため、銅の還元反応が十分に進まず、また0.1を超えるとAg粒子のみが単独で還元析出してしまうためである。また、Ag/Cu重量比を0.03〜0.06の範囲とすれば、粒径がより一層均一な銅微粒子の析出が得られる。
分散剤として添加するPVPは、還元析出した銅微粒子の表面を被覆し、立体障害により銅微粒子同士の接触を防止して、凝集のほとんどない分散性に優れた銅微粒子の生成を促進する。PVPの添加量は、銅に対する重量比で、即ちPVP/Cu重量比で0.4以上が好ましく、0.9以上が更に好ましい。しかし、PVPの添加量が多過ぎると、液の粘性が高くなり過ぎて、後の水やアルコールとの溶媒置換・濃縮に時間がかかるうえ、濃縮時にPVPの残存が多くなるので、PVP/Cu重量比で3.0未満に抑えることが望ましい。
上記した本発明方法においては、ポリエチレングリコール又はエチレングリコール溶液の最高到達温度を高める、あるいは還元反応制御剤として水酸化ナトリウム(NaOH)を添加することにより、銅原料である銅の酸化物、水酸化物又は塩の供給量を増加することができる。即ち、これらの条件を下記のごとく最適化することにより、銅モノマーの供給速度を制御すれば、銅は自発的な核発生を起こさず、最初はAg核の上に堆積し、その後は銅微粒子表面の上に堆積して、粒径が100nm以下で且つ粒径均一性のより優れた銅微粒子が生成することが判明した。
ポリエチレングリコール又はエチレングリコール溶液の最高到達温度としては、130〜200℃の範囲で均一な銅微粒子の製造が可能であることが分った。この最高到達温度が130℃未満では銅の還元反応が起こらず、200℃を超えると析出した銅の粒子径が大きく成長してしまうため好ましくない。また、還元反応制御剤としてのNaOHは、添加量が多過ぎると一次粒子同士の凝集が激しく起こるため、9g/l以下の添加量とすることが好ましい。
銅原料としては、通常のポリオール法で用いられるものでよく、例えば、酸化銅、亜酸化銅等の銅の酸化物、水酸化銅等の銅の水酸化物、塩化銅等の銅の塩を用いることができる。還元反応に使用する溶媒は、ポリエチレングリコール(PEG)又はエチレングリコール(EG)である。PEGとしては、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール等を好適に用いることができる。また、核形成用の銀塩としては、硝酸銀などの使用が好ましい。
上記した本発明方法により合成された銅微粒子は、粒径が100nm以下であり、ポリエチレングリコール又はエチレングリコール溶液中に分散した状態で得られる。この溶媒溶液中には、銅微粒子の外に、分散剤のPVP、還元反応制御剤のNaOH等が含まれている。これらのPVPやNaOH、及びPEG等の溶媒は、最終的に使用される配線材料用導電性ペースト製品中に存在すると、抵抗上昇、構造欠陥などの不具合をもたらす原因となる。
そこで、本発明方法により得られた銅微粒子を含む溶液を、水若しくはアルコール又は水とアルコールの混合物で置換、濃縮することによって、PVP、NaOH、PEG等の溶媒をできるだけ除去して、銅濃度50重量%以上とした銅微粒子分散液とする。特に、NaOHの添加により混入したNaは、配線形成時の焼結を阻害する原因となるため、銅微粒子分散液中の濃度で50重量ppm以下まで低減することが好ましい。
銅微粒子分散液を調整する一般的な方法としては、本発明方法で得られた銅微粒子を含む溶液を水やアルコール又はその混合物で希釈した後、限外濾過等により置換、濃縮する。その後、必要に応じて、更に希釈と、置換、濃縮とを繰り返して、銅濃度50重量%以上の銅微粒子分散液を調整する。
銅原料として酸化銅(Cu2O)(日進ケミコ社製試薬)、銀原料として硝酸銀(AgNO3)(和光純薬工業社製試薬)、分散剤としてポリビニルピロリドン(PVP)(東京化成工業社製試薬)を用いて、銅微粒子を製造した。尚、溶媒としては、トリエチレングリコール(TEG)(日本触媒社製試薬)、ジエチレングリコール(DEG)(和光純薬工業社製試薬)、若しくはエチレングリコール(EG)(和光純薬工業社製試薬)を使用した。
[実施例1]
溶媒である1リットルのTEGに、60gのCu2O、100gのPVP(分子量10,000)、2.5gのAgNO3、5.75gのNaOHを添加し、撹拌しながら最高到達温度165℃まで加熱し、3時間保持して銅微粒子を還元析出させた。
得られた銅微粒子を濾過し、SEMで観察したところ、粒径20〜70nmの凝集のない単分散性のCu微粒子であった。この銅微粒子は、平均粒径dが29.0nm、標準偏差σ/平均粒径dは25.5%であった。
[実施例2]
上記実施例1において、最高到達温度170℃まで加熱した以外は同様に実施して、銅微粒子を製造した。得られた銅微粒子は、実施例1と同様にSEM観察したところ、粒径20〜100nmの凝集のない単分散性のCu微粒子であり、その平均粒径dは28.2nm、σ/dは25.3%であった。
[実施例3]
上記実施例1において、NaOHの添加量を2.0gとし且つ最高到達温度200℃まで加熱した以外は同様に実施して、銅微粒子を製造した。得られた銅微粒子は、実施例1と同様にSEM観察したところ、粒径20〜100nmの凝集のない単分散性のCu微粒子であり、その平均粒径dは57.7nm、σ/dは28.7%であった。
[実施例4]
上記実施例1において、PVPの添加量を半分の50gとした以外は同様に実施して、銅微粒子を製造した。得られた銅微粒子は、実施例1と同様にSEM観察したところ、粒径20〜100nmの凝集のない単分散性のCu微粒子であり、その平均粒径dは55.5nm、σ/dは32.3%であった。
[実施例5]
上記実施例1において、NaOHの添加量を約1.4倍の8.0gとした以外は同様に実施して、銅微粒子を製造した。得られた銅微粒子は、実施例1と同様にSEM観察したところ、粒径20〜100nmの凝集のない単分散性のCu微粒子であり、その平均粒径dは28.1nm、σ/dは25.8%であった。
[実施例6]
上記実施例1において、AgNO3の添加量を2倍の5gとした以外は同様に実施して、銅微粒子を製造した。得られた銅微粒子は、実施例1と同様にSEM観察したところ、粒径20〜80nmの凝集のない単分散性のCu微粒子であり、その平均粒径dは27.3nm、σ/dは24.2%であった。
[実施例7]
溶媒である1リットルのDEGに、60gのCu2O、100gのPVP(分子量10,000)、2.5gのAgNO3、5.75gのNaOHを添加し、撹拌しながら最高到達温度165℃まで加熱し、3時間保持して銅微粒子を還元析出させた。得られた銅微粒子は、実施例1と同様にSEM観察したところ、粒径20〜100nmの凝集のない単分散性のCu微粒子であり、その平均粒径dは45.0nm、σ/dは24.0%であった。
[実施例8]
上記実施例7において、最高到達温度150℃まで加熱した以外は同様に実施して、銅微粒子を製造した。得られた銅微粒子は、実施例1と同様にSEM観察したところ、粒径20〜100nmの凝集のない単分散性のCu微粒子であり、その平均粒径dは35.1nm、σ/dは24.4%であった。
[実施例9]
溶媒である1リットルのEGに、60gのCu2O、100gのPVP(分子量10,000)、2.5gのAgNO3、5.75gのNaOHを添加し、撹拌しながら最高到達温度150℃まで加熱し、3時間保持して銅微粒子を還元析出させた。得られた銅微粒子は、実施例1と同様にSEM観察したところ、粒径20〜100nmの凝集のない単分散性のCu微粒子であり、その平均粒径dは34.0nm、σ/dは19.2%であった。
[実施例10]
上記実施例9において、NaOHの添加量を2.0gとした以外は同様に実施して、銅微粒子を製造した。得られた銅微粒子は、実施例1と同様にSEM観察したところ、粒径40〜100nmの凝集のない単分散性のCu微粒子であり、その平均粒径dは64.4nm、σ/dは28.4%であった。
[実施例11]
上記実施例9において、最高到達温度を140℃とし且つNaOHの添加量を2.0gとした以外は同様に実施して、銅微粒子を製造した。得られた銅微粒子は、実施例1と同様にSEM観察したところ、粒径30〜100nmの凝集のない単分散性のCu微粒子であり、その平均粒径dは53.0nm、σ/dは28.4%であった。
[比較例1]
上記実施例1(溶媒TEG)において、AgNO3添加量を1/5倍の0.5gとした以外は同様に実施した。反応終了後、濾過した回収物をX線回折により分析した結果、回収物は全てCu2Oであり、還元反応は全く進まなかったことが分った。
[比較例2]
上記実施例1において、AgNO3添加量を4倍の10gとした以外は同様に実施した。反応終了後、濾過した回収物をX線回折により分析した結果、回収物は全てCu2Oであり、還元反応は全く進まなかったことが分った。
[比較例3]
上記実施例1において、PVP添加量を1/5倍の20gとした以外は同様に実施した。反応終了後、濾過した回収物をX線回折により分析した結果、回収物はCu2Oが主相であり、Cuは僅かに確認されたが、得られた粒子は凝集していた。
[比較例4]
上記実施例1において、NaOHの添加量を約1.7倍の10gとした以外は同様に実施した。反応終了後、濾過した回収物をX線回折により分析した結果、回収物はCuであったが、1次粒径が50〜100nmの凝集した粒子であった。
[比較例5]
上記実施例1において、最高到達温度220℃まで加熱した以外は同様に実施して、銅微粒子を製造した。得られた銅微粒子は、実施例1と同様にSEM観察したところ、粒径が最大1000nmの非常に大きな粒子に成長していた。
[比較例6]
上記実施例1において、最高到達温度120℃まで加熱した以外は同様に実施した。反応終了後、濾過した回収物をX線回折により分析した結果、回収物は全てCu2Oであり、還元反応は全く進まなかったことが分った。
[比較例7]
上記実施例9(溶媒EG)において、最高到達温度210℃まで加熱した以外は同様に実施して、銅微粒子を製造した。得られた銅微粒子は、実施例1と同様にSEM観察したところ、粒径が最大3000nmの非常に大きな粒子に成長していた。
[比較例8]
上記実施例9において、最高到達温度120℃まで加熱した以外は同様に実施した。反応終了後、濾過した回収物をX線回折により分析した結果、回収物は全てCu2Oであり、還元反応は全く進まなかったことが分った。
上記した実施例及び比較例について、反応条件を下記表1に及びその結果を下記表2に、それぞれまとめて示した。下記表2において、「還元の有無」の評価は、酸化銅の全量が銅微粒子に還元されている場合を○、一部還元されたが未還元の酸化銅が残っている場合を△、全く還元していない場合を×とした。また、「分散性」については、得られた銅微粒子がSEM写真観察で目視により判断したとき、単独で分散した状態であれば○、凝集していれば×とした。粒子の粒径はSEM写真観察視野から100個の粒子を選択して粒径を測定し、最小及び最大粒径を求めると共に、平均粒径d、標準偏差σを算出した。尚、SEM写真観察は、日立製作所社製の電子顕微鏡(FE−SEM、型式S−4700)を使用した。
Figure 2005097677
Figure 2005097677
[実施例12]
上記実施例1で得られた銅微粒子を含む溶液から、溶媒を水で置換した銅微粒子分散液を調整した。即ち、実施例1で得られた銅微粒子を含む溶液を、水で2倍に希釈した後、限外濾過により置換、濃縮することを繰り返し、溶媒を元の1/10000の濃度にした。その後、エバポレーターで水分を一部除去して、銅微粒子分散液を得た。
この銅微粒子分散液は、その分析結果から、Cu:70重量%、Ag:2重量%、Na:40重量ppm、PVP:3.8重量%、水:24.2重量%、TEG:10重量ppm以下であった。また、この銅微粉分散液について、動的光散乱法により粒度分布を測定したところ、累積頻度50%に相当する粒径が25nmであって、分散性が極めて良い銅微粒子分散液が得られたことが分った。
また、この銅微粒子分散液を1ヶ月空気中で保管したが、全く変色が認められず、X線回折においても酸化銅のピークは検出されなかった。この結果から、粒径が100nm以下という微粒子であるにもかかわらず、耐酸化性に優れた銅微粒子であることが確認された。
次に、上記銅微粒子分散液を基板上にパターン印刷し、4%H2−N2気流中において250℃×3時間の熱処理を行って、銅の導電膜を形成した。この銅導電膜の比抵抗は46.4μΩ・cmであった。このことから、上記銅微粒子分散液は導電ペーストとして使用できることが確認された。

Claims (8)

  1. 銅の酸化物、水酸化物又は塩をポリエチレングリコール又はエチレングリコール溶液中で加熱還元して銅微粒子を得る方法において、核生成のための銀塩を添加すると共に、分散剤としてポリビニルピロリドンを添加して、銀を核とする粒径100nm以下の銅微粒子を得ることを特徴とする銅微粒子の製造方法。
  2. 最高到達温度を130〜200℃の範囲とすることを特徴とする、請求項1に記載の銅微粒子の製造方法。
  3. 還元反応制御剤としてNaOHを9g/l以下添加することを特徴とする、請求項1又は2に記載の銅微粒子の製造方法。
  4. 前記銀塩の添加量を、Ag/Cu重量比で0.01〜0.1の範囲とすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の銅微粒子の製造方法。
  5. 前記ポリビニルピロリドンの添加量を、銅に対する重量比で0.4以上とすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の銅微粒子の製造方法。
  6. 請求項1〜5に記載の銅微粒子の製造方法により得られた銅微粒子を含む溶液を、水若しくはアルコール又は水とアルコールの混合物で置換、濃縮し、銅濃度50重量%以上とした銅微粒子分散液。
  7. 銀を核とした銅微粒子が水若しくはアルコール又は水とアルコールの混合物中に分散した銅微粒子分散液であって、銅濃度が50重量%以上であり、銅微粒子の粒径が100nm以下で且つその標準偏差σ/平均粒径dが35%以下であることを特徴とする銅微粒子分散液。
  8. ナトリウム濃度が50重量ppm以下であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の銅微粒子分散液。
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