JP2005097364A - インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも長期にわたって安定して記録することのできるインクジェット記録用インクの提供。
【解決手段】 高分子分散剤、水不溶性色材、水溶性有機溶剤、および水を含有するインクにおいて、上記高分子分散剤が、少なくとも1種の疎水性ブロックと少なくとも1種の親水性ブロックとからなるブロック共重合体であって、かつ各ブロックがビニルエーテル類から構成されたものであり、上記水溶性有機溶剤として環状エーテルを少なくとも含有することを特徴とするインク。
【選択図】 なし
【解決手段】 高分子分散剤、水不溶性色材、水溶性有機溶剤、および水を含有するインクにおいて、上記高分子分散剤が、少なくとも1種の疎水性ブロックと少なくとも1種の親水性ブロックとからなるブロック共重合体であって、かつ各ブロックがビニルエーテル類から構成されたものであり、上記水溶性有機溶剤として環状エーテルを少なくとも含有することを特徴とするインク。
【選択図】 なし
Description
本発明は、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置に関する。さらに詳しくは、吐出信頼性が高く画像特性の良好なインクジェット記録に適した色材分散タイプの水性インク、該インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置に関する。
従来、印刷インクの着色剤として、耐水性や耐光性などの堅牢性に優れた顔料などの水不溶性色材が広く用いられている。しかし、水不溶性色材を水性インクの色材として用いるためには、水性媒体中に水不溶性色材を安定して分散させることが要求される。そのため、高分子化合物や界面活性剤などの分散剤を添加して水不溶性色材を水性媒体中に均一に分散させた色材分散タイプの水性インクが使用されている。
近年、インクジェット記録用途においても、画像堅牢性の面からこの色材分散タイプの水性インクをインクジェット記録用インクとして使用するようになってきている。インクジェット記録においては、紙面上でのインクの定着性や耐水性を向上させるために、インク中の色材分散体に凝集機能や水不溶化機能を持たせる試みがとられている。しかしながら、このような機能を色材分散体に持たせることによって、インク中での色材粒子の分散安定性が低下することになり、インクの保存中に色材粒子が凝集してインクの濃度むらや沈降が発生しやすくなる、インクジェット装置のノズル先端部でインク乾燥による目詰まりが発生し吐出安定性が低下しやすくなるなどという問題点を持つ。
上記問題点を解決するために、特許文献1では、環状エーテルを含有するインクが提案されているが、該インクにおいては水溶性有機溶剤しか考慮されていないため、短期的には効果があっても長期的なインク保存安定性や吐出安定性には問題がある。
本発明の目的は、上記問題点に鑑みてなされたもので、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも長期にわたって安定して記録することのできるインクジェット記録用インクを提供することであり、さらには堅牢性と品位に優れた画像を記録し得るインクジェット記録方法、およびこのようなインクを含むインクカートリッジおよびインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題点を解決すべく鋭意検討した結果、以下の発明によって解決できることを見出した。すなわち、本発明は、高分子分散剤、水不溶性色材、水溶性有機溶剤、および水を含有するインクジェット記録用インク(以下単に「インク」という)において、上記高分子分散剤が、少なくとも1種の疎水性ブロックと少なくとも1種の親水性ブロックとからなるブロック共重合体であって、かつ各ブロックがビニルエーテル類から構成されたものであり、上記水溶性有機溶剤として環状エーテルを少なくとも含有することを特徴とするインクを提供する。
上記本発明においては、上記環状エーテルが、ジメチルフラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシテトラヒドロフランおよびジオキサンから選ばれる少なくとも1種であること;特に上記環状エーテルがテトラヒドロフランであることが好ましい。
また、上記本発明においては、上記環状エーテルが、前記高分子分散剤に対して質量比で0.01〜2.0倍の範囲で含有されていること;上記インク中に、アルミニウムまたはアルミニウム化合物を含有すること;前記高分子分散剤の疎水性ブロック部の溶解性パラメータが、前記環状エーテルの溶解性パラメータに対して、−2.0〜+1.0(J/cm3)1/2の範囲であること;上記高分子分散剤の親水性ブロックが、アニオン性のビニルエーテル類から構成されていること;上記高分子分散剤の親水性ブロックが、非イオン性のビニルエーテル類から構成されていることが好ましい。
また、上記本発明においては、前記高分子分散剤の親水性ブロックが、非イオン性のビニルエーテル類から構成されているブロックと、アニオン性のビニルエーテル類から構成されているブロックとを少なくとも含むこと;前記高分子分散剤が、疎水性のビニルエーテル類で構成されたブロック、非イオン性の親水性ビニルエーテル類から構成されたブロック、およびアニオン性の親水性ビニルエーテル類から構成されたブロックの順番で少なくとも構成されていることが好ましい。
また、上記本発明においては、前記水不溶性色材が、顔料、油溶性染料、建染染料、および分散染料からなる群から選ばれる少なくとも1種の色材であることが好ましい。
また、本発明は、インクにエネルギーを与えて、該インクを飛翔させて被記録材に付与して行うインクジェット記録方法において、該インクが、前記本発明のいずれかのインクであることを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。この場合、前記エネルギーが熱エネルギーであること;および上記被記録材が、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層をもつ被記録材であることが好ましい。
また、本発明は、インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、上記インクが前記本発明のいずれかのインクであることを特徴とするインクカートリッジを提供する。
また、本発明は、インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジと、上記インクを吐出させるためのヘッド部を備えたインクジェット記録装置において、上記インクが前記本発明のいずれかのインクであることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
上記本発明によれば、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも長期にわたって安定して記録することのできるインクを提供することができ、さらには堅牢性と品位に優れた画像を記録し得るインクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、高分子分散剤、水不溶性色材、水溶性有機溶剤、および水を含有するインクにおいて、上記高分子分散剤として少なくとも1種の疎水性ブロックと少なくとも1種の親水性ブロックとからなるブロック共重合体であって、かつ各ブロックがビニルエーテル類から構成された高分子分散剤を使用し、かつ上記水溶性有機溶剤として環状エーテルを少なくともインク中に含有させることで、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも安定して記録することが可能なインクを提供することができることを見出した。
本発明者らは、高分子分散剤、水不溶性色材、水溶性有機溶剤、および水を含有するインクにおいて、上記高分子分散剤として少なくとも1種の疎水性ブロックと少なくとも1種の親水性ブロックとからなるブロック共重合体であって、かつ各ブロックがビニルエーテル類から構成された高分子分散剤を使用し、かつ上記水溶性有機溶剤として環状エーテルを少なくともインク中に含有させることで、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも安定して記録することが可能なインクを提供することができることを見出した。
これは、高分子分散剤として、少なくとも1種の疎水性ブロックと少なくとも1種の親水性ブロックを少なくとも含むブロック共重合体からなる高分子分散剤を使用することで、高分子分散剤の疎水性ブロック部が色材粒子表面に均一に付着することが可能となり、色材粒子表面が外気に露出することなく高分子分散剤が色材粒子を均一に被覆する、すなわちカプセル化することができるようになる。この際、インク中に環状エーテルを含有させると、この環状エーテルが色材表面に吸着されることで色材表面が高分子分散剤の疎水性ブロック部に対して均一な親和性を有するようになる。このため、高分子分散剤の疎水性ブロック部が色材粒子表面にさらに均一に付着することが可能となり、より安定な色材粒子のカプセルが形成されると考えられる。
また、疎水性ブロックが、モノマーとしてビニルエーテル類を重合してなるエーテル構造を多数有するポリビニルエーテルであるために、疎水性ブロックのエーテル部と隣接する高分子分散剤の疎水性ブロック部間に静電的な相互作用が発生する、すなわち、高分子分散剤同士の疎水性ブロック間で物理的な結合作用が発生すると考えられる。これによりこの色材粒子のカプセルの安定性が向上し、色材粒子の分散性が不安定になりやすいインクジェット記録におけるインクの吐出時においても、このカプセル状態が安定に維持されるようになり、インクの吐出安定性が向上すると考えられる。
このため、記録後の画像においても上記のカプセル状態が維持され、高分子分散剤が色材を保護するため、色材粒子表面の一部が外気に露出しているような場合に比べ、色材の堅牢性が向上すると考えられる。また、高分子分散剤の親水性部がブロック化されているためインク媒体中での親和性が向上し、疎水基を含有するランダム重合されているような他の高分子分散剤に比べて、色材粒子の分散安定性が向上するため色材粒子の凝集や沈降が起こりにくくなり、インクの長期保存時の安定性も良好になると考えられる。
以下、本発明のインクの構成材料についてさらに詳細に説明する。
(水溶性有機溶剤)
本発明のインクに使用する水溶性有機溶剤としては、少なくとも環状エーテルを含有しているものであればよいが、この環状エーテルを他の水溶性有機溶剤との混合溶剤として使用するとインクジェット記録装置のノズル先端部でのインク濃縮が抑制されるため好ましい。
(水溶性有機溶剤)
本発明のインクに使用する水溶性有機溶剤としては、少なくとも環状エーテルを含有しているものであればよいが、この環状エーテルを他の水溶性有機溶剤との混合溶剤として使用するとインクジェット記録装置のノズル先端部でのインク濃縮が抑制されるため好ましい。
環状エーテルとしては、好ましくはジメチルフラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシテトラヒドロフランおよびジオキサンの群から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはテトラヒドロフランであると、色材分散体の安定性がより良好になるため望ましい。また、環状エーテルが高分子分散剤に対して質量比で0.01〜2.0倍の範囲、好ましくは0.05〜1.0倍の範囲で含有されていると、加温時におけるインク中の色材粒子の分散安定性がより向上するため望ましい。
環状エーテルを他の水溶性有機溶剤と混合して使用する場合、好ましい水溶性有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、チオジグリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどのジオール類;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオールなどのトリオール類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトールなどのヒンダードアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、グリセリンモノアリルエーテル、ポリエチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルフォラン、β−ジヒドロキシエチルウレア、ウレア、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、ジアセトンアルコールなどである。
これらの中でも、沸点が120℃以上の水溶性有機溶剤を使用すると、ノズル先端部でのインク濃縮が抑制されるため好ましい。これらの水溶性有機溶剤のインク中に占める割合は、インク全質量に対して、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
また、このような水溶性有機溶剤と環状エーテルを混合溶媒として使用する場合には、高分子分散剤の親水性ブロック部の溶解性パラメータに対して0.0〜+10.0(J/cm3)1/2の範囲にある溶解性パラメータを有するような混合溶媒として使用すると、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりがより発生しにくくなり好ましい。
上記の溶解性パラメータ(δ(J/cm3)1/2)は、溶剤の凝集エネルギー密度の平方根として表され、δ=(ΔE/V)1/2(式中、ΔEは溶剤のモル蒸発熱、Vは溶媒のモル体積)の式から算出される溶剤の溶解性を示す溶剤固有の値である。例えば、水はδ=47.0、エタノールはδ=25.7、ヘキサンはδ=14.9である。また、高分子分散剤の溶解性パラメータ(δ)は、高分子分散剤の無限溶解度または最高膨潤度を与える溶剤の溶解性パラメータ=高分子の溶解性パラメータとする実験的に算出した値や、高分子分散剤の官能基の分子凝集エネルギーから算出した値である。
高分子分散剤および溶剤の溶解性パラメータ(δ)を官能基の分子凝集エネルギーから算出する方法は、δ=(ΔE/V)1/2=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2(式中、ΔEはそれぞれのモル蒸発熱、Vはそれぞれのモル体積、Δeiはそれぞれの原子団の蒸発エネルギー(J/mol)、Δviはそれぞれの原子団のモル体積(cm3/mol)である。)の式から算出する方法が挙げられる。なお、原子団の蒸発エネルギーおよび原子団のモル体積は、Fedorsの値を使用して算出した。
(高分子分散剤)
本発明のインクに使用する高分子分散剤としては、少なくとも1種の親水性ブロックと、少なくとも1種の疎水性ブロックとをそれぞれ有し、各ブロックがビニルエーテル類から構成されたものであればよく、2種類以上の親水性ブロックや2種類以上の疎水性ブロックを有するものでも使用することができ、単独のブロック共重合体でも2種以上のブロック共重合体が混合されたものでも使用できる。共重合体の形態は直鎖型、グラフト型などが挙げられるが、直鎖型のブロック共重合体が好ましい。
本発明のインクに使用する高分子分散剤としては、少なくとも1種の親水性ブロックと、少なくとも1種の疎水性ブロックとをそれぞれ有し、各ブロックがビニルエーテル類から構成されたものであればよく、2種類以上の親水性ブロックや2種類以上の疎水性ブロックを有するものでも使用することができ、単独のブロック共重合体でも2種以上のブロック共重合体が混合されたものでも使用できる。共重合体の形態は直鎖型、グラフト型などが挙げられるが、直鎖型のブロック共重合体が好ましい。
さらに、高分子分散剤の疎水性ブロック部の溶解性パラメータが、上記環状エーテルの溶解性パラメータに対して、好ましくは−5.0〜+5.0(J/cm3)1/2の範囲、より好ましくは−2.0〜+1.0(J/cm3)1/2の範囲にあると、インクの長期保存時の分散安定性がより向上するためより望ましい。
本発明で使用する高分子分散剤は、例えば、下記一般式(1)で示される繰り返し単位構造を有することが好ましい。
−(CH2−CH(OR1))− (1)
上記の一般式(1)において、R1は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素、フェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基などのような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。また、芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい。R1の炭素数は1〜18が好ましい。
−(CH2−CH(OR1))− (1)
上記の一般式(1)において、R1は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素、フェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基などのような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。また、芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい。R1の炭素数は1〜18が好ましい。
また、R1は、−(CH(R2)−CH(R3)−O)p−R4もしくは−(CH2)m−(O)n−R4で表される基でもよい。この場合、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、R4は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素、フェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基などのような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基(芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい)、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2、−CH2−CH=CH2、−CH2−C(CH3)=CH2、−CH2−COOR5などを表し、これらの基のうちの水素原子は、化学的に可能である範囲で、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子と置換されていてもよい。R4の炭素数は3〜18が好ましい。R5は水素、またはアルキル基である。pは1〜18が好ましく、mは1〜36が好ましく、nは0または1であるのが好ましい。
R1およびR5において、アルキル基またはアルケニル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、オレイルなどであり、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどである。
以下に、本発明で使用する高分子分散剤を構成するビニルエーテルモノマー(I−a〜I−o)および高分子分散剤(II−a〜II−e)の構造を例示するが、本発明に用いられる高分子分散剤のポリビニルエーテル構造は、これらに限定されるものではない。
さらに、上記ポリビニルエーテルの繰り返し単位数(上記(II−a)〜(II−e)においては、m、n、l)は、それぞれ独立に、1〜10,000であることが好ましい。また、その合計が(上記(II−a)〜(II−e)においては、m+n+l)、10〜20,000であることがより好ましい。数平均分子量は、500〜20,000,000が好ましく、1,000〜5,000,000がより好ましく、2,000〜2,000,000が最も好ましい。また、これらの高分子分散剤がインク中に占める割合は、インク全質量に対して、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。
ビニルエーテル系ポリマーブロックを有する共重合体(高分子分散剤)の合成方法は、特に限定されないが、青島らによるカチオンリビング重合(特開平11−322942号公報、特開平11−322866号公報)などが好適に用いられる。カチオンリビング重合法を用いることにより長さ(分子量)を正確に揃えたホモポリマーや2成分以上のモノマーからなる共重合体、さらにはブロックポリマー、グラフトポリマー、グラデーションポリマーなどの様々なポリマーを合成することができる。また、ポリビニルエーテルは、その側鎖に様々な官能基を導入することができる。
(水不溶性色材)
本発明のインクに使用する水不溶性色材としては、水に殆ど溶解しない色材であれば使用することができる。具体的には、水に対する溶解度が、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下の色材である。このような色材としては、油溶性染料、建染染料、分散染料、顔料などが上記高分子分散剤と安定な色材分散体を形成するためより好ましい。
本発明のインクに使用する水不溶性色材としては、水に殆ど溶解しない色材であれば使用することができる。具体的には、水に対する溶解度が、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下の色材である。このような色材としては、油溶性染料、建染染料、分散染料、顔料などが上記高分子分散剤と安定な色材分散体を形成するためより好ましい。
以下に、水不溶性色材の例を示すが、これらに限定されるものではない。
(油溶性染料)
C.I.ソルベントイエロー1、2、3、13、14、19、21、22、29、36、37、38、39、40、42、43、44、45、47、62、63、71、76、79、81、82、83:1、85、86、88、151;C.I.ソルベントレッド8、27、35、36、37、38、39、40、49、58、60、65、69、81、83:1、86、89、91、92、97、99、100、109、118、119、122、127、218;C.I.ソルベントブルー14、24、25、26、34、37、38、39、42、43、44、45、48、52、53、55、59、67,70;C.I.ソルベントブラック3、5、7、8、14、17、19、20、22、24、26、27、28、29、43、45など。
(油溶性染料)
C.I.ソルベントイエロー1、2、3、13、14、19、21、22、29、36、37、38、39、40、42、43、44、45、47、62、63、71、76、79、81、82、83:1、85、86、88、151;C.I.ソルベントレッド8、27、35、36、37、38、39、40、49、58、60、65、69、81、83:1、86、89、91、92、97、99、100、109、118、119、122、127、218;C.I.ソルベントブルー14、24、25、26、34、37、38、39、42、43、44、45、48、52、53、55、59、67,70;C.I.ソルベントブラック3、5、7、8、14、17、19、20、22、24、26、27、28、29、43、45など。
(建染染料)
C.I.バットイエロー2、4、10、20、33;C.I.バットオレンジ1、2、3、5、7、9、13、15;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、16、61;C.I.バットブルー1、3、4、5、6、8、12、14、18、19、20、29、35、41;C.I.バットブラック1、8、9、13、14、20、25、27、29、36、56、57、59、60など。
C.I.バットイエロー2、4、10、20、33;C.I.バットオレンジ1、2、3、5、7、9、13、15;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、16、61;C.I.バットブルー1、3、4、5、6、8、12、14、18、19、20、29、35、41;C.I.バットブラック1、8、9、13、14、20、25、27、29、36、56、57、59、60など。
(分散染料)
C.I.ディスパーズイエロー5、42、83、93、99、198、224;C.I.ディスパーズオレンジ29、49、73;C.I.ディスパーズレッド92、126、145、152、159、177、181、206、283;C.I.ディスパーズブルー60、87、128、154、201、214、224、257、287、368など。
C.I.ディスパーズイエロー5、42、83、93、99、198、224;C.I.ディスパーズオレンジ29、49、73;C.I.ディスパーズレッド92、126、145、152、159、177、181、206、283;C.I.ディスパーズブルー60、87、128、154、201、214、224、257、287、368など。
(顔料)
Raven 760 Ultra、Raven 1060 Ultra、Raven 1080、Raven 1100 Ultra、Raven 1170、Raven 1200、Raven 1250、Raven 1255、Raven 1500、Raven 2000、Raven 2500 Ultra、Raven 3500、Raven 5250、Raven 5750、Raven 7000、Raven 5000 ULTRAII、Raven 1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製);Black Pearls L、MOGUL-L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製);
Raven 760 Ultra、Raven 1060 Ultra、Raven 1080、Raven 1100 Ultra、Raven 1170、Raven 1200、Raven 1250、Raven 1255、Raven 1500、Raven 2000、Raven 2500 Ultra、Raven 3500、Raven 5250、Raven 5750、Raven 7000、Raven 5000 ULTRAII、Raven 1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製);Black Pearls L、MOGUL-L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製);
Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Special Black 550、Printex 35、Printex 45、Printex 55、Printex 85、Printex 95、Printex U、Printex 140U、Printex V、Printex 140V(以上、デグッサ社製);
No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.900、No.970、No.2200B、No.2300、No.2400B、MCF−88、MA600、MA77、MA8、MA100、MA230、MA220(以上、三菱化学社製);
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185;C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71;C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272;C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50;C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64;C.I.ピグメントグリーン7、36;C.I.ピグメントブラウン23、25、26など。
本発明のインク中における水不溶性色材の含有量は、インク全質量に対して、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1.0〜10質量%の範囲である。水不溶性色材の量が0.1質量%未満のインクでは十分な画像濃度が得にくい場合があり、20質量%を超えるインクであると、ノズルにおけるインクの目詰りなどによるインクの吐出安定性の低下が起こりやすくなる。また、水不溶性色材(A)と上記高分子分散剤(B)とのインク中における含有比率は、固形分質量比でA:B=100:1〜1:2であると、インクの吐出安定性や保存安定性の面から望ましい。なお、これらの水不溶性色材は、単独で使用する以外に、2種以上組み合わせて使用することもできる。
以上が本発明のインクの必須成分であるが、これらの成分以外に、界面活性剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤などの各種の添加剤を添加してもよい。このような添加剤のなかでも、インク中に、添加剤としてアルミニウムまたはアルミニウム化合物、例えば、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、チーグラーナッタ触媒のアルミニウム化合物や金属アルミニウム粉末など、好ましくは水酸化アルミニウムや酸化アルミニウムなどを含有させると、高分子分散剤の疎水性ブロックおよび親水性ブロックにアルミニウムやアルミニウム化合物が作用し、高分子分散剤同士の結合を向上させ高分子分散剤による色材粒子のカプセルがより安定化されるため望ましい。このアルミニウムまたはアルミニウム化合物の添加量としては、インク中において高分子分散剤(A)とアルミニウムまたはアルミニウム化合物(B)とのモル比が、好ましくはA:B=1:5〜10000:3、より好ましくは100:6〜1000:3であると、高分子分散剤からなる色材粒子のカプセルの安定性が向上するためより望ましい。
本発明のインクジェット記録方法の特徴は、インクにエネルギーを与えてインクを飛翔させて行なうインクジェット記録方法において、上記本発明のインクを使用することである。エネルギーとしては、熱エネルギーや力学的エネルギーを用いることができるが、熱エネルギーを用いる場合が好ましい。
本発明のインクジェット記録方法において、被記録材は限定されるものではないが、いわゆるインクジェット専用紙と呼ばれる、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材が好ましく使用される。コーティング層を持つ被記録材としては、少なくとも親水性ポリマーおよび/または無機多孔質体を含有した少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材が望ましい。
次に、上記した本発明のインクを用いて記録を行なうのに好適な、本発明のインクジェット記録装置の一例を以下に説明する。
(熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置)
まず、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部であるヘッド構成の一例を図1および図2に示す。図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での切断面図である。ヘッド13はインクを通す流路(ノズル)14を有する、ガラス、セラミック、シリコンまたはプラスチック板などと発熱素子基板15とを接着して得られる。発熱素子基板15は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコンなどで形成される保護層16、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金などで形成される電極17−1および17−2、HfB2、TaN、TaAlなどの高融点材料から形成される発熱抵抗体層18、熱酸化シリコン、酸化アルミニウムなどで形成される蓄熱層19、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウムなどの放熱性のよい材料で形成される基板20よりなっている。
(熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置)
まず、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部であるヘッド構成の一例を図1および図2に示す。図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での切断面図である。ヘッド13はインクを通す流路(ノズル)14を有する、ガラス、セラミック、シリコンまたはプラスチック板などと発熱素子基板15とを接着して得られる。発熱素子基板15は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコンなどで形成される保護層16、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金などで形成される電極17−1および17−2、HfB2、TaN、TaAlなどの高融点材料から形成される発熱抵抗体層18、熱酸化シリコン、酸化アルミニウムなどで形成される蓄熱層19、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウムなどの放熱性のよい材料で形成される基板20よりなっている。
上記ヘッド13の電極17−1および17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21がヘッドのノズル14を通して吐出し、吐出オリフィス22よりインク小滴24となり、被記録材25に向かって飛翔する。図3には、図1に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例の外観図を示す。このマルチヘッドは、マルチノズル26を有するガラス板27と、図1に説明したものと同じような発熱ヘッド28を接着して作られている。
図4に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、また、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
62は記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行なう構成を備える。さらに、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ62およびインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61およびインク吸収体63によって吐出口面に水分、塵挨などの除去が行なわれる。
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐出して記録を行なう記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行なうためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるべルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域およびその隣接した領域の移動が可能となる。
51は被記録材を挿入するための給紙部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。これらの構成により記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行するにつれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。
なお、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行なう場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する揚合、キャップ62およびブレード61は上記したワイピングの時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行なわれる。
図5は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ45の一例を示す図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上述のようにヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図6に示すようなそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図6において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレタンを用いることが本発明にとって好ましい。また、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネなどを仕込んだインク袋であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は図4に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
(力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置)
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例としては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図7に示す。
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例としては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図7に示す。
ヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合され、電気信号により変位する圧電素子83と、オリフィスプレート81、振動板82などを指示固定するための基板84とから構成されている。
図7において、インク流路80は、感光性樹脂などで形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、ニッケルなどの金属を電鋳やプレス加工による穴あけなどにより吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、ニッケル、チタンなどの金属フィルムおよび高弾性樹脂フィルムなどで形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZTなどの誘電体材料で形成される。以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与え、歪み応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板82を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレート81の吐出口85より吐出して記録を行なうように動作する。このような記録ヘッドは、図4に示したものと同様なインクジェット記録装置に組み込んで使用される。インクジェット記録装置の細部の動作は、先述と同様に行なうもので差しつかえない。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、文中、部、および%とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[実施例1]
(高分子分散剤Aの作製)
疎水性ブロックと親水性ブロックからなるABジブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下、250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、イソブチルビニルエーテル12ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、ABジブロックポリマーのAブロックを合成した。
[実施例1]
(高分子分散剤Aの作製)
疎水性ブロックと親水性ブロックからなるABジブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下、250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、イソブチルビニルエーテル12ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、ABジブロックポリマーのAブロックを合成した。
分子量を時分割に分子ふるいカラムクロマトグラフィー(GPC)を用いてモニタリングし、Aブロックの重合が完了した後、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル(Bブロック)の水酸基をトリメチルクロロシランでシリル化したビニルモノマー12ミリモルを添加することで合成を行った。重合反応の停止は、系内に0.3%のアンモニア/メタノール溶液を加えて行い、トリメチルクロロシランでシリル化した水酸基の加水分解は水を添加することで行った。反応を終えた混合溶液中にジクロロメタンを加え希釈し、0.6Nの塩酸溶液で3回、次いで蒸留水で3回洗浄し、エバポレーターで濃縮・乾固したものを真空乾燥させてABジブロック共重合体(高分子分散剤A)を得た。化合物の同定は、NMRおよびGPCを用いて行った(Mn=3.7×104、Mn/Mw=1.3)。なお、得られた高分子分散剤の疎水性ブロック(Aブロック)と親水性ブロック(Bブロック)の溶解性パラメータをそれぞれ求めたところ、17.1(J/cm3)1/2と29.0(J/cm3)1/2であった。
(色材分散体Iの作製)
市販の油溶性染料であるC.I.ソルベントイエロー14を1.0部とアセトン99.0部を混合し、40℃に加温して均一に溶解するようによく攪拌した。この混合溶液を、アセトン99.0部に上記高分子分散剤A1.0部を溶解した溶液中に添加し混合した後、水10.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでアセトンを除去し、色材分散体Iを得た。得られた色材分散体中のアセトンの濃度をガスクロマトグラフィーで分析したが、検出されず、色材分散体中には残留していないと判断される結果であった。
市販の油溶性染料であるC.I.ソルベントイエロー14を1.0部とアセトン99.0部を混合し、40℃に加温して均一に溶解するようによく攪拌した。この混合溶液を、アセトン99.0部に上記高分子分散剤A1.0部を溶解した溶液中に添加し混合した後、水10.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでアセトンを除去し、色材分散体Iを得た。得られた色材分散体中のアセトンの濃度をガスクロマトグラフィーで分析したが、検出されず、色材分散体中には残留していないと判断される結果であった。
(インク1の作製)
・上記色材分散体I 50.0部
・テトラヒドロフラン 0.5部
(溶解性パラメータ18.4(J/cm3)1/2)
・ジエチレングリコール 10.0部
(溶解性パラメータ30.6(J/cm3)1/2)
・チオジグリコール 10.0部
(溶解性パラメータ31.1(J/cm3)1/2)
・0.01%水酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 28.5部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
・上記色材分散体I 50.0部
・テトラヒドロフラン 0.5部
(溶解性パラメータ18.4(J/cm3)1/2)
・ジエチレングリコール 10.0部
(溶解性パラメータ30.6(J/cm3)1/2)
・チオジグリコール 10.0部
(溶解性パラメータ31.1(J/cm3)1/2)
・0.01%水酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 28.5部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
[実施例2]
(インク2の作製)
・上記色材分散体I 50.0部
・テトラヒドロフラン 4.0部
(溶解性パラメータ18.4(J/cm3)1/2)
・エチレングリコール 9.0部
(溶解性パラメータ36.5(J/cm3)1/2)
・グリセリン 11.0部
(溶解性パラメータ41.0(J/cm3)1/2)
・0.01%水酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 25.0部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
(インク2の作製)
・上記色材分散体I 50.0部
・テトラヒドロフラン 4.0部
(溶解性パラメータ18.4(J/cm3)1/2)
・エチレングリコール 9.0部
(溶解性パラメータ36.5(J/cm3)1/2)
・グリセリン 11.0部
(溶解性パラメータ41.0(J/cm3)1/2)
・0.01%水酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 25.0部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
[実施例3]
(インク3の作製)
・上記色材分散体I 45.0部
・テトラヒドロフラン 0.2部
(溶解性パラメータ18.4(J/cm3)1/2)
・ジエチレングリコール 10.0部
(溶解性パラメータ30.6(J/cm3)1/2)
・2−ピロリドン 10.0部
(溶解性パラメータ28.9(J/cm3)1/2)
・0.01%水酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 33.8部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
(インク3の作製)
・上記色材分散体I 45.0部
・テトラヒドロフラン 0.2部
(溶解性パラメータ18.4(J/cm3)1/2)
・ジエチレングリコール 10.0部
(溶解性パラメータ30.6(J/cm3)1/2)
・2−ピロリドン 10.0部
(溶解性パラメータ28.9(J/cm3)1/2)
・0.01%水酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 33.8部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
[実施例4]
(高分子分散剤Bの作製)
疎水性ブロックと親水性ブロックからなるABジブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、2−デカノキシエチルビニルエーテル12ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、ABジブロックポリマーのA成分を合成した。
(高分子分散剤Bの作製)
疎水性ブロックと親水性ブロックからなるABジブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、2−デカノキシエチルビニルエーテル12ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、ABジブロックポリマーのA成分を合成した。
分子量を時分割に分子ふるいカラムクロマトグラフィー(GPC)を用いてモニタリングし、A成分の重合が完了した後、次いで4−(2−ビニロキシエトキシ)ベンゾイックアシッド(B成分)のカルボン酸部をエチル基でエステル化したビニルモノマー12ミリモルを添加することで合成を行った。重合反応の停止は、系内に0.3%のアンモニア/メタノール溶液を加えて行い、エステル化させたカルボキシル基は水酸化ナトリウム/メタノール溶液で加水分解させてカルボン酸型に変化させた。後は実施例1と同様にして、ABジブロック共重合体(高分子分散剤B)を得た。化合物の同定は、NMRおよびGPCを用いて行った(Mn=3.5×104、Mn/Mw=1.2)。なお、得られた高分子分散剤の疎水性ブロックA部と親水性ブロックB部の溶解性パラメータをそれぞれ求めたところ17.8(J/cm3)1/2と24.9(J/cm3)1/2であった。
(色材分散体IIの作製)
色材を市販の顔料であるC.I.ピグメントレッド122を1.0部とテトラヒドロフラン(溶解性パラメータ18.4(J/cm3)1/2)99.0部を混合し、40℃に加温して均一に混合するようによく攪拌した。この混合溶液を、テトラヒドロフラン99.0部に上記高分子分散剤B1.0部を溶解した溶液中に添加し混合した後、水10.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランの大部分を除去し、色材分散体IIを得た。得られた色材分散体中のテトラヒドロフランの濃度をガスクロマトグラフィーで分析したところ、色材分散体中に0.5%含有されていると判断される結果であった。
色材を市販の顔料であるC.I.ピグメントレッド122を1.0部とテトラヒドロフラン(溶解性パラメータ18.4(J/cm3)1/2)99.0部を混合し、40℃に加温して均一に混合するようによく攪拌した。この混合溶液を、テトラヒドロフラン99.0部に上記高分子分散剤B1.0部を溶解した溶液中に添加し混合した後、水10.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランの大部分を除去し、色材分散体IIを得た。得られた色材分散体中のテトラヒドロフランの濃度をガスクロマトグラフィーで分析したところ、色材分散体中に0.5%含有されていると判断される結果であった。
(インク4の作製)
・上記の色材分散体II 40.2部
・テトラヒドロフラン 0.3部
(溶解性パラメータ18.4(J/cm3)1/2)
・トリプロピレングリコール 15.0部
(溶解性パラメータ24.7(J/cm3)1/2)
・トリエチレングリコール 5.0部
(溶解性パラメータ27.8(J/cm3)1/2)
・0.01%酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 38.5部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
・上記の色材分散体II 40.2部
・テトラヒドロフラン 0.3部
(溶解性パラメータ18.4(J/cm3)1/2)
・トリプロピレングリコール 15.0部
(溶解性パラメータ24.7(J/cm3)1/2)
・トリエチレングリコール 5.0部
(溶解性パラメータ27.8(J/cm3)1/2)
・0.01%酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 38.5部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
[実施例5]
(インク5の作製)
・上記の色材分散体II 40.0部
・メチルテトラヒドロフラン 6.0部
(溶解性パラメータ17.6(J/cm3)1/2)
・トリプロピレングリコール 15.0部
(溶解性パラメータ24.7(J/cm3)1/2)
・トリエチレングリコール 5.0部
(溶解性パラメータ27.8(J/cm3)1/2)
・0.01%酸化アルミニウム水溶液 0.1部
・イオン交換水 33.9部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
(インク5の作製)
・上記の色材分散体II 40.0部
・メチルテトラヒドロフラン 6.0部
(溶解性パラメータ17.6(J/cm3)1/2)
・トリプロピレングリコール 15.0部
(溶解性パラメータ24.7(J/cm3)1/2)
・トリエチレングリコール 5.0部
(溶解性パラメータ27.8(J/cm3)1/2)
・0.01%酸化アルミニウム水溶液 0.1部
・イオン交換水 33.9部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
[実施例6]
(高分子分散剤Cの作製)
疎水性ブロックと2つの親水性ブロックからなるABCトリブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、n−オクタデシルビニルエーテル12ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、ABCトリブロックポリマーのA成分を合成した。
(高分子分散剤Cの作製)
疎水性ブロックと2つの親水性ブロックからなるABCトリブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、n−オクタデシルビニルエーテル12ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、ABCトリブロックポリマーのA成分を合成した。
分子量を時分割に分子ふるいカラムクロマトグラフィー(GPC)を用いてモニタリングし、A成分の重合が完了した後、次いで2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシビニルエーテル(B成分)24ミリモルを添加し重合を続行した。同様にGPCで分子量をモニタリングし、B成分の重合が完了した後、6−(2−ビニロキシエトキシ)ヘキサノイックアシッド(C成分)のカルボン酸部をエチル基でエステル化したビニルモノマー12ミリモルを添加することで合成を行った。重合反応の停止は、系内に0.3%のアンモニア/メタノール溶液を加えて行い、エステル化させたカルボキシル基は水酸化ナトリウム/メタノール溶液で加水分解させてカルボン酸型に変化させた。後は実施例1と同様にして、ABCトリブロック共重合体(高分子分散剤C)を得た。化合物の同定は、NMRおよびGPCを用いて行った(Mn=3.7×104、Mn/Mw=1.2)。なお、得られた高分子分散剤の疎水性ブロックA部と親水性ブロックBC部の溶解性パラメータをそれぞれ求めたところ、17.5(J/cm3)1/2と19.8(J/cm3)1/2であった。
(色材分散体IIIの作製)
色材を市販の油溶性染料であるC.I.ソルベントブルー25に変更し、高分子分散剤を上記高分子分散剤Cに変更した以外は、実施例1と同様にして色材分散体IIIを得た。得られた色材分散体中のアセトンの濃度をガスクロマトグラフィーで分析したが、検出されず色材分散体中には残留していないと判断される結果であった。
色材を市販の油溶性染料であるC.I.ソルベントブルー25に変更し、高分子分散剤を上記高分子分散剤Cに変更した以外は、実施例1と同様にして色材分散体IIIを得た。得られた色材分散体中のアセトンの濃度をガスクロマトグラフィーで分析したが、検出されず色材分散体中には残留していないと判断される結果であった。
(インク6の作製)
・上記色材分散体III 30.0部
・1,4−ジオキサン 0.5部
(溶解性パラメータ19.2(J/cm3)1/2)
・エチレングリコール 18.0部
(溶解性パラメータ36.5(J/cm3)1/2)
・トリエチレングリコール 2.0部
(溶解性パラメータ27.8(J/cm3)1/2)
・0.01%酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 48.5部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
・上記色材分散体III 30.0部
・1,4−ジオキサン 0.5部
(溶解性パラメータ19.2(J/cm3)1/2)
・エチレングリコール 18.0部
(溶解性パラメータ36.5(J/cm3)1/2)
・トリエチレングリコール 2.0部
(溶解性パラメータ27.8(J/cm3)1/2)
・0.01%酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 48.5部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
[実施例7]
(インク7の作製)
・上記色材分散体III 30.0部
・テトラヒドロフラン 0.5部
(溶解性パラメータ18.4(J/cm3)1/2)
・エチレングリコール 2.0部
(溶解性パラメータ36.5(J/cm3)1/2)
・トリエチレングリコール 18.0部
(溶解性パラメータ27.8(J/cm3)1/2)
・0.01%酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 48.5部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
(インク7の作製)
・上記色材分散体III 30.0部
・テトラヒドロフラン 0.5部
(溶解性パラメータ18.4(J/cm3)1/2)
・エチレングリコール 2.0部
(溶解性パラメータ36.5(J/cm3)1/2)
・トリエチレングリコール 18.0部
(溶解性パラメータ27.8(J/cm3)1/2)
・0.01%酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 48.5部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
[実施例8]
(高分子分散剤Dの作製)
疎水性ブロックと親水性ブロックからなるABジブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、n−オクタデシルビニルエーテル12ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、ABブロックポリマーのA成分を合成した。
(高分子分散剤Dの作製)
疎水性ブロックと親水性ブロックからなるABジブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、n−オクタデシルビニルエーテル12ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、ABブロックポリマーのA成分を合成した。
分子量を時分割に分子ふるいカラムクロマトグラフィー(GPC)を用いてモニタリングし、A成分の重合が完了した後、次いでヘプタエチレングリコールビニルエーテル(B成分)の水酸基をトリメチルクロロシランでシリル化したビニルモノマー48ミリモルを添加することで合成を行った。重合反応の停止は、系内に0.3%のアンモニア/メタノール溶液を加えて行い、トリメチルクロロシランでシリル化した水酸基の加水分解は水を添加することで行った。後は実施例1と同様にして、ABジブロック共重合体(高分子分散剤D)を得た。化合物の同定は、NMRおよびGPCを用いて行った(Mn=3.5×104、Mn/Mw=1.3)。なお、得られた高分子分散剤の疎水性ブロックA部と親水性ブロックB部の溶解性パラメータをそれぞれ求めたところ17.5(J/cm3)1/2と21.7(J/cm3)1/2であった。
(色材分散体IVの作製)
色材を市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3に変更し、高分子分散剤を上記高分子分散剤Dに変更した以外は、実施例4と同様にして色材分散体IVを得た。得られた色材分散体中のアセトンの濃度をガスクロマトグラフィーで分析したが、検出されず色材分散体中には残留していないと判断される結果であった。
色材を市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3に変更し、高分子分散剤を上記高分子分散剤Dに変更した以外は、実施例4と同様にして色材分散体IVを得た。得られた色材分散体中のアセトンの濃度をガスクロマトグラフィーで分析したが、検出されず色材分散体中には残留していないと判断される結果であった。
(インク8の作製)
・上記色材分散体IV 60.0部
・ジメチルフラン 0.05部
(溶解性パラメータ18.7(J/cm3)1/2)
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量600)
20.0部
(溶解性パラメータ21.7(J/cm3)1/2)
・0.01%水酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 18.95部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
・上記色材分散体IV 60.0部
・ジメチルフラン 0.05部
(溶解性パラメータ18.7(J/cm3)1/2)
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量600)
20.0部
(溶解性パラメータ21.7(J/cm3)1/2)
・0.01%水酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 18.95部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、目的のインクを得た。
[比較例1]
(インク9の作製)
・上記の色材分散体I 50.0部
・トリプロピレングリコール 20.0部
・イオン交換水 30.0部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、インクを得た。
(インク9の作製)
・上記の色材分散体I 50.0部
・トリプロピレングリコール 20.0部
・イオン交換水 30.0部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、インクを得た。
[比較例2]
(インク10の作製)
・上記の色材分散体II 40.0部
・グリセリン 20.0部
・0.01%酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 39.0部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、インクを得た。
(インク10の作製)
・上記の色材分散体II 40.0部
・グリセリン 20.0部
・0.01%酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 39.0部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、インクを得た。
[比較例3]
(色材分散体Vの作製)
市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を10部、スチレン−マレイン酸ランダム共重合体(数平均分子量10,000)10部とイオン交換水100部を混合し、ウルトラホモジナイザーで均一に分散するように良く攪拌混合し、色材分散体Vを得た。
(色材分散体Vの作製)
市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を10部、スチレン−マレイン酸ランダム共重合体(数平均分子量10,000)10部とイオン交換水100部を混合し、ウルトラホモジナイザーで均一に分散するように良く攪拌混合し、色材分散体Vを得た。
(インク11の作製)
・上記の色材分散体V 50.0部
・テトラヒドロフラン 0.5部
・ジエチレングリコール 10.0部
・チオジグリコール 10.0部
・0.01%水酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 28.5部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、インクを得た。
・上記の色材分散体V 50.0部
・テトラヒドロフラン 0.5部
・ジエチレングリコール 10.0部
・チオジグリコール 10.0部
・0.01%水酸化アルミニウム水溶液 1.0部
・イオン交換水 28.5部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、インクを得た。
[比較例4]
(インク12の作製)
・C.I.ダイレクトレッド80 5.0部
・トリプロピレングリコール 20.0部
・イオン交換水 75.0部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、インクを得た。
(インク12の作製)
・C.I.ダイレクトレッド80 5.0部
・トリプロピレングリコール 20.0部
・イオン交換水 75.0部
以上の成分を混合し、充分攪拌して、インクを得た。
(評価)
実施例1〜8のインクと比較例1〜4のインクを、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJF−660(キヤノン製)にそれぞれ搭載して、光沢紙SP101(キヤノン製)に印字を行い、表1に記載の評価を行った。その結果、表1に記載したように、いずれの実施例のインクも比較例のインクに比べて吐出安定性が良好で画像品位と堅牢性が良好な結果が得られた。
実施例1〜8のインクと比較例1〜4のインクを、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJF−660(キヤノン製)にそれぞれ搭載して、光沢紙SP101(キヤノン製)に印字を行い、表1に記載の評価を行った。その結果、表1に記載したように、いずれの実施例のインクも比較例のインクに比べて吐出安定性が良好で画像品位と堅牢性が良好な結果が得られた。
*1:吐出特性
各インクを60℃で3ヶ月間保管した後、15℃で湿度が10%の環境下において、100%ベタ画像を印字し3分間休止した後、再度100%ベタ画像を印字した画像を下記の評価基準で評価した。
◎:白スジが全く無く、正常に印字されている。
○:印字の最初の部分に僅かに白スジがみられる。
△:画像全体に白スジがみられる。
×:画像が殆ど印字されていない。
各インクを60℃で3ヶ月間保管した後、15℃で湿度が10%の環境下において、100%ベタ画像を印字し3分間休止した後、再度100%ベタ画像を印字した画像を下記の評価基準で評価した。
◎:白スジが全く無く、正常に印字されている。
○:印字の最初の部分に僅かに白スジがみられる。
△:画像全体に白スジがみられる。
×:画像が殆ど印字されていない。
*2:画像特性
各インクを60℃で3ヶ月間保管した後、15℃で湿度が10%の環境下において10mm間隔の方眼模様を印字し、印字した画像を下記の評価基準で評価した。
◎:顕微鏡で観察しても印字が全く乱れることなく、方眼模様は10mm間隔で正常に印字されている。
○:顕微鏡で観察すると一部に印字の乱れがみられるが、方眼模様は10mm間隔に印字されている。
△:肉眼でも一部に印字の乱れがみられ、方眼模様の一部が10mm間隔からずれている。
×:全体で印字の乱れが肉眼でみられ、方眼模様の全体が10mm間隔からずれている。
各インクを60℃で3ヶ月間保管した後、15℃で湿度が10%の環境下において10mm間隔の方眼模様を印字し、印字した画像を下記の評価基準で評価した。
◎:顕微鏡で観察しても印字が全く乱れることなく、方眼模様は10mm間隔で正常に印字されている。
○:顕微鏡で観察すると一部に印字の乱れがみられるが、方眼模様は10mm間隔に印字されている。
△:肉眼でも一部に印字の乱れがみられ、方眼模様の一部が10mm間隔からずれている。
×:全体で印字の乱れが肉眼でみられ、方眼模様の全体が10mm間隔からずれている。
*3:耐光性
印字物にキセノンランプを100時間照射した後の画像の反射濃度を測定し、耐光性試験前と耐光性試験後の反射濃度の残存率を求め耐光性の尺度とした。評価基準は下記の通りとした。
○:画像濃度の残存率が90%以上。
△:画像濃度の残存率が80%以上90%未満。
×:画像濃度の残存率が80%未満。
印字物にキセノンランプを100時間照射した後の画像の反射濃度を測定し、耐光性試験前と耐光性試験後の反射濃度の残存率を求め耐光性の尺度とした。評価基準は下記の通りとした。
○:画像濃度の残存率が90%以上。
△:画像濃度の残存率が80%以上90%未満。
×:画像濃度の残存率が80%未満。
*4:耐水性
印字から12時間以上放置後、印字物を5分間水道水中に静止し、水を乾燥させた後の画像の反射濃度を測定し、耐水性試験前と耐水性試験後の反射濃度の残存率を求め耐水性の尺度とした。評価基準は下記の通りとした。
○:画像濃度の残存率が90%以上。
△:画像濃度の残存率が80%以上90%未満。
×:画像濃度の残存率が80%未満。
印字から12時間以上放置後、印字物を5分間水道水中に静止し、水を乾燥させた後の画像の反射濃度を測定し、耐水性試験前と耐水性試験後の反射濃度の残存率を求め耐水性の尺度とした。評価基準は下記の通りとした。
○:画像濃度の残存率が90%以上。
△:画像濃度の残存率が80%以上90%未満。
×:画像濃度の残存率が80%未満。
本発明は、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも長期にわたって安定して記録することのできるインクジェット記録用インクを提供することができ、さらには堅牢性と品位に優れた画像を記録し得るインクジェット記録方法、およびこのようなインクを含むインクカートリッジおよびインクジェット記録装置を提供することができる。
13:ヘッド
14:流路(ノズル)
15:発熱素子基板
16:保護層
17−1、17−2:電極
18:発熱抵抗体層
19:蓄熱層
20:基板
21:インク
22:吐出オリフィス(微細孔)
23:メニスカス
24:インク小滴
25:被記録材
26:マルチノズル
27:ガラス板
28:発熱ヘッド
40:インク袋
42:栓
44:インク吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
70:記録ユニット
71:ヘッド部
72:大気連通口
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口
14:流路(ノズル)
15:発熱素子基板
16:保護層
17−1、17−2:電極
18:発熱抵抗体層
19:蓄熱層
20:基板
21:インク
22:吐出オリフィス(微細孔)
23:メニスカス
24:インク小滴
25:被記録材
26:マルチノズル
27:ガラス板
28:発熱ヘッド
40:インク袋
42:栓
44:インク吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
70:記録ユニット
71:ヘッド部
72:大気連通口
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口
Claims (16)
- 高分子分散剤、水不溶性色材、水溶性有機溶剤、および水を含有するインクジェット記録用インクにおいて、上記高分子分散剤が、少なくとも1種の疎水性ブロックと少なくとも1種の親水性ブロックとからなるブロック共重合体であって、かつ各ブロックがビニルエーテル類から構成されたものであり、上記水溶性有機溶剤として環状エーテルを少なくとも含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
- 環状エーテルが、ジメチルフラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシテトラヒドロフランおよびジオキサンから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 環状エーテルが、テトラヒドロフランである請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 環状エーテルが、前記高分子分散剤に対して質量比で0.01〜2.0倍の範囲で含有されている請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- インクジェット記録用インク中に、アルミニウムまたはアルミニウム化合物を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
- 高分子分散剤の疎水性ブロック部の溶解性パラメータが、前記環状エーテルの溶解性パラメータに対して、−2.0〜+1.0(J/cm3)1/2の範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
- 高分子分散剤の親水性ブロックが、アニオン性のビニルエーテル類から構成されている請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 高分子分散剤の親水性ブロックが、非イオン性のビニルエーテル類から構成されている請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 高分子分散剤の親水性ブロックが、非イオン性のビニルエーテル類から構成されているブロックと、アニオン性のビニルエーテル類から構成されているブロックとを少なくとも含む請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 高分子分散剤が、疎水性のビニルエーテル類で構成されたブロック、非イオン性の親水性ビニルエーテル類から構成されたブロック、およびアニオン性の親水性ビニルエーテル類から構成されたブロックの順番で少なくとも構成されている請求項9に記載のインクジェット記録用インク。
- 水不溶性色材が、顔料、油溶性染料、建染染料、および分散染料からなる群から選ばれる少なくとも1種の色材である請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- インクにエネルギーを与えて、該インクを飛翔させて被記録材に付与して行うインクジェット記録方法において、該インクが、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
- エネルギーが、熱エネルギーである請求項12に記載のインクジェット記録方法。
- 被記録材が、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層をもつ被記録材である請求項12に記載のインクジェット記録方法。
- インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、上記インクが請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
- インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジと、上記インクを吐出させるためのヘッド部を備えたインクジェット記録装置において、上記インクが請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003330425A JP2005097364A (ja) | 2003-09-22 | 2003-09-22 | インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006328119A (ja) * | 2005-05-23 | 2006-12-07 | Canon Finetech Inc | 顔料分散液の製造方法、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置 |
KR100727997B1 (ko) | 2005-10-10 | 2007-06-13 | 삼성전자주식회사 | 고리형 디에테르 화합물 또는 고리형 디티오란 화합물을포함하는 잉크젯 잉크 조성물 |
-
2003
- 2003-09-22 JP JP2003330425A patent/JP2005097364A/ja not_active Withdrawn
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JP4718896B2 (ja) * | 2005-05-23 | 2011-07-06 | キヤノンファインテック株式会社 | 顔料分散液の製造方法、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置 |
KR100727997B1 (ko) | 2005-10-10 | 2007-06-13 | 삼성전자주식회사 | 고리형 디에테르 화합물 또는 고리형 디티오란 화합물을포함하는 잉크젯 잉크 조성물 |
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