JP2005097029A - カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法およびカーボンナノチューブ組成物 - Google Patents

カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法およびカーボンナノチューブ組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
カーボンナノチューブを含有する組成物の精製する方法を提供する。
【解決手段】
カーボンナノチューブを含有する組成物を、下記一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体に浸し、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブを含有する組成物に含まれるカーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を個別に回収することにより、カーボンナノチューブの純度を高める。
ClHmXn・・・(1)
X=ハロゲン、O、N、Sのいずれかを含む置換基
l=1以上の原子価の許容される整数を表す
m=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
n=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
ただしn=m=0の場合は除く
【選択図】なし

Description

カーボンナノチューブは、高い機械的強度、高い導電性を有することから、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材の材料として期待されており、さらに、L/D(長さ/直径の比)が大きく、直径は数nmであることから、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセットの材料として期待されており、また、ナノサイズの空間を有することから、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤の材料として期待されている。
本発明は、上記用途に好適なカーボンナノチューブを得る、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法、および上記用途に好適なカーボンナノチューブ組成物に関する。
カーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。カーボンナノチューブは、高い機械的強度、高い導電性を有することから、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材の材料として期待されており、さらに、L/D(長さ/直径の比)が大きく、直径は数nmであることから、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセットの材料として期待されており、また、ナノサイズの空間を有することから、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤の材料として期待されている。いずれの用途の場合にも、高純度のカーボンナノチューブが要求されており、カーボンナノチューブとしては直径の細い単層や2〜5層のカーボンナノチューブが有利であり、グラファイト層の欠陥が少ない方が特性的に優れている。
カーボンナノチューブの製造方法として、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学気相成長法などが知られており(非特許文献1参照)、なかでも、グラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを安価に製造する方法として、触媒化学気相成長法が知られている(非特許文献2参照)。さらに触媒化学気相成長法では、カーボンナノチューブの層数を、単層、2〜5層に制御して製造できることが知られている(非特許文献3参照)。いずれの製造方法においても、カーボンナノチューブの製造には触媒金属が必要である場合が多い。このため、上記製造方法で得られたカーボンナノチューブを含有する組成物は、カーボンナノチューブ以外の不純物として触媒金属を含む。例えば、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学気相成長法では触媒金属を含み、触媒化学気相成長法では、触媒金属と固体担体からなる固体触媒を含む。さらに、上記製造方法で得られたカーボンナノチューブを含有する組成物は、固体触媒(触媒金属のみの場合や、触媒金属と固体担体からなる場合も、固体触媒と総称する)以外にも、アモルファスカーボンやグラファイト微粒子からなる炭素不純物が含まれる場合が多い。このため、上記製造方法によって得られたカーボンナノチューブを含有する組成物から、これら不純物を除去する精製方法が必要となる。従来から提案されている精製方法として、例えば、固体担体を除去するためにフッ化水素酸と接触させる方法(非特許文献4参照)、触媒金属を除去するために塩酸と接触させる方法(非特許文献5参照)、アモルファスカーボンを除去するために高温下で酸素と反応させる方法(非特許文献1参照)、がある。
しかしながら、従来の精製方法では、カーボンナノチューブを構成するグラファイト層に欠陥が生じ、カーボンナノチューブの耐熱性や、機械的強度、導電性、が失われる問題があった。このため、前述した用途の材料としてカーボンナノチューブを使用しても、十分な効果を得ることができなかった。特に、前述した用途の材料に最適と期待される、単層、2〜5層のカーボンナノチューブにおいては、カーボンナノチューブの損傷が著しく、収率も大幅に低下するなど、大きな問題であった。
さらに、従来の精製方法では、カーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒を除去する方法であり、コストや環境問題から、固体触媒を回収し再利用することが望まれている。中でも、固体触媒が重要な技術である触媒化学気相成長法において、カーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒を回収し再利用することが期待されている。
また、上記用途に使用するカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ同士の絡まり合いが少ない方が特性的に優れることから、カーボンナノチューブ同士の絡まり合いが少ないカーボンナノチューブ組成物が望まれている。さらに、カーボンナノチューブを含有する組成物は、かさ密度の非常に小さな粉末として市場に提供されるため、粉塵を取り扱う際の煩わしさがあり、作業性の改善が期待されている。
斉藤弥八、坂東俊治、カーボンナノチューブの基礎、株式会社コロナ社、p17、23、47 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)303(1999),117-124 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)360(2002),229-234 アプライド・フィジックス・エー(Applied Physics A)74(2002),345-348 マテリアル・レターズ(Materials Letters)57(2002),734-738
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、耐熱性、機械的強度、導電性、に優れるカーボンナノチューブを高純度で得ることができ、さらに、固体触媒を回収し再利用することができるカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法、および用途特性に優れ、作業性の良いカーボンナノチューブ組成物の提供を目的とする。
前記課題を達成するため、本発明は主として次のような構成をとる。
カーボンナノチューブを含有する組成物を、下記一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体に浸し、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブを含有する組成物に含まれるカーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を個別に回収することにより、カーボンナノチューブの純度を高めることを特徴とする、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法である。このようにして、耐熱性、機械的強度、導電性、に優れるカーボンナノチューブを高純度で得ることができる。
ClHmXn・・・(1)
X=ハロゲン、O、N、Sのいずれかを含む置換基
l=1以上の原子価の許容される整数を表す
m=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
n=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
ただしn=m=0の場合は除く
そして、一般式(1)で示される化合物が、
X=OH
l=1以上の原子価の許容される整数を表す
m=3以上の原子価の許容される整数を表す
n=1以上の原子価の許容される整数を表す
であることを特徴とすることで、カーボンナノチューブの精製効率を向上できる。
さらに、一般式(1)で示される化合物が、
l=5以上の原子価の許容される整数を表す
m=5以上の原子価の許容される整数を表す
n=0
であることを特徴とすることで、よりいっそうカーボンナノチューブの精製効率を向上できる。
また、カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す液体が、2つ以上の層に分かれた液体とすることで、カーボンナノチューブの精製効率を向上できる。中でも、各層を構成する液体の溶解度パラメータ(SP値)の差が10以上であることや、液体が水を5〜95重量%含むこと、水の代わりに塩化ナトリウム濃度0.1wt%以上の塩化ナトリウム水溶液や、pH6以下の酸性水溶液や、pH8以上のアルカリ性水溶液を含むことで、カーボンナノチューブの精製効率を向上できる。
また、カーボンナノチューブを含有する組成物を液体に浸した後、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブを含有する組成物に含まれるカーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を個別に回収する前に、撹拌処理や、超音波処理、遠心分離処理を行うことで、カーボンナノチューブの精製効率を向上できる。
さらに、カーボンナノチューブを含有する組成物に、200〜800℃で酸素を接触させた後、液体に浸すことで、カーボンナノチューブの精製効率を向上できる。
そして、上記のようなカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法は、次の要件(1)および(2)を満たす、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法を達成し、このようにして純度を高めたカーボンナノチューブは、耐熱性、機械的強度、導電性に優れる。(1)共鳴ラマン散乱測定法の測定により得られるスペクトルで1550〜1650cm-1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm-1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたときに、精製前のカーボンナノチューブを含有する組成物のラマンG/D比(RI)に対して、精製後の純度を高めたカーボンナノチューブのラマンG/D比(RII)の関係が、RII≧RI。(2)大気雰囲気中で10℃/分で昇温して900℃まで熱分析を行ったとき、温度300〜900℃の範囲に発熱ピークを持ち、精製前のカーボンナノチューブを含有する組成物の発熱ピーク温度(TI)に対して、精製後の純度を高めたカーボンナノチューブの発熱ピーク温度(TII)の関係が、TII≧TI。
カーボンナノチューブを含有する組成物が、固体触媒を含有することを特徴とする場合、本発明の方法によってカーボンナノチューブの純度を高めるだけでなく、固体触媒を回収、再利用する事が出来るため、その効果は大きい。特に固体触媒が、固体担体に触媒金属が担持された形態であり、固体担体がゼオライトである場合、その効果は非常に大きい。このように、本発明はカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれるカーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部のうち、固体触媒が多く含まれる溶液部を回収し、この固体触媒を再利用することを特徴とするカーボンナノチューブの精製方法にも関わる。
単層や2〜5層のカーボンナノチューブは、層数が少なく、従来の精製方法では、耐熱性、機械的強度、導電性、が著しく失われ、収率も大幅に低下していた。本発明によるカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法は、単層や2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物に特に効果が高い。
また、本発明は、液体にカーボンナノチューブが0.01重量%以上含まれ、且つ液体中でのカーボンナノチューブのかさ密度が50g/リットル以下であるカーボンナノチューブ組成物にも関わる。このようなカーボンナノチューブ組成物は、カーボンナノチューブ同士の絡まり合いが少なく、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材の材料、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセットの材料、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤の材料として好適である。さらに、粉塵による取り扱いの煩わしさがなく、作業性に優れる。
さらに、カーボンナノチューブが含まれる液体が、下記一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体であることを特徴とするカーボンナノチューブ組成物にも関わる。
ClHmXn・・・(1)
X=ハロゲン、O、N、Sのいずれかを含む置換基
l=1以上の原子価の許容される整数を表す
m=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
n=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
ただしn=m=0の場合は除く
このような組成物は、カーボンナノチューブ同士の絡まり合いがより少なく、用途特性に優れる。
また、一般式(1)に示す化合物が、
X=OH
l=4以上の原子価の許容される整数を表す
m=4以上の原子価の許容される整数を表す
n=1以上の原子価の許容される整数を表す
であることを特徴とする、カーボンナノチューブ組成物にも関わる。
さらに、一般式(1)に示す化合物が、
l=5以上の原子価の許容される整数を表す
m=5以上の原子価の許容される整数を表す
n=0
であることを特徴とする、カーボンナノチューブ組成物にも関わる。
これら組成物は、なかでも、単層や2〜5層のカーボンナノチューブを含むことが用途特性に優れることから好ましい。
また、これら組成物は本発明のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法によって容易に得ることができる。
本発明によれば、カーボンナノチューブを含有する組成物を、下記一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体に浸し、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブを含有する組成物に含まれるカーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を個別に回収することにより、カーボンナノチューブの純度を高めることができる。
ClHmXn・・・(1)
X=ハロゲン、O、N、Sのいずれかを含む置換基
l=1以上の原子価の許容される整数を表す
m=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
n=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
ただしn=m=0の場合は除く
さらに、カーボンナノチューブを含有する組成物が固体触媒を含有することを特徴とする場合、固体触媒を回収、再利用する事が出来る。
また、液体にカーボンナノチューブが0.01重量%以上含まれ、且つ液体中でのカーボンナノチューブのかさ密度が50g/リットル以下であることを特徴とする、カーボンナノチューブ組成物は、カーボンナノチューブ同士の絡まり合いが少なく、さらに作業性に優れ、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材の材料、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセットの材料、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤の材料として好適である。
本発明のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法は、カーボンナノチューブを含有する組成物を、下記一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体に浸し、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブを含有する組成物に含まれるカーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を個別に回収することにより、カーボンナノチューブの純度を高めることを特徴とする。このようにして、耐熱性、機械的強度、導電性、に優れるカーボンナノチューブを高純度で得ることができる。
ClHmXn・・・(1)
X=ハロゲン、O、N、Sのいずれかを含む置換基
l=1以上の原子価の許容される整数を表す
m=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
n=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
ただしn=m=0の場合は除く
なお、以下詳細に説明するが、本発明におけるカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法は、カーボンナノチューブとフラーレンを含有する組成物を、トルエン、ベンゼン、ヘキサンなどの有機溶媒に接触させ、カーボンナノチューブとフラーレンの溶解性の差を利用して、固液分離によってカーボンナノチューブとフラーレンを分離させる方法とは異なる技術である。
カーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。カーボンナノチューブの形態は、高分解能透過型電子顕微鏡で調べることができる。グラファイトの層は、透過型電子顕微鏡でまっすぐにはっきりと見えるほど好ましいが、グラファイト層は乱れていても構わない。グラファイト層が乱れたものは、カーボンナノファイバーと定義することがあるが、このようなカーボンナノファイバーも本発明においてはカーボンナノチューブに含むものとする。
カーボンナノチューブの製造方法として、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学気相成長法などが知られており、なかでも、グラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを安価に製造する方法として、触媒化学気相成長法が知られている。さらに触媒化学気相成長法では、カーボンナノチューブの層数を、単層、2〜5層に制御して製造できることが知られている。上記製造方法で得られたカーボンナノチューブを含有する組成物は、カーボンナノチューブ以外の不純物を含む。例えば、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学気相成長法ではアモルファスカーボン等の炭素不純物や固体触媒(触媒金属のみからなる)を含み、触媒化学気相成長法では、固体触媒(触媒金属と固体担体からなる)を含む。
本発明におけるカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法は、以下のような不純物が含まれているカーボンナノチューブを含有する組成物に効果的である。例えば、非晶性シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、ゼオライト、アスベスト、ガラス繊維などの無機材料からなる固体担体や、元素周期表に定められた1族〜16族の典型金属元素、および遷移金属元素から選ばれる金属元素を含む金属やこれらの酸化金属、アモルファスカーボンやナノパーティクルと呼ばれる微少なグラファイト粒子などの炭素不純物である。
アモルファスカーボンやナノパーティクルなどの炭素不純物は、その構造上、カーボンナノチューブと比較して、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基などの官能基が多く、極性の大きな溶媒に分散しやすいと考えることができる。本発明におけるカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法では、カーボンナノチューブと炭素不純物の溶媒との親和性の違いを利用することで、カーボンナノチューブと炭素不純物の分離精製が達成される。さらに、同様の理由により、構造欠陥の多いカーボンナノチューブと構造欠陥の少ないカーボンナノチューブの分離精製も達成される。また、カーボンナノチューブのグラファイト層に官能基を付与した修飾カーボンナノチューブと未処理のカーボンナノチューブを分離精製することもできる。
通常、カーボンナノチューブを含有する組成物には、カーボンナノチューブを製造する時に使用する固体触媒が混入しているが、同様に、カーボンナノチューブと固体触媒の溶媒との親和性の違いを利用することで、カーボンナノチューブと固体触媒の分離精製が達成される。また、カーボンナノチューブと固体触媒の比重の違いを利用することによっても、カーボンナノチューブと固体触媒の分離精製が達成される。
本発明のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法によって、耐熱性、機械的強度、導電性、に優れるカーボンナノチューブが得られる理由を以下に説明する。カーボンナノチューブのグラファイト層は炭素六員環で構成されており、グラファイト層の表面はパイ電子で覆われている。カーボンナノチューブのグラファイト層に、炭素原子の欠落などによる構造的欠陥が存在すると、カーボンナノチューブの耐熱性や機械的強度は低下する。また、カーボンナノチューブのグラファイト層に、不対電子対や官能基、付着物などによる電子的欠陥が存在すると、カーボンナノチューブの導電性は低下する。つまり、カーボンナノチューブのグラファイト層に構造的欠陥や電子的欠陥が多いと、カーボンナノチューブの耐熱性、機械的強度、導電性、は失われる。本発明におけるカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法は、従来の様に過激な酸処理を必要としないため、カーボンナノチューブのグラファイト層に構造的欠陥や電子的欠陥が生じることなく、カーボンナノチューブの純度を高めることができる。このようなカーボンナノチューブは、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセット、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤などの用途に好適な材料となりうる。
カーボンナノチューブのグラファイト層の欠陥は、例えば以下の方法で評価することができる。共鳴ラマン散乱測定法の測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm-1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm-1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたときに、G/D比で評価することができる。Gはグラファイト構造に起因したピークで、Dはグラファイト構造の欠陥に起因したピークであり、グラファイト構造に欠陥が多いと、G/D比は小さくなる。つまり、G/D比が大きいカーボンナノチューブほど、グラファイト層に欠陥が少なく、耐熱性、機械的強度、導電性、に優れると考える。また、大気雰囲気中で10℃/分で昇温して900℃まで熱分析を行ったとき、温度300〜900℃の範囲の発熱ピーク温度で評価することができる。カーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が多いと、発熱ピーク温度は低くなる。つまり、発熱ピーク温度が高いカーボンナノチューブほど、グラファイト層に欠陥が少なく、耐熱性、機械的強度、導電性に優れると考える。このことから、本発明のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法によって得た精製後のカーボンナノチューブ組成物が、精製前のカーボンナノチューブを含有する組成物とG/D比、発熱ピーク温度が同等の場合は、カーボンナノチューブのグラファイト層に構造的欠陥や電子的欠陥が生じることなく、カーボンナノチューブの純度を高めることができたと考える。また、本発明のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法によって得た精製後のカーボンナノチューブ組成物が、精製前のカーボンナノチューブを含有する組成物よりもG/D比が大きい場合や、発熱ピーク温度が高い場合は、カーボンナノチューブと炭素不純物の分離精製や、構造欠陥の多いカーボンナノチューブと構造欠陥の少ないカーボンナノチューブの分離精製ができたと考える。
以下、より具体的に本発明のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法の操作を説明する。一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体を容器に入れ、そこにカーボンナノチューブを含有する組成物を投入し、静置する。しばらくすると、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブ以外の成分が多く含まれる溶液部に分かれる。例えば、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部が底部(沈殿)で、カーボンナノチューブ以外の成分が多く含まれる溶液部が上部(上澄み)である。この溶液の上部と底部をそれぞれ個別に回収することで、カーボンナノチューブの純度を高めることができる。回収したカーボンナノチューブが多く含まれる溶液部は、再び一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体に加えて、静置後、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブ以外の成分が多く含まれる溶液部をそれぞれ個別に回収し、さらにカーボンナノチューブの純度を高めることもできる。また、回収したカーボンナノチューブが多く含まれる溶液部を固液分離し、純度を高めたカーボンナノチューブを固体として得ることもできる。同様に、回収したカーボンナノチューブ以外の成分が多く含まれる溶液部を、再び一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体に加えて、静置後、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブ以外の成分が多く含まれる溶液部をそれぞれ個別に回収し、カーボンナノチューブの回収率を高めることもできるし、回収したカーボンナノチューブ以外の成分が多く含まれる溶液部を固液分離し、カーボンナノチューブ以外の成分を固体として得ることもできる。
また、本発明のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法によって得た純度を高めたカーボンナノチューブを、酸性水溶液やアルカリ水溶液と接触させ、残りの固体触媒を除去して、さらに純度を高めたカーボンナノチューブを得ることもできる。この時、本発明のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法によって得た、純度を高めたカーボンナノチューブに含まれる固体触媒の量は少量であるので、酸処理やアルカリ処理の条件をマイルドにでき、欠陥の少ない用途特性に優れたカーボンナノチューブを得ることができる。酸性水溶液の種類としては、フッ化水素酸、硫酸、塩酸、硝酸などの水溶液を用いることができ、これらを単独で用いても、2種類以上混合して用いても構わない。アルカリ性水溶液の種類としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニアなどの水溶液を用いることができる。これらを単独で用いても、混合して用いても構わない。
本発明で使用する一般式(1)に示す化合物は、
ClHmXn・・・(1)
X=ハロゲン、O、N、Sのいずれかを含む置換基
l=1以上の原子価の許容される整数を表す
m=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
n=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
ただしn=m=0の場合は除く
であり、好ましくはl=1〜10、m=0〜22、n=0〜10(ただしn=m=0の場合は除く)、さらに好ましくはl=1〜6、m=0〜14、n=0〜6(ただしn=m=0の場合は除く)の範囲である。
そして、一般式(1)で示される化合物は、
X=OH
l=1以上の原子価の許容される整数を表す
m=3以上の原子価の許容される整数を表す
n=1以上の原子価の許容される整数を表す
が好ましく、より好ましくはl=1〜10、m=3〜22、n=1〜10、さらに好ましくはl=1〜6、m=3〜14、n=1〜6の範囲であり、このような化合物を用いることでカーボンナノチューブの精製効率を向上できる。
さらに、一般式(1)で示される化合物は、
l=5以上の原子価の許容される整数を表す
m=5以上の原子価の許容される整数を表す
n=0
が好ましく、より好ましくはl=5〜10、m=5〜22、n=0、さらに好ましくはl=5〜6、m=5〜14、n=0の範囲であり、このような化合物を用いることで、さらにカーボンナノチューブの精製効率を向上できる。
上記一般式(1)で示される化合物として、具体的には、例えば、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機化合物、ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素化合物、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル等のハロゲン化合物、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等のアルコール・フェノール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、メチルカルビトール、エチルカルビトール等のエーテル類、フルフラール、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のアルデヒド・ケトン類、ギ酸、酢酸、無水酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の酸および誘導体、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、t−ペンチルアミン、ヘキシルアミン、アニリン等のニトロ化合物・アミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物を挙げることができる。
より好ましい化合物として、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等のアルコール・フェノール類を挙げることができる。
さらに好ましい化合物として、例えば、ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素化合物を挙げることができる。
特に好ましい化合物として、例えば、ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−ヘキサン、シクロヘキサンを挙げることができる。
カーボンナノチューブを含有する組成物を一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体に浸す際の、カーボンナノチューブを含有する組成物の量と一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体の量としては、カーボンナノチューブを含有する組成物1gに対して、一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体の量が1〜1000mlであり、好ましくは2〜500mlであり、特に好ましくは5〜200mlである。
一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体を入れる容器としては、耐薬品製の容器であれば特に限定されることはなく、例えば、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、テフロン、FRP、CFRPからなる容器を用いることができる。なかでも、分液が容易な構造を持つ容器を使用すると、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブ以外の成分が多く含まれる溶液部をそれぞれ個別に回収する操作が容易となり好ましい。少量の取り扱い(実験室レベルでの取り扱い)であれば、ビーカーや三角フラスコなど公知の器具を使用でき、なかでも、分液ロートを使用すると、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブ以外の成分が多く含まれる溶液部をそれぞれ個別に回収する操作が容易となり好ましい。
さらに、カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す液体が、2種類以上の成分を含み、2つ以上の層に分かれた液体とすることで、カーボンナノチューブの精製効率を向上できる。この理由は、カーボンナノチューブとの親和性が強い液体層と、炭素不純物、固体触媒の溶媒との親和性が強い液体層の2つ以上の層を用いて、それぞれの層を液液分離することで、容易且つ高効率でカーボンナノチューブを多く含む溶液部と、カーボンナノチューブ以外の不純物を多く含む溶液部をそれぞれ個別に回収できるためである。
中でも、2つ以上の層に分かれた液体各層を構成する液体の溶解度パラメータ(SP値)の差が10以上であると、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒の溶媒との親和性の違いをより積極的に利用することができる。SP値の差が15以上であると、より好ましい。例えば、水と有機溶媒の2つの層に分かれた液体を用いる場合、水のSP値は23.4であるから、SP値が13.4以下の有機溶媒を用いることが好ましく、SP値が8.4以下の有機溶媒を用いることがより好ましい。より具体的には、例えば、水と炭化水素化合物からなる液体の組み合わせであり、水とペンタノール、水とn−ヘキサノール、水とシクロヘキサノール、水とシクロヘキサン、水とn−ヘキサンの組み合わせが好ましく、水とシクロヘキサン、水とn−ヘキサンの組み合わせが特に好ましい。
そして、水は極性が大きいため、カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す液体として、水を含むと、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒を効率よくそれぞれ個別に回収できる。特に、前述したように水と有機溶媒の少なくとも2つ以上の層に分かれた液体を用いることが効果的である。また、水はコスト面で効果的である。カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す、一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体中に占める水の割合としては、5〜95重量%が好ましく、より好ましくは20〜90重量%であり、特に好ましくは30〜80重量%である。
また、カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す液体として、水の代わりに塩化ナトリウム濃度0.1wt%以上の塩化ナトリウム水溶液を用いると、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒をより効率よくそれぞれ個別に回収できる。特に、前述したように塩化ナトリウム水溶液と有機溶媒の少なくとも2つ以上の層に分かれた液体を用いることが効果的である。水と比較して塩化ナトリウム水溶液を用いた方が、塩析の効果により、カーボンナノチューブの回収効率が向上する。カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す、一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体中に占める塩化ナトリウム水溶液の割合としては、5〜95重量%が好ましく、より好ましくは20〜90重量%であり、特に好ましくは30〜80重量%である。塩化ナトリウム水溶液の濃度は、0.1wt%以上、好ましくは1wt%以上、より好ましくは5wt%以上が、塩析効果を高めることができ好ましい。
さらに、カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す液体として、水の代わりにpH6以下の酸性水溶液を含むと、カーボンナノチューブを含む組成物のゼータ電位を調整でき、カーボンナノチューブや固体触媒の凝集を防ぐことができ、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒を効率よくそれぞれ個別に回収できる。特に、前述したように酸性水溶液と有機溶媒の少なくとも2つ以上の層に分かれた液体を用いることが効果的である。酸性水溶液の種類としては、フッ化水素酸、硫酸、塩酸、硝酸などの水溶液を用いることができ、これらを単独で用いても、2種類以上混合して用いても構わない。カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す、一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体中に占める酸性水溶液の割合としては、5〜95重量%が好ましく、より好ましくは20〜90重量%であり、特に好ましくは30〜80重量%である。
また、カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す液体として、水の代わりにpH8以上のアルカリ性水溶液を含むと、カーボンナノチューブを含む組成物のゼータ電位を調整でき、カーボンナノチューブや固体触媒の凝集を防ぐことができ、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒を効率よくそれぞれ個別に回収できる。特に、前述したようにアルカリ性水溶液と有機溶媒の少なくとも2つ以上の層に分かれた液体を用いることが効果的である。アルカリ性水溶液の種類としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニアなどの水溶液を用いることができる。これらを単独で用いても、混合して用いても構わない。カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す、一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体中に占めるアルカリ性水溶液の割合としては、5〜95重量%が好ましく、より好ましくは20〜90重量%であり、特に好ましくは30〜80重量%である。
カーボンナノチューブを含有する組成物を液体に浸した後、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブを含有する組成物に含まれるカーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を個別に回収する前に、撹拌処理を行うと、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒を効率よくそれぞれ個別に回収できる。撹拌処理は、スターラーやスリーワンモーターと撹拌羽根を用いた通常の撹拌で良く、カーボンナノチューブのグラファイト層に構造的欠陥や電子的欠陥が生じにくいことや、スケールアップが容易であり工業化に向いている利点がある。アトライター(回転数は100rpm以上が好ましい)、ボールミル(ボールの衝撃は1G以上が好ましい)等の機械的衝撃を加える攪拌でもよい。
また、カーボンナノチューブを含有する組成物を液体に浸した後、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブを含有する組成物に含まれるカーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を個別に回収する前に、超音波処理を行うと、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒をさらに効率よくそれぞれ個別に回収できる。超音波処理は、出力が大きいものほど良く、10W以上、好ましくは20W以上、さらに好ましくは50W以上であることが好ましい。
さらに、カーボンナノチューブを含有する組成物を液体に浸した後、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブを含有する組成物に含まれるカーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を個別に回収する前に、遠心分離処理を行うことで、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒を効率よくそれぞれ個別に回収できる。遠心分離処理は、遠心加速度500(×g)以上、好ましくは1000(×g)以上が、カーボンナノチューブの精製効率を高めることから好ましい。
さらに、カーボンナノチューブを含有する組成物に、200〜800℃で酸素を接触させた後、液体に浸すことで、カーボンナノチューブの精製効率を向上できる。カーボンナノチューブの製造に使用された固体触媒は、表面が炭素で覆われた形態でカーボンナノチューブを含有する組成物中に存在する。この状態に200〜800℃で酸素を接触させ、固体触媒表面の炭素を取り除いた後、液体に浸すことで、カーボンナノチューブと炭素不純物、固体触媒を効率よくそれぞれ個別に回収できる。カーボンナノチューブを含有する組成物に酸素を接触させる際の温度は、組成物中に存在する固体触媒を覆っている炭素が除去できる温度であれば良く、カーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が生じることなく高収率で回収できることから、200〜800℃、好ましくは300〜600℃、より好ましくは350〜500℃の温度が好適である。酸素と接触させる時間は、カーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が生じない範囲で任意に選ぶことができる。
そして、上記のようなカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法は、精製前のカーボンナノチューブを含有する組成物のラマンG/D比(RI)と発熱ピーク温度(TI)に対して、精製後の純度を高めたカーボンナノチューブのラマンG/D比(RII)と発熱ピーク温度(TII)の関係が、RII≧RI、且つ、TII≧TIであることを特徴とする、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法となる。前述したように、ラマンG/D比が大きく、発熱ピーク温度が高いカーボンナノチューブは、耐熱性、機械的強度、導電性に優れる。このようなカーボンナノチューブは、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセット、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤などの用途に好適な材料となる。
本発明に用いるカーボンナノチューブの製造方法は、特に限定されるものではなく、前述したような様々な技術によって製造されたカーボンナノチューブを用いることができる。とりわけ、触媒化学気相成長法で製造したカーボンナノチューブを用いることが好ましい。以下、詳細にその理由を述べるが、ここにその理由を要約すると、カーボンナノチューブを安価に製造できるためコスト的に優れること、得られるカーボンナノチューブがグラファイト層の欠陥が少なく、直径の細い単層や2〜5層のカーボンナノチューブであるため特性的に優れていることによる。
触媒化学気相成長法のより具体的な方法として、500〜1200℃の高温条件下で固体触媒と炭素含有化合物を接触させる方法が好ましい。この方法により、グラファイト層に欠陥が少ないカーボンナノチューブを安価に製造できる。
固体触媒を構成する触媒金属の種類としては、元素周期表に定められた1族〜16族より選ばれる典型金属元素、遷移金属元素を少なくとも1種類以上含む金属元素を挙げることができる。中でも、触媒金属に、Co、Fe、Niより選ばれる金属元素を少なくとも1種類以上用いることで、グラファイト層の欠陥が少ないカーボンナノチューブを、収率良く合成することが可能となり好ましい。
また、炭素含有化合物としては、気体、液体、固体いずれでも良いが、500〜1200℃の高温条件下でガス状となり固体触媒と接触することが、収率良くカーボンナノチューブが得られることから好ましい。炭素含有化合物の種類としては、炭素原子を含有していれば特に限定はないが、通常は一酸化炭素や炭化水素化合物であり、脂肪族であっても芳香族であってもよく、炭素炭素結合も飽和結合であっても不飽和結合を含んでいても良い。これらは、単独で使用しても、混合して使用しても構わない。芳香族の炭化水素では、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン又はこれらの混合物などを使用することができる。また、非芳香族の炭化水素では、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレンもしくはアセチレン、又はこれらの混合物等を使用することができる。炭化水素では、酸素を含むもの、例えばメタノール若しくはエタノール、プロパノール、ブタノールのごときアルコール類、アセトンのごときケトン類、及びホルムアルデヒドもしくはアセトアルデヒドのごときアルデヒド類、トリオキサン、ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルのごときカルボン酸類、酢酸エチルなどのエステル類又はこれらの混合物であってもよい。
炭素含有化合物は、窒素、アルゴン、水素、ヘリウム等の不活性ガスとの混合物を用いても、単独で用いても構わないが、固体触媒に炭素ガスが供給される反応場は、不活性ガス、または真空雰囲気下(減圧下)であることが、収率良くカーボンナノチューブが得られることから好ましい。
固体触媒と炭素含有化合物を接触させる温度は、500℃〜1200℃、好ましくは600℃〜1000℃である。温度が低いと収率良くカーボンナノチューブを得ることが困難になり、温度が高いと使用する反応器の材質に制約が生じる。
固体触媒と炭素含有化合物の接触のさせ方は特に限定されない。例えば、固体触媒を加熱炉内に保持し、炭素含有化合物を加熱炉内に供給して加熱炉内で接触させる方法や、固体触媒を加熱炉で流動させ、炭素含有化合物を加熱炉内に供給して加熱炉内で接触させる方法などがある。
さらに、上記カーボンナノチューブの製造方法において、固体担体に金属が担持された形態を特徴とする固体触媒を用いることで、直径の制御されたカーボンナノチューブを製造することができ好ましい。
固体担体としては有機物でも無機物でも良いが、耐熱性の観点から無機物が好ましい。無機の固体担体としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、ケイ酸塩、珪藻土、アルミノシリケート、層状化合物、ゼオライト、活性炭、グラファイトなどを挙げることができる。中でも触媒金属が均一に担持できる無機多孔体が好ましい。特にゼオライトが好ましく、その理由は後述するが、品質の良いカーボンナノチューブが収率良く得られることによる。
固体担体の触媒金属の担持量は、好ましくは0.1重量%〜10.0重量%、より好ましくは0.5重量%〜5.0重量%であることが、直径の制御されたカーボンナノチューブを選択的に得られることから好ましい。
固体担体への触媒金属の担持方法は特に限定されない。担持したい金属塩を溶解させた水や非水溶液中(例えばエタノール溶液)に、固体担体を含浸し、充分に分散混合した後、乾燥させ、空気中や不活性ガス中で高温(300〜600℃)で加熱することによって、固体担体表面に金属を担持することができる含浸法や、金属塩の水溶液またはアルコール量をなるべく少なくし、固体担体の細孔内に、該水溶液を吸着させ、余分な水溶液またはアルコールをろ過などで除去して乾燥させる平衡吸着法や、金属カチオンと固体担体のカチオンを水溶液中で交換するイオン交換法などが用いられる。また、含浸法や平行吸着法によって固体担体に金属塩を担持させた後に乾燥させ、窒素、水素、不活性ガスまたはその混合ガス中で高温(300〜900℃)で加熱することにより、担体の結晶表面に金属を担持させることもできる。金属塩を担持した後、空気中で焼成して金属酸化物にすることもできる。
上記の方法で用いる金属塩は特に限定されない。硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩などの無機酸塩、エチレンジアミン4酢酸錯体やアセチルアセトナート錯体のような錯塩、金属のハロゲン化物、有機錯塩などが用いられる。
また、固体担体にゼオライトを用いることが、グラファイト層の欠陥が少ない単層や2〜5層の直径の細いカーボンナノチューブを主成分とする、カーボンナノチューブを含有する組成物を製造することができ特に好ましい。
ゼオライトとは、分子サイズの細孔径を有した結晶性無機酸化物である。分子サイズとは、世の中に存在する分子のサイズの範囲であり、一般的には、0.2から2nm程度の範囲を意味する。さらに具体的には、結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、あるいは結晶性メタロアルミノフォスフェート等で構成された結晶性マイクロポーラス物質のことである。結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、結晶性メタロアルミノフォスフェートの種類は特に制限がなく、例えば、アトラス オブ ゼオライト ストラクチュア タイプス(マイヤー、オルソン、バエロチャー、ゼオライツ、17(1/2)、1996)(Atlas of Zeolite Structure types(W. M. Meier, D. H. Olson, Ch. Baerlocher, Zeolites, 17(1/2), 1996))に掲載されている構造をもつ結晶性無機多孔性物質が挙げられる。また、本文献に掲載されているものに限定されるものではなく、近年次々と合成されている新規な構造を有するゼオライトも含む。好ましい構造は、入手が容易なFAU型、MFI型、MOR型、BEA型であるが、これに限定されない。
カーボンナノチューブを含有する組成物が、固体触媒を含有することを特徴とする場合、本発明の方法によってカーボンナノチューブの純度を高めるだけでなく、固体触媒を回収、再利用する事が出来る。
特に固体触媒が、固体担体に金属が担持された形態であり、固体担体がゼオライトである場合、得られるカーボンナノチューブがグラファイト層の欠陥が少なく、直径の細い単層や2〜5層のカーボンナノチューブであるため特性的に優れていることにより、この固体触媒を再利用する効果は非常に大きい。
このように、本発明はカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれるカーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部のうち、固体触媒が多く含まれる溶液部を回収し、この固体触媒を再利用することを特徴とするカーボンナノチューブの精製方法にも関わる。
本発明の精製方法によって、不純物が除去でき、純度を高めたカーボンナノチューブが得られるばかりでなく、耐熱性、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブが高収率で得られる。このようなカーボンナノチューブは、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセット、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤などの用途に好適な材料となる。
カーボンナノチューブの中でも、単層や2〜5層のカーボンナノチューブが上記用途に優れると考えられ、特に2〜5層のカーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブに比べて耐熱性に優れることから上記用途に最適と考えられる。そして、本発明によるカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法を、単層や2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物に用いることは、特に効果的である。ここでいう単層や2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物とは、組成物に含まれるカーボンナノチューブの一部が、単層のカーボンナノチューブや、2〜5層のカーボンナノチューブで構成されていてもよい。好ましい状態としては、組成物に含まれるカーボンナノチューブの主成分が、単層のカーボンナノチューブ、および/または、2〜5層のカーボンナノチューブである状態である。従来の精製方法では、単層や2〜5層のカーボンナノチューブは、層数が少なく、耐熱性、機械的強度、導電性、が著しく失われ、収率も大幅に低下していた。このため、本発明によるカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法は、単層や2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物に特に効果が高い。本発明による精製方法によって得られた単層や2〜5層のカーボンナノチューブは、上記用途に好適であり、中でも2〜5層のカーボンナノチューブが最適である。
また、本発明は、液体にカーボンナノチューブが0.01重量%以上含まれ、且つ液体中でのカーボンナノチューブのかさ密度が50g/リットル以下であるカーボンナノチューブ組成物にも関わる。このようなカーボンナノチューブ組成物は、これまでのように粉体による取り扱いの煩わしさがなく作業性に優れ、粉塵による人体への影響も少ない利点が考えられる。さらに、かさ密度が50g/リットルであることは、カーボンナノチューブ同士の絡まり合いが少なく、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材の材料、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセットの材料、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤の材料としての用途特性に優れると考えられる。かさ密度が小さいほど、カーボンナノチューブ同士の絡まり合いが少ないことを意味しており、著しく絡まり合いが少ない状態では、カーボンナノチューブ1本1本が液体中に分散しコロイド溶液状となる。本発明の組成物は、液体中に含まれるカーボンナノチューブの一部または全部がコロイド溶液状になっていても良いが、必ずしもその必要はなく、カーボンナノチューブが沈殿または浮遊している状態でも構わない。液体中に含まれるカーボンナノチューブの重量としては、0.01重量%以上であり、好ましくは0.01〜5重量%の範囲であり、より好ましくは0.01〜2.5重量%の範囲であり、特に好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。液体中でのカーボンナノチューブのかさ密度としては、50g/リットル以下、好ましくは25g/リットル以下、より好ましくは10g/リットル以下であることが、カーボンナノチューブの絡まり合いが少なく、用途特性に優れることから好ましい。液体中でのカーボンナノチューブのかさ密度は、例えば次のようにして求めることができる。メスシリンダーに組成物を投入し、7日間静置後、カーボンナノチューブで満たされた部分の最上面の数値(A)を読みとる。次に、メスシリンダー内の組成物を固液分離、固体部分として回収したカーボンナノチューブを乾燥し秤量(B)する。(B)/(A)を計算することで、液体中でのカーボンナノチューブのかさ密度が求められる。
また、本発明は上記カーボンナノチューブ組成物に含まれる液体が、下記一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体であることを特徴とする、カーボンナノチューブ組成物にも関わる。
ClHmXn・・・(1)
X=ハロゲン、O、N、Sのいずれかを含む置換基
l=1以上の原子価の許容される整数を表す
m=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
n=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
ただしn=m=0の場合は除く
このようなカーボンナノチューブ組成物は、カーボンナノチューブ同士の絡まり合いがより少なく、前述した用途特性に優れることから好ましい。一般式(1)において、l=1以上、m=0以上、n=0以上(ただしn=m=0の場合は除く)であり、好ましくはl=1〜10、m=0〜22、n=0〜10(ただしn=m=0の場合は除く)、さらに好ましくはl=1〜6、m=0〜14、n=0〜6(ただしn=m=0の場合は除く)の範囲である。
また、一般式(1)に示す化合物を
X=OH
l=4以上の原子価の許容される整数を表す
m=4以上の原子価の許容される整数を表す
n=1以上の原子価の許容される整数を表す
を特徴とすることで、さらに作業性に優れるカーボンナノチューブ組成物となることから、好ましい。一般式(1)において、l=1以上、m=3以上、n=1以上であり、好ましくはl=1〜10、m=3〜22、n=1〜10、さらに好ましくはl=1〜6、m=3〜14、n=1〜6の範囲である。
さらに、一般式(1)に示す化合物を
l=5以上の原子価の許容される整数を表す
m=5以上の原子価の許容される整数を表す
n=0
を特徴とすることで、耐吸湿性に優れ、よりいっそう作業性に優れるカーボンナノチューブ組成物となることから、好ましい。一般式(1)において、l=5以上、m=5以上、n=0であり、好ましくはl=5〜10、m=5〜22、n=0、さらに好ましくはl=5〜6、m=5〜14、n=0の範囲である。
上記一般式(1)で示される化合物として、例えば、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機化合物、ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素化合物、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル等のハロゲン化合物、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等のアルコール・フェノール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、メチルカルビトール、エチルカルビトール等のエーテル類、フルフラール、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のアルデヒド・ケトン類、ギ酸、酢酸、無水酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の酸および誘導体、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、t−ペンチルアミン、ヘキシルアミン、アニリン等のニトロ化合物・アミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物を挙げることができる。
より好ましい化合物として、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等のアルコール・フェノール類を挙げることができる。
さらに好ましい化合物として、例えば、ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素化合物を挙げることができる。
特に好ましい化合物として、例えば、ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−ヘキサン、シクロヘキサンを挙げることができる。
一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体中に含まれるカーボンナノチューブ組成物の重量は、0.01重量%以上であり、好ましくは0.01〜5重量%の範囲であり、より好ましくは0.01〜2.5重量%の範囲であり、特に好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。
これらカーボンナノチューブ組成物は、なかでも、単層や2〜5層のカーボンナノチューブを含むことが用途特性に優れることから好ましく、特に2〜5層のカーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブに比べて耐熱性に優れることから用途特性に最適と考えられる。
これらカーボンナノチューブ組成物を、本発明のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法によって得ることが、その操作が容易であることや、カーボンナノチューブ同士の絡まり合いが特に少ないため用途特性に優れ好ましい。つまり、カーボンナノチューブを含有する組成物を、一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体中に浸し、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部をそれぞれ個別に回収し、このとき得られた高純度のカーボンナノチューブは、既に一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体中に存在するため、容易に得ることができる。そして、純度を高めたカーボンナノチューブは、互いに絡まり合う性質があるが、本発明の精製方法で得られる純度を高めたカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブの純度を高める全工程で、一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体中で取り扱われるため、カーボンナノチューブ同士の絡まり合いが少なく、用途特性に優れる。このようにして得た一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体中に存在するカーボンナノチューブ組成物を、溶媒置換することにによって、一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体中から、それ以外の液体中に存在するカーボンナノチューブ組成物としてもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても、本発明を限定的に解釈するものとして使用してはならない。
<参考例1>
(TS−1ゼオライトへの金属塩の担持)
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.1gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク)社製)2.1gとをエタノール(ナカライテスク社製)400mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に、TS−1ゼオライト(エヌイーケムキャット製、ケイ素/チタン比50)を20.0g加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、TS−1型ゼオライト粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)
内径64mmの石英管の中央部の石英ウール上に、参考例1の(TS−1ゼオライトへの金属塩の担持)で調製した固体触媒4.0gをとり、アルゴンガスを600cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を800℃に加熱した(昇温時間30分)。800℃に到達した後、超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を5cc/分で30分供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、層数が2〜5層のカーボンナノチューブがほとんどであった。単層のカーボンナノチューブも観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、3であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は590℃であった。
<参考例2>
(Y型ゼオライトへの金属塩の担持)
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.2gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク)社製)2.1gとをエタノール(ナカライテスク社製)400mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に、Y型ゼオライト(東ソー社製、HSZ−390HUA)を20.0g加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、Y型ゼオライト粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
(単層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)
内径64mmの石英管の中央部の石英ウール上に、参考例2の(Y型ゼオライトへの金属塩の担持)で調製した固体触媒4.0gをとり、アルゴンガスを200cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を800℃に加熱した(昇温時間30分)。800℃に到達した後、アルゴンガスの供給を停止した。真空ポンプで石英管内部を真空排気しながら、エタノール蒸気を30分供給した。このとき、石英管内部の真空度は5Torr(0.7KPa)であった。石英管内部の真空排気を停止し、アルゴンガスを200cc/minで供給した。温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
(単層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
参考例2の(単層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、単層のカーボンナノチューブがほとんであった。単層カーボンナノチューブの多くはバンドルの状態で観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、35であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は550℃であった。
<参考例3>
(Y型ゼオライトへの金属塩の担持)
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)1.2gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク)社製)2.1gとをエタノール(ナカライテスク社製)400mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に、Y型ゼオライト(東ソー社製、HSZ−310NAA)を20.0g加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、Y型ゼオライト粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
(多層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)
内径64mmの石英管の中央部の石英ウール上に、参考例3の(Y型ゼオライトへの金属塩の担持)で調製した固体触媒4.0gをとり、アルゴンガスを600cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を600℃に加熱した(昇温時間30分)。600℃に到達した後、超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を10cc/分で30分供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
(多層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
参考例3の(多層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、層数が10〜20層の多層のカーボンナノチューブがほとんであった。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、1であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は600℃であった。
<実施例1>
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製(ペンタノール 1液系での精製))
参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、ペンタノール200mlを入れたビーカー(300ml用)に投入し、スターラーで30分撹拌し、超音波洗浄器(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)で30分処理した後、30分静置した。上澄み部分100mlをピペットで回収し、ペンタノール100mlを追加した。このような撹拌、超音波処理、静置、上澄み部分の回収、ペンタノール追加の一連の操作を1回として、10回繰り返した。回収した上澄み部分を、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。また、沈殿部分を回収し、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。それぞれ、ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。それぞれの固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、上澄み部分ではTS−1ゼオライトが大部分でカーボンナノチューブはほとんどなく、沈殿部分ではカーボンナノチューブが多く観察された。上澄み部分として固体触媒が回収でき、沈殿部分として純度を高めたカーボンナノチューブが得られたことがわかる。固体触媒の回収率(回収した固体触媒の量/参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量×100)は40%であった。なお、回収した固体触媒の量や、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量は、試料を大気雰囲気で800℃(昇温時間60分)に加熱し、800℃で60分保持して、炭素からなる物質を全て焼き飛ばした後の重量減少から計算して求めた。
(沈殿部分の固形物の分析)
実施例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)で得た沈殿部分の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、きれいなグラファイト層で構成された層数が2〜5層のカーボンナノチューブがほとんどであった。単層のカーボンナノチューブも観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で求めたG/D比同様、3であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は600℃であった。精製処理後もカーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が少ないことが予想でき、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブであることが期待できる。
<実施例2>
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製(ペンタノール・イオン交換水 2液系での精製))
参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、ペンタノール100mlとイオン交換水100mlを入れたビーカー(300ml用)に投入し、スターラーで30分撹拌し、超音波洗浄器(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)で30分処理した後、分液ロート(250ml用)に移し、30分静置した。上層部(ペンタノール側)と下層部(イオン交換水側)を分液、それぞれ回収し、回収した上層部(ペンタノール側)は、イオン交換水100mlを加えてビーカー(300ml用)に投入した。このような撹拌、超音波処理、静置、分液、回収した上層部(ペンタノール側)にイオン交換水を追加する一連の操作を1回として、3回繰り返した。回収した下層部(イオン交換水側)を、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。また、上層部(ペンタノール側)を回収し、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。それぞれ、ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。それぞれの固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、下層部(イオン交換水側)ではTS−1ゼオライトが大部分でカーボンナノチューブはほとんどなく、上層部(ペンタノール側)ではカーボンナノチューブが多く観察された。下層部(イオン交換水側)として固体触媒が回収でき、上層部(ペンタノール側)として純度を高めたカーボンナノチューブが得られたことがわかる。固体触媒の回収率(回収した固体触媒の量/参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量×100)は60%であった。なお、回収した固体触媒の量や、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量は、試料を大気雰囲気で800℃(昇温時間60分)に加熱し、800℃で60分保持して、炭素からなる物質を全て焼き飛ばした後の重量減少から計算して求めた。
(上層部(ペンタノール側)の固形物の分析)
実施例2の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)で得た上層部(ペンタノール側)の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、きれいなグラファイト層で構成された層数が2〜5層のカーボンナノチューブがほとんどであった。単層のカーボンナノチューブも観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で求めたG/D比同様、3であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は600℃であった。精製処理後もカーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が少ないことが予想でき、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブであることが期待できる。
<実施例3>
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製(n−ヘキサン・イオン交換水 2液系での精製 撹拌処理のみ))
参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、n−ヘキサン100mlとイオン交換水100mlを入れたビーカー(300ml用)に投入し、スターラーで30分撹拌した後、分液ロート(250ml用)に移し、30分静置した。上層部(n−ヘキサン側)と下層部(イオン交換水側)を分液、それぞれ回収し、回収した上層部(n−ヘキサン側)は、イオン交換水100mlを加えてビーカー(300ml用)に投入した。このような撹拌、超音波処理、静置、分液、回収した上層部(n−ヘキサン側)にイオン交換水を追加する一連の操作を1回として、3回繰り返した。回収した下層部(イオン交換水側)を、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。また、上層部(n−ヘキサン側)を回収し、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。それぞれ、ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。それぞれの固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、下層部(イオン交換水側)ではTS−1ゼオライトが大部分でカーボンナノチューブはほとんどなく、上層部(n−ヘキサン側)ではカーボンナノチューブが多く観察された。下層部(イオン交換水側)として固体触媒が回収でき、上層部(n−ヘキサン側)として純度を高めたカーボンナノチューブが得られたことがわかる。固体触媒の回収率(回収した固体触媒の量/参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量×100)は60%であった。なお、回収した固体触媒の量や、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量は、試料を大気雰囲気で800℃(昇温時間60分)に加熱し、800℃で60分保持して、炭素からなる物質を全て焼き飛ばした後の重量減少から計算して求めた。
(上層部(n−ヘキサン側)の固形物の分析)
実施例3の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)で得た上層部(n−ヘキサン側)の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、きれいなグラファイト層で構成された層数が2〜5層のカーボンナノチューブがほとんどであった。単層のカーボンナノチューブも観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で求めたG/D比同様、3であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は605℃であった。精製処理後もカーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が少ないことが予想でき、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブであることが期待できる。
<実施例4>
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製(シクロヘキサン・イオン交換水 2液系での精製))
参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、シクロヘキサン100mlとイオン交換水100mlを入れたビーカー(300ml用)に投入し、スターラーで30分撹拌し、超音波洗浄器(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)で30分処理した後、分液ロート(250ml用)に移し、30分静置した。上層部(シクロヘキサン側)と下層部(イオン交換水側)を分液、それぞれ回収し、回収した上層部(シクロヘキサン側)は、イオン交換水100mlを加えてビーカー(300ml用)に投入した。このような撹拌、超音波処理、静置、分液、回収した上層部(シクロヘキサン側)にイオン交換水を追加する一連の操作を1回として、3回繰り返した。回収した下層部(イオン交換水側)を、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。また、上層部(シクロヘキサン側)を回収し、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。それぞれ、ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。なお、このときの上層部(シクロヘキサン側)でのシクロヘキサン中でのカーボンナノチューブのかさ密度は10g/リットルであった(上層部(シクロヘキサン側)10mlをメスシリンダーに移したところ、カーボンナノチューブの液面は1mlであり、ここに含まれるカーボンナノチューブは10mgであった)。それぞれの固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、下層部(イオン交換水側)ではTS−1ゼオライトが大部分でカーボンナノチューブはほとんどなく、上層部(シクロヘキサン側)ではカーボンナノチューブが多く観察された。下層部(イオン交換水側)として固体触媒が回収でき、上層部(シクロヘキサン側)として純度を高めたカーボンナノチューブが得られたことがわかる。固体触媒の回収率(回収した固体触媒の量/参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量×100)は80%であった。なお、回収した固体触媒の量や、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量は、試料を大気雰囲気で800℃(昇温時間60分)に加熱し、800℃で60分保持して、炭素からなる物質を全て焼き飛ばした後の重量減少から計算して求めた。
(上層部(シクロヘキサン側)の固形物の分析)
実施例4の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)で得た上層部(シクロヘキサン側)の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、きれいなグラファイト層で構成された層数が2〜5層のカーボンナノチューブがほとんどであった。単層のカーボンナノチューブも観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で求めたG/D比同様、3であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は605℃であった。精製処理後もカーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が少ないことが予想でき、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブであることが期待できる。
<実施例5>
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製(シクロヘキサン・イオン交換水 2液系での精製 焼成温度の検討))
参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で450℃(昇温時間40分)に加熱した。450℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、シクロヘキサン100mlとイオン交換水100mlを入れたビーカー(300ml用)に投入し、スターラーで30分撹拌し、超音波洗浄器(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)で30分処理した後、分液ロート(250ml用)に移し、30分静置した。上層部(シクロヘキサン側)と下層部(イオン交換水側)を分液、それぞれ回収し、回収した上層部(シクロヘキサン側)は、イオン交換水100mlを加えてビーカー(300ml用)に投入した。このような撹拌、超音波処理、静置、分液、回収した上層部(シクロヘキサン側)にイオン交換水を追加する一連の操作を1回として、3回繰り返した。回収した下層部(イオン交換水側)を、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。また、上層部(シクロヘキサン側)を回収し、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。それぞれ、ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。それぞれの固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、下層部(イオン交換水側)ではTS−1ゼオライトが大部分でカーボンナノチューブはほとんどなく、上層部(シクロヘキサン側)ではカーボンナノチューブが多く観察された。下層部(イオン交換水側)として固体触媒が回収でき、上層部(シクロヘキサン側)として純度を高めたカーボンナノチューブが得られたことがわかる。固体触媒の回収率(回収した固体触媒の量/参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量×100)は85%であった。なお、回収した固体触媒の量や、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量は、試料を大気雰囲気で800℃(昇温時間60分)に加熱し、800℃で60分保持して、炭素からなる物質を全て焼き飛ばした後の重量減少から計算して求めた。
(上層部(シクロヘキサン側)の固形物の分析)
実施例5の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)で得た上層部(シクロヘキサン側)の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、きれいなグラファイト層で構成された層数が2〜5層のカーボンナノチューブがほとんどであった。単層のカーボンナノチューブも観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で求めたG/D比同様、3であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は605℃であった。精製処理後もカーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が少ないことが予想でき、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブであることが期待できる。
<実施例6>
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製(ペンタノール・イオン交換水 2液系での精製 遠心分離処理の検討))
参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、ペンタノール100mlとイオン交換水100mlを入れたビーカー(300ml用)に投入し、スターラーで30分撹拌し、超音波洗浄器(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)で30分処理した後、遠心分離器(装置:KUBOTA KR−20000T、ローター:RA−3 50ml×8本)を用いて、回転数3000rpm(約1100(×g))×1時間の条件で遠心分離後、分液ロート(250ml用)に移し、30分静置した。上層部(ペンタノール側)と下層部(イオン交換水側)を分液、それぞれ回収し、回収した上層部(ペンタノール側)は、イオン交換水100mlを加えてビーカー(300ml用)に投入した。このような撹拌、超音波処理、遠心分離、静置、分液、回収した上層部(ペンタノール側)にイオン交換水を追加する一連の操作を1回として、3回繰り返した。回収した下層部(イオン交換水側)を、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。また、上層部(ペンタノール側)を回収し、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。それぞれ、ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。それぞれの固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、下層部(イオン交換水側)ではTS−1ゼオライトが大部分でカーボンナノチューブはほとんどなく、上層部(ペンタノール側)ではカーボンナノチューブが多く観察された。下層部(イオン交換水側)として固体触媒が回収でき、上層部(ペンタノール側)として純度を高めたカーボンナノチューブが得られたことがわかる。固体触媒の回収率(回収した固体触媒の量/参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量×100)は70%であった。なお、回収した固体触媒の量や、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量は、試料を大気雰囲気で800℃(昇温時間60分)に加熱し、800℃で60分保持して、炭素からなる物質を全て焼き飛ばした後の重量減少から計算して求めた。
(上層部(ペンタノール側)の固形物の分析)
実施例6の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)で得た上層部(ペンタノール側)の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、きれいなグラファイト層で構成された層数が2〜5層のカーボンナノチューブがほとんどであった。単層のカーボンナノチューブも観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で求めたG/D比同様、3であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は600℃であった。精製処理後もカーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が少ないことが予想でき、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブであることが期待できる。
<実施例7>
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製(シクロヘキサン・NaCl水溶液 2液系での精製))
参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、シクロヘキサン100mlと濃度10%のNaCl水溶液100mlを入れたビーカー(300ml用)に投入し、スターラーで30分撹拌し、超音波洗浄器(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)で30分処理した後、分液ロート(250ml用)に移し、30分静置した。上層部(シクロヘキサン側)と下層部(NaCl水溶液側)を分液(上層部(シクロヘキサン側)と下層部(NaCl水溶液側)の界面ははっきり分かれたため、分液操作の作業性は向上した)、それぞれ回収し、回収した上層部(シクロヘキサン側)は、濃度10%のNaCl水溶液100mlを加えてビーカー(300ml用)に投入した。このような撹拌、超音波処理、静置、分液、回収した上層部(シクロヘキサン側)に濃度10%のNaCl水溶液を追加する一連の操作を1回として、3回繰り返した。回収した下層部(NaCl水溶液側)を、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。また、上層部(シクロヘキサン側)を回収し、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。それぞれ、ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。それぞれの固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、下層部(NaCl水溶液側)ではTS−1ゼオライトが大部分でカーボンナノチューブはほとんどなく、上層部(シクロヘキサン側)ではカーボンナノチューブが多く観察された。下層部(NaCl水溶液側)として固体触媒が回収でき、上層部(シクロヘキサン側)として純度を高めたカーボンナノチューブが得られたことがわかる。固体触媒の回収率(回収した固体触媒の量/参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量×100)は80%であった。なお、回収した固体触媒の量や、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量は、試料を大気雰囲気で800℃(昇温時間60分)に加熱し、800℃で60分保持して、炭素からなる物質を全て焼き飛ばした後の重量減少から計算して求めた。
(上層部(シクロヘキサン側)の固形物の分析)
実施例7の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)で得た上層部(シクロヘキサン側)の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、きれいなグラファイト層で構成された層数が2〜5層のカーボンナノチューブがほとんどであった。単層のカーボンナノチューブも観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で求めたG/D比同様、3であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は595℃であった。精製処理後もカーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が少ないことが予想でき、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブであることが期待できる。
<実施例8>
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製(シクロヘキサン・酸性水溶液 2液系での精製))
参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、シクロヘキサン100mlと濃度10%HCl水溶液100mlを入れたビーカー(300ml用)に投入し、スターラーで30分撹拌し、超音波洗浄器(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)で30分処理した後、分液ロート(250ml用)に移し、30分静置した。上層部(シクロヘキサン側)と下層部(HCl水溶液側)を分液(上層部(シクロヘキサン側)と下層部(HCl水溶液側)の界面ははっきり分かれたため、分液操作の作業性は向上した)、それぞれ回収し、回収した上層部(シクロヘキサン側)は、濃度10%HCl水溶液100mlを加えてビーカー(300ml用)に投入した。このような撹拌、超音波処理、静置、分液、回収した上層部(シクロヘキサン側)に濃度10%HCl水溶液を追加する一連の操作を1回として、3回繰り返した。回収した下層部(HCl水溶液側)を、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。また、上層部(シクロヘキサン側)を回収し、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。それぞれ、ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。それぞれの固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、下層部(HCl水溶液側)ではTS−1ゼオライトが大部分でカーボンナノチューブはほとんどなく、上層部(シクロヘキサン側)ではカーボンナノチューブが多く観察された。下層部(HCl水溶液側)として固体触媒が回収でき、上層部(シクロヘキサン側)として純度を高めたカーボンナノチューブが得られたことがわかる。固体触媒の回収率(回収した固体触媒の量/参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量×100)は80%であった。なお、回収した固体触媒の量や、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量は、試料を大気雰囲気で800℃(昇温時間60分)に加熱し、800℃で60分保持して、炭素からなる物質を全て焼き飛ばした後の重量減少から計算して求めた。
(上層部(シクロヘキサン側)の固形物の分析)
実施例8の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)で得た上層部(シクロヘキサン側)の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、きれいなグラファイト層で構成された層数が2〜5層のカーボンナノチューブがほとんどであった。単層のカーボンナノチューブも観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で求めたG/D比同様、3であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は600℃であった。精製処理後もカーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が少ないことが予想でき、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブであることが期待できる。
<実施例9>
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製(シクロヘキサン・アルカリ水溶液 2液系での精製))
参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、シクロヘキサン100mlと濃度10%のNaOH水溶液100mlを入れたビーカー(300ml用)に投入し、スターラーで30分撹拌し、超音波洗浄器(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)で30分処理した後、分液ロート(250ml用)に移し、30分静置した。上層部(シクロヘキサン側)と下層部(NaOH水溶液側)を分液、それぞれ回収し、回収した上層部(シクロヘキサン側)は、濃度10%のNaOH水溶液100mlを加えてビーカー(300ml用)に投入した。このような撹拌、超音波処理、静置、分液、回収した上層部(シクロヘキサン側)に濃度10%のNaOH水溶液を追加する一連の操作を1回として、3回繰り返した。回収した下層部(NaOH水溶液側)を、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。また、上層部(シクロヘキサン側)を回収し、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。それぞれ、ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。それぞれの固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、下層部(NaOH水溶液側)ではTS−1ゼオライトが大部分でカーボンナノチューブはほとんどなく、上層部(シクロヘキサン側)ではカーボンナノチューブが多く観察された。下層部(NaOH水溶液側)として固体触媒が回収でき、上層部(シクロヘキサン側)として純度を高めたカーボンナノチューブが得られたことがわかる。固体触媒の回収率(回収した固体触媒の量/参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量×100)は85%であった。なお、回収した固体触媒の量や、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量は、試料を大気雰囲気で800℃(昇温時間60分)に加熱し、800℃で60分保持して、炭素からなる物質を全て焼き飛ばした後の重量減少から計算して求めた。
(上層部(シクロヘキサン側)の固形物の分析)
実施例8の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)で得た上層部(シクロヘキサン側)の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、きれいなグラファイト層で構成された層数が2〜5層のカーボンナノチューブがほとんどであった。単層のカーボンナノチューブも観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で求めたG/D比同様、3であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は610℃であった。精製処理後もカーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が少ないことが予想でき、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブであることが期待できる。
<実施例10>
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製(シクロヘキサン・イオン交換水 2液系での精製 フッ化水素酸処理))
参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、シクロヘキサン100mlとイオン交換水100mlを入れたビーカー(300ml用)に投入し、スターラーで30分撹拌し、超音波洗浄器(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)で30分処理した後、分液ロート(250ml用)に移し、30分静置した。上層部(シクロヘキサン側)と下層部(イオン交換水側)を分液、それぞれ回収し、回収した上層部(シクロヘキサン側)は、イオン交換水100mlを加えてビーカー(300ml用)に投入した。このような撹拌、超音波処理、静置、分液、回収した上層部(シクロヘキサン側)にイオン交換水を追加する一連の操作を1回として、3回繰り返した。回収した下層部(イオン交換水側)を、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。また、上層部(シクロヘキサン側)を回収し、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。それぞれ、ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。それぞれの固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、下層部(イオン交換水側)ではTS−1ゼオライトが大部分でカーボンナノチューブはほとんどなく、上層部(シクロヘキサン側)ではカーボンナノチューブが多く観察された。さらに、上層部(シクロヘキサン側)から回収した固形物を、濃度0.8mol/リットルのフッ化水素酸水溶液100ml中に投入後、室温に保持しながら1時間撹拌した。その後、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
(フッ化水素酸水溶液処理後の固形物の分析)
実施例10のフッ化水素酸水溶液処理後の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、きれいなグラファイト層で構成された層数が2〜5層のカーボンナノチューブがほとんどであった。単層のカーボンナノチューブも観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。日本電子(株)社製の走査顕微鏡(JSM−6301F)に付属のEDSで元素分析を行った結果、炭素100重量%に対して珪素は1重量%以下、金属(鉄、コバルト)は1重量%以下であった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で求めたG/D比同様、3であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は600℃であった。精製処理後もカーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が少ないことが予想でき、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブであることが期待できる。
<実施例11>
(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の精製(シクロヘキサン・イオン交換水 2液系での精製 フッ化水素酸処理))
参考例2の(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、シクロヘキサン100mlとイオン交換水100mlを入れたビーカー(300ml用)に投入し、スターラーで30分撹拌し、超音波洗浄器(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)で30分処理した後、分液ロート(250ml用)に移し、30分静置した。上層部(シクロヘキサン側)と下層部(イオン交換水側)を分液、それぞれ回収し、回収した上層部(シクロヘキサン側)は、イオン交換水100mlを加えてビーカー(300ml用)に投入した。このような撹拌、超音波処理、静置、分液、回収した上層部(シクロヘキサン側)にイオン交換水を追加する一連の操作を1回として、3回繰り返した。回収した下層部(イオン交換水側)を、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。また、上層部(シクロヘキサン側)を回収し、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。それぞれ、ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。それぞれの固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、下層部(イオン交換水側)ではY型ゼオライトが大部分でカーボンナノチューブはほとんどなく、上層部(シクロヘキサン側)ではカーボンナノチューブが多く観察された。下層部(イオン交換水側)として固体触媒が回収でき、上層部(シクロヘキサン側)として純度を高めたカーボンナノチューブが得られたことがわかる。固体触媒の回収率(回収した固体触媒の量/参考例2の(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量×100)は95%であった。なお、回収した固体触媒の量や、参考例2の(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量は、試料を大気雰囲気で800℃(昇温時間60分)に加熱し、800℃で60分保持して、炭素からなる物質を全て焼き飛ばした後の重量減少から計算して求めた。さらに、上層部(シクロヘキサン側)から回収した固形物を、濃度0.2mol/リットルのフッ化水素酸水溶液100ml中に投入後、室温に保持しながら1時間撹拌した。その後、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
(フッ化水素酸水溶液処理後の固形物の分析)
実施例11のフッ化水素酸水溶液処理後の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、参考例2の(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、カーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、単層のカーボンナノチューブがほとんであった。単層カーボンナノチューブの多くはバンドルの状態で観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。日本電子(株)社製の走査顕微鏡(JSM−6301F)に付属のEDSで元素分析を行った結果、炭素100重量%に対して珪素は1重量%以下、金属(鉄、コバルト)は1重量%以下であった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、参考例2の(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で求めたG/D比同様、35であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は560℃であった。精製処理後もカーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が少ないことが予想でき、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブであることが期待できる。
<実施例12>
(多層カーボンナノチューブを含有する組成物の精製(シクロヘキサン・イオン交換水 2液系での精製 フッ化水素酸処理))
参考例3の(多層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で500℃(昇温時間40分)に加熱した。500℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、シクロヘキサン100mlとイオン交換水100mlを入れたビーカー(300ml用)に投入し、スターラーで30分撹拌し、超音波洗浄器(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)で30分処理した後、分液ロート(250ml用)に移し、30分静置した。上層部(シクロヘキサン側)と下層部(イオン交換水側)を分液、それぞれ回収し、回収した上層部(シクロヘキサン側)は、イオン交換水100mlを加えてビーカー(300ml用)に投入した。このような撹拌、超音波処理、静置、分液、回収した上層部(シクロヘキサン側)にイオン交換水を追加する一連の操作を1回として、3回繰り返した。回収した下層部(イオン交換水側)を、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。また、上層部(シクロヘキサン側)を回収し、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。それぞれ、ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。それぞれの固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、下層部(イオン交換水側)ではY型ゼオライトが大部分でカーボンナノチューブはほとんどなく、上層部(シクロヘキサン側)ではカーボンナノチューブが多く観察された。下層部(イオン交換水側)として固体触媒が回収でき、上層部(シクロヘキサン側)として純度を高めたカーボンナノチューブが得られたことがわかる。固体触媒の回収率(回収した固体触媒の量/参考例3の(多層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量×100)は70%であった。なお、回収した固体触媒の量や、参考例3の(多層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物に含まれる固体触媒の量は、試料を大気雰囲気で800℃(昇温時間60分)に加熱し、800℃で60分保持して、炭素からなる物質を全て焼き飛ばした後の重量減少から計算して求めた。さらに、上層部(シクロヘキサン側)から回収した固形物を、濃度1.2mol/リットルのフッ化水素酸水溶液100ml中に投入後、室温に保持しながら1時間撹拌した。その後、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
(フッ化水素酸水溶液処理後の固形物の分析)
実施例12のフッ化水素酸水溶液処理後の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、参考例3の(多層カーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、カーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、層数が10〜20層の多層のカーボンナノチューブがほとんであった。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。日本電子(株)社製の走査顕微鏡(JSM−6301F)に付属のEDSで元素分析を行った結果、炭素100重量%に対して珪素は1重量%以下、金属(鉄、コバルト)は1重量%以下であった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、参考例3の(多層カーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で求めたG/D比同様、1であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は600℃であった。精製処理後もカーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が少ないことが予想でき、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブであることが期待できる。
<実施例13>
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成 固体触媒の再利用)
内径64mmの石英管の中央部の石英ウール上に、実施例4の方法で回収した下層部(イオン交換水側)の固形物4.0gをとり、アルゴンガスを600cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を800℃に加熱した(昇温時間30分)。800℃に到達した後、超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を5cc/分で30分供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
実施例13の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、カーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、層数が2〜5層のカーボンナノチューブがほとんどであった。単層のカーボンナノチューブも観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、3であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は590℃であった。本発明の方法で回収した固体触媒が、再利用可能であることがわかる。
<実施例14>
(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成 固体触媒の再利用)
内径64mmの石英管の中央部の石英ウール上に、実施例11の方法で回収した下層部(イオン交換水側)の固形物4.0gをとり、アルゴンガスを200cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を800℃に加熱した(昇温時間30分)。800℃に到達した後、アルゴンガスの供給を停止した。真空ポンプで石英管内部を真空排気しながら、エタノール蒸気を30分供給した。このとき、石英管内部の真空度は5Torr(0.7KPa)であった。石英管内部の真空排気を停止し、アルゴンガスを200cc/minで供給した。温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
実施例14の(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、参考例2の(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、カーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、単層のカーボンナノチューブがほとんであった。単層カーボンナノチューブの多くはバンドルの状態で観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、35であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は550℃であった。本発明の方法で回収した固体触媒が、再利用可能であることがわかる。
<実施例15>
(多層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成 固体触媒の再利用)
内径64mmの石英管の中央部の石英ウール上に、実施例12の方法で回収した下層部(イオン交換水側)の固形物4.0gをとり、アルゴンガスを600cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を600℃に加熱した(昇温時間30分)。600℃に到達した後、超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を10cc/分で30分供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
(多層カーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
実施例15の(多層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、参考例3の(多層カーボンナノチューブを含有する組成物の分析)で観察されたカーボンナノチューブ同様、カーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、層数が10〜20層の多層のカーボンナノチューブがほとんであった。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、1であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は600℃であった。本発明の方法で回収した固体触媒が、再利用可能であることがわかる。
<実施例16>
(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の精製)
アーク放電法によって合成された単層カーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、シクロヘキサン100mlとイオン交換水100mlを入れたビーカー(300ml用)に投入し、スターラーで30分撹拌し、超音波洗浄器(YAMATO化学製、BRANSON3210、発信周波数47KHz、出力130W)で30分処理した後、分液ロート(250ml用)に移し、30分静置した。上層部(シクロヘキサン側)と下層部(イオン交換水側)を分液、それぞれ回収し、回収した上層部(シクロヘキサン側)は、イオン交換水100mlを加えてビーカー(300ml用)に投入した。このような撹拌、超音波処理、静置、分液、回収した上層部(シクロヘキサン側)にイオン交換水を追加する一連の操作を1回として、10回繰り返した。回収した下層部(イオン交換水側)を、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。また、上層部(シクロヘキサン側)を回収し、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。それぞれ、ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。それぞれの固形物を走査型電子顕微鏡で観察したところ、下層部(イオン交換水側)ではカーボンナノチューブはほとんどなく、微粒子状の物質やフィルム状の物質が多く観察され、上層部(シクロヘキサン側)ではカーボンナノチューブが多く観察された。下層部(イオン交換水側)として触媒金属や炭素不純物が回収でき、上層部(シクロヘキサン側)として純度を高めたカーボンナノチューブが得られたことがわかる。
<比較例1>
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)
参考例1の(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、濃度5mol/リットルのフッ化水素酸水溶液100ml中に投入後、室温に保持しながら1時間撹拌した。その後、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
(フッ化水素酸水溶液処理後の固形物の分析)
比較例1のフッ化水素酸水溶液処理後の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、比較的きれいなグラファイト層で構成された層数が2〜5層のカーボンナノチューブがほとんどであった。単層のカーボンナノチューブも観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。日本電子(株)社製の走査顕微鏡(JSM−6301F)に付属のEDSで元素分析を行った結果、炭素100重量%に対して珪素は1重量%以下、金属(鉄、コバルト)は3重量%であった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、2であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は580℃であった。
<比較例2>
(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の精製)
参考例2の(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、濃度5mol/リットルのフッ化水素酸水溶液100ml中に投入後、室温に保持しながら1時間撹拌した。その後、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
(フッ化水素酸水溶液処理後の固形物の分析)
比較例2のフッ化水素酸水溶液処理後の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブは比較的きれいなグラファイト層で構成されており、単層のカーボンナノチューブがほとんであった。単層カーボンナノチューブの多くはバンドルの状態で観察された。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。日本電子(株)社製の走査顕微鏡(JSM−6301F)に付属のEDSで元素分析を行った結果、炭素100重量%に対して珪素は2重量%、金属(鉄、コバルト)は2重量%であった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、20であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は400℃であった。
<比較例3>
(多層カーボンナノチューブを含有する組成物の精製)
参考例3の(多層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)で得たカーボンナノチューブを含有する組成物2.5gを、大気雰囲気で500℃(昇温時間40分)に加熱した。500℃で60分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。このカーボンナノチューブを含有する組成物2.0gを、濃度5mol/リットルのフッ化水素酸水溶液100ml中に投入後、室温に保持しながら1時間撹拌した。その後、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
(フッ化水素酸水溶液処理後の固形物の分析)
比較例3のフッ化水素酸水溶液処理後の固形物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブは比較的きれいなグラファイト層で構成されており、層数が10〜20層の多層のカーボンナノチューブがほとんであった。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。日本電子(株)社製の走査顕微鏡(JSM−6301F)に付属のEDSで元素分析を行った結果、炭素100重量%に対して珪素は1重量%以下、金属(鉄、コバルト)は2重量%であった。また、堀場ジョバンイボン社製のラマン分光測定装置INF−300を使用し、レーザー波長633nmでラマン分光測定を行い、10点の測定スペクトルからG/D比の平均を計算したところ、1であった。島津製作所製の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流中で、10℃/分の昇温速度で加熱したところ、発熱ピーク温度は590℃であった。
本発明は、耐熱性、機械的強度、導電性、に優れるカーボンナノチューブを高純度で得ることができる。このようなカーボンナノチューブは、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材の材料、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセットの材料、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤の材料としての用途特性に優れる。また、固体触媒を回収し再利用することができるため、廃棄物が少なく環境問題に対応できる。さらに、液中に分散させたカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ同士の絡まり合いが少ないため用途特性に優れ、かつ、粉塵を取り扱う煩わしさがなく作業性に優れる。これらの優れた特性を応用することができる。

Claims (16)

  1. カーボンナノチューブを含有する組成物を、下記一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体に浸し、カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を個別に回収することにより、カーボンナノチューブの純度を高めることを特徴とする、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
    ClHmXn・・・(1)
    X=ハロゲン、O、N、Sのいずれかを含む置換基
    l=1以上の原子価の許容される整数を表す
    m=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
    n=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
    ただしn=m=0の場合は除く
  2. 請求項1記載の一般式(1)で示される化合物が、
    X=OH
    l=1以上の原子価の許容される整数を表す
    m=3以上の原子価の許容される整数を表す
    n=1以上の原子価の許容される整数を表す
    であることを特徴とする、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  3. 請求項1記載の一般式(1)で示される化合物が、
    l=5以上の原子価の許容される整数を表す
    m=5以上の原子価の許容される整数を表す
    n=0
    であることを特徴とする、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  4. カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す液体が、2つ以上の層に分かれた液体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  5. カーボンナノチューブを含有する組成物を浸す液体が、水を5〜95重量%含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  6. カーボンナノチューブが多く含まれる溶液部と、カーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部を個別に回収する前に、撹拌処理、超音波処理および遠心分離処理から選ばれる少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  7. カーボンナノチューブを含有する組成物に、200〜800℃で酸素を接触させた後、液体に浸すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  8. 次の要件(1)および(2)を満たす、請求項1〜7のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
    (1)共鳴ラマン散乱測定法の測定により得られるスペクトルで1550〜1650cm-1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm-1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたときに、精製前のカーボンナノチューブを含有する組成物のラマンG/D比(RI)に対して、精製後の純度を高めたカーボンナノチューブのラマンG/D比(RII)の関係が、RII≧RI。
    (2)大気雰囲気中で10℃/分で昇温して900℃まで熱分析を行ったとき、温度300〜900℃の範囲に発熱ピークを持ち、精製前のカーボンナノチューブを含有する組成物の発熱ピーク温度(TI)に対して、精製後の純度を高めたカーボンナノチューブの発熱ピーク温度(TII)の関係が、TII≧TI。
  9. カーボンナノチューブを含有する組成物が、固体触媒を含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  10. カーボンナノチューブ以外の成分を多く含む溶液部から、固体触媒が多く含まれる溶液部を回収し、この固体触媒を再利用することを特徴とする請求項9記載のカーボンナノチューブの精製方法。
  11. カーボンナノチューブが単層および/または2〜5層のカーボンナノチューブを含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  12. 液体に、カーボンナノチューブが0.01重量%以上含まれ、且つ液体中でのカーボンナノチューブのかさ密度が50g/リットル以下であるカーボンナノチューブ組成物。
  13. 請求項12の液体が、下記一般式(1)に示す化合物を1種類以上含む液体であることを特徴とするカーボンナノチューブ組成物。
    ClHmXn・・・(1)
    X=ハロゲン、O、N、Sのいずれかを含む置換基
    l=1以上の原子価の許容される整数を表す
    m=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
    n=0または1以上の原子価の許容される整数を表す
    ただしn=m=0の場合は除く
  14. 請求項12に記載の一般式(1)に示す化合物が、
    X=OH
    l=4以上の原子価の許容される整数を表す
    m=4以上の原子価の許容される整数を表す
    n=1以上の原子価の許容される整数を表す
    であることを特徴とする、カーボンナノチューブ組成物。
  15. 請求項12に記載の一般式(1)に示す化合物が、
    l=5以上の原子価の許容される整数を表す
    m=5以上の原子価の許容される整数を表す
    n=0
    であることを特徴とする、カーボンナノチューブ組成物。
  16. カーボンナノチューブが単層および/または2〜5層のカーボンナノチューブを含有することを特徴とする、請求項12〜15のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ組成物。
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