JP2008031024A - カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、上記の課題を解決し、高グラファイト化度を有し、高品質なカーボンナノチューブを高純度で製造することを課題とする。
【解決手段】 炭素数2以上の炭素含有化合物を含む原料ガスを触媒と接触させるカーボンナノチューブの合成方法であり、前記炭素含有化合物の700℃以上における熱分解率が10%以下となるような条件で触媒と接触させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法であり、前記炭素数2以上の炭素含有化合物としてはエチレンであることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、カーボンナノチューブの製造方法に関し、さらに詳しくは、高純度で高グラファイト化度のカーボンナノチューブの製造方法に関する。
カーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。カーボンナノチューブは、高い機械的強度、高い導電性を有することから、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材の材料として期待されており、さらに、L/D(長さ/直径の比)が大きく、直径は数nmであることから、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセットの材料として期待されており、また、ナノサイズの空間を有することから、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤の材料として期待されている。いずれの用途の場合にも、高純度のカーボンナノチューブが要求されており、カーボンナノチューブとしては直径の細い単層や2層のカーボンナノチューブが有利であり、グラファイト層の欠陥が少ない方が特性的に優れている。
カーボンナノチューブの製造方法として、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学気相成長法などが知られており、なかでも、グラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを安価且つ大量に製造する方法として、触媒化学気相成長法が知られている(非特許文献1,2参照)。
触媒化学気相成長法は、500−1000℃の高温下で鉄、ニッケルなどの金属微粒子と炭素源となるガスを含む原料ガスを接触させて合成する方法が通常である。この方法では、高温下で触媒活性を高める一方、炭素源の多量の熱分解を伴い、煤やタールなどの不純物が触媒上に付着し、高純度、高品質のカーボンナノチューブを合成することが困難となる。
前記のような無駄な不純物を生成させないよう、炭素源として熱的に安定なメタンを用いてカーボンナノチューブを合成する報告が多くされている。
「ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)」303(1999),117-124 田中一義[編]、「カーボンナノチューブ−ナノデバイスへの挑戦−」、株式会社化学同人、p74−76 特開2005−314205号公報 特開2005−272242号公報 特開2004−277279号公報
上述したように、500℃以上の高温下でなされるカーボンナノチューブの製造方法においては、高温で触媒活性を高める一方、炭素源の多量の熱分解を伴い、煤やタールなどの不純物が触媒上に付着し、高純度、高グラファイト化度のカーボンナノチューブを合成することが困難となる。特許文献1,2,3のような既知の方法では、熱分解に伴う多くの不純物を含んでいたり、低品位の多層カーボンナノチューブの混入が多いことから、低品質のカーボンナノチューブであると考えられる。
これらを抑制するために熱安定性の高いメタンを用いる例は多くあり、その熱分解率は一般的な温度、濃度、線速下で10%以下となる。ただし、メタンが化学的にも高い安定性を有することから、カーボンナノチューブの生成量が微量となるため、反応効率が悪く、大量合成が困難である。
したがって本発明は、上記の課題を解決し、高グラファイト化度のカーボンナノチューブを高純度で効率よく製造することを課題とする。
本発明では、炭素数2以上の反応性の高い炭素源を、線速や濃度などを制御し、高温下においても前記のような熱分解がなるべく生成しない反応条件とすることにより、高純度、高品質のカーボンナノチューブを比較的大量に製造する方法を見出した。これまで炭素源の熱分解に着目したものはなく、既知の方法における熱分解を測定した結果、例えば特許文献1の実施例では、アルゴンと0.8%のアセチレンを含んだ混合ガスを800℃、1.25cm/秒の線速で触媒と接触させているが、この条件ではアセチレンの熱分解率が15%となり、生成物中には相当分の不純物が含まれる。また、特許文献2の実施例においても、アルゴンと0.8%のアセチレンを含んだ混合ガスを800℃、2cm/秒の線速で触媒と接触させているが、この条件においてもアセチレンの熱分解率が11%以上となり、生成物中には多くの不純物が含まれる。さらに、特許文献3の参考例では、アルゴンと1.6%のアセチレンを含んだ混合ガスを1.3cm/秒の線速で触媒と接触させているが、600℃という低温で合成しているため、熱分解率は10%以下に抑制されるものの、低グラファイト化度で低品位の多層カーボンナノチューブしか合成できない。
上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、炭素数2以上の炭素含有化合物を含む原料ガスを触媒と接触させるカーボンナノチューブの合成方法であり、前記炭素含有化合物の700℃以上における熱分解率が10%以下となるような条件で触媒と接触させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法を見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記の構成を有する。
(1)炭素数2以上の炭素含有化合物を含む原料ガスを触媒と接触させてカーボンナノチューブを形成させる製造方法であり、前記炭素含有化合物の700℃以上かつその温度での熱分解率が10%以下となるような条件で触媒と接触させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
(2)前記炭素数2以上の炭素含有化合物がエチレンであることを特徴とする(1)記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(3)炭素数2以上の炭素含有化合物を触媒と接触させる工程が、鉛直方向に設置された縦型反応器で行われ、該縦型反応器の一方の端部から他の端部に向けた方向に炭素含有化合物が流通し、その炭素含有化合物が、カーボンナノチューブ製造法触媒で形成される触媒層中を通過する態様で流通する機構を備えた縦型反応器であることを特徴とする(1)または(2)記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(4)前記触媒が金属を担持した担体を含むものであることを特徴とする(1)〜(3)
のいずれか記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(5)前記触媒が、金属に鉄、担体にマグネシアを含むことを特徴とする(1)〜(4)
のいずれか記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(6)前記製造方法により製造されたカーボンナノチューブの30%以上が単層カーボンナノチューブであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか記載のカーボンナノチューブの製造方法。
本発明によれば、熱分解による不純物の生成が抑制されるため、高グラファイト化度を有するカーボンナノチューブを高純度で効率よく製造することが可能となる。
本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、炭素数2以上の炭素含有化合物を含む原料ガスを触媒と接触させるカーボンナノチューブの合成方法であり、前記炭素含有化合物の700℃以上における熱分解率が10%以下となるような条件で触媒と接触させる方法である。このような製造方法において、カーボンナノチューブを合成したところ、高純度で高品質なカーボンナノチューブを生成することが可能となった。
本発明では、炭素数2以上の炭素含有化合物の熱分解率が10%以下となるような条件で触媒と接触させることを特徴の一つとしている。炭素源の熱分解は、タール、煤、二量体、オリゴマーなどの副生を促し、生成するカーボンナノチューブのグラファイト化度および純度を低減させる。副生した不純物は、カーボンナノチューブと同様の炭素を主成分としていることから、確実な分離手法が確立されておらず、カーボンナノチューブのみを抽出することが困難であった。一方、熱安定性の高いメタンを用いると、メタンが化学的にも安定であるため、反応効率が悪く大量に得られないという問題がある。それに対し、化学的安定性の低い炭素数2以上の炭素含有化合物を、熱分解を抑制させながら触媒と接触させることにより、高グラファイト化度、高純度のカーボンナノチューブを比較的大量に得ることができる。炭素源の熱分解は、温度条件のみでなく、濃度と線速に大きく影響し、一般的に低温、低濃度、高線速であるほど熱分解が抑制される。一方、炭素源の反応性、即ちカーボンナノチューブの生成収量は、濃度と線速に反比例し、高濃度、低線速であるほど収量が高くなる。従って、高グラファイト化度、高純度のカーボンナノチューブを比較的大量に得るためには、濃度と線速を制御し、熱分解と生成収量のバランスが最も良い条件を選択することが好ましい。
熱分解率とは、熱エネルギーにより炭素含有化合物が分解または反応する割合のことである。炭素含有化合物の熱分解率は、例えばガスクロマトグラフィーを用いて求めることができる。具体的には、次のように求める。特定の温度領域に炭素含有化合物を含む原料ガスを流通させ、その特定の温度領域に流通させた前後で一定量のガスをサンプリングし、クロマトグラフィーにより炭素含有化合物を定量し、その減少量を求めることにより測定する。例えば水素炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフにより検出された炭素含有化合物のピーク面積を用いて、熱分解前後での面積値の減少度を次式から求めることができる。
熱分解率(%)=[1−{(流通させた後(熱分解後)のピーク面積)/(流通させる前(熱分解前)のピーク面積)}]×100
炭素含有化合物の熱分解率は、高温条件下であっても、線速や濃度によって制御することができる。触媒と接触させる際にこれらを制御し、炭素含有化合物の熱分解率を低く抑えることで、高グラファイト化度且つ高純度のカーボンナノチューブを合成することが可能となる。
本発明では、炭素含有化合物の熱分解率が10%以下になる条件で触媒と接触させるカーボンナノチューブの製造方法であり、好ましくは8%以下、最も好ましくは5%以下である。炭素源化合物の熱分解低下に伴い反応性も低下するため、熱分解率を極端に抑えることはカーボンナノチューブの収量低下に繋がる。従って、熱分解率は0.1%以上であることが好ましく、中でも1%以上であることが好ましい。触媒と接触させる条件が、炭素含有化合物の熱分解率が10%以下になる条件であるか否かは、触媒の非存在下である以外は同様の条件で反応系に炭素含有化合物を流通させ、その熱分解率を求め、その値を触媒と接触させる際の熱分解率とみなすことにより確認する。
本発明で用いる炭素含有化合物は、炭素数が2以上であることを特徴としている。炭素数が1の炭素源であるメタンは、熱的に安定であると共に化学的にも安定であることから、反応性が低く、大量のカーボンナノチューブを合成することができない。また、一酸化炭素もカーボンナノチューブの合成に屡々用いられる炭素源ではあるが、不均化反応による炭素析出が同時に起こることから、得られるカーボンナノチューブの純度は高いとはいえない。また、毒性が高く、取り扱いが難しいことも問題点の一つである。
本発明で用いる炭素含有化合物は、炭素数が2以上であれば特に限定されないが、中でも炭化水素が好ましい。炭化水素は芳香族であっても、非芳香族であってもよい。芳香族の炭化水素では、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン又はこれらの混合物などを使用することができる。また、非芳香族の炭化水素では、例えばエタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレンもしくはアセチレン、又はこれらの混合物等を使用することができる。炭化水素には、また酸素を含むもの、例えばエタノール、プロパノール、ブタノールのごときアルコール類、アセトンのごときケトン類、アセトアルデヒドのごときアルデヒド類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルのごときエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類又はこれらの混合物であってもよい。炭素数が大きすぎると、一般的には熱安定性が低くなり熱分解を抑制するための濃度、線速の制御が比較的難しくなることから、これらの中でも、特に炭素数が6以下であることが好ましい。中でも、炭素数2であることが本発明の効果を特に顕著に奏する点で好ましく、具体的にはエチレン、アセチレン、エタノールが好ましく、エチレンが最も好ましい。
本発明で用いる炭素含有化合物は、上記の中でもエチレンが最も好ましい。上述のように、カーボンナノチューブ合成の触媒活性を高めるには高温条件が必要となるが、その分炭化水素の熱分解率は高くなる。原料ガス中の炭素含有化合物の濃度を低くしたり、線速を速くすることで熱分解率を低く抑えることができるが、合成されるカーボンナノチューブの収量は低くなる。また、炭素源として用いる炭素含有化合物は、含まれる炭素数が多いほど熱的安定性は低下する。エチレンは高い反応性を持ち、高品質のカーボンナノチューブを合成できる炭素源である。
前記炭素含有化合物には、不活性ガス、水素、水蒸気などを混合した原料ガスとしてもよく、中でも不活性ガスと混合することが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオンなどを用いることができる。好ましくは窒素、アルゴン、ヘリウムを用いる。
本発明の製造方法では、さらに700℃以上でカーボンナノチューブを合成することを特徴とする。上述のように、触媒は高温下で活性化されるため、700℃以上の高温が必要となる。これより低い温度では、特許文献5のように、低品位の多層カーボンナノチューブが多くできてしまい、高品位の単層や2層などの細いカーボンナノチューブの収量が減少する。一方、反応温度が高いと、触媒活性が高くなり、合成されるカーボンナノチューブのグラファイト化度が高くなると共に、単層や2層などのカーボンナノチューブが主に製造できる。グラファイト化度が高いということは、導電性や熱伝導性に優れていることを示し、電界電子放出用途、透明導電フィルム用途、熱伝導材料用途などに適していると推測される。反応温度は、800℃以上が好ましく、900℃以上がさらに好ましい。また、反応温度が高すぎるとカーボンナノチューブの合成反応より炭素含有化合物の熱分解が有利になってしまうことや、使用する反応器の材質に制約が生じること、カーボンナノチューブ同士の接合が始まり、カーボンナノチューブの形状のコントロールが困難になることなどから、反応温度は1200℃以下であることが好ましい。
炭素含有化合物は、反応圧力条件を1×10Pa(1気圧)未満で反応させてもよい。反応圧力を1×10Pa未満にする方法は、真空ポンプなどを用いて減圧にする方法が好んで用いられる。真空ポンプなどで減圧にする場合は、5×10Pa以下が好ましい。5×10Pa以下では、3層以上のカーボンナノチューブが減少する。さらに好ましい反応圧力条件は、1×10−2Pa〜1×10Paであり、特に好ましくは1×10−1Pa〜1×10Paである。
本発明における線速とは、反応工程において原料が流通する部位の断面積(cm)で原料ガス全体の流通速度(cm/秒)を除算することにより求められる。原料の流通速度は、石鹸膜流量計で5回測定し、その平均値を算出することにより求められる。
本発明では、高品質のカーボンナノチューブを大量に得るため、炭素含有化合物を含む原料ガスを1.0cm/秒以上の線速で触媒と接触させることが好ましい。1.0cm/秒以上の高線速とすることで、炭素含有化合物の濃度が比較的高くても、熱分解を極力抑えることができ、カーボンナノチューブの収量を高めることができる。
本発明で用いる触媒としては、金属、または金属塩、酸化物、炭化物、窒化物などの金属化合物を用いることができ、好ましくは酸化物などから成る担体に前記金属または金属化合物を担持したものが用いられる。
本発明で触媒として用いる金属の種類は、特に限定されないが、3〜12族の金属、特に好ましくは、5〜11族の金属が用いられる。中でも、Fe,Co,Ni,Mo,W,V,Cu,Ti,Pd,Pt,Rh等が特に好ましい。さらに好ましくは、Fe,Co,Ni,Moが用いられ、最も好ましくはFeが用いられる。ここで金属は0価の状態とは限らない。反応中では0価の金属状態になっていると推定できるが、広く金属を含む化合物又は金属種という意味で解釈してよい。また金属は微粒子であることが好ましい。微粒子の粒径としては0.5〜10nmであることが好ましい。金属が微粒子であると細いカーボンナノチューブが生成しやすい。金属は1種類だけでもよく、2種類以上でもよい。
本発明において用いる触媒は、好ましくは上記金属を担体に担持したものであることが好ましい。担体は特に限定されないが、酸化物を用いてもよい。具体的には、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、カルシア、セリア、ランタナ、およびこれら酸化物から成るメソポーラス材料、ゼオライトが好ましく用いられ、さらに好ましくはメソポーラスシリカ、マグネシア、ゼオライトを用いる。また、担体として金属の炭酸塩や水酸化物などの金属含有化合物を使用してもよく、炭化物や窒化物、硫化物などを用いてもよい。本発明の効果を最大限に奏することが出来る点ではマグネシアが特に好ましい。
本発明に用いる担体は、多孔質であってもよい。多孔質であることにより比表面積が高くなり、担体重量あたりの触媒担持量を多くすることができる。細孔直径が2〜50nmの大きさの細孔を有する材料はメソポーラス材料と呼ばれる。界面活性剤とメソポーラス材料を構成する無機物質の協奏的な自己組織化により合成される。メソポーラス材料は大きい比表面積と高い安定性など、触媒や吸着剤としての優れた基本物性を有する。この様な材料のメソポーラス細孔は、担体上でカーボンナノチューブを合成する際に金属を担持する細孔として有用である。代表的物質としてメソポーラスシリカが挙げられる。メソポーラスシリカの結晶構造は特に限定されないが、例えば、モービル社が開発したヘキサゴナル構造をもつMCM−41、キュービック構造をもつMCM−48、層状すなわちラメラ構造をもつMCM−50があり、特に規則的な六角形の細孔が平行に配列したMCM−41構造が好んで用いられる。
メソポーラス細孔の直径と細孔容量は液体窒素温度での窒素の物理吸着から求めることができる。窒素を徐々に投入し、0〜大気圧の窒素の吸着等温線をとり、大気圧まで到達したら徐々に窒素を減らしていき、窒素の脱着等温線をとるようにすればよい。メソポーラス部分の細孔径分布を求めるためには、通常脱着等温線を使用して計算する。細孔径分布を求める理論式としては、Dollimore-Heal法(以下、D−H法と略称)が知られている。本発明で定義する細孔径分布は窒素の脱着等温線からD−H法で求めたものである。一般に細孔径分布は、横軸に細孔径をとり、縦軸にΔVp/ΔRpをとることで求められるが、本発明における細孔容量は、このグラフの面積から、求めることができる。
本発明においてゼオライトとは、分子サイズの細孔径を有する結晶性無機酸化物からなるものである。ここに分子サイズとは、世の中に存在する分子のサイズの範囲であり、一般的には、0.2nmから2nm程度の範囲を意味する。さらに具体的には、結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性メタロアルミノシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、あるいは結晶性メタロアルミノフォスフェート等で構成された結晶性マイクロポーラス物質のことである。
結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性メタロアルミノシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、結晶性メタロアルミノフォスフェートとしては、特に種類は制限されないが、例えば、アトラス オブ ゼオライト ストラクチュア タイプス(マイヤー、オルソン、バエロチャー、ゼオライツ、17(1/2)、1996)(Atlas of Zeolite Structure types(W. M. Meier, D. H. Olson, Ch. Baerlocher, Zeolites, 17(1/2),1996))に掲載されている構造をもつ結晶性無機多孔性
物質が挙げられる。また、本発明におけるゼオライトは、本文献に掲載されているものに限定されるものではなく、近年次々と合成されている新規な構造を有するゼオライトも含む。好ましい構造は、入手が容易なFAU型、MFI型、MOR型、BEA型、LTL型、LTA型であるが、これに限定されない。
本発明で用いるゼオライトとしては耐熱性が高いものがよい。ここで耐熱性が高いゼオライトとは、具体的には、実質的に4価の金属(Si,Ti,Ge,Zr等)と酸素で骨格が構成されているゼオライト(4価の金属/3価以下の金属(原子比)>200)と、3価以下の金属を骨格中に含むゼオライト(4価の金属/3価以下の金属(原子比)<200)であって、特開2004−123505号公報に記載されるような900℃での耐熱性を有するものである。ここで4価の金属の主成分はSiである。3価以下の金属を骨格中に含むゼオライト(4価の金属/3価以下の金属(原子比)<200)においては、一般にSi原子以外の原子(ヘテロ原子)が少ない方が耐熱性が高い。ゼオライト骨格中のSi/ヘテロ原子の原子比が10以上のものが耐熱性が高く好ましく、さらに好ましくは15以上であるものがよい。ゼオライト骨格中のSi/ヘテロ原子の原子比は、29Si MAS NMRで測定することができる。最も好ましくは、4価の元素と酸素のみで構成されたゼオライトである。
ゼオライトは、その骨格が4面体の中心にSi又はAlやチタン等のヘテロ原子(Si以外の原子)、4面体の頂点に酸素を有するシリケート構造を有している。従って、4価の金属がその4面体構造の中心に入るのが最も安定であり、耐熱性が期待できる。したがって、理論的にはAl等の3価の成分を実質的に含まないか、或いは少ないゼオライトが耐熱性が高い。これらの製造法としては、従来公知の水熱合成法などで直接合成するか、後処理で3価の金属を骨格から抜く方法が好んで用いられる。
なかでも本発明で好ましく用いられるゼオライトは、チタノシリケートゼオライト、ボロシリケートゼオライト、コバルトシリケートゼオライト、USY(ハイシリカY型ゼオライト)である。
本発明で用いる担体は、最も好ましくはマグネシアを用いる。マグネシアは、酸に溶解するため精製工程が容易である。マグネシアは、重質マグネシア、軽質マグネシアなどを用いることができるが、中でも軽質マグネシアが好ましい。軽質マグネシア上に金属を担持したものを触媒として用いると、グラファイト化度の高いカーボンナノチューブが生成する。
上記マグネシアは、マグネシウム含有化合物を熱分解させて合成してもよい。マグネシウム含有化合物としては、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムなどを用いることができる。マグネシウム含有化合物の熱分解は、その化合物の熱分解温度以上の温度で空気雰囲気下において焼成する方法が用いられる。例えば炭酸マグネシウムを用いる場合には、600℃以上で焼成し、マグネシアと二酸化炭素に熱分解させる。
担体に対する金属塩の担持方法は、特に限定されない。例えば、担持したい金属塩を溶解させた非水溶液中(例えばエタノール溶液)又は水溶液中に、担体を含浸し、充分に分散混合した後、乾燥させる。またその後、空気、窒素、水素、不活性ガスまたはその混合ガス又は真空中で高温(300〜600℃)で加熱してもよい(含浸法)。
金属の担持量は、多いほどカーボンナノチューブの収量が上がるが、多すぎると金属の粒子径が大きくなり、生成するカーボンナノチューブが太くなる。金属の担持量が少ないと、担持される金属の粒子径が小さくなり、細いカーボンナノチューブが得られるが、収率が低くなる傾向がある。最適な金属の担持量は、担体の細孔容量や外表面積、担持方法によって異なるが、担体に対して0.1〜10重量%の金属を担持することが好ましく、最も好ましくは0.1〜3重量%である。2種類以上の金属を使用する場合、その比率は限定されない。
本発明における担持触媒は、金属に鉄、担体にマグネシアを用いることが最も好ましい。マグネシアに鉄を担持したものを触媒とすると、他の何れの金属と担体との組み合わせを触媒としたときよりも、合成したカーボンナノチューブのグラファイト化度が高くなる。これは、微小な鉄が高グラファイト化度のカーボンナノチューブを合成する役割を果たし、マグネシアが鉄の粒径肥大を抑制する役割を果たしているためと推察している。
触媒と炭素含有化合物を含む原料ガスとの接触のさせ方は特に限定されないが、好ましくは上述のようにして得られた触媒を縦型反応器に充填する。縦型反応器とは、鉛直方向(以下「縦方向」と称する場合もある)に設置された反応器(例えば管形状を有する反応器であってよい)を有し、この反応器の一方の端部からもう一方の端部に向けた方向(鉛直方向)に炭素含有化合物が、充填された触媒に接触しながら通過する態様で流通し得る機構を備えたものである。なお、上記において、鉛直方向と表記しているが、鉛直方向と鉛直方向に対して若干傾斜角度(例えば水平面に対し90°±15°、好ましくは90°±10°)を有する方向を含む。なお、好ましいのは鉛直方向である。また、上記においては炭素含有化合物を、カーボンナノチューブ製造用触媒で形成される触媒層中を通過しながら接触させるように流通させることが重要である。
触媒と炭素含有化合物を接触させる方法において、反応器の水平断面方向全面に触媒が存在している状態は触媒と鉛直方向に流通する炭素含有化合物を接触させる上で好ましい。横型反応器の場合、このような状態にするには重力の関係上左右両端から触媒を挟み込む必要がある。しかし、カーボンナノチューブの生成反応の場合、反応するに従って触媒上にカーボンノチューブが生成するため、体積が増加するので、左右から触媒を挟みこむ方法は好ましくない。そこで、本発明ではこれを解決するために反応器を縦型にする。縦型にすることによって、両側から挟みこむことなく、ガスが透過できる触媒を置く台が下にあれば、上からはさむことなく水平断面方向に均一に触媒を存在させることができる。本発明において、縦型反応器中、反応器の水平断面方向全面に存在させた状態とは、水平断面方向に全体に触媒が広がっている状態、好ましくは反応器の水平断面全体を触媒が覆うように存在している状態を言い、例えば、次のような状態を言う。
A.ガスが透過できる触媒を置く台(セラミックスフィルターなど)を置き、そこにある厚みに触媒を充填する。この充填層の上下が多少凸凹してもかまわない(図1(a))
。図1(a)は反応器1の中の触媒を置く台2の上に触媒3が反応器の断面方向全体に存在している状態を示す概念図である。
B.前記の触媒を置く台上に、触媒以外の物体と触媒を混ぜて充填する。この充填層は均一であることが好ましいが、上下が多少凸凹してもかまわない(図1(b))。図1(b)は反応器1の中の触媒を置く台2の上に触媒以外の物体と触媒を混合したもの4が反応器の断面方向全体に存在している状態を示す概念図である。
C.反応器上部から触媒を噴霧などで落とし、触媒粉末がガスを介して反応器断面方向に均一に存在している状態(図1(c))。図1(c)は反応器1上部から噴霧した触媒5が反応器断面方向全体に広がった触媒状態6を示す概念図である。
上記触媒を台上に置く場合において、縦型反応器中、反応器の水平断面方向全面に存在するとは触媒の上から目視にて確認したときに、触媒底部の台が見えないことを示す。
なお、炭素含有化合物の供給、排出部は、必ずしも反応器の端部である必要はなく、炭素含有化合物が前記方向に流通し、その流通過程で触媒に接触しながら通過すればよい。
反応器は耐熱性であることが好ましく、石英製、アルミナ製等の耐熱材質が好ましい。
この縦型の反応器内に触媒で形成される触媒層の下部、もしくは上部から炭素含有化合物が触媒で形成される触媒層を通過させて接触、反応させることによりカーボンナノチューブを生成する。炭素含有化合物は、可能な限り触媒層全体を貫通するように通気させることにより、触媒層中の各触媒表面全体と接触できるようにするのが好ましい。
縦型反応器とは対照的に、横型反応器は横方向(水平方向)に設置された反応器を有する。ここでいう横型反応器は、水平方向に設置された反応器内を炭素源が、石英板上に置かれた触媒上を通過して接触、反応する態様の反応装置を指す。この場合、触媒表面ではカーボンナノチューブが生成するが、触媒内部には炭素含有化合物が到達しないためにほとんど反応しない。これに対して縦型反応器では触媒全体に原料の炭素含有化合物が通気、接触することが可能となるため、効率的に、多量のカーボンナノチューブを合成することが可能である。このように縦型反応器が、その機構上、触媒のすみずみまで炭素含有化合物と接触できるので、カーボンナノチューブを効率的かつ、多量に合成するために重要である。
触媒と炭素含有化合物を含む原料ガスとの接触方法は、上記のような方法のほかに、触媒を攪拌しながら接触させる方法や、大流量のガスにより触媒を浮き上がらせ、流動させる方法(例えば原料ガスを触媒下方から通過させ、かつ原料ガスの流量を触媒を浮き上がらせる程度に調節することにより行うことができる)であってもよい。
本発明の製造方法、すなわち700℃以上における熱分解率が10%以下となるような条件で炭素数2以上の炭素含有化合物または炭素含有化合物を含む原料ガスを触媒と接触させることにより、波長が633nmの励起光を用いた共鳴ラマン分光測定から得られるGバンドとDバンドの比(G/D比)が高く、耐熱性が高いカーボンナノチューブ含有組成物が得られる。なお、共鳴ラマン分光法による評価は次のようにして行う。すなわち、ラマンスペクトルにおいて1590cm−1付近に見られるラマンシフトはグラファイト由来のGバンドと呼ばれ、1350cm−1付近に見られるラマンシフトはアモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来のDバンドと呼ばれる。このG/D比が高いほどグラファイト化度が高く、高品質なカーボンナノチューブを意味する。本発明の製造方法により得られるカーボンナノチューブ含有組成物について、波長が633nmの励起光を用いた共鳴ラマン分光法により、測定サンプルの任意の3箇所についてG/D比を測定し、その平均値を算出する。
本発明の製造方法により得られる上記のようにG/D比が高いカーボンナノチューブ含有組成物は、グラファイト化度が高いため、示差熱・熱重量同時測定の発熱ピークが高くなる。具体的には、空気中で10℃/分で昇温したとき、カーボン分が燃えるときの温度を発熱ピークといい、この発熱ピークが高いほど耐久性があり欠陥が少ないということであるので、例えば、電子放出材料として用いたときに、大きい電流を、長期間にわたり得ることができる。発熱ピークは示差熱・熱重量同時測定において熱起電力が最大のピークとなる点を読みとり、決定する。
また本発明のカーボンナノチューブ含有組成物は、合成したままの状態で利用してもよいが、好ましくは担体材料や金属を除いて使用した方がよい。担体材料や金属は、酸などで取り除くことができる。例えば、担体としてゼオライト、金属としてコバルトを使った場合には、フッ化水素酸でゼオライトを、塩酸でコバルトを取り除くことができる。担体としてマグネシアを使った場合には、塩酸で担体と金属とを同時に除去できる。このような処理により、金属の残存量を3重量%以下にまで低減させることができる。また別法として担体材料や金属は、カーボンナノチューブ含有組成物を溶液に含浸する方法により取り除くことができる。例えば、担体としてゼオライト、金属としてコバルトを使った場合には、カーボンナノチューブ含有組成物をトルエン/水混合液に含浸することによりカーボンナノチューブをトルエン層に、ゼオライト、コバルトを水層に、分離することが出来る。
金属の量を高度に取り除きたい場合には、焼成処理を行ってから酸で処理するとよい。
それは、金属がグラファイトなどの炭素化合物で覆われているため、一度触媒周りの炭素を焼きとばしてから酸処理すれば、金属を効率よく除去することができるからである。
本発明の製造方法により、カーボンナノチューブの30%以上、好ましくは50%以上が単層カーボンナノチューブであるカーボンナノチューブ含有組成物を得ることが可能である。この確認は、カーボンナノチューブを高分解能透過型電子顕微鏡で100万倍で観察し、150nm四方の視野の中で、視野面積内に10本以上のカーボンナノチューブが含まれるところで写真を撮り、この観察されたカーボンナノチューブのうち任意の10本の層数を確認し、単層カーボンナノチューブの本数を確認して割合を求める。上記測定を10箇所について行った平均値で評価するものとする。多くの場合、150nmの視野でカーボンナノチューブの端から端までの全体像をとらえることは難しい。そのため、上記測定では視野中で確認できるカーボンナノチューブを1本として捉えるものとする。(すなわち、視野外でつながっていることにより現実には1本であるが、視野中ではそれが確認できず、2本に見える場合、2本として計算する場合があり得ることを意味する。)
本発明のカーボンナノチューブ含有組成物は、電子放出材料、電池電極材料として有用である。例えば、本発明のカーボンナノチューブ含有組成物をフィールドエミッションの電子源に用いた場合、直径が細く、電界の集中が起こりやすいので、印加電圧を低く抑えることができる。特に、高純度であることからエミッションサイトが多くなり、且つグラファイト化度が高いことから寿命を延命することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても、本発明を限定的に解釈するものとして使用してはならない。
実施例および比較例中、各種物性評価は以下の方法で行った。
[示差熱・熱重量同時測定]
全ての実施例および比較例において、約10mgの試料を示差熱・熱重量同時測定装置(島津製作所製 TGA−60)に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温した。そのときの燃焼による重量減少(%)を測定した。
また、実施例1および4においては、触媒を精製処理により除去したカーボンナノチューブ含有組成物について示差熱・熱重量同時測定(島津製作所製 DTG−50)を行った。この測定では、約1mgの試料を該装置に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温し、そのときの燃焼による発熱ピーク(℃)を測定した。
[高分解能透過型電子顕微鏡写真]
エタノール中に分散した試料をグリッド上に滴下し、乾燥した。このように試料の塗布されたグリッドを高分解能透過型電子顕微鏡(日立製作所製 H−9000UHR III)に設置し、観察した。測定倍率は100万倍で観察し、150nm四方の視野の中で、視野面積内に10本以上のカーボンナノチューブが含まれるところで写真を撮り、この観察されたカーボンナノチューブのうち任意の10本の層数を確認し、単層カーボンナノチューブの本数を確認して割合を求めた。上記測定を10箇所について行った平均値で評価した。
[共鳴ラマン分光分析]
共鳴ラマン分光計(ホリバ ジョバンイボン製 INF−300)に粉末試料を設置し、633nmのレーザー波長を用いて測定を行った。
[電界放射型走査電子顕微鏡写真]
エタノール中に分散した試料をアルミ箔上に滴下し、乾燥した。これを専用の試料台に固定し、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子製 JSM−6301F)に設置し、観察した。
[熱分解率の測定]
内径64mmの縦型石英管を電気炉中に設置して、窒素を1600cm/分で供給しながら中心温度を800℃に加熱した(昇温時間60分)。800℃に到達した後、炭素源であるエチレンガス(高千穂化学工業製)またはアセチレンガス(高圧ガス工業製)を、窒素ガスと表1記載の濃度、線速になるように混合して30分供給した。その後、800℃の温度域に導入される前のガスと導入後のガスをサンプリングし、水素炎イオン化検出器付きのガスクロマトグラフ(島津製作所製GC−8A)によりエチレンおよびアセチレンを定量した。カラムはユニパック(Unipak)Sを用い、検出器の設定温度を200℃、カラム温度を100℃に設定し、プロファイルをクロマトパック(島津製作所C−R6A)に出力し、ピーク面積を求め、熱分解率を算出した(表1)。
Figure 2008031024
実施例1
(マグネシアへの金属塩の担持)
クエン酸鉄(III)アンモニウム(和光純薬工業製)0.5gをメタノール(関東化学社製)25cmに溶解した。この溶液に、軽質マグネシア(和光純薬工業製)を5g加え、超音波洗浄機で60分間処理し、40℃の恒温下で攪拌しながらメタノールを除去して乾燥し、軽質マグネシア粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
(カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)
電気炉中に設置した内径64mmの縦型石英管の中央部の石英ウール上に、上記で調製した固体触媒1.0gをとり、窒素を1600cm/分で供給した。石英管内が窒素で充分置換した後、中心温度を800℃に加熱した(昇温時間60分)。800℃に到達した後、エチレンガスを36cm/分、窒素ガスを4500cm/分(エチレン濃度0.8%、線速2.4cm/秒)、反応圧力1×10Pa(1気圧)の条件で60分供給した後、エチレンガスの供給をやめ、窒素流通下で温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。この反応条件におけるエチレンの熱分解率は1.7%である。反応管を流通させる全てのガスは、下部から上部方向へ流通させた。
(カーボンナノチューブを含有する組成物の共鳴ラマン分光分析)
上記合成により得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を共鳴ラマン分光計で測定した結果を図3に示す。波長が633nmのレーザー光を用いたところG/D比が20であり、グラファイト化度の高い高品質カーボンナノチューブであることがわかった。
(カーボンナノチューブを含有する組成物の示差熱・熱重量同時測定)
上記合成により得られたカーボンナノチューブを含有する組成物の一部を採取して示差熱・熱重量同時測定を行った結果、8%であった。
また、上記合成により得られたカーボンナノチューブから触媒を除去するため、次のように精製処理を行った。カーボンナノチューブを含有する組成物を400℃で1時間空気の存在下で焼成をした後、6Nの塩酸水溶液に添加し、80℃のウォーターバス内で2時間攪拌した。濾過して得られた回収物を、さらに6Nの塩酸水溶液に添加し、80℃のウォーターバス内で1時間攪拌した。濾過し、数回水洗した後、濾過物をトルエン/水(=1/1)の混合液に添加し、30分超音波処理した後、5分振った。トルエン相を分液ロートで分取、濾過後、濾過物を120℃のオーブンで一晩乾燥した。得られたカーボンナノチューブ組成物の示差熱・熱重量同時測定を行った結果、発熱ピークが584℃であった。
(カーボンナノチューブを含有する組成物の電界放射型走査電子顕微鏡分析)
上記合成により得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を電界放射型走査電子顕微鏡で観察したところ、図2(a)に示すように、数十nmのバンドルを組んだ単層カーボンナノチューブが観察された。
(カーボンナノチューブを含有する組成物の高分解能透過型電子顕微鏡分析)
上記合成により得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、図2(b)に示すように、カーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、直径が1nm前後のものが多く観察された。上記高分解能透過型電子顕微鏡で単層カーボンナノチューブの割合を確認したところ、層数が単層のカーボンナノチューブがカーボンナノチューブ総本数の50%を占めていた。
(カーボンナノチューブを含有する組成物の希薄酸素処理)
上記精製処理を施したカーボンナノチューブを含有する組成物について5%濃度の酸素により酸化処理を行い、アモルファスカーボンなどの不純物量を見積もった。これは、希薄濃度の酸素によりアモルファスカーボンなどの低耐熱性の不純物が選択的に焼失し、結晶性を持ち耐熱性の高いカーボンナノチューブが残存するため、不純物の混入量を見積もることができると考えられる。希薄酸素処理による重量減少度を%で示す。
上記酸化処理は、上記精製処理を施したカーボンナノチューブを含有する組成物について行う。電気炉中に設置した内径64mmの縦型石英管の中央部の石英ウール上に、上記で精製したカーボンナノチューブを含有する組成物を0.1g秤量したるつぼを置き、窒素を1000cm/分で供給した。中心温度を500℃まで加熱した後(昇温時間60分)、5%の酸素と95%の窒素から成る混合ガスを2100cm/分の条件で30分供給した後、酸素の供給をやめ、窒素流通下で温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。反応管を流通させる全てのガスは、上部から下部方向へ流通させた。このときのカーボンナノチューブを含有する組成物の重量減少度は35%であり、即ち65%がカーボンナノチューブであると考えられる。
実施例2
(チタノシリケートゼオライトへの金属塩の担持)
トリフルオロ酢酸鉄(日本化学産業製)0.15gとトリフルオロ酢酸コバルト(日本化学産業製)1.35gをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、チタノシリケートゼオライト(エヌイーケムキャット社製)を10.0g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下で攪拌しながらエタノールを除去して乾燥し、チタノシリケートゼオライト粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
(カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)
実施例1と同様の反応系および反応条件下で、上記触媒を反応させてカーボンナノチューブを含有する組成物を得た。このようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物について、共鳴ラマン分光計で測定した。波長が633nmのレーザー光で測定した結果、G/D比が20と実施例1同等の高いグラファイト化度のカーボンナノチューブであることがわかった。また、上記のカーボンナノチューブを含有する組成物について示差熱・熱重量同時測定を行った結果、1%であった。
実施例3
実施例1と同様の反応系および固体触媒を用いて、800℃に到達した後、エチレンガスを5.4cm/分、窒素ガスを671cm/分(エチレン濃度0.8%、線速0.4cm/秒)、反応圧力1×10Pa(1気圧)の条件で60分供給した後、エチレンガスの供給をやめ、窒素流通下で温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。この反応条件におけるエチレンの熱分解率は9.5%である。このようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物について、共鳴ラマン分光計で測定した。波長が633nmのレーザー光で測定した結果、G/D比が17と実施例1同等の高いグラファイト化度のカーボンナノチューブであることがわかった。
実施例4
実施例1と同様の反応系および固体触媒を用いて、反応温度が900℃であること以外は実施例1と同様の反応条件下で、カーボンナノチューブを含有する組成物を合成した。この反応条件におけるエチレンの熱分解率は8.2%である。このようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物について、共鳴ラマン分光計で測定した。波長が633nmのレーザー光で測定した結果、G/D比が23と実施例1同等の高いグラファイト化度のカーボンナノチューブであることがわかった。
実施例5
クエン酸鉄(III)アンモニウム(和光純薬工業製)0.16gをメタノール(関東化学社製)25cmに溶解した。この溶液に、軽質マグネシア(和光純薬工業製)を5g加え、超音波洗浄機で60分間処理し、40℃の恒温下で攪拌しながらメタノールを除去して乾燥し、軽質マグネシア粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
実施例1と同様の反応系および反応条件下で、上記触媒を反応させてカーボンナノチューブを含有する組成物を得た。このようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物について、共鳴ラマン分光計で測定した。波長が633nmのレーザー光で測定した結果、G/D比が19と実施例1同等の高いグラファイト化度のカーボンナノチューブであることがわかった。また、上記のカーボンナノチューブを含有する組成物について示差熱・熱重量同時測定を行った結果、9%であった。
また、実施例1同様の希薄酸素処理を行った結果、カーボンナノチューブを含有する組成物の重量減少度は19%であり、即ち81%がカーボンナノチューブであった。
実施例6
(Y型ゼオライトへの金属塩の担持)
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.16gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク社製)0.21gとをエタノール(ナカライテスク社製)40mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に、Y型ゼオライト(東ソー社製、HSZ−390HUA)を2.0g加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、Y型ゼオライト(「USY」と称する場合もある)粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
(カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)
実施例1と同様の反応系および反応条件下で、上記触媒を反応させてカーボンナノチューブを含有する組成物を得た。このようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物について、共鳴ラマン分光計で測定した。波長が633nmのレーザー光で測定した結果、G/D比が24と実施例1同等の高いグラファイト化度のカーボンナノチューブであることがわかった。また、上記のカーボンナノチューブを含有する組成物について示差熱・熱重量同時測定を行った結果、3.3%であった。
比較例1
実施例2の固体触媒と実施例1同様の反応系を用い、800℃に到達した後、アセチレンガスを36cm/分、窒素ガスを4500cm/分(アセチレン濃度0.8%、線速2.4cm/秒)、反応圧力1×10Pa(1気圧)の条件で60分供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、窒素流通下で温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。この反応条件におけるアセチレンの熱分解率は11.4%である。このようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物について、共鳴ラマン分光計で測定した。波長が633nmのレーザー光で測定した結果、G/D比が5と実施例1、2に比べてグラファイト化度が大きく低下したカーボンナノチューブであることがわかった。また、上記のカーボンナノチューブを含有する組成物について示差熱・熱重量同時測定を行った結果、6%であった。
さらに、上記のカーボンナノチューブから触媒を除去するため、次のように精製処理を行った。400℃で1時間空気下焼成をした後、60分超音波処理し、トルエン/水(=2/5)の混合液に添加して振った。トルエン相を分液ロートで分取、濾過後、濾過物を0.6Nのアルカリ水溶液に添加し、攪拌した。濾過して得られた回収物を120℃のオーブンで一晩乾燥した。得られたカーボンナノチューブ組成物の示差熱・熱重量同時測定を行った結果、発熱ピーク550℃であった。また、実施例1同様の希薄酸化処理を行った結果、カーボンナノチューブを含有する組成物の重量減少度は57.8%であり、即ち42.2%がカーボンナノチューブであると考えられる。従って、実施例1に比べてアモルファスカーボンなどの不純物が多いことが示唆された。
比較例2
実施例1と同様の反応系および固体触媒を用いて、800℃に到達した後、アセチレンガスを19cm/分、窒素ガスを2347cm/分(アセチレン濃度0.8%、線速1.7cm/秒)、反応圧力1×10Pa(1気圧)の条件で60分供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、窒素流通下で温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。この反応条件におけるアセチレンの熱分解率は、14.3%である。このようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物について共鳴ラマン分光計で測定した。波長が633nmのレーザー光で測定した結果、G/D比が9と実施例1、2に比べて低いグラファイト化度のカーボンナノチューブであることがわかった。
比較例3
実施例1と同様の反応系および固体触媒を用いて、800℃に到達した後、エチレンガスを328cm/分、窒素ガスを2952cm/分(エチレン濃度10%、線速1.7cm/秒)、反応圧力1×10Pa(1気圧)の条件で60分供給した後、エチレンガスの供給をやめ、窒素流通下で温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。この反応条件におけるエチレンの熱分解率は18%である。このようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物について、共鳴ラマン分光計で測定した。波長が633nmのレーザー光で測定した結果、G/D比が10と実施例1に比べて低いグラファイト化度のカーボンナノチューブであることがわかった。
比較例4
実施例2と同様の反応系および固体触媒を用いて、800℃に到達した後、エチレンガスを328cm/分、窒素ガスを2952cm/分(エチレン濃度10%、線速1.7cm/秒)、反応圧力1×10Pa(1気圧)の条件で60分供給した後、エチレンガスの供給をやめ、窒素流通下で温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。この反応条件におけるエチレンの熱分解率は18%である。このようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物について、共鳴ラマン分光計で測定した。波長が633nmのレーザー光で測定した結果、G/D比が2と実施例2に比べて低いグラファイト化度のカーボンナノチューブであることがわかった。
比較例5
実施例6と同様の反応系および固体触媒を用いて、800℃に到達した後、エチレンガスを328cm/分、窒素ガスを2952cm/分(エチレン濃度10%、線速1.7cm/秒)、反応圧力1×10Pa(1気圧)の条件で60分供給した後、エチレンガスの供給をやめ、窒素流通下で温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。この反応条件におけるエチレンの熱分解率は18%である。このようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物について、共鳴ラマン分光計で測定した。波長が633nmのレーザー光で測定した結果、G/D比が2と実施例1に比べて低いグラファイト化度のカーボンナノチューブであることがわかった。
実施例1〜6、比較例1〜5で得られたカーボンナノチューブ組成物の共鳴ラマン分光から求められるG/Dを表1に纏めた。本発明で得られたカーボンナノチューブ組成物のグラファイト化度が全ての比較例に比べて1.5〜2倍程度結晶性が高く、高品質のカーボンナノチューブであることがわかる。
Figure 2008031024
比較例6
実施例1と同様の反応系および固体触媒を用いて、800℃に到達した後、アセチレンガスを36cm/分、窒素ガスを4500cm/分(アセチレン濃度0.8%、線速2.4cm/秒)、反応圧力1×10Pa(1気圧)の条件で60分供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、窒素流通下で温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。このようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物について共鳴ラマン分光計で測定した。波長が633nmのレーザー光で測定した結果、G/D比が17と実施例1に比べて低いグラファイト化度のカーボンナノチューブであることがわかった。また、実施例1同様の精製処理後、得られたカーボンナノチューブ組成物の示差熱・熱重量同時測定を行った結果、発熱ピーク565℃であり、実施例1に比べて耐熱性が低かった。G/D比、発熱ピークが実施例1に比べて低いことから、カーボンナノチューブの導電性や熱伝導性が低く、低品位であると考えられる。また、上記カーボンナノチューブ組成物を走査型電子顕微鏡で観察した写真を図4に示すが、実施例1に比べ数十マイクロメートルの大きな凝集体が見られる。これは、原料である炭素含有化合物の熱分解率により副生したアモルファスカーボンなどが、カーボンナノチューブと絡まり合ったものと考えられる。カーボンナノチューブがこのような凝集体を形成することで、溶液や樹脂等に分散させることが困難となることや、導電性、熱伝導性などのカーボンナノチューブ本来の物性が有効に活用されないことが推測される。このことは、実施例1同様の希薄酸化処理を行ったところ重量減少度が50%であったことからも裏付けられ、実施例1に比べてアモルファスカーボンなどの不純物が30%多いことが示唆された。
実施例7、比較例7
(電界電子放出特性の評価)
実施例1および比較例4において得られたカーボンナノチューブを含有する組成物について、50mlビーカーに、上記のカーボンナノチューブを含有する組成物を50mgおよびエタノール50mlを入れ、超音波を30分間照射して分散液を得た。本分散液を塗料用スプレーで銅板に吹き付け、表面にカーボンナノチューブを堆積させた銅板を得た。実施例1で得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を使用した例を実施例7、比較例6で得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を使用した例を比較例7とする。
得られた銅板をカソードにし、アノード電極と対向させた2極管構造物を評価用チャンバーに導入し、電界電子放出特性を評価した結果を表3に示す。本発明で得られたカーボンナノチューブ組成物は、高純度、高グラファイト化度であり、電界電子放出特性は良好な特性を示した。電界放出特性については、比較例に比べて50%以上の特性向上が見られた。本発明で得られる優れた電界電子放出特性を示すカーボンナノチューブは、ディスプレイや蛍光管などのエミッション材料として適当である。
Figure 2008031024
本発明によれば、炭素数2以上の炭素含有化合物を含む原料ガスを触媒と接触させるカーボンナノチューブの合成方法であり、前記炭素含有化合物の700℃以上における熱分解率が10%以下となるような条件で触媒と接触させることで、高グラファイト化度のカーボンナノチューブを高純度で生成することが可能となる。
図1(a)は本発明で用いる縦型反応器の実施態様の1例を示す概念図であ る。図1(b)は、本発明で用いる縦型反応器の実施態様の別の1例を示す概念図である。図1(c)は、本発明で用いる縦型反応器の実施態様のさらに別の1例を示す概念図である。 図2(a)は実施例1で得られたカーボンナノチューブ含有組成物の電界放射型走査電子顕微鏡写真図である。図2(b)は前記カーボンナノチューブ含有組成物の高分解能透過型電子顕微鏡写真図である。 実施例1で得られた組成物の共鳴ラマン分光スペクトル図である。 比較例6で得られた組成物の電界放射型走査電子顕微鏡写真図である。
符号の説明
1:反応器
2:台
3:触媒
4:触媒以外の物体と触媒を混合したもの
5:噴霧した触媒
6:反応器断面方向全体に広がった触媒状態

Claims (6)

  1. 炭素数2以上の炭素含有化合物を含む原料ガスを触媒と接触させてカーボンナノチューブを形成させる製造方法であり、前記炭素含有化合物の700℃以上かつその温度での熱分解率が10%以下となるような条件で触媒と接触させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  2. 前記炭素数2以上の炭素含有化合物がエチレンであることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  3. 炭素数2以上の炭素含有化合物を触媒と接触させる工程が、鉛直方向に設置された縦型反応器で行われ、該縦型反応器の一方の端部から他の端部に向けた方向に炭素含有化合物が流通し、その炭素含有化合物が、カーボンナノチューブ製造法触媒で形成される触媒層中を通過する態様で流通する機構を備えた縦型反応器であることを特徴とする請求項1または2記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  4. 前記触媒が金属を担持した担体を含むものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  5. 前記触媒が、金属に鉄、担体にマグネシアを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  6. 前記製造方法により製造されたカーボンナノチューブの30%以上が単層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
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