JP2005094409A - 圧電発振器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 集積化(IC化)を図る場合に問題となる容量を100pFにしても従来の圧電発振器と同等な安定度を有するピアース型水晶発振器を構成する手段を得る。
【解決手段】 発振段のトランジスタTrにベースバイアス電圧とコレクタ電流とを供給すると共に、トランジスタTrのコレクタとベース間に圧電振動子Xを、コレクタとエミッタ間に容量Cceを、エミッタと接地間に抵抗Reと容量Ceとの並列回路を接続して変形ピアース型水晶発振回路を構成し、いずれの容量もIC化の限界とされる100pF以下で実現する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧電発振器に関し、特に集積化(IC化)に適したピアース型発振回路に関するものである。
近年、圧電発振器は高い周波数安定度、小型軽量、低価格等により電子機器の多くの分野で用いられている。特に圧電素子として、ATカット水晶振動子を用いた水晶発振器は、周波数温度特性、エージング特性が優れており、携帯電話の小型化やその普及に貢献している。
図7はピアース型水晶発振器の回路構成を示す図であって、トランジスタTrのベースとコレクタ間に水晶振動子Xを接続すると共に、ベースと接地(GND)間、コレクタと接地間にそれぞれ容量C1、C2を接続する。さらに、電源Vccを抵抗Rb1、Rb2で分圧した電圧と、エミッタと接地間に接続した抵抗Reの電圧降下との差を、トランジスタTrのベースバイアス電圧とすると共に、抵抗Rcを介してコレクタと電源Vccとを接続して、コレクタ電流を供給する。そして、トランジスタTrのエミッタと接地間に前記抵抗Reと並列にバイパス容量Ceを接続して、ピアース型水晶発振回路を構成する。
図7に示すピアース型水晶発振回路の位相シフト回路は、容量C1、C2及び誘導性で動作する水晶振動子Xとからなり、これらのループで共振回路を形成する。ここで、容量C1、C2は直列に接続されているのでこれらを1個の容量Cと等価とみなし、水晶振動子Xを流れる電流をiとすると、誘導性で動作する水晶振動子Xの両端の電圧は90°進み、等価容量Cの両端の電圧はで90°遅れ、水晶振動子X、C1、C2のループ全体では電圧が電流に対し180°の位相が変化することになる。トランジスタTrの位相シフトは180°であるから、ループの位相シフトは360°となり発振条件の1つを満たすことになる。
ピアース型発振回路の特徴は、コルピッツ型発振回路やクラップ型発振回路のように水晶振動子の片側の端子を接地するのではなく、水晶振動子Xの両端子を容量C1、C2を介して接地する。このため浮遊容量が容量C1、C2に吸収されるため、水晶発振器の高周波化を図る場合に極めて有効な回路構成である。
図8は、従来のピアース型水晶発振回路において水晶振動子Xの両端から回路側をみた等価入力抵抗−周波数特性を示したもので、バイパス容量Ceをパラメータとしてシミュレーションにより求めた図である。回路定数としては、Rb1=10kΩ、Rb2=22kΩ、Rc=270Ω、Re=1kΩ、C1=C2=51pF、Vcc=5Vに設定した。この図よりバイパス容量Ceとして100pFと小さい値を用いると、負性抵抗のピーク値が周波数の高い方へシフトすると共に、発振に必要な十分な負性抵抗が得られないことが分かる。
M.E. Frerking著 「Crystal Oscillator Design and Temperature Compensation」Van Nostrand Reinhold Co.出版 電気学会、電子回路研究会、ECT-00-60,千葉他、「集積化に適したピアース水晶発振器」
解決しようとする問題点は、従来のピアース型発振回路では発振段のトランジスタのエミッタを交流的に接地する必要があるため、100pFより大きな容量のバイパス容量が必要となる。しかし、発振回路の集積化(IC化)を考えた場合、容量の形成は100pF程度が限界であり、大きな容量を必要とする従来のピアース型発振回路の集積化は難しいという問題があった。
本発明は、ピアース型圧電発振器の集積化(IC化)を図るため、発振段のトランジスタTrにベースバイアス電圧とコレクタ電流とを供給すると共に、トランジスタTrのコレクタとベース間に圧電振動子Xを、コレクタとエミッタ間に容量Cceを、エミッタと接地間に抵抗Reと容量Ceとの並列回路を接続して構成し、しかも、いずれの容量もIC化の限界とされる100pF以下にて形成としたことを特徴とする。
本発明の水晶発振回路は、従来不可欠とされた、水晶振動子の両端子に接続する容量を取り除き、代わりに発振段のトランジスタのコレクタとエミッタ間に容量Cceを接続したので、従来のピアース型水晶発振回路においては必要であったバイパス容量Ceを用いることなく、変形ピアース型水晶発振回路を構成することが可能となり、集積化(IC化)に適する発振回路が構成できるという利点がある。
図1は本発明に係る変形ピアース型水晶発振回路の構成を示す図であって、トランジスタTrのベースとコレクタ間に水晶振動子Xを接続すると共に、コレクタとベース間に容量Cceを接続する。さらに、電源Vccを抵抗Rb1、Rb2で分圧した電圧と、トランジスタTrのエミッタと接地間に接続した抵抗Reの電圧降下との差を、トランジスタTrのベースバイアス電圧とすると共に、抵抗Rcを介してコレクタと電源Vccと接続して、コレクタ電流を供給する。そして、トランジスタTrのエミッタと接地間に前記抵抗Reと並列に容量Ceを接続して、変形ピアース型水晶発振回路を構成する。
図2は、図1に示した変形ピアース型発振回路の定数としてRb1=10kΩ、Rb2=22kΩ、Rc=270Ω、Re=1kΩ、Ce=100pF、Vcc=5Vに設定し、トランジスタTrのコレクタとベース間の容量Cceをパラメータとして等価入力抵抗−周波数特性をシミュレーションにより求めた図である。この図より、トランジスタTrのコレクタとエミッタ間に接続した容量Cceが0pFの場合は、等価入力抵抗は負性を示さず、容量Cceの値を増加するに応じて負性抵抗の絶対値が大きくなり、そのピーク値が周波数の低い側にシフトすることが分かる。図2には容量Cceの値としてIC化が可能な100pFまでを示したが、負性抵抗の絶対値としては水晶振動子の等価抵抗R1の3倍から5倍あれば十分であり、回路の実用化が可能であることが分かる。
図2のシミュレーションより、発振段のトランジスタTrのコレクタとエミッタ間に容量Cceを付加することにより、従来のピアース型発振回路に不可欠とされた水晶振動子の両端に接続する容量C1、C2を削除しても十分な負性抵抗が得られることが判明した。
本発明に至った経緯を説明する。図7に示すピアース型水晶発振回路の集積化(IC化)を考えると、問題点は回路に用いられる容量を如何にして小さくするかである。一般的に、回路をIC化する場合、容量の限界は100pF程度であると言われている。そこで、図7に示したピアース型水晶発振回路のトランジスタTrのコレクタとエミッタ間に、容量Cceを接続する回路を検討することにした。図9は、容量Cceを付加したピアース型水晶発振回路の等価入力抵抗−周波数特性をシミュレーションにより求めた図である。定数としてRb1=10kΩ、Rb2=22kΩ、Rc=270Ω、Re=1kΩ、C1=C2=51pF、Ce=100pF、Vcc=5Vに設定し、コレクタとエミッタ間に接続した容量Cceをパラメータとした。この図から容量Cceを大きくするに応じて、負性抵抗の絶対値が大きくなり、そのピークが周波数の低い側にシフトすることが判明した。しかし、負性抵抗の絶対値の大きさは不十分であり、容量Cceが100pFより大きくなるとIC化には適さない。
そこで、回路定数としてRb1=10kΩ、Rb2=22kΩ、Rc=270Ω、Re=1kΩ、Ce=100pF、Cce=100pF、Vcc=5Vに設定し、水晶振動子の両端に接続する容量C1、C2をパラメータに選んで、等価入力抵抗−周波数特性をシミュレーションにより求めたものを図10に示す。この図より容量C1、C2の値を51pFから順次小さくすると負性抵抗の絶対値も少しずつ大きくなり、しかも周波数の低い方へシフトし、両容量とも零とした場合に負性抵抗の絶対値が最も大きくなることが判明した。このようして、従来から不可欠とされた、水晶振動子の両端に接続する容量C1、C2を削除した変形ピアース型水晶発振回路を発明するに至った。
図3は本発明に係る変形ピアース型水晶発振器の第2の実施の形態を示す図であって、図1と異なるところは、トランジスタTrのエミッタと接地間に接続したバイバス容量Ceを除いた点である。この発振回路を用いても十分に安定な発振が得られることを確認した。
図4は本発明に係る変形ピアース型水晶発振器の第3の実施の形態を示す図であって、図1と異なるところは、トランジスタTrのベースとエミッタ間に容量Cbe接続したことである。この発振回路を用いても十分に安定な発振が得られることを確認した。
図5は本発明に係る変形ピアース型水晶発振器の第4の実施の形態を示す図であって、図1と異なるところは、トランジスタTrのベースとエミッタ間に容量Cbe接続する一方で、トランジスタTrのエミッタと接地間に接続したバイバス容量Ceを除いたことである。この発振回路を用いても十分に安定な発振が得られることを確認した。
図6は本発明に係る変形ピアース型水晶発振器の第5の実施の形態を示す図であって、図1と異なるところは、水晶振動子Xの代わりに二重モード水晶フィルタ(MCF)を用いて発振回路を構成したところである。二重モード水晶フィルタの入力端子INをベースに、出力端子OUTをコレクタに、アース端子Eを接地にそれぞれ接続して構成する。この発振回路を用いても十分に安定な発振が得られることを確認した。
尚、この実施の形態では二重モード水晶フィルタを用いて説明したがSAWフィルタ等の他のフィルタ素子を用いて、変形ピアース型水晶発振器を構成してもよい。
本発明に係るピアース型水晶発振器の構成を示す回路図である。 図1の回路容量Cceをパラメータにしたときの等価入力抵抗−周波数特性を示す図である。 本発明に係るピアース型水晶発振器の第2の発明の構成を示す回路図である。 本発明に係るピアース型水晶発振器の第3の発明の構成を示す回路図である。 本発明に係るピアース型水晶発振器の第4の発明の構成を示す回路図である。 本発明に係るピアース型水晶発振器の第5の発明の構成を示す回路図である。 従来のピアース型水晶発振器の構成を示す回路図である。 図7に示したピアース型水晶発振回路において、容量Ceをパラメータとした場合の等価入力抵抗−周波数特性を示す図である。 図7に示したピアース型水晶発振回路のコレクタ−エミッタ間に容量Cceを付加した回路において、該容量Cceをパラメータとした場合の等価入力抵抗−周波数特性を示す図である。 図7に示したピアース型水晶発振回路のコレクタ−エミッタ間に容量Cceを付加した回路において、該容量C1、C2をパラメータとした場合の等価入力抵抗−周波数特性を示す図である。
符号の説明
TR トランジスタ
X 圧電振動子
MCF 二重モード圧電フィルタ
Rb1、Rb2、Re、Rc 抵抗
Ce、Cce、Cbe 容量
Vcc 電源
GND 接地



Claims (6)

  1. 発振段のトランジスタTrにベースバイアス電圧とコレクタ電流とを供給すると共に、トランジスタTrのコレクタとベース間に圧電振動子Xを、コレクタとエミッタ間に容量Cceを、エミッタと接地間に抵抗Reと容量Ceとの並列回路を接続したことを特徴とする圧電発振器。
  2. 前記バイパス容量Ceを削除したことを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
  3. 前記トランジスタTrのベースとエミッタ間に容量Cbeを接続したことを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
  4. 前記バイパス容量Ceを削除すると共に前記トランジスタTrのベースとエミッタ間に容量Cbeを接続したことを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器
  5. 前記圧電振動子Xの代わりに二重モード圧電フィルタ素子の入力端子をベースに、出力端子をコレクタに、アース端子を接地に接続したことを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
  6. いずれの容量も100pF以下にて形成したことを特徴とする請求項1乃至5に記載の圧電発振器。








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