JP2005093167A - 固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極とその製造方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガス拡散電極に均一な撥水性を付与し、高分子電解質膜を湿潤状態に保ちつつ余剰となった水分を速やかに電池系外に排出する能力に優れ、長期間安定した発電性能を維持する固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極とその製造方法を提供する。
【解決手段】高分子電解質膜1を挟む一対の触媒層2からなる接合体Aを挟む一対のガス拡散電極3からなる膜・電極接合体(MEA)を挟持する一組のセパレータ6、さらに集電板7とを備える固体高分子型燃料電池11であって、前記セパレータ6が、膜・電極接合体(MEA)側の面に、アノードガスあるいはカソードガスが流れる流通用溝4、5を有するものにおいて、前記固体高分子電解質膜1と前記固体高分子電解質1を挟んだ一対の前記ガス拡散電極3の基材に少なくともフッ素含有化合物を含む撥水材が形成されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極とその製造方法に関するものである。
燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんど無いクリーンな発電システムである。特に、固体高分子型燃料電池は、他と比較し低温で動作することから、自動車等の移動体用動力源として期待されている。従来、固体高分子型燃料電池は、プロトンイオン伝導性固体高分子電解質膜により隔てられた二つのガス拡散電極を含んで形成される。図1は、固体高分子型燃料電池の基本的な構成を模式的に表した断面概略図である。図1に示すように、固体高分子型燃料電池は、ポーラスカーボンなどのガス拡散電極3、白金等に代表される触媒(触媒層2)、並びに膜の形態における電解質材料(プロトンイオン伝導性固体高分子電解質膜1)が一つとなり膜電極(MEA:Membrane Electrode Assembly)を形成し、これらMEAをセパレータ6を介して積層することにより構成されている。また、各セパレータ6にはガス供給溝(水素供給溝4及び酸素供給溝5)が形成されており、これら水素及び酸素をそれぞれ、触媒層2、ガス拡散電極3から構成されるアノード及びカソードへ供給する。このように反応ガスを供給することにより、次式(1)、(2)に示す電気化学的反応が生じ、その進行に伴い電子が発生し、この電子を電極から外部回路に取り出すことにより、電気エネルギーが発生する。
Figure 2005093167
前記ガス拡散電極3は、ガス透過性及び電子伝導性を有することが必要であり、前記ガス拡散電極3の基材としては、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボン不織布等が一般的に用いられる。また、固体高分子型燃料電池では、プロトンイオン伝導性固体高分子電解質膜1に米国デュポン社製ナフィオン膜に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜が用いられている。この高分子電解質膜1は、含水率の増加に伴って、イオン伝導性が高くなる物性を有しているため、高分子電解質膜1を湿潤状態に保つ必要がある。しかしながら、過剰な湿潤状態にすると凝縮水によりガス拡散電極3の気孔部やセパレータ6のガス流通路(水素供給溝4及び酸素供給溝5)が閉塞され、ガス拡散の阻害により電池性能は極端に劣化するといったフラッディング状態になる。高分子電解質膜1を適切な湿潤状態に保ちつつ、過剰な水分を安全かつ速やかに除去するために、前記ガス拡散電極3は撥水性を有していることが必要であり、その撥水性を向上させるために、前記ガス拡散電極3の基材にフッ素樹脂を添加することなどが行われている。
上述のような固体高分子型燃料電池のガス拡散電極部分に撥水性を付与するために、粒径数百nmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂粒子を溶媒中に分散させて得られる懸濁液(分散液)が用いられていた(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、前記懸濁液を用いてガス拡散電極基材を浸漬するといった方法では引き上げ後の液切り等の問題などによりガス拡散電極中にフッ素樹脂粒子が不均一に存在する状態・偏分布が起こりやすく、前記ガス拡散電極の全面において均一な撥水性を付与することが困難になる傾向があった。また、PTFEの代わりにホスファゼンをテトラヒドロフランのような溶媒に溶解したポリホスファゼン溶液が用いられているが(例えば、特許文献2参照。)、前述のPTFEと同様に前記ガス拡散電極の全面において均一な撥水性を付与することは容易ではなかった。さらに、PTFEの代わりにフッ化ピッチのパーフルオロベンゼン溶液が用いられているが(例えば、特許文献3参照。)、同様に前記ガス拡散電極の全面において均一な撥水性を付与することは難しかった。そして、このようなフッ素樹脂懸濁液を用いて撥水性を付与して得られる固体高分子型燃料電池では、高分子電解質膜の湿度を保つ能力及び余剰となった水分を安全かつ速やかに除去する能力が不十分であった。また、このような保湿能力や余分な水分を除去する能力は、長時間の電池運転により経時的に劣化しやすく、長時間の電池運転を経た固体高分子型燃料電池は保湿能力の不足による高分子電解質膜1や触媒層2のドライアップ状態、余剰水分の除去能力の不足により凝縮水がガス拡散電極3の気孔部やセパレータ6のガス流通路(水素供給溝4及び酸素供給溝5)を閉塞させるフラッディング状態に陥りやすくなる。さらに、撥水性の劣化は不可逆であり、一旦上記のような状態に陥った固体高分子型燃料電池のMEAが再び運転初期における性能を示すのは不可能であった。
特開平8−236123号公報 特開平11−3715号公報 特開2000−67874号公報
本発明は、上記の従来技術の課題に着目されたものであり、ガス拡散電極に均一性高く撥水性を付与することができ、高分子電解質膜を湿潤状態に保ちつつ余剰となった水分を速やかに電池系外に排出する能力に優れ、長期間にわたって安定してかつ発電性能が優れた固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、ガス拡散電極基材の撥水処理を施したい部分にのみ、少なくともフッ素含有化合物を含む撥水材が形成されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極により達成される。
本発明の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極では、固体高分子型燃料電池に用いる際の固体高分子電解質膜及び触媒層からなる接合体を挟持するガス拡散電極基材側の面に、少なくともフッ素含有化合物を含む撥水材により撥水処理を施したい部分(撥水処理を施す必要のある部分)にのみ形成されているため、ガス拡散電極に均一性高く撥水性を付与することができる。そのため本発明のガス拡散電極を用いた固体高分子型燃料電池では、高分子電解質膜を湿潤状態に保ちつつ余剰となった水分を速やかに電池系外に排出する能力に優れ、長期間にわたって安定してかつ発電性能が優れた固体高分子型燃料電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態につき、より詳しく説明する。
本発明の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極(以下、単にガス拡散電極ともいう)は、ガス拡散電極基材の撥水処理を施したい部分にのみ、少なくともフッ素含有化合物を含む撥水材が形成されていることを特徴とするものであり、図2に示す工程を含む製造方法によって、ガス拡散電極に均一な撥水分布を得ることができるものである。
すなわち、本発明のガス拡散電極の製造方法は、(1)ガス拡散電極基材にレジストを被覆する工程(レジスト被覆工程)と、(2)被覆したレジストを露光・現像して孔部(トレンチ部、ホール部)を持ったレジストのマスクパターンを形成する工程(パターンドマスクの形成工程)と、(3)前記マスクパターンにレジストのフッ素含有化合物を含む撥水材を乾式法により成膜する工程(撥水材成膜工程)と、(4)レジストのパターンマスクを除去して、前記孔部があったガス拡散電極基材上に成膜されて残存する撥水材により、撥水材の配列を形成する工程(レジストマスクの除去及び撥水材の配列形成工程)とを含むことを特徴とするものである。以下、図2を用いて各工程ごとに説明する。
(1)出発形態;レジスト被覆工程:図2(a)に示すように、ガス拡散電極基材21にレジストを塗布することによりレジスト層22を形成する。
ここで、ガス拡散電極基材としては、特に制限されるべきものではなく、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボン不織布等、従来公知のものを適宜用いることができ、市販されているものを用いても良い。ガス拡散電極基材の厚さは、特に制限されるものではなく、電池の使用目的等に応じて適宜決定されるものであるが、一般的には50〜500μm、好ましくは70〜400μmの範囲である。
また、レジストとしては、特に制限されるべきものではない。例えば、メチルスチレンとクロロアクリル酸エステルとの共重合体、クロロアクリル酸エステルの一部に変えて、ブロモアクリル酸エステルなどを用いることができるほか、後述する実施例で用いているZEP520A(日本ゼオン株式会社製)等のような市販のレジストを用いることもできる。尚、レジスト除去溶剤で、撥水材が影響を受けないように、レジスト及びレジスト除去溶剤を選定する際には留意する必要がある。レジストの塗布方法としては、特に制限されるべきものではなく、例えば、スピンコート、ディッピング法等、従来公知の各種塗布技術を適用することができる。レジスト塗布後はプリベークを行う。該プリベーク条件としては、レジストの種類等により異なるが、通常、オーブン内で、50〜200℃で、60秒程度行えばよい。また、レジスト層の厚さは、図2(c)に示すように、撥水材の厚さよりも厚めに形成しておく必要がある。また、レジスト層が厚すぎると、レジストパターンの孔部に撥水材を均一に形成するのが困難となるおそれがある。よって、レジスト層の厚さは、上記要件を満足した上で、50〜300nmの範囲になるように調整するのが望ましい。
(2)(パターンドマスクの形成工程):図2(b)及び図3に示すように、電子線露光あるいは光露光した後、現像処理によりレジストパターン(パターンドマスク23)を形成する。
上記電子線露光あるいは光露光及び現像処理に関しては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の露光及び現像処理技術を適宜利用して行うことができる。例えば、露光時の照射条件(例えば、電子線露光での加速電圧や電子線照射量等)や現像条件(現像液や現像時間、現像後のリンス時間など)などに関しては、従来公知の露光及び現像処理技術を適用することで、最適な条件を決定することができる。また、電子線露光及び光露光は、用いるレジストの種類等に応じて適宜決定すればよい。例えば、電子線描画装置により電子線を照射する。照射線のパターンは撥水性を付与するガス拡散電極基板上の任意の点とすることができる。光露光においても同様である。すなわち、パターンドマスク23の孔部26が、ガス拡散電極基材21の撥水処理を施したい部分となるように露光する。
露光した部分の現像を行うことで、孔部26を持ったレジストパターン(パターンドマスク23)を得る。また、孔部26には、ガス拡散電極基材21の表面が露出し、レジスト層22が残らないように、露光、現像処理を行う必要がある。現像液としては、特に制限されるべきものではなく、用いるレジスト材料に応じて適宜選択すればよく、例えば、キシレン、酢酸ブチル等が挙げられるほか、実施例に示す日本ゼオリンス社製のZED−N50のように、市販の現像液を用いてもよい。本発明では、現像処理後、リンス及びポストベークを行ってレジストパターンを得るのが望ましい。リンス条件は現像液の種類等によっても異なるため一義的に規定することはできないが、実施例での例では、リンス時間30秒間でリンス効果が得られている。また、ポストベーク条件としても、レジストの種類等により異なるが、通常、オーブン内で、50〜200℃で、30分程度行えばよい。また、電子線または光照射パターンないしレジストパターン(パターンドマスク3)は、図3に示すように、ガス拡散電極基板上の片面全体に均一に形成されたレジスト層31のうち、撥水処理を施したい部分のみに孔部(=ホール部33ないしトレンチ部)が形成されるように、露光、現像することにより得られるものである。図3は、後述する実施例で実際に適用した電子線照射パターンであり、正方形のホール部33が二次元配列し、隣り合うホール部33間の距離がホール部33の一辺の寸法Wと同寸法であるパターンが得られるように設定したものである。ホールの一辺の長さWの寸法設計は、実施例で設定したように100nm程度であれば撥水材として良好な性能を付与することができる。ただし、図3に示す照射パターンないしレジストパターンは1例にすぎず、例えば、ホール部の形状、大きさ(寸法)、隣り合うホール部33間の距離等に関しては、本発明の作用効果を素することができるものであれば、何ら制限されるべきものではない。例えば、ホール部の形状には、三角形、四角形(正方形、長方形、台形など)などの多角形、円形、楕円形、星型などの定形形状のほか、不定形状であってもよく、これら2種類以上組み合わせてもよいなど、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば制限されるものではない。同様に、ホール部の大きさ(寸法)Wも、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば制限されるものではないが、通常50〜800nm、好ましくは80〜500nmの範囲である。なお、ここでいう大きさ(寸法)Wは、形状によっても異なることから、絶対最大長(輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の長さを取るもの)とする。尚、ホール部の大きさも基材内で全て同じでなくてもよく、上記範囲内で異なる大きさのもので構成されていても良い。同様に、隣り合うホール部33間の距離も、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば制限されるものではないが、通常50〜800nm、好ましくは80〜500nmの範囲である。隣り合うホール部33間の距離も基材内で全て同じでなくてもよく、上記範囲内で異なる距離になるように形成されていても良い。また、基材の両面に部分的に撥水材を形成する場合には、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、面ごとに異なる照射パターンないしレジストパターンであっても良い。同様に、電池に複数のガス拡散電極が用いられている場合には、これらの各ガス拡散電極ごとに、照射パターンないしレジストパターンが異なるものであっても良い。
(3)(撥水材成膜工程):図2(c)に示すように、パターンドマスク23の形成されたガス拡散電極基材21に撥水材となるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等に代表されるフッ素樹脂24を乾式法により成膜する。
上記撥水材となるフッ素樹脂24は、図2(c)に示すように、ガス拡散電極基材21のパターンドマスク23が形成された面全体に成膜すればよいため、比較的簡便な操作で均一な膜を形成することができる。
また、乾式法を用いることで、懸濁液を用いてガス拡散電極基材を浸漬するといった従来法のように、引き上げ後の液切り等の問題によりガス拡散電極中にフッ素樹脂粒子が不均一に存在する状態・偏分布を生じさせること無く、フッ素樹脂等の撥水材を均一に成膜形成できる点で優れている。また、浸漬する必要が無いので、ガス拡散電極基材の両面に撥水材を形成することなく、片面にのみ撥水材を形成することができる。
上記乾式法としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の乾式成膜技術が適用できるものであり、例えば、乾式噴霧法(ドライスプレー法)、真空蒸着法などを利用することができるが、ノズル形状やスプレーの圧力や流量などの調整・制御により凹凸面全体に略均一な厚さの膜を形成することのできる生産技術が確立されている点で乾式噴霧法(ドライスプレー法)が望ましい。また、乾式噴霧法(ドライスプレー法)では、PTFE粉末(撥水材)を直接噴霧することができるため、簡便であり作業性にも優れる。
成膜による撥水材の厚さは、電池性能などの使用目的に応じて、適宜決定されるものであり、特に制限されるべきものではない。
(4)(レジストマスクの除去及び撥水材の配列形成工程):図2(d)に示すように、レジスト部をリフトオフする。すなわち有機溶剤による溶解によってパターンドマスク23を除去し、パターンドマスク23上に成膜されている不要なフッ素樹脂24もパターンドマスク23と一緒に除去する。これにより、ガス拡散電極基材21に付着しているフッ素樹脂配列25のみが残るようになる。このようにして、フッ素樹脂粒子の配列系からなる撥水材が形成でき、均一な撥水分布を得ることができる。
上記有機溶剤としては、特に制限されるべきものではなく、上記したように、レジスト及び撥水材(フッ素樹脂等)の種類に応じて最適な種類の溶剤を選択すればよく、例えば、加熱アセトン、ジクロロベンゼンなどを用いることができる。
本発明においては、これまでの上記懸濁液を用いてガス拡散電極基材を浸漬するといった方法では得られることができない、撥水処理を施したい部分、例えば、電極基材の片側の表面のみに撥水処理を施す、すなわち撥水材を形成することが可能となる。また、パターン形状により部分的な撥水処理を容易に施す、すなわちパターン形状により部分的に撥水材を容易に形成することが可能となる。これにより、撥水材がパターン形状により形成された部分でガス拡散電極に均一性高く撥水性を付与する効果を持たせることができるほか、高分子電解質膜を湿潤状態に保つ効果を奏することもできるものである。また、撥水材のない部分を通じて、余剰となった水分を速やかに電池系外に排出することができる。
また、本発明では、上記製法を適当にアレンジすることで、例えば、基材1の片面全体に撥水材となるポリテトラフルオロエチレン等に代表されるフッ素樹脂を乾式法により所望の厚さに成膜したのち、上記(1)〜(4)の工程を行うことで、基材1の片面に厚さの異なる撥水材を形成することもできる。この場合、基材の片面全体に薄く撥水材を形成しておくことで、高分子電解質膜を湿潤状態に保つ効果を高めることができる。また、撥水材が薄い部分を通じて余剰となった水分を比較的速やかに電池系外に排出することができる。さらに、撥水材が厚いパターン形状部分でガス拡散電極に均一性高く撥水性を付与する効果を持たせることもできる。
また、本発明では、ガス拡散電極基材の片面に、上記(1)〜(4)の工程を行ってフッ素樹脂配列5からなる撥水材を形成した後、ガス拡散電極基材のもう一方の片面に、同様に上記(1)〜(4)の工程を行ってフッ素樹脂配列5からなる撥水材を形成してもよい。この場合、ガス拡散電極基材の両面に同じパターン形状によるフッ素樹脂配列を形成しても良いし、それぞれの面に求められる撥水性能に応じて、異なるパターン形状によるフッ素樹脂配列を形成してもよい。これは、高分子電解質膜側(図1参照のこと)のガス拡散電極基材面では、高分子電解質膜を湿潤状態に保つ必要があり、セパレータ側(図1参照のこと)のガス拡散電極基材面では、余剰となった水分を速やかに電池系外に排出する能力を付与する必要があるため、撥水剤に求められる機能も面ごとに異なるため、ガス拡散電極基材の面ごとに異なる撥水性能を付与することも本発明の作用効果を奏する上で有効な手段となり得るためである。
また、本発明のガス拡散電極基材の製造方法によれば、上記(4)の工程後、さらにプレス処理する工程(5)を設けるのが好ましい(図示せず)。該プレス処理工程では、ガス拡散電極基材に上記(4)の工程によりフッ素樹脂配列5(撥水材)を形成後、その形成面をプレス装置等により、平滑化させることが好ましい。これは、形成後のモロフォロジーが影響して、MEAとする工程時のホットプレス等において、高分子電解質膜への破損の原因となる恐れがあるためである。この時のプレス圧力(ゲージ圧)の下限は0.98kPa(0.01kgf/cm)以上であればよい。上記プレス装置としては、例えば、単ローラー或いは両ローラー等を用いることができるが、これらに何ら制限されるべきものではない。
また、本発明のガス拡散電極基材の製造方法によれば、上記(4)の工程後、好ましくは上記(5)の工程後、さらに熱処理工程(6)を行うことが望ましい。該熱処理工程(6)では、上記(4)の工程後、好ましくは上記(5)のプレス処理工程後、300〜450℃の温度で1分間以上の熱処理を行うことが好ましい。より好ましくは温度320〜380℃とする。この温度で熱処理することによってフッ素樹脂等の撥水材とガス拡散電極基材(炭素繊維)との界面で撥水材であるフッ素ポリマーを固着(ないし結着)させる。450℃を超える温度では撥水材であるフッ素樹脂等の分解反応が起こり、フッ素ガスが生成し始めることが問題となる。300℃より低い温度においてはガス拡散電極基材と撥水材であるフッ素樹脂との十分な結着性を得ることが難しく、長時間の電池運転において撥水材が脱落し、撥水性が低下する可能性がある。熱処理温度は1分間以上行うことが好ましく、より好ましくは5分間以上とする。5分間を超える熱処理時間においては、熱処理時間による明確な差異は認められない。一方、熱処理時間の下限は1分間とする。これより少ない時間においては、撥水材であるフッ素樹脂とガス拡散電極基材との界面でフッ素ポリマーが十分に固着(ないし結着)することができない恐れがある。また、上記熱処理中は、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
以上の(1)〜(4)、好ましくは更に(5)、(6)の工程を行うことにより、本発明のガス拡散電極を完成することができる。かかる製造方法により得られる本発明のガス拡散電極につき、以下、説明する。
本発明の固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極は、ガス拡散電極基材の撥水処理を施したい部分(撥水処理を施す必要のある部分)にのみ、少なくともフッ素含有化合物を含む撥水材が形成されていることを特徴とするものである。
ガス拡散電極への撥水効果の付与は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂粒子を溶媒中に分散させて得られる懸濁液(分散液)が用いられていた。しかしながら、上記懸濁液を用いてガス拡散電極基材を浸漬するといった方法では引き上げ後の液切り等の問題などによりガス拡散電極中にフッ素樹脂粒子が不均一に存在する状態・偏分布が起こりやすく、前記ガス拡散電極の全面において均一に撥水をすることが困難であった。ましてやガス拡散電極基材の撥水処理を施したい部分(撥水処理を施す必要のある部分)にのみ撥水効果を付与することで、ガス拡散電極の全面において均一に撥水をすることは全く出来ていなかった。本発明によれば、ガス拡散電極基材の撥水処理を施したい部分(撥水処理を施す必要のある部分)にのみ撥水材を均一となるように形成し撥水効果を付与することで、従来達成できなかったガス拡散電極全体に均一な撥水分布を得ることができる。すなわち、本発明では、上述したようにガス拡散電極基材にレジストパターンを設け、乾式法によりPTFE等を成膜して撥水材を形成する製造方法を用いることで、ガス拡散電極基材の撥水処理を施したい部分(撥水処理を施す必要のある部分)では、フッ素樹脂粒子が不均一に存在する状態・偏分布が起こることなく、均一に撥水材を形成することができる。こうすることで、ガス拡散電極基材の撥水処理を施したい部分だけでなく、ガス拡散電極全体に均一な撥水分布を得ることができるものである。
本発明者らは、上記したように、ガス拡散電極に均一性高く撥水性を付与することができ、高分子電解質膜を湿潤状態に保ちつつ余剰となった水分を速やかに電池系外に排出するには、必ずしもガス拡散電極の全面に撥水材を均一に形成しなくてもよく、ガス拡散電極基材の片側の表面、および/またはガス拡散電極基材の表面に部分的に形成することが望ましいことを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
ここで、ガス拡散電極基材の撥水処理を施したい部分(撥水処理を施す必要のある部分)は、上述したように、本発明の作用効果を発現できるものであればよく特に制限されるものではない。よって、ガス拡散電極基材の面ごとに異なることもあり得る。
また、撥水材をガス拡散電極基材の片側の表面に形成する場合には、固体高分子電解質膜及び触媒層からなる接合体を挟んだ一対のガス拡散電極を有する固体高分子型燃料電池に用いられるガス拡散電極であって、前記接合体を挟持するガス拡散電極基材側の面に、少なくともフッ素含有化合物を含む撥水材が形成されていることがより望ましい。また上記撥水材をパターン形状によりガス拡散電極基材の表面に部分的に形成する場合には、ガス拡散電極基材の両側に形成されていても良いし、片側に形成されていても良い。片側に部分的に撥水材を形成する場合には、もう一方を片側の表面全体に撥水材を形成しておくのが好ましい。ガス拡散電極基材の表面に部分的に形成する場合には、上記製造方法で説明したように、撥水材がガス拡散電極基材上に(パターン形状に)配列して形成されていることが望ましい。また、前記撥水材は、上記製造方法で説明したように、乾式法により成膜することで得られてなるものが望ましい。特に、撥水材の配列が、乾式法、好ましくは乾式噴霧法(ドライスプレー法)により撥水材を成膜する際に、ガス拡散電極基材上に設けられた製造過程で除去されるところのレジストパターンの孔部(トレンチ部)を用いて形成されてなるものがより望ましい。この点に関しても上記製造方法で説明した通りである。すなわち、ガス拡散電極基材上に、所定の大きさの撥水材形成部と非撥水材形成部とを交互に適当な間隔で二次元配列するだけでも、ガス拡散電極に均一性高く撥水性を付与することができ、高分子電解質膜を湿潤状態に保ちつつ余剰となった水分を速やかに電池系外に排出する能力に優れ、長期間にわたって安定してかつ発電性能が優れたものとできることがわかったのである。このことから、ガス拡散電極基材に撥水材が形成されていない部分があっても、全体としてみれば、この部分が余剰となった水分を速やかに電池系外に排出する上で有効に機能するため、撥水材形成部と非撥水材形成部とパターン形状によっては、基材表面全体に撥水材を形成するよりも効果的であるといえる(実施例参照のこと)。
また、上記撥水材として用いられるフッ素含有化合物としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の各種撥水材を適用することができるものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEで表す)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)その他その誘導体などのフッ素系樹脂;非ポリマー性フッ素含有化合物(例えば、石炭系ピッチまたは石油系ピッチのフッ素化により合成されたものであるフッ化ピッチ)等が使用できるが、これらに制限されるべきものではない。
また、上記撥水材には、上記フッ素含有化合物のほか、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて、他の撥水材成分や添加剤等が含まれていても良い。
上記ガス拡散電極のフッ素含有化合物の含有量は、ガス拡散電極基材重量に対して5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。フッ素含有化合物の含有量が50質量%を超えた場合には、ガス拡散電極中にフッ素樹脂等のフッ素含有化合物が過剰に添加されるため、ガス拡散の阻害により電池運転が不能となる。また、非導電性のフッ素樹脂等のフッ素含有化合物が多く含有されるため、電気抵抗の増加が生じ、十分な電池性能が得られない。一方、フッ素樹脂等のフッ素含有化合物の含有量の下限は5質量%であればよい。すなわち、本発明では、フッ素樹脂等のフッ素含有化合物を含む撥水材を、パターン形状によりガス拡散電極基材の表面の撥水処理を施したい部分にのみ部分的に形成するだけで、ガス拡散電極に均一性高く撥水性を付与することができることがわかったため、わずか5質量%であっても、本発明の作用効果を奏することができるといえる。言い換えれば、フッ素樹脂等のフッ素含有化合物の含有量が5質量%未満では、本発明の作用効果を十分に発現するのが困難となるおそれがある。
また、本発明のガス拡散電極には、例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック)粒子およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子をイソプロピルアルコール(IPA)に均一に分散させてなるスラリー溶液をガス拡散電極の片側にダイコータ法により塗布し、乾燥させて本発明のガス拡散電極と下地層からなるガス拡散拡散層を形成しても良いなど、従来公知の他の構成要件を付加しても良いことはいうまでもない。すなわち、ガス拡散電極と下地層からなるガス拡散拡散層までを、本発明のガス拡散電極の構成要件に含めても良いし、該下地層を本発明のガス拡散電極とは別の電池構成要件としても良い。
また、本発明のガス拡散電極は、先に説明した図1に示す構成を有する固体高分子型燃料電池に適用されてなるのが望ましい。即ち、図1を用いて説明すれば、本発明に係るガス拡散電極が、プロトンイオン伝導性固体高分子電解質膜(米国デュポン社製ナフィオン膜に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜等)1と、前記プロトンイオン伝導性固体高分子電解質膜1を挟む一対の少なくとも電極触媒粒子(例えば、白金等の金属粒子等)及びプロトンイオン伝導性ポリマー(例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂 等)を含む触媒層2と、前記プロトンイオン伝導性固体高分子電解質膜1及び前記一対の触媒層2からなる接合体Aを挟む一対のガス拡散電極3と、前記接合体A及び前記1対のガス拡散電極3からなる膜・電極接合体(MEA)を挟持する一組のセパレータ(例えば、グラファイトカーボン材等)6と、更に必要に応じて該一組のセパレータ6を挟持する一組の集電板(例えば、銅板に金メッキを施したもの等)7と、を備える固体高分子型燃料電池11であって、前記一組のセパレータ6が、前記膜・電極接合体(MEA)側の面に、それぞれアノードガスが流れる流通用溝(水素供給溝4)とカソードガスが流れる流通用溝(酸素供給溝5)とを有するものにおいて、前記1対のガス拡散電極3に用いられてなることを特徴とするものである。更に、本発明では、前記固体高分子電解質膜1および/または前記流通用溝(水素供給溝4または酸素供給溝5)の表面の少なくとも一部に、更にフッ素含有化合物を含む撥水材が形成されている電池のガス拡散電極に適用されていることが望ましい。本発明のガス拡散電極を、これらの電池に用いることにより、電池性能をより一層高めることができる点で有利である。ただし、本発明のガス拡散電極は、先に説明した図1に示す構成を有する固体高分子型燃料電池への適用に何ら制限されるべきものではなく、従来公知の固体高分子型燃料電池に幅広く適用することができることは言うまでもない。また、上記した本発明のガス拡散電極以外の固体高分子型燃料電池の構成要件に関しては、何ら制限されるべきものではなく、従来公知のものを幅広く適用することができるため、ここでの説明は省略する。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の内容を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例)
まず、ガス拡散電極の製造方法について述べる。厚さ0.27mmのカーボンペーパー(東レ株式会社製TGP−H−090)を60×60mmに切り出したものを用い、これにスピンコーター法によりレジストを塗布した後、プリベークを行って、厚さ200nmのレジスト層を形成した。レジストには、ZEP520A(日本ゼオン株式会社製)を用いた。
次に、電子線描画装置(日本電子株式会社製のJBX−6000FS)を用い、加速電圧50kV、電子線照射量100μC/cmの条件で電子線照射を照射した。電子線照射パターンは、図3に示すように、正方形のホールが二次元配列し、隣り合うホール間の距離がホールの一辺と同寸法であるパターンが得られるように設定した。ホールの一辺の長さWの寸法設計は100nmに設定した。次に、現像、リンス及びポストベークを行ってレジストパターンを得た。現像液には日本ゼオリンス社製のZED−N50を用い、リンス時間を30秒間とした。
次にレジストパターンの形成されたガス拡散電極基材にドライスプレー法によってポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末(Aldrich社製)を塗布して形成した。
次に、加熱アセトンによってレジストパターンを除去し、同時にその上に付着しているPTFEも除去した。さらに、カーボンペーパーのもう一方の片側に同様な処理を行った。
次に、0.05kgf/cm(4.9kPa)の圧力でプレス処理を行った。最後に窒素雰囲気下、350℃にて10分間熱処理を行ってガス拡散電極Aを作製した。ガス拡散電極Aを重量法により測定した結果、カーボンペーパーにはテトラフルオロエチレン粒子が25質量%含浸されていた。
上記のように作製したガス拡散電極Aを用いて、膜・電極接合体(MEA)を作製した。作製方法を以下に述べる。
白金担持カーボン(田中貴金属株式会社製、10V30E:ValcanXC−72Rに白金を30質量%担持)と純水及び陽イオン交換樹脂(アルドリッチ社製、5質量%ナフィオン117溶液)とを混合分散して、スラリー溶液(1)を調製した。次にガス拡散電極Aの片側の表面上に、カーボンブラック(ファーネスブラック)粒子およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子をイソプロピルアルコール(IPA)に均一に分散させてなるスラリー溶液(2)を片側にダイコータ法により塗布し、乾燥させてガス拡散電極Aと下地層からなるガス拡散層を形成した。次に、調整済みのスラリー溶液(1)をガス拡散電極Aと下地層からなるガス拡散層基板上のカーボン塗布済み面(下地層形成面)に白金担持量が0.40mg/cmとなるようにダイコータ法により塗布し、風乾し、電極を得た。この電極を50mm×50mmに切り出すと電極が完成する。次に、この電極を固体高分子電解質膜、本実施例ではナフィオン112(デュポン社製、厚さ50μm)を100×100mmに切り出したものを用い、135℃、20kgf/cm(1.96MPa)の条件で3分間ホットプレスすることで膜・電極接合体(MEA)を得た。
この膜・電極接合体をガス流通路(水素供給溝及び酸素供給溝)を有するセパレータ(グラファイトカーボン材)で挟持し、それを集電板で挟持し、燃料電池単セルを作製した。
これにガス圧力を大気圧、セル温度80℃、燃料に水素ガス、酸化剤に空気ガスを用い、いずれのガスともに70℃で加湿を行い、セルへ供給し、電流−電圧特性を測定した。結果を図4に示す。電流密度500mA/cmで連続運転を行った結果、運転初期におけるセル電圧が0.695Vであり、3000時間後は0.693Vであった。
(比較例)
厚さ0.27mmのカーボンペーパー(東レ株式会社製TGP−H−090)を60×60mmに切り出したものを用い、テトラフルオロエチレン分散液(ダイキン工業株式会社製D−1E)を純水で希釈した溶液に2分間浸漬し、液切りした後、60℃にて10分間乾燥し、さらにその後、大気雰囲気下350℃にて30分間熱処理を行った。処理後に得られたカーボンペーパーにはテトラフルオロエチレン粒子が25質量%含まれていた。これをガス拡散電極Bとして用い、他の条件は、実施例1に合わせて、燃料電池単セル評価を行った。電流−電圧特性を測定した結果を図4に示す。電流密度500mA/cmで連続運転を行った結果、運転初期におけるセル電圧が0.650Vであり、3000時間後は0.53Vであった。
固体高分子型燃料電池のセル構造の模式図である。 固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極の撥水処理プロセス概略図であり、図2(a)は、レジスト被覆工程後のガス拡散電極の様子を表わす断面概略図であり、図2(b)は、パターンドマスクの形成工程後のガス拡散電極の様子を表わす断面概略図であり、図2(c)は、撥水材成膜工程後のガス拡散電極の様子を表わす断面概略図であり、図2(d)は、レジストマスクの除去及び撥水材の配列形成工程後のガス拡散電極の様子を表わす断面概略図である。 ホール部を形成したレジスト層を示す平面図である。 実施例と比較例の燃料電池の電流−電圧特性を示す図である。
符号の説明
1 プロトンイオン伝導性固体高分子電解質膜、
2 触媒層、
3 ポーラスカーボン、
4 水素供給溝、
5 酸素供給溝、
6 セパレータ、
7 集電板、
11 固体高分子型燃料電池、
21 ガス拡散電極基材、
22 レジスト層、
23 レジストパターン(パターンドマスク)、
24 フッ素樹脂(これを含む撥水材)
25 フッ素樹脂配列、
26 パターンドマスクの孔部、
31 レジスト層、
33 ホール部(=パターンドマスクの孔部ないしトレンチ部)、
W ホール部の寸法。

Claims (15)

  1. ガス拡散電極基材の撥水処理を施したい部分にのみ、少なくともフッ素含有化合物を含む撥水材が形成されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
  2. ガス拡散電極基材の片側の表面に、および/またはパターン形状によりガス拡散電極基材の表面に部分的に、少なくともフッ素含有化合物を含む撥水材が形成されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
  3. 固体高分子電解質膜及び触媒層からなる接合体を挟んだ一対のガス拡散電極を有する固体高分子型燃料電池に用いられるガス拡散電極であって、
    前記接合体を挟持するガス拡散電極基材側の面の一部または全体に、少なくともフッ素含有化合物を含む撥水材が形成されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
  4. 前記ガス拡散電極のフッ素含有化合物の含有量は、ガス拡散電極基材重量に対して5〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス拡散電極。
  5. 前記撥水材が、ガス拡散電極基材上に配列して形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス拡散電極。
  6. 前記撥水材が、乾式法により成膜することで得られてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス拡散電極。
  7. 前記撥水材の配列が、乾式法により撥水材を成膜する際に、ガス拡散電極基材上に設けられた製造過程で除去されるところのレジストパターンの孔部を用いて形成されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス拡散電極。
  8. 前記乾式法が、乾式噴霧法(ドライスプレー法)であることを特徴とする請求項6または7に記載のガス拡散電極。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス拡散電極が、
    プロトンイオン伝導性固体高分子電解質膜と、
    前記プロトンイオン伝導性固体高分子電解質膜を挟む一対の少なくとも電極触媒粒子及びプロトンイオン伝導性ポリマーを含む触媒層と、
    前記プロトンイオン伝導性固体高分子電解質膜及び前記一対の触媒層からなる接合体を挟む一対のガス拡散電極と、
    前記接合体及び前記1対のガス拡散電極からなる膜・電極接合体を挟持する一組のセパレータと、を備える固体高分子型燃料電池であって
    前記一組のセパレータが、前記膜・電極接合体側の面に、それぞれアノードガスが流れる流通用溝とカソードガスが流れる流通用溝とを有するものにおいて、
    前記1対のガス拡散電極に用いられるものであることを特徴とするガス拡散電極。
  10. 前記固体高分子電解質膜および/または前記流通用溝の表面の少なくとも一部に、更にフッ素含有化合物を含む撥水材が形成されていることを特徴とする請求項9に記載のガス拡散電極。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のガス拡散電極の製造方法において、
    ガス拡散電極基材にレジストを被覆する工程と、
    被覆したレジストを露光・現像して孔部を持ったレジストのマスクパターンを形成する工程と、
    前記マスクパターンにレジストのフッ素含有化合物を含む撥水材を乾式法により成膜する工程と、
    レジストのパターンマスクを除去して、前記孔部があったガス拡散電極基材上に成膜されて残存する撥水材により、撥水材の配列を形成する工程と、
    を含むことを特徴とするガス拡散電極の製造方法。
  12. 前記乾式法が、乾式噴霧法(ドライスプレー法)であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記撥水材の配列を形成する工程を行った後、更に、0.98kPa(0.01kgf/cm)以上の圧力(ゲージ圧)によってプレス処理する工程を行うことを特徴とする請求項11または12に記載の製造方法。
  14. 前記撥水材の配列を形成する工程を行った後、または前記プレス処理する工程を行った後、更に300〜450℃の温度で1分間以上の熱処理工程を行うことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 請求項11〜14のいずれか1項に記載の製造方法により得られてなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用ガス拡散電極。
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