JP2004164903A - 高分子電解質型燃料電池及びその電極の製造方法 - Google Patents

高分子電解質型燃料電池及びその電極の製造方法 Download PDF

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栄一 安本
Akihiko Yoshida
昭彦 吉田
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英男 笠原
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毅 与那嶺
Yoshihiro Hori
堀  喜博
Shinya Kosako
慎也 古佐小
Makoto Uchida
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Abstract

【課題】フラッディング現象が起こりにくい、最適化された空隙率を持つカーボン層を有する電極を提供する。
【解決手段】高分子電解質型燃料電池であって、該電池の電極はカーボン層およびガス拡散基材からなるガス拡散層、並びに該電池の電解質に接触した触媒層を有し、該カーボン層は、触媒層側に配置されるとともに、その内面で島状または格子状に分割されており、該島状または格子状に分割されたカーボン層の間に空隙部を設ける。この空隙率を0.1−30%とすることによりフラッディング現象に強い燃料電池を構成できる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子電解質型燃料電池およびその電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子電解質型燃料電池の電極には、一般的に触媒層を多孔質基材の上に形成したものが用いられる。触媒層は、触媒金属を担持した炭素微粉末と、水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液と、水もしくはイソプロピルアルコールなどの溶媒とを混合して触媒インクを調製し、このインクをスクリーン印刷法やスプレー法を用いて、基材となるカーボンペーパーやカーボンクロス上に塗布し、この後乾燥あるいは焼成することにより形成するのが一般的である。このようにして作製した一対の電極を電解質膜の両面にホットプレスにより接合して電解質膜−電極接合体(MEA)を作製する。他の方法として、触媒インクをグラビア印刷やコーター法により高分子フィルム上に塗布し、乾燥させて触媒層を形成し、この後に、触媒層を高分子フィルムから電解質膜に転写する方法もある。
このように、燃料電池に用いる触媒層は、触媒の利用率を高めるためにできるだけ緻密に作製し、触媒層の面内で、クラックなどの空隙ができないようにするのが一般的である。一方、触媒層中で電極反応が円滑に進行するためには、反応ガスが触媒層中に効率よく供給されなければならない。このための手法として、あらかじめ造孔材を加えた触媒インクを調製し、このインクから形成した塗膜を焼成してミクロ的な細孔を電極内に存在させるなどの対策がとられている。
【0003】
触媒層のガス拡散性を向上させ、低加湿下でも高い出力電圧を有するMEAを得るため、触媒層上に、溶媒に溶解させた水素イオン伝導性ポリマーを塗布し、乾燥して水素イオン伝導性ポリマー層を設けた後、加熱圧着して接合する製造方法が特許文献1に開示されている。
また、反応ガスが触媒層に効率よく供給されるためには、ガス拡散層のガス拡散性が重要となる。一般的にガス拡散層としては、カーボンペーパーやカーボンクロスのようなガス拡散基材が単独で用いられるが、近年ガス拡散基材上にカーボンと撥水性樹脂からなるカーボン層を設けることも行われている。例えば、特許文献2は、触媒層とガス拡散層の間にフッ素樹脂とカーボンブラックからなる混合層を設け、この混合層の厚みや気孔率を制御することにより、ガス拡散性を良好にすることを開示している。
優れた撥水性とガス流通性を備えたガス拡散電極の製造法として、特許文献3には、触媒を担持した炭素質粉末およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が均質分散してなるシート状反応層と、黒鉛ウィスカーおよびポリテトラフルオロエチレンが均一分散してなるシート状ガス拡散基材を接合する方法が開示されている。特許文献4には、電極のガス側表面から電解液側表面へ貫通する流体透過性細孔を有し、これがガス側表面と電解液側表面で面積が異なることにより、ガス拡散性を高める方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−40172号公報
【特許文献2】
特開2001−135326公報
【特許文献3】
特開平7−230811号公報
【特許文献4】
特表2002−513993公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、触媒層のガス拡散性だけを高める方法が種々提案されているが、触媒層へガスが供給されるためのガス拡散層やガス拡散基材についての対策が全くとられていない。さらに、ガス拡散層のガス拡散性を高める方法として提案されているカーボン層の厚みや細孔を制御する方法は、ガス拡散能力を制御する方法としては有効である。しかしながら、カーボン層の面内でのミクロな細孔を制御しなければならず、その製造方法は複雑でプロセスコストの観点からは好ましくない。
また、反応層シートとシート状ガス拡散基材を接合する方法では、シート状ガス拡散基材はフィブリル化したPTFEと黒鉛ウィスカーを混合することにより、多孔性を付与している。この場合、PTFEのフィブリル化の度合いやウィスカーとの混合方法でガス拡散層基材内の細孔構造が決定するため、細孔構造のコントロールが難しいという問題がある。
【0006】
さらに、ガス側表面と電解液側表面の細孔の面積が異なるようにする方法では、細孔の断面構造がロート状になるように作製し、あるいは細孔面積の異なる層を別々に設ける必要があり、細孔のコントロールが困難で、プロセスの複雑性が増すため好ましくない。
以上のような観点から、触媒層へのガスの供給がスムーズに行え、フラッディング現象が起こりにくいガス拡散層とそれを簡便に作製可能なガス拡散層の製造方法が求められている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため本発明の高分子電解質型燃料電池は、水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜の両側に配置した一対の電極、および前記電極の一方に水素を含む燃料ガスを供給・排出し、前記電極の他方に酸化剤ガスを供給・排出するためのガス流路を有する一対の導電性セパレータを具備し、前記電極は、カーボン層およびガス拡散基材からなるガス拡散層、並びに前記水素イオン伝導性高分子電解質膜に接触した触媒層を有し、前記カーボン層は、触媒層側に配置されるとともに、その面内で島状または格子状に分割されており、前記島状または格子状に分割されたカーボン層の間に空隙部を有する。
ここで、前記ガス拡散基材は、撥水性ガス拡散基材であることが好ましい。
また、前記カーボン層面内の空隙部の割合は、0.1〜30%であることが好ましい。
【0008】
本発明は、炭素粒子、撥水性樹脂および分散媒を含むカーボンインクを印刷法によりガス拡散基材に塗布する工程、および得られた塗布層を乾燥または焼成する熱処理工程を有する燃料電池用電極の製造方法を提供する。
前記熱処理工程は、加熱温度の異なる少なくとも2段の熱処理工程を有することが好ましい。ここで、後段の乾燥温度は前段の乾燥温度と同じ、または高いことがより好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の燃料電池のガス拡散層には、ガス拡散基材上にカーボンインクを塗布して、島状または格子状のカーボン層を形成したものを用いる。ここで用いるガス拡散基材としては、種々のカーボン不織布、カーボン繊維織布などを用いることができる。このガス拡散基材は、上記ガス拡散用の空隙部を島状または格子状のカーボン層間に形成するためには、撥水性を付与した方が望ましい。撥水性を付与するには、フッ素樹脂系ディスパージョンにガス拡散基材を浸漬し、乾燥後300〜380℃で焼成するのが好ましい。撥水性があらかじめ付与されている素材は、そのような処理は不要である。
【0010】
カーボン層は、カーボン粉末とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂と分散媒を所定の割合で混合して調製したカーボンインクを、スクリーン印刷法、スプレー塗工法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコータ塗工法などの塗布方法を用いて、ガス拡散基材上に形成する。特に、スクリーン印刷法では、使用するスクリーンの開孔度やパターニングによって、空隙部のサイズや島状または格子状のカーボン層の大きさを簡便に制御することができる。島状または格子状のカーボン層の形状は、正方形、円型などでも良く、空隙率が規定範囲内であればどんな形状でも良い。ここに用いる分散媒は、通常界面活性剤を含む。
【0011】
カーボン層が形成されたガス拡散基材は、2段以上の熱処理工程を経て完成される。第1の熱処理工程では、主に分散媒成分を除去する。第2の熱処理工程では、第1の熱処理温度よりも高い温度で処理する方が望ましい。第1の熱処理工程の温度と第2の熱処理工程の温度の関係を最適化することにより、空隙部を有する島状または格子状のカーボン層を形成することができる。
カーボン層面内の空隙部の割合は、画像処理(東洋紡績(株)製Image Analyzer V10、2値化処理、測定範囲約30mm)を行い求める。カーボン層面内の空隙率は0.1〜30%であることが好ましい。空隙率が0.1%よりも小さいと、ガス拡散性が阻害され、十分なガス供給が行えない。また、30%よりも高くなると、逆に排水性が低下するとともに、カーボン層面内での導電性能が悪くなる。
【0012】
カーボン層付きガス拡散基材で、両面に触媒層を形成した高分子電解質膜を挟み込み、ホットプレスを行うことにより電解質膜−電極接合体を形成する。この場合、カーボン層は触媒層側に接するように配置する。これをガス流路を有するセパレータ板で挟み込みことにより、フラッディングがなく、安定した電池性能を示す燃料電池が構成できる。特に、高い電流密度で運転したときの性能と高加湿ガス使用時の安定性向上が顕著となる。また、この空隙部の割合が0.1〜30%としたときに、電池性能が低下せず、安定した電池性能を示す。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に述べる。
《実施例1》
まず、50wt%の白金を担持したカーボン粉末、9wt%の高分子電解質溶液(旭硝子(株)製、フレミオン溶液)、水、および2−プロパノール(IPA)を混合した後、減圧して粘度調整を行い触媒インクを作製した。この触媒インクを高分子電解質膜(デュポン社製、ナフィオン112)の両面にスクリーン印刷した後、乾燥させて触媒層を形成した。
次に、アセチレンブラック100重量部とPTFEの水分散液(ダイキン工業(株)製、D−1)20重量部、界面活性剤(TritonX−100)10重量部、および水520重量部をコロイドミル分散機を用いて混合し、固形分比17%のカーボンインクAを作製した。このカーボンインクAをガス拡散基材となるカーボンペーパー(東レ(株)製、TGP−H−090)上に印刷法を用いて塗工してカーボン層を形成した。
【0014】
ここで用いた印刷用の版を図1に示す。印刷用版10は、厚さ0.08mmのステンレス鋼板11の中央部の印刷箇所に対応する部分12を格子状に加工したものである。格子13の幅は1.3mmであり、格子に囲まれた正方形の孔の大きさは19mm×19mmである。格子状に加工した部分12の大きさは100mm×100mmである。14はステンレス鋼板を支持するアルミ製枠である。
この版は、これを用いて印刷されたカーボン層に、前記格子に対応して形成される空隙部の割合(以下単に空隙率という)が約10%になるように設計されている。
上記のカーボン層を印刷したカーボンペーパーをプログラム制御式の熱処理装置(昇温速度2℃/min))を用いて、350℃で3時間焼成することによりカーボン層付きのガス拡散基材Aを作製した。こうして得られた格子状のカーボン層の間に形成された空隙部の割合を、実際に画像処理装置(東洋紡績(株)製Image Analyzer V10、2値化処理、測定範囲約30mm)を用いて求めた。このときの空隙率は10.5%で、あらかじめ設計した値とほぼ同じ空隙率であった。
【0015】
このカーボン層付きのガス拡散基材Aを、触媒層を形成した高分子電解質膜の両側に配置するとともにガス拡散基材の外周に露出する電解質膜の部分にガスケットを重ね合わせ、これらをガス流路の加工が施された一対のセパレータ板で挟み込んだ。これの両側を、絶縁板を介してステンレス鋼製の端板で挟み込んで単電池Aを作製した。また、これとは別にカーボンペーパーを、あらかじめテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体のディスパージョン(ダイキン工業(株)製、ND−1)と水を体積比1:1で混合した撥水処理液に浸漬し、乾燥した後、380℃で焼成して撥水処理を施した。こうして得たガス拡散基材を用い、上と同様にして単電池AWを作製した。、
【0016】
次に比較のために、図2に示す版を用いて、カーボンインクAをカーボンペーパー上に塗布した。ここで用いた版20は、中央に透孔22を設けたステンレス鋼板(厚み0.08mm)21をアルミ製枠24に取りつけたものである。カーボンインクAを塗布したカーボンペーパーを上述と同様の焼成工程を経てカーボン層付きのガス拡散基材Bを作製した。このように作製したカーボン層を観察したところ、目視で分かる空隙部は存在しなかった。また、先の画像解析装置を用いて同様に空隙率を測定したところ、0.01%であった。このガス拡散基材Bを用いて上と同様にして単電池Bを作製した。
【0017】
次に、以上の各単電池の電池特性を調べた。すなわち、電池温度を80℃に保持し、燃料極に露点が75℃となるように加温・加湿した水素ガスを、空気極には露点が70℃となるように加温・加湿した空気をそれぞれ供給し、燃料利用率を80%、空気利用率を40%になるように調整して電池特性を調べた。
各電池の電流−電圧特性を図3に示す。図3より本発明の単電池Aは、単電池Bより優れた特性を有することが分かる。また、カーボンペーパーをあらかじめ撥水処理した単電池AWは、さらに高い特性を示すことが分かる。単電池Bは、特に0.5A/cm以上の高電流密度域で、フラッディングによるガス拡散性の低下に起因すると考えられる電池電圧の低下が見られた。これはカーボン層の空隙率が小さいために、生成水の排出がスムーズに進行しなくなったためと考えられる。
【0018】
次に、使用するガス拡散基材をカーボンクロス(日本カーボン(株)製、カーボロンGF−20−31E)に変えた以外は、上と同じ方法で格子状のカーボン層付きガス拡散基材A2、および格子状でないカーボン層付きガス拡散基材B2を作製し、同様にしてそれぞれ単電池A2および単電池B2を構成し、上と同じ条件で電池特性を調べた。この結果を図4に示す。電池の絶対電圧は先のカーボンペーパーを用いた場合よりも、わずかに向上し、いずれもより高い高電流密度域まで電圧が低下しない傾向が見られる。しかし、格子状カーボン層の間に空隙部を形成した単電池A2の方が単電池B2よりも特性は優れている。ガス拡散能が高いカーボンクロスを用いたため、フラッディングに対する安定性はどちらも全体的に向上したが、やはりカーボン層に空隙部を有するものの方が、より高電流密度域まで高い電池電圧を維持している。格子状カーボン層間に形成した空隙部が、水の排水性を向上させるとともに、反応ガスを触媒層へスムーズに供給しているものと考えられる。
【0019】
これらの結果より、本実施例で採用したカーボン層付きのガス拡散基材をガス拡散層として用いることにより、触媒層へのガス供給がスムーズに行え、フラッディング現象が起こりにくいガス拡散層を提供できる。また、このカーボン層の形成方法は、製造が比較的簡便な印刷法を用いて製造できるためプロセスコストが低減できる。
カーボンインクの組成、固形分比、分散媒ないし溶媒等に関しては本実施例に限るものではない。分散媒ないし溶媒に関しては、有機溶媒や有機溶媒と水の混合溶媒など本発明が適応できるものであれば特に制限されるものではない。カーボン層の塗布方法に関しても、印刷法に限るものではなく、カーボンインクの組成、固形分比、粘度等を調整することにより、ドクターブレード塗工やスプレー塗工法、グラビア印刷法、ダイ塗工法を用いて形成することもできる。ガス拡散基材の素材や厚みに関しても本実施例で用いたものに限定されず、本発明が適応できるのであればどんな素材、厚みでも構わない。本実施例では、ガス拡散基材上にカーボン層を形成したが、高分子電解質膜に形成した触媒層側に、同様の手法を用いてカーボン層を形成してもよい。さらに、本実施例で使用した他の材料、例えば高分子電解質膜、白金付き炭素粉末、高分子電解質溶液、フッ素系樹脂などに関しても、本発明が適応できるのであればどんなものを用いてもよい。
【0020】
《実施例2》
ここでは、格子状の加工を施した印刷用の版として、形成されるカーボン層の空隙率が0.05〜30%になるように設計した各種の版を用いて、格子状のカーボン層をカーボンペーパー上に形成した。これらを実施例1と同様の焼成工程を経てカーボン層付きのガス拡散基材とした。これらの格子状カーボン層間の空隙率も実施例1と同じ装置を用いて調べた。これらのカーボン層付きガス拡散基材を用いて、実施例1と同様にして単電池を構成して、実施例1と同じ条件で電池特性を調べた。カーボン層の空隙率と電流密度0.5A/cmにおける電池電圧を表1に示す。
【0021】
【表1】
Figure 2004164903
【0022】
この結果、空隙率が0.1%より小さい場合と30%より大きい場合に、電池電圧が極端に低下する傾向が見られる。これは、空隙率の小さいものでは、高い電流密度で運転した時に、カーボン層より内側の触媒層内に生成水が滞留し、反応ガスの拡散を阻害してしまうため、電池特性が低下したため考えられる。また、空隙率の高いものでは、カーボン層面内の電子導電性が悪くなるとともに、触媒層との接触抵抗が大きくなり、電池電圧が低下したものと考えられる。空隙部が大きくなりすぎると、この空隙部に精製水が停滞する可能性も考えられる。
この中間の空隙率を持つカーボン層では、適度な空隙率(0.1〜30%)を保持しているため、触媒量へ反応ガスの供給がスムーズに行えるとともに、電池反応によって生成した生成水が、この空隙から速やかにカーボンペーパーなどのガス拡散基材側に排出され、反応ガスの拡散を阻害しなくなるために、高い電池特性を示したものと考えられる。
【0023】
《実施例3》
まず、実施例1の比較例と同様に、格子状の加工が施されていない印刷用の版を用いて、カーボンインクAをカーボンペーパー上に塗布し、カーボン層を形成した。これを100℃に設定された熱処理装置に入れて、急速にカーボン層の内の溶媒成分を除去させた。この後、プログラム制御式の熱処理装置(昇温速度2℃/min)を用いて、350℃で3時間焼成することによりカーボン層付きのガス拡散基材B3を作製した。このカーボン層を観察したところ、図5に示すような島状のカーボン層が形成され、またこの島の周りには空隙部が存在することが分かった。図5は前記カーボン層表面の金属顕微鏡写真を写したものである。これについても実施例1で用いた画像処理装置を用いて、カーボン層の空隙率を調べた結果、空隙率は1.2%であった。このカーボン層付きガス拡散基材B3を用いて実施例1と同様にして単電池を構成し、実施例1と同じ条件で電池特性を調べたところ、実施例1の単電池Aとほぼ同様の特性を示すことが分かった。
【0024】
次に、カーボン層形成後の2段階の熱処理工程のうち、最初の熱処理温度を変化させた場合のカーボン層の空隙率を調べた。この結果を表2に示す。これにより熱処理温度を変化させることにより空隙率を制御できることが分かった。
【0025】
【表2】
Figure 2004164903
【0026】
熱処理温度が50℃と低い場合には、カーボン層中の溶媒成分の蒸発が緩やかに進行するため、カーボン層の塗膜としては空隙率が小さく緻密なものを構成できると考えられる。これとは逆に熱処理温度が125℃と高い場合には、ここで急激な溶媒揮発が発生し、カーボン層面内の空隙率が大きくなると考えられる。これらの結果より、カーボン層形成後の熱処理工程を少なくとも2段の熱処理温度にすることで、カーボンインク塗布時の印刷用版に特別な加工を施さなくても、適度な空隙部を有するカーボン層を製造できることが分かった。ここで、2段の熱処理温度は、1段目は50〜125℃の温度範囲が、また2段目は界面活性剤などを除去するとともにフッ素樹脂を軟化させガス拡散層との結着性を高めるために300〜380℃の温度範囲が好ましい。
これらの結果より、本実施例で採用したカーボン層付きのガス拡散基材をガス拡散層として用いても、実施例1と同様、触媒層へのガス供給がスムーズに行え、フラッディング現象が起こりにくいガス拡散層を提供できる。また、このカーボン層の形成方法も容易であり、プロセスコストを低減できる。
【0027】
本実施例では、熱処理を2段階で行ったが、熱処理をさらに多段にしても良い。また、熱処理温度に関しても本実施例に限定されることはなく、本発明が適応できる温度であれば特に制限されない。その他カーボンインクの組成やカーボン層の形成方法、基材の素材、厚みなどに関しても、本実施例に限定されるものではない。
本方法を用いれば、カーボンインク塗布後の乾燥温度を制御することにより、適度な空隙率を有するカーボン層を得ることができる。これにより従来より高性能で、安定した燃料電池を提供できる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ガス拡散能を高めるための最適化された空隙率を持つカーボン層を有する電極を構成することができ、性能の向上した燃料電池を提供することができる。特に、高電流密度運転域での性能向上が顕著となる。また、比較的容易な方法で空隙部を形成できるため、製造コストも低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例で用いた印刷用の版の構成を示す平面図である。
【図2】他の実施例で用いた印刷用の版の構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施例の燃料電池の電流−電圧特性を示す図である。
【図4】他の実施例の燃料電池の電流−電圧特性を示す図である。
【図5】本発明のさらに他の実施例のカーボン層表面の模式図である。
【符号の説明】
10、20 印刷用版
11、21 ステンレス鋼板
12、22 印刷箇所に対応する部分
13 格子

Claims (5)

  1. 水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜の両側に配置した一対の電極、および前記電極の一方に水素を含む燃料ガスを供給・排出し、前記電極の他方に酸化剤ガスを供給・排出するためのガス流路を有する一対の導電性セパレータ板を具備する高分子電解質型燃料電池であって、前記電極は、カーボン層およびガス拡散基材からなるガス拡散層、並びに前記水素イオン伝導性高分子電解質膜に接触した触媒層を有し、前記カーボン層は、触媒層側に配置されるとともに、その面内で島状または格子状に分割されており、前記島状または格子状に分割されたカーボン層の間に空隙部を有することを特徴とする高分子電解質型燃料電池。
  2. 前記ガス拡散基材が、撥水性を有する請求項1記載の燃料電池。
  3. 前記カーボン層の面内の空隙部の割合が0.1〜30%である請求項1または2に記載の高分子電解質型燃料電池。
  4. 炭素粒子、撥水性樹脂および分散媒を含むカーボンインクを印刷法によりガス拡散基材に塗布する工程、および得られた塗布層を乾燥または焼成する熱処理工程を有する高分子電解質型燃料電池用電極の製造方法。
  5. 前記熱処理工程が、加熱温度の異なる少なくとも2段の熱処理工程を有する請求項4記載の燃料電池用電極の製造方法。
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