本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態は、画像形成装置として、タンデム型のフルカラーの電子写真複写機(以下、単に「複写機」という。)への適用例である。
まず、本実施の形態の複写機全体の構成について説明する。図1は、本実施の形態の複写機全体を示す概略構成図である。複写機は、画像形成を行う複写機本体100と、この複写機本体100が載置され複写機本体100に対して記録材である転写紙5の供給を行う給紙装置200と、複写機本体100上に取り付けられ原稿画像を読み取るスキャナ300と、このスキャナ300の上部に取り付けられる原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。複写機本体100には、転写紙5を手差し給紙させるための手差しトレイ6、及び、画像形成済みの転写紙5が排紙される排紙トレイ7が設けられている。
図2は、複写機本体100の構成を示す拡大図である。複写機本体100には、中間転写体である無端ベルト状の中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、図3に示すように、ベース層11、弾性層12及びコート層13の3層構造となっている。ベース層11は、例えば伸びの少ないフッ素系樹脂や、伸びの大きなゴム材料に帆布などの伸びにくい材料を組み合わせた構成とされる。また、弾性層12は、例えばフッ素系ゴムやアクリロニトリルーブタジエン共重合ゴムなどで構成され、ベース層11の上に形成される。また、コート層13は、弾性層12の表面に、例えばフッ素系樹脂がコーティングされることで形成される。そして、この中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ14,15,16に張架された状態で、図2中時計回り方向に回転駆動される。
図2に示すように、支持ローラ14,15,16のうちの第1支持ローラ14と第2支持ローラ15との間のベルト張架部分には、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色に対応した4つの画像形成ユニット18Y,18C,18M,18Kが並んで配置されている。これらの画像形成ユニット18Y,18C,18M,18Kの上方には、図1に示すように、露光装置21が設けられている。この露光装置21は、スキャナ300で読み取った原稿の画像情報に基づいて、レーザ制御部(図示せず)により半導体レーザ(図示せず)を駆動して書込光を出射し、各画像形成ユニット18Y,18C,18M,18Kに設けられる像担持体としての感光体ドラム20Y,20C,20M,20K上に静電潜像を形成するためのものである。ここで、書込光の出射は、レーザに限るものではなく、例えばLEDであってもよい。
画像形成ユニット18Y,18C,18M,18Kの構成について説明する。以下の説明では、黒色のトナー像を形成する画像形成ユニット18Kを例に挙げて説明するが、他の画像形成ユニット18Y,18C,18Mも同様の構成を有する。ここで、図4は隣り合う2つの画像形成ユニット18M,18Kの構成を示す拡大図である。なお、図中の符号では、色の区別を示す「M」及び「K」の記号を省略しており、以下の説明でも記号は適宜省略する。
画像形成ユニット18には、感光体ドラム20の周囲に、帯電装置60、現像装置61、感光体クリーニング装置63及び除電装置64が設けられている。また、感光体ドラム20に対して中間転写ベルト10を介して対向する位置には、1次転写装置62が設けられている。
帯電装置60は、帯電ローラを採用した接触帯電方式のものであり、感光体ドラム20に接触して電圧を印加することにより感光体ドラム20の表面を一様に帯電する。この帯電装置60には、非接触のスコロトロンチャージャなどを採用した非接触帯電方式のものも採用できる。
また、現像装置61では、磁性キャリアと非磁性トナーからなる二成分現像剤を使用している。なお、現像剤としては一成分現像剤を使用してもよい。この現像装置61は、現像ケース70内に設けられた攪拌部66と現像部67とに大別できる。攪拌部66では、二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という)が攪拌されながら搬送されて現像剤担持体としての後述する現像スリーブ65上に供給される。この攪拌部66は、平行な2本のスクリュー68が設けられており、2本のスクリュー68の間には、両端部で互いが連通するように仕切るための仕切り板が設けられている。また、現像ケース70には現像装置61内の現像剤のトナー濃度を検出するためのトナー濃度センサ71が取り付けられている。一方、現像部67では、現像スリーブ65に付着した現像剤のうちのトナーが感光体ドラム20に転移される。この現像部67には、現像ケース70の開口を通して感光体ドラム20と対向する現像スリーブ65が設けられており、その現像スリーブ65内には図示しないマグネットが固定配置されている。また、現像スリーブ65に先端が接近するようにドクタブレード73が設けられている。本実施の形態では、このドクタブレード73と現像スリーブ65との間の最接近部における間隔が0.9mmとなるように設定されている。
この現像装置61では、現像剤を2本のスクリュー68で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給する。現像スリーブ65に供給された現像剤は、マグネットにより汲み上げて保持される。現像スリーブ65に汲み上げられた現像剤は、現像スリーブ65の回転に伴って搬送され、ドクタブレード73により適正な量に規制される。なお、規制された現像剤は攪拌部66に戻される。このようにして感光体ドラム20と対向する現像領域まで搬送された現像剤は、マグネットにより穂立ち状態となり、磁気ブラシを形成する。現像領域では、現像スリーブ65に印加されている現像バイアスにより、現像剤中のトナーを感光体ドラム20上の静電潜像部分に移動させる現像電界が形成される。これにより、現像剤中のトナーは、感光体ドラム20上の静電潜像部分に転移し、感光体ドラム20上の静電潜像は可視像化され、トナー像が形成される。現像領域を通過した現像剤は、マグネットの磁力が弱い部分まで搬送されることで現像スリーブ65から離れ、攪拌部66に戻される。このような動作の繰り返しにより、攪拌部66内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサ71が検出し、その検出結果に基づいて攪拌部66にトナーが補給される。
1次転写装置62は、1次転写ローラを採用しており、中間転写ベルト10を挟んで感光体ドラム20に押し当てるようにして設置されている。1次転写装置62は、ローラ形状のものでなくても、導電性のブラシ形状のものや、非接触のコロナチャージャなどを採用してもよい。
感光体クリーニング装置63は、先端を感光体ドラム20に押し当てられるように配置される、例えばポリウレタンゴム製のクリーニングブレード75を備えている。また、本実施の形態では、クリーニング性能を高めるために感光体ドラム20に接触する導電性のファーブラシ76を併用している。このファーブラシ76には、金属製の電界ローラ77からバイアスが印加されており、その電界ローラ77にはスクレーパ78の先端が押し当てられている。そして、クリーニングブレード75やファーブラシ76により感光体ドラム20から除去されたトナーは、感光体クリーニング装置63の内部に収容される。その後、回収スクリュー79により感光体クリーニング装置63の片側に寄せられ、トナーリサイクル装置を通じて現像装置61へと戻され、再利用する。
除電装置64は、除電ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム20の表面電位を初期化する。
また、画像形成ユニット18には、各感光体ドラム20に対応させて、第1の検出器であるトナー濃度センサ310と電位センサ320とが設けられている。詳しくは、図5に示すように、トナー濃度センサ310(310Y,310C,310M,310K)は、感光体ドラム20毎に感光体ドラム20に対向するように設けられ、互いに感光体ドラム20の軸心90方向にずらして配置されている。トナー濃度センサ310は、光学方式の赤外光反射型センサであり感光体ドラム20の表面に形成されたトナー像の濃度を光学的に検出するものである。電位センサ320(320Y,320C,320M,320K)も、同じく感光体ドラム20毎に感光体ドラム20に対向するように設けられ、互いに感光体ドラム20の軸心90方向にずらして配置されている。これらの電位センサ320は感光体ドラム20表面の電位を検出する。ここで、本実施の形態では、トナー濃度センサ310を配置するスペースを確保するために現像スリーブ65(図4参照)を感光体ドラム20の軸心90を通る水平線に対して約10度上方に配置している。
画像形成ユニット18の具体的な設定について説明する。感光体ドラム20の直径は60mmであり、感光体ドラム20を282mm/sの線速で駆動している。また、現像スリーブ65の直径は25mmであり、現像スリーブ65を564mm/sの線速で駆動している。また、現像領域に供給される現像剤中のトナーの帯電量は、およそ−(マイナス)10〜−30μC/gの範囲となるのが好適である。また、感光体ドラム20と現像スリーブ65との間隙である現像ギャップは、0.5〜0.3mmの範囲で設定でき、値を小さくすることで現像効率の向上を図ることが可能である。また、感光体ドラム20の感光層の厚みは30μmであり、露光装置21の光学系のビームスポット径は50×60μmであり、その光量は約0.47mWである。一例として帯電装置60により、感光体ドラム20の表面は−700Vに一様帯電され、露光装置21によりレーザが照射された静電潜像部分の電位は、−120Vとなる。これに対して、現像バイアスの電圧を−470Vとし、350Vの現像ポテンシャルを確保する。このようなプロセス条件は電位制御の結果によって適時変更される。
以上の構成をもつ画像形成ユニット18では、感光体ドラム20の回転とともに、まず帯電装置60で感光体ドラム20の表面を一様に帯電する。次いでスキャナ300により読み取った画像情報に基づいて露光装置21からレーザによる書込光を照射し、感光体ドラム20上に静電潜像を形成する。その後、現像装置61により静電潜像が可視像化されてトナー像が形成される。このトナー像は、1次転写装置62により中間転写ベルト10上に1次転写される。1次転写後に感光体ドラム20の表面に残留した転写残トナーは、感光体クリーニング装置63により除去され、その後、感光体ドラム20の表面は、除電装置64により除電されて、次の画像形成に供される。
次いで、図2に示すように、支持ローラのうちの第3支持ローラ16に対向する位置には、2次転写装置である2次転写ローラ24が設けられている。そして、中間転写ベルト10上のトナー像を転写紙5上に2次転写する際には、2次転写ローラ24を第3支持ローラ16に巻回された中間転写ベルト10部分に押し当てて2次転写を行う。なお、2次転写装置としては2次転写ローラ24を用いた構成でなくても、例えば転写ベルトや非接触の転写チャージャを用いた構成としてもよい。この2次転写ローラ24には、2次転写ローラ24に付着したトナーをクリーニングするローラクリーニング部91が当接している。
また、2次転写ローラ24の転写紙搬送方向下流側には、2つのローラ23a,23b間に無端ベルト状の搬送ベルト22が張架した構成を有する。また、このさらに搬送方向下流側には、転写紙5上に転写されたトナー像を定着させるための定着装置25が設けられている。この定着装置25は、加熱ローラ26に加圧ローラ27を押し当てた構成となっている。また、中間転写ベルト10の支持ローラのうちの第2支持ローラ15に対向する位置には、ベルトクリーニング装置17が設けられている。このベルトクリーニング装置17は、転写紙5に中間転写ベルト10上のトナー像を転写した後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去するためのものである。
また、中間転写ベルト10における全ての感光体ドラム20よりも中間転写ベルト回転方向下流側には、中間転写ベルト10に対向して第2の検出器である補正用センサ330が設けられている。詳しくは、補正用センサ330は、中間転写ベルト10を介して第1支持ローラ14に対向する位置に配置されている。補正用センサ330は、トナー濃度センサ310と同じ構造であり光学方式の赤外光反射型センサであって中間転写ベルト10の表面に形成されたトナー像の濃度を光学的に検出するものである。ここで、図5には、この補正用センサ330とトナー濃度センサ310との位置関係を説明するために補正用センサ330を模式的に記載している。図5に示すように、補正用センサ330は、各トナー濃度センサ310Y,310C,310M,310Kに対して感光体ドラム20の軸心90方向にずらして配置されている。また、これらの補正用センサ330と各トナー濃度センサ310Y,310C,310M,310Kとは、感光体ドラム20の軸心90方向において、補正用センサ330、イエロー用のトナー濃度センサ310Y、シアン用のトナー濃度センサ310C、マゼンタ用のトナー濃度センサ310M、ブラック(黒)用のトナー濃度センサ310Kの順に配置されている。つまり、補正用センサ330とブラック用のトナー濃度センサ310Kとは、全てのトナー濃度センサ310と補正用センサ330とのうちで感光体ドラム20の軸心90方向において最も離れた位置に配置されている。
また、図1に示すように、複写機本体100には、給紙装置200から給紙された転写紙5を2次転写ローラ24を経由して排紙トレイ7に案内する搬送路48が設けられており、この搬送路48に沿って、搬送ローラ49a、レジストローラ49b、排出ローラ56などが設けられている。搬送路48の下流側には、転写後の転写紙5の搬送方向を排紙トレイ7又は用紙反転装置93に切り替える切替爪55が設けられている。用紙反転装置93は、転写紙5を反転させて再び2次転写ローラ24に向けて送り出すものである。さらに、複写機本体100には、手差しトレイ6から搬送路48へ合流する手差し給紙路53が設けられ、この手差し給紙路53の上流側には、手差しトレイ6にセットされた転写紙5を一枚ずつ給紙するための給紙ローラ50及分離ローラ51が設けられている。
給紙装置200は、転写紙5を収納する複数の給紙カセット44、これらの給紙カセット44に収納された転写紙を一枚ずつ送り出す給紙ローラ42及び分離ローラ45、送り出された転写紙を給紙路46に沿って搬送する搬送ローラ47などから構成されている。給紙路46は、複写機本体100の搬送路48に接続している。
スキャナ300について図1に基づいて簡単に説明する。スキャナ300では、コンタクトガラス31上に載置される原稿(図示せず)の読取り走査を行うために、原稿照明用光源とミラーを搭載した第1及び第2の走行体33,34が往復移動する。これらの走行体33,34により走査された画像情報は、結像レンズ35によってその後方に設置されている読取センサ36の結像面に集光され、読取センサ36によって画像信号として読込まれる。
図6は本実施の形態の複写機が備える各部の電気的な接続を示すブロック図である。図6に示すように、本実施の形態の複写機には、コンピュータ構成のメイン制御部500が備えられており、このメイン制御部500が各部を駆動制御する。メイン制御部500は、各種演算や各部の駆動制御を実行するCPU(Central Processing Unit)501にバスライン502を介して、コンピュータプログラム等の固定的データを予め記憶するROM(Read Only Memory)503と各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能するRAM(Random Access Memory)504とが接続されて構成されている。
ROM503には、トナー濃度センサ310,補正用センサ330の出力値に対する単位面積当りのトナー付着量への換算に関する情報を記憶した換算テーブル(図示せず)が格納されている。
メイン制御部500には、複写機本体100の各部、給紙装置200、スキャナ300、原稿自動搬送装置400が接続されている。ここで、複写機本体100のトナー濃度センサ310、電位センサ320及び補正用センサ330は、検出した情報をメイン制御部500に送り出す。
次に、本実施の形態の複写機の動作について説明する。上記構成をもつ複写機を用いて原稿のコピーをとる場合、まず、原稿自動搬送装置400の原稿台30に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス31上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、ユーザーが図示しないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときには、原稿がコンタクトガラス31上に搬送される。そして、スキャナ300が駆動して第1走行体33および第2走行体34が走行を開始する。これにより、第1走行体33からの光がコンタクトガラス31上の原稿で反射し、その反射光が第2走行体34のミラーで反射されて、結像レンズ35を通じて読取センサ36に案内される。このようにして原稿の画像情報を読み取る。
また、ユーザーによりスタートスイッチが押されると、図示しない駆動モータが駆動し、支持ローラ14,15,16のうちの1つが回転駆動して中間転写ベルト10が回転駆動する。また、これと同時に、各画像形成ユニット18Y,18C,18M,18Kの感光体ドラム20Y,20C,20M,20Kも回転駆動する。その後、スキャナ300の読取センサ36で読み取った画像情報に基づいて、露光装置21から、各画像形成ユニット18Y,18C,18M,18Kの感光体ドラム20Y,20C,20M,20K上に書込光がそれぞれ照射される。これにより、各感光体ドラム20Y,20C,20M,20Kには、それぞれ静電潜像が形成され、現像装置61Y,61C,61M,61Kにより可視像化される。そして、各感光体ドラム20Y,20C,20M,20K上には、それぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのトナー像が形成される。
このようにして形成された各色トナー像は、各1次転写装置62Y,62C,62M,62Kにより、順次中間転写ベルト10上に重なり合うようにそれぞれ1次転写される。これにより、中間転写ベルト10上には、各色トナー像が重なり合った合成トナー像が形成される。なお、2次転写後の中間転写ベルト10上に残留した転写残トナーは、ベルトクリーニング装置17により除去される。
また、ユーザーによりスタートスイッチが押されると、ユーザーが選択した転写紙5に応じた給紙装置200の給紙ローラ42が回転し、給紙カセット44の1つから転写紙5が送り出される。送り出された転写紙5は、分離ローラ45で1枚に分離して給紙路46に入り込み、搬送ローラ47により複写機本体100内の搬送路48まで搬送される。このようにして搬送された転写紙5は、レジストローラ49bに突き当たったところで止められる。なお、給紙カセット44にセットされていない転写紙5を使用する場合、手差しトレイ6にセットされた転写紙5を給紙ローラ50により送り出し、分離ローラ52で1枚に分離した後、手差し給紙路53を通って搬送される。そして、同じくレジストローラ49bに突き当たったところで止められる。
レジストローラ49bは、上述のようにして中間転写ベルト10上に形成された合成トナー画像が2次転写ローラ24に対向する2次転写部に搬送されるタイミングに合わせて回転を開始する。ここで、レジストローラ49bは、一般的には接地されて使用されることが多いが、転写紙5の紙粉除去のためにバイアスを印加するようにしてもよい。レジストローラ49bにより送り出された転写紙5は、中間転写ベルト10と2次転写ローラ24との間に送り込まれ、2次転写ローラ24により、中間転写ベルト10上の合成トナー像が転写紙5上に2次転写される。その後、転写紙5は、2次転写ローラ24に吸着した状態で定着装置25まで搬送され、定着装置25で熱と圧力が加えられてトナー像の定着処理が行われる。定着装置25を通過した転写紙5は、排出ローラ56により排紙トレイ7に排出されスタックされる。なお、トナー像が定着された面の裏面にも画像形成を行う場合には、定着装置25を通過した転写紙5の搬送方向を切替爪55により切り換え、用紙反転装置93に送り込む。転写紙5は、そこで反転し再び2次転写ローラ24に案内される。
次に、本実施の形態のCPU501がコンピュータプログラムに基づいて行う画像濃度制御であってセルフチェックである電位制御処理について図7ないし図17に基づいて説明する。ここで、図7は感光体ドラム20上のトナー付着量とセンサ出力との関係を示すグラフ、図8は感光体ドラム20の表面粗さとセンサ出力との関係を示すグラフ、図9は電位制御ルーチンを示すフローチャート、図10は感光体ドラム20上に形成するパッチパタンを説明する図、図11は中間転写ベルト10上に転写されるパッチパタンを示す平面図、図12はそのパッチパタンを示す拡大図、図15は電位制御時の電位データとトナー付着量データとの各パッチパタンにおける関係を示すグラフ、図16は電位制御時のトナー付着量データに対する電位データと制御電位データとの直線近似を示すグラフ、図17は電位制御テーブルを示す模式図である。
電位制御処理は、トナー濃度センサ310の検出結果に基づいて電位制御を行う処理であるが、トナー濃度センサ310は様々な要因によりその出力特性が変わってしまうことがある。そこで、本実施の形態の電位制御処理では、補正用センサ330の検出結果に基づいてトナー濃度センサ310の検出結果を補正してその補正した検出結果を用いて処理を実行する。
ここで、トナー濃度センサ310の出力特性の変化について例を挙げて説明する。感光体ドラム20が新品の時、センサ特性は、図7においてラインaを示す。しかし、経時で感光体ドラム20の表面が荒れてくると、図8に示すように、感光体ドラム20の表面の光反射は拡散成分が増え、これによりトナー濃度センサ310のセンサ出力が高くなる。この結果、センサ出力特性は、図7においてラインbのような特性となる。本実施の形態の複写機においては、後述するように感光体ドラム20に対するトナー濃度センサ310の出力が一定になるようにVsg調整を定期的に行っているので、ラインbの特性は地肌出力がラインaと同等になるように調整される。このとき,トナー濃度センサ310の出力が低くなるようにトナー濃度センサ310のLED発光量を下げる調整が行われる為に、トナー濃度センサ310のセンサ出力特性は、図7においてラインcのような特性となる。この結果、同じセンサ出力に対して,その特性がラインa→ラインcのように変化する為、算出するトナー付着量が変わってくる。この変化が全色同時に起こればカラーバランスとしては大きく変化しないが、本実施の形態の複写機のように色毎に異なる感光体ドラム20を有する構成の場合は、それぞれの感光体ドラム20の表面の劣化の仕方も異なる。また、感光体ドラム20の表面の劣化の仕方が同じであるとしても、Vsg調整後電圧の色毎の誤差によっても、算出するトナー付着量が変わってくる。
図9に示す電位制御のルーチンでは、基本的に、複写機の起動時、予め定められたコピー枚数の複写毎(つまり連続作像動作中における作像動作と作像動作との間)、一定時間毎等必要に応じて行うようになっている。ここでは起動時の実行動作について説明する。まず電源オン時の状態をジャム等の異常処理時と区別するために、ステップS701で電位制御の実行条件として定着装置25の定着温度を検出する。定着温度センサからの入力信号を基に、定着装置25の定着温度が100℃を越えているか否かを判断し、定着装置25の定着温度が100℃を越えている場合には(ステップS701のN)、異常と判定して電位制御を実行せずに処理を終了する。
定着装置25の定着温度が100℃を越えていない場合には(ステップS701のY)、所定条件で一様に帯電された各感光体ドラム20の表面電位のチェックを電位センサ320により行い(ステップS702)、次に、ステップS703においてVsg調整を行う(ステップS703)。このVsg調整では、トナー濃度センサ310から感光体ドラム20の地肌部(表面)に対する出力値を取り込んでトナー濃度センサ310から感光体ドラム20の地肌部へ照射された光の反射光が一定値になるようにトナー濃度センサ310の発光量を調整する。ここでステップS702〜S703は各色の画像形成ユニット18で並列処理を行う。
ステップS704ではステップS702〜S703の処理において異常が無いかどうかチェックする。異常がある場合は(ステップS704のY)、ステップS718へ進み、エラーコードを設定して処理を終了する。
ステップS704において、ステップS702〜S703の処理において異常が無いと判断した場合には(ステップS704のY)、電位制御方式が自動に設定されているか、自動ではなく固定に設定されているかを判断する(ステップS705)。
なお、先のステップS703〜S704では、電位制御方式に関わらず、他のトナー補給制御等で使用するためにステップS706に先立って動作を行ったものである。
ステップS705で電位制御方式が自動ではなく固定であったと判断した場合は(ステップS705のN)、ステップS718でエラーコードを設定して処理を終了する。一方、ステップS705で電位制御方式が自動であったと判断した場合は(ステップS705のY)、ステップS706〜S707の処理を各色の画像形成ユニット18に対して並行して行う。
ステップS706では、図5に示すように、各感光体ドラム20上にトナー像である基準トナーパッチとしてパッチパタン(潜像パタン)600を形成する。パッチパタン600は、感光体ドラム20の軸心90方向(幅方向)に対して色毎にずらして作像する。本実施の形態では、一つの色毎に例えば図10に示すようにN個の階調濃度を持つ静電潜像であるN個のパッチパタン600(600a,600b,600c・・・)を感光体ドラム20の回転方向に沿って所定の間隔で形成する。本実施の形態においては、16個の相異なる階調濃度を持つ各辺が15×20mmである矩形のパッチパタン600(600a,600b,600c・・・)を感光体ドラム20の回転方向に対して、10mmの間隔をおいて形成する。また、これらの色毎のパッチパタン600同士の感光体ドラム20の軸心90方向の間隔は、5mmに設定されている(図12参照)。このようにパッチパタン600同士を近接して形成して、それらの全体の幅をA6幅以内に収まるようにした。
さらに、図5に示すように、これらのパッチパタン600に加えて、補正用の基準トナーであるパッチパタン601を各色毎に感光体ドラム20上に作像する。これらのパッチパタン601は、パッチパタン600に対して感光体ドラム20の軸心90方向にずれて形成される。詳しくは、パッチパタン601は、中間転写ベルト10に転写されたときに、感光体ドラム20の軸心90方向においてパッチパタン600Y,600C,600M,600Kが占める領域の外側に形成される。このときのパッチパタン600,601の感光体ドラム20の軸心方向の並びは、パッチパタン601、パッチパタン600Y,パッチパタン600C,パッチパタン600M,パッチパタン600Kである。なお、パッチパタン601の大きさやそれらの間隔はパッチパタン600と同様であり、パッチパタン601の作像条件は、パッチパタン600の作像条件と同じである。ここに、ステップS706によりトナーパッチ形成手段の機能が実行される。
このようにパッチパタン600,601を形成することにより、中間転写ベルト10にパッチパタン600,601が転写された際には、図11に示すように中間転写ベルト10上で各色のパッチパタン600,601が重なることなく形成される。ここで、図12に中間転写ベルト10上のパッチパタン600,601を拡大して示す。
次のステップS707では、感光体ドラム20上のこれらのパッチパタン600の電位に対する電位センサ320の出力値を読み込んでRAM504に格納する。そして、感光体ドラム20上の4色分のパッチパタン600,601を並列動作で、黒現像装置61K、シアン現像装置61C、マゼンタ現像装置61M、イエロー現像装置61Yに現像させて顕像化させることにより各色のトナー像とする。
次いで、CPU501は、感光体ドラム20のパッチパタン600に対するトナー濃度センサ310によるトナーの濃度検出、及び、中間転写ベルト10に転写されたパッチパタン601に対する補正用センサによる濃度検出を行う(ステップS708)。このトナー濃度検出では、各色のトナー像であるパッチパタン600,601に対するトナー濃度センサ310,補正用センサ330の出力値を各色毎にVpi(i=1〜N)としてRAM504に格納する。
次に、トナーの付着量を算出する(ステップS709)。すなわち、RAM504に格納したトナー濃度センサ310,補正用センサ330の出力値をROM503に格納されている換算テーブルを参照し、単位面積当りのトナー付着量に換算してRAM504に再び格納する。
次に、ステップS709で算出したトナー濃度センサ310の検出値に基づく感光体ドラム20上のトナーの付着量を、補正用センサ330の検出値に基づいて補正する(ステップS710、補正手段)。まず、先に求めた感光体ドラム20上のトナー付着量(以後、ドラム上のトナー付着量ともいう)と、中間転写ベルト10上のトナー付着量(以後、ベルト上のトナー付着量ともいう)の関係は、4つのトナー濃度センサ310Y,310C,310M,310Kに対してそれぞれのトナー付着量の真値とのずれに相当する係数をA、感光体ドラム20から中間転写ベルト10へのトナーの転写率(%)をαとすると、次の式で示される。
ドラム上トナー付着量(K)=ベルト上トナー付着量(K)/α-----------(1)
ドラム上トナー付着量(M)=ベルト上トナー付着量(M)/α-----------(2)
ドラム上トナー付着量(C)=ベルト上トナー付着量(C)/α-----------(3)
ドラム上トナー付着量(Y)=ベルト上トナー付着量(Y)/α-----------(4)
しかし、実際の検出結果にはそれぞれの検出誤差が加わる為、以下のようになる。ここで、補正用センサ330に対してそれぞれのトナー付着量真値とのずれに相当する係数をBとする。
ドラム上トナー付着量(K)×A(K)=ベルト上トナー付着量(K)×B(K)/α-----(5)
ドラム上トナー付着量(M)×A(M)=ベルト上トナー付着量(M)×B(M)/α-----(6)
ドラム上トナー付着量(C)×A(C)=ベルト上トナー付着量(C)×B(C)/α-----(7)
ドラム上トナー付着量(Y)×A(Y)=ベルト上トナー付着量(Y)×B(Y)/α-----(8)
Bに関しては補正用センサ330が単一である為、色間での差は無いと言える。転写率αは本実施の形態においては、約95%である。そこでB=1として考えると、
ドラム上トナー付着量(K)×A(K)=ベルト上トナー付着量(K)/α---------(9)
ドラム上トナー付着量(M)×A(M)=ベルト上トナー付着量(M)/α---------(10)
ドラム上トナー付着量(C)×A(C)=ベルト上トナー付着量(C)/α---------(11)
ドラム上トナー付着量(Y)×A(Y)=ベルト上トナー付着量(Y)/α---------(12)
となる。
次に、これらの式を基にして、これまでに検出した感光体ドラム20上のトナー付着量と中間転写ベルト10上のトナー付着量とから、感光体ドラム20上のトナー付着量を補正した補正後トナー付着量を求める。まず、ブラック(K)を例に説明する。
ブラック(K)においては、トナーの高付着量部において、トナー濃度センサ310K、補正用センサ330の出力が飽和する為、トナーの低付着量域のデータを取るようにパッチパターン600,601の作像条件を設定し、作像する。このときのトナー濃度センサ310K、補正用センサ330の検出結果を表1に示す。この結果をグラフにすると図13のようになる。
ここで、A(K)=1.0497と求められる。
次に、マゼンタ(M)に関するトナー濃度センサ310M、補正用センサ330の検出結果を表2に示す。この結果をグラフにすると図14のようになる。
ここでA(M)=1.025と求められる。同様にA(C)=1.057、A(Y)=1.002であった。
本実施の形態においては、上述した式(9)〜(12)を変形した次の式に基づいて、感光体ドラム20上のトナー付着量を算出する。
ドラム上トナー付着量(K)=ベルト上トナー付着量(K)/α/A(K)---------(13)
ドラム上トナー付着量(M)=ベルト上トナー付着量(M)/α/A(M)---------(14)
ドラム上トナー付着量(C)=ベルト上トナー付着量(C)/α/A(C)---------(15)
ドラム上トナー付着量(Y)=ベルト上トナー付着量(Y)/α/A(Y)---------(16)
ベルト上トナー付着量を真値とすれば、補正後ドラム上トナー付着量は、次式によって求められる。
補正後ドラム上トナー付着量(K)=ドラム上トナー付着量(K)×α×A(K)---(17)
補正後ドラム上トナー付着量(M)=ドラム上トナー付着量(M)×α×A(M)---(18)
補正後ドラム上トナー付着量(C)=ドラム上トナー付着量(C)×α×A(C)---(19)
補正後ドラム上トナー付着量(Y)=ドラム上トナー付着量(Y)×α×A(Y)---(20)
例えば、感光体ドラム20上の(M)に対するトナー付着量検出結果が0.506であった場合、補正後の感光体ドラム20上のトナー付着量は式(18)に従い、0.506×1.025×0.95=0.493(mg/cm2)と求められる。
ここで、補正の別の形態を説明する。この形態では、中間転写ベルト10上のカラートナー付着量検出の検出精度が低い場合を考慮し、カラーの付着量を(M)トナーを基準に設定する。これによってカラーの付着量検出バランスを保つ。具体的にはA(M)=1として考え、A(C)'=A(C)/A(M)=1.057/1.025=1.031、A(Y)'=A(Y)/A(M)=1.002/1.025=0.978となる。なお形態では色バランスに影響の少ない(K)の補正は行わない。
ここで、(M)の中間転写ベルト10上のトナー付着量を基準に考えると、補正後の感光体ドラム20上のトナー付着量は下式によって求められる。
補正後ドラム上トナー付着量(M)=ドラム上トナー付着量(M)×α×A(M)/A(M)-(21)
補正後ドラム上トナー付着量(C)=ドラム上トナー付着量(C)×α×A(C)/A(M)-(22)
補正後ドラム上トナー付着量(Y)=ドラム上トナー付着量(Y)×α×A(Y)/A(M)-(23)
例えば、感光体ドラム20上の(C)のトナー付着量検出結果が0.456であった場合、(C)の補正後ドラム上トナー付着量は式(22)に従い、0.456×1.031×0.95=0.447(mg/cm2)と求められる。
このようにして上記2つの補正の方法などにより各色のトナー付着量を補正して算出した後、ステップS711〜S713を実行する。以下、これらのステップについて詳細に説明する。
ここで、図15はこれまでの処理で得られた感光体ドラム20上のパッチパタン600の電位データとトナー付着量データとの各パッチパタン600(600a,600b,600c・・・)における関係をX−Y平面上にプロットしたものである。X軸は電位ポテンシャル(現像バイアス電位VBと感光体ドラム20の表面電位との差)(単位V)を示し、Y軸は単位面積当りのトナー付着量(mg/cm2)を示している。本実施の形態においては、上述したように赤外光反射型センサのような光学方式のセンサでトナー濃度センサ310を構成しており、赤外光反射型センサは、一般的に、図15に示すように、トナー付着量が多い多付着部において飽和特性を示し、得られた検出値が実際のトナー付着量に対応しなくなる。このため、多付着部において得られたトナー濃度センサ310の検出値をそのまま用いてトナー付着量を算出してしまうと、実際の付着量とは異なった付着量を得ることになり、このトナー付着量を基に行うトナー補給制御を正確に行うことができなくなってしまう。
そこで、本実施の形態におけるCPU501は、各色のパッチパタン600(600a,600b,600c・・・)毎に、電位センサ320とトナー濃度センサ310とから得られたパッチパタン600(600a,600b,600c・・・)の電位と、その顕像化後のトナー付着量のデータとを後述のように電位データXn(n=1〜10)とトナー付着量データYnとの関係(現像装置61の現像γ特性)の直線区間だけ選択し、この区間のデータに対して最小自乗法を適用することにより各現像装置61の現像特性の直線近似を後述するような方法によって行い、現像特性の近似直線方程式を各色毎に得、この近似直線方程式により各色毎に制御電位を計算するようにしている。
最小自乗法の計算は次の式を用いる。
Xave=ΣXn/k---------(31)
Yave=ΣYn/k---------(32)
Sx=Σ(Xn−Xave)×(Xn−Xave)-----------(33)
Sy=Σ(Yn−Yave)×(Yn−Yave)-----------(34)
Sxy=Σ(Xn−Xave)×(Yn−Yave)---------(35)
電位センサ320とトナー濃度センサ310とから得られたパッチパタン600(600a,600b,600c・・・)の電位、顕像化後のトナー付着量のデータから求まる近似直線方程式をY=A1×X+B1としたとき、係数A1、B1は上記変数を用いて、
A1=Sxy/Sx------------------(36)
B1=Yave−A1×Xave------(37)
と表せる。
また、近似直線方程式の相関係数Rは、
R×R=(Sxy×Sxy)/(Sx×Sy)---------(38)
と表わせる。本実施の形態では、CPU501は、ステップS709までにおいて、各色毎に電位センサ320とトナー濃度センサ310とから得られたパッチパタン600(600a,600b,600c・・・)の電位データXn、顕像化後のトナー付着量データYnの数値が若い方から5個のデータの組、
(X1〜X5、Y1〜Y5)
(X2〜X6、Y2〜Y6)
(X3〜X7、Y3〜Y7)
(X4〜X8、Y4〜Y8)
(X5〜X9、Y5〜Y9)
(X6〜X10、Y6〜Y10)
を取り出し、上述した式(31)〜(38)に従って直線近似計算を行うとともに、相関係数Rを算出して下記のような6組の近似直線方程式および相関係数(39)〜(44)を得る。
Y11=A11×X+B11;R11---------(39)
Y12=A12×X+B12;R12---------(40)
Y13=A13×X+B13;R13---------(41)
Y14=A14×X+B14;R14---------(42)
Y15=A15×X+B15;R15---------(43)
Y16=A16×X+B16;R16---------(44)
CPU501は、得られた6組の近似直線方程式のうちから相関係数R11〜R16内の最大値のものに対応する1組の近似直線方程式を近似直線方程式として選択する。
次に、メイン制御部500(CPU501)は、ステップS711で、各色毎に上述の選択した近似直線方程式において、図16に示すようにYの値が必要最大トナー付着量Mmaxとなる時のXの値、すなわち現像ポテンシャルの値Vmaxを算出する。黒現像装置61K、シアン現像装置61C、マゼンタ現像装置61M、イエロー現像装置61Yの各現像バイアス電位VBと感光体ドラム20上の各色の画像露光による表面電位(露光電位)VLとは上述の式から次の式(45)、(46)で与えられる。
Vmax=(Mmax−B1)/A1--------------------(45)
VB−VL=Vmax=(Mmax−B1)/A1--------(46)
VBとVLとの関係は近似直線方式(E)の係数を用いて表わすことができる。したがって(46)式は、
Mmax=A1×Vmax+B1---------(47)
となる。
ここで、感光体ドラム20の露光前の帯電電位VDと現像バイアス電位VBとの関係は、図16に示すような直線方程式、すなわち、
Y=A2*X+B2---------(48)
とX軸との交点のX座標VK(現像装置61の現像開始電圧)と、実験的に求めた地汚れ余裕電圧Vαとから、
VD−VB=VK+Vα---------(49)
で与えられる。
したがって、Vmax、VD、VB、VLの関係は、(46)、(49)式により決まる。この例ではVmaxを参照値として、これと各制御電圧VD、VB、VLの関係をあらかじめ実験等によって求め、図17に示すようにテーブル化して電位制御テーブルT1としてROM503に格納しておく。
そして、CPU501はステップS712で、電位制御テーブルT1から各色毎に上記算出したVmaxに最も近いVmaxを選択し、その選択したVmaxに対応した各制御電圧(電位)VB、VD、VLを目標電位とする。
次に、ステップS712で、露光装置21のレーザ制御部を介して半導体レーザのレーザ発光パワーを最大光量となるように制御し、電位センサ320の出力値を取り込むことにより感光体ドラム20の残留電位を検出する(ステップS713)。そして、ステップS714で、その残留電位が0でない時にはステップS712で決定した目標電位VB、VD、VLに対してその残留電位分の補正を行って目標電位とする。
ステップS715では、以上のステップS705〜S714においてエラーが無いかどうか判断する。ここで1色でもエラーがあった場合は(ステップS715のN)、他の色だけ制御を行っても画像濃度変動が大きくなり、またこの後行うステップS716の動作が無駄になるために、エラーコードをセットして(ステップS718)、処理を終了する。この場合は作像条件は更新せず、次回セルフチェックが成功するまで前回と同じ作像条件で作像する。
ステップS715において、エラー無しと判断した場合は(ステップS715のY)、ステップS716で、各色並行して感光体ドラム20の帯電装置60による帯電電位VDが上記目標電位になるように電源回路(図示せず)を調整し、レーザ制御部(図示せず)を介して半導体レーザにおけるレーザ発光パワーを感光体ドラム20の表面電位VLが上記目標電位になるように調整し、かつ、黒現像装置61K、シアン現像装置61C、マゼンタ現像装置61M、イエロー現像装置61Yの各現像バイアス電位VBがそれぞれ上記目標電位になるように電源回路を調整する(画像濃度制御手段)。
そして、ステップS717では、ステップS716でエラーが有ったか否かを判断する。ステップS716でエラーが無かった場合には(ステップS717のY)、処理を終了する。一方、ステップS716でエラーが有った場合には(ステップS717のN)、ステップS718へ進みエラーコードを設定して処理を終了する。
このような電位制御は画像品質を一定に維持するために特にカラー画像形成装置においては重要な制御である。
以上説明したように、本実施の形態においては、複数の感光体ドラム20毎に設けられたトナー濃度センサ310Y,310C,310M,310Kの検出特性が異なっても、それらの検出結果が中間転写ベルト10上のトナー濃度を検出する補正用センサ330の検出結果により補正されるので、複数のトナー濃度センサ310Y,310C,310M,310Kの検出特性の違いなどに起因する画像濃度不良の発生を防止することができ、画像濃度の安定した複写機を提供することができる。これにより、環境が変化しても経時にわたって画像濃度の安定した複写機を提供することができる。
また、本実施の形態においては、画像濃度制御である電位制御を実行するための各感光体ドラム20に対応するパッチパタン600が図11に示すように、中間転写ベルト10上に互いにずれて転写されるので、ベルトクリーニング装置17、ローラクリーニング部91に対してかかる負荷が軽くなるので、それらでのクリーニング不良や、各転写工程での転写散りによるトナー飛散が発生することを防止することができる。また、各感光体ドラム20上に並行して各色のパッチパタン600の形成ができるので、電位制御を実行する際のユーザーの待ち時間を短縮することができる。
また、本実施の形態においては、パッチパタン600と、パッチパタン601とを並行して作像することができ、これにより、パッチパタン600の作成を伴う電位制御等の画像濃度制御を実行する際のユーザーの待ち時間を短縮することができる。
また、本実施の形態においては、同じ作像条件のパッチパタン600,601同士に基づいてトナー濃度の補正を行うので、補正精度を高くすることができる。
また、本実施の形態においては、ブラック(K)に対応するトナー濃度センサ310Kが他のトナー濃度センサ310Y,310C,310Mよりも補正用センサ330から遠い位置に配置されているので、つまり、ブラック(K)のトナーに比較して色変動に寄与の大きいその他のカラー(Y,C,M)トナーに対応するトナー濃度センサ310Y,310C,310Mと、補正用センサ330との位置関係が、ブラック(K)に対応するトナー濃度センサ310Kと補正用センサ330との位置関係に比べて近くなるので、これにより、パッチパタン600,601の作像位置による差を少なくして補正精度を高めることができる。
また、本実施の形態においては、各色のパッチパタン600全体がA6幅以内に収まるようにしたので、通常出力される画像はA6幅以上であるため、これによって各色のパッチパタン600位置における変動が少なく、検出位置による色毎の検出誤差が少なくなり、高速で精度の高い複写機を提供することができる。
なお、本実施の形態では、画像濃度制御である電位制御処理において、4色に対して電位センサ320、トナー濃度センサ310の出力を並列に処理するために、各チャンネルで独立したサンプリング周期4msecのA/Dを採用している。
また、本実施の形態は、画像形成装置として複写機を例に説明したが、これに限るものではなく、プリンタなどであってもよい。