JP2005091813A - トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 カーボンブラックがトナーに均一に分散され、かつ吸湿性の低いトナー及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 酸価が10mg・KOH/g以下、かつ水酸基価が10mg・KOH/g以上である樹脂粒子と、表面に化学的に結合した極性基を有する自己分散型カーボンブラックから成る着色剤粒子とを水系媒体中で凝集及び融着する。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法に用いられるトナー及びその製造方法に関する。
現在、電子写真法に代表される静電潜像現像法は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成方法に広く用いられている。近年、高画質の観点から静電潜像現像用トナーの小粒径化が必要とされている。小粒径のトナーの製造を目的として重合法トナーの開発が盛んに行われている。重合法トナーの製造には、例えば、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集・融着して不定形のトナーを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
上記の凝集・融着法では、樹脂粒子分散液と着色剤粒子分散液とを混合・攪拌しながら、凝集剤を添加する。この際、着色剤粒子は樹脂粒子の表面に付着し、この着色剤粒子が付着した樹脂粒子同士が凝集し、かつ融着することによりトナー粒子が形成される。したがって、着色剤粒子をトナーに均一に分散させるためには、樹脂粒子と着色剤粒子の分散安定性をバランスさせて一方のみが先に凝集するのを防止することが要求される。
例えば、着色剤粒子にカーボンブラックを用いる場合、カーボンブラックは水系媒体中での分散安定性が低いため、凝集工程の初期に凝集し、結果としてトナー中でのカーボンブラックの分散不良が起こり、帯電不良や濃度不足などの課題を引き起こすという問題がある。これに対しては、樹脂粒子の分散安定性を高めて、着色剤粒子やその凝集物の樹脂粒子表面への付着を促進する方法がある。例えば、樹脂粒子にスチレン−アクリル系共重合体を用いる場合、アクリル酸やメタクリル酸などの酸性単量体の量を増加させることで樹脂粒子の親水性を高くし、樹脂粒子の分散安定性を高めることができる。
特開平11−194540号公報
しかしながら、樹脂粒子の親水性を高くするために酸性単量体の量を増加させると、トナーの吸湿性が増大して帯電特性が低下するという問題がある。例えば、本発明者らの検討によれば、樹脂粒子の全単量体中に酸性単量体を5重量%以上含む場合、高温高湿環境において得られたトナーの含水率が2%にも達することが判明している。したがって、樹脂粒子とカーボンブラックの分散安定性をバランスさせるためには、トナーの吸湿性を犠牲にせざるを得ないのが現状である。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、カーボンブラックがトナーに均一に分散され、かつ吸湿性の低いトナーを提供することを目的とした。
上記課題を解決するため、本発明のトナーは、酸価が10mg・KOH/g以下、かつ水酸基価が10mg・KOH/g以上である樹脂粒子と、表面に化学的に結合した極性基を有する自己分散型カーボンブラックから成る着色剤粒子とを水系媒体中で凝集及び融着して成ることを特徴とする。
本発明によれば、酸価で規定される樹脂粒子中の酸性基の量を10mg・KOH/g以下とすることにより吸湿性を低減することが可能になる。さらに、水酸基価で規定される樹脂粒子中の水酸基の量を10mg・KOH/g以上とすることにより、樹脂粒子の親水性を向上させ分散安定性を向上させることが可能になる。さらに、着色剤粒子に自己分散型カーボンブラックを用いることによりカーボンブラックの水系媒体中での分散安定性を向上させることができる。これにより、樹脂粒子とカーボンブラックの分散安定性を確保しながら、トナーの吸湿性を低下させることが可能となる。
また、本発明のトナーには、水酸基含有単量体を構成成分として含む樹脂粒子を用いることができる。さらに、その樹脂粒子は酸性単量体を構成成分として含むこともできる。
また、本発明のトナーには、トナー粒子の体積平均粒径が3〜9μmであって、紙上への付着量が4.5g/mの時、画像濃度が1.3以上であるものを用いることができる。
また、本発明のトナーには、樹脂粒子が、コア層と、そのコア層を覆う1層以上の被覆層とから成り、少なくともその被覆層の最外層を構成する樹脂が上記の酸価及び水酸基価を有する樹脂粒子を用いることができる。
本発明のトナーは、例えば、以下の方法を用いて製造することができる。本発明のトナーの製造方法は、酸価が10mg・KOH/g以下、かつ水酸基価が10mg・KOH/g以上である樹脂粒子と、表面に化学的に結合した極性基を有する自己分散型カーボンブラックを両性界面活性剤で分散して成る着色剤粒子とを水系媒体中で凝集及び融着することを特徴とする。
また、本発明の製造方法においては、水酸基含有単量体を構成成分として含む樹脂粒子を用いることができる。さらに、その樹脂粒子は酸性単量体を構成成分として含むこともできる。
また、本発明の製造方法においては、両性界面活性剤にベタイン型両性界面活性剤を用いることができる。
本発明のトナーは、吸湿性が低く、高温高湿(温度30℃、湿度80%)環境においても、例えば含水率1.3%以下の優れた吸湿特性を示す。
また、トナー中でのカーボンブラックの分散性が優れることからトナーの濃度を非常に高くすることができる。例えば、カーボンブラックの添加量が5〜10重量部の範囲で製造された3〜7μmの平均粒径を有するトナーにおいて、付着量4.5g/mのときの定着画像の濃度(TD)が1.3以上であり、かつ優れた帯電特性を有する。
(樹脂粒子)
本発明のトナーには、酸価が10mg・KOH/g以下、かつ水酸基価が10mg・KOH/g以上である樹脂粒子を用いることができる。すなわち、樹脂粒子中の酸性基の量を上記の酸価で規定される量以下とし、かつ水酸基の量を上記の水酸基価で規定される量以上とする必要がある。
樹脂粒子を得るための重合性単量体には、水酸基含有単量体と、酸性基としてカルボン酸基を含有する単量体、そして水酸基とカルボン酸基のいずれも含有しない単量体を用いることができる。また、必要により架橋性単量体を用いることもできる。なお、後述するように、樹脂粒子には、コア層とそのコア層を覆う1層以上の被覆層から成る多層構造の樹脂粒子を用いることができる。その多層構造の樹脂粒子の場合、以下で説明する単量体組成は、少なくとも被覆層の最外層の樹脂に適用される。
(1)カルボン酸基含有単量体
カルボン酸基含有単量体としては特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。具体的には、モノビニル芳香族系単量体、アクリル酸エステル系単量体、アクリルアミド系単量体等を用いることができる。
アクリル酸エステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、イタコン酸モノブチルエステル、マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル等を挙げることができる。
吸湿性悪化を抑制するため、これらのカルボン酸含有単量体の樹脂粒子中の量は、樹脂粒子の酸価で表した場合、10mg・KOH/g以下、より好ましくは6mg・KOH/g以下である。また、多層構造の樹脂粒子の場合、最外層の樹脂を構成する全単量体の5重量%以下、好ましくは3重量%以下である。
(2)水酸基含有単量体
水酸基含有単量体としては特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。具体的には、モノビニル芳香族系単量体、アクリル酸エステル系単量体、アクリルアミド系単量体等を用いることができる。
アクリル酸エステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル、2種類以上のポリアルキレングリコールのブロックポリマーと(メタ)アクリル酸とのモノエステルなどが上げられる。
水酸基は、凝集剤として添加される金属イオンと結合することがないので、水酸基含有単量体を樹脂粒子に導入することにより、吸湿性を悪化させることなく樹脂粒子の分散安定性を確保することができる。
これらの水酸基含有単量体の樹脂粒子中の量は、樹脂粒子の水酸基価で表した場合、10mg・KOH/g以上、より好ましくは10〜30mg・KOH/gである。また、多層構造の樹脂粒子の場合、最外層の樹脂を構成する全単量体の10重量%以下、好ましくは6重量%以下である。10重量%より大きいと、水酸基価が大きくなり、水系中での分散安定性が極度に高まり、凝集剤による凝集制御性が著しく悪化するからである。
(3)カルボン酸基と水酸基のいずれも有しない単官能単量体
カルボン酸基と水酸基のいずれも有しない単官能単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
具体的には、モノビニル芳香族系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
ビニル芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-イソブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-2-エチルヘキシルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-クロロスチレン、3,4-ジクロロスチレン、α-メチルスチレン、p-スチレンスルホン酸塩、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジンなどの芳香族系単量体、およびその誘導体を挙げることができる。
アクリル酸エステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、β-ヒドロキシアクリル酸エチル、γ-アミノアクリル酸プロピル等を挙げることができる。
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられ、ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等を挙げることができる。又、モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を挙げることができる。
(4)架橋性単量体
樹脂粒子の特性を改良するために架橋性単量体を添加することもできる。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものを挙げることができる。
(重合開始剤)
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は、水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物(過酸化水素など)等を挙げることができる。更に、上記ラジカル重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合せてレドックス系開始剤とする事が可能である。
(連鎖移動剤)
分子量を調整することを目的として、公知の連鎖移動剤を単量体混合液に添加されることができる。
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t-ブチル、チオグリコール酸-2-エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル等のチオグリコール酸エステル、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸エチル、3-メルカプトプロピオン酸プロピル、3-メルカプトプロピオン酸ブチル、3-メルカプトプロピオン酸t-ブチル、3-メルカプトプロピオン酸-2-エチルヘキシル、3-メルカプトプロピオン酸オクチル、3-メルカプトプロピオン酸デシル、2-メチル-3-メルカプトプロピオン酸オクチル等のメルカプトプロピオン酸エステル、エチレングリコールピス(チオグリコレート)、1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)等のポリチオール、α-メチルスチレンダイマー、α-テルピネン、ターピノーレンなどの連鎖移動能を有する炭化水素化合物、四臭化炭素、四塩化炭素などのハロゲン化炭素を挙げることができる。
これらのうち、分子量制御性、再資源化への配慮、環境安定性、製造時や定着時の分解安定性、経済性、臭気等の観点から、アルキルメルカプタンを用いることが望ましい。
(樹脂合成用界面活性剤)
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルション重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好ましい。この際に使用することのできる界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)を挙げることができる。
(凝集剤)
本発明では、水系媒体中で調製した樹脂粒子の分散液から、樹脂粒子を凝集、凝集、融着する工程において、金属塩を凝集剤として好ましく用いることができ、2価または3価の金属塩を凝集剤として用いることが更に好ましい。
これら金属塩の具体的な例を以下に示す。
1価の金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、2価の金属塩としては、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられ、3価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等を挙げることができる。
これらの凝集剤は臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こるときの凝集剤の添加濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著 高分子化学17,601(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
(自己分散型カーボンブラック)
本発明のトナーに用いる着色剤粒子のカーボンブラックには、自己分散性を有する自己分散型カーボンブラックを用いることができる。
本発明における着色剤粒子の「自己分散性」とは、20℃の水に対して10〜20wt%の着色剤粒子を単独で分散させてなる分散液を撹拌なしで放置しても、着色剤粒子が分散安定性の欠如から凝集したり、その結果沈降を生じたりすることなく、水媒体中に浮遊分散し得る性質をいう。
なお、トナーに使用される着色剤粒子の平均粒径は一般に1.0μm未満であり、撹拌なしである時間経過しても平均粒径の値が1.0μm以内であれば、「自己分散性」を有するものとする。粒径値を維持する時間は着色剤粒子の保存安定性の観点から、好ましくは48時間以上であり、特に72〜120時間であることが好ましい。この時間が短すぎると樹脂粒子と着色剤粒子との凝集が有効に達成されず、トナー粒子を製造できない。一方、時間が長すぎることは本発明の効果を得る上で問題はないが、着色剤粒子の処理に長時間を要することになるため、製造コストの観点から好ましくない。例えば、通常のカーボンブラックを界面活性剤で分散させた分散液の粒径値保持時間は30分程度であり、非常に凝集し易い。
なお、粒径測定にはマイクロトラックUPA(日機装社製)を使用した。
本発明においては、カーボンブラック表面に親水基を化学的に導入した自己分散型カーボンブラックを用いることが好ましい。市販品としては、キャボット社製のCab-O-Jet200やCab-O-Jet300を用いることができる。自己分散型カーボンブラックは、分散剤の単なる物理的吸着によって分散が達成する従来の方法と比較して、長期的な分散安定性が顕著に優れる。
親水基は表面に導入されることによってカーボンブラックに自己分散性を発現させ得る基である限り特に制限されるものではない。例えば、−O-L1 +、−N+R1R2R3X-、−COO-M1 +、−SO3 -M2 +、−(CH2CH2O)mR4、−Y1O-L2 +、−Y2COO-M3 +、−Y3SO3 -M4 +、−Y4(CH2CH2O)R5、キノン骨格含有基およびラクトン基からなる群から選択される少なくとも1種類の有機基を挙げることができる。
上記有機基において、
L1 +およびL2 +はH+、Na+又はK+を表す;
R1、R2およびR3はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を表す;アルキル基は炭素数1〜4、好ましくは1〜3のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。;アラルキル基は炭素数7〜10、好ましくは7〜9のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基等を挙げることができる。;アリール基は炭素数6〜18、好ましくは6〜12のアリール基であり、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
XはBr、Cl、I、R6COO又はR6SO3 を表す;なお、R6はアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す;アルキル基は炭素数1〜6、好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。;アラルキル基は炭素数7〜10、好ましくは7〜9のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基等を挙げることができる。;アリール基は炭素数6〜18、好ましくは6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。;
M1 +、M2 +、M3 +およびM4 +はH+、Na+、K+又は−NHR7R8を表す;なお、R7およびR8はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を表す;アルキル基、アラルキル基およびアリール基はR1、R2およびR3においてと同様である;
mおよびnは1以上、好ましくは1〜10の整数を表す;
R4およびR5は水素原子、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を表す;アルキル基、アラルキル基およびアリール基はR1、R2およびR3においてと同様である;
Y1、Y2、Y3およびY4はアルキレン基、アラルキレン基又はアリーレン基を表す;アルキレン基は炭素数1〜4、好ましくは1〜3のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等を挙げることができる。;アラルキレン基は炭素数7〜10、好ましくは7〜9のアラルキレン基であり、例えば、
Figure 2005091813
等を挙げることができる。;アリーレン基は炭素数6〜18、好ましくは6〜12のアリーレン基であり、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等を挙げることができる。
−O-L1 +の好ましい具体例として、例えばヒドロキシル基、−O-Na+等を挙げることができる。
−N+R1R2R3X-の好ましい具体例として、例えば−N+H3Cl-、−N+(CH3)3Cl-等を挙げることができる。
−COO-M1 +の好ましい具体例として、例えば−COOH、−COO-Na+等を挙げることができる。
−SO3 -M2 +の好ましい具体例として、例えば−SO3H、−SO3 -Na+等を挙げることができる。
−(CH2CH2O)mR4の好ましい具体例として、例えば、−(CH2CH2O)−H、−(CH2CH2O)2−H等を挙げることができる。
−Y1O-L2 +の好ましい具体例として、例えば、−C6H4OH、−C6H4O-Na+等を挙げることができる。
−Y2COO-M3 +の好ましい具体例として、例えば、−C6H4COOH、−C6H4COO-Na+等を挙げることができる。
−Y3SO3 -M4 +の好ましい具体例として、例えば、−C6H4SO3H、−C6H4SO3 -Na+等を挙げることができる。
−Y4(CH2CH2O)R5の好ましい具体例として、例えば、−C6H4(CH2CH2O)−H、−C6H4(CH2CH2O)2−H等を挙げることができる。
キノン骨格含有基はp−ベンゾキノン、o−ベンゾキノン、1,4‐ナフトキノン等のキノン骨格を含有する基であり、好ましい具体例として、例えば、
Figure 2005091813
等を挙げることができる。
ラクトン基は環を形成する−COO−基であり、好ましい具体例として、例えば
Figure 2005091813
等を挙げることができる。
親水基は、上記した基のうち、導入処理の容易性、製造コストの観点から好ましくは−O-L1 +、−COO-M1 +、−SO3 -M2 +、−Y1O-L2 +、−Y2COO-M3 +及び−Y3SO3 -M4 +からなる群、特に−O-L1 +、−COO-M1 +、−SO3 -M2 +、−Y2COO-M3 +及び−Y3SO3 -M4 +からなる群から選択される少なくとも1種類の基である。
親水基の化学的導入は、親水基を含有する化合物とカーボンブラック表面とを化学的に結合させることによって達成されてもよいし、または顔料の表面自体を酸化させて親水基を生成させることによって達成されてもよい。
導入方法としては上記のような化学的導入が達成される得る限り特に制限されるものではなく、例えば、特表2000−513396号公報、特開平10−120958号公報、特表2000−512670号公報、特開平7−41689号公報、特開2002−265833号公報、特表2001−511543号公報に記載の方法が利用可能である。本発明においては、導入処理の容易性、製造コスト、製造安定性の観点から、ジアゾ化反応法、表面酸化法等を利用することが好ましい。
ジアゾ化反応法を利用する場合、親水基または該基を誘導し得る基(以下、親水基等という)およびアミノ基を有する化合物を塩酸中、亜硝酸ナトリウム水溶液と反応させることにより、親水基等を含有するジアゾニウム塩を発生させ、該ジアゾニウム塩を顔料と反応させる。詳しくは、例えば、特表2000−513396号公報等に記載の方法に準じて親水基を導入する。具体的には、例えば、カーボンブラックをスルファニル酸と混合し、該混合物を加熱しながら亜硝酸ナトリウム水溶液を添加し、該混合溶液に塩化水素酸を添加すると、−C6H4S03 Na基が導入されたカーボンブラックが得られる。このとき、スルファニル酸の代わりに4−アミノ安息香酸を使用すると、−C6H4COONa基が導入された顔料が得られる。
表面酸化法を利用する場合、オゾン、硝酸、亜硝酸、次亜塩素酸、次亜塩素酸ソーダ、次亜塩素酸カリウム等を用いて顔料の表面を酸化する。詳しくは、例えば、特開平10−120958号公報等に記載の方法に準じて親水基を導入する。具体的には、例えば、顔料をそのまま水に分散させた分散液に次亜塩素酸ソーダを滴下し、加熱しながら撹拌を継続すると、表面自体が酸化されて親水基が生成した顔料が得られる。
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤には、公知のアミノ酸型両性界面活性剤やベタイン型両性界面活性剤が使用可能であるが、系中のpHに左右されず水溶性を有し、扱いが比較的容易であるベタイン型界面活性を用いることが好ましい。これに分類される両性界面活性剤としては、一例として、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどを挙げることができる。これらは以下の市販品として供給されている。
花王社製アンヒトール20BS、24B、86B、20AB、55AB、20HDなどを用いることが可能である。
両性界面活性剤を自己分散型カーボンブラックと予め水系中で攪拌混合して添加しても良く、又は凝集反応の時に添加しても良い。両性界面活性剤のカチオン性基とカーボンブラック表面のアニオン性基とが静電的に結合することにより、カーボンブラックの表面に両性界面活性剤が吸着する。これにより、カーボンブラックは、その表面を、両性界面活性剤のアルキル基(疎水基)とアニオン基(親水基)により被覆された構造を有することとなる。この結果、適切なHLB(親水親油バランス)を有する両性界面活性剤を選択することにより、カーボンブラックの分散安定性を制御することが可能となる。なお、必要により、他のアニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤を併用することもできる。
(離型剤)
本発明のトナーを構成するトナー粒子中には、離型剤が含有されていてもよい。ワックスをトナーに含有させる方法としては、ワックスの乳化分散液を凝集工程で樹脂粒子と一緒に集める方法やワックス乳化液に樹脂をシード重合させたものを用いる方法、あるいは単量体中にワックスを溶解させて水系中に乳化分散させてミニエマルジョン重合させたものを用いるなどの方法を例示することができる。更にワックスは樹脂Aを凝集させる工程で同時に凝集(即ちコア部含有)させてもよく、樹脂Bを母粒子に付着させる工程(シェル化工程)で同時にシェル化させてもよい。ワックス分散体を製造する方法は、例えば1995年3月高分子学会発行の反応工学研究界レポート−1『乳化・分散技術と高分子微粒子の粒子径制御 第三章』に記載のように、乳化・分散機器等を用いた従来公知のいずれかの方法を用いることができる。
また、このワックス分散体あるいは樹脂で被覆されたワックス分散体は1μm以下の分散粒径を有することが好ましく、より好ましくは100〜500nmの範囲である。
ここに、離型剤としては、種々の公知のもので、かつ水中に分散することができるものを例示することができる。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス、これらオレフィン系ワックスの変性物、カルナウバワックスやライスワックス等の天然ワックス、脂肪酸ビスアミドなどのアミド系ワックスなどを挙げることができる。
本発明のトナーを構成する好適な離型剤として、下記一般式(1)で示される結晶性のエステル化合物(以下、「特定のエステル化合物」という。)からなるものを挙げることができる。
一般式(1):R−(OCO−R)n
(式中、R およびR は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは1〜4の整数である。)
特定のエステル化合物を示す一般式(1)において、RおよびR は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。炭化水素基R の炭素数は1〜40とされ、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜5とされる。炭化水素基Rの炭素数は1〜40とされ、好ましくは16〜30、更に好ましくは18〜26とされる。また、一般式(1)において、nは1〜4の整数とされ、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4とされる。特定のエステル化合物は、アルコールとカルボン酸との脱水縮合反応により好適に合成することができる。
特定のエステル化合物の具体例としては、特開2002−116574号公報に例示された式1)〜22)に示す化合物を用いることができる。
これらのワックスの中で定着性を改善するためにより好ましいのは、融点が100℃以下のワックスであり、更に好ましいワックスの融点は40〜100℃の範囲、特に好ましいのは60〜90℃の範囲である。融点が100℃を越えると定着温度低減の効果が乏しくなる。本発明で用いるワックス微粒子あるいは樹脂で被覆された複合粒子は、上記ワックスを前述のカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤の中から選ばれる少なくとも一種の乳化剤の存在下で乳化して得られる。これらの界面活性剤は二種以上を併用してもよい。この中で特にアニオン系界面活性剤を主として用いることが好ましい。
(荷電制御剤)
帯電制御剤としては、公知の任意のものを単独ないしは併用して用いることができる。カラートナー適応性(帯電制御剤自体が無色ないしは淡色でトナーへの色調障害がないこと)を勘案すると、正荷電性としては四級アンモニウム塩化合物が、負荷電性としてはサリチル酸もしくはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等との金属塩、金属錯体や、ベンジル酸の金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、フェノールアミド化合物等が好ましい。例えばこれらの帯電制御剤を乳化剤等を用いて乳化分散液とし、上記の着色剤やワックスと同様の手法でトナー中に含有させることができる。乳化剤(界面活性剤)としては、例えば上記のようなものが用いられる。これらの中でアニオン系及び/又はノニオン系界面活性剤が好ましい。これらを用いた場合、帯電制御剤が付着しやすく、得られるトナーの帯電性及び帯電安定性が良好となる。
(外添剤)
さらに、本発明のトナーは、流動性調整剤として各種有機/無機微粒子を添加することが好ましい。無機の微粒子としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化カルシウム、ダイヤモンドカーボンラクタム等の各種炭化物、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム等の各種窒化物、ホウ化ジルコニウム等のホウ化物、酸化物、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、シリカ、コロイダルシリカ等の各種酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等の各種チタン酸化合物、二硫化モリブデン等の硫化物、フッ化マグネシウム、フッ化炭素等のフッ化物、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の各種金属石鹸、滑石、ベントナイト等の各種非磁性無機微粒子を単独あるいは組み合わせで用いることができる。特にシリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛等の無機微粒子においては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニス等の従来から使用されている疎水化処理剤、さらにはフッ素系シランカップリング剤、またはフッ素系シリコーンオイル、さらにアミノ基や第4級アンモニウム塩基を有するカップリング剤、変性シリコーンオイル等の処理剤で公知の方法で表面処理されていることが好ましい
<トナー粒子の概要>
(トナー粒径)
本発明のトナーの粒径は、好ましくは体積平均粒径で3〜9μm、更に好ましくは3〜7μmである。この粒径は、後に詳述するトナーの製造方法において、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制御することができる。
トナーの体積平均粒径はコールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)で測定されるものである。本発明においては、コールターマルチサイザーIIを用い、粒度分布を出力するインターフェース(ベックマンコールター製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーIIにおけるアパーチャーとしては50μmのものを用いて、0.99μm以上(例えば2〜40μm)のトナーの体積分布を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。
(測定条件)
(1)アパーチャー:50μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON−II−pc(ベックマンコールター社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
(トナー形状)
本発明のトナー粒子の形状としては、平均円形度(下記式で示される円形度の平均値)が0.930〜0.990であることが好ましく、更に好ましくは0.950〜0.980とされる。
円形度=(円相当径から求めた円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
この範囲よりも円形度が高い場合、感光体や転写ベルトなどのプロセスにおけるクリーニング性が著しく悪化し好ましくなく、この範囲よりも円形度が低い場合はトナーがいびつな形状となり現像の規制部での耐ストレス性が著しく悪化する。
また、円形度の分布がシャープであることが好ましく、円形度の標準偏差は0.10以下であることが好ましく、下記式で算出されるCV値は20%未満であることが好ましく、さらに好ましくは10%未満である。
CV値=(円形度の標準偏差/平均円形度)×100
円形度の標準偏差を0.10以下とすることで、形状が揃ったトナーとすることができ、トナー間での規制部での耐ストレス性やクリーニング性の差を少なくすることができる。また、CV値を20%未満とすることで、同様にシャープな形状分布とすることができ、上記の効果をより顕著に発揮することができる。平均円形度の測定方法は限定されるものではないが、例えばトナー粒子を電子顕微鏡で500倍に拡大した写真を撮影し、画像解析装置を使用し、500個以上のトナーについて円形度を測定し、その算術平均値を求めることで、平均円形度を算出することができる。また、簡便な測定方法としては、「FPIA−1000」(東亜医用電子株式会社製)により測定することができる。
(トナーの熱特性)
本発明のトナーは軟化点が70〜150℃、より好ましくは80〜130℃、更に好ましくは85〜120の範囲であることが好ましい。この範囲より低い軟化点の場合は保存性や連続通紙中の定着直後のタッキング性が著しく悪化するため好ましくない。また、この範囲よりも高い軟化点の場合は定着温度が高くなりすぎるため好ましくない。
(樹脂/トナーの軟化点(Tm)の測定法)
フローテスター(CFT−500:島津製作所社製)を用い、測定する試料1.0gを秤量し、h1.0mm×φ1.0mmのダイを使用し、昇温速度3.0℃/min、予熱時間180秒、荷重30kg、測定温度範囲60〜140℃の条件で測定を行い、上記の試料が1/2流出したときの温度を試料の軟化点(Tm)とした。
<トナー製造例>
以下に本発明のトナー製造方法について説明する。
本発明の製造プロセスは、予め水系分散媒に分散された樹脂粒子と他のトナー構成材料を凝集することでトナーを製造する。さらに具体的には、樹脂粒子を凝集/融着させて着色トナー粒子を形成する工程より製造する。
本発明の製造方法の一例としては、
(1)樹脂粒子の分散体(ポリマーラテックス)を製造・調製する工程
(2)樹脂粒子と他のトナー構成材料粒子とを水系媒体中で
凝集/融着させてトナー粒子を得る凝集または凝集・融着工程
(3)トナー粒子の分散系(水系媒体)から当該トナー粒子を濾別し、
当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
(4)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程
(5)乾燥して得られた粒子に外添剤を添加・処理する工程
から構成される。以下、各工程について説明する。
(1)樹脂粒子を調製するための重合工程
重合工程は、従来公知の乳化重合法によって行われることにより、均一でかつ小径である粒子径の樹脂粒子を得ることができる。重合法の一例としては、ラジカル重合開始剤を水性媒体(界面活性剤の水溶液)中に溶解させて加熱し、所定の温度(重合温度)になった時点でラジカル重合性単量体(単量体混合物)を添加し、通常、窒素雰囲気下において、この系を攪拌しながら加熱する。ここに、単量体混合物中には、酸性基を有するラジカル重合性単量体および塩基性基を有するラジカル重合性単量体の少なくとも1種が0.1〜20質量%の割合で含有されていることが好ましい。重合温度および重合時間は、重合反応が起こる範囲で適宜設定することができる。樹脂粒子(A)の分子量は、重合開始剤の量や反応温度、さらには連鎖移動剤の添加により調整することができる。樹脂の分子量を調節するために連鎖移動剤を使用する場合には、当該連鎖移動剤をラジカル重合性単量体と混合して添加することが好ましい。このようにして得られる樹脂粒子の粒子径は、重量平均粒径で50〜500nmの範囲にあることが好ましい。
2山以上の分子量分布を有する樹脂粒子を製造する好適な方法としては、乳化重合法等の常法に従って樹脂粒子を調製し、当該樹脂粒子の分散系液にラジカル重合性単量体を追加して添加し、重合を行うことで多層化(複合化)する方法を挙げることができる。
いずれにしても、樹脂微粒子の重量平均分子量は5,000〜100,000、特に8,000〜50,000であることが望ましい。
また、この重合工程においては、重合反応を多段階的に分けて行うことにより形成される異なる分子量分布を有する樹脂によって構成され、その粒子の表層に向かって分子量勾配が形成されてなる多層構造の複合樹脂微粒子を得るための、いわゆる多段重合法を用いることが好ましい。
ここで、多段重合法について以下に説明する。
多段重合法を用いる場合、本発明のトナーの製造方法は、以下に示す工程より構成されることが好ましい。
多段重合工程とは、オフセット発生防止したトナーを得るべく樹脂粒子の分子量分布を拡大させるために行う重合方法である。すなわち、1つの樹脂粒子において異なる分子量分布を有する相を形成するために重合反応を多段階に分けて行うものであって、得られた樹脂粒子がその粒子の中心より表層に向かって分子量勾配を形成させる様に意図して行うものである。例えば、はじめに高分子量の樹脂粒子分散液を得た後、新たに単量体と連鎖移動剤を加えることによって低分子量の表層を形成する方法が採られている。本発明においては、製造の安定性および得られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。以下に、多段重合法の代表例である二段重合法および三段重合法について説明する。この様な多段階重合反応によって得られたトナーでは破砕強度の観点から表層程低分子量のものが好ましい。
三段重合法によって得られるトナー粒子によって構成されるトナーにおいては、離型剤を中間分子量樹脂よりなる中間層のみに含有させることにより、離型剤を微細かつ均一に分散することができると共に、最終的に得られるトナーには非磁性一成分現像剤として好適に用いることのできる十分な耐久性が得られる。更に三段重合法を具体的に説明すると、先ず、常法に従った重合処理(第1段重合)により得られた樹脂粒子(H)の分散液を、水系媒体(界面活性剤の水溶液)に添加すると共に、当該水系媒体中に、離型剤を重合性単量体(M)に溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(第2段重合)することにより、当該樹脂粒子(H)(核粒子)の表面に、離型剤を含有する樹脂(重合性単量体(M)の重合体)からなる被覆層(M)(中間層)を形成してなる複合樹脂粒子〔高分子量樹脂(H)−中間分子量樹脂(M)〕の分散液を調製する。次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と、低分子量樹脂を得るための重合性単量体(L)とを添加し、当該複合樹脂粒子の存在下に重合性単量体(L)を重合処理(第3段重合)することにより、当該複合樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(重合性単量体(L)の重合体)からなる被覆層(L)を形成する。このようにして、高分子量樹脂から形成される中心部(核)と、離型剤を含有する中間層と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造することができる。
この多段階重合において、カルボキシル基含有単量体と水酸基含有単量体を複合樹脂粒子に導入する場合、水酸基含有単量体は複合樹脂粒子の最外層に導入することが好ましい。水酸基はカルボキシル基に比べ吸湿性が低いので、周囲大気と接触する最外層に水酸基含有単量体を導入することによりトナーの吸湿性を低下させる効果が期待できるからである。例えば、コア層、中間層、そして外層の3層構造から成る複合樹脂粒子の場合、カルボキシル基含有単量体をコア層、中間層及び外層の少なくとも1層に導入し、水酸基含有単量体は外層にのみ導入することが好ましい。
重量平均分子量は、THF(テトラヒドロフラン)を溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)において以下の方法により測定された値を用いている。しかし、以下の方法によって測定されなければならないというわけではなく、以下の方法と同様の原理・原則に従って測定可能な方法であれば、いかなる方法によって測定されても良い。
GPCによる樹脂の分子量の測定方法としては、測定試料0.5〜5.0mg(具体的には1mg)に対してTHFを1cc加え、室温にてマグネティックスターラなどを用いて攪拌を行い十分に溶解させる。次いで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルタで処理した後にGPCへ注入する。GPCの測定条件としては、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分0.35ccの流速で流し、1mg/ccの濃度の試料を約10μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、東ソー社製のTSK gel Super HZ1000、HZ2000、HZ2500、HZ3000、HZ4000、HZM-N、HZM-M、HZM-H、TSK guard column SuperHZ-L、HZ-Hの組み合わせなどを挙げることができる。また、検出器としては、屈折率検出器(RI検出器)またはUV検出器を用いることが好ましい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
(2)樹脂粒子と他のトナー構成材料粒子とを水系媒体中で凝集/融着させてトナー粒子を得る凝集または凝集・融着工程
この工程では、樹脂粒子と他のトナー構成材料粒子とを凝集によって凝集させる(または凝集と融着を同時に進行させる)工程である。凝集については例えばコロイドに関する文献・書籍や高分子刊行会発行、室井宗一著『高分子ラテックスの化学』第6章以降に詳細に記載されており、金属カチオンなどの電解質(凝集剤・凝集剤)によって溶媒中の分散粒子の電気2重層を圧縮させ、粒子を凝集させる工程である。
本発明で用いられる凝集剤としては、樹脂粒子の極性官能基の極性、樹脂分散液や着色粒子分散液に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤の他、2価以上の無機金属塩を好適に用いることができる。一般的に、価数が高いほど凝集力は増大するため、本工程における粒子の凝集スピードや製造プロセスの安定性を考慮して凝集剤は選択される。
本発明に用いられる凝集剤としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などを挙げることができる。
凝集剤を添加するに当って、一般的には系内での急激な凝集を抑制する観点から混合分散液の温度は40℃以下に保つことが好ましい。温度が40℃を越える条件で電解質を添加すると急速な凝集が起こり、粒径制御が困難となったり、得られた粒子のかさ密度が低く問題となる場合がある。更にその後、加熱して凝集粒子を生成させる。撹拌は通常の公知の撹拌装置、例えばパドル翼、イカリ翼、三枚後退翼、マックスブレンド翼、ダブルヘリカル等を有する反応槽で行っても良いし、ホモジナイザー、ホモミキサー、ヘンシェルミキサー、等を用いることもできる。攪拌の回転数は、系が乱流状態となるように設定されることが好ましい。
本工程でトナー粒子として凝集させる構成成分としては、樹脂の他に着色剤やワックス、荷電制御剤等を挙げることができる。
凝集反応による粒径成長は、実質的にトナー粒子の大きさの粒子が得られるまで行われるが、分散液のpHと温度を調節することにより、比較的容易に制御することが可能である。pHの値は反応系のゼータ電位や等電点、また使用する凝集剤の種類・量、乳化剤の種類・量、目標とするトナーの粒径によって変わるため一義的には定義できないが、例えばアルミニウム系凝集剤を用いる場合、凝集作用を効果的に発現させるpHは2〜6であり、マグネシウム系凝集剤の場合はpH7〜12である。
反応温度についてもpHと同様、一義的に定義することはできないが、40〜95℃の範囲で粒径成長が制御できる条件であることが好ましい。この範囲よりも高い温度では、凝集と融着の同時進行により形状がほぼ真球状となりやすく形状制御性に欠ける為好ましくない。反応は、所定の温度で少なくとも10分以上保持し、より好ましくは20分以上保持することにより所望の粒径のトナー粒子とする。反応温度が樹脂のTgよりも低ければ粒子は凝集するだけで融着は進まず、Tgよりも高ければ粒子の凝集と融着は同時進行する。本工程で融着が進まない場合は、本工程の最後で昇温させることにより融着させる。
また、本工程では、所定の温度までは一定速度で昇温してもよいし、段階的に昇温しても良い。系の攪拌翼の回転数を適宜調節してもよい。
また粒子の凝集速度や粒径制御については所望の粒径に到達するまで系内の粒子の凝集状態を顕微鏡や粒径測定器などでモニターしながら、反応温度や攪拌回転数を操作することで行う。そして所望の粒径に到達したときに、系の粒径成長を停止あるいは成長速度を遅くするために凝集力を低下させる操作を行ってもよい。
系の凝集力を低下させる手段としては、粒子の安定性を増加させる手段や凝集剤の凝集作用を低下させる手段を用いることができ、例えば粒子の安定性を増加させる手段としては系のpHを安定側に調整する(例えば酸性下で凝集させる場合は中性からアルカリ性側に、アルカリ性下で凝集させる場合は中性から酸性側に調整する)方法や上述の界面活性剤を添加するなどの方法が用いられる。また凝集剤の凝集作用を低下させる手段としては価数の異なる金属カチオンを加え、拮抗作用により凝集力を著しく低下させることができる。凝集力を低下させた後に昇温し、融着を促進し形状を球形側に制御することが可能である。粒子の形状については上述の形状測定装置FPIA−2000により随時モニターすることができる。以上のようにして得られるトナー粒子の形状(好ましくは平均円形度=0.930〜0.980)は、この凝集/融着工程の熟成処理段階における加熱条件を調整することで制御することができる。
(3)トナー粒子の分散系(水系媒体)から当該トナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や凝集剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法などの特に限定されるものではない。
濾別されたトナーを洗浄する手段は従来公知の洗浄方法が用いられ、濾別されたトナーを攪拌装置を具備した容器中で純水でリスラリー化・攪拌するなどの方法や、減圧濾過や遠心分離濾過中に純水をかける等の方法が用いられる。また、このときにトナー中に残存する界面活性剤や金属塩類を溶出/除去するために純水で洗浄する前に予め酸性またはアルカリ性の処理を施してもよい。
(4)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理する工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。
なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(5)乾燥して得られた粒子に外添剤を添加・処理する工程
この工程は、乾燥処理されたトナー粒子に単独あるいは複数種の外添剤を添加する工程である。外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。また、この外添処理の工程において複数種の外添剤を添加する場合は、1度に全ての添加剤を混合処理しても構わないし、分割して混合処理してもよい。
更に得られた粒子を目開きが30〜200μm程度のフルイによって粗大粒子を除去することが望ましい。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1)
《着色剤分散液の調製》
(着色剤分散液K1)
自己分散型カーボンブラックCab-O-Jet300(固形分濃度15wt%)1kgに、両性界面活性剤アンヒトール24B(花王社製;有効成分26%)115gを加え、ウルトラターラックスで1時間予備混合を行い、着色剤分散液K1(固形分濃度13.5%)を得た。
(着色剤分散液K2)
以下の方法でスルホン酸塩結合型自己分散カーボンブラック分散液を得た。
カーボンブラック「リーガル330」100gとスルファニル酸20gを混合し、この混合物を70℃のウォーターバス中のビーカーに入れた。371.6gの蒸留水中に溶解した8.4gの亜硝酸ナトリウムからからなる溶液を急速に混合しながらビーカーに加え、顔料入りのスラリーを形成させた。この溶液に塩化水素酸を加え、スラリーのpHを2に調整し、マグネットスターラーにより1時間、70℃保持の状態で急速に混合し、その後70℃の乾燥器内で乾燥させた。得られた材料は乾燥したベンゼンスルホン酸ナトリウム基を有する改質された着色顔料であった。得られた試料をソックスレー抽出器中においてメタノールを用いて10時間抽出し、あらゆる反応性生物を除去し、そして再乾燥した。この表面改質顔料150gにイオン交換水850gとアンヒトール24B115gを加え、攪拌させることにより着色剤分散液2を得た。
(着色剤分散液K3)
界面活性剤をアンヒトール86Bに変えた以外は、着色剤分散液K1の場合と同様の方法を用いて着色剤分散液K3を得た。
(着色剤分散液K4)
アンヒトール24B 115g、イオン交換水850gを攪拌溶解し、この溶液中に攪拌しながらカーボンブラック「リーガル330」150gを徐々に加え、次いで乳化機「クレアミックス」(エムテクニック社製)により高速せん断攪拌処理することにより着色剤分散液K4を得た。
(着色剤分散液K5)
界面活性剤をSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)30gに変更した以外は、着色剤分散液K1の場合と同様の方法を用いて着色剤分散液K5を得た。
(着色剤分散液K6)
界面活性剤をポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホン酸ナトリウム30gに変更した以外は、着色剤分散液K1の場合と同様の方法を用いて着色剤分散液K6を得た。
《ラテックスの調製》
(ラテックス1HMLの調整)
(分散媒1)
ドデシル硫酸ナトリウム 4.05g
イオン交換水 2500.00g
(1)核粒子の調整(第一段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、上記分散媒1を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、フラスコ内の温度を80℃に昇温させた。
(単量体溶液1)
スチレン 568.00g
n−ブチルアクリレート 164.00g
メタクリル酸 68.00g
n−オクチルメルカプタン 16.51g
この活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム)9.62gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、上記の単量体溶液を90分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第一段重合)を行い、ラテックスを調製した。これを「ラテックス(1H)」とする。ラテックス(1H)の重量平均粒径は68nmであった。
(2)中間層の形成(第二段重合)
(単量体溶液2)
スチレン 123.81g
n−ブチルアクリレート 39.51g
メタクリル酸 12.29g
n−オクチルメルカプタン 0.72g
WEP−5 93.80g
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、上記の単量体溶液2を仕込み、80℃に加熱し溶解させて単量体溶液を調整した。
(分散媒2)
1021(OCHCHOSONa 0.60g
イオン交換水 2700.00g
一方、上記分散媒2を98℃に加熱し、この分散媒に、核粒子の分散媒である前記ラテックス(1H)を固形分換算で32g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)により、単量体溶液2を8時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調整した。
次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(過硫酸カリウム)6.12gをイオン交換水250mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて12時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第二段重合)を行い、ラテックス(ラテックス(1H)粒子の表面が被膜された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「ラテックス(1HM)」をする。
(3)外層の形成(第三段重合)
上記の様にして得られたラテックス(1HM)に、重合開始剤(KPS)8.8gをイオン交換水350mlに溶解させた開始剤溶液を添加した。次いで82℃の温度条件下で、以下の表1の単量体溶液3−1にn−オクチルメルカプタンを1.0モル%加え均一に攪拌したものを、一時間かけてラテックス(1HM)に滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第三段重合)を行った後、28℃まで冷却しラテックス(ラテックス(1H)からなる中心部と、第二段重合樹脂からなる中間層と、第三段重合樹脂からなる外層とを有し、前記第二段重合樹脂層にWEP−5が含有されている複合樹脂の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(1HML)」とする。ここで、単量体溶液3−1中の水酸基含有単量体には、メタクリル酸ヒドロキシエチルを用いた。
第三段重合に用いた単量体溶液の組成を以下の表1に示す。
Figure 2005091813
《着色粒子の調整》
ラテックス(1HML)を250.0g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、着色剤分散液K1 150gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10.0に調製した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物65.0gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に92℃まで昇温し、会合粒子の生成を行った。その状態で、「コールターカウンター TA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、個数平均粒径が6.1μmになった時点で、塩化ナトリウム80.4gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に熟成処理として液温度94℃にて加熱攪拌することにより、粒子の融着及び結晶性物質の相分離を継続させた(熟成工程)。その状態で、「FPIA−2000」にて会合粒子の形状を測定し、形状係数が0.960になった時点で30℃まで冷却し、攪拌を停止した。生成した会合粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄を行い、その後、40℃の温風で乾燥することにより、着色粒子1を得た。
《トナーの製造例》
疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1.0質量%となる割合で添加するとともに、疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)を1.2質量%となる割合でそれぞれ添加し、ヘンシェルミキサーにより混合することにより、トナー1を製造した。なお、この着色粒子について、疎水性シリカおよび疎水性酸化チタンの添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
(実施例2)
第三段重合において、単量体溶液3−1に代えて単量体溶液3−2を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(実施例3)
第三段重合において、単量体溶液3−1に代えて単量体溶液3−3を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(実施例4)
第三段重合において、単量体溶液3−1に代えて単量体溶液3−4を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(実施例5)
着色剤分散液K1に代えて着色剤分散液K2を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(実施例6)
着色剤分散液K1に代えて着色剤分散液K3を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(比較例1)
第三段重合において、単量体溶液3−1に代えて単量体溶液3−5を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(比較例2)
第三段重合において、単量体溶液3−1に代えて単量体溶液3−6を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(比較例3)
第三段重合において、単量体溶液3−1に代えて単量体溶液3−7を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(比較例4)
着色剤分散液K1に代えて着色剤分散液K4を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(比較例5)
着色剤分散液K1に代えて着色剤分散液K5を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(比較例6)
着色剤分散液K1に代えて着色剤分散液K6を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
《トナーの評価》
<酸価>
(酸価の測定方法)
10mgの試料をトルエン50mlに溶解し、0.1μmのメンブランフィルターで着色剤を除去する。0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用いて、予め標定されたN/10水酸化カリウム/アルコール溶液で滴定し、N/10水酸化カリウム/アルコール溶液の消費量から算出した値である。
(水酸基価の測定方法)
水酸基価は、秤量された試料を無水酢酸で処理し、得られたアセチル化合物を加水分解し、遊離する酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムmgで表した。
(吸湿性評価)
試料を予め真空乾燥器にて24時間乾燥後、高温高湿(HH)環境(30℃/80%)に24時間調湿した後、カールフィッシャー水分計にて水分量を測定した。
(画像濃度評価)
評価マシンは、magicolor 2300 DL(ミノルタキューエムエス社製)の定着器を介さず印字画像を出力できるように改造した改造機を用い、以下の評価を行った。
パソコンに接続された上記マシンを用い、帯状の未定着の黒画像を段階的に濃度を振ってCF80ペーパ(ミノルタ社製)に出力する。得られた黒画像の一部を吸引除去し、除去した面積と、除去したトナー量から各画像の付着量を算出する。この画像を、magicolor 2300 DLの定着器部分のみで構成された定着テスター(設定温度180℃)に通紙し、得られた定着画像の画像濃度を濃度計(マクベス社製)にて測定する。各付着量の画像濃度から4.5g/mの画像濃度を算出した。
(実機による耐久試験(帯電性評価))
帯電性は以下のように評価した。
◎:画像濃度が1.4以上である。
○:画像濃度が1.3以上である。
×:画像濃度が1.3未満である。
実施例及び比較例で製造したトナーについての評価結果を以下の表2にまとめた。
Figure 2005091813
(結果)
表2の結果から明らかなように、酸価が10mg・KOH/g以下、かつ水酸基価が10mg・KOH/g以上である樹脂粒子と、自己分散型カーボンブラックを用いた本発明のトナーは、高温高湿環境での吸湿性が1.0%で、かつ高い画像濃度を有していた。さらに、実機試験においても優れた帯電性を有しており実用上問題はなかった。一方、水酸基含有単量体を含まない場合、吸湿性が悪化した(比較例1)。また、カルボン酸基含有単量体を含まない場合、吸湿性を低くすることはできるが、画像濃度が低下した(比較例2)。また、自己分散型カーボンブラックを用いない場合(比較例4)や、両性界面活性剤を用いない場合(比較例5,6)、画質濃度が劣っていた。


Claims (9)

  1. 酸価が10mg・KOH/g以下、かつ水酸基価が10mg・KOH/g以上である樹脂粒子と、表面に化学的に結合した極性基を有する自己分散型カーボンブラックから成る着色剤粒子とを水系媒体中で凝集及び融着して成るトナー。
  2. 上記樹脂粒子が、水酸基含有単量体を構成成分として含む請求項1記載のトナー。
  3. 上記樹脂粒子が、酸性単量体を構成成分として含む請求項2記載のトナー。
  4. 上記トナー粒子の体積平均粒径が3〜9μmであって、上記トナーの紙上への付着量が4.5g/mの時、画像濃度が1.3以上である請求項1から3のいずれか一つに記載のトナー。
  5. 上記樹脂粒子が、コア層と、該コア層を覆う1層以上の被覆層とから成り、少なくとも該被覆層の最外層を構成する樹脂が上記の酸価及び水酸基価を有する請求項1から4のいずれか一つに記載のトナー。
  6. 酸価が10mg・KOH/g以下、かつ水酸基価が10mg・KOH/g以上である樹脂粒子と、表面に化学的に結合した極性基を有する自己分散型カーボンブラックを両性界面活性剤で分散して成る着色剤粒子とを水系媒体中で凝集及び融着するトナーの製造方法。
  7. 上記樹脂粒子が、水酸基含有単量体を構成成分として含む請求項6記載の製造方法。
  8. 上記樹脂粒子が、酸性単量体を構成成分として含む請求項7記載のトナー。
  9. 上記両性界面活性剤にベタイン型両性界面活性剤を用いる請求項6から8のいずれか一つに記載の製造方法。

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