JP2005091499A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 2成分現像剤による高画質と高耐久性ドラムによる長寿命を両立し、且つ構造が簡単であって保守が容易である画像形成装置の提供。
【解決手段】 導電性支持体上に感光層を有し、該感光層の表面は、ユニバーサル硬さ値が150N/mm2以上220N/mm2以下であり、且つ該感光層の弾性変形率が44%以上65%以下である電子写真感光体と、該感光体表面を帯電する帯電手段と、該感光体の帯電面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、外添剤を含むトナーとキャリアとからなる2成分現像剤によって静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、該トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、転写残トナーを感光体から除去するクリーニング手段とを有する画像形成装置において、上記外添剤のトナーからの遊離率が1個数%以上50個数%以下であり、且つ上記外添剤の一次粒子の平均粒径が0.07μm以上2.0μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は、2成分現像剤によって有機感光体上の静電潜像を現像する形式の電子写真画像形成装置に関する。より詳しくは電子写真感光体と、感光体を帯電する帯電手段と、感光体の帯電面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、現像剤担持体に担持させた2成分現像剤によって感光体上の静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、感光体のトナー像を感光体と被転写部材間に電界を作用させて被転写部材側に転写させる転写手段と、トナー像転写後の感光体面の残留トナー粒子を回収するクリーニング手段とを備えた画像形成装置に関する。
電子写真装置や静電記録装置等に用いられる画像形成方法において、電子写真感光体及び静電記録誘電体等の感光体上に潜像を形成する方法についても様々な方法が知られている。例えば、電子写真法では、感光体としての光導電性物質を利用した感光体上を所要の極性及び電位に一様に帯電処理した後に、画像パターン露光を施すことにより電気的潜像を形成し、トナーで現像して顕像化し、これを紙等の転写媒体に転写及び定着する方法が一般的である。従来この種の画像形成装置として、削れに強く高耐久な電子写真感光体を用いるものがある(例えば、特許文献1参照)。
電子写真方式の画像形成装置では、感光体を帯電させる際の帯電エネルギーによってNOx、SOx及びオゾン等々の種々の放電生成物が発生することが知られている。これらの放電生成物は、感光体上に付着し、感光体表面の滑り性を悪化させる。このとき、感光体(以下「感光ドラム」又は「ドラム」という場合がある)が高耐久であると、その表面がリフレッシュされにくく、又、ドラムが削れた場合にその発生粉による潤滑作用も期待しにくい。その中でトナー転写した後のドラム上の転写残トナーをブレードによりクリーニングする場合には、その感光体とクリーングに使われるクリーニングブレードとの摩擦が大きくなり、ビビリと呼ばれるブレードが振動する現象が生じて外添剤及びトナーが抜け易くなる。又、クリーニングブレードとドラム間に、トナー粒子や紙粉等の異物を挟み込んだりして一箇所に滞り易く、これが連れ回って感光体にキズを発生し易い。
こういった問題に対しては、クリーニングブレードに充分な潤滑性とトナー阻止能力を有するせき止め層を形成させる必要がある。そのために潤滑剤供給部材を設けたり、帯電部及び転写部等の部分に潤滑剤供給手段を兼ねさせる手段が提案されているが、省スペースや潤滑剤供給部品の交換等のメンテナンスの観点からはない方が望ましい。潤滑剤供給手段を帯電部及び転写部等の部分に兼ねさせる手段も提案されているが、その場合は潤滑剤供給を行わなくてはならない。これに対して現像剤に潤滑剤の供給を兼ねさせる手段であれば、現像剤供給時に自動的に潤滑剤の供給をしたことになるので、手間がかからない。その場合には充分に潤滑剤がクリーニングブレードに供給されるように、外添剤量をなるべく多くしてせき止め層を安定化させると良い。
特開2000−66425公報
ところが、1成分現像剤よりも現像剤としては高画質化が実現可能な2成分現像剤においては、トナー母体及びキヤリア以外の外添剤は、その外添量を多くすると、トナーとキヤリアの摩擦帯電が阻害され、且つ外添剤が蓄積し易く、1成分現像剤と比較すると外添できる量が少ない。このために転写残のトナー等のクリーニングブレードとドラム当接部分とに供給される外添剤の量が少なく、キヤリア、トナー及び紙粉等の異物をブレード部で挟み込み易く、ドラム傷となり易い。従って、2成分現像剤においては、外添量を多くせずとも効果的な外添剤のクリーニング補助効果を出す必要がある。
従って、本発明の目的は、2成分現像剤による高画質と高耐久性ドラムによる長寿命を両立し、且つ構造が簡単であって保守が容易である画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、
(1)導電性支持体上に感光層を有し、該感光層の表面は、温度25℃湿度50%の環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行い、最大6mNの荷重で押し込んだ時のHU(ユニバーサル硬さ値)が150N/mm2以上220N/mm2以下であり、且つ該感光層の弾性変形率が44%以上65%以下である電子写真感光体と、該感光体表面を帯電する帯電手段と、該感光体の帯電面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、外添剤を含むトナーとキャリアとからなる2成分現像剤によって静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、該トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、転写残トナーを感光体から除去するクリーニング手段とを有する画像形成装置において、上記外添剤のトナーからの遊離率が1個数%以上50個数%以下であり、且つ上記外添剤の一次粒子の平均粒径が0.07μm以上2.0μm以下であることを特徴とする画像形成装置を提供する。
又、本発明は、外添剤の遊離率が1.5個数%以上30個数%以下である上記(1)の画像形成装置(2)、クリーニング手段が、弾性を有するブレードを感光ドラムに押し当ててトナーをクリーニングする手段である上記(1)又は(2)の画像形成装置(3)、外添剤のトナーに対する外添量の割合が、0.2%以上3.1%以下である上記(1)〜(3)のいずれかの画像形成装置(4)、及び外添剤のトナーに対する外添量が0.3%以上2.6%以下である上記(1)〜(3)のいずれかの画像形成装置(5)を提供する。
本発明者らの鋭意検討の結果、表面が温度25℃湿度50%の環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行い、最大6mNの荷重で押し込んだ時のHU(ユニバーサル硬さ値)が150N/mm2以上220N/mm2以下であり、且つ弾性変形率が44%以上65%以下である電子写真感光体に対して、キヤリアを含む2成分現像剤にて潜像を現像し、現像されたトナーを紙等の媒体に転写し、感光体上の転写残トナーをクリーニングブレードにて清掃する画像形成装置では、2成分現像剤中の外添剤として、一次粒子の平均粒径が0.07μm以上2.0μm以下の粒子が含まれており、且つトナー母体からの外添剤の遊離率が1個数%以上50個数%以下であると、感光体の適度な弾性と硬度により非常に優れた高耐久性を発揮して、且つ感光体−クリーニングブレード間でトナーが潤滑剤として作用し易いことを見出した。
これは表面の削れにくい高耐久の感光体がクリーニングブレードと摺擦されると、ビビリと呼ばれるブレードが振動する現象が生じて外添剤及びトナーが抜け易くなるが、ここに感光体のゴム的な挙動が作用するとクリーニングブレードと感光体との間にトナー粒子や紙粉等の異物を挟み込んだりして一箇所に滞り易く、これが連れ回って感光体にキズを発生し易いが、一次粒子の平均粒径が0.07μm以上2.0μm以下の外添粒子が存在することで、トナー母体とせき止め層との引っかかりを良くして、トナー母体をせき止め易くし、且つトナーから遊離した外添剤のトータル量が多いことで、トナーと分離して安定且つ充分量の阻止層を形成するために、クリーニングブレードとドラムとの間にトナー粒子や紙粉等の異物が挟み込まれることが抑止されて、感光体にキズが発生しにくくなるためである。一次粒子の平均粒径が0.07μm以上2.0μm以下の粒子が存在しても遊離率が低いと阻止層を形成することが困難で、逆にトナーからの遊離率が高くても、一次粒子の平均粒径が0.07μm以上2.0μm以下の粒子が存在しないと、トナーのせき止めがしにくくなり、せき止め層が破壊され易い。但し遊離率が50個数%を上回ってしまう場合には、今度は現像装置に外添剤が蓄積され易くなり、現像性能が著しく低下するため好ましくない。以上のことから一次粒子の平均粒径が0.07μm以上2.0μm以下の外添粒子が存在し、且つ外添剤の遊離率をある範囲内で抑える必要がある。
本発明によれば、上記測定条件における最大荷重6mNで押し込んだ時のHU(ユニバーサル硬さ値)が150N/mm2以上220N/mm2以下であり、且つ、弾性変形率が44%以上65%以下である電子写真感光体に対し、2成分現像剤にて現像を行う画像形成装置において、一次粒子の平均粒径が0.07μm以上2.0μm以下の外添剤を有し、外添剤のトータルの遊離率を1個数%以上50個数%以下にすることで、感光体への潤滑剤の塗布供給が簡便な構成で行うことができ、感光体のクリーニングブレードによるドラムキズ悪化を防ぎ、高画質高耐久性能を有した画像形成装置を提供できる。
図1に本発明に係る画像形成装置の1例を示す。尚、図1は、デジタル方式の複写機の概略構成を示す縦断面図である。図1に示す複写機(以下「画像形成装置」ともいう。)は、感光体としてドラム型の電子写真感光体101を備えている。この感光ドラム101は、駆動手段(不図示)によって矢印方向に回転駆動される。感光ドラム101の周囲には、その回転方向に沿ってほぼ順に、一次帯電手段である帯電ローラ102、露光装置103、現像装置(現像手段)104、転写帯電器(転写手段)105、分離帯電器106が配設されている。更に、転写材111の搬送方向(矢印方向)の分離帯電器106の下流側(同図中の左側)には、定着装置107が配設されている。上述の感光ドラム101の表面は、帯電ローラ102により一様に帯電される。次いで、露光装置103から発せられるレーザ光により、イメージ露光が行なわれ、レーザ光照射部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。感光ドラム101上の静電潜像は、現像装置104の帯電したトナーによって現像される。現像された感光ドラム101上のトナー像は、矢印方向に搬送される転写材111に、転写帯電器105によって転写される。トナー像転写後の転写材111は、分離帯電器106によって感光ドラム101の表面から分離され、定着装置107に搬送される。転写材111は、ここで加熱及び加圧を受けて、表面にトナー像が定着される。転写後に感光体に残った転写残トナーはクリーニング装置108のドラムにカウンターに当接された弾性を有するクリーニングブレードにより回収除去される。以上の各部材とプロセスについて以下に詳細に記述する。
[感光体]
図1中の感光ドラム101は感光体(被帯電体)としての回転ドラム型の電子写真感光体である。本例(本発明)の画像形成装置の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が下記一般式(1)で示すような同一分子内に2つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合した化合物を含有する電子写真感光体である。
Figure 2005091499
(式中、Aは正孔輸送性基を示す。P1及びP2は連鎖重合性官能基を示す。P1とP2は同一でも異なってもよい。Zは置換基を有してもよい有機残基を示す。a、b及びdは0又は1以上の整数を示し、a+b×dは2以上の整数を示す。又、aが2以上の場合P1は同一でも異なってもよく、dが2以上の場合P2は同一でも異なってもよく、又、bが2以上の場合、Z及びP2は同一でも異なってもよい。)
本例においては、前記同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合させることで、その感光層中において、正孔輸送能を有する化合物は少なくとも二つの架橋点をもって三次元架橋構造の中に共有結合を介して取り込まれる。前記正孔輸送性化合物はそれのみを重合させる、又は他の連鎖重合性基を有する化合物と混合重合させることのいずれもが可能であり、その種類及び比率はすべて任意である。ここでいう他の連鎖重合性基を有する化合物とは、連鎖重合性基を有する単量体、オリゴマー及びポリマーのいずれかが含まれる。正孔輸送性化合物の官能基とその他の連鎖重合性化合物の官能基が同一の基又は互いに重合可能な基である場合には、両者は共有結合を介した共重合で三次元架橋構造をとることが可能である。両者の官能基が互いに重合しない官能基である場合には、感光層は少なくとも2種の三次元硬化物の混合物又は主成分の三次元硬化物中に他の連鎖重合性化合物単量体又はその硬化物を含んだものとして構成されるが、その配合比率及び製膜方法をうまくコントロールすることで、IPN(Inter Penetrating Network)、即ち、相互進入網目構造を形成することも可能である。
本例において、感光層には潤滑材としてフッ素原子含有樹脂、フッ化カーボン及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有させるが、その好ましい化合物としては以下のものが挙げられる。但し本例は、これらの化合物に限定されるものではない。フッ素原子含有樹脂として好ましいものは、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオロライド、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロプロピレン及びパーフルオロアルキルビニルエーテルからなる群から選ばれる化合物の重合体若しくは共重合体樹脂及び樹脂微粒子が挙げられる。フッ化カーボンは(CF)n又は(C2F)nで表される化合物が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂として好ましいものは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂等のホモポリマー樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−ブテン共重合体樹脂等のコポリマー樹脂及び樹脂粉体等が挙げられる。これらの潤滑材はそれぞれ単独でも2種以上を任意の割合で用いることも可能である。又、本例の感光層は、前記潤滑材の分散剤、分散助剤、その他の各種添加剤を更には界面活性剤等を含有してもよい。
本例で用いる感光体の構成としては、導電性支持体上に感光層として電荷発生物質を含有する電荷発生層及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層をこの順に積層した構成、又、電荷発生物質と電荷輸送物質を同一層中に分散した単層からなる構成のいずれの構成をとることも可能である。前者の積層型においては電荷輸送層が2層以上の構成も可能である。これらいずれの場合においても、先の連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合物の重合体を感光層が含有していればよい。但し、電子写真感光体としての特性、特に残留電位等の電気的特性及び耐久性の点より、電荷発生層/電荷輸送層をこの順に積層した機能分離型の層構成であって、少なくとも電荷輸送層に前記連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合物の重合体が含有されていることが好ましく、電荷輸送能を低下させることなく表面層の高耐久化が可能になる。
本例においては感光層に潤滑材としてフッ素原子含有樹脂、フッ化カーボン及びポリオレフィン系樹脂のうちの少なくとも1種を含有させることにより感光体の表面の滑り性及び撥水性を高めることができ、繰り返し使用時の帯電、現像及び転写等による表面層の化学的劣化に伴う転写効率や滑り性の低下、更には感度低下及び電位低下等の電気特性の劣化を防ぎ、繰り返し使用時においてもトナーによるフィルミング、融着、クリーニング不良、画像ボケ/流れ等の画像不良の発生を抑えることが可能となる。特に好ましくはフッ素原子含有樹脂であると更に好適な結果が得られる。本例においては、前記潤滑材は感光体の表面層に含有させることがいかなる場合においても最も効果的である。
次に本例における電子写真感光体の製造方法を具体的に示す。電子写真感光体の支持体としては導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属や合金をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウム及び銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又は結着樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。本例においては導電性支持体の上にはバリアー機能と接着機能を持つ下引き層を設けることができる。下引き層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、又は感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。下引き層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン等が知られている。これらはそれぞれに適した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。その際の膜厚としては0.1〜2μmが好ましい。
本例で用いる感光体が機能分離型の感光体である場合には電荷発生層及び電荷輸送層を積層する。電荷発生層に用いる電荷発生物質としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、各種の中心金属及び結晶系を有する有機色素、具体的には、例えば、α、β、γ、ε及びX型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及び特開昭54−143645号公報に記載のアモルファスシリコーン等が挙げられる。機能分離型感光体の場合、電荷発生層は前記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミル等の方法でよく分散し、分散液を塗布し、乾燥して形成するか、又は前記電荷発生物質の蒸着膜等、単独組成の膜として形成する。その膜厚は5μm以下であることが好ましく、特に0.1〜2μmの範囲であることが好ましい。結着樹脂を用いる場合の例は、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、トリフルオロエチレン樹脂等のビニル化合物の重合体樹脂及び共重合体樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
本例における前記連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、前述した電荷発生層上に電荷輸送層として、若しくは電荷発生層上に電荷輸送物質と結着樹脂とからなる電荷輸送層を形成した後に正孔輸送能力を有する表面保護層として用いることができる。いずれの場合も前記表面層の形成方法は、前記正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合反応をさせるのが一般的であるが、前もって該正孔輸送性化合物を含む溶液を反応させて硬化物を得た後に、再度溶剤中に分散又は溶解させて、表面層を形成することも可能である。これらの溶液を塗布する方法は、例えば、浸漬コーティング法、スプレイコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等が知られているが、効率性及び生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。又、蒸着、プラズマ、その他の公知の製膜方法が適宜選択できる。
本例において連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合物は放射線により重合させることが好ましい。放射線による重合の最大の利点は重合開始剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な三次元架橋重合体からなる感光層の作製が可能となり、良好な電子写真特性が確保される点である。又、上記重合反応は短時間で且つ効率的な重合反応であるがゆえに生産性も高く、更には放射線の透過性の良さから、厚膜時や添加剤等の遮蔽物質が膜中に存在する際の硬化阻害の影響が非常に小さいこと等が挙げられる。但し、連鎖重合性基の種類や中心骨格の種類によっては重合反応が進行しにくい場合があり、その際には影響のない範囲内で重合開始剤の添加は可能である。この際使用する放射線とは電子線及びγ線である。電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等のいずれの形式も使用することができる。電子線を照射する場合に、本例の感光体においては電気特性及び耐久性能を発現させる上で照射条件が非常に重要である。本例において、加速電圧は250kV以下が好ましく、最適には150kV以下である。又、線量は好ましくは10kGy〜1,000kGyの範囲、更に好ましくは線量が30kGy〜500kGyの範囲である。加速電圧が上記範囲を越えると、感光体特性に対する電子線照射のダメージが増加する傾向にある。又、線量が上記範囲よりも少ない場合には硬化が不十分となり易く、線量が多い場合には感光体特性の劣化が起こり易い。
前記連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合物を電荷輸送層の材料として用いた場合の前記正孔輸送性化合物の量は、重合後の電荷輸送層膜の全質量に対して、前記一般式(1)で示される連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物の水素付加物が分子量換算で20%以上、好ましくは40%以上含有されていることが望ましい。それ未満であると形成される電荷輸送層の電荷輸送能が低下し、感光体としての感度低下及び残留電位の上昇等の問題点が生ずる。この場合の電荷輸送層としての膜厚は1〜50μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。
前記正孔輸送性化合物を電荷発生層及び電荷輸送層上に表面保護層として用いた場合、その下層に当たる電荷輸送層は適当な電荷輸送物質、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール、カルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体等の低分子化合物等を適当な結着樹脂(前述の電荷発生層用樹脂の中から選択できる)とともに、溶剤に分散及び溶解した溶液を前述の公知の方法によって塗布及び乾燥して形成することができる。この場合の電荷輸送物質と結着樹脂との比率は、両者の全質量を100とした場合に電荷輸送物質の質量が30〜100が望ましく、好ましくは50〜100の範囲で適宜選択される。電荷輸送物質の量がそれ未満であると、電荷輸送層の電荷輸送能が低下し、感光体として感度低下及び残留電位の上昇等の問題点が生ずる。電荷輸送層の膜厚は、上層の表面保護層と合わせた総膜厚が1〜50μmとなるように決定され、好ましくは5〜30μmの範囲で調整される。本例においては上述のいずれの場合においても、前記連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合物の硬化物を含有する感光層に、前記電荷輸送物質を含有させることが可能である。
単層型感光層の場合は、前記正孔輸送性化合物を含む溶液中に同時に電荷発生物質が含まれることになり、この溶液を適当な下引き層又は中間層を設けてもよい導電性支持体上に塗布後重合反応して形成する場合と、導電性支持体上に設けられた電荷発生物質及び電荷輸送物質から構成される単層型感光層上に前記正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合反応させる場合のいずれもが可能である。
本例において感光層に含有させる潤滑材の割合は、表面層となる層の全質量に対し、1〜70%が好ましく、より好ましくは5〜50%である。潤滑材が70%より多いと表面層となる層の機械的強度が低下し易く、1%より少ないと表面層となる層の撥水性及び滑り性が充分ではなくなることがある。以上のようにして作製された、分子内に不飽和官能基を持つ化合物を重合させた正孔輸送性化合物を含有した表層を持つ感光体は特開2001−166509公報に示されるように、従来の樹脂を表面層として用いた電子写真感光体が有していた問題点が解決され、膜強度を高くすることによって耐磨耗性及び耐傷性を向上させ、且つ耐析出性が良好であり、繰り返し使用時における残留電位の上昇等の電子写真感光体特性の変化や劣化が非常に少なく、繰り返し使用時にも安定した性能を発揮することができ、電子写真感光体の表面層の耐摩耗性及び耐傷性が向上し、長寿命で高画質な電子写真感光体である。
図1に示す複写機では、反転現像を用いており、感光ドラム101は直径30mmのアルミシリンダー上に4層を重ねた後、表面保護層として下記式(2)の正孔輸送性化合物を電子線照射により重合させた化合物を含有する表層を塗工し硬化させた有機感光ドラムである。

Figure 2005091499
この感光ドラムは矢印の方向に210mm/sec.の周速度をもって回転駆動される。保護層の膜厚は表面層の磨耗量と電子写真装置の寿命との関係から最適な膜厚が決定できるが、図1に示す例では5μmとなるように塗工条件を調整した。
この電子写真感光体は温度25℃湿度50%の環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行い、最大6mNの荷重で押し込んだ時のHU(ユニバーサル硬さ値)が150N/mm2以上220N/mm2以下であり、且つ弾性変形率が44%以上65%以下である電子写真感光体である。本例におけるHU(ユニバーサル硬さ値)、及び弾性変形率は、圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読し、連続的硬さを求められる微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定した。圧子は対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を使用した。荷重の条件は最終荷重6mNまで段階的に(各点0.1sの保持時間で273点)測定した。出力チャートの概略を図3に、本例の電子写真感光体を測定した例を図4に示す。縦軸は荷重(mN)で横軸は押し込み深さh(μm)であり、段階的に荷重を増加させ6mNまで荷重をかけ、その後同様に段階的に荷重を減少させた結果である。
HU(ユニバーサル硬さ値:以下HUと呼ぶ)は、6mNで押し込んだ時の同荷重下での押し込み深さから下記式(i)によって規定される。

Figure 2005091499
弾性変形率は圧子が膜に対して行った仕事量(エネルギー)、即ち圧子の膜に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めたものであり、下記式(ii)からその値は求まる。全仕事量Wt(nW)は図3中のA−B−D−Aで囲まれる面積で表され、弾性変形の仕事量We(nW)はC−B−D−Cで囲まれる面積で表される。
Figure 2005091499
前述の如く、有機電子写真感光体に求められる性能として機械的劣化に対する耐久性の向上が挙げられる。一般的に膜の硬度は外部応力に対する変形量が小さいほど高く、電子写真感光体も当然の如く鉛筆硬度やビッカース硬度が高いものが機械的劣化に対する耐久性が向上すると考えられている。しかしながら、これらの測定により得られる硬度が高いものが必ずしも耐久性の向上を望めたわけではなかった。我々は鋭意検討の末、HUと弾性変形率の値が、ある範囲の場合に感光体表面層の機械的劣化が起り難くなることを見出し、本発明に至った。即ち、ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行い、最大荷重6mNで押し込んだ時のHUが150N/mm2以上220N/mm2以下であり、且つ弾性変形率が44%以上65%以下である電子写真感光体を用いることによって飛躍的に向上した。又、更なる特性の向上にはHU値が160N/mm2以上200N/mm2以下であることがより好ましい。
HUと弾性変形率を切り離してとらえることはできないが、例えば、HUが220N/mm2を超えるものであるとき、弾性変形率が44%未満であると感光体の弾性力が不足しているが故に、弾性変形率が65%より大きいと弾性変形率は高くても弾性変形量は小さくなってしまうが故に、結果として局部的に大きな圧力がかかり、感光体に深い傷が発生してしまう。よって、HUが高いものが必ずしも感光体として最適ではないと考えられる。又、HUが150N/mm2未満で弾性変形率が65%を超える場合、たとえ弾性変形率が高くても塑性変形量も大きくなってしまいクリーニングブレードや帯電ローラに挟まれた紙粉やトナーが擦られることで感光体が削れたり細かい傷が発生したりしてしまう。
[帯電]
図1中の102は、感光ドラム101に所定の押圧力をもって接触させて配設した可撓性の接触帯電部材としての導電性弾性ローラ(帯電ローラ)である。本例における接触帯電部材としての帯電ローラ102は、芯金上にゴム或いは発泡体からなる中抵抗層を形成することにより作成される。中抵抗層は樹脂(例えば、ウレタン)、導電性粒子(例えば、カーボンブラック)、硫化剤及び発泡剤等により処方され、芯金の上にローラ状に形成した。その後必要に応じて表面を研磨した。本例の帯電ローラ102のローラ抵抗を測定したところ100kΩであった。ローラ抵抗は、帯電ローラ102の芯金に総圧1kgの荷重がかかるようにφ30mmのアルミ基体に帯電ローラ102を圧着した状態で、芯金とアルミ基体との間に100Vを印加して計測した。
ここで、接触帯電部材である帯電ローラ102は電極として機能することが重要である。つまり、弾性を持たせて被帯電体との十分な接触状態を得ると同時に、移動する被帯電体を帯電するのに十分低い抵抗を有する必要がある。一方では被帯電体にピンホール等の低耐圧欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。被帯電体として電子写真用感光体を用いた場合、十分な帯電性と耐リークとを得るには104〜107Ωの抵抗が望ましい。更に、帯電ローラ102の表面は潤滑剤を保持できるようミクロな凹凸があるものが望ましい。帯電ローラ102の硬度は、硬度が低すぎると形状が安定しないために被帯電体との接触性が悪くなり、高すぎると被帯電体との間に帯電ニップ部Aを確保できないだけでなく、被帯電体表面へのミクロな接触性が悪くなるので、アスカーC硬度で25度から50度が好ましい範囲である。帯電ローラ102の材質としては、弾性発泡体に限定するものではなく、弾性体の材料として、EPDM、ウレタン、NBR、シリコーンゴムや、IR等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、又、これらを発泡させたものが挙げられる。又、特に導電性物質を分散せずに、イオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。帯電ローラ102は被帯電体としての感光ドラム101に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設し、本例では幅数mmの帯電ニップ部を形成させてある。
[露光]
図1中の103は、レーザーダイオード及びポリゴンミラー等を含むレーザービームスキャナ(露光装置)である。このレーザービームスキャナ103は目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザー光を出力し、該レーザー光でもって上記回転感光ドラム101の一様帯電面を走査露光(L)する。この走査露光Lにより回転感光ドラム101の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。静電潜像形成手段に用いる光源は、LEDアレイであってもよく、この場合は、目的の画像情報に対応する位置のLEDを点灯し、感光ドラム101の面に静電潜像を形成する。又、本例の複写機では、露光手段は静電潜像形成手段に用いる光源のみであり、除電光は設けていない。上述の感光ドラム101の表面は、一次帯電ローラ102により−400Vに一様帯電される。次いで、露光装置103の半導体レーザから発せられる波長680nmのレーザ光により、600dpi(dot/inch)でイメージ露光が行なわれ、レーザ光照射部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。
[現像]
図1中の104は現像装置であり、現像方式は2成分接触現像方式である。回転感光ドラム101に形成された静電潜像は、現像装置104によりトナー像として現像される。現像器の概略断面図を図2に示す。現像室内には搬送スクリュー202が収容されている。前記搬送スクリュー202の回転駆動によって現像室内の現像剤は現像スリーブ201の長手方向に向けて搬送される。貯蔵室内には搬送スクリュー203が収納されている。搬送スクリュー203はその回転によってトナーを現像スリーブの長手方向に沿って搬送する。搬送スクリュー203による現像剤搬送方向は搬送スクリュー202によるそれとは反対方向である。隔壁204には手前側と奥側(不図示)に開口が設けられており、搬送スクリュー203で搬送された現像剤がこの開口の1つから搬送スクリュー202に受渡され、搬送スクリュー202で搬送された現像剤が上記開口の他の1つから搬送スクリュー203に受渡される。トナーは磁性粒子との摩擦で潜像を現像するための極性に帯電する。現像剤容器の感光ドラム101に近接する部位には開口部が設けられ、該開口部にアルミニウムや非磁性ステンレス鋼等の非磁性現像スリーブ201が設けられている。
現像スリーブ201は矢印方向に回転してトナーとキャリアとが混合されてなる現像剤を現像部に担持搬送する。現像スリーブ201に担持された現像剤の磁気ブラシは現像部で矢印方向に回転する感光ドラム101に接触し、静電潜像はこの現像部で現像される。尚、現像スリーブ201には、交流電圧に直流電圧を重畳した振動バイアス電圧が印加される。潜像の暗部電位(非露光部電位)と明部電位(露光部電位)は、上記振動バイアス電位の最大値と最小値の間に位置している。これによって現像部に向きが交互に変化する交番電界が形成される。この交番電界中でトナーとキャリアは激しく振動し、トナーがスリーブ及びキャリアへの静電的拘束を振りきって潜像に対応して感光ドラム101に付着する。
振動バイアス電圧の最大値と最小値との差(ピーク間電圧)は1〜5kVが好ましく、又、周波数は1〜10kHzが好ましい。振動バイアス電圧の波形は矩形波、サイン波及び三角波等が使用できる。そして上記直流電圧成分は潜像の暗部電位と明部電位の間のものであるが、絶対値で最小の明部電位よりも暗部電位の方により近い値であることが、暗部電位領域へのカブリトナーの付着を防止するうえで好ましい。又、現像スリーブ201と感光ドラム101との最小間隙(この最小間隙位置は現像部内にある)は0.2〜1mmであることが好適である。205は現像剤層厚規制ブレードであり、現像スリーブ201が現像部に担持搬送する2成分現像剤の層厚を規制する。ブレード205で規制されて現像部に搬送される現像剤は、後述の現像磁極S1による現像部での磁界により形成される現像剤の磁気ブラシのスリーブ表面上での高さが、感光ドラム101を取り去った状態で、前記スリーブと感光ドラムとの間の最小間隙値の1.2〜3倍となるような量であることが好ましい。
現像スリーブ201内にはローラー状の磁石206が固定配置されている。この磁石206は現像部に対向する現像磁極S1を有している。現像磁極S1が現像部に形成する現像磁界により現像剤の磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシが感光ドラム101に接触してドット分布静電潜像を現像する。その際、磁性キャリアの穂(ブラシ)に付着しているトナーも、この穂ではなくスリーブ表面に付着しているトナーも、該潜像の露光部に転移してこれを現像する。現像磁極S1による現像磁界の現像スリーブ201表面上での強さ(スリーブ表面に垂直な方向の磁束密度)は、そのピーク値が500〜2,000ガウスであることが好適である。この例では磁石は上記現像磁極S1のほかに、N1、N2、N3及びS2極を有している。上記構成により、従来と同様に、現像スリーブ201の回転によりN2極でくみ上げられた現像剤はS2極からN1極と搬送され、その途中で規制ブレード205で規制され現像剤薄層を形成する。そして現像磁極S1の磁界中で穂立ちした現像剤が感光ドラム101上の静電潜像を現像する。その後N3極、N2極間の反発磁界により現像スリーブ201上の現像剤は撹拌室内へ落下する。撹拌室内に落下した現像剤は搬送スクリュー202及び203により撹拌される。
ここでは本例の画像形成装置に好ましく適用される重合トナー及びその製造方法について説明する。本例に使用される重合性単量体系を構成する重合性単量体、及び着色剤等のトナー特性付与剤としては、以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル及びアクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル及びメタクリル酸エチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類、その他アクリロニトリル、メタクリロニトリル及びアクリルアミド等の単量体が挙げられる。
これらの単量体は単独、又は混合して使用することができる。上述の単量体の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独で、又は他の単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本例では、単量体系に、極性基を有する樹脂を添加して重合してもよい。本例に使用できる極性樹脂を以下に例示する。
(1)カチオン性重合体としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等の含窒素単量体の重合体若しくはスチレン、不飽和カルボン酸エステル等との共重合体が挙げられる。
(2)アニオン性重合体としては、アクリロニトリル等のニトリル系単量体、塩化ビニル等の含ハロゲン系単量体、アクリル酸及びメタクリル酸等の不飽和カルボン酸、その他不飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸無水物、ニトロ系単量体等の重合体若しくはスチレン系単量体等との共重合体が挙げられる。
これら極性樹脂は、トナーの表面付近に局在化することで、トナーの耐ブロッキング性を向上する。添加量としては、0.1〜10質量%が好ましい。
本例で用いられる着色剤としては、公知のものが使用でき、例えば、カーボンブラック、鉄黒の他、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6等の染料、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、ブリリアントカーミン3B、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、キナクリドン、ローダミンレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等の顔料がある。本例においては好ましくは懸濁重合法を用いてトナーを得るため、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは、表面改質、例えば、重合阻害のない物質による疎水化処理を施しておいた方が良い。特に、染料系着色剤やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。染料系着色剤を表面処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体系に添加する。又、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等でグラフト処理を行ってもよい。
又、本例において熱ロール定着時の離型性を良くする目的で、トナー中に炭化水素系化合物等の如く一般に離型剤として用いられているワックス類を配合してもよい。本例に用いられるワックス類としては、パラフィン系及びポリオレフィン系ワックス、及びこれらの変性物、例えば、酸化物やグラフト処理物の他、高級脂肪酸、及びその金属塩、アミドワックス等が挙げられる。これらワックスは環球法(JIS K2531)による軟化点が40〜130℃、好ましくは50〜120℃を有するものが望ましく、軟化点が40℃を下回るとトナーの耐ブロッキング性及び保形性が不十分であり、130℃を上回ると離型性の効果が不十分となる。これら離型剤の添加量としては0.1〜50質量%が好ましい。
本例においては、トナーの帯電性を制御する目的でトナー材料中に荷電制御剤を添加しておくことが望ましい。これら荷電制御剤としては、公知のもののうち、重合阻害性及び水相移行性の殆ど無いものが用いられ、例えば、正荷電制御剤としてニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、四級アンモニウム塩、アミン系及びポリアミン系化合物等が挙げられ、負荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系化合物、含金属モノアゾ系染料化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。これら荷電制御剤の添加量としては0.1〜10質量%が好ましい。
重合開始剤としては、いずれか適当な重合開始剤、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。これら重合開始剤は、重合性単量体の0.5〜20質量%の添加量が好ましい。本例では、架橋剤を添加してもよく、好ましい添加量としては、0.001〜15質量%である。本例で用いられる各種特性付与を目的とした外添剤は、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の重量平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。この外添剤の粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその一次粒子の平均粒径を意味する。これら特性付与を目的とした外添剤としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
1)流動性付与剤:金属酸化物(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等)、カーボンブラック、フッ化カーボン等。それぞれ、疎水化処理を行ったものがより好ましい。
2)研磨剤又はクリーニング補助剤:金属酸化物(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム等)、窒化物(窒化ケイ素等)、炭化物(炭化ケイ素等)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)等。
3)滑剤:フッ素系樹脂粉末(フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)等。
4)荷電制御性粒子:金属酸化物(酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)、カーボンブラック等。
これら外添剤は、トナー粒子100質量部に対し、0.01〜10質量部が用いられ、好ましくは、0.05〜5質量部が用いられる。これら外添剤は、単独で用いても、又、複数併用してもよいが、本例では流動性付与剤として酸化ケイ素と酸化チタンを、研磨剤又はクリーニング補助剤としてチタン酸ストロンチウムを使用している。
本例において用いられる水系媒体には、いずれかの適当な分散安定化剤を添加する。例えば、無機化合物として、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ及びアルミナ等が挙げられる。有機化合物として、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン等を水相に分散させて使用できる。この分散安定化剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜20質量部を使用することが好ましい。
又、これら分散安定化剤の微細な分散のために、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を使用してもよい。これは上記分散安定化剤の所期の作用を促進するためのものであり、その具体例としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム及びオレイン酸カルシウム等が挙げられる。これら分散安定化剤の中で、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいがより細かい粒子を得るために、水系媒体中にて該無機化合物を生成させてもよい。例えば、リン酸カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合するとよい。
本例で好ましく用いられる重合トナーは、以下の如き方法にて得られる。即ち、重合性単量体中に離型剤、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤、その他の外添剤を加え、ホモジナイザー又は超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体系を、分散安定化剤を含有する水系媒体中に通常の撹拌機又はホモミキサー又はホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量体液滴が所望のトナー粒子のサイズ、一般に30μm以下の粒径を有するように撹拌速度及び時間を調整し造粒する。その後は分散安定化剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降及び浮遊が防止される程度の撹拌を行えばよい。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。又、重合反応後半に昇温してもよく、更に、トナー定着時の臭いの原因等となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために、反応後半又は反応終了後に一部水系媒体を留去してもよい。
更に本例で用いられるトナーは、2成分現像剤として用いる場合にはキャリア粉と混合して用いられる。この場合には、トナーとキャリア粉との混合比はトナー濃度として0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは3〜5質量%が望ましい。本例に使用できるキャリアとしては、公知のものが全て使用可能であり、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉の如き磁性を有する粉体、ガラスビーズ等及びこれらの表面フッ素系樹脂、ビニル系樹脂或いはシリコーン系樹脂等で処理したもの等が挙げられる。
[転写]
図1中の105は、接触転写手段としての中抵抗の転写ローラであり、感光ドラム101に所定の圧力で圧接させて転写ニップ部を形成させてある。この転写ニップ部に不図示の給紙部から所定のタイミングで被記録体としての転写材111が給紙され、且つ転写ローラ105に所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光ドラム101側の現像剤像が転写ニップ部に給紙された転写材111の面に、静電気力と押圧力にて順次に転写されていく。
[定着]
図1中の107は、熱定着方式等の定着装置である。感光ドラム101側の現像剤像の転写を受けた転写材111は回転感光ドラム101の面から分離されてこの定着装置107に導入され、定着ローラの熱と圧力により現像剤像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。本定着装置は定着ローラと加圧ローラとを有し、本例では、定着ローラを、直径40mm、肉厚1mmのアルミニウムの芯金上に、厚さ50μmのPFA樹脂チューブを被覆して離型層を形成した構成とした。この定着ローラの芯金の内側には、定着ローラを内部から加熱するヒータが設置される。又、定着ローラは、直径14mmの鉄の芯金上に、厚さ8mmのシリコーンスポンジゴムの弾性層を形成し、更にその上に厚さ50μmのPFA樹脂チューブを被覆して離型層を形成した構成とした。この定着ローラの硬度は、約56°(アスカーC硬度計により荷重1kgで測定)である。本例では、この定着ローラを加圧手段により20ニュートン(N)の押圧力で定着ローラに押圧して、定着ローラと定着ローラとの間に約5mm幅の定着ニップを形成させた。
[クリーニング]
図1中の108は、トナー転写後に感光体に残った転写残トナーを回収及び清掃するクリーニング装置である。本例における感光体上のトナーのクリーニングは、硬度77°のポリウレタンゴムを厚さ2.0mmの板型に成型した弾性ブレードを感光体の回転に対しカウンターで当接させることにより行われる。クリーニングブレードのドラムへの当接角は30°、進入量は0.75mm、ブレードの接着固定位置から先端までの距離(自由長)は5mmである。クリーニングブレードにて掻き取られたトナーや潤滑剤はすくいシートにより受け取られ、トナー送り羽根とスクリューによって廃トナーボックスに送られる。
以上の本体構成において、前記のようにして作製された感光体を使用して、これに対して現像するトナーの外添剤の粒径及び外添剤の攪拌時間を各種ふって、その遊離率を求め、そのときのドラムキズを比較評価した。外添剤の遊離率は、トナー粒子に含まれる炭素原子と潤滑性化合物に含まれる原子(例えば、フッ素樹脂ならフッ素原子、ステアリン酸亜鉛なら亜鉛原子)との個数の和に対する、トナー粒子に含まれない潤滑性化合物に含まれる原子の個数の比によって表される。上記遊離率は、「Japan Hardcopy97」論文集の65〜68ページに記載の原理で測定することができ、具体的には、トナー粒子を一個ずつプラズマへ導入し、得られる発光スペクトルからトナー粒子中の元素、トナー粒子数及びトナー粒子の粒径を知ることができ、この発光スペクトルから上記遊離率を測定することができる。
上記の測定方法によれば、潤滑性化合物の遊離率は、トナー粒子に含まれる結着樹脂の構成元素である炭素原子の発光と、潤滑性化合物の原子の発光から下記式(iii)により求められる。
(iii)外添剤の遊離率(個数%)=(外添剤に含まれる原子のみの発光回数)×100/((炭素原子と同時に発光した外添剤に含まれる原子の発光回数)+(外添剤に含まれる原子の発光回数))
上記式において「同時に発光した」とは、潤滑性を有する化合物に含まれる原子の発光であって炭素原子の発光から2.6msec以内の発光をいい、それ以降の潤滑性を有する化合物に含まれる原子の発光は潤滑性を有する化合物に含まれる原子のみの発光とする。又、炭素原子と外添剤に含まれる原子が同時発光するということはトナー粒子と同期していることを意味し、外添剤に含まれる原子のみの発光は、外添剤がトナー粒子から遊離していることを意味する。遊離率の測定方法は発光スペクトルを利用した、パーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)を使用し測定を行った。
具体的な測定方法は以下の通りである。先ず、0.1%酸素含有のヘリウムガスを用い、温度23℃で湿度60%の環境にて測定を行い、トナーサンプルを同環境下にて1晩放置して、調湿する。測定に際しては、チャンネル1で炭素原子(測定波長247.860nm、Kファクターは推奨値を使用)、チャンネル2で外添剤に含まれる原子を測定し、一回のスキャンで炭素原子の発光回数が1,000〜1,400回となるようにサンプリングを行い、炭素原子の発光回数が総数で10,000回以上となるまでスキャンを繰り返し、発光回数を積算する。この時、炭素原子の発光回数を縦軸に、炭素原子の三乗根電圧を横軸にとった分布において、該分布が極大を一つ有し、更に、谷が存在しない分布となるようにサンプリングして測定を行う。そしてこのデータを元に全原子のノイズカットレベルを1.50Vとし、上記計算式(iii)を用い、外添剤の遊離率を算出する。
本例における外添剤の遊離率とは、トナー母体以外に含まれる外添剤すべての遊離率の積算値と定義する。本例では外添剤として酸化ケイ素(一次粒子の平均粒径0.01μm)0.4質量部、酸化チタン(一次粒子の平均粒径0.03μm)0.2質量部及びチタン酸ストロンチウム(一次粒子の平均粒径0.05〜3μm)0.1〜4.0質量部が含まれており、このときには、Si元素及びTi元素について遊離率を算出し、これらを積算した値が外添剤トータルの遊離率である。外添後に走査型電子顕微鏡FE−SEM(日立製作所(株)S−800)にて径の大きさを確認している。本例における外添剤の一次粒子の平均粒径はこのSEMにて確認された100個の粒子の一次粒子の平均粒径を測定し、その平均値を算出して求めたものである。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
以下の実施例及び比較例においては、前述した連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合物の重合体を含有した層を保護層として積層させた感光ドラムを用いており、その上記測定条件におけるHU及び弾性変形率はそれぞれ190N/mm2及び52%である。
以下の実施例及び比較例においては、外添攪拌はヘンシェルミキサーにより4,000rpmにて攪拌羽根を回転させて行う。その攪拌時間によりトナーからの外添剤の遊離率は変化する。これらの粒径、外添攪拌時間及び外添量をふって調製した現像剤について、それぞれドラムキズについて評価を行った。比較は実施形態で述べたデジタル方式の複写機で200,000枚画出し耐久時のドラムキズ状態を比較した。ドラムキズレベルは、200,000枚の実機通紙にて以下の基準で評価することより行った。
・○:キズがないか、あっても軽微。
・△:大きくとも3μm程度のキズはあるが、電荷輸送層に到達しておらず、出力画像には影響無し。
・×:キズが電荷輸送層に到達しており、出力画像に影響を及ぼす。
現像濃度については、画像出力耐久を10,000枚行った後、出力されたベタ画像の濃度をマクベス反射濃度計にて測定し、以下の基準で評価した。
・○:反射濃度 1.4以上。
・△:反射濃度 1.0以上1.4未満。
・×:反射濃度 1.0未満。
<実施例1〜6、比較例1〜2>
先ず、チタン酸ストロンチウムの一次粒子の平均粒径をふって、チタン酸ストロンチウムの遊離率が約6個数%になるまでトナーを外添攪拌したトナーについて評価した。その結果を下記表1に示す。尚、このときのチタン酸ストロンチウムの外添量は0.9質量%で一定である。表中ではチタン酸ストロンチウムはSTCと略す。
Figure 2005091499
表1から明らかなように、チタン酸ストロンチウムの一次粒子の平均粒径が0.07μm以上2.0μm以下であればドラムキズの影響が出力画像に現れることなく、高耐久が実現できた。比較例1のように遊離率が高くとも、チタン酸ストロンチウムの一次粒子の平均粒径が0.07μm未満であると、キズに起因する帯電不良が起きてしまい効果がない。又、比較例2のようにチタン酸ストロンチウムの一次粒子の平均粒径が3μmになってしまうと現像耐久性が低下してしまう。これは外添剤の大きさ故に現像装置での機械的な力で、外添剤がトナーから剥がれ易くなって、トナーとともにドラムへ移動しにくくなり、現像装置に外添剤が蓄積し易くなることによる。又、同質量では外添される粒子の個数が少なくなることと、トナーと同レベルの大きさになり、トナー及び異物のすり抜けに対して阻止する効果が小さくなることによりドラムキズも若干悪くなると考えられる。尚、ドラム傷の評価は現像剤を50,000枚で交換して行っているが、比較例2に関しては10,000枚で現像剤の交換を行っている。
<実施例7〜12、比較例3〜4>
次に一次粒子の平均粒径が1.5μmのチタン酸ストロンチウムで外添攪拌時間をふって遊離率を変化させたトナーについて評価した。その結果を下記表2に示す。尚、チタン酸ストロンチウムの外添量は0.9質量%で一定である。表中ではチタン酸ストロンチウムはSTCと略す。
Figure 2005091499
表2から明らかなように、外添剤トータル遊離率が1.0個数%〜50個数%であれば、ドラムキズの影響が出力画像に現れることなく、且つ現像性に大きな影響を及ぼすことなく高耐久が実現できた。遊離率が1.5個数%以上であるとよりドラムキズに効果があり、30個数%以下であると、現像にほとんど影響がなかった。これに対して、比較例3のように、チタン酸ストロンチウムの一次粒子の平均粒径が充分でも遊離率が1.0個数%未満であるとキズに起因する帯電不良が起きてしまい、効果がなかった。又、比較例4のように遊離率が60個数%になると現像に影響を及ぼし、画像濃度が低下する。これは遊離率が高すぎると外添剤がトナーと一緒にドラムへ供給されて消費されにくくなり、現像装置内に外添剤が蓄積してしまうためと考えられる。
<実施例13〜19、比較例5〜6>
チタン酸ストロンチウムの外添量及び外添剤の遊離率を変えて、ドラムキズ及び現像性を評価した。その結果を下記表3に示す。外添したチタン酸ストロンチウムの一次粒子の平均粒径は1.5μmで一定である。表中ではチタン酸ストロンチウムはSTCと略す。
Figure 2005091499
表3から明らかなように、外添攪拌時間を一定にして外添剤量を振ることで、そのときの外添剤の遊離率が1.0個数%〜50個数%とすれば、ドラムキズの影響が出力画像に現れることなく、且つ現像性に大きな影響を及ぼすことなく高耐久が実現できた。遊離率が1.5個数%以上であるとドラムキズにより効果があり、30個数%以下であると、現像にほとんど影響がなかった。比較例5のようにチタン酸ストロンチウムの外添量が少なく遊離率が小さいと、ドラムキズに起因する帯電不良が起きてしまい、効果がなかった。又、比較例6のように外添剤量を多くして、遊離率が50個数%になると現像性が悪くなり、10,000枚の画像出力耐久で濃度が低下してしまった。これはチタン酸ストロンチウムの消費が外添量に追いつかなかったため、現像装置内に外添剤が蓄積してしまったことによると考えられる。
以上の実施例では比較例に比べてドラムキズ抑止に効果があり高耐久を実現でき、且つ充分に現像性を満足できた。2成分現像剤に外添する際に、外添粒子及びその条件を、外添量を増やさずに安定且つ十分な外添剤クリーニングブレード部阻止層ができるように適正化したので、外添剤供給塗布用部材及びその供給手間の必要がなく、ドラムキズを抑制することができる。尚、本発明は球形重合トナーへの適用に限るものではなく、不定形粉砕トナーや球状化粉砕トナーをトナー母体として使用する場合にも有効である。又、帯電方式に関しても、ローラ帯電に限らず、コロナ帯電でも同様の効果が得られる。外添される一次粒子の平均粒径が0.07μm以上2.0μm以下の粒子も、チタン酸ストロンチウムに限ったものでなく、酸化チタンやPTFE粒子等、他の種類の粒子を用いてもクリーニングブレードに安定な阻止層を形成し、ドラムキズを抑制できる。
本発明によれば、2成分現像剤によって有機感光体上の静電潜像を現像する形式の電子写真画像形成装置が提供できる。より詳しくは、電子写真感光体と、感光体を帯電する帯電手段と、感光体の帯電面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、現像剤担持体に担持させた2成分現像剤によって感光体上の静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、感光体のトナー像を感光体と被転写部材間に電界を作用させて被転写部材側に転写させる転写手段と、トナー像転写後の感光体面の残留トナー粒子を回収するクリーニング手段とを備えた画像形成装置が提供できる。
本発明の画像形成装置を表す概略断面図。 本発明の現像装置の概略断面図。 ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いた電子写真感光体の硬度試験の結果を示す図。 ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いた電子写真感光体の硬度試験の結果を示す図。
符号の説明
101:感光ドラム
102:一次帯電器(帯電ローラ)
103:露光装置(レーザービームスキャナ)
104:現像装置
105:転写帯電器(転写ローラ)
106:分離帯電器
107:定着装置
108:クリーニング装置
111:転写材
201:現像スリーブ
202、203:搬送スクリュー
204:隔壁
205:現像剤層厚規制ブレード
206:磁石
A:帯電ニップ部
L:走査露光

Claims (1)

  1. 導電性支持体上に感光層を有し、該感光層の表面は、温度25℃湿度50%の環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行い、最大6mNの荷重で押し込んだ時のHU(ユニバーサル硬さ値)が150N/mm2以上220N/mm2以下であり、且つ該感光層の弾性変形率が44%以上65%以下である電子写真感光体と、該感光体表面を帯電する帯電手段と、該感光体の帯電面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、外添剤を含むトナーとキャリアとからなる2成分現像剤によって静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、該トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、転写残トナーを感光体から除去するクリーニング手段とを有する画像形成装置において、上記外添剤のトナーからの遊離率が1個数%以上50個数%以下であり、且つ上記外添剤の一次粒子の平均粒径が0.07μm以上2.0μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
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