図1は、本発明の実施の第1の形態の車両用レーダ装置の取付け角度調整方法の全体の構成を示す図である。自動車などの車両13の前部33には、車両用レーダ装置1が装着される。この車両用レーダ装置1は、レーダ手段25と、レーダ手段25からのビームをたとえば鉛直である縦の軸線6(後述の図3参照)まわりに走査して往復角変位駆動する駆動手段5と、レーダ手段25および駆動手段5を一体的に車両13の車体の前部33に取付け姿勢を調整可能に装着する調整手段12とを含む。レーダ手段25は、車両13の前方(図1の右方)に向けてビーム36を放射し、被検出物体による反射ビームを、放射ビーム36と平行に受信し、これによって被検出物体までの距離を検出する構成を有する。本発明の実施の他の形態では、駆動手段5が省略され、レーダ手段25が調整手段12によって車両13に取付けられる構成であってもよい。
車両13から前方に間隔をあけた予め定める基準位置には、調整用受信アンテナ39が配置される。調整用受信アンテナ39は、レーダ手段25からの放射ビーム36を受信する。この調整用受信アンテナ39は、調整後には、車両13の直線走行方向の軸線21(後述の図3参照)を含む鉛直面(図1の紙面に平行な平面)に平行な面内に指向特性の軸線を有する。こうしてレーダ手段25から車両13の直線走行方向の軸線21に平行なビーム36が放射されたとき、そのビーム36の放射方向の希望する正面位置である基準位置に、調整用受信アンテナ39が配置されることになる。この調整用受信アンテナ39からの出力は、信号処理手段41に与えられ、これによって調整用受信アンテナ39の出力に関連する信号が、表示手段42によって表示される。表示手段42は、たとえば陰極線管または液晶表示素子などによって実現され、2次元表示画面を有し、レーダ手段25から放射されるビームの周波数信号レベルを表示する。作業者は、車両13の前部33で、表示手段42によって表示される調整用受信アンテナ39のビーム受信レベルが最大となるように、調整手段12を手動調整し、レーダ手段25の車両13に対する取付け姿勢を調整する。駆動手段5は、この調整時、ビームの走査角変位の予め定める角度に設定されたままとしておく。調整時には、たとえば、レーダ手段25から見たビーム放射方向は、レーダ装置1に備えられる角度検出手段11によってビーム放射角度φが0度であると検出される方向に、常に保たれる。
自動車などの車両13を床面56上で予め定める方向に方向付けして位置決めして設定するために、この床面56には、車両位置決め手段57が設けられる。車両位置決め手段57は、車両13の駆動輪58の、車両13の走行方向(図1の右方)の前後に配置された一対の回転自在なローラ61,62を有する。このローラ61,62は、その外形が直円筒状であり、水平な回転軸線を有する。車両13の左右の駆動輪58が、それら2つの駆動輪58に共通の中心軸線に平行に延びる一対のローラ61,62に受けられた状態で、駆動輪58が回転駆動されることによって、車両13は、駆動輪58の中心軸線がローラ61,62の回転軸線方向に変位する。これによって、車両13の直線走行方向の軸線21を通る鉛直面に平行であってレーダ手段25を通る軸線上にあり、かつ車両前方にある位置が前記基準位置となるように、したがってこの鉛直面と調整用受信アンテナ39の指向特性のビーム軸線とが調整後に平行になるように、車両13が位置決めされる。車両13の前部にある左右一対の自由回転する車輪63は、床面56に形成された凹溝64に部分的に嵌まり込み、駆動輪58の駆動時に、車両13が前進することを阻止する。この車輪63の下面は、凹溝64の底65から間隔をあけて上方位置にある。凹溝64は、ローラ61,62の回転軸線に平行に延びて形成される。駆動輪28が車両13の前部33にある場合、図1に示すローラ61,62の位置と凹溝64の位置6が入換わっていれば良い。
図2は、信号処理手段41の電気的構成を示すブロック図である。調整用受信アンテナ39からの出力は、高周波増幅器44によって増幅され、フィルタ45に与えられる。フィルタ45によって、レーダ手段25からのビーム36の周波数成分のみを有する信号が抽出されて濾波される。フィルタ45からの出力は、包絡線検波器46に与えられて包絡線信号が得られる。整流回路47は、包絡線検波器46の出力を整流し、これによってレーダ手段25からの受信されたビーム36の受信強度を表す信号が得られる。整流回路47の出力は、アナログ/デジタル変換器48によってデジタル信号に変換され、マイクロコンピュータなどによって実現される処理回路49に与えられ、演算処理される。処理回路49からのライン51に導出される信号は、表示手段42の表示画面に表示される。こうして調整用受信アンテナ39によって受信されたレーダ手段25からのビームの受信レベル強度が表示される。この処理回路49の演算処理結果はまた、上述のように表示手段42によって表示されるだけでなく、メモリ52にもストアされる。車両13におけるレーダ手段25の取付け角度調整結果をメモリ52にストアしておくと、メンテナンスが容易になる。
作業者は、表示手段42に表示される表示画面を前述のように観察し、調整用受信アンテナ39によって受信されるビームの受信レベルが最大になるように、調整手段12を調整し、レーダ手段25の車両13への取付け姿勢を設定する。
レーダ手段25から放射されるビーム36を調整用受信アンテナ39によって受信することによって、ビームが調整用受信アンテナ39の外方でその付近に放射されても、その調整用受信アンテナ39の設置された位置におけるビームの受信強度を正確に検出することができるので、周囲に存在する建物などの障害物によって調整作業が不正確になるおそれはなく、常に正確な調整を行うことができる。
図3は、車両13の前部33付近の簡略化した平面図である。レーダ手段25と調整用受信アンテナ39との間で、たとえば車両13の前部33近傍には、減衰部材54が配置される。この減衰部材54は、レーダ手段25から放射されるビーム36の強度を減衰して透過する。減衰部材54は、たとえば車両13側の表面と調整用受信アンテナ39側の表面とが相互に平行な平板状に形成される。こうしてレーダ手段25から放射されたビーム36は、減衰部材54によってその強度が減衰されて透過され、調整用受信アンテナ39によって受信される。したがって車両13の前部33と調整用受信アンテナ39との間の距離をさらに短縮して、狭い作業空間においても、調整手段12による調整作業を行うことができる。本発明では、このような減衰部材54は省略されてもよい。
図4は、表示手段42に表示される、調整用受信アンテナ39で受信されたビーム36の強度を示す図である。調整手段12によってレーダ手段25の車両13に対する取付け姿勢を変化させ、そのビーム36と車両13の直線走行方向軸線21との成す軸ずれ角度θが変化するとき、前記基準位置にある調整用受信アンテナ39によって受信されるレーダ手段25からのビーム36の強度レベルが変化する。本件実施の形態では、調整用受信アンテナ39によって受信されるビーム36の強度レベルが最大となる取付け角度θ1が得られるように、調整手段12の調整作業が行われる。この取付け角度θ1は、レーダ手段25からのビーム38が走査される縦の軸線6まわりの角度位置である。
図5は、本発明の実施の第2の形態のレーダ手段25付近の簡略化した平面図である。減衰部材54のほかにさらに追加的に、減衰部材55が配置される。これによってレーダ手段25から放射されるビーム36を一層減衰させることができる。したがって過大な強度を有するビーム36が調整用受信アンテナ39に入射されることを防ぐことができる。調整用受信アンテナ39に過大な強度を有するビーム36が入射することを防ぐことによって、その受信ビームの強度の最大値を正確に信号処理手段41によって演算して検出し、表示手段42によって表示することができるようになる。
減衰部材54,55は、その厚みがたとえば2mm程度であってもよく、ポリプロピレンと炭素の粉末を混合した組成を有する。本件発明者の実験によれば、減衰部材54,55を全く用いないとき、レーダ手段25と調整用受信アンテナ39との間の距離を、たとえば80m以上に設定する必要があったけれども、図3のように単一枚の減衰部材54を用いることによってその距離をたとえば約60〜80mに短縮することができるようになり、図5のように2枚の減衰部材54,55を用いることによって約40〜60mに短縮することができ、減衰部材54,55のほかにさらにもう1枚追加して合計3枚の減衰部材を用いることによって約20〜40mの距離にまで短縮して、レーダ手段25からのビーム36を調整用受信アンテナ39で適切な強度で受信することができるようになったことが確認された。
図6は本発明の実施の第3の形態の車両用レーダ装置の取付け角度調整方法において用いられる取付け角度調整用支援装置60の鉛直方向の断面図であり、図7は図6に示される実施の形態の簡略化した水平断面図である。車両13の前部33に車両用レーダ装置1が搭載されている構成などは、前述の実施の形態と同様である。第3の実施の形態では、取付け角度調整用支援装置60が備えられる。この支援装置60は、ビーム暗室66を含む。ビーム暗室66は、ハウジング67を有し、このハウジング67は、ほぼ直方体状の測定空間68を有する。測定空間68の高さH1は、たとえば約3〜5mであり、開口71からの奥行きL1は、たとえば2〜3mに選ばれる。測定空間68の左右の幅L2は、車両13の車幅よりもやや大きく、あるいはまた走行する道路の車線の走行レーンの幅に等しい値に定められ、たとえば3〜5mであってもよい。このハウジング67の開口71には、車両13のレーダ装置1が搭載された前部33を臨ませる。床面56に車両位置決め手段57および凹溝64が設けられる構成は、前述の実施の形態と同様である。
ビーム暗室66の車両13の前方(図6および図7の右方)の正面には、対向壁69が配置される。対向壁69は、レーダ装置1のレーダ手段25から放射されるビーム36を、そのビームの入射方向に反射するビーム反射部材の働きを果す。対向壁69の開口71側の表面72は、たとえば鉛直面内にあり、位置決めされた車両13の直線走行方向の軸線21に垂直である。
ハウジング67の内面である上下左右の周壁には、内面用のビーム吸収体77〜80が設けられる。こうして測定空間68に臨む対向壁69の表面72よりも前方(図6および図7の左方)の内面に、ビーム吸収体77〜80が固定される。ビーム吸収体77〜80は、レーダ手段25から放射されるビーム36を吸収する働きをし、減衰部材54,55と同様な組成を有してもよく、測定空間68に向けて先細状にピラミッドまたは三角柱状などに形成される。したがってレーダ手段25から不所望に左右上下に放射されるビーム成分は、これらのビーム吸収体77〜80によって吸収されるので、ビームの乱反射が生じることはなく、レーダ手段25に不所望なビームが受信されるおそれがなくなる。これによって取付け角度調整作業を、正確に行うことができる。
測定空間68に臨んで対向壁69の表面72の上部には、正面用ビーム吸収体82が着脱可能に装着される。対向壁69は、レーダ手段25によってビームが放射されて検出されるべき領域の表面72aだけが露出され、残余の表面には、上述のようにビーム吸収体82が装着される。ビーム吸収体82には、対向壁69の上部付近に配置されてもよく、さらに図7の参照符83で示されるように表面72の左右の側部に、幅方向に選択的に着脱可能に配置されてもよい。
こうして車両13の前記軸線21を対向壁69の表面72,72aに垂直に臨ませた姿勢で、レーダ装置1のレーダ手段25からビーム36を放射する。このビームは、対向壁69の表面72,72aによって反射され、その反射ビームは、レーダ手段25によって受信される。レーダ手段25によって受信される反射ビームの強度レベルを、後述の図9に示される表示手段38によって観察しながら、その強度レベルが最大となるように、調整手段12を作業者が調整する。そのほかの構成は前述の実施の形態と同様である。
図8は、図6および図7の実施の形態におけるさらに他の取付け角度調整作業を説明するための図である。調整手段5によって、レーダ手段25から放射されるビーム36の軸線を、水平軸線86に関して仰角θuで示されるように変化させ、対向壁69による反射ビームをレーダ手段25と前述の表示手段38とによって観測し、調整手段5の調整作業を行うことができる。仰角θuに代えて、下向きの俯角の調整を行うようにしてもよい。図6および図7の構成の支援装置60が用いられる場合、このような仰角および俯角の調整時に、測定空間68に臨んで設けられる対向壁69のビーム吸収体82の少なくとも一部分を、選択的に着脱して作業を行うことができる。
図6〜図8に示される第3の実施の形態ではさらに、レーダ手段25のビーム36を減衰する減衰部材54が、レーダ手段25と対向壁69との間にさらに配置されてもよい。
図9は、レーダ装置1の電気的構成を示すブロック図である。走査形FM−CW(
Frequency Modulation-Continuous Wave)方式レーダ装置1のレーダ手段25のセンサ装置2は、自動車などの車両に搭載される。送信アンテナ3によって、車両の前方に、ミリ波帯の高周波信号のビームまたはレーザビームなどのビームが、放射される。被検出物体による反射ビームは、受信アンテナ4によって受信される。このセンサ装置2は、駆動手段5に連結される。
図10は、図9に示されるレーダ手段25によって被検出物体とレーダ装置1との間の距離を求める動作を説明するための波形図である。図11は、図9に示されるレーダ手段25によって被検出物体とレーダ装置1との相対速度を求める動作を説明するための波形図である。図9〜図11を合わせて参照する。レーダ手段25のセンサ装置2において、変調信号発生器27は、たとえば750Hzの周波数を有する三角波状の変調信号を発生させる。発振器28は、ミリ波帯の高周波である搬送波信号が変調信号に応じて周波数変調(略称FM)された結果得られる送信信号34を、出力する。FM変調された搬送波信号である送信信号34に応じたビームが、送信アンテナ3から被検出物体に向けて放射される。被検出物体によって反射されたビームは、受信アンテナ4によって受信され、反射ビームに応答した受信信号が、受信アンテナ4から混合器29に与えられる。混合器29にはまた、送信信号34が、発振器28から方向性結合器31を経て、与えられる。混合器29は、送信信号34と受信信号35とを混合して、放射ビームと反射ビームとのビート信号を出力する。ビート周波数fbを有するビート信号は、増幅器32によって増幅され、ライン23を介して処理回路24に与えられる。
レーダ手段25に対する被検出物体の相対速度vが0であれば、図10に示すように、受信アンテナ4によって受信される被検出物体からの反射ビームに応答した受信信号35は、レーダ手段25と被検出物体との間の距離Rxに対応する距離周波数frに比例した時間trだけ、送信信号34から遅延する。レーダ手段25に対する被検出物体の相対速度vが0でなければ、被検出物体からの反射ビームに応答した受信信号35は、遅延するだけでなく、図11に示すように、該受信信号の周波数変化の中心周波数が、被検出物体との相対速度に対応する速度周波数fdだけ、搬送波信号の周波数f0からずれる。混合器29から導出されるビート信号のビート周波数fbは、式1で示される。なお送信信号34および受信信号35の周波数がそれぞれ増加している期間内においては、距離周波数frと速度周波数fdとの差がビート周波数fbと等しくなり、送信信号34および受信信号35の周波数がそれぞれ減少している期間内においては、距離周波数frと速度周波数fdとの和がビート周波数fbと等しくなる。
fb = fr ± fd …(1)
変調信号発生回路27からの変調信号の変調幅をΔΩとし、変調波周期をTとし、cを光速とし、Rxをレーダ手段25と被検出物体との間の距離とし、vを被検出物体との相対速度とし、f0を搬送波信号を発生する発振器28の送信中心周波数とするとき、式2および式3が成立する。したがって、FM−CWレーダ方式のレーダ装置1においては、処理回路24は、送信信号34および受信信号35の周波数増加期間と該信号34,35の周波数減少期間とにおけるビート信号のビート周波数fdをそれぞれ計測し、ビート周波数fbと式1とに基づいて距離周波数frおよび速度周波数fdを求め、さらに距離周波数frと速度周波数fdと式2と式3とに基づいて、被検出物体とレーダ手段25との相対距離Rxおよび相対速度vxを演算する。
fr = 4・ΔΩ・T・Rx/c …(2)
fd = 2・f0・v/c …(3)
処理回路24にはまた、角度検出手段11によって検出されたビーム放射角度φを表す出力が与えられる。処理回路24による演算結果は、陰極線管または液晶表示素子などの表示手段38に表示される。こうして距離Rと放射角度φとによって、被検出物体の位置を知ることができる。処理回路24には、メモリ40が接続される。
またライン23には、接続端子がさらに設けられていても良い。この場合、受信アンテナ4によって受信された反射ビームの強度レベルを、レーダ手段25に接続される表示手段38とは別の表示手段で表示することができる。この表示手段の表示画面は、調整手段36を調整操作する作業者が観察することができる。なお第1の実施の形態においては、レーダ装置1から表示手段38が除かれていても良い。
図12は、車両用レーダ装置1の一部の機械的構成を示す正面図である。レーダ手段25は、車両13の前部33に、前述の送信アンテナ3および受信アンテナ4が正面に向くように取付けられる。このレーダ手段25には、左右の各側部に上下に上ブラケット92,93と下ブラケット94,95とが固定される。各ブラケット92〜95には、ボルト96〜99が挿通する。
図13は、図12の切断面線A−Aから見たブラケット92とボルト96との付近を示す断面図である。ボルト96はブラケット92に形成された遊通孔101を挿通する。このボルト96はねじ部102を有する。車両13の前部33には、取付け片103,104が垂下されて固定されている。この取付け片103には、ナット部材105が固定される。ナット部材105のねじ孔106には、ボルト96のねじ部102が螺合する。上ブラケット92と取付け片103との間には、圧縮ばね107が介在される。下ブラケット94のボルト98に関しても同様な構成となっており、さらにもう1つの取付け片104とボルト97,98に関しても、図13に示される構成と同様な構成とされる。したがってこれらのボルト96〜99を角変位して調整することによって、レーダ手段25から放射されるビーム36の方向、したがって取付け角度θを調整することができる。すなわち、全ブラケットとボルトと圧縮ばねとは調整手段12に含まれる。
レーダ手段25から放射されるビームを角変位して走査するために、駆動手段5は、レーダ手段25を機械的構成によって角変位する構成としてもよく、またはレーダ手段25の送信アンテナおよび受信アンテナだけを機械的に角変位する構成であってもよい。さらに駆動手段5は、送信波および受信波の角度を電気的手法によって角変位してもよく、たとえば送信アンテナおよび受信アンテナとしてフェイズドアレイアンテナを用い、このフェイズドアレイアンテナの各アンテナ素子から放射される電磁波のビームの位相差を変化させる構成としてもよい。
図14は、本発明の第4の実施の形態の車両用のレーダ装置の取付け角度調整方法を説明するための模式図であり、レーダ装置1を搭載した車両13を鉛直方向上側から見た図である。本実施の形態の取付け角度調整方法は、レーダ装置1において物体測角の基準になる予め定める標準軸線121が車両13の直線走行方向軸線21を含む鉛直面と平行になるように、レーダ装置1の取付け姿勢を調整する。なお第4の実施の形態の説明において、前述の第1〜第3の実施の形態で説明した構成要素には、前述の実施の形態の説明で用いた参照符を付し、詳細説明は省略している。このことは、第2〜第3の実施の形態においても同様である。
図14で説明する取付け角度調整方法においては、車両13の前方正面であって車両13から予め定める距離だけ離れた基準位置に、標準軸線121の位置合わせに用いられる参照物122が設置されている。車両13と参照物122とを通る仮想直線は、車両13の直線走行方向の軸線21を含む鉛直面に平行である。好ましくは、車両13と参照物122とを通る仮想直線を含む鉛直面内に、レーダ装置1が位置する。参照物122は、レーダ装置1による物体検知時に、点状の物体と見なすことが可能なものである。
点ターゲットと見なされる参照物122は、たとえば、コーナリフレクタで実現される。コーナリフレクタは、車両13が載る床面56に平行な水平断面の形状が直角三角形であるプリズム状の物体である。コーナリフレクタの3側面のうちの他の2側面と直交していない1側面から入射した電磁波は、相互に直交する残余の2側面によって、該電磁波の入射方向と平行な方向に反射される。基準位置において、コーナリフレクタは、電磁波が入射および射出する面を車両13に向けて、設置される。
本実施の形態において調整対象となるレーダ装置1は、スキャン型であって、ビームの放射方向を予め定める縦軸線6回りに経時変化させつつ、該ビームに車両前方の空間を走査させる。走査されるビームの放射方向を常に含む方位平面内に、標準軸線121が含まれる。物体によって反射されたビームの軸線と縦軸線6および標準軸線121を含む角度標準面との成す角度が、該物体の測角結果φとして求められる。図14の車両用のレーダ装置1は、ゼロ点φcの調整のために、図9で説明されたレーダ装置1の構成に加えて、レーダ装置1内の処理回路24が、第4の実施の形態の取付け角度調整方法に従ってレーダ手段25および駆動手段5を制御する機能を、光軸調整モードとしてさらに有する。
物体が標準軸線121上に位置する場合、物体からの反射ビームの軸線と角度標準面との成す角度は0度であり、この場合の物体の測角結果がレーダ装置1におけるゼロ点φcである。標準軸線121上の物体に向かってビームが放射される際にレーダ装置1の角度検出手段11によって検出される放射角度は、0度になっている。レーダ装置1がスキャン型である場合、ビームの放射方向と角度標準面との成す角度である放射角度φは、該放射方向にある物体からの反射ビームの到来方向と角度標準面との成す角度である到来角度と、等しくなる。取付け姿勢調整後のレーダ装置1の標準軸線121は、車両直線走行方向軸線21を含む鉛直面と平行になっている。
図15は、第4の実施の形態の取付け角度調整方法を説明するためのフローチャートである。ステップS0において最初に、参照物122が車両13前方の基準位置に配置されるように、車両13と参照物122との位置合わせが行われる。位置合わせ時には、好ましくは、前述の図1で説明した車両位置決め手段57が用いられる。次いでステップS2において、レーダ装置1において、物体検知のための処理動作が、ビームの放射角度φを順次変更しつつ、複数回行われる。任意の放射角度φにおける物体検知のための処理動作は、レーダ手段25からの放射角度φへのビーム放射と、放射角度φに向けられた受信アンテナ4によって受信された電磁波の受信電界強度の計測とを含む。
ステップS3において、車両からの離反距離と放射角度φとに対する受信された電磁波の受信電界強度の分布を示す分布曲面124内において、参照物122からの反射ビームに対応するピーク部分125が抽出される。分布曲面124は、ビームの実際の各放射角度におけるビート信号に基づいて規定される。
参照物122からの反射ビームに対応するピーク部分125の抽出のために、まず、ビームの実際の各放射角度におけるビート信号に基づいて、予め定める基準距離RCにおける放射角度φに対する受信電界強度の分布を示す分布曲線126上のN個の点が、測定点として求められる。測定点の数Nは2以上であれば良く、たとえば16である。基準距離RCは、好ましくは、車両13から参照物122までの距離RTARGETと等しい。測定点を求める放射角度φ1〜φNは、たとえば、前述の物体検知のための処理動作において、ビームが実際に放射された角度と等しい。
測定点算出の手順は、たとえば以下のとおりである。ビームの実際の放射角度毎に増幅後のビート信号をフーリエ変換したならば、実際の放射角度毎に、ビート信号の周波数に対する信号レベルの分布が得られる。レーダ装置1と物体との相対速度が0km/sであるならばビート信号の周波数fbは距離周波数frと等しいので、周波数fbは車両13からの離反距離Rに一義的に置換えられる。また放射されるビームの強度が常に予め定める値に保たれているならば、ビート信号の信号レベルは受信電界強度に一義的に置換えられる。これらの結果、離反距離Rに対する受信電界強度Eの分布が、ビームの実際の放射角度毎に求められる。次いで、測定点をサンプリングすべき放射角度φ1〜φN毎に、該放射角度φn(nは1以上N以下の任意の整数)における離反距離Rに対する受信電界強度Eの分布曲線上において基準距離RCに対する受信電界強度が求められる。求められた受信電界強度が、放射角度φnに対する測定点の受信電界強度として用いられる。
放射角度軸と受信電界強度軸とで規定される平面上に測定点をプロットしたグラフが、基準距離RCにおける放射角度φに対する受信電界強度の分布を示す2次元分布グラフに相当する。仮に、ビート信号に基づいて求められた受信電界強度Eを放射角度φと車両13からの離反距離Rとに対してプロットしたならば、図16に示すような、放射角度φと離反距離Rとに対する受信電界強度の分布を示す3次元分布グラフが得られる。前記3次元分布グラフにおいて、放射角度軸と受信電界強度軸とに平行であってかつ離反距離軸上の基準距離RCの点を通る切断面128が、前述の2次元分布グラフに相当し、離反距離軸と受信電界強度軸とに平行な切断面が、前述のフーリエ変換結果のグラフに相当する。図16において、基準距離RCの点を通る切断面に記した白丸が、測定点に当たる。
測定点算出後、測定点をプロットした2次元分布グラフにおいて、基準距離RCにおける放射角度に対する受信電界強度の分布曲線126内から、参照物122に対応するピーク部分125上の測定点が選択される。このために、測定点の分布形状を示すパラメータが求められ、該パラメータに基づき、N個の全測定点のうちから、参照物122からの反射ビームに対応するピーク部分125上の測定点だけが選択される。分布曲面124内の選択された測定点を含む一部分が、参照物122に対応するピーク部分125とみなされる。測定点の選択手法は、後述するように、4通りある。
ピーク部分抽出後、分布曲面124内の抽出されたピーク部分125だけが、レーダ装置1の表示手段38に表示される。図17は、基準距離RCにおける放射角度に対する受信電界強度の分布曲線126のうち、検出された参照物122に対応する検出されたピーク部分125を含む一部分を拡大して示すグラフである。図17の2次元分布グラフにおいて、測定点を黒丸で示す。測定点が1個だけしか選ばれていない場合、または測定点が後述の処理で必要な個数未満だけしか選ばれていない場合、好ましくは、参照物122に対応するピーク部分125のグラフは、選択された測定点の近傍の他の測定点も含む。
続いてステップS4において、図17に示す参照物122に対応するピーク部分125のグラフに基づき、参照物122の測角結果φtを算出する。前記ピーク部分125内に2個以上の測定点がある場合、該ピーク部分125内の全測定点の統計を取り、統計結果を参照物122の測角結果φtとする。たとえば、選択された全測定点の重心が求められ、該重心に対応する放射角度が、参照物122の測角結果φtになる。またたとえば、選択された全測定点の近似曲線が求められ、該近似曲線の極大値に対応する放射角度が、参照物122の測角結果φtになる。
ステップS5において、求められた参照物122の測角結果φtと現時点のレーダ装置1におけるゼロ点φcとの角度差Wφが求められる。求められた角度差Wφは、調整手段12を用いた標準軸線121の位置合わせが可能な予め定める下限角度差と比較される。下限角度差は、たとえば1度である。車両13と参照物122とを通る仮想軸線が車両13の直線走行方向軸線21を含む鉛直面に平行なので、参照物122の測角結果φtとゼロ点φcとの角度差Wφは、標準軸線121と直線走行方向軸線21を含む鉛直面との成す角度に等しい。
参照物122の測角結果φtが現時点のゼロ点φcから±1度以上離れている場合、すなわ参照物122の測角結果φtと現時点のゼロ点φcとの角度差Wφの絶対値が下限角度差以上である場合、ステップS6において調整手段12の調整によって標準軸線121を調整すべき旨が作業者に提示される。このような提示は、レーダ装置1の表示手段38に目視表示される。作業者は、レーダ装置1の表示手段38に表示される提示内容を見ながら、レーダ装置1の標準軸線121が車両直線走行方向と平行になるように、調整手段12を物理的に調整する。これによって、調整手段12の物理的調整によって標準軸線121の調整が可能な場合だけ、調整手段12が調整される。調整手段12の物理的調整が提示される場合、参照物122の測角結果φtと現時点のゼロ点φcとの角度差Wφに応じて、調整手段12の調整量、たとえば4つの各ブラケット92〜95に挿通されているボルト96〜99の角変位量が、さらに提示されてもよい。これによって、レーダ装置1の取付け姿勢の調整によって、標準軸線121が容易に位置合わせされる。
参照物122の測角結果φtが現時点のゼロ点φcから±1度未満内の範囲に収まる場合、すなわち参照物122の測角結果φtと現時点のゼロ点φcとの角度差Wφの絶対値が下限角度差未満である場合、ステップS7において調整手段12の物理的調整によって、標準軸線121が車両直線走行方向軸線21を含む鉛直面と平行になるようにレーダ装置1の取付け姿勢を調整することは、極めて難しい。この場合、レーダ装置1の処理回路24は、調整手段12の調整を提示せずに、自動調整モードに直接移行する。自動調整モードにおいては、参照物122の測角結果φtと現時点のゼロ点φcとの角度差Wφが、物体測角結果のオフセット量として学習される。学習されたオフセット量は、レーダ装置1のメモリ40に記憶される。学習後にレーダ装置1が実際に使用される場合、前述した方法で算出された物体の測角結果φtから、オフセット量が減算され、減算後の測角結果が出力される。これによって調整手段12の物理的調整をしなくても、標準軸線121が車両直線走行方向軸線21と平行になっている状態と同様の測角結果が得られる。ステップS6,S7の処理終了後、取付け位置調整が完了する。
以上説明したように、第4の実施の形態のレーダ装置1の取付け位置調整方法が用いられる場合、離反距離および放射角度に対する受信電界強度の分布曲面124内から参照物122からの反射ビームに対応するピーク部分125が抽出され、該抽出されたピーク部分125だけに基づいて、標準軸線121の位置合わせが行われる。この結果、図14に示すように、参照物122の周囲に参照物122以外の物体129が存在しても、参照物122以外の物体129からの反射ビームに対応する分布曲面内のピーク部分に基づいて標準軸線121の位置合わせが行われることが、未然に防止される。これによって、参照物122と車両13とが設置された空間に他の物体129があるかどうかに関わらず、標準軸線121の位置合わせのためのレーダ装置1取付け姿勢の調整誤りが減少するので、狭い空間において標準軸線121の位置合わせを正確に行うことが可能になる。また本実施の形態のレーダ装置1の取付け位置調整方法が用いられる場合、標準軸線121の位置合わせの簡略化が図られる。
前述した参照物122からの反射ビームに対応する測定点の第1〜第4の選択手法を、図17を参照して詳細に説明する。
第1の選択手法では、N個の全測定点のうち、受信電界強度が最大である測定点ψMAXが仮に選択され、仮選択された測定点ψEMAXの受信電界強度EMAXが予め定める第1の基準強度EC1と比較される。仮選択された測定点ψEMAXの受信電界強度EMAXが第1の基準強度EC1以上である場合だけ、仮選択された測定点ψEMAXが、参照物122からの反射ビームに対応するピーク部分125上の測定点として選択される。
第1の選択手法が用いられるのは、標準軸線121の位置合わせのために準備された空間内において、車両13から基準距離RCだけ離れた位置にある物体からの反射ビームのうち、参照物122からの反射ビームの受信電界強度が最も強いと予想されるためである。これによって、参照物122からの反射ビームに対応するピーク部分125上の測定点を最も容易に選択することができる。第1の基準強度EC1は、たとえば、車両13から基準距離RCだけ離れた位置にある参照物122からの反射ビームの受信電界強度の予想される最低値になるように、設定されている。
第2の選択手法としては、全測定点をプロットした2次元分布グラフにおいて全測定点を通る近似曲線内、すなわち前述した基準距離RCにおける放射角度φに対する受信電界強度Eの分布曲線126内のピーク部分に相当する角度範囲が仮選択され、仮選択された角度範囲の幅WPが予め定める基準幅WPCと比較される。具体的には、ピーク部分相当の角度範囲として、N個の全測定点のうち、受信電界強度が予め定める第2の基準強度EC2以上の測定点だけを含む角度範囲が仮選択される。好ましくは、仮選択される角度範囲の下限値が、該角度範囲に含まれる測定点の放射角度のうちの最小値φpMIMに設定され、仮選択される角度範囲の上限値が、該角度範囲に含まれる測定点の放射角度のうちの最大値φpMAXに設定される。仮選択された角度範囲の幅WPが基準幅WPC未満である場合だけ、仮選択された角度範囲内の全測定点が、参照物122からの反射ビームに対応するピーク部分125上の測定点として選択される。
第2の選択手法が用いられるのは、参照物122は点ターゲットと見なされる物体であるため、前述の分布曲面124において、他の物体に対応するピーク部分よりも、参照物122に対応するピーク部分125のほうが、急峻であると予想されるためである。これによって、参照物122からの反射ビームに対応する測定点を精度良く選択することができる。第2の基準強度EC2は、好ましくは、前述の2次元分布グラフの雑音成分を越える程度の値に設定される。基準幅WPCは、たとえば、車両13から基準距離RCだけ離れた位置にある参照物122からの反射ビームに対応するピーク部分125の幅の予想される最大値になるように、設定されている。
第3の選択手法としては、まず、全測定点をプロットした2次元分布グラフにおいて、前述の分布曲線126内のピーク部分相当の角度範囲が仮選択され、角度範囲の幅WPが基準幅WPCと比較される。角度範囲の仮選択方法および幅WPの比較方法は、第2の選択手法と等しい。次いで、仮選択された角度範囲内の測定点の近似曲線の傾きAψが求められ、求められた傾きが予め定める基準の傾きと比較される。傾き算出のために、仮選択された単一角度範囲内の全測定点のうち、受信電界強度が最大の測定点ψMAXと最小の測定点ψMIMとが選択され、2次元分布グラフの座標系において最小の測定点と最大の測定点とを通る仮想直線の傾きが算出され、算出された傾きが近似曲線の傾きAψと見なされる。仮選択された角度範囲の幅が基準幅未満であり、かつ該角度範囲内の測定点の近似曲線の傾きAψが基準傾きAψC以上である場合だけ、仮選択された角度範囲内の全測定点が、参照物122からの反射ビームに対応するピーク部分125の測定点として選択される。
第3の選択手法が用いられるのは、他の物体に対応するピーク部分よりも、参照物122に対応するピーク部分125のほうが、急峻であると予想されるためである。これによって、参照物122からの反射ビームに対応するピーク部分125上の測定点をより精度良く選択することができる。基準の傾きAψCは、たとえば、車両13から基準距離RCだけ離れた位置にある参照物122からの反射ビームに対応するピーク部分125の傾きの予想される最小値になるように、設定されている。
第4の選択手法としては、まず、全測定点をプロットした2次元分布グラフにおいて、前述の分布曲線126内のピーク部分に相当する角度範囲が仮選択されされ、仮選択された角度範囲の幅WPが基準幅WPCと比較され、かつ該角度範囲内の測定点の近似曲線の傾きAψが基準傾きAψCと比較される。角度範囲の仮選択方法およびピーク部分125の傾き算出方法は、第3の選択手法と等しい。さらに、仮選択された角度範囲内に含まれる測定点の数が計数され、計数された測定点の数が予め定める基準個数と比較される。仮選択された角度範囲の幅が基準幅未満であり、該角度範囲内のピーク部分125の傾きAψが基準傾きAψC以上であり、かつ該角度範囲内の測定点の個数が基準個数未満である場合だけ、仮選択された角度範囲内の全測定点が、参照物122からの反射ビームに対応する測定点として選択される。
第4の選択手法が用いられるのは、前述の2次元分布グラフにおいて、他の物体に対応するピーク部分125よりも、参照物122に対応するピーク部分125のほうが、急峻であると予想されるためである。これによって、参照物122からの反射ビームに対応するピーク部分125上の測定点を、さらにより精度良く選択することができる。基準個数は、たとえば、車両13から基準距離RCだけ離れた位置にある参照物122からの反射ビームに対応するピーク部分125上にある測定点の予想される最大値になるように、設定されている。
上述した第1〜第4の選択手法において、測定点の受信電界強度の最大値、角度範囲の幅、角度範囲内の全測定点の近似曲線の傾き、および角度範囲内の測定点の数は、分布曲面124内の仮選択されたピーク部分の形状を表すパラメータである。ビームを反射する物体が車両13から遠ざかるほど、該物体に対応するピーク部分の極大値が小さくなり、かつピーク部分がブロードになる。このために、さらに好ましくは、第1〜第4の各選択手法においてパラメータと比較される各種の閾値は、車両13から参照物122までの距離RTARGETに応じて設定される。たとえば車両13から参照物122までの距離RTARGETが大きくなるほど、第1の基準強度EC1は小さくなる。またたとえば車両13から参照物122までの距離RTARGETが大きくなるほど、ピーク部分の角度範囲の基準幅WPCが広くなり、ピーク部分の基準の傾きAψCが小さくなり、角度範囲内の測定点の基準個数が多くなる。これによって、車両13から参照物122までの距離RTARGETに係わらず、参照物122からの反射ビームに対応する測定点を精度良く選択することができるので、標準軸線121の位置合わせの精度が向上する。
なお第4の実施の形態において、レーダ装置1が光軸調整モードを有する代わりに、第4の実施の形態の取付け角度調整方法に従って動作する検査装置が別途用意され、図14のレーダ装置1は、図9の構成の他に、レーダ装置1内の処理回路24の処理結果を出力するための出力端子を含む構成になっていてもよい。この場合、レーダ装置1の出力端子に、検査装置内の処理手段が接続される。検査装置の処理手段は、取付け姿勢調整のために、レーダ装置1のレーダ手段25および駆動手段5の動作を制御し、かつレーダ装置1の処理手段の処理結果を解析して、解析結果を検査装置の表示手段に表示させる。
第4の実施の形態において、参照物122に代わって、図6〜図8で説明したビーム暗室66の対向壁69が用いられてもよい。さらにまた、参照物122とレーダ装置1との間に、好ましくは、図1〜図5で説明した減衰部材が少なくとも1枚介在されている。これによって、より狭い空間における標準軸線121の位置合わせが可能になる。また第4の実施の形態では、略水平な方位平面内においてビームを走査する構成のレーダ装置1について説明したが、ビームを走査する構成のレーダ装置1であれば、これに限らず、ビームの仰角および俯角が変化する構成のレーダ装置1においても、第4の実施の形態の取付け位置調整方法は適用可能である。また駆動手段がないレーダ装置1において、ビームによる車両前方空間の走査のために、車両に対するレーダ手段25の取付け姿勢を調整手段12によって変化させつつビームが放射され、初期の取付け姿勢における標準軸線の位置を測角の基準としてもよい。
本発明は、次の実施の形態が可能である。
(1)車両に設けられ、前方に向けてビームを放射し、被検出物体による反射ビームを受信して、被検出物体を検出するレーダ手段と、レーダ手段を車両に取付ける姿勢を調整可能に、取付ける調整手段とを含む車両用レーダ装置の取付け角度調整方法において、車両から前方に間隔をあけて予め定める基準位置に、調整用受信アンテナを配置し、調整用受信アンテナの出力に関連する信号を表示する表示手段を、調整手段の近傍に配置し、表示手段の出力を観察しつつ、調整手段を調整することを特徴とする車両用レーダ装置の取付け角度調整方法。
車両のたとえば前部に、調整手段によって取付け姿勢が調整可能にレーダ手段が取付けられる。このレーダ手段から車両の前方に放射されるビームは、その車両の前方の予め定める基準位置に配置された調整用受信アンテナで受信される。基準位置というのは、車両の直線走行方向の軸線を含む鉛直面に平行であって、レーダ手段を通る軸線上にあり、すなわちレーダ手段の前方の正面位置であってもよい。すなわち予め定める基準位置というのは、車両の直線走行方向の軸線を含む鉛直面に平行である直線上の位置であって、たとえばレーダ手段の前方正面であってもよい。調整用受信アンテナによって受信された調整用受信アンテナの出力は、そのまま直接に、または演算処理されるなどして、表示手段に与えられて表示される。この表示手段は、車両のレーダ装置が装着される調整手段の近傍に配置される。作業者は、表示手段の出力を観察しつつ、調整手段を調整する。
したがって調整用受信アンテナが、上述のようにレーダ手段からのビームを受信して、その調整用受信アンテナの出力に関連する信号が、表示手段に表示されるので、レーダ手段と調整用受信アンテナとの間のビームの通る経路以外の場所に建物およびそのほかの障害物が存在しても、調整用受信アンテナの出力が変化されるおそれはない。これによってレーダ手段の取付け姿勢を調整手段によって車両に正確に調整して車両に装着することができるようになる。レーダ手段は、放射されるビームが車両の直線走行方向の軸線に平行な軸線を常に有するように、調整されるようにしてもよい。またレーダ手段において、たとえば鉛直である縦の軸線まわりに、ほぼ水平面内で、ビームが走査される場合、その前記縦の軸線まわりの角度φの予め定める値が車両の前記軸線を含む鉛直面に平行な方向にある物体の測角結果に一致するように、レーダ手段を調整手段によって調整することもまた、可能である。
車両用レーダ装置のビームを放射するレーダ手段を、車両に取付ける姿勢、すなわち取付ける角度を、その車両の前方に広大な空間を必要とすることなく、狭い空間であっても、調整することができるようになる。すなわち本発明では、レーダ手段からのビームを、調整用受信アンテナで受信し、調整手段の近傍に配置された表示手段で、その調整用受信アンテナの出力に関連する信号を表示するようにしたので、調整作業を容易に行うことができ、付近の建物などによるビームの反射による外乱を防ぐことができる。
(2)レーダ手段と調整用受信アンテナとの間に、ビームの強度を減衰して透過する減衰部材を介在させることを特徴とする車両用レーダ装置の取付け角度調整方法。
レーダ手段と調整用受信アンテナとの間に、減衰部材を介在したので、レーダ手段からのビームが減衰部材によって減衰されて調整用受信アンテナに到達する。したがって受信アンテナで大きな強度を有するビームが受信されることを防ぎ、レーダ手段と調整用受信アンテナとの距離をできるだけ短縮し、作業空間をさらに狭くてもすむようにできる。減衰部材は、電磁波を部分的に吸収して透過し、その入射ビームと減衰部材を透過した出射ビームとが平行となるように、入射面と出射面とが平行な平板状である構成を有してもよい。
レーダ手段と調整用受信アンテナとの間に減衰部材を介在させ、ビームの強度を減衰するようにしたので、レーダ手段と調整用受信アンテナとの距離をできるだけ短縮し、作業空間がさらに狭くても済むようにできる。
(3)車両に設けられ、前方に向けてビームを放射し、被検出物体による反射ビームを受信して、被検出物体を検出するレーダ手段と、レーダ手段を、車両に取付ける姿勢を調整可能に、取付ける調整手段とを含む車両用レーダ装置の取付け角度調整方法において、車両から前方に間隔をあけて予め定める基準位置に、被検出物体を配置し、レーダ手段と被検出物体との間に、ビームの強度を減衰して透過する減衰部材を介在させ、レーダ手段の反射ビームに対応して調整手段を調整することを特徴とする車両用レーダ装置の取付け角度調整方法。
車両に搭載されたレーダ手段からのビームは、減衰部材を透過して、車両の前方の基準位置に配置された被検出物体によって反射され、その反射ビームは、再び減衰部材を透過し、レーダ手段によって受信される。こうしてレーダ手段からのビームは、減衰部材を合計2回、透過し、大きく減衰されることになる。したがって車両に搭載されたレーダ手段と被検出物体との間の距離をできるだけ短くし、その作業空間が狭くても、調整手段によるレーダ手段の取付け角度の調整作業を正確に行うことができ、建物などによるノイズによって誤調整をきたすおそれがない。
レーダ手段と被検出物体との間に減衰部材が介在し、この減衰部材は特に、レーダ手段のビームが放射される前方の近傍位置に配置される。こうしてレーダ手段によって被検出物体による反射ビームを、大きく減衰して受信することができるようになる。これによって作業空間を狭くして、レーダ手段の取付け角度の調整作業を正確に行うことができ、周囲の建物などによるノイズによって誤調整をきたすおそれがない。
(4)車両に設けられ、前方に向けてビームを放射し、被検出物体による反射ビームを受信して、被検出物体を検出するレーダ手段と、レーダ手段を、車両に取付ける姿勢を調整可能に、取付ける調整手段とを含む車両用レーダ装置の取付け角度調整方法において、ビーム暗室内に車両の前部を臨ませ、このビーム暗室の車両前方正面に、ビームを入射方向に反射するビーム反射部材を配置し、レーダ手段の反射ビームに対応して調整手段を調整することを特徴とする車両用レーダ装置の取付け角度調整方法。
レーダ装置の車両への取付け姿勢調整のために、ビーム暗室が準備される。このビーム暗室というのは、レーダ手段が装着された車両の前部が臨み、レーダ手段から放射されるビームのうち、その車両前方正面に配置されたビーム反射部材に向かう成分以外の成分を吸収するように構成される。ビーム反射部材で反射されたビームは、レーダ手段によって受信される。こうしてレーダ手段の受信された反射ビームに対応して調整手段を調整し、レーダ手段の車両への取付け姿勢を調整することができる。
こうしてレーダ手段から放射されたビームが、周囲の建物などに向かうことはなく、そのような建物などに反射されることはなく、ビーム暗室内でビーム反射部材以外に向かって放射されるビーム成分が吸収されるため、ビーム反射部材による反射ビームだけがレーダ手段に戻されることになるので、レーダ手段とビーム反射部材との間の距離を比較的短くして、広大な作業空間を必要とすることなく、取付け角度の調整作業を行うことができる。
車両の前方にビーム暗室を配置し、該ビーム暗室内のビーム反射部材によってレーダ手段からの放射ビームと被検出物体による反射ビームとを一仮想平面内で平行として、レーダ手段に受信させる。これによって、取付け角度の調整作業を狭い空間においても行うことができるようになる。
(5)車両に設けられ、前方に向けてビームを放射し、被検出物体による反射ビームを受信して、被検出物体を検出するレーダ手段と、レーダ手段を、車両に取付ける姿勢を調整可能に、取付ける調整手段とを含む車両用レーダ装置の取付け角度調整方法において、車両の前方であって車両から離れた位置に、参照物を配置し、車両前方に向かって、放射方向を変化させつつ、ビームを放射し、参照物からの反射ビームを含む電磁波を、レーダ手段において受信し、ビームの放射方向と車両からの離反距離とに対する受信された電磁波の受信電界強度の分布を示す分布曲面内にあり極大点を個別に含む全ピーク部分のうちから、参照物からの反射ビームに対応するピーク部分を抽出し、抽出されたピーク部分に応じて、調整手段を調整させることを特徴とする車両用レーダ装置の取付け角度調整方法。
参照物を車両前方に配置した状況下における車両前方の空間へのビーム走査に応答して、ビーム放射方向と離反距離とに対する受信電磁波の受信電界強度の分布曲面が求められる。求められた分布曲面内の全ピーク部分のうち、参照物からの反射ビームに対応するピーク部分だけが、車両用レーダ装置の車両に対する取付け姿勢の調整に利用される。この結果、分布曲面内に参照物以外の物体からの反射ビームに起因するピーク部分が存在しても、該ピーク部分に基づいたレーダ装置の取付け姿勢の調整の実行が、未然に防止される。これによって、車両物と車両とが設置された空間に他の物体があるかどうかに関わらず、レーダ装置の取付け姿勢の調整誤りが減少するので、狭い空間においてレーダ装置の取付け姿勢調整を正確に行うことが可能になる。
車両用レーダ装置の取付け角度調整方法において、参照物を車両前方に配置した状態で、車両前方の空間をビームが走査される。ビーム走査と並行して受信された車両前方からの電磁波の受信電界強度のビーム放射方向と離反距離とに対する分布曲面において、全ピーク部分のうち、参照物からの反射ビームに対応するピーク部分だけに応じて、車両用レーダ装置の車両に対する取付け姿勢が調整される。これによって、狭い空間においてレーダ装置の取付け姿勢調整を正確に行うことが可能になる。
(6)参照物からの反射ビームに対応するピーク部分の抽出時に、前記分布曲面内の予め定める基準距離における放射角度に対する受信電界強度の分布を示す分布曲線上の複数の点を、測定点として求め、求められた全測定点のうち、受信電界強度が最大である測定点を選択し、選択された測定点の受信電界強度を予め定める第1基準強度と比較し、選択された測定点の受信電界強度が第1基準強度以上である場合だけ、前記分布曲面内の選択された測定点を含むピーク部分が参照物からの反射ビームに対応していると判定することを特徴とする車両用レーダ装置の取付け角度調整方法。
ピーク部分抽出時に、基準距離における放射角度に対する受信電界強度の分布曲線上の複数の測定点が求められる。基準距離は、好ましくは、車両から参照物までの距離と等しい。全測定点の受信電界強度に基づいて、参照物からの反射ビームに対応するピーク部分が、分布曲面内から求められる。これによって、参照物からの反射ビームに対応しているピーク部分が、容易かつ正確に抽出される。
ピーク部分抽出時に、基準距離における放射角度に対する受信電界強度の分布を示す分布曲線上の複数の測定点のうちの受信電界強度が最大の測定点に基づいて、参照物からの反射ビームに対応するピーク部分が求められる。これによって、参照物からの反射ビームに対応するピーク部分が容易かつ正確に抽出される。
(7)参照物からの反射ビームに対応するピーク部分の抽出時に、前記分布曲面内の予め定める基準距離における放射角度に対する受信電界強度の分布を示す分布曲線上の複数の点を、測定点として求め、求められた全測定点のうちの受信電界強度が雑音成分以上である測定点だけを含む角度範囲を求め、求められた角度範囲の幅を予め定める基準幅と比較し、求められた角度範囲の幅が基準幅未満である場合だけ、前記分布曲面内の該角度範囲内の測定点を含むピーク部分が参照物からの反射ビームに対応していると判定することを特徴とする車両用レーダ装置の取付け角度調整方法。
ピーク部分抽出時に、全測定点のうちの受信電界強度が雑音成分以上の測定点だけを含む角度範囲の幅に基づいて、参照物からの反射ビームに対応しているピーク部分が、分布曲面内から求められる。これによって、参照物からの反射ビームに対応しているピーク部分が、精度良く抽出される。
ピーク部分抽出時に、前記複数の測定点に基づき、受信電界強度が雑音成分以上である測定点だけを含む角度範囲が求められ、該角度範囲の幅と、該角度範囲内の測定点の近似曲線の傾きと、該角度範囲内の測定点の個数とのうちの少なくとも1つに基づいて、参照物からの反射ビームに対応しているピーク部分が求められる。これによって、ピーク部分の抽出精度が向上する。
(8)参照物からの反射ビームに対応するピーク部分の抽出時に、前記分布曲面内の予め定める基準距離における放射角度に対する受信電界強度の分布を示す分布曲線上の複数の点を、測定点として求め、求められた全測定点のうちの受信電界強度が雑音成分以上である測定点だけを含む角度範囲を求め、求められた角度範囲の幅を予め定める基準幅と比較し、かつ該角度範囲内の全測定点の近似曲線の傾きを予め定める基準傾きと比較し、求められた角度範囲の幅が基準幅未満であって傾きが基準傾き以上である場合だけ、前記分布曲面内の該角度範囲内の測定点を含むピーク部分が参照物からの反射ビームに対応していると判定することを特徴とする車両用レーダ装置の取付け角度調整方法。
ピーク部分抽出時に、全測定点のうちの受信電界強度が雑音成分以上である測定点だけを含む角度範囲の幅と該角度範囲内の測定点の近似曲線の傾きとに基づいて、参照物からの反射ビームに対応しているピーク部分が、分布曲面内から求められる。これによって、参照物からの反射ビームに対応しているピーク部分が、より精度良く抽出される。
(9)参照物からの反射ビームに対応するピーク部分の抽出時に、前記分布曲面内の予め定める基準距離における放射角度に対する受信電界強度の分布を示す分布曲線上の複数の点を、測定点として求め、求められた全測定点のうちの受信電界強度が雑音成分以上である測定点だけを含む角度範囲を求め、求められた角度範囲の幅を予め定める基準幅と比較し、該角度範囲内の全測定点の近似曲線の傾きを予め定める基準傾きと比較し、かつ該角度範囲内の測定点の個数を予め定める基準個数と比較し、求められた角度範囲の幅が基準幅未満であり、傾きが基準傾き以上であり、かつ測定点個数が基準個数未満である場合だけ、前記分布曲面内の該角度範囲内の測定点を含むピーク部分が参照物からの反射ビームに対応していると判定することを特徴とする車両用レーダ装置の取付け角度調整方法。
ピーク部分抽出時に、全測定点のうちの受信電界強度が雑音成分以上である測定点だけを含む角度範囲の幅と該角度範囲内の測定点の近似曲線の傾きと該角度範囲内の測定点の個数とに基づいて、参照物からの反射ビームに対応しているピーク部分が、分布曲面内から求められる。これによって、参照物からの反射ビームに対応しているピーク部分が、さらに精度良く選択される。
(10)参照物からの反射ビームに対応するピーク部分の抽出時に、前記分布曲線内の極大値を含むピーク部分の形状を示すパラメータを求め、求められたパラメータと予め定める閾値とを比較し、比較結果に基づき、前記分布曲面内において前記分布曲線の極大値を含むピーク部分が参照物からの反射ビームに対応しているか否かを判断し、閾値は、車両から参照物までの距離に応じて設定されていることを特徴とする車両用レーダ装置の取付け角度調整方法。
ピーク部分抽出時に、分布曲線内のピーク部分の形状を示すパラメータと比較される閾値は、車両から参照物までの距離に応じて設定される。これによって、参照物からの反射ビームに対応しているピーク部分の抽出精度が向上するので、レーダ装置の取付け姿勢の調整精度が向上する。
ピーク部分抽出時に用いられる閾値は、車両から参照物までの距離に応じて設定される。これによって、参照物からの反射ビームに対応しているピーク部分の抽出精度がさらに向上する。
(11)前記抽出された参照物からの反射ビームに対応するピーク部分だけを、表示手段に表示させることを特徴とする車両用レーダ装置の取付け角度調整方法。
参照物からの反射ビームに対応しているピーク部分だけが、作業者への提示のために表示される。これによって、車両物と車両とが設置された空間に他の物体があるかどうかに関わらず、レーダ装置の取付け姿勢の調整誤りがさらに減少する。
参照物からの反射ビームに対応しているピーク部分だけが、作業者に対して目視表示される。これによって、レーダ装置の取付け姿勢の調整誤りがさらに減少する。
(12)前記抽出された参照物からの反射ビームに対応するピーク部分に応じて、レーダ装置から参照物に至る仮想軸線とレーダ装置の予め定める標準軸線との成す角度である測角結果を、さらに求め、参照物の測角結果とレーダ装置の測角結果の予め定めるゼロ点との差を、調整手段による標準軸線の位置合わせが可能な予め定める下限角度と比較し、参照物の測角結果が測角結果のゼロ点から下限角度以上離れている場合、調整手段の調整によって標準軸線の方向を調整すべき旨を、表示手段に表示することを特徴とする車両用レーダ装置の取付け角度調整方法。
参照物の測角結果と測角結果のゼロ点との差が予め定める下限角度以上ある場合だけ、作業者に調整手段を調整させる。これによって、調整手段の物理的調整によって標準軸線の位置合わせが可能な場合だけ、調整手段を用いた標準軸線の位置合わせが行われるので、標準軸線の位置合わせが容易になる。
抽出されたピーク部分に基づいた参照物の測角結果と予め定めるゼロ点との差が基準角度以上ある場合だけ、調整手段を調整すべき旨が作業者に提示される。これによって、標準軸線の位置合わせが容易になる。
(13)前記抽出された参照物からの反射ビームに対応するピーク部分に応じて、レーダ装置から参照物に至る仮想軸線とレーダ装置の予め定める標準軸線との成す角度である測角結果を、さらに求め、参照物の測角結果とレーダ装置の測角結果の予め定めるゼロ点との差を、調整手段による標準軸線の位置合わせが可能な予め定める下限角度と比較し、参照物の測角結果と測角結果のゼロ点との差が下限角度未満に収まる場合、参照物の測角結果と測角結果のゼロ点との差を、物体の測角結果の補正に用いられるオフセット量として記憶し、物体の測角結果が求められた際、求められた測角結果からオフセット量を減算して、減算結果を該物体の測角結果として出力することを特徴とする車両用レーダ装置の取付け角度調整方法。
参照物の測角結果と測角結果のゼロ点との差が基準角度未満である場合、調整手段の物理的調整に代わって、オフセット量の設定が行われる。オフセット量設定以後に行われる物体の測角結果算出時に、算出された測角結果がオフセット量によって補正される。これによって、調整手段の物理的調整による標準軸線の位置合わせが困難な場合、調整手段の物理的調整を行わなくても、標準軸線の位置合わせが行われた場合と同じ測角結果を得ることが可能になる。
参照物の測角結果と測角結果のゼロ点との差が基準角度未満である場合、調整手段の物理的調整に代わって、物体測角結果の補正に用いるオフセット量の設定が行われる。これによって、調整手段の物理的調整による標準軸線の位置合わせが困難な場合、調整手段の物理的調整を行わなくても、標準軸線の位置合わせが行われた場合と同じ測角結果を得ることが可能になる。