JP2005090698A - 自在継手用ブーツ - Google Patents

Abstract

【課題】 組立性の良好な自在継手用ブーツを提供する。
【解決手段】 蛇腹部と、前記蛇腹部の一端に設けられた、相対移動する２部材の一方の部材を収納するケースが挿入される開口部２と、を有するブーツ本体１と、前記開口部２の内周面に取り付けられ、前記内周面とほぼ同形状の外周面を有する環状のアダプタ２０と、を備える自在継手用ブーツ１０であって、前記アダプタ２０は、前記ブーツ本体１の開口部２の内周面から押圧され前記ケースに固定される固定部２４と、前記開口部２を挟んで前記固定部と反対側に位置し、前記開口部２を前記固定部との間で挟持する反転部２６と、前記反転部２６を外側に折り返す折り返し部２５と、を有する。
【選択図】 図１

Description

本発明は、可動機構部を保護するためのブーツに関し、特に、自動車や産業機械における自在継手の可動機構部を保護する自在継手用ブーツに関する。

従来、この種のブーツとしては、伸縮変形自在な蛇腹部と、この蛇腹部の軸方向一端に形成された大径の環状の取付部と、軸方向他端に形成された小径の環状の取付部とを有し、熱可塑性エラストマー等の材料を用いてブロー成形により成形されたものがある。

この種のブーツは、大径側の取付部が相対的に移動可能な２部材のうちの一方の軸側の端部外周面にクランプにより締め付け固定されると共に、小径側の取付部が他方の軸の外周面にもう一つのクランプで締め付け固定される。

そしてこれによって、２部材間の相対移動にともない蛇腹部が柔軟に変形しながら、２部材間の可動機構部に外部から異物が侵入するのを防止すると共に、該可動機構部に充填した潤滑用のグリース等が外部へ漏洩するのを防止するものである。

上述のブーツとしては、自動車の駆動伝達に使用される等速ジョイントを保護するために用いられるブーツが知られている。また、ブーツが取り付けられるジョイントカップの固定部の外周形状が円筒形でなく、３箇所の湾曲した凹部を有する異形（トリポッド）形状の場合がある。この場合、従来のブーツでは、カップの固定部外周の形状に合わせてブーツの固定部内周をトリポッド形状とすると共に、ブーツの固定部外周を円筒形状としていた。そして、ブーツの固定部外周をバンドで締め付け、ブーツをカップに固定していた。

また、ブーツとカップが共に硬い材料の場合、固定部における各部材間の隙間を無くすために、ブーツとカップとの間に、軟らかくて変形しやすいゴム又は弾性プラスティックからなるアダプタ部材を装着する構成が提案されている（例えば、特許文献１参照）。具体的には、図１０に示すように、ブーツ１０１をトリポッド形状を有するケース（不図示）に取り付けるために、円形の外周面１１１と、ケース固定部外周のトリポッド形状に対応した凸部１１２が形成された内周面１１３と、を備えたアダプタ部材１１０を、ブーツ１０１本体とは別に作製する。そして、アダプタ１１０をブーツ１０１の内側にはめ込み、更にケースに装着することで、等速ジョイントの可動機構部を被覆保護する。

また、等速ジョイントの防塵ブーツ１２６として、合成樹脂によって作られた中空筒状のブーツ本体１２８の開口端縁１２２に環状のゴムブッシュ１３０を取り付けた構成が提案されている（例えば、特許文献２参照）。ゴムブッシュ１３０は、断面形状がコの字状であり、その中央凹溝１３２内に開口端縁１２２が緊密に嵌合している。そして、ゴムブッシュ１３０の外周面に取り付けられた締め付けバンド１３４により、ゴムブッシュ１３０がケースの外周面１１６を圧接している。なお、図１１（ａ）は、防塵ブーツ１２６の断面図、図１１（ｂ）は、（ａ）の点線部の拡大断面図である。

米国特許第６４０２９９９号明細書 実開昭６０−６４３６２号公報

しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。

すなわち、ブーツ本体とアダプタとを別々に作製し、組み付けるため、生産性に問題があった。特に、近年、トリポッド型の等速ジョイントの軽量化対策として、ブーツの材質に軽量な樹脂を用いた場合、ブーツが変形しにくくアダプタとの密着性にも問題があった。

本発明は上記の従来技術の課題を鑑みなされたもので、その目的とするところは、組立性の良好な自在継手用ブーツを提供することである。

上記目的を達成するために本発明にあっては、
谷部と山部とが反復的に連続して形成された伸縮可能な筒状の蛇腹部と、
前記蛇腹部の一端に設けられた、相対移動する２部材の一方の部材を収納するケースが挿入される開口部と、を有するブーツ本体と、
前記開口部の内周面に取り付けられ、前記内周面とほぼ同形状の外周面を有する環状のアダプタと、
を備える自在継手用ブーツであって、
前記アダプタは、
前記ブーツ本体の開口部の内周面から押圧され前記ケースに固定される固定部と、
前記開口部を挟んで前記固定部と反対側に位置し、前記開口部を前記固定部との間で挟持する反転部と、
前記反転部を外側に折り返す折り返し部と、
を有することを特徴とする。

この構成によれば、ブーツ本体にアダプタを組み付けた後にブーツ本体の開口部を挟み込むことができるので、ブーツ本体が変形しにくい材質であっても、容易に組み立てることができる。

また、前記反転部は、前記開口部の外周部を内側に向かって押圧する凸部を有することを特徴とする。

この構成によれば、アダプタは、ブーツ本体をより強固に挟み込むことができ、シール性が向上する。

また、前記固定部の外周は、前記ブーツ本体の内周と接する凹凸面を有することを特徴とする。

この構成によれば、ブーツ本体がアダプタから外れにくくなる。

また、前記反転部から前記折り返し部に向かって切り欠きが設けられていることを特徴とする。

この構成によれば、アダプタが硬くても、反転部を折り返し易くなり、組立性を向上することができる。

また、前記反転部は、前記折り返し部から折り返した状態でバンドを装着する装着部が設けられていることを特徴とする。

この構成によれば、固定部とブーツ本体との間だけでなく、ブーツ本体と反転部との間
でもシールが行われるため、シール性がより向上する。

本発明によれば、組立性が良好な自在継手用ブーツを提供することができる。

以下に図面及び実施例を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての材質、形状などは、特に改めて記載しない限り初めの説明と同様のものである。

はじめに、図２を参照して本実施例に係る自在継手用ブーツを説明する。図２は、本実施例に係るブーツをケースに装着した状態を示す外観斜視図である。

本実施例に係る等速ジョイントに用いる自在継手用ブーツ１０は、ブーツ本体１と、ブーツ本体１に取り付ける環状のアダプタ２０とを有する。ブーツ本体１は、谷部と山部とが反復的に連続して形成された伸縮可能な筒状の蛇腹部と、前記蛇腹部の一端に設けられた、相対移動する２部材の一方の部材を収納するケースが挿入される開口部２と、を有する。また、環状アダプタ２０は、ブーツ本体１の開口部２の内周面に取り付けられ、前記内周面とほぼ同形状の外周面を有する。すなわち、自在継手用ブーツ１０は、ブーツ本体１にアダプタ２０が取り付けられた状態で、相対的に移動可能な２部材のうちの一方の軸部を収納するジョイントカップ（ケース）４０の開口部の外周にはめ込まれ、バンド３０によりカップ４０に固定される。

図１は、実施例１に係る自在継手用ブーツの概略構成図、図３は、実施例１に係るアダプタの半断面図である。

図１、図３に示すように、アダプタ２０は、外周面２１が円形であり、内周面２２が３箇所の湾曲した凸部２３を有する異形（トリポッド）形状である環状の部材である。本実施例に係るアダプタ２０は、ゴム又は弾性を有するプラスティックからなる。より好ましくは、型成形に適したゴム又は合成樹脂を選択すると良い。

アダプタ２０は、例えば、型成形によりまず中空の円筒部材として作製される（図３参照）。円筒部材としてのアダプタ２０は、バンド３０によりブーツ本体１と固定される固定部２４と、折り返し易くするために固定部２４より肉厚を薄くした折り返し部２５と、折り返した後にブーツ本体１の一方の開口部２を挟み込む反転部２６と、を有する。

次に、ブーツ本体１の一方の開口部２からアダプタ２０を所定の位置まで挿入し、折り返し部２５を開口部２を挟み込むように外側に折り返す。このようにすれば、ブーツ本体１はアダプタ２０によりしっかり挟み込まれ、シール性が向上する。また、ブーツ本体１にアダプタ２０を組み付けた後にブーツ本体１の開口部２を挟み込むので、ブーツ本体１が変形しにくい材質であっても、容易に組み立てることができる。

また、反転部２６は、開口部２の縁の外周面を押圧するように凸部２６ａが設けられている。凸部２６ａは、折り返し部２５で反転部２６が折り返された状態でアダプタ２０の内側に向かって突出するよう設けられている。これにより、アダプタ２０は、ブーツ本体１をより強固に挟み込むことができ、シール性が向上する。

また、アダプタ２０が、硬くて変形しにくい材質の場合、反転部２６から折り返し部２５にかけて切り欠き２７を設けてもよい（図４参照）。これにより、アダプタ２０が硬くても、反転部２６を折り返し易くなり、組立性を向上することができる。なお、切り欠き２７の数は、アダプタ２０の材質、大きさ、肉厚により適宜選択可能であるが、好ましくは、等間隔で設けるとよい。このようにすれば、反転部２６を折り返した状態でブーツ本体１の開口部２を均等な力で挟み込むことができる。

また、固定部２４の外周に凹凸面２４ａを設けてもよい（図５参照）。これにより、ブーツ本体１がアダプタ２０から外れにくくなり、ブーツ本体１は、バンド３０によりカップ４０にしっかり固定される。

図６は、実施例２に係る自在継手用ブーツの概略構成図、図７は、実施例２に係るアダプタの半断面図である。なお、以下では、上述の実施例１を異なる構成を中心に説明し、その他は適宜省略する。

実施例に２に係るアダプタ２０は、バンド３０によりブーツ本体１と固定される固定部２４と、折り返し易くするために固定部２４より肉厚を薄くした折り返し部２５と、折り返した後にブーツ本体１の一方の開口部２を挟み込む反転部２６と、を有する。

ここで、反転部２６は、折り返し部２５から折り返した状態で、固定部２４の外周と対向する位置まで延長されている。そして、反転部２６には、バンド３０の装着部２６ｂが設けられている。装着部２６ｂは、折り返し部２５で反転部２６が折り返された状態で反転部２６の外周に設けられている。また、装着部２６ｂは、バンド３０の装着位置がずれないように、反転部２６の一部が全周に渡って窪んでいる。

上述のように、ブーツ本体１の開口部２を固定部２４と反転部２６で挟み込んだ後、装着部２６ｂにバンド３０を装着することで、固定部２４とブーツとの間だけでなく、ブーツ本体１と反転部２６との間でもシールが行われるため、シール性がより向上する。

また、固定部２４の外周に凹凸面を設けてもよい（図８参照）。これにより、ブーツ本体１がアダプタ２０から外れにくくなり、ブーツ本体１は、バンド３０によりカップ４０にしっかり固定される。

また、アダプタ２０の作製時において、反転部２６は、必ずしも固定部に対して直線状である必要はなく、図９に示すように、反転部２６の先端部に向かって徐々に反転部２６の内径が大きくなるようにしてもよい。このようにすれば、折り返しがより容易となり、組立性が良好な自在継手用ブーツを提供することができる。

実施例１に係る自在継手用ブーツの概略構成図である。 本実施例に係るブーツをケースに装着した状態を示す外観斜視図である。 実施例１に係るアダプタの半断面図である。 実施例１に係るアダプタの半断面図である。 実施例１に係るアダプタの半断面図である。 実施例２に係る自在継手用ブーツの概略構成図である。 実施例２に係るアダプタの半断面図である。 実施例２に係るアダプタの半断面図である。 実施例２に係るアダプタの半断面図である。 従来の等速ジョイントを保護するブーツの外観斜視図である。 従来の防塵用ブーツの断面図である。

符号の説明

１ ブーツ本体
２ 開口部
１０ 自在継手用ブーツ
２０ アダプタ
２１ 外周面
２２ 開口端縁
２２ 内周面
２３ 凸部
２４ 固定部
２４ａ 凹凸面
２５ 折り返し部
２６ 反転部
２６ａ 凸部
２６ｂ 装着部
３０ バンド
４０ ジョイントカップ（ケース）

Claims (5)

1. 谷部と山部とが反復的に連続して形成された伸縮可能な筒状の蛇腹部と、
   前記蛇腹部の一端に設けられた、相対移動する２部材の一方の部材を収納するケースが挿入される開口部と、を有するブーツ本体と、
   前記開口部の内周面に取り付けられ、前記内周面とほぼ同形状の外周面を有する環状のアダプタと、
   を備える自在継手用ブーツであって、
   前記アダプタは、
   前記ブーツ本体の開口部の内周面から押圧され前記ケースに固定される固定部と、
   前記開口部を挟んで前記固定部と反対側に位置し、前記開口部を前記固定部との間で挟持する反転部と、
   前記反転部を外側に折り返す折り返し部と、
   を有することを特徴とする自在継手用ブーツ。
2. 前記反転部は、前記開口部の外周部を内側に向かって押圧する凸部を有することを特徴とする請求項１に記載の自在継手用ブーツ。
3. 前記固定部の外周は、前記ブーツ本体の内周と接する凹凸面を有することを特徴とする請求項１又は２に記載の自在継手用ブーツ。
4. 前記反転部から前記折り返し部に向かって切り欠きが設けられていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の自在継手用ブーツ。
5. 前記反転部は、前記折り返し部から折り返した状態でバンドを装着する装着部が設けられていることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の自在継手用ブーツ。

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