JP2005089624A - 熱可塑性重合体組成物、それからなる熱可塑性重合体膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハロゲンを含まない樹脂を用い、環境ホルモンの疑いのない有機溶剤を用い、室温では液体で、熱処理により容易に熱可塑性樹脂の膜を形成させることができる熱可塑性重合体組成物、それから得られる熱可塑性重合体膜の提供。
【解決手段】(a)沸点が150〜180℃であって、成分(b)熱可塑性重合体を溶解しうる有機溶剤、好ましくはテルペン系化合物100重量部、及び(b)熱可塑性重合体5〜100重量部を含有し、好ましくは25℃での粘度が10〜1,000,000mPa・sである室温で液体の熱可塑性重合体組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(a)沸点が150〜180℃であって、成分(b)熱可塑性重合体を溶解しうる有機溶剤、好ましくはテルペン系化合物100重量部、及び(b)熱可塑性重合体5〜100重量部を含有し、好ましくは25℃での粘度が10〜1,000,000mPa・sである室温で液体の熱可塑性重合体組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱可塑性重合体組成物に関し、特に、室温で液体であって、熱処理によって容易に熱可塑性重合体の膜を形成させることができる熱可塑性重合体組成物に関する。
従来、樹脂粉末を可塑剤等に分散した流動性ある高粘度ペースト状物のプラスチゾルは、これをスプレー塗布、デイップ塗布、スクリーン印刷などの手段で物品に塗布した後、熱処理を行うことで、樹脂皮膜が形成され、樹脂フィルム、玩具、手袋、自動車のアンダーコーテイングなどの分野で広く利用されている。
代表的なプラスチゾルとしては、塩化ビニル系樹脂(以下、PVC と略す。)をフタル酸エステル系可塑剤と組み合わせたものが良く知られている。しかしながら、PVCはその構成成分として塩素を含むため、燃焼時発生ガス処理設備の不備等の不適切な条件での燃焼時に発生する塩化水素ガスやダイオキシンによる公害に関する議論があり、また代表的なフタル酸エステル系可塑剤であるジオクチルフタレート(DOP)には環境ホルモンの疑いがあるという説も出ていることから、近年、非PVC、非DOPのプラスチゾルへの転換について議論されている。
代表的なプラスチゾルとしては、塩化ビニル系樹脂(以下、PVC と略す。)をフタル酸エステル系可塑剤と組み合わせたものが良く知られている。しかしながら、PVCはその構成成分として塩素を含むため、燃焼時発生ガス処理設備の不備等の不適切な条件での燃焼時に発生する塩化水素ガスやダイオキシンによる公害に関する議論があり、また代表的なフタル酸エステル系可塑剤であるジオクチルフタレート(DOP)には環境ホルモンの疑いがあるという説も出ていることから、近年、非PVC、非DOPのプラスチゾルへの転換について議論されている。
これらの問題を解決するため、塩化ビニル樹脂系のゾルの代替品として、アクリル系樹脂粒子を可塑剤に分散したアクリル樹脂系プラスチゾルが提案されている。アクリル系プラスチゾルは、主として、アクリル系樹脂と可塑剤とを配合してなるものであるが、アクリル系樹脂の樹脂組成が可塑剤への溶解性の大なるものとすると、得られたプラスチゾルは、急速な粘度上昇を起こしてしまい極めて貯蔵安定性の悪いものとなる。反対に樹脂組成が可塑剤への溶解性の小なるものとすると、粘度上昇を防ぐことができるものの、加熱固化後に経時で可塑剤がブリードアウトしやすいことや、さらにスプレーでの塗布がノズルのつまりにより不可能となるといった問題がある。そのため、例えば、アクリル系樹脂等にアクリル系低分子重合体である可塑成分と官能基を有する架橋剤を加えた貯蔵安定性、シート等の成形性に優れたプラスチゾル組成物(例えば、特許文献1参照。)、アクリレート系重合体固体粒子とそれに適合する特定のフタル酸系可塑剤等の有機可塑剤との組み合わせにより、貯蔵安定性に優れたプラスチゾル(例えば、特許文献2参照。)等の技術が開示されている。しかしながら、いまだ取り扱いが容易なプラスチゾルは得られていない。また、可塑剤として、塩化ビニル樹脂系ゾルで用いるフタル酸系可塑剤を用いると熱処理した後も可塑剤が系内に留まり、接触部材の熱可塑性エラストマー等に可塑剤が移行し性能を低下させる問題があった。
また、ポリオレフィン樹脂等を主成分として用いる被覆鋼管用アンダーコート材として、ナフテン系原油より抽出された流動性を有する官能基を有する重質レジン、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂および/またはエチレンアクリレート共重合樹脂、天然ロジン、無定形ポリプロピレンからなるポリオレフィン用粘着剤(例えば、特許文献3参照。)、自動車アンダーコート剤等に用いる水を分散媒とした水性エマルジョン系塗料として、ラテックスにポリエチレンやエチレンアクリル酸共重合体等の粉末状熱可塑性樹脂を配合した塗料(例えば、特許文献4参照。)が開示されているが、特許文献3においては、熱可塑性樹脂を溶融するナフテニックレジンは、高分子量であることから極めて粘度が高く取り扱いが難しい(スプレーで塗布できない)という問題を有し、特許文献4においては、ラテックス自体がアンモニア臭を有し、重合体の分散系が水であり、さらにこのような水性エマルジョンは、取り扱い作業者にアレルギー発生の原因となると言われ、かつエマルジョンの粘度が低いため用途によりたれ落ちが問題となり、粘度上昇自体が難しいという問題を有している。
さらに、ポリオレフィン系樹脂の微粉をパラフィンオイルに混合したものでは、成形後ブリードする等、用途によっては問題があった。また、室温で液体でないため作業上、加熱しながらのスプレーによる塗布は温度コントロ−ルが難しく、ノズルのつまり等のトラブルがあり、用途によっては実用的ではなかった。
特開2002−030193号公報
特公昭55−16177号公報
特開昭50−69133号公報
特開平7−166099号公報
さらに、ポリオレフィン系樹脂の微粉をパラフィンオイルに混合したものでは、成形後ブリードする等、用途によっては問題があった。また、室温で液体でないため作業上、加熱しながらのスプレーによる塗布は温度コントロ−ルが難しく、ノズルのつまり等のトラブルがあり、用途によっては実用的ではなかった。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ハロゲンを含まない樹脂を用い、環境ホルモンの疑いのない有機溶剤を用い、室温では液体で、熱処理により容易に熱可塑性樹脂の膜を形成させることができる熱可塑性重合体組成物、それから得られる熱可塑性重合体膜を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、植物由来のテルペン系化合物がオレフィン系重合体、スチレン系重合体等の熱可塑性重合体に対して優れた溶解力があること、また沸点が150〜170℃と低いために熱処理時に容易に揮発することに注目し、テルペン系化合物にオレフィン系重合体、スチレン系重合体等を溶解させた熱可塑性重合体組成物は、室温で液体で、100℃以上の熱処理で容易に製膜できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、(a)沸点が150〜180℃であって、成分(b)熱可塑性重合体を溶解しうる有機溶剤100重量部、及び
(b)熱可塑性重合体5〜100重量部
を含有することを特徴とする熱可塑性重合体組成物が提供される。
(b)熱可塑性重合体5〜100重量部
を含有することを特徴とする熱可塑性重合体組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、成分(a)がテルペン系化合物であることを特徴とする熱可塑性重合体組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、成分(a)がテレピン油及び/又はリモネンを主成分とするオレンジ油であることを特徴とする熱可塑性重合体組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、成分(b)が、オレフィン系重合体、スチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性重合体であることを特徴とする熱可塑性重合体組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、25℃で単一円筒回転粘度計を用いて測定した粘度(JIS K 7233に準拠)が10〜1,000,000mPa・sの液体であることを特徴とする熱可塑性重合体組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、さらに、成分(a)100重量部に対し、(c)アルコール系溶媒0.1〜150重量部を含有することを特徴とする熱可塑性重合体組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、成分(c)が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールから選ばれる少なくとも一種のアルコールであることを特徴とする熱可塑性重合体組成物が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第6又は7の発明において、成分(c)が、イソプロピルアルコールであることを特徴とする熱可塑性重合体組成物が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明の熱可塑性重合体組成物からなるアンダーコート剤が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明の熱可塑性重合体組成物から形成させることを特徴とする熱可塑性重合体膜が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明の熱可塑性重合体組成物を、熱処理することを特徴とする熱可塑性重合体膜の形成方法が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明の熱可塑性重合体組成物を含有する塗料を被塗装物に塗布後、熱処理して被塗装物表面に熱可塑性重合体の塗膜を形成させる塗装方法が提供される。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、ハロゲンを含まない樹脂を用い、環境ホルモンの疑いのない有機溶剤を用い、室温では液体で、熱処理により容易に熱可塑性樹脂樹脂の製膜ができる。
本発明を以下に詳しく説明する。
1.熱可塑性重合体組成物の構成成分
(a)沸点が150〜180℃であって、成分(b)を溶解しうる有機溶剤
本発明の熱可塑性重合体組成物で用いる(a)有機溶剤は、熱可塑性樹脂を室温(23℃)あるいは加熱下に溶解し、室温に戻しても液状で存在できる溶解力を有し、かつ加熱下においては容易に揮発する有機溶剤である。
成分(a)の有機溶剤の沸点は、150〜180℃であり、好ましくは160〜180℃である。沸点が150℃未満では、揮発成分が多くなり、製品に気泡が発生しやすくなると同時に貯蔵性が悪化し、180℃を超えると、熱処理により溶剤が揮発しにくくなり、製品外観、機械強さが悪化する。
1.熱可塑性重合体組成物の構成成分
(a)沸点が150〜180℃であって、成分(b)を溶解しうる有機溶剤
本発明の熱可塑性重合体組成物で用いる(a)有機溶剤は、熱可塑性樹脂を室温(23℃)あるいは加熱下に溶解し、室温に戻しても液状で存在できる溶解力を有し、かつ加熱下においては容易に揮発する有機溶剤である。
成分(a)の有機溶剤の沸点は、150〜180℃であり、好ましくは160〜180℃である。沸点が150℃未満では、揮発成分が多くなり、製品に気泡が発生しやすくなると同時に貯蔵性が悪化し、180℃を超えると、熱処理により溶剤が揮発しにくくなり、製品外観、機械強さが悪化する。
成分(a)としては、上記のような性能を有するものであれば、特に制限はないが、熱可塑性樹脂を溶解する能力と沸点の関係からテルペン系化合物が好ましい。
テルペン系化合物は、主として北米や中国本土に産するアカマツ、クロマツの立木から採取した生松脂を水蒸気蒸留して得られる精油、また同樹のパルプ生産の副生物のテレピン油、あるいはオレンジの皮から抽出される精油またはこれらの精油から異性化反応等により誘導されたオレンジ油等から得られ、具体的には、炭素数10からなるテルペン系炭化水素、テルペンエーテルが挙げられる。
テルペン系化合物は、主として北米や中国本土に産するアカマツ、クロマツの立木から採取した生松脂を水蒸気蒸留して得られる精油、また同樹のパルプ生産の副生物のテレピン油、あるいはオレンジの皮から抽出される精油またはこれらの精油から異性化反応等により誘導されたオレンジ油等から得られ、具体的には、炭素数10からなるテルペン系炭化水素、テルペンエーテルが挙げられる。
炭素数10からなるテルペン系炭化水素としては、ミルセン(沸点167℃)、カレン(沸点167℃)、オシメン、ピネン(沸点155℃)、リモネン(沸点176℃)、カンフェン(沸点160℃)、テルピノレン(沸点187℃)、トリシクレン(沸点153℃)、テルピネン(沸点170〜180℃)、フェンチェン(沸点150〜155℃)、フェランドレン(沸点170〜175℃)、シルベストレン(沸点175℃)、サビネン(沸点163℃)、P−メンテン−1(カルボメンテン)(沸点176℃)、P−メンテン−3(沸点168℃)、P−サイメン、P−メンタン(沸点168℃)等が挙げられる。そのなかでも特に、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、P−メンテン−1、P−メンテン−3、P−サイメン、P−メンタンが好ましい。
炭素数10からなるテルペンエーテルとしては、1,4−シネオール(沸点173℃)、1,8−シネオール(沸点173℃)、ピノール(沸点180℃)等が挙げられる。その中でも特に、1,4−シネオール、1,8−シネオールから選ばれた少なくとも1種類が好ましい。
(b)熱可塑性重合体
本発明の熱可塑性重合体組成物で用いる熱可塑性重合体は、上記(a)有機溶剤に室温(23℃)あるいは加熱下に溶解し、常温に冷却した後においても該有機溶剤の溶液状態中に安定して存在することのできる樹脂であれば、何ら制限されない。
具体的には、例えば、ポリエチレン又はエチレンを主体とする共重合体、ポリプロピレン又はプロピレンを主体とする共重合体等のポリオレフィン系樹脂、環状オレフィンコポリマー等の環状炭化水素系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂、アクリロニトリル・共役ジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸エステル・スチレン共重合体(MS樹脂)、メタクリル酸エステル・共役ジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、スチレン・無水マレイン酸共重合体(SMA樹脂)、スチレン・共役ジエン共重合体及びその水素添加共重合体(SBS、SIS、SEBS、SEPS、SBBS)、スチレン系エラストマー組成物(例えば、スチレン・共役ジエン共重合体及び/又はその水素添加共重合体と非芳香族系ゴム用軟化剤、ポリオレフィン系樹脂等から成る組成物))等のポリスチレン系樹脂、ポリアミド、ポリアミド系エラストマー等のポリアミド系樹脂、ポリエステル、ポリエステル系エラストマー等のポリエステル系樹脂、ポリウレタン、ポリウレタン系エラストマー等のポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。好ましくは、ポリエチレン又はエチレンを主体とする共重合体のポリオレフィン系重合体、スチレン・共役ジエン共重合体及びその水素添加共重合体のスチレン系重合体である。
本発明の熱可塑性重合体組成物で用いる熱可塑性重合体は、上記(a)有機溶剤に室温(23℃)あるいは加熱下に溶解し、常温に冷却した後においても該有機溶剤の溶液状態中に安定して存在することのできる樹脂であれば、何ら制限されない。
具体的には、例えば、ポリエチレン又はエチレンを主体とする共重合体、ポリプロピレン又はプロピレンを主体とする共重合体等のポリオレフィン系樹脂、環状オレフィンコポリマー等の環状炭化水素系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂、アクリロニトリル・共役ジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸エステル・スチレン共重合体(MS樹脂)、メタクリル酸エステル・共役ジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、スチレン・無水マレイン酸共重合体(SMA樹脂)、スチレン・共役ジエン共重合体及びその水素添加共重合体(SBS、SIS、SEBS、SEPS、SBBS)、スチレン系エラストマー組成物(例えば、スチレン・共役ジエン共重合体及び/又はその水素添加共重合体と非芳香族系ゴム用軟化剤、ポリオレフィン系樹脂等から成る組成物))等のポリスチレン系樹脂、ポリアミド、ポリアミド系エラストマー等のポリアミド系樹脂、ポリエステル、ポリエステル系エラストマー等のポリエステル系樹脂、ポリウレタン、ポリウレタン系エラストマー等のポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。好ましくは、ポリエチレン又はエチレンを主体とする共重合体のポリオレフィン系重合体、スチレン・共役ジエン共重合体及びその水素添加共重合体のスチレン系重合体である。
上記ポリエチレン又はエチレンを主体とする共重合体としては、高密度ポリエチレン(低圧法ポリエチレン)、低密度ポリエチレン(高圧法ポリエチレン)、線状低密度ポリエチレン(エチレンと少量の好ましくは1〜10モル%のブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などのα−オレフィンとのコポリマー)などのポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体(エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等)等のエチレンと官能基含有モノマーとの共重合体が挙げられ、これらから選ばれた1種又は2種以上が好ましく用いられる。
また、上記(水添)芳香族ビニル化合物−共役ジエン系ブロック共重合体としては、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体又はその水添物である。例えば、A−B、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体又はその水添物を挙げることができる。その中でもトリブロック以上のマルチブロック構造が好ましい。
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、好ましくは芳香族ビニル化合物のみから成るか、または芳香族ビニル化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と、任意成分、例えば共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは共役ジエン化合物のみから成るか、または任意成分、例えば共役ジエン化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
なお、上記ブロック共重合体は、例えば、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは、20〜50重量%含む。
また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは共役ジエン化合物のみから成るか、または任意成分、例えば共役ジエン化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
なお、上記ブロック共重合体は、例えば、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは、20〜50重量%含む。
また、これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、分子鎖中の共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物由来の単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組合せでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
上記(水添)ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体(SEBC)等を挙げることができる。
成分(b)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、5〜100重量部であり、好ましくは10〜80重量部である。配合量が5重量部未満では、粘度が希薄すぎて、垂れ落ちなどが顕著になり、製品外観が悪化し、100重量部を超えると、粘度が濃すぎて成形性(スプレー性、製膜性等)が悪化する。
(c)アルコール系溶媒
本発明の熱可塑性重合体組成物には、必要に応じて、(c)アルコール系溶媒を用いることができる。成分(c)は、成分(a)と相溶し、組成物を低粘度化させると同時に熱処理時に容易に成分(a)を揮発させる機能を有する可塑剤である。
前記成分(c)としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルコール類があげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。これらのうちではメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが好ましく、イソプロピルアルコールが最も好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物には、必要に応じて、(c)アルコール系溶媒を用いることができる。成分(c)は、成分(a)と相溶し、組成物を低粘度化させると同時に熱処理時に容易に成分(a)を揮発させる機能を有する可塑剤である。
前記成分(c)としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルコール類があげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。これらのうちではメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが好ましく、イソプロピルアルコールが最も好ましい。
成分(c)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、0.1〜150重量部が好ましく、より好ましくは5〜80重量部である。配合量が0.1重量部未満では、希釈のための添加効果がなく、150重量部を超えると、成分(b)が析出しやすくなり、ゾル状態が悪化する。
(d)極性可塑剤
本発明の熱可塑性重合体組成物には、必要に応じて、(d)極性可塑剤を用いることができる。成分(d)は、成分(a)と相溶し、組成物を低粘度化させる機能を有する可塑剤で、エステル系の可塑剤が好ましい。
成分(d)としては、例えば、二価アルコールエステル系の可塑剤が挙げられる。
二価アルコールエステルとしては、分岐脂肪族二価アルコールのエステル化合物が挙げられ、特に2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート等が好ましい。
これらの市販品としては、TXIB(イーストマンケミカル社製)、テキサノールCS−12(チッソ社製)が好ましく、中でもTXIB(イーストマンケミカル社製)が特に好ましい。
本発明の熱可塑性重合体組成物には、必要に応じて、(d)極性可塑剤を用いることができる。成分(d)は、成分(a)と相溶し、組成物を低粘度化させる機能を有する可塑剤で、エステル系の可塑剤が好ましい。
成分(d)としては、例えば、二価アルコールエステル系の可塑剤が挙げられる。
二価アルコールエステルとしては、分岐脂肪族二価アルコールのエステル化合物が挙げられ、特に2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート等が好ましい。
これらの市販品としては、TXIB(イーストマンケミカル社製)、テキサノールCS−12(チッソ社製)が好ましく、中でもTXIB(イーストマンケミカル社製)が特に好ましい。
成分(d)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、0.1〜150重量部が好ましく、より好ましくは5〜80重量部である。配合量が0.1重量部未満では、希釈のための添加効果がなく、150重量部を超えると、成分(d)が析出しやすくなり、ゾル状態が悪化する。
(e)その他の成分
なお、本発明の熱可塑性重合体組成物においては、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、ステアリン酸、シリコーンオイル等の離型剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、無機充填剤(アルミナ、タルク、マイカ、ウォラステナイト、クレー)、発泡剤(有機系、無機系、マイクロカプセル系)、難燃剤(水和金属化合物、赤燐、ポリりん酸アンモニウム、アンチモン、シリコーン)などを配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。
また、発泡剤としては、塩化ビニリデン・アクリロニトリルコポリマーを外殻とし、低沸点炭化水素(例えば、イソブタン)を内包した熱膨張性マイクロカプセルであるエクスパンセル(エクスパンセル社製)が好ましく、成分(a)100重量部に対して0.01〜3重量部の範囲で添加し、成形品を軽量化することができる。
なお、本発明の熱可塑性重合体組成物においては、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、ステアリン酸、シリコーンオイル等の離型剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、無機充填剤(アルミナ、タルク、マイカ、ウォラステナイト、クレー)、発泡剤(有機系、無機系、マイクロカプセル系)、難燃剤(水和金属化合物、赤燐、ポリりん酸アンモニウム、アンチモン、シリコーン)などを配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。
また、発泡剤としては、塩化ビニリデン・アクリロニトリルコポリマーを外殻とし、低沸点炭化水素(例えば、イソブタン)を内包した熱膨張性マイクロカプセルであるエクスパンセル(エクスパンセル社製)が好ましく、成分(a)100重量部に対して0.01〜3重量部の範囲で添加し、成形品を軽量化することができる。
2.熱可塑性重合体組成物の製造
本発明の熱可塑性重合体組成物は、成分(a)及び(b)、必要に応じてその他の成分を配合し、120〜180℃で、混合装置にて混合して製造することができる。
上記混合装置としては、特に制限はなく、通常公知の装置、例えば、攪拌機を備えバッチ式又は連続式常圧オートクレーブ等を挙げることができる。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、室温で液体であって、かつ、25±2℃で単一円筒回転粘度計、例えば、ブルックフィールドデジタル粘度計を用いて測定した粘度(JIS K 7233に準拠)が、好ましくは10〜1,000,000mPa・sであり、より好ましくは300〜800mPa・sである液体である。
粘度が10mPa・s未満であると、熱処理時に、垂れ落ちなどの不具合が発生すると同時に、気泡が発生しやすくなり、1,000,000mPa・sを超えると流動せず、成形性(スプレー性、製膜性等)が悪化する。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、成分(a)及び(b)、必要に応じてその他の成分を配合し、120〜180℃で、混合装置にて混合して製造することができる。
上記混合装置としては、特に制限はなく、通常公知の装置、例えば、攪拌機を備えバッチ式又は連続式常圧オートクレーブ等を挙げることができる。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、室温で液体であって、かつ、25±2℃で単一円筒回転粘度計、例えば、ブルックフィールドデジタル粘度計を用いて測定した粘度(JIS K 7233に準拠)が、好ましくは10〜1,000,000mPa・sであり、より好ましくは300〜800mPa・sである液体である。
粘度が10mPa・s未満であると、熱処理時に、垂れ落ちなどの不具合が発生すると同時に、気泡が発生しやすくなり、1,000,000mPa・sを超えると流動せず、成形性(スプレー性、製膜性等)が悪化する。
また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、開放系で、好ましくは100℃以上、より好ましくは140℃以上で、かつ、好ましくは20分間以上、より好ましくは30分間以上熱処理することにより、成分(a)が容易に揮発し、成分(b)熱可塑性重合体の膜を形成させることができる。
3.用途
本発明の熱可塑性重合体組成物は、上述のように室温で液体であり、熱処理によって容易に熱可塑性重合体の膜を形成させることができるので、本発明の熱可塑性重合体組成物を含有する塗料を被塗装物に塗布後、熱処理して被塗装物表面に熱可塑性重合体の塗膜を形成させる塗装方法に用いることができ、特に、塩化ビニル樹脂系ゾル代替の自動車アンダーコート剤等の塗装用材料として用いることができる。
また、本発明の熱処理によって形成された熱可塑性重合体の膜は、壁装材、床材、レザー、鋼板アンダーコート材、缶コート、フィルム、工業部品、電気絶縁部品、玩具・雑貨、自動車内装材、マーキングフィルム、車両外板シール材、コンベアベルト、防水布、自動車のタイヤハウス、床裏、フロントエプロンなどの部分へのアンダーコート、ライニング等として用いることができ、さらに、ラテックスの代替材の用途の製品(コンドーム等)の材料として用いることができる。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、上述のように室温で液体であり、熱処理によって容易に熱可塑性重合体の膜を形成させることができるので、本発明の熱可塑性重合体組成物を含有する塗料を被塗装物に塗布後、熱処理して被塗装物表面に熱可塑性重合体の塗膜を形成させる塗装方法に用いることができ、特に、塩化ビニル樹脂系ゾル代替の自動車アンダーコート剤等の塗装用材料として用いることができる。
また、本発明の熱処理によって形成された熱可塑性重合体の膜は、壁装材、床材、レザー、鋼板アンダーコート材、缶コート、フィルム、工業部品、電気絶縁部品、玩具・雑貨、自動車内装材、マーキングフィルム、車両外板シール材、コンベアベルト、防水布、自動車のタイヤハウス、床裏、フロントエプロンなどの部分へのアンダーコート、ライニング等として用いることができ、さらに、ラテックスの代替材の用途の製品(コンドーム等)の材料として用いることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例における評価方法及び使用した原料を以下に示す。
1.熱可塑性重合体組成物及び熱処理後の膜の評価方法
(1)粘度:JIS K 7233に準拠し、室温で測定を行なった。
(2)外観:室温に放置した液体を目視で観察を行ない、次の基準で評価した。
○:分離がなく均一に溶解・流動している
×:分離が認められるか、流動しない
(3)スプレー作業性:ノズル径0.5mmのハンドスプレーを用い、室温(23℃)でスプレー試験を行い以下の基準で評価を行った。
○:抵抗無く容易にスプレーが可能
×:ノズルに詰まり使用不可
(4)比重:JIS K 7112に準拠し、得られた1mm厚のシートを用いて測定を行なった。
(5)硬さ:JIS K 6253に準拠して測定した。得られた1mm厚のシートを重ねて4mm以上にして測定を行った。
(6)ブリード:1mm厚のシートをクラフト紙に挟んで、直径70mm円盤状の500gの重りをのせ、室温(23℃)で168時間放置後のクラフト紙の状態を目視で観察し、次の基準で評価した。
○:クラフト紙にオイルブリードの痕跡が認められない
×:クラフト紙にオイルブリードの痕跡が認められる
(7)製膜性:液状の熱可塑性重合体組成物をポリテトラフルオロエチレン製盤に適量滴下した後、オーブン中で140℃×20分の熱処理を行って得られたシートの表面外観や形状を観察し、次の基準で評価した。
○:表面は平滑で、気泡もない
×:表面が平滑でないか、平滑でも気泡の存在が認められる
(1)粘度:JIS K 7233に準拠し、室温で測定を行なった。
(2)外観:室温に放置した液体を目視で観察を行ない、次の基準で評価した。
○:分離がなく均一に溶解・流動している
×:分離が認められるか、流動しない
(3)スプレー作業性:ノズル径0.5mmのハンドスプレーを用い、室温(23℃)でスプレー試験を行い以下の基準で評価を行った。
○:抵抗無く容易にスプレーが可能
×:ノズルに詰まり使用不可
(4)比重:JIS K 7112に準拠し、得られた1mm厚のシートを用いて測定を行なった。
(5)硬さ:JIS K 6253に準拠して測定した。得られた1mm厚のシートを重ねて4mm以上にして測定を行った。
(6)ブリード:1mm厚のシートをクラフト紙に挟んで、直径70mm円盤状の500gの重りをのせ、室温(23℃)で168時間放置後のクラフト紙の状態を目視で観察し、次の基準で評価した。
○:クラフト紙にオイルブリードの痕跡が認められない
×:クラフト紙にオイルブリードの痕跡が認められる
(7)製膜性:液状の熱可塑性重合体組成物をポリテトラフルオロエチレン製盤に適量滴下した後、オーブン中で140℃×20分の熱処理を行って得られたシートの表面外観や形状を観察し、次の基準で評価した。
○:表面は平滑で、気泡もない
×:表面が平滑でないか、平滑でも気泡の存在が認められる
2.材料
(a)テルペン系化合物:ウッディリバー#10(ヤスハラケミカル(株)製) 比重:0.80、粘度(25℃):1.14cP、沸点:167〜170℃、引火点:41.5℃
成分(a)の比較成分として次の成分を用いた。
比較成分(1):α−テルピネオール:沸点(219℃)(和光純薬工業社製)
比較成分(2):l−メントール:沸点(43℃)(和光純薬工業社製)
(b−1)オレフィン系重合体(PE):Engage EG8401(Dupont Dow Elastomer社製) 比重:0.885、硬さ:85(ShoreA)、ムーニー粘度ML1+4(121℃):5以下、重量平均分子量:100,000
(b−2)オレフィン系重合体(EVA):エバフレックス EV−150(三井・デュポンポリケミカル(株)製) 比重:0.96、硬さ:66(ShoreA)、MFR:30dg/min
(b−3)スチレン系重合体(SEPS): セプトン4077(クラレ(株)製) スチレン含有量:30重量%、数平均分子量:260,000、重量平均分子量:320,000、分子量分布:1.23、水素添加率:90%以上
(c)イソプロピルアルコール(IPA):沸点83℃(和光純薬工業社製)
(d)極性可塑剤:TXIB(Eastman Chemical社製) 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、沸点:280℃、粘度(25℃):9cP
(a)テルペン系化合物:ウッディリバー#10(ヤスハラケミカル(株)製) 比重:0.80、粘度(25℃):1.14cP、沸点:167〜170℃、引火点:41.5℃
成分(a)の比較成分として次の成分を用いた。
比較成分(1):α−テルピネオール:沸点(219℃)(和光純薬工業社製)
比較成分(2):l−メントール:沸点(43℃)(和光純薬工業社製)
(b−1)オレフィン系重合体(PE):Engage EG8401(Dupont Dow Elastomer社製) 比重:0.885、硬さ:85(ShoreA)、ムーニー粘度ML1+4(121℃):5以下、重量平均分子量:100,000
(b−2)オレフィン系重合体(EVA):エバフレックス EV−150(三井・デュポンポリケミカル(株)製) 比重:0.96、硬さ:66(ShoreA)、MFR:30dg/min
(b−3)スチレン系重合体(SEPS): セプトン4077(クラレ(株)製) スチレン含有量:30重量%、数平均分子量:260,000、重量平均分子量:320,000、分子量分布:1.23、水素添加率:90%以上
(c)イソプロピルアルコール(IPA):沸点83℃(和光純薬工業社製)
(d)極性可塑剤:TXIB(Eastman Chemical社製) 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、沸点:280℃、粘度(25℃):9cP
(実施例1〜5、比較例1〜4)
表1に示す成分比で、成分(a)〜(d)を加えて、オートクレーブにて、混合温度140℃で混合を行った後、室温まで冷却して液状熱可塑性重合体組成物を得た。得られた組成物を140℃×20分の熱処理を行って得られたシートを用いて物性を測定した。その結果を表1に示す。
表1に示す成分比で、成分(a)〜(d)を加えて、オートクレーブにて、混合温度140℃で混合を行った後、室温まで冷却して液状熱可塑性重合体組成物を得た。得られた組成物を140℃×20分の熱処理を行って得られたシートを用いて物性を測定した。その結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の熱可塑性重合体組成物である実施例1〜5の組成物は、いずれも良好な結果を示した。
一方、比較例1と2は、成分(b)を範囲外にしたものである。成分(b)が少ないと、ブリードが顕著になり、製膜性が悪化する。成分(b)が多いと、粘度が高くなりすぎるだけでなく室温で液体状でなくなる。
また、成分(a)の沸点が上限を超えると熱可塑性重合体組成物の貯蔵性・スプレー作業性が悪化し、熱処理後の膜が半溶融状態であり、溶媒が充分に揮発していなかった(比較例3)。成分(a)の沸点が下限を下回ると熱可塑性重合体組成物の貯蔵性・スプレー作業性が悪化し、熱処理後の膜が半溶融状態であり、気泡が多く良品が得られなかった(比較例4)。
一方、比較例1と2は、成分(b)を範囲外にしたものである。成分(b)が少ないと、ブリードが顕著になり、製膜性が悪化する。成分(b)が多いと、粘度が高くなりすぎるだけでなく室温で液体状でなくなる。
また、成分(a)の沸点が上限を超えると熱可塑性重合体組成物の貯蔵性・スプレー作業性が悪化し、熱処理後の膜が半溶融状態であり、溶媒が充分に揮発していなかった(比較例3)。成分(a)の沸点が下限を下回ると熱可塑性重合体組成物の貯蔵性・スプレー作業性が悪化し、熱処理後の膜が半溶融状態であり、気泡が多く良品が得られなかった(比較例4)。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、室温で液体であって、熱処理によって容易に熱可塑性重合体の膜を形成させることができるので、塩化ビニル樹脂系ゾル代替の自動車アンダーコート剤等の塗装用材料、壁装材、床材、レザー、鋼板アンダーコート材、缶コート、フィルム、工業部品、電気絶縁部品、玩具・雑貨、自動車内装材、マーキングフィルム、車両外板シール材、コンベアベルト、防水布、ラテックスの代替材の用途の製品の材料として、環境上好ましい材料として用いることができる。
Claims (12)
- (a)沸点が150〜180℃であって、成分(b)熱可塑性重合体を溶解しうる有機溶剤100重量部、及び
(b)熱可塑性重合体5〜100重量部
を含有することを特徴とする熱可塑性重合体組成物。 - 成分(a)がテルペン系化合物であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 成分(a)がテレピン油及び/又はリモネンを主成分とするオレンジ油であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 成分(b)が、オレフィン系重合体、スチレン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 25℃で単一円筒回転粘度計を用いて測定した粘度(JIS K 7233に準拠)が10〜1,000,000mPa・sの液体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
- さらに、成分(a)100重量部に対し、(c)アルコール系溶媒0.1〜150重量部を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 成分(c)が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールから選ばれる少なくとも一種のアルコールであることを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 成分(c)が、イソプロピルアルコールであることを特徴とする請求項6又は7に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物からなるアンダーコート剤。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物から形成させることを特徴とする熱可塑性重合体膜。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物を、熱処理することを特徴とする熱可塑性重合体膜の形成方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物を含有する塗料を被塗装物に塗布後、熱処理して被塗装物表面に熱可塑性重合体の塗膜を形成させる塗装方法。
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JP2003325679A JP2005089624A (ja) | 2003-09-18 | 2003-09-18 | 熱可塑性重合体組成物、それからなる熱可塑性重合体膜 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007161947A (ja) * | 2005-12-16 | 2007-06-28 | Kikusui Chemical Industries Co Ltd | 塗料組成物 |
EP1897907A1 (en) * | 2006-09-08 | 2008-03-12 | George Bittner | Materials free of endocrine disruptive activity |
JP2014532101A (ja) * | 2011-09-30 | 2014-12-04 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 形状適合性コーティング及び組成物 |
KR20200048974A (ko) * | 2018-10-31 | 2020-05-08 | 대원강업주식회사 | 열가소성 분체도료를 이용한 차량용 스프링의 도장방법 |
-
2003
- 2003-09-18 JP JP2003325679A patent/JP2005089624A/ja active Pending
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EP1897907A1 (en) * | 2006-09-08 | 2008-03-12 | George Bittner | Materials free of endocrine disruptive activity |
EP2316877A3 (en) * | 2006-09-08 | 2011-10-05 | George Bittner | Materials free of endocrine disruptive activity |
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KR102161480B1 (ko) * | 2018-10-31 | 2020-10-05 | 대원강업주식회사 | 열가소성 분체도료를 이용한 차량용 스프링의 도장방법 |
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