JP2005089604A - ポリ塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 加工性、生産性および機械的物性に優れたポリ塩化ビニル系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 (A)ポリ塩化ビニル系樹脂と、(B)ガラス転移温度の異なる2種類以上のアクリルゴム成分を含むポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)に、ビニル系単量体(BG)をグラフト重合してなるグラフト共重合体と、(C)ガラス転移温度が85℃以下であり、質量平均分子量が60万〜400万である(メタ)アクリレート系共重合体と、(D)塩素化ポリオレフィンとを含有し、前記(A)ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、(B)グラフト重合体が1〜15質量部であり、(C)(メタ)アクリレート系共重合体が0.1〜10質量部であり、(D)塩素化ポリオレフィンが2〜15質量部であるポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、加工性、生産性および機械的物性に優れたポリ塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
ポリ塩化ビニル系樹脂は、機械的性質、化学的性質が優れている樹脂であるため、広く各分野に用いられている。しかしながら、加工性(生産性)改良に各種添加剤が必要であること、耐衝撃性が低いという短所を有しており、これらを改良するために数多くの研究が行われてきた。加工性(生産性)改良に関しては、溶融挙動や流動挙動の改良のために(メタ)アクリレート系共重合体等の加工助剤を用いることが考えられている。また、耐衝撃性改良に関しては、MBS(Methyl methacrylate-Butadiene-Styrene)樹脂やアクリルゴム系重合体等の耐衝撃性改良剤の添加が有効とされている。
また、ポリ塩化ビニル系樹脂は屋外用途に使用されることがあり、耐衝撃性および耐候性の両立を要求される。このような場合に有効な耐衝撃性改良剤としては、特定のアクリル系グラフト共重合体が、特公昭51−28117号公報(特許文献1)に提案されている。このような特定のアクリル系グラフト共重合体が添加されたポリ塩化ビニル系樹脂からなる成型品は、耐候性に優れ、また耐衝撃性の低下も少ない。しかしながら、十分な衝撃強度を発現させるためにはアクリル系グラフト共重合体を多量に添加する必要があり、衝撃強度発現性、特に低温での衝撃強度発現性がMBS樹脂と比較して劣るという問題があった。
また、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂を窓枠に使用する場合には、耐衝撃性、融着強度などの様々な機械的物性、耐候性等が必要とされる。これらに加えて、さらに加工性(生産性)も良好とするためには、耐衝撃性改良剤および加工助剤の選択や、それらの配合量の調整の必要があり、機械的物性と、加工性(生産性)とを両立させることは難しかった。よって、加工性(生産性)および機械的物性の両方に優れたポリ塩化ビニル系樹脂組成物が望まれていた。
特公昭51−28117号公報
よって、本発明の目的は、加工性、生産性および機械的物性に優れたポリ塩化ビニル系樹脂組成物を提供することにある。
すなわち、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、(A)ポリ塩化ビニル系樹脂と、(B)ガラス転移温度の異なる2種類以上のアクリルゴム成分を含むポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)に、ビニル系単量体(BG)をグラフト重合してなるグラフト共重合体と、(C)ガラス転移温度が85℃以下であり、質量平均分子量が60万〜400万である(メタ)アクリレート系共重合体と、(D)塩素化ポリオレフィンとを含有し、前記(A)ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、(B)グラフト重合体が1〜15質量部であり、(C)(メタ)アクリレート系共重合体が0.1〜10質量部であり、(D)塩素化ポリオレフィンが2〜15質量部であることを特徴とするものである。
ここで、(D)塩素化ポリオレフィンの塩素含有量は、30〜40質量%であることが望ましい。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、このような構成とすることにより、加工性、生産性および機械的物性が優れたものとなる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<(A)ポリ塩化ビニル系樹脂>
本発明における(A)ポリ塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩素化塩化ビニル等の塩素基含有樹脂;70質量%以上の塩化ビニルとこれと共重合可能な他の単量体30質量%以下との共重合体が挙げられる。共重合可能な他の単量体としては、臭化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、エチレン等が挙げられる。
<(B)グラフト共重合体>
本発明における(B)グラフト共重合体は、ガラス転移温度の異なる2種類以上のアクリルゴム成分を含むポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)に、ビニル系単量体(BG)をグラフト重合してなるグラフト共重合体である。本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
アクリルゴム成分は、アルキル(メタ)アクリレートを含む単量体成分を重合して得られるものであり、この単量体成分には、必要に応じて分子中に2個以上の不飽和結合を有する単量体および他の単量体が含まれていてもよい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシメトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、単独でまたは2種以上併用して用いられる。
分子中に2個以上の不飽和結合を有する単量体は、架橋剤またはグラフト交叉剤としての役割を有するものである。架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、多官能メタクリル基変性シリコーンなどのシリコーン等が挙げられる。また、グラフト交叉剤としては、例えば、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。アリルメタクリレートは架橋剤として用いることもできる。これら架橋剤およびグラフト交叉剤は、単独でまたは2種以上併用して用いられる。
分子中に2個以上の不飽和結合を有する単量体は、単量体成分中に20質量%以下の範囲で含まれていることが好ましく、0.1〜18質量%の範囲で含まれていることがさらに好ましい。
他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;メタクリル酸変性シリコーン、フッ素含有ビニル化合物等の各種のビニル系単量体が挙げられる。他の単量体は、単量体成分中に30質量%以下の範囲で含まれていてもよい。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)は、上述のアクリルゴム成分を2種類以上含むものであり、これらアクリルゴム成分は、それぞれ互いにガラス転移温度の異なる。そして、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)は、10℃以下にガラス転移温度を2つ以上有することが好ましい。また、少なくとも1つのガラス転移温度は、n−ブチルアクリレートを構成単位として含むアクリルゴム成分単独のガラス転移温度よりも低いことが好ましい。ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)のガラス転移温度がこのような場合、得られる(B)グラフト共重合体(衝撃強度改質剤)は、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物によりよい耐衝撃性を付与できるものとなり好ましい。
ここで、重合体のガラス転移温度は、動的機械的特性解析装置(以下、DMAと略す)で測定されるTanδの転移点として測定される。一般に、重合体は、固有のガラス転移温度を持ち、単独(単一成分の単独重合体または複数成分のランダム共重合体)では、1つの転移点が観測されるが、複数の(共)重合体の混合物、あるいは複数の(共)重合体成分が複合化された重合体では、各々の(共)重合体成分に固有の転移点が観測される。例えば、2つの(共)重合体成分からなる場合、測定により2つの転移点が観測される。DMAにより測定されるTanδ曲線では、2つのピークが観測されるが、組成比に偏りがある場合や転移温度が近い場合には、各々のピークが接近する場合があり、ショルダー部分を持つピークとして観測される場合があるが、単独成分の場合に見られる単純な1ピークの曲線とは異なり判別可能である。
また、n−ブチルアクリレートを構成単位として含むアクリルゴム成分単独のガラス転移温度は、架橋の有無、程度によって変動する。ここで「少なくとも1つのガラス転移温度がn−ブチルアクリレートを構成単位として含むアクリルゴム成分単独のガラス転移温度よりも低い」とは、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)中に、n−ブチルアクリレートを構成単位として含むアクリルゴム成分(br−1)が含まれている場合は、このアクリルゴム成分(br−1)単独のガラス転移温度と、もう一方のアクリルゴム成分(br−2)単独のガラス転移温度とを比較して、もう一方のアクリルゴム成分(br−2)のガラス転移温度が、n−ブチルアクリレートを構成単位として含むアクリルゴム成分(br−1)のガラス転移温度よりも低いことをいう。また、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)中に、n−ブチルアクリレートを構成単位として含むいるアクリルゴム成分(br−1)が含まれていない場合は、各アクリルゴム成分の単量体をn−ブチルアクリレートで置き換え、架橋剤、あるいはグラフト交差剤が用いられている場合には、これらと被架橋単量体とのモル分率をも等しく設定して、n−ブチルアクリレートの単独重合体を製造する。そして、この単独重合体と、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)を構成している各アクリルゴム成分のガラス転移温度を比較して、少なくとも1つのガラス転移温度がn−ブチルアクリレート単独重合体のガラス転移温度よりも低いことをいう。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)は、ガラス転移温度の異なる2種以上のアクリルゴム成分を含むものであれば特に制限はないが、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)としては、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種を構成単位として含むアクリルゴム(BR1)成分と、n−ブチルアクリレートを構成単位として含むアクリルゴム(BR2)成分とからなるものが、優れた耐衝撃性を持つので好ましい。さらには、アクリルゴム(BR1)成分が、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートのうち少なくとも1種を構成単位として含むと、耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性に優れるのでより好ましい。ここで、室温付近において結晶性を有するステアリルメタクリレート等を用いる場合には、これを溶解する単量体と混合して使用する。
さらに、この場合、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)のアクリルゴム(BR1)成分由来のガラス転移温度(Tg1)が、アクリルゴム(BR2)成分由来のガラス転移温度(Tg2)よりも低いと低温での耐衝撃性に優れるので好ましい。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)の製造方法としては、例えば、2種のアクリルゴム成分からなる場合には、まず1種以上のアルキル(メタ)アクリレートを含む単量体成分を乳化重合して、第1のアクリルゴム成分ラテックスを得て、次いで該アクリルゴム成分ラテックス中に、第2のアクリルゴム成分を構成する単量体成分を添加、含浸させた後、ラジカル重合開始剤の存在下重合させる方法等が挙げられる。重合の進行にともない、2種のアクリルゴム成分が複合化したポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)のラテックスが得られる。その他、第2のアクリルゴム成分を第1のアクリルゴム成分の存在下で滴下重合したり、あるいは複合化したゴムを酸または塩等で肥大化する方法などを用いて製造することができる。
さらに具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種を構成単位として含むアクリルゴム(BR1)成分の存在下で、アクリルゴム(BR2)成分を構成するn−ブチルアクリレートを含む単量体成分を乳化重合して、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)を得ることがより好ましい。ここで、重合方法は特に限定されないが、通常、乳化重合法が採用される。必要があれば強制乳化重合法によって重合してもよい。特に、アクリルゴム(BR1)成分の重合には、強制乳化重合法が好ましく用いられる。また、アクリルゴム(BR1)成分を構成する単量体として、2−エチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートを使用する場合、これらは水溶性に乏しいため、強制乳化重合法でアクリルゴム(BR1)成分を製造することが好ましい。
ここで、乳化剤、分散安定剤としては、アニオン性、非イオン性、またはカチオン性など公知の任意の界面活性剤を使用することができる。また、必要に応じてその混合物を用いることができ、その場合は、ミセル形成能の大きい乳化剤と、小さい乳化剤を組み合わせて使用することが好ましい。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)の粒子径分布は、0.05〜0.4μmと、0.4〜1.0μmにそれぞれ少なくとも1つ以上のピークを有する複分散分布であることが好ましい。そして、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)は、粒子径が0.05〜0.4μmの粒子50〜99.9質量%と、粒子径が0.4〜1.0μmの粒子0.1〜50質量%からなることが好ましい。さらには、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)は、粒子径0.05〜0.4μmの粒子70〜99.9質量%と、粒子径0.4〜1.0μmの粒子0.1〜30質量%からなることが好ましい。
ここで、粒子径分布とは質量分布であり、質量分布とは、ある粒子径dpとdp+Δdpとの微小間隔内にある粒子の全粒子に対する質量割合を百分率で示した分布である。
このような粒子径分布を有するポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)を使用した(B)グラフト共重合体を衝撃強度改質剤として使用すると、このような粒子径分布を持たないものに比べて、ポリ塩化ビニル系樹脂に配合した場合の耐衝撃性がより向上するので好ましい。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)にグラフト重合させるビニル系単量体(BG)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等の各種のビニル系単量体が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上併用して用いてもよい。
また、ビニル系単量体(BG)は、必要に応じて、分子中に2個以上の不飽和結合を有するエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、多官能メタクリル基変性シリコーンなどのシリコーン等の架橋剤や、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のグラフト交叉剤を、20質量%以下の範囲で含んでいてもよい。
(B)グラフト共重合体における上記ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)と上記ビニル系単量体(BG)との割合は、好ましくはポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)が60〜99.9質量%、ビニル系単量体(BG)が40〜0.1質量%であり、より好ましくはポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)が70〜99.9質量%、ビニル系単量体(BG)が30〜0.1質量%であり、さらに好ましくはポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)が80〜99.9質量%、ビニル系単量体(BG)が20〜0.1質量%であり、また、特に好ましくはポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)が85〜95質量%、ビニル系単量体(BG)が15〜5質量%である。
ビニル系単量体(BG)が0.1質量%未満では、得られる(B)グラフト共重合体の樹脂中での分散性が低下し、それを配合して得られる樹脂組成物の加工性が低下する場合がある。一方、ビニル系単量体(BG)が40質量%を超えると、(B)グラフト共重合体の衝撃強度発現性が低下する場合がある。
グラフト共重合体ラテックスは、ビニル系単量体(BG)をポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)のラテックスに加え、ラジカル重合によって一段または多段で重合させて得られる。
(B)グラフト共重合体は、このグラフト共重合体ラテックスを、硫酸、塩酸などの酸、あるいは塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固させ、凝固物を分離、回収することにより粒子として得られる。この時、炭酸ナトリウムや硫酸ナトリウム等の塩類を併用してもよい。また、スプレードライ法などの直接乾燥法等でも得られる。
<(C)(メタ)アクリレート系共重合体>
本発明における(C)(メタ)アクリレート系共重合体は、(メタ)アクリレート系化合物と、必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体とからなる共重合体である。好ましくは、炭素数が1〜13個のアルキル基を有するアルキルメタクリレート40〜95質量%および炭素数が1〜13個のアルキル基を有するアルキルアクリレート5〜60質量%と、これらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜30質量%とを構成単位として含む共重合体である。
(C)(メタ)アクリレート系共重合体は、ガラス転移温度が85℃以下であるものである。(C)(メタ)アクリレート系共重合体のガラス転移温度が85℃を超えると、加工性促進に対する効果が低下する。より好ましくは、(C)(メタ)アクリレート系共重合体のガラス転移温度は80℃以下である。
ここで、(C)(メタ)アクリレート系共重合体のガラス転移温度は、乳化重合に使用される各単量体の単独重合体のガラス転移温度と各単量体の仕込み比とからFoxの式などの計算式により算出してもよいし、各種測定装置を使用して測定してもよい。
また、(C)(メタ)アクリレート系共重合体は、質量平均分子量が60万〜400万であるものである。(C)(メタ)アクリレート系共重合体の質量平均分子量が60万未満では、加工性改良効果が低下する。一方、(C)(メタ)アクリレート系共重合体の質量平均分子量が400万を超えると、成形品の表面外観が低下する。
ここで、(C)(メタ)アクリレート系共重合体の質量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)を用いて測定される。
(C)(メタ)アクリレート系共重合体は、特に制限されるものではないが、通常、乳化重合で製造される。重合時における単量体、重合開始剤、乳化剤の添加は、一括添加、連続添加、分割添加、多段階添加等で行うことができる。また、これらの組み合わせにより添加を行ってもよい。
(C)(メタ)アクリレート系共重合体の乳化重合においては、通常の乳化重合に使用できる単量体を用いることができる。例えば、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、ハロゲン化ビニル系単量体、マレイミド系単量体等が挙げられる。
芳香族ビニル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらのなかでも、特にスチレンが好ましい。また、これらの芳香族ビニル系単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
シアン化ビニル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル等が挙げられる。これらのなかでも、特にアクリロニトリルが好ましい。また、これらのシアン化ビニル系単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
エチレン系不飽和カルボン酸系単量体としては、特に制限はないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのモノカルボン酸およびジカルボン酸が挙げられる。これらのエチレン系不飽和カルボン酸単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、グリシジルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ハロゲン化ビニル系単量体としては、特に制限はないが、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。これらのハロゲン化ビニル系単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
マレイミド系単量体としては、特に制限はないが、例えば、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド等が挙げられる。これらのマレイミド系単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに、上記の単量体以外に、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、ビニルピリジン等の乳化重合可能な単量体を使用することもできる。
また、必要に応じて、上述した単量体以外に、ジビニルベンゼン、1,3−ブチレンジメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどの架橋剤;メルカプタン類などの連鎖移動剤を併用してもよい。
重合開始剤としては、特に限定はないが、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性過硫酸塩、ジイソピロピルベンゼンヒドロペルシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、メチルシクロヘキシルヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリ−メチルヘキサノエートなどの有機過酸化物を一成分とするレドックス系開始剤を使用することができる。
乳化剤としては、特に制限されないが、例えば、不均化ロジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸のアルカリ金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸のアルカリ金属塩が挙げられる。これらは、それぞれ一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
<(D)塩素化ポリオレフィン>
本発明における(D)塩素化ポリオレフィンは、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の加工性、生産性を向上させ、かつ機械的物性、特に融着強度を向上させるものである。
(D)塩素化ポリオレフィンは、ポリオレフィン粉末を水性懸濁液中で塩素化するか、あるいは有機溶媒にポリオレフィンを溶解し、塩素化することにより製造されるものである。中でも水性懸濁液中で塩素化することにより製造されるものが好ましい。
原料となるポリオレフィンは、エチレンを単独重合、もしくはエチレンと多くとも40質量部(好ましくは20質量部以下)の炭素数が多くとも12個(好ましくは3〜8個)のα−オレフィンとを共重合することによって得られるものである。α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。原料となるポリオレフィンとしては、エチレンを単独重合したものが特に好ましい。
(D)塩素化ポリオレフィンの塩素含有量は、好ましくは30〜40質量%の範囲である。塩素含有量が30質量%未満では、(A)ポリ塩化ビニル系樹脂との相溶性に劣るため、耐衝撃性が低下する。一方、塩素含有量が40質量%を超えると、硬度が増して硬くなるため、加工性が低下して良好な成形表面外観が得られない上、耐衝撃性が低下するために好ましくない。
<ポリ塩化ビニル系樹脂組成物>
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、(A)ポリ塩化ビニル系樹脂と、(B)グラフト共重合体と、(C)(メタ)アクリレート系共重合体と、(D)塩素化ポリオレフィンとを含有するものである。
(B)グラフト共重合体の量は、(A)ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、1〜15質量部の範囲であり、好ましくは4〜10質量部の範囲である。(B)グラフト共重合体が1質量部未満では、耐衝撃性が低下する傾向がある。一方、(B)グラフト共重合体が15質量部を超えると、耐衝撃性は良好であるが、加工性が低下して成型品の表面外観が悪化する傾向がある。
(C)(メタ)アクリレート系共重合体の量は、(A)ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲であり、好ましくは0.5〜5質量部の範囲である。(C)(メタ)アクリレート系共重合体が10質量部を超えると、耐衝撃性の低下などの改質性能低下が生じる傾向がある。一方、(C)(メタ)アクリレート系共重合体が0.1質量部未満では、加工性改良効果が十分に得られない傾向がある。
(D)塩素化ポリオレフィンの量は、(A)ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、2〜15質量部の範囲であり、好ましくは5〜12質量部の範囲である。(D)塩素化ポリオレフィンが2質量部未満では、生産性が向上しない。一方、(D)塩素化ポリオレフィンが15質量部を超えると、機械的物性が低下する。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に応じて、安定剤、着色剤、無機充填材、補強剤、核剤、可塑剤、加工助剤、離型剤、滑剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などの各種添加剤を配合してもよい。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物の調製方法および成型方法としては、特に限定されるものではなく、公知の技術が使用できる。例えば、各成分をヘンシェルミキサーなどで混合し、110〜160℃に昇温した後、クーリングミキサーで冷却し、これを押出成型する方法等、各種方法で成型品を得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお各実施例、比較例での諸物性の測定法は次の方法による。
(1)質量平均分子量測定(GPC測定)
乾燥させた試料をテトラヒドロフラン(THF)に40℃で1時間かけて溶解させた後、室温にて一晩静置して、東ソー(株)社製GPC(HLC−8020)、同社製GPC用カラム(TSK−GEL GMHXL×2本)を用いて以下の条件で質量平均分子量を測定した。なお、GPCの検量線は同社製単分散ポリスチレンを用いて作成した。
・試料濃度: 0.1g/dl
・注入量: 0.1ml
・カラム温度:40℃
(2)質量平均粒子径(dw)
質量平均粒子径(dw)は、キャピラリー式粒度分布計で測定した。
(3)アイゾットインパクト強度
6インチロールにて、185℃でポリ塩化ビニル系樹脂組成物を溶融混練後、4.9MPa、185℃でプレス成型して、サンプル試片を得た。この試片について、アイゾットインパクト強度をASTM D256に準じて測定した。測定は23℃および−20℃にて行った。
(4)融着強度
アイゾットインパクト強度用試片を、250℃で30秒間融着した。曲げ試験機を用いて、融着個所に上方から加圧したときの破断エネルギーを測定した。
(5)加工性
スクリュー径40mmの押出し成型機により、樹脂温度190℃で幅50mm、厚さ5mmの板状成型品を6時間連続成型した。その間のトルク変化等の成型状況、ダイ出口の汚れ状況等を、三段階(○;良好、△;若干不良あり、×;不良)で目視評価した。
(6)外観
スクリュー径40mmの押出し成型機により、樹脂温度190℃で幅50mm、厚さ5mmの板状成型品を成型し、表面の艶、フィッシュアイ等の表面外観を、三段階(○;良好、△;若干不良あり、×;不良)で目視評価した。
[参考例1]
グラフト共重合体(B−1)の製造:
2−エチルヘキシルアクリレート99.5質量部、アリルメタクリレート0.5質量部を混合し、(メタ)アクリレート単量体混合物100質量部を得た。アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム(ペレックスSS−H、商品名、花王株式会社製)が固形分として1質量部溶解した蒸留水195質量部に、上記(メタ)アクリレート単量体混合物100質量部を加え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備撹拌した後、ホモジナイザーにより300kg/cm2 の圧力で乳化、分散させ、(メタ)アクリレートエマルジョンを得た。この混合液をコンデンサーおよび撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、窒素置換および混合撹拌しながら加熱し、50℃になった時にtert−ブチルヒドロペルオキシド0.5質量部を添加した後、50℃に昇温し、硫酸第1鉄0.002質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.006質量部、ロンガリット0.26質量部および蒸留水5質量部の混合液を投入後、5時間放置し、重合を完結しアクリルゴム(B01)成分ラテックスを得た。
得られたアクリルゴム(B01)成分ラテックスの重合率は99.8%であった。また、このラテックスをエタノールで凝固させ、凝固物を分離、乾燥し固形物を得て、トルエンで90℃、12時間抽出し、ゲル含量を測定したところ93.5質量%であった。さらに得られたラテックスにペレックスSS−Hを固形分として7.0質量部追加した。
上記アクリルゴム(B01)成分ラテックスを、アリルメタクリレートを含むポリ2−エチルヘキシルアクリレートの固形分量が25質量部となるように採取し、撹拌機を備えたセパラブルフラスコに入れ、系内の蒸留水量が195質量部となるように蒸留水を追加した。次いで、アリルメタクリレート1.26質量部、n−ブチルアクリレート61.74質量部、およびtert−ブチルヒドロペルオキシド0.32質量部の混合液を仕込み、10分間撹拌して、この混合液をアクリルゴム(B01)成分粒子に浸透させた。さらに10分間攪拌した後、窒素置換を行い、系内を50℃に昇温し、硫酸第1鉄0.002質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.006質量部、ロンガリット0.26質量部および蒸留水5質量部の混合液を仕込み、ラジカル重合を開始させた。その後、内温70℃で2時間保持し、重合を完了してアクリルゴム(B01)成分およびアクリルゴム(B02)成分からなるポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴムラテックスを得た。
このポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴムラテックスに、tert−ブチルヒドロペルオキシド0.06質量部とメチルメタクリレート(以下、MMAと略す)12質量部との混合液を70℃にて15分間にわたり滴下し、その後70℃で4時間保持し、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴムへのMMAのグラフト重合を完了した。MMAの重合率は、99.6%であった。得られたアクリルゴム系グラフト共重合体ラテックスを硫酸アルミニウム1.5質量%の熱水200質量部中に滴下し、凝固させた。凝固物を分離、洗浄した後、75℃で16時間乾燥し、粉末状のアクリルゴム系グラフト共重合体(B−1)を製造した。
また、動的機械的特性解析装置(TA Instruments製、DMA983)を用い、グラフト共重合体(B−1)についてガラス転移点を測定したところ、アクリルゴム(B01)成分由来のガラス転移温度は、−55℃であり、アクリルゴム(B02)成分由来のガラス転移温度は、−28℃であった。
また、質量平均粒子径測定の結果、0.21μmと0.69μmの二つのピークが存在し、0.05〜0.4μmの粒子の割合は、92質量%であった。
[参考例2]
(メタ)アクリレート系共重合体(C−1)の製造:
攪拌機および還流冷却器付き反応器に、イオン交換水280質量部、アルケニルコハク酸カリウム1.5質量部、過硫酸アンモニウム2質量部、メチルメタクリレート45質量部、n−ブチルアクリレート5質量部、n−オクチルメルカプタン0.03質量部を仕込んだ。容器内を窒素で置換した後、攪拌下、65℃に昇温し、4時間加熱攪拌し、第1段階の重合反応を完結させた。
続いて、この重合系を窒素雰囲気下65℃の状態で保ったまま、これに、過硫酸アンモニウム2質量部を添加し、次いで、メチルメタクリレート45質量部、n−ブチルアクリレート5質量部、n−オクチルメルカプタン0.001質量部からなる混合物を1時間にわたって滴下した。さらに2時間撹拌を続けた後、重合を終了し、ラテックス状の共重合体(LC)を得た。
攪拌機の付いた反応器に、イオン交換水を600質量部、硫酸を3質量部仕込み、50℃に加温し、これに共重合体(LC)を攪拌しながら5分かけて投入した。投入後、95℃に昇温し、5分間保持した後、凝固物を濾過、洗浄、乾燥し、(メタ)アクリレート系共重合体(C−1)を得た。得られた(メタ)アクリレート系共重合体(C−1)の質量平均分子量は82万であった。また、動的機械的特性解析装置を用いて測定した(メタ)アクリレート系共重合体(C−1)のガラス転移温度は、79℃であった。
[参考例3]
(メタ)アクリレート系共重合体(C−2)の製造:
攪拌機および還流冷却器付き反応器に、イオン交換水280質量部、アルケニルコハク酸カリウム1.5質量部、過硫酸アンモニウム2質量部、メチルメタクリレート45質量部、n−ブチルアクリレート5質量部、n−オクチルメルカプタン0.01質量部を仕込んだ。容器内を窒素で置換した後、攪拌下、65℃に昇温し、4時間加熱攪拌し、第1段階の重合反応を完結させた。
続いて、この重合系を窒素雰囲気下65℃の状態で保ったまま、これに、過硫酸アンモニウム2質量部を添加し、次いで、メチルメタクリレート45質量部、n−ブチルアクリレート5質量部、n−オクチルメルカプタン0.001質量部からなる混合物を1時間にわたって滴下した。さらに2時間撹拌を続けた後、重合を終了し、ラテックス状の共重合体(LC)を得た。
攪拌機の付いた反応器に、イオン交換水を600質量部、硫酸を3質量部仕込み、50℃に加温し、これに共重合体(LC)を攪拌しながら5分かけて投入した。投入後、95℃に昇温し、5分間保持した後、凝固物を濾過、洗浄、乾燥し、(メタ)アクリレート系共重合体(C−2)を得た。得られた(メタ)アクリレート系共重合体(C−2)の質量平均分子量は141万であった。また、動的機械的特性解析装置を用いて測定した(メタ)アクリレート系共重合体(C−2)のガラス転移温度は、79℃であった。
[参考例4]
アクリル系高分子量重合体(C−3)の製造
攪拌機および還流冷却器付き反応器に、イオン交換水280質量部、アルケニルコハク酸カリウム1.5質量部、過硫酸アンモニウム2質量部、メチルメタクリレート45質量部、n−ブチルアクリレート5質量部、n−オクチルメルカプタン0.005質量部を仕込んだ。容器内を窒素で置換した後、攪拌下、65℃に昇温し、4時間加熱攪拌し、第1段階の重合反応を完結させた。
続いて、この重合系を窒素雰囲気下65℃の状態で保ったまま、これに、過硫酸アンモニウム2質量部を添加し、次いで、メチルメタクリレート45質量部、n−ブチルアクリレート5質量部、n−オクチルメルカプタン0.001質量部からなる混合物を1時間にわたって滴下した。さらに2時間撹拌を続けた後、重合を終了し、ラテックス状の共重合体(LC)を得た。
攪拌機の付いた反応器に、イオン交換水を600質量部、硫酸を3質量部仕込み、50℃に加温し、これに共重合体(LC)を攪拌しながら5分かけて投入した。投入後、95℃に昇温し、5分間保持した後、凝固物を濾過、洗浄、乾燥し、(メタ)アクリレート系共重合体(C−3)を得た。得られた(メタ)アクリレート系共重合体(C−3)の質量平均分子量は193万であった。また、動的機械的特性解析装置を用いて測定した(メタ)アクリレート系共重合体(C−3)のガラス転移温度は、79℃であった。
[実施例1]
ポリ塩化ビニル樹脂(信越化学工業株式会社製、TK−1000、平均重合度1000)100質量部、二塩基性亜リン酸鉛(品川化工製、DF−2)2.6質量部、二塩基性ステアリン酸鉛(品川化工製DS−2)0.7質量部、ステアリン酸鉛(品川化工製、NS−2)0.9質量部、ステアリン酸カルシウム(品川化工製、CS−G)0.35質量部、ポリエチレンワックス(三井石油化学製、ハイワックス220MP)0.2質量部、炭酸カルシウム5.0質量部、酸化チタン2.5質量部、参考例1で得られたグラフト共重合体(B−1)5質量部、参考例2で得られた(メタ)アクリレート系共重合体(C−1)1.5質量部、塩素化ポリエチレン(デュポン ダウ エラストマー社製、タイリン3615P、塩素含有量36質量%)5質量部をヘンシェルミキサーに仕込み、内温が120℃に到達した後、混合物をクーリングミキサーへ移して、混合しながら冷却し、粉末状の混合物を得た。この粉末状混合物を、スクリュー径40mmの押出し成型機により、幅50mm、厚さ5mmの板状成型品に成型し、加工性および外観の評価に供した。また、ロール・プレス成型にてアイゾットインパクトテスト用試片を作製し、アイゾットインパクト強度および融着強度の測定を行った。これらの評価結果を表1に示した。
[実施例2]
(メタ)アクリレート系共重合体(C−1)を、参考例3で得られた(メタ)アクリレート系共重合体(C−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして成型、評価を行った。これらの評価結果を表1に示した。
[実施例3]
(メタ)アクリレート系共重合体(C−1)を、参考例4で得られた(メタ)アクリレート系共重合体(C−3)に変更した以外は、実施例1と同様にして成型、評価を行った。これらの評価結果を表1に示した。
[実施例4]
塩素化ポリエチレンの量を10質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして成型、評価を行った。これらの評価結果を表1に示した。
[比較例1]
参考例1のグラフト共重合体(B−1)および塩素化ポリエチレンを使用しなかった以外は、実施例2と同様にして成型、評価を行った。これらの評価結果を表1に示した。
[比較例2]
塩素化ポリエチレンを使用しなかった以外は、実施例2と同様にして成型、評価を行った。これらの評価結果を表1に示した。
[比較例3]
参考例1のグラフト共重合体(B−1)の量を0.5質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして成型、評価を行った。これらの評価結果を表1に示した。
[比較例4]
参考例1のグラフト共重合体(B−1)の量を30質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして成型、評価を行った。これらの評価結果を表1に示した。
[比較例5]
参考例3の(メタ)アクリレート系共重合体(C−2)の量を0.01質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして成型、評価を行った。これらの評価結果を表1に示した。
[比較例6]
参考例3の(メタ)アクリレート系共重合体(C−2)の量を25質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして成型、評価を行った。これらの評価結果を表1に示した。
[比較例7]
塩素化ポリエチレンの量を40質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして成型、評価を行った。これらの評価結果を表1に示した。
Figure 2005089604
耐衝撃性、融着強度などの機械的物性、加工性、生産性に優れる本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、窓枠、建材等の異型押し出しの用途に好適である。

Claims (2)

  1. (A)ポリ塩化ビニル系樹脂と、
    (B)ガラス転移温度の異なる2種類以上のアクリルゴム成分を含むポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(BR)に、ビニル系単量体(BG)をグラフト重合してなるグラフト共重合体と、
    (C)ガラス転移温度が85℃以下であり、質量平均分子量が60万〜400万である(メタ)アクリレート系共重合体と、
    (D)塩素化ポリオレフィンとを含有し、
    前記(A)ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、(B)グラフト重合体が1〜15質量部であり、(C)(メタ)アクリレート系共重合体が0.1〜10質量部であり、(D)塩素化ポリオレフィンが2〜15質量部であるポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. (D)塩素化ポリオレフィンの塩素含有量が、30〜40質量%であることを特徴とする請求項1記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
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