JP2005089409A - 有機過酸化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 窒素と酸素を分離する工程と酸化により有機過酸化物の製造する工程を隣接させることにより、低コストで有機過酸化物を製造することができるという特徴を有する有機過酸化物の製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも一部は、窒素と酸素の分離工程で分離した酸素を使う有機化合物の酸化方法であって、窒素と酸素の分離工程と酸化工程が隣接している有機過酸化物の製造方法。隣接させるとは、窒素と酸素を分離する工程から特別な移送設備なしにできる距離、または、ブロアー等の簡易移送設備で移送できる距離の範囲に両工程が設置されていることである。隣接させる距離については、好ましくは1キロメートル以下、より好ましくは500メートル以下である。
【選択図】 なし
【解決手段】 少なくとも一部は、窒素と酸素の分離工程で分離した酸素を使う有機化合物の酸化方法であって、窒素と酸素の分離工程と酸化工程が隣接している有機過酸化物の製造方法。隣接させるとは、窒素と酸素を分離する工程から特別な移送設備なしにできる距離、または、ブロアー等の簡易移送設備で移送できる距離の範囲に両工程が設置されていることである。隣接させる距離については、好ましくは1キロメートル以下、より好ましくは500メートル以下である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、有機過酸化物の製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、窒素と酸素を分離する工程と酸化により有機過酸化物の製造する工程を隣接させることにより、低コストで有機過酸化物を製造することができるという特徴を有する有機過酸化物の製造方法に関するものである。
膜や深冷分離により分離した酸素を使って有機化合物を酸化して有機含酸素化合物を製造する方法は使用することは公知である。たとえば、特許文献1には、炭化水素の部分酸化に膜分離で製造した酸素を使用することが開示されている。また、特許文献2には、酸素富化空気によってシクロヘキサンの酸化からの過酸化物を含有している洗浄水から排水脂肪族二酸を製造する方法が開示されている。しかしながら、公知となっている技術情報では、低コストで有機過酸化物を製造するという観点において、必ずしも満足できるものではなかった。
かかる現状において、本発明が解決しようとする課題は、窒素と酸素を分離する工程と酸化により有機過酸化物の製造する工程を隣接させることにより、低コストで有機過酸化物を製造することができるという特徴を有する有機過酸化物の製造方法を提供する点にある。
すなわち、本発明は、少なくとも一部は、窒素と酸素の分離工程で分離した酸素を使う有機化合物の酸化方法であって、窒素と酸素の分離工程と酸化工程が隣接している有機過酸化物の製造方法に係るものである。
本発明により、窒素と酸素を分離する工程と酸化により有機過酸化物の製造する工程を隣接させることにより、低コストで有機過酸化物を製造することができるという特徴を有する有機過酸化物の製造方法を提供することができた。
本発明の窒素と酸素の分離工程としては、PSA分離式または膜分離式または深冷分離式が代表的な窒素と酸素の分離装置として良く使われる。
PSA分離方式には大きく純度の高い酸素を製品とする酸素PSA分離方式および純度の高い窒素を製品とする窒素PSA分離方式の2種類の方式がある。窒素PSA分離方式では、純度の高い窒素を製品として取り出した後の残りのガスは、圧力が低く、酸素純度も低い(25〜40モル%)ので、通常は、大気に廃棄される。また、膜分離式についても同様に純度の高い酸素を製品とする酸素分離膜方式および純度の高い窒素を製品とする窒素分離膜方式の2種類の方式がある。窒素分離膜方式では、純度の高い窒素を製品として取り出した後の残りのガスは、圧力が低く、酸素純度も低い(25〜40モル%)ので、通常は、大気に廃棄される。
一方、本発明の有機化合物を酸化して有機過酸化物を製造する方法として、通常、空気や酸素濃縮空気などの含酸素ガスによる有機化合物の自動酸化による方法が知られている。この酸化反応はアルカリを添加せずに実施してもよいが、アルカリのような添加剤を用いてもよい。通常の酸化反応温度は50〜200℃であり、反応圧力は大気圧から5MPaの間である。添加剤を用いた酸化法の場合、アルカリ性試薬としては、NaOH、KOHのようなアルカリ金属化合物及びその水溶液や、アルカリ土類金属化合物又はNa2CO3、NaHCO3のようなアルカリ金属炭酸塩又はアンモニア及び(NH4)2CO3、アルカリ金属炭酸アンモニウム塩等及びその水溶液が用いられる。
好ましい実施態様は、窒素と酸素を分離する工程と有機過酸化物を製造する酸化工程を隣接させることによって、窒素と酸素の分離工程から酸化工程に移送するコストが低減できるだけではなく、移送のための圧縮機等余分な設備を省略できるので設備費用の面からも低コストで有機含酸素化合物の製造できる。さらに、空気を用いて酸化を行う場合に比べて、酸素富化空気を使用することにより、酸化反応器の気泡率が低下して有効な反応容積が増えるので設備コストが低減できるし、酸素と窒素の合計流量が下がり酸化反応器への含酸素ガスの移送コストの低減が可能であり、さらなる低コストで有機有機過酸化物が製造できる。
窒素と酸素を分離する工程と有機過酸化物を製造する酸化工程を隣接させることを詳しく説明すると、隣接させるとは、窒素と酸素を分離する工程から特別な移送設備なしにできる距離、または、ブロアー等の簡易移送設備で移送できる距離の範囲に両工程が設置されていることである。隣接させる距離については、好ましくは1キロメートル以下、より好ましくは500メートル以下である。
さらに好ましい実施態様は、窒素と酸素の分離工程が窒素PSA方式や窒素分離膜方式の窒素と酸素の分離装置であって、高純度窒素を製品として取り出した後の残りの酸素濃度 25〜40モル%である排ガスを有機化合物の酸化に使用して有機過酸化物を製造することである。高純度酸素に比べて窒素を製造した残渣のほぼコストがゼロである酸素濃度 25〜40モル%である排ガスを有機化合物の酸化に使用する場合、窒素と酸素の分離工程から酸化工程に移送するコストの低減、移送のための圧縮機等余分な設備の省略、含酸素ガスの移送コストの低減に加えて、コストがほぼゼロである窒素製造設備の排ガスを使用できるので、さらなる低コストで有機過酸化物が製造できる。
このように製造された有機過酸化物を使ってプロピレンのエポキシ化反応を行ってプロピレンオキサイドを製造する際には、このようにして得られた有機過酸化物溶液は脱水および/または濃縮操作を行って、水分濃度を低減させることにより、プロピレンオキサイドを得るエポキシ化反応を高収率下に実施することができ、更に製品であるプロピレンオキサイドの精製工程の負荷を軽減することもある(特開2001−270876号公報)。
エポキシ化工程は、有機化酸化物とプロピレンとを反応させることにより、プロピレンオキサイド及び有機アルコールを得る工程である。
また、エポキシ化反応は触媒の存在下、有機化酸化物と過剰量のプロピレンを反応させてプロピレンオキサイド及び有機アルコールを得ることが多い。
触媒としては、目的物を高収率及び高選択率下に得る観点から、チタン含有珪素酸化物からなる触媒が好ましい。これらの触媒は、珪素酸化物と化学的に結合したTiを含有する、いわゆるTi−シリカ触媒が好ましい。たとえば、Ti化合物をシリカ担体に担持したもの、共沈法やゾルゲル法で珪素酸化物と複合したもの、あるいはTiを含むゼオライト化合物などをあげることができる。
エポキシ化工程の原料物質として使用される有機過酸化物は、希薄又は濃厚な精製物又は非精製物であってよい。
エポキシ化反応は、プロピレンと有機過酸化物を触媒に接触させることで行われる。反応は、溶媒を用いて液相中で実施される。溶媒は、反応時の温度及び圧力のもとで液体であり、かつ反応体及び生成物に対して実質的に不活性なものでなければならない。溶媒は使用される有機過酸化物溶液中に存在する物質からなるものであってよい。たとえば、クメンハイドロパーオキサイドがその原料であるクメンとからなる混合物である場合やエチルベンゼンハイドロパーオキサイドがその原料であるエチルベンゼンとからなる混合物である場合やイソブチルハイドロパーオキサイドがその原料であるイソブタンとからなる混合物である場合には、特に溶媒を添加することなく、これを溶媒の代用とすることも可能である。その他、有用な溶媒としては、芳香族の単環式化合物(たとえばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン)及びアルカン(たとえばオクタン、デカン、ドデカン)などがあげられる。
エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、反応混合物を液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。一般に圧力は100〜10000kPaであることが有利である。
固体触媒は、スラリー状又は固定床の形で有利に実施できる。大規模な工業的操作の場合には、固定床を用いるのが好ましい。また、回分法、半連続法、連続法等によって実施できる。
エポキシ化工程へ供給されるプロピレン/有機過酸化物のモル比は2/1〜50/1であることが好ましい。該比が過小であると反応速度が低下して効率が悪く、一方該比が過大であるとリサイクルされるプロピレンの量が過大となり、回収工程において多大なエネルギーを必要とする。
エポキシ化工程へ供給されるプロピレン/有機過酸化物のモル比は2/1〜50/1であることが好ましい。該比が過小であると反応速度が低下して効率が悪く、一方該比が過大であるとリサイクルされるプロピレンの量が過大となり、回収工程において多大なエネルギーを必要とする。
固定床のエポキシ化反応装置を使用する場合には、触媒層上部にワイアーメッシュやスクリーンを設置して固体触媒の飛散を防止しても良い。さらに、万一、原料にポリマー等汚れ物が混入していた場合の触媒床閉塞防止のためにワイアーメッシュやスクリーンで製作したフィルターを触媒層挿入することで、汚れ物を触媒層の手前で保持したり、触媒層への通過面積を広くすることもある。
固定床のエポキシ化反応装置を効率良く使用するために、1つの容器の中に2層以上の触媒層を持つこともできる。また、流体の流れによって触媒が流動したり、次工程にリークすることを防止するために、触媒層上部そして/または触媒層下部にイナートボール層を充填することもできる。
さらに、固定床のエポキシ化反応装置を効率良く使用するために、原料となる有機過酸化物とプロピレンをオリフィスやスタティックミキサーを用いて十分に混合してから反応器にフィードしたり、反応器内部で均一に分散できるように入口部分に多孔板を挿入することもできる。
エポキシ化反応装置の出口液に含まれる未反応のプロピレンは蒸留塔で分離してエポキシ化反応装置にリサイクル使用されることが多いが、プロピレン収率を高収率に維持するためには操作温度に制限がある。(特開2002−322167号公報)そのため、プロピレンを蒸留塔で分離する際、操作圧力の異なる2つの蒸留塔を用いても良い。操作圧力低い蒸留塔から操作圧力高い蒸留塔にプロピレンをリサイクルする方法は、凝縮させてポンプを用いて液としてリサイクル方法もあるし、圧縮機を用いて圧力を上げたガスとしてリサイクル方法もある。
プロピレンを除去したプロピレンオキサイドと有機アルコールを含む溶液は蒸留により、プロピレンオキサイドと有機アルコール溶液に分離した後、プロピレンオキサイドは精製してプロピレンオキサイドの製品となる。
一方、有機アルコール溶液は有機アルコール溶液として、または、メタノールと反応させたエーテル化合物として、ガソリンオクタン価調整剤に利用されることもあるし、有機アルコール溶液を脱水してオレフィン化合物に利用されることもあるし、有機アルコールと水素を反応させて酸化工程の原料にリサイクルすることもある。
酸化工程の原料有機化合物がイソブタンの場合は、有機アルコールがターシャリーブタノールとなるので、ターシャリーブタノールまたはメタノールと反応させたエーテル、メチルターシャリーブチルエーテルとしてガソリンオクタン価調整剤に利用されることが多い。また、酸化工程の原料有機化合物がエチルベンゼンの場合は、有機アルコールがメチルベンジルアルコールとなるので脱水してスチレンモノマーとして利用されることが多い。
酸化工程の原料有機化合物がクメンの場合は、有機アルコールがクミルアルコールとなり、水素と反応させてクメンとして酸化工程の原料として酸化工程にリサイクルすることが多い。リサイクルクメンは酸化へ戻す前に、蒸留精製やアルカリ洗浄・水洗等によって精製してもよい。
エポキシ化工程で得たクミルアルコールと水素と反応させてクメンとする反応は1段の水素化分解反応によって行う方法もあれば、脱水反応によってクミルアルコールを脱水してα−メチルスチレンを得、さらに水添反応によってクメンを得ることもできる。
次に、実施例により本発明を説明する。
実施例1
空気を用いてクメンを酸化する場合のクメンハイドロパーオキサイド1モル当りの空気圧縮機電力消費量は、14.3Wとなる。
実施例1
空気を用いてクメンを酸化する場合のクメンハイドロパーオキサイド1モル当りの空気圧縮機電力消費量は、14.3Wとなる。
実施例2
酸素PSA分離装置より供給された酸素によって、酸素濃度が35%に濃縮された酸素富化空気を用いてクメンを酸化する場合のクメンハイドロパーオキサイド1モル当りの空気圧縮機および酸素PSA分離装置の合計電力消費量は、11.0Wとなる。
酸素PSA分離装置より供給された酸素によって、酸素濃度が35%に濃縮された酸素富化空気を用いてクメンを酸化する場合のクメンハイドロパーオキサイド1モル当りの空気圧縮機および酸素PSA分離装置の合計電力消費量は、11.0Wとなる。
実施例3
窒素PSA分離装置から供給された酸素濃度30%の排ガス用いてクメンを酸化する場合のクメンハイドロパーオキサイド1モル当りの空気圧縮機および窒素PSA分離装置の合計電力消費量は、14.2Wとなり、同時にクメンハイドロパーオキサイド1モル当り高純度窒素が12.4NL副生する。
窒素PSA分離装置から供給された酸素濃度30%の排ガス用いてクメンを酸化する場合のクメンハイドロパーオキサイド1モル当りの空気圧縮機および窒素PSA分離装置の合計電力消費量は、14.2Wとなり、同時にクメンハイドロパーオキサイド1モル当り高純度窒素が12.4NL副生する。
実施例4
深冷分離装置から供給された酸素によって、酸素濃度が35%に濃縮された酸素富化空気を用いてクメンを酸化する場合のクメンハイドロパーオキサイド1モル当りの空気圧縮機および深冷分離装置の合計電力消費量は、12.6Wとなり、同時にクメンハイドロパーオキサイド1モル当り高純度窒素が35.8NL副生する。空気を用いてクメンを酸化する場合のクメンハイドロパーオキサイド1モル当りの電力消費量は、14.3Wとなる。
深冷分離装置から供給された酸素によって、酸素濃度が35%に濃縮された酸素富化空気を用いてクメンを酸化する場合のクメンハイドロパーオキサイド1モル当りの空気圧縮機および深冷分離装置の合計電力消費量は、12.6Wとなり、同時にクメンハイドロパーオキサイド1モル当り高純度窒素が35.8NL副生する。空気を用いてクメンを酸化する場合のクメンハイドロパーオキサイド1モル当りの電力消費量は、14.3Wとなる。
Claims (5)
- 少なくとも一部は、窒素と酸素の分離工程で分離した酸素を使う有機化合物の酸化方法であって、窒素と酸素の分離工程と酸化工程が隣接している有機過酸化物の製造方法。
- 空気と酸素の分離装置から酸化工程に送る酸素濃度が50モル%以下である請求項1記載の方法。
- 窒素と酸素の分離工程がPSA分離式または膜分離式または深冷分離式の窒素と酸素分離装置である請求項1または請求項2記載の方法。
- 製造方法が下記の工程を含むプロピレンオキサイドの製造方法の酸化工程の一部である請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の方法。
酸化工程:有機化合物を酸化することにより有機過酸化物を得る工程
エポキシ化工程:有機過酸化物とプロピレンを反応させることにより、プロピレンオキサイドを得る工程 - 製造方法が下記の工程を含むプロピレンオキサイドの製造方法の酸化工程の一部である請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の方法。
酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロパーオキサイドを得る工程
エポキシ化工程:クメンハイドロパーオキサイドを含むクメン溶液とプロピレンとを反応させることにより、プロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る工程
クメン回収工程:エポキシ化工程で得たクミルアルコールと水素を反応してクメンとし、酸化工程の原料として酸化工程へリサイクルする工程
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003327716A JP2005089409A (ja) | 2003-09-19 | 2003-09-19 | 有機過酸化物の製造方法 |
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Cited By (1)
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JP2008173596A (ja) * | 2007-01-21 | 2008-07-31 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 超臨界二酸化炭素反応方法及び装置 |
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2003
- 2003-09-19 JP JP2003327716A patent/JP2005089409A/ja active Pending
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