JP2012219016A - 有機過酸化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ナトリウム化合物が後工程に送られることによるプロセスの閉塞や触媒の劣化を抑制できる有機過酸化物の製造方法を提供する。
【解決手段】下記第一工程〜下記第三工程を含む有機過酸化物の製造方法。
第一工程:有機化合物の酸化により、ナトリウム化合物と有機過酸化物とを含む溶液を得る工程
第二工程:第一工程で得られた溶液から有機過酸化物を含む油層と水層とに分離する工程
第三工程:第二工程で分離された油層に水を添加して、有機過酸化物を油層に、ナトリウム化合物を水層に分離する工程であって、該水層のナトリウムイオン濃度を50重量ppm以下または1600重量ppm以上とする工程
【選択図】図1
【解決手段】下記第一工程〜下記第三工程を含む有機過酸化物の製造方法。
第一工程:有機化合物の酸化により、ナトリウム化合物と有機過酸化物とを含む溶液を得る工程
第二工程:第一工程で得られた溶液から有機過酸化物を含む油層と水層とに分離する工程
第三工程:第二工程で分離された油層に水を添加して、有機過酸化物を油層に、ナトリウム化合物を水層に分離する工程であって、該水層のナトリウムイオン濃度を50重量ppm以下または1600重量ppm以上とする工程
【選択図】図1
Description
本発明は、有機過酸化物の製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、ナトリウム化合物が後工程に送られることによるプロセスの閉塞や触媒の劣化を抑制できる有機過酸化物の製造方法に関するものである。
有機過酸化物は、通常、その製造工程において、ナトリウム化合物が含まれることがあり、例えば、特許文献1には、このようなナトリウム化合物が含まれた有機過酸化物を用いて、プロピレンのエポキシ化反応を行ってプロピレンオキサイドを製造する場合、ナトリウム化合物がエポキシ触媒に蓄積して触媒活性を低下させることが記載されている。有機過酸化物に含まれるナトリウム化合物を水層に除去する方法としては、例えば、特許文献2には、水洗浄を直列に行うことがナトリウム化合物を効率的に除去する方法であることが記載されている。
しかしながら、上記特許文献2に記載の方法では、効率よくナトリウム化合物を含む有機過酸化物溶液から水層にナトリウム化合物を除去して有機過酸化物を精製するという観点において、必ずしも満足できるものではなかった。
かかる現状において、本発明が解決しようとする課題は、ナトリウム化合物が後工程に送られることによるプロセスの閉塞や触媒の劣化を抑制できる有機過酸化物の製造方法を提供する点に存するものである。
かかる現状において、本発明が解決しようとする課題は、ナトリウム化合物が後工程に送られることによるプロセスの閉塞や触媒の劣化を抑制できる有機過酸化物の製造方法を提供する点に存するものである。
すなわち、本発明は、下記第一工程〜下記第三工程を含む有機過酸化物の製造方法に係るものである。
第一工程:有機化合物の酸化により、ナトリウム化合物と有機過酸化物とを含む溶液を得る工程
第二工程:第一工程で得られた溶液から有機過酸化物を含む油層と水層とに分離する工程
第三工程:第二工程で分離された油層に水を添加して、有機過酸化物を油層に、ナトリウム化合物を水層に分離する工程であって、該水層のナトリウムイオン濃度を50重量ppm以下または1600重量ppm以上とする工程
第一工程:有機化合物の酸化により、ナトリウム化合物と有機過酸化物とを含む溶液を得る工程
第二工程:第一工程で得られた溶液から有機過酸化物を含む油層と水層とに分離する工程
第三工程:第二工程で分離された油層に水を添加して、有機過酸化物を油層に、ナトリウム化合物を水層に分離する工程であって、該水層のナトリウムイオン濃度を50重量ppm以下または1600重量ppm以上とする工程
以上に説明したとおり、本発明により、ナトリウム化合物が後工程に送られることによるプロセスの閉塞や触媒の劣化を抑制できる有機過酸化物の製造方法を提供することができる。
(1)有機過酸化物の製造方法
本発明の有機過酸化物の製造方法は、下記第一工程〜下記第三工程を含む。
第一工程:有機化合物の酸化により、ナトリウム化合物と有機過酸化物とを含む溶液を得る工程
第二工程:第一工程で得られた溶液から有機過酸化物を含む油層と水層とに分離する工程
第三工程:第二工程で分離された油層に水を添加して、有機過酸化物を油層に、ナトリウム化合物を水層に分離する工程であって、該水層のナトリウムイオン濃度を50重量ppm以下または1600重量ppm以上とする工程
本発明の有機過酸化物の製造方法は、下記第一工程〜下記第三工程を含む。
第一工程:有機化合物の酸化により、ナトリウム化合物と有機過酸化物とを含む溶液を得る工程
第二工程:第一工程で得られた溶液から有機過酸化物を含む油層と水層とに分離する工程
第三工程:第二工程で分離された油層に水を添加して、有機過酸化物を油層に、ナトリウム化合物を水層に分離する工程であって、該水層のナトリウムイオン濃度を50重量ppm以下または1600重量ppm以上とする工程
前記第一工程は、有機化合物の酸化により、ナトリウム化合物と有機過酸化物とを含む溶液を得る工程である。
有機化合物としては、例えば、クメン、エチルベンゼン、イソブタン等が挙げられ、酸化されることにより、それぞれ、クメンハイドロパーオキサイド、エチルベンゼンハイドロパーオキサイド、イソブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物となる。
酸化は、通常、空気や酸素濃縮空気等の含酸素ガスによる有機化合物の自動酸化により行われる。この酸化は、アルカリ性化合物を添加せずに実施してもよいが、アルカリ性化合物のような添加剤を用いてもよい。通常の酸化の反応温度は50〜200℃であり、反応圧力は大気圧から5MPaの間である。添加剤を用いた酸化の場合、アルカリ性化合物としては、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アンモニア、アンモニウム塩等が挙げられ、アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム等が挙げられ、アンモニウム塩としては、例えば、炭酸アンモニウム等が挙げられる。また、アルカリ性化合物は、水溶液として用いてもよく、アルカリ性化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。アルカリ性化合物として、好ましくは、ナトリウム化合物であり、より好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムである。また、酸化をアルカリ性化合物を添加せずに実施した場合は副生する酸による腐食や後工程からの要求によってナトリウム化合物を用いて中和されることが多い。従って、本発明の第一工程で得られる溶液には、有機過酸化物の他に、ナトリウム化合物、水が含まれている。
酸化は、通常、空気や酸素濃縮空気等の含酸素ガスによる有機化合物の自動酸化により行われる。この酸化は、アルカリ性化合物を添加せずに実施してもよいが、アルカリ性化合物のような添加剤を用いてもよい。通常の酸化の反応温度は50〜200℃であり、反応圧力は大気圧から5MPaの間である。添加剤を用いた酸化の場合、アルカリ性化合物としては、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アンモニア、アンモニウム塩等が挙げられ、アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム等が挙げられ、アンモニウム塩としては、例えば、炭酸アンモニウム等が挙げられる。また、アルカリ性化合物は、水溶液として用いてもよく、アルカリ性化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。アルカリ性化合物として、好ましくは、ナトリウム化合物であり、より好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムである。また、酸化をアルカリ性化合物を添加せずに実施した場合は副生する酸による腐食や後工程からの要求によってナトリウム化合物を用いて中和されることが多い。従って、本発明の第一工程で得られる溶液には、有機過酸化物の他に、ナトリウム化合物、水が含まれている。
また、第一工程における酸化は発熱反応なので、酸化反応器の内部に熱交換器および/または配管を挿入したり、酸化反応器の外部に熱交換器を設置したりすることでその反応熱を有効に活用しても良い。
さらに、空気または酸素濃縮ガスで酸化を行った場合、窒素を主成分とする排ガスが発生するが、排ガスに含まれる悪臭成分を白金族の粒状またはハニカム状触媒を用いた触媒燃焼を行って無臭化した後に放出しても良い。触媒燃焼に必要な熱量は外部からの加熱のみならず、燃焼後排ガスを有効利用してエネルギー効率を上げても良い。
酸化反応装置として、気泡塔式酸化反応器を用いた場合には特別な攪拌機なしに酸化反応を効率良く推進できる。また、気泡塔式酸化反応器の内部にダウンカマーを設置することで反応器内部の攪拌はさらに促進される。さらに、酸化に供する空気や酸素濃縮空気などの含酸素ガスはスパージャーと称する1mmから50mmの孔を通じて含酸素ガスを毎秒10mから毎秒300mの高速で噴き出すことでガスを均一に分散させて酸化反応器効率を上げることができる。
前記第一工程で得られたナトリウム化合物と有機過酸化物とを含む溶液から有機過酸化物を濃縮させて、後工程の効率化を図ることもある。
前記第二工程は、第一工程で得られた溶液から有機過酸化物を含む油層と水層とに分離する工程である。
第二工程では、ナトリウム化合物は、油層と水層の両方に含まれる。
第二工程では、ナトリウム化合物は、油層と水層の両方に含まれる。
前記第三工程は、第二工程で分離された油層に水を添加して、有機過酸化物を油層に、ナトリウム化合物を水層に分離する工程であって、該水層のナトリウムイオン濃度を50重量ppm以下または1600重量ppm以上とする工程である。
第二工程で分離された油層には、ナトリウム化合物が含まれており、第三工程で水を添加して、油層を水洗することにより、該油層に含まれるナトリウム化合物の濃度を低減させる。油層を水洗するための装置としては、一般的な混合装置および油水分離装置を用いることができる。また、水洗装置を複数系列シリーズに接続することにより、該油層に含まれるナトリウム化合物の濃度をさらに低減することもできる。
水洗装置を複数系列シリーズに接続する場合、第二工程で分離された油層は第一段目の水洗装置に供給し、第三工程で添加する水は最終段目の水洗装置に供給することがこのましい。すなわち、最終段目の水洗装置に添加される水は、油水分離され、適時前段の水洗装置へ送られ、向流多段水洗とすることができる。
第二工程で分離された油層には、ナトリウム化合物が含まれており、第三工程で水を添加して、油層を水洗することにより、該油層に含まれるナトリウム化合物の濃度を低減させる。油層を水洗するための装置としては、一般的な混合装置および油水分離装置を用いることができる。また、水洗装置を複数系列シリーズに接続することにより、該油層に含まれるナトリウム化合物の濃度をさらに低減することもできる。
水洗装置を複数系列シリーズに接続する場合、第二工程で分離された油層は第一段目の水洗装置に供給し、第三工程で添加する水は最終段目の水洗装置に供給することがこのましい。すなわち、最終段目の水洗装置に添加される水は、油水分離され、適時前段の水洗装置へ送られ、向流多段水洗とすることができる。
本発明においては、第三工程で添加する水の量を操作して、水層のナトリウムイオン濃度を50重量ppm以下または1600重量ppm以上とすることによって、油水分離が良好であることを見出した。すなわち、第三工程での水層のナトリウムイオン濃度が50重量ppmを超え、1600重量ppm未満の領域では、油水分離性が低下し、水層へ油層が混入し、水層が著しく白濁する現象が生じる。その結果、油水分離界面付近の分離不充分な領域(一般に中間層と呼ばれる)が拡大し、水層側に油層を流出させるという問題を生じたり、水層の見かけ比重が変化して界面制御が乱れたりして、結果として油層側に混入する水層も増加して、該油層側に混入する水層に含まれるナトリウム化合物が後工程に送られることによるプロセスの閉塞や触媒の劣化を引き起こすのである。これに対し、本発明の水層のナトリウムイオン濃度とした場合、前述の水層の白濁は抑制され、その結果、ナトリウム化合物が後工程に送られることによるプロセスの閉塞や触媒の劣化を抑制できる。
(2)プロピレンオキサイドの製造方法
本発明のプロピレンオキサイドの製造方法は、下記酸化工程および下記エポキシ化工程を含み、前記有機過酸化物の製造方法が、下記酸化工程の一部である製造方法である。
酸化工程:有機化合物を酸化することにより有機過酸化物を得る工程
エポキシ化工程:酸化工程で得られた有機過酸化物と、プロピレンとを反応させることにより、プロピレンオキサイドおよび有機過酸化物由来のアルコールを得る工程
本発明のプロピレンオキサイドの製造方法は、下記酸化工程および下記エポキシ化工程を含み、前記有機過酸化物の製造方法が、下記酸化工程の一部である製造方法である。
酸化工程:有機化合物を酸化することにより有機過酸化物を得る工程
エポキシ化工程:酸化工程で得られた有機過酸化物と、プロピレンとを反応させることにより、プロピレンオキサイドおよび有機過酸化物由来のアルコールを得る工程
本発明のプロピレンオキサイドの製造方法は、前記有機過酸化物の製造方法によって得られた有機過酸化物を含む油層を脱水および/または濃縮操作を行って、水分濃度を低減させることにより、プロピレンオキサイドを得るエポキシ化反応を高収率下に実施することができ、更に製品であるプロピレンオキサイドの精製工程の負荷を軽減することもある(特開2001−270876号公報)。
前記エポキシ化工程は、有機化酸化物とプロピレンとを反応させることにより、プロピレンオキサイド及び有機過酸化物由来のアルコールを得る工程である。
また、エポキシ化反応は触媒の存在下、有機化酸化物と過剰量のプロピレンを反応させてプロピレンオキサイド及び有機過酸化物由来のアルコールを得ることが多い。
また、エポキシ化反応は触媒の存在下、有機化酸化物と過剰量のプロピレンを反応させてプロピレンオキサイド及び有機過酸化物由来のアルコールを得ることが多い。
触媒としては、目的物を高収率及び高選択率下に得る観点から、チタン含有珪素酸化物からなる触媒が好ましい。これらの触媒は、珪素酸化物と化学的に結合したTiを含有する、いわゆるTi−シリカ触媒が好ましい。たとえば、Ti化合物をシリカ担体に担持したもの、共沈法やゾルゲル法で珪素酸化物と複合したもの、あるいはTiを含むゼオライト化合物などをあげることができる。
エポキシ化工程の原料物質として使用される有機過酸化物は、希薄又は濃厚な精製物又は非精製物であってよい。
エポキシ化反応は、プロピレンと有機過酸化物を触媒に接触させることで行われる。反応は、溶媒を用いて液相中で実施される。溶媒は、反応時の温度及び圧力のもとで液体であり、かつ反応体及び生成物に対して実質的に不活性なものでなければならない。溶媒は使用される有機過酸化物溶液中に存在する物質からなるものであってよい。たとえば、クメンハイドロパーオキサイドがその原料であるクメンとからなる混合物である場合やエチルベンゼンハイドロパーオキサイドがその原料であるエチルベンゼンとからなる混合物である場合やイソブチルハイドロパーオキサイドがその原料であるイソブタンとからなる混合物である場合には、特に溶媒を添加することなく、これを溶媒の代用とすることも可能である。その他、有用な溶媒としては、芳香族の単環式化合物(たとえばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン)及びアルカン(たとえばオクタン、デカン、ドデカン)などがあげられる。
エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、反応混合物を液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。一般に圧力は100〜10000kPaであることが有利である。
固体触媒は、スラリー状又は固定床の形で有利に実施できる。大規模な工業的操作の場合には、固定床を用いるのが好ましい。また、回分法、半連続法、連続法等によって実施できる。
エポキシ化工程へ供給されるプロピレン/有機過酸化物のモル比は2/1〜50/1であることが好ましい。該比が過小であると反応速度が低下して効率が悪く、一方該比が過大であるとリサイクルされるプロピレンの量が過大となり、回収工程において多大なエネルギーを必要とする。
固定床のエポキシ化反応装置を使用する場合には、触媒層上部にワイアーメッシュやスクリーンを設置して固体触媒の飛散を防止しても良い。さらに、万一、原料にポリマー等汚れ物が混入していた場合の触媒床閉塞防止のためにワイアーメッシュやスクリーンで製作したフィルターを触媒層挿入することで、汚れ物を触媒層の手前で保持したり、触媒層への通過面積を広くすることもある。
固定床のエポキシ化反応装置を効率良く使用するために、1つの容器の中に2層以上の触媒層を持つこともできる。また、流体の流れによって触媒が流動したり、次工程にリークすることを防止するために、触媒層上部そして/または触媒層下部にイナートボール層を充填することもできる。
さらに、固定床のエポキシ化反応装置を効率良く使用するために、原料となる有機過酸化物とプロピレンをオリフィスやスタティックミキサーを用いて十分に混合してから反応器にフィードしたり、反応器内部で均一に分散できるように入口部分に多孔板を挿入することもできる。
エポキシ化反応装置の出口液に含まれる未反応のプロピレンは蒸留塔で分離してエポキシ化反応装置にリサイクル使用されることが多いが、プロピレン収率を高収率に維持するためには操作温度に制限がある。(特開2002−322167号公報)そのため、プロピレンを蒸留塔で分離する際、操作圧力の異なる2つの蒸留塔を用いても良い。操作圧力の低い蒸留塔から操作圧力の高い蒸留塔にプロピレンをリサイクルする方法は、凝縮させてポンプを用いて液としてリサイクル方法もあるし、圧縮機を用いて圧力を上げたガスとしてリサイクル方法もある。
プロピレンを除去したプロピレンオキサイドと有機過酸化物由来のアルコールを含む溶液は蒸留により、プロピレンオキサイドと有機過酸化物由来のアルコール溶液に分離した後、プロピレンオキサイドは精製してプロピレンオキサイドの製品となる。
一方、有機過酸化物由来のアルコール溶液は有機過酸化物由来のアルコール溶液として、または、メタノールと反応させたエーテル化合物として、ガソリンオクタン価調整剤に利用されることもあるし、有機過酸化物由来のアルコール溶液を脱水してオレフィン化合物に利用されることもあるし、有機過酸化物由来のアルコールと水素を反応させて酸化工程の原料にリサイクルすることもある。
酸化工程の原料有機化合物がイソブタンの場合は、有機過酸化物由来のアルコールがターシャリーブタノールとなるので、ターシャリーブタノールまたはメタノールと反応させたエーテル、メチルターシャリーブチルエーテルとしてガソリンオクタン価調整剤に利用されることが多い。また、酸化工程の原料有機化合物がエチルベンゼンの場合は、有機過酸化物由来のアルコールが1−フェニルエタノールとなるので脱水してスチレンモノマーとして利用されることが多い。
酸化工程の原料有機化合物がクメンの場合は、有機過酸化物由来のアルコールがクミルアルコールとなり、水素と反応させてクメンとして酸化工程の原料として酸化工程にリサイクルすることが多い。リサイクルクメンは酸化へ戻す前に、蒸留精製やアルカリ洗浄・水洗等によって精製してもよい。
エポキシ化工程で得たクミルアルコールと水素と反応させてクメンとする反応は1段の水素化分解反応によって行う方法もあれば、脱水反応によってクミルアルコールを脱水してα−メチルスチレンを得、さらに水添反応によってクメンを得ることもできる。
次に、実施例により本発明を説明する。
[実施例1〜5]
第一工程として、有機化合物であるクメンを炭酸ナトリウム水溶液の存在下に空気酸化して、ナトリウム化合物とクメンハイドロパーオキサイドとを含む溶液を得た。
第二工程として、第一工程で得られた溶液からクメンハイドロパーオキサイドを含む油層と水層とに分離した。
第三工程として、第二工程で分離された油層に水を添加して、水層のナトリウムイオン濃度を調整した。ミキサーセトラーを用い、クメンハイドロパーオキサイドを油層に、ナトリウム化合物を水層に分離した。このときの水層のナトリウムイオン濃度をICP発光分析法により測定した。さらに、水層の白濁の有無を目視検査した。
本願発明の第一の範囲である水層中のナトリウムイオン濃度が50重量ppm以下の場合、水層の白濁は見られず、液は透明であった(実施例1:13重量ppm、実施例2:41重量ppm)。
本願発明の第二の範囲である水層中のナトリウムイオン濃度が1600重量ppm以上の場合、水層の白濁は見られず、液は透明であった(実施例3:2023重量ppm、実施例4:3286重量ppm、実施例5:21000重量ppm)。実施例1〜5の結果を表1に示す。
第一工程として、有機化合物であるクメンを炭酸ナトリウム水溶液の存在下に空気酸化して、ナトリウム化合物とクメンハイドロパーオキサイドとを含む溶液を得た。
第二工程として、第一工程で得られた溶液からクメンハイドロパーオキサイドを含む油層と水層とに分離した。
第三工程として、第二工程で分離された油層に水を添加して、水層のナトリウムイオン濃度を調整した。ミキサーセトラーを用い、クメンハイドロパーオキサイドを油層に、ナトリウム化合物を水層に分離した。このときの水層のナトリウムイオン濃度をICP発光分析法により測定した。さらに、水層の白濁の有無を目視検査した。
本願発明の第一の範囲である水層中のナトリウムイオン濃度が50重量ppm以下の場合、水層の白濁は見られず、液は透明であった(実施例1:13重量ppm、実施例2:41重量ppm)。
本願発明の第二の範囲である水層中のナトリウムイオン濃度が1600重量ppm以上の場合、水層の白濁は見られず、液は透明であった(実施例3:2023重量ppm、実施例4:3286重量ppm、実施例5:21000重量ppm)。実施例1〜5の結果を表1に示す。
[比較例1〜4]
水層中のナトリウムイオン濃度が50重量ppmを超えて、1600重量ppm未満の範囲であること以外、実施例1と同じ方法とした(比較例1:51重量ppm、比較例2:111重量ppm、比較例3:974重量ppm、比較例4:1515重量ppm)。
得られた水層は白濁していた。比較例1〜4の結果を表1に示す。
水層中のナトリウムイオン濃度が50重量ppmを超えて、1600重量ppm未満の範囲であること以外、実施例1と同じ方法とした(比較例1:51重量ppm、比較例2:111重量ppm、比較例3:974重量ppm、比較例4:1515重量ppm)。
得られた水層は白濁していた。比較例1〜4の結果を表1に示す。
これにより、第三工程での水層のナトリウムイオン濃度を50重量ppm以下または1600重量ppm以上とした場合、油水分離性が低下することなく、水層が白濁する現象を抑制でき、界面制御が乱れることなく、結果として油層側に混入する水層も抑制でき、該油層側に混入する水層に含まれるナトリウム化合物が後工程に送られてプロセスの閉塞や触媒の劣化を抑制できることが示された。
(1) 第一工程の酸化反応器
(2) 第一工程へ供給されるクメン
(3) 第一工程へ供給される炭酸ナトリウム水溶液
(4) 第一工程へ供給される空気
(5) 酸化反応液を第二工程へ送るポンプ
(6) 酸化反応液
(7) 第二工程の油水分離ドラム
(8) 第二工程で分離された油層
(9) 第二工程で分離された水層
(10) 第三工程の1段目の水洗装置
(11) 第三工程の最終段目の水洗装置
(12) 水洗装置の水層ポンプ
(13) 水洗装置の水層ポンプ
(14) 第三工程に添加する水
(15) 向流水洗のために前段へ送られる水
(2) 第一工程へ供給されるクメン
(3) 第一工程へ供給される炭酸ナトリウム水溶液
(4) 第一工程へ供給される空気
(5) 酸化反応液を第二工程へ送るポンプ
(6) 酸化反応液
(7) 第二工程の油水分離ドラム
(8) 第二工程で分離された油層
(9) 第二工程で分離された水層
(10) 第三工程の1段目の水洗装置
(11) 第三工程の最終段目の水洗装置
(12) 水洗装置の水層ポンプ
(13) 水洗装置の水層ポンプ
(14) 第三工程に添加する水
(15) 向流水洗のために前段へ送られる水
Claims (3)
- 下記第一工程〜下記第三工程を含む有機過酸化物の製造方法。
第一工程:有機化合物の酸化により、ナトリウム化合物と有機過酸化物とを含む溶液を得る工程
第二工程:第一工程で得られた溶液から有機過酸化物を含む油層と水層とに分離する工程
第三工程:第二工程で分離された油層に水を添加して、有機過酸化物を油層に、ナトリウム化合物を水層に分離する工程であって、該水層のナトリウムイオン濃度を50重量ppm以下または1600重量ppm以上とする工程 - 請求項1に記載の方法が下記酸化工程および下記エポキシ化工程を含むプロピレンオキサイドの製造方法における下記酸化工程の一部であるプロピレンオキサイドの製造方法。
酸化工程:有機化合物を酸化することにより有機過酸化物を得る工程
エポキシ化工程:酸化工程で得られた有機過酸化物と、プロピレンとを反応させることにより、プロピレンオキサイドおよび有機過酸化物由来のアルコールを得る工程 - 酸化工程がクメンを酸化することによりクメンハイドロパーオキサイドを得る工程であり、エポキシ化工程がクメンハイドロパーオキサイドを含むクメン溶液とプロピレンとを反応させることにより、プロピレンオキサイドおよびクミルアルコールを得る工程であり、更に、下記クメン回収工程を含む請求項2に記載のプロピレンオキサイドの製造方法。
クメン回収工程:エポキシ化工程で得られたクミルアルコールと水素とを反応してクメンとし、該クメンを酸化工程の原料として酸化工程へリサイクルする工程
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