JP2005089330A - 2−アダマンタノンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
アダマンタンを原料として発煙硫酸による酸化を行う系において、従来技術における課題、すなわち副生する樹脂状化合物の量を抑制し、高収率かつ樹脂状化合物の含有量が低い高純度の2−アダマンタノンを製造する方法を提供する。
【解決手段】
アダマンタンを三酸化イオウの濃度が10〜60質量%、好ましくは10〜45質量%の発煙硫酸中において−40〜20℃で酸化させて、反応系の原料アダマンタンの残存率が1〜20モル%、好ましくは5〜18モル%になったときに、水を加えて発煙硫酸の濃度が10質量%以下、好ましくは5質量%以下、あるいは硫酸の濃度が90〜100質量%、好ましくは96〜100質量%となるように調整した後、さらに、反応させて2−アダマンタノンを製造する。
【選択図】 なし
アダマンタンを原料として発煙硫酸による酸化を行う系において、従来技術における課題、すなわち副生する樹脂状化合物の量を抑制し、高収率かつ樹脂状化合物の含有量が低い高純度の2−アダマンタノンを製造する方法を提供する。
【解決手段】
アダマンタンを三酸化イオウの濃度が10〜60質量%、好ましくは10〜45質量%の発煙硫酸中において−40〜20℃で酸化させて、反応系の原料アダマンタンの残存率が1〜20モル%、好ましくは5〜18モル%になったときに、水を加えて発煙硫酸の濃度が10質量%以下、好ましくは5質量%以下、あるいは硫酸の濃度が90〜100質量%、好ましくは96〜100質量%となるように調整した後、さらに、反応させて2−アダマンタノンを製造する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、医農薬中間体や電子材料原料等として有用な2−アダマンタノンの製造方法に関する。詳しくは、アダマンタンを発煙硫酸中で酸化し、2−アダマンタノンを効率よく製造する方法に関する。
2−アダマンタノンは、電子材料の原料や医農薬中間体として有用な化合物である。例えば、アルキルアダマンチルエステル化合物を原料として得られるレジストは、半導体製造プロセスにおけるドライエッチング耐性が高いことが報告され(特許文献1)、半導体レジスト材料としての可能性が注目されている。しかして、2−アダマンタノンは、上記アルキルアダマンチルエステル化合物の原料として重要な化合物である。
また、電子材料等の分野においては競争が激しく、製造コスト低減の要求も厳しくなってきているため、廉価な原材料を用いて簡便な方法で高収率の2−アダマンタノンを得ることが極めて重要となってきている。
従来、2−アダマンタノンを得る方法としては、アダマンタンを硫酸で酸化した後、水蒸気蒸留により精製する方法が知られている(非特許文献1)。該方法により2−アダマンタノンを47〜48%の収率で得ている。またその改良方法として、前記、硫酸酸化法において、反応系の反応温度を40〜60℃で30分以上保持した後、60〜90℃まで昇温し、反応することで2−アダマンタノンを70〜90%の収率で得ている(特許文献2)。
本発明者等が、特許文献2を追試した結果、目的化合物を収率87%で単離でき、非特許文献1と比較して著しく収率が改善されていることが確認できた。しかしながら、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと略す)を用いた内部標準による純度測定(内部標準物質としてブロモベンゼンを使用した純度測定方法、以下、GC純度という)を行ったところ、GC純度92%、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)による樹脂状化合物の含有量は4%であった。よって、樹脂状化合物の含有量を考慮すると、2−アダマンタノンの実質的な収率は83%であり、特許文献2の技術は近年の電子材料用途における高純度化への対応としては、まだ十分満足できるものではなかった。
上記のいずれの方法においても純度という点で、反応中に大量に副生する樹脂状化合物が、単離後の2−アダマンタノン中に残存し、純度の低下の原因となっていた。高純度の2−アダマンタノンを得るためには水蒸気蒸留、薄膜蒸留またはクロマトグラフィーにより精製操作を行う必要があり、工程増加に伴う収率の低下、操作の煩雑さ、特別な設備の使用が課題とされ、簡便な操作で高純度の2−アダマンタノンを製造する方法が望まれていた。
さらに、上記の技術の改良方法として反応系中の硫酸の濃度を発煙硫酸の添加によって硫酸濃度を一定に維持する技術が提案された(特許文献3)。しかしながら、この方法は、依然として樹脂状化合物の副生を抑制する技術とは言い難かった。
硫酸を用いる方法以外の2−アダマンタノンの製造方法としては鉄錯体、過酸化水素、ピリジン、酢酸の系が知られている(非特許文献2)他、パラジウム、銅、またはニッケルなどをアルミナ上に担持した触媒の存在下、高温でアダマンタンと二酸化イオウを反応させる方法(非特許文献3)があるが、いずれも触媒活性や安定性、反応性、選択性、触媒の除去法に課題が多く工業的な製造に適しているとは言い難い。
このように、硫酸を使用する方法は、鉄錯体やパラジウム、銅、ニッケルを触媒として使用する方法と比較してより経済的であるが、電子材料向けの主要原料として収率、純度という点において、克服すべき課題が残されていた。また、従来技術においては、アダマンタンを原料として発煙硫酸中で酸化させて2−アダマンタノンを製造した例はない。
本発明の目的は、アダマンタンを原料として発煙硫酸による酸化を行う系において、従来技術における課題、すなわち副生する樹脂状化合物の量を抑制し、高収率かつ樹脂状化合物の含有量が低い高純度の2−アダマンタノンを製造する方法を提供することである。
本発明者らは上記の技術課題に鑑み、これまで前例の無かった発煙硫酸による反応条件について種々検討を行った。先ず、10質量%の発煙硫酸を用いて反応条件の最適化を行ったところ、25℃以上では、アダマンタンが1−アダマンタノール、次いで、1,3−アダマンタンジオールを経由して樹脂状化合物になることを確認した。この傾向は、発煙硫酸の濃度の上昇とともに強まることも確認した。
本発明者らは、さらに鋭意検討を行った結果、アダマンタンを10質量%以上の発煙硫酸と反応させ、原料のアダマンタンが初期の量の20モル%以下になった段階で、発煙硫酸の濃度が10質量%以下、あるいは硫酸の濃度が90〜100質量%となるように水で希釈し、さらに反応させることで上述の樹脂状化合物の副生を抑制し、かつ高選択率、高収率、高純度で2−アダマンタノンを単離できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、アダマンタンを三酸化イオウの濃度が10〜60質量%の発煙硫酸中において−40〜20℃で酸化させて、反応系の原料アダマンタンの残存率が1〜20モル%になったときに、発煙硫酸の濃度が10質量%以下、あるいは硫酸の濃度が90〜100質量%となるように水で希釈した後、さらに、反応させることを特徴とする2−アダマンタノンの製造方法である。
本発明により得られた2−アダマンタノンは、収率83%程度、GC純度92%程度と収率とGC純度を維持したまま、樹脂状化合物の含有量を従来技術の約半分量の2%以下に抑制されている。よって、本発明は、電子材料分野で課題とされていた樹脂状化合物の含有量を半分以下にしたことで、従来の技術と比較して著しく優れている。
本発明により得られた高純度の2−アダマンタノンは、耐熱性高分子等の機能性材料やレジスト等の電子材料などの原料として有効に使用することができる。
本発明における反応原料のアダマンタンは工業的に入手容易なものが何等制限なく使用できる。また、本発明における発煙硫酸は工業的に入手可能なものを何等制限なく使用できる。
本発明においては、上記の入手可能な発煙硫酸と濃硫酸を特定の割合で調合することで、種々の濃度の発煙硫酸を調整可能である。また、三酸化イオウを直接添加して発煙硫酸の濃度調節を行ってもよい。
本発明における硫酸あるいは発煙硫酸の濃度表記について定義しておく。98質量%硫酸と表記されている場合、全質量中の98%が硫酸成分であり、残りの2%が水であることを意味する。また、30質量%発煙硫酸と表記されている場合、全質量中の30%が三酸化イオウ成分であり、残りが硫酸成分であることを意味する。
本発明においては、三酸化イオウの濃度が10〜60質量%、好ましくは10〜45質量%である発煙硫酸を使用することが特徴の一つである。三酸化イオウの濃度が10質量%よりも低い場合は低温で反応が進行しにくく、60質量%を超える場合は樹脂状化合物の生成が著しく促進され、2−アダマンタノンの収率が著しく低下し、好ましくない。
アダマンタンと発煙硫酸との反応は、原料のアダマンタンが仕込み時のアダマンタンの量に対して1〜20モル%、好ましくは5〜18モル%になるまで行われる。
この時の反応時間は一般的に0.1〜50時間の間である。この反応は、樹脂状化合物の生成を抑制するために温度−40〜20℃の間で行う必要がある。
本発明は、反応中の原料アダマンタンが仕込み時に対して1〜20モル%になったときに、水を加えて発煙硫酸濃度が10質量%以下、好ましくは5質量%以下あるいは硫酸の濃度が90〜100質量%、好ましくは96〜100質量%となるように調整する。原料のアダマンタンが20モル%よりも多い時期に水で希釈を行うと、樹脂状化合物の生成を抑制できるが、反応時間が著しく長期化するために好ましくない。また、水で希釈したときの硫酸の濃度が90%より低くなると、硫酸の酸化力が低下し反応時間が長期化するために好ましくない。さらに、希釈に用いる水の量が少なく三酸化イオウが10質量%以上残存する状態で反応を継続すると、樹脂状化合物の副生が助長されるために好ましくない。
ここで、硫酸の濃度の調整方法について説明する。本反応では、アダマンタン1モルと硫酸2モルが反応して、1モルの2−アダマンタノンが生成し、3モルの水が副生する。よって、初期の発煙硫酸中の硫酸はアダマンタンに対して2倍当量消費されている。また、3倍当量の水が副生するため、初期の発煙硫酸中の三酸化イオウは3倍当量が消費され、硫酸に転化されている。上述の消費と副生を考慮した上で、さらに水を加えた硫酸の質量百分率が96〜100質量%となるように、水を添加する。10質量%以下の発煙硫酸に調整する際も同様に調整する。
水による希釈後の反応は、反応時間の短縮と樹脂状化合物の生成抑制の観点から、反応温度を40〜80℃の範囲で、反応時間を1〜300時間の範囲で選ぶことが好ましい。
本発明における反応中のアダマンタンの残存量はGCによって定量できる。
本反応における反応剤の添加方法は特に制限されない。例えば、発煙硫酸を反応容器に注入し、アダマンタンを固体で添加しても良く、その逆の添加順序でもよい。
本発明の製造方法における反応装置は特に制限されないが、例えば、反応系を攪拌可能なように機械的動力源に接続された撹拌翼、温度計、コンデンサー、ガス抜き管を装着したガラスライニング、ゴムライニング、フッ素樹脂ライニング、若しくはその他の耐酸性の材質の反応容器が挙げられる。
本発明の製造方法においては、反応の特性から二酸化イオウが発生するため、ガス抜き管の先に逆流防止トラップ、水トラップ、アルカリトラップを該順番で接続し装着するとより良い。該反応容器は、温度変化を行えるように水浴や油浴に浸された状態で使用したり、あるいはその他の温度調整手段を備えたものが好ましい。撹拌翼も特に制限されるものではなく、ファウドラー翼、半月翼、タービン翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、アンカー翼などから適宜選択するとよい。また本発明の製造方法においては、実施するスケールにもよるが、撹拌翼のかわりにマグネティックスターラーを使用してもよい。この場合、スターラーピースの形状は特に制限されない。
本発明における反応の圧力は、大気圧下、加圧下、減圧下いずれでもよい。
本発明において使用される発煙硫酸の量は特に制限はないが、大過剰に使用しても使用量に見合った効果が得られるわけではなく、あまり使用量が少ないと酸化力が低下し、原料化合物を懸濁させる能力が低下するため、原料化合物に対して3〜500倍当量、好適には5〜300倍当量で使用される。発煙硫酸の量は、硫黄原子を元にモル数を計算して求めると良い。
反応は、無溶媒中で行うことも可能であるが、有機溶媒中で実施することも可能である。本発明において使用される溶媒については、反応を阻害せず、原料化合物を溶解させる有機溶媒が何等制限無く使用できる。これらの有機溶媒の種類を具体的に例示すると、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルカーボネート等のカーボネート類等を挙げる事ができる。
これらの中でも、特に高い収率が期待できる、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類が好適に採用される。
本発明におけるこれらの有機溶媒の使用量は特に制限は無いが、あまり量が多いと一バッチあたりの収量が小さくなるため経済的ではなく、あまり量が少ないと原料化合物を溶解させることができずに反応速度が低下するため、通常、反応液全体に対して、原料化合物の量が0.1〜60質量%、好ましくは1〜50質量%となるように有機溶媒を使用することが好ましい。
反応は、GCで追跡することが可能である。反応の終点は、残存するアダマンタンが面積百分率で1%以下、1−アダマンタノールが5%以下とすると最も効果的である。
反応液からの2−アダマンタノンの単離精製方法としては、特に制限はなく公知の方法が採用される。例えば、反応後の反応液を氷にあけ、析出する結晶をろ過や遠心分離することも可能であるし、溶媒により抽出し、洗浄、溶媒留去、乾燥後、固体の2−アダマンタノンを得ることができる。また、反応液に氷水、あるいは水を加えて結晶を析出させても良い。
上述の溶媒による抽出の際の溶媒の例としては、メタノール、エタノール、1−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラハイドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ジメチルカーボネート等のカーボネート類、クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類等を挙げる事ができる。
以下、実施例を掲げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等制限されることはない。
なお、以下の実施例および比較例における収率とは、2−アダマンタノンのGC純度を100%に換算したときの収率である。
実施例1
半月撹拌翼(半径3cm)、コンデンサー、温度計、ガス抜き管(逆流防止トラップ、水トラップ、アルカリトラップをこの順番で装着)を装着した500ml四つ口フラスコに30質量%発煙硫酸240gを入れた。さらに、アダマンタン22g(0.161mol)を加え、0℃で2時間撹拌した。このとき、アダマンタンの残存量は、仕込み時に対して、18モル%であった。その後、水13gを加え、硫酸濃度が97質量%になるように調整した。さらに50℃で20時間撹拌して、反応を完結させた。この時、アダマンタン、1−アダマンタノールは検出されなかった。反応後、10℃以下で水81.2gを加え、塩化メチレン220mlで2回抽出した。塩化メチレン相をあわせ、2N−水酸化ナトリウム水溶液88mlで一回、20%食塩水88mlで一回洗浄後、塩化メチレンを留去した。2−アダマンタノンの収量は20.1g、収率83%、GC純度92%、樹脂状化合物の含量は1.8%であった。該樹脂状化合物の定量はGPCにより定量した。
比較例1
半月撹拌翼(半径3cm)、コンデンサー、温度計、ガス抜き管(逆流防止トラップ、水トラップ、アルカリトラップをこの順番で装着)を装着した500ml四つ口フラスコに30質量%発煙硫酸240gを入れた。さらに、アダマンタン22g(0.161mol)を加え、0℃で2時間撹拌した。このとき、アダマンタンの残存量は、仕込み時に対して、18モル%であった。その後、水を添加せずに、さらに50℃で10時間撹拌して、反応を完結させた。この時、アダマンタン、1−アダマンタノールは検出されなかった。反応後、10℃以下で水81.2gを加え、塩化メチレン220mlで2回抽出した。塩化メチレン相をあわせ、2N−水酸化ナトリウム水溶液88mlで一回、20%食塩水88mlで一回洗浄後、塩化メチレンを留去した。GCよる分析の結果、2−アダマンタノンは生成しておらず、1,3−アダマンタンジオールが10%の収率で単離された。
比較例2
実施例1において、添加する水の量を40gにした以外は実施例1と同様に反応を行った。この時、硫酸濃度は87.4質量%であった。水添加前のアダマンタンの残存量は、仕込み時に対して、18モル%であった。反応をさらに400時間延長したが、アダマンタンが12%残存しており、反応は完結しなかった。
比較例3
実施例1において、アダマンタンを加えた後に35℃で2時間反応したこと以外は、実施例1と同様に行った。このときのアダマンタンの残存率は0.1モル%であった。2−アダマンタノンの収量18.2g、収率75%、GC内部標準純度89%、樹脂状化合物含量6.5%であった。
実施例2〜8
使用した発煙硫酸の濃度、および反応途中で追加した水の量を表1に記載したものに変更した以外は、実施例1と同様に反応を行った。ただし、発煙硫酸の使用量は240gとした。
実施例1
半月撹拌翼(半径3cm)、コンデンサー、温度計、ガス抜き管(逆流防止トラップ、水トラップ、アルカリトラップをこの順番で装着)を装着した500ml四つ口フラスコに30質量%発煙硫酸240gを入れた。さらに、アダマンタン22g(0.161mol)を加え、0℃で2時間撹拌した。このとき、アダマンタンの残存量は、仕込み時に対して、18モル%であった。その後、水13gを加え、硫酸濃度が97質量%になるように調整した。さらに50℃で20時間撹拌して、反応を完結させた。この時、アダマンタン、1−アダマンタノールは検出されなかった。反応後、10℃以下で水81.2gを加え、塩化メチレン220mlで2回抽出した。塩化メチレン相をあわせ、2N−水酸化ナトリウム水溶液88mlで一回、20%食塩水88mlで一回洗浄後、塩化メチレンを留去した。2−アダマンタノンの収量は20.1g、収率83%、GC純度92%、樹脂状化合物の含量は1.8%であった。該樹脂状化合物の定量はGPCにより定量した。
比較例1
半月撹拌翼(半径3cm)、コンデンサー、温度計、ガス抜き管(逆流防止トラップ、水トラップ、アルカリトラップをこの順番で装着)を装着した500ml四つ口フラスコに30質量%発煙硫酸240gを入れた。さらに、アダマンタン22g(0.161mol)を加え、0℃で2時間撹拌した。このとき、アダマンタンの残存量は、仕込み時に対して、18モル%であった。その後、水を添加せずに、さらに50℃で10時間撹拌して、反応を完結させた。この時、アダマンタン、1−アダマンタノールは検出されなかった。反応後、10℃以下で水81.2gを加え、塩化メチレン220mlで2回抽出した。塩化メチレン相をあわせ、2N−水酸化ナトリウム水溶液88mlで一回、20%食塩水88mlで一回洗浄後、塩化メチレンを留去した。GCよる分析の結果、2−アダマンタノンは生成しておらず、1,3−アダマンタンジオールが10%の収率で単離された。
比較例2
実施例1において、添加する水の量を40gにした以外は実施例1と同様に反応を行った。この時、硫酸濃度は87.4質量%であった。水添加前のアダマンタンの残存量は、仕込み時に対して、18モル%であった。反応をさらに400時間延長したが、アダマンタンが12%残存しており、反応は完結しなかった。
比較例3
実施例1において、アダマンタンを加えた後に35℃で2時間反応したこと以外は、実施例1と同様に行った。このときのアダマンタンの残存率は0.1モル%であった。2−アダマンタノンの収量18.2g、収率75%、GC内部標準純度89%、樹脂状化合物含量6.5%であった。
実施例2〜8
使用した発煙硫酸の濃度、および反応途中で追加した水の量を表1に記載したものに変更した以外は、実施例1と同様に反応を行った。ただし、発煙硫酸の使用量は240gとした。
Claims (1)
- アダマンタンを三酸化イオウの濃度が10〜60質量%の発煙硫酸中において−40〜20℃で酸化させて、反応系の原料アダマンタンの残存率が1〜20モル%になったときに、発煙硫酸の濃度が10質量%以下、あるいは硫酸の濃度が90〜100質量%となるように水で希釈した後、さらに、反応させることを特徴とする2−アダマンタノンの製造方法。
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JP2003321828A JP2005089330A (ja) | 2003-09-12 | 2003-09-12 | 2−アダマンタノンの製造方法 |
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Publications (1)
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