JP2005089320A - 1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物とその製造方法 - Google Patents

1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 フェロセン化合物の特性を生かすとともに、有機部位に可逆な酸化還元特性を付与し、金属部位とこれを囲む有機部位のいずれにも酸化還元系を成立させることができる合成の容易な新しいハイブリッド化合物を提供する。
【解決手段】 次式(I)
【化1】
Figure 2005089320

(ただし、R1は、水素原子、または炭素6員環のいずれの位置に結合していてもよい1以上の置換基を表し、二つ以上の置換基が結合して炭素6員環と縮合環を形成していてもよく、R2〜R3は、水素原子、または炭素5員環のいずれの位置に結合していてもよい1以上の置換基を表す)
で表されることを特徴とする1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物。
【選択図】 図1

Description

この出願の発明は、1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、三つの可逆な酸化還元過程を有する多電子酸化還元活性化合物としての、1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物とその製造方法に関するものである。
有機金属化合物は、新しい機能の電気・電子材料等を提供するものとして注目されており、その代表例の一つとしてフェロセンが知られている。
フェロセンは、安定な有機金属化合物であり、中心鉄原子に由来する可逆な1電子酸化還元特性を示すことから、機能性材料の合成中間体や電極材料等への適用が検討されている。しかし、フェロセンを構成する有機部位は、一般に、他の有機分子同様に絶縁性であり、可逆な電気化学的応答がないという問題点がある。そのため、フェロセン化合物の用途には限界があったのが実情である。
特開2003−2893 Nagahora et al. Tetrahedron Lett., Vol. 43, No. 33, 2002, 5825-5828. Libert et al. J. Electrochem. Soc., Vol. 123, No. 6, 1976, 814-818. Kiebooms et al. J. Org. Chem., 1997, 62, 1473-1480.
そこで、この出願の発明者らは、フェロセンの金属部位とそれを取り巻く有機部位の双方に酸化還元系を成立させることのできる新規化合物として、ジフェロセノジチイン化合物を提供している(例えば、特許文献1、非特許文献1)。このようなジフェロセノジチイン化合物では可逆な酸化還元が二過程で起こることから、有機電子素子等の新しい材料として注目されるものの、その合成には多工程を要し、複雑であるという弱点があった。
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、フェロセン化合物の特性を生かすとともに、有機部位に可逆な酸化還元特性を付与し、金属部位とこれを囲む有機部位のいずれにも酸化還元系を成立させることができる化合物であって、比較的合成が容易な新しいハイブリッド化合物を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、次式(I)
Figure 2005089320
(ただし、R1は、水素原子、または炭素6員環のいずれの位置に結合していてもよい1以上の置換基を表し、二つ以上の置換基が結合して炭素6員環と縮合環を形成していてもよく、R2〜R3は、同一または別異に、水素原子、または炭素5員環のいずれの位置に結合していてもよい1以上の置換基を表す)で表されることを特徴とする1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物を提供する。
第2には、この出願の発明は、少なくとも前記の1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物を含有してなる多電子酸化還元活性分子を提供する。
そして、この出願の発明は、第3には、前記の1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物の製造方法であって、次式(II)
Figure 2005089320
(ただし、R1は、水素原子、または炭素6員環のいずれの位置に結合していてもよい1以上の置換基を表し、二つ以上の置換基が結合して炭素6員環と縮合環を形成していてもよい)で表される芳香族カルボン酸ジクロリド誘導体にカルボニル基の反応性を保護する官能基Xを導入し、次式(III)
Figure 2005089320
(ただし、R1は、前記のものである)
で表される芳香族カルボン酸誘導体を得た後、次式(IV)
Figure 2005089320
(R2〜R3は、同一または別異に、水素原子、または炭素5員環のいずれの位置に結合していてもよい1以上の置換基を表す)で表されるフェロセン誘導体を強塩基で処理して反応させ、次式(V)
Figure 2005089320
(ただし、R1〜R3は、前記のものである)で表されるo−ジフェロセノイルアリール誘導体を合成し、これに硫黄化試薬を反応させることを特徴とする1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物の製造方法をも提供する。
上記第1の発明の1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物では、各々のフェロセンの中心鉄原子から可逆的に1電子ずつが、また、チオフェン部位から可逆的に1電子が提供される。したがって、このような化合物は三つの可逆な酸化還元過程を有する多電子酸化還元活性化合物として有用である。
また、上記第2の発明では、前記の1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物が可逆的な多電子酸化還元を可能とするものであることから、電子材料、配線材料、回路材料、EL材料等として有用な多電子酸化還元活性分子が得られる。
さらに、上記第3の発明では、従来報告されているものに比較して比較的簡便な操作により多電子酸化還元活性分子として作用する1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物を合成することが可能となる。
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
この出願の発明により提供される1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物は、発明者らの鋭意研究により得られた新規化合物であり、前記のとおり、次式(I)
Figure 2005089320
で表されるものである。
このような化合物において、R1は、水素原子、または炭素6員環のいずれの位置に結合していてもよい1以上の置換基、さらには、2以上の置換基が結合し、炭素6員環と縮合環を形成するものを表す。R1が置換基の場合には、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、あるいはハロゲン、N、S、O等のヘテロ原子を含有する基等から選択され、これらはさらに置換基を有していてもよい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル等のアルキル基、フェニル、ナフチル、アントラセニル等のアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アシル基、カルボキシル基等の含酸素基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基等の含窒素基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホニル基等の含硫黄基、ハロゲン基などが挙げられる。これらの置換基は、炭素6員環のいずれの位置、すなわちベンゾチオフェンの4−、5−、6−、7−位のいずれに結合していてもよく、また、これらの2以上の箇所に同一のまたは異なる置換基として結合していてもよい。さらに、R1が2以上の置換基が結合して炭素6員環と縮合環を形成するものである場合、具体的には、ベンゼン環が一つ縮合し、ナフタレン環を形成するものやベンゼン環が二つ縮合し、アントラセン環を形成するものが例示される。中でもR1としては、炭素6員環と縮合してナフタレン環またはアントラセン環を形成するものが好ましいものとして挙げられる。
一方、フェロセン部位の炭素5員環に結合しているR2およびR3は、水素原子、または1以上の置換基から選択される。R2およびR3が置換基の場合には、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素基、あるいはハロゲン、N、S、O等のヘテロ原子を含有する基等から選択され、これらはさらに置換基を有していてもよい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル等のアルキル基、フェニル等のアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アシル基、カルボキシル基等の含酸素基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基等の含窒素基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホニル基等の含硫黄基、ハロゲン基などが挙げられる。中でもメチル基、エチル基等のアルキル基が好ましいものとして例示される。R2およびR3は同一であっても別異であってもよく、さらに、式(I)における二つのフェロセン部位に結合したR2とR3は各々同一の置換基であっても、異なる置換基であってもよい。また、これらの置換基は、炭素5員環のいずれの位置に結合していてもよく、2以上の箇所に同一のまたは異なる置換基として結合していてもよい。
この出願の発明の1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物では、フェロセンの中心鉄から段階的に1電子ずつ合計2電子が、さらに、ベンゾチオフェン部位からは1電子が、可逆性高く提供される。したがって、この出願の発明の1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物は、多電子酸化還元活性分子として作用するものであり、ダイオードやトランジスタ、電気材料、配線材料、回路材料、EL材料等を構成できるものである。
以上のとおりの1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物は、どのような方法によって製造されるものであってもよく、公知の試薬や有機合成反応を組み合わせることにより各種のアプローチが考慮される。この出願の発明では、前記の1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物を製造するための方法として、次式(II)
Figure 2005089320
(ただし、R1は、水素原子、または炭素6員環のいずれの位置に結合していてもよい1以上の置換基を表し、二つ以上の置換基が結合して炭素6員環と縮合環を形成していてもよい)
で表される芳香族カルボン酸ジクロリド誘導体にカルボニル基の反応性を保護する官能基Xを導入し、次式(III)
Figure 2005089320
(ただし、R1は、前記のものである)
で表される芳香族カルボン酸誘導体を得た後、次式(IV)
Figure 2005089320
(R2〜R3は、同一または別異に、水素原子、または炭素5員環のいずれの位置に結合していてもよい1以上の置換基を表す)
で表されるフェロセン誘導体を強塩基で処理して反応させ、次式(V)
Figure 2005089320
(ただし、R1〜R3は、前記のものである)
で表されるo−ジフェロセノイルアリール誘導体を合成し、これに硫黄化試薬を反応させる方法が提供される。以上の式において、R1〜R3の具体例としては、前述のものが挙げられる。
この出願の発明の1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェンの製造方法において、式(III)における保護基としては、通常の有機合成操作において使用される各種の保護基が適用できる。具体的には、S−ピリジンやニトリルが挙げられる。例えば、2−メルカプトピリジンを用いて保護した場合には、次式(III')
Figure 2005089320
(R1は、前記のものである)
の芳香族−1,2−ジカルボチオ酸ジ−S−(2−ピリジル)エステル誘導体が得られる。
また、フェロセン誘導体を処理する際の強塩基としては、公知の各種のものが適用できるが、中でもn-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウムが好ましいものとして例示される。
さらに、式(V)のo−ジフェロセノイルアリール誘導体に反応させる硫黄化試薬としては、各種の合成品が挙げられるが、入手の容易な市販品としては、5硫化2リンやローソン試薬(VI)
Figure 2005089320
が知られており、好ましい。
以上のとおりのこの出願の発明の1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェンの製造方法において、反応物や試薬の濃度、反応温度、反応時間、溶媒、単離・精製方法等はとくに限定されない。また、反応試薬の選択や条件の設定も上述のものに限定されない。反応や処理の目的に合致する限り、上記に例示される試薬以外の類似のものや条件が採用されてよいことは言うまでもない。好ましくは、反応温度を室温以下として行う。より好ましくは、o−ジフェロセノイルアリール誘導体の合成までを0℃以下(例えば−60〜0℃)で行い、硫黄化試薬との反応を室温で行うものとする。
以下、実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
<実施例1>
(a)1,2-Di[S-(2-pyridinyl)]Benzenedithioate (3)の合成
次の反応式(A)に従い、Phthaloylchloride (2)から1,2-Di[S-(2-pyridinyl)]Benzenedithioate (3)を合成した。
Figure 2005089320
窒素置換した100 ml枝付きフラスコに2-メルカプトピリジン(10 mmol; 1.1 g)を入れ、乾燥したTHF(20 ml)に溶解した。これを0℃に冷却し、トリエチルアミン(1.67 ml)を加えて0℃で15分撹拌した。その後、乾燥した1 mlシリンジでフタル酸ジクロリド(5 mmol; 0.73 ml)を加え、ただちに1 %塩酸をゆっくり加えた。その後、ジエチルエーテルで抽出し、有機相を10 %水酸化ナトリウム水溶液および1 M炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。続いてロータリーエバポレーターを用い、溶媒を除去しながらクロロホルム/n-ヘキサンで再結晶した。得られた結晶を吸引ろ過にてろ別し、吸引ポンプにて溶媒を除去することにより目的化合物(4.188 mmol; 1.476 g; 83%)を白色結晶として得た。
同定結果を表1に示した。
Figure 2005089320
(b)o-Diferrocenoylbenzene(4)の合成
次の反応式(B)に従い、1,2-Di[S-(2-pyridinyl)]Benzenedithioate(3)からo-Diferrocenoylbenzene(4)を合成した。
Figure 2005089320
窒素置換した100 ml枝付きフラスコにフェロセン(7.041 mmol; 1.310 g)を入れ、15 mlの乾燥させたTHFに溶解した(フラスコA)。これを0℃に冷却し、乾燥させた5 mlシリンジでt-ブチルリチウム/n-ペンタン溶液(5.632 mmol; 1.4 M; 4.0 ml)を加え、0℃で1時間撹拌した。
一方で、窒素置換した50 ml枝付きフラスコに1,2-Di[S-(2-pyridinyl)]Benzenedithioate(3)(1.408 mmol; 0.500 g)を入れ、10 mlのTHFに溶解した(フラスコB)。
続いて、フラスコAを冷却装置を用いて-60℃に冷却し、フラスコBの溶液をキャヌラーを用いてゆっくりとフラスコA内に滴下した。滴下終了から30分間-60℃で撹拌し、ゆっくりと水を加えた。これをジエチルエーテルで抽出し、分離した有機相に残った水を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別した。
次にロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、酢酸エチル:n-ヘキサン=1:3を展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーによって分離精製し、赤色結晶として目的化合物(0.614 mmol; 0.322 g; 46 %)を得た。
同定結果を表2に示した。
Figure 2005089320
(c)1,3-Diferrocenylbenzo[c]thiophene (1)の合成
次の反応式(C)に従い、o-Diferrocenoylbenzene (4)から1,3-Diferrocenylbenzo[c]thiophene (1)を合成した。
Figure 2005089320
100 mlナスフラスコにo-Diferrocenoylbenzene (4)(1.253 mmol; 0.629 g)を入れ、塩化メチレン30 mlに溶解した。これにローソン試薬(2.505 mmol; 1.012 g)を加え、室温で12時間撹拌した。
次いでロータリーエバポレーターで塩化メチレンを除去し、これにエタノール30 mlを加え12時間還流した。続けて水をゆっくりと加え、ジエチルエーテルとクロロホルムで抽出した。分離した有機相に残った水は、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別した。ロータリーエバポレーターにより濃縮し、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製した。
最後にクロロホルム/n-ヘキサン溶液で再結晶を行い、析出した結晶を吸引ろ過にてろ別し、吸引ポンプにて溶媒を除去することで目的化合物(0.816 mmol; 0.410 g; 65 %)を得た。
同定結果を表3に示した。
Figure 2005089320
<実施例2>
実施例1において合成した1,3-Diferrocenylbenzo[c]thiophene (1)について、その電気化学的特性をサイクリックボルタンメトリーにより測定した。
Figure 2005089320
試料溶液の調製と測定電極は以下のとおりである。
すなわち、溶媒のTHFは金属ナトリウムを用いて蒸留した。支持電解質溶液は、支持電解質としてテトラn-ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートを用い、0.1 M溶液に調製した。
測定溶液は、測定試料を支持電解質溶液を用いて2 mM濃度に調製して用いた。作用極にはグラッシーカーボン電極を、参照電極にはAg+/Ag電極を用い、Ag+には0.01 M硝酸銀・支持電解質溶液を用いた。
さらに、類似のアリール[c]チオフェン化合物であって分子中にフェロセン誘導体を有さないものとして、比較化合物(Reference Compound 5; 非特許文献2)についても同様の測定を行った。
掃引速度100 mV/s時の酸化還元電位を表4に、化合物1の酸化還元波を図1に示した。
Figure 2005089320
表4および図1より、化合物1では、三つの過程で可逆的な酸化還元が起こることが確認された。一方、フェロセン誘導体を有さない比較化合物では、1段階の酸化還元のみが見られた。
以上詳しく説明したとおり、この発明によって、可逆的な多電子酸化還元を可能とする1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物が提供される。このような化合物は、多電子酸化還元活性分子として有用であり、新しい電子材料、電気材料、配線材料、回路材料、EL材料として期待される。
この出願の発明の実施例において合成された1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物の一例の酸化還元波を示した図である。

Claims (3)

  1. 次式(I)
    Figure 2005089320
    (ただし、R1は、水素原子、または炭素6員環のいずれの位置に結合していてもよい1以上の置換基を表し、二つ以上の置換基が結合して炭素6員環と縮合環を形成していてもよく、R2〜R3は、同一または別異に、水素原子、または炭素5員環のいずれの位置に結合していてもよい1以上の置換基を表す)
    で表されることを特徴とする1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物。
  2. 少なくとも請求項1の1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物を含有してなる多電子酸化還元活性分子。
  3. 請求項1の1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物の製造方法であって、次式(II)
    Figure 2005089320
    (ただし、R1は、水素原子、または炭素6員環のいずれの位置に結合していてもよい1以上の置換基を表し、二つ以上の置換基が結合して炭素6員環と縮合環を形成していてもよい)
    で表される芳香族カルボン酸ジクロリド誘導体にカルボニル基の反応性を保護する官能基Xを導入し、次式(III)
    Figure 2005089320
    (ただし、R1は、前記のものである)
    で表される芳香族カルボン酸誘導体を得た後、次式(IV)
    Figure 2005089320
    (R2〜R3は、同一または別異に、水素原子、または炭素5員環のいずれの位置に結合していてもよい1以上の置換基を表す)
    で表されるフェロセン誘導体を強塩基で処理して反応させ、次式(V)
    Figure 2005089320
    (ただし、R1〜R3は、前記のものである)
    で表されるo−ジフェロセノイルアリール誘導体を合成し、これに硫黄化試薬を反応させることを特徴とする1,3−ジフェロセニルアリール[c]チオフェン化合物の製造方法。
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