JP4076035B2 - 光学活性アルコールの立体選択的製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学活性アルコールの立体選択的あるいは立体特異的製造方法に関する。さらに詳しくは、光学活性トランス−2−フェニルシクロヘキサノール等の不斉合成誘導試薬として有用な光学活性アルコールの立体選択的或いは立体特異的な製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トランス−2−フェニルシクロヘキノールの様な光学活性アルコールは不斉化合物製造に有用であることが知られており、例えばケミカル・レビュー、92巻、953ページ(1992年)には、トランス−2−フェニルシクロヘキサノールが光学活性ベータラクタム、α,β−エポキシカルボン酸誘導体等医薬品中間体製造に極めて有用な不斉誘導試薬であることが開示されている。
【0003】
しかし、この化合物は、該エポシキドと有機リチウム試薬との組合せのみでは進行しないことが報告されている。
【0004】
この様な光学活性アルコールの製造方法として例えばKeay等は、シクロヘキセンオキシドを銅触媒存在下フェニルマグネシウムブロミドと反応させトランス−2−フェニルシクロヘキサノールのラセミ体を製造した後、リパーゼ等の酵素を用いラセミ体の一方を選択的にエステル化した後、カラムクロマトグラフィ等による精製を行い光学活性体を製造する方法を開示している。(テトラヘドロンアシンメトリー,第7巻、3107ページ、1996年)。また、ブラウン等は1−フェニルシクロヘキセンのモノイソピノカンフェニルボランを用いたハイドロボレーションによる光学活性2−フェニルシクロヘキサノールの製造方法を報告している(ジャーナル オーガニック ケミストリー、47巻、5074頁、1982年)。
【0005】
前者の方法では、ラセミ体を製造しその後、カラムクロマトグラフィによる分離操作が発生し、必ずしも工業的に好ましい方法ではない。
【0006】
後者は、高価な1−フェニルシクロヘキセンを用い、そのハイドロボレーションでは、当量以上のホウ素化合物を用いなければならないという欠点を有し、工業的に好ましい方法ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、工業的にも容易に入手できる原料を用い、簡便に光学活性アルコールを製造する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(1)
(ただし、R1、R2は同一或いは互いに相異なって各々C1〜C6の低級アルキル基或いはR1、R2が一緒になってC1〜C5のアルキレン基を示す。)で表されるエポキシドと一般式(2)
(ただし、R3は無置換或いは任意に置換してもよい芳香族基または、無置換或いは任意に置換してもよいビニル基、アセチレン基を示す。)で表される有機リチウム化合物との反応で一般式(3a)或いは(3b)
(ただし、R1,R2,R3は上記と同様のものを示す。)で表されるアルコールの製造において、一般式(4)
(ただし、R4,R5は同一或いは互いに相異なって各々水素原子、C1〜C6の直鎖或いは分岐したアルキル基またはアルコキシ基を示し、R6、R7は同一或いは互いに相異なって各々水素原子、C1〜C6の直鎖あるいは分岐したアルキル基、或いはフェニル基を示す。)で表される光学活性イミノアルコールまたは一般式(5)
(ただし、R4,R5,R6,R7は各々前記と同様であり、R8はC1〜C6の低級アルキル基、芳香族基あるいは、2つのR8が一緒になってC1〜C8のアルキレン基として環を形成することができる。)で表される光学活性イミノフェノールを共存させることを特徴とする一般式(3a)或いは(3b)の光学活性アルコールの一方を立体選択的または立体特異的に製造する方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
一般式(1)のR1,R2としては、各々独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基等のC1〜C6の低級アルキル基、或いはR1とR2が一緒になって環を形成するC1〜C5のアルキレン基を挙げることができる。
【0010】
一般式(1)で表される具体的な化合物としては、例えば、2−ブテンオキシド、2−ペンテンオキシド、2−ヘキセンオキシド、3−ヘキセンオキシド等の低級オレフィンエポキシド、シクロペンテンオキサイド、シクロヘキサンオキサイド、シクロヘプテンオキサイド等の環状オレフィンエポキシドを挙げることができる。本発明に用いるエポキシドには、その置換基の結合形式によりシス及びトランスの異性体が存在するが、光学活性なアルコールを製造するためには、出発物質のエポキシドの立体構造はシスでなければならない。
【0011】
一般式(2)のR3としては、フェニル基、トリル基、アニシル基、ピリジル基等の芳香族基、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−フェニルエテニル基等のビニル基、エチニル基、2−フェニルエチニル基等のアセチレン基を挙げることができる。具体的には、フェニルリチウム、トリルリチウム、アニシルリチウム、ピリジルリチウム等の芳香族リチウム化合物であるが、芳香族リチウム化合物は種々知られており、芳香族リチウム化合物であれば特に制限はない。
【0012】
またビニルリチウムとしては具体的には、ビニルリチウム、1−プロペニルリチウム、1−ブテニルリチウム、2−フェニルエテニルリチウム等のビニルリチウム化合物、エチニルリチウム、2−フェニルエチニルリチウム等のアセチレンリチウムを挙げることができる。
【0013】
一般式(3)で表される光学活性アルコールのR1,R2,R3は前記と同様なものを示し、その具体例としては、3−フェニル−2−ブタノール、3−フェニル−2−ペンタノール、3−ビニル−2−ブタノール、3−ビニル−2−ペンタノール、3−エチニル−2−ブタノール、3−エチニル−2−ペンタノール等の鎖状アルコールおよび2−フェニルシクロペンタノール、2−フェニルシクロヘキサノール、2−フェニルシクロヘプタノール、2−トリルシクロペンタノール、2−トリルシクロヘキサノール、2−トリルシクロヘプタノール、2−アニシルシクロペンタノール、2−アニシルシクロヘキサノール、2−アニシルシクロヘプタノール、2−ピリジルシクロペンタノール、2−ピリジルシクロヘキサノール、2−ピリジルシクロヘプタノール、2−ビニルシクロペンタノール、2−ビニルシクロヘキサノール、2−ビニルシクロヘプタノール等の環状アルコールを挙げることができる。R3として置換基を持つ芳香族基を用いた場合、その置換基の芳香族基への置換位置により例えばo−,m−,p−等の異性体が存在するが、本発明はすべての置換体を含む。また、ピリジンのような複素環芳香族化合物を用いる場合にも用いるリチウム化合物の置換位置により2,3,4位等の異性体が存在するが、前期同様本発明にはすべての異性体を含む。
【0014】
さらに、本発明で製造するアルコールには2つの不斉炭素が存在し、従ってその立体配置により、光学活性アルコールとして、R,R体及びS,S体が存在するが、本発明はそれらすべてを含む。
【0015】
これらの生成するアルコールの立体化学の制御は、第三成分として用いる光学活性イミノアルコールあるいはイミノフェノールの立体異性体を組み合わせることにより任意の立体異性体を立体選択的或いは立体特異的に製造することができる。
【0016】
一般式(4)で表されるイミノアルコールのR4,R5は、例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、s−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチル−2−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2,3−ジメチル−2−ブチル基等のC1〜C6の低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の低級アルキシ基を挙げることができる。R4としてはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基等のα位に枝分かれのあるアルキル基が好ましい。
【0017】
R6としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、s−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチル−2−ブチル基、ネオペンチル基等のC1〜C6の低級アルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の芳香族基を挙げることができる。好ましくは水素原子である。
【0018】
R7としてはアミノ酸残基を用いることが有効であり、例えばメチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、ヒドロキシメチル基、イミドイルメチル基等を挙げることができる。好ましくは、イソプロピル基である。
【0019】
この様なイミノアルコールはアルデヒド、ケトンの様なカルボニル化合物と光学活性な第一級アミノ基を持つアミノアルコールから容易に製造できる。その具体的な例として、イミノアルコールを形成するカルボニル化合物として、サリチルアルデヒド、3−t−ブチルサリチルアルデヒド、3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド、3−t−ブチル−5−メチルサリチルアルデヒド、3−i−プロピルサリチルアルデヒド、5−メチル−3−i−プロピルサリチルアルデヒド、5−t−ブチル−3−i−プロピルサリチルアルデヒド等のアルデヒド類、2−アセチル−6−t−ブチルフェノール、2−アセチル−6−t−ブチルフェノール、2−アセチル−6−i−プロピルフェノール、2−アセチル−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−アセチル−4−メチル−6−i−プロピルフェノール、2−ベンゾイルフェノール、2−ベンゾイル−6−t−ブチルフェノール、2−ベンゾイル−6−i−プロピルフェノール、2−ベンゾイル−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−ベンゾイル−4−メチル−6−i−プロピルフェノール、2−ベンゾイル−4,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−ベンゾイル−4−t−ブチル−6−i−プロピルフェノール等のケトンを挙げることができる。光学活性アミノアルコールとしてはアラニノール、バニノール、2−フェニル−2−アミノエタノール、フェニルアラニノール、3,3−ジメチル−2−アミノブタノール等の光学活性体を挙げることができる。
【0020】
即ちこれらのアミノアルコールは不斉炭素を持っており、その不斉炭素の立体構造によりL体及びD体が存在する。本発明には、目的とする光学活性アルコールを製造するため、目的に応じてD体或いはL体を用いることができる。
【0021】
好ましくは、カルボニル成分として3−t−ブチルサリチルアルデヒド、3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド、3−t−ブチル−5−メチルサリチルアルデヒド、3−i−プロピルサリチルアルデヒド、5−メチル−3−i−プロピルサリチルアルデヒド、5−t−ブチル−3−i−プロピルサリチルアルデヒド等のアルデヒド類と光学活性なバニノール、3,3−ジメチル−2−アミノエタノールの組合せにより製造できるイミノアルコールである。
【0022】
一般式(5)のR4,R5,R6は前記と同様のものであり、R8としてはフェニル、トリル等の芳香族基、メチル基、エチル基、プロピル基等の低級アルキル基或いは、2つのR8は一緒になってC1〜C6のアルキレン基であるものを挙げることができる。好ましくは、テトラメチレン基である。
【0023】
一般式(5)で表されるイミノフェノールは、カルボニル化合物と1,2−ジアミン類との反応により調製できるものである。カルボニル化合物としては、前記一般式(4)に記載したカルボニル化合物を挙げることができ、好ましくは、一般式(4)の場合と同様3−t−ブチルサリチルアルデヒド、3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド、3−t−ブチル−5−メチルサリチルアルデヒド、3−i−プロピルサリチルアルデヒド、5−メチル−3−i−プロピルサリチルアルデヒド、5−t−ブチル−3−i−プロピルサリチルアルデヒド等のアルデヒド類である。
【0024】
1,2−ジアミンとしては種々のものを用いることができるが、具体的には、1,2−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、1,2−ジアミノ−1,2−ジトリルエタン、1,2−ジアミノ−1,2−ジアニシルエタン、1,2−ジアミノ−1,2−ジ(クロロフェニル)エタン等の芳香族基が置換した1,2−ジアミン類、2,3−ジアミノブタン、3,4−ジアミノヘキサン、3,4−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン等のアルキル置換1,2−ジアミン、1,2−ジアミノシクロペンタン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘプタン、1,2−ジアミノシクロオクタン等の環状脂肪族ジアミンを挙げることができる。
【0025】
本ジアミン類はアミノ基が置換している炭素が不斉炭素となっており、それにより立体異性体が存在する。本発明に用いるジアミン類は、光学活性アルコールを製造するという目的から、アミノ基が置換している炭素の立体配置はR,R或いはS,Sの立体構造を持つジアミン類を目的とする光学活性アルコールの立体構造に基づき選択することができる。1,2−ジアミンとして好ましくは、その入手の容易さからR,R−或いはS,S−1,2−ジアミノシクロヘキサンである。
【0026】
従って、イミノフェノールとして好ましいものは、R,R−或いはS,S−1,2−ジアミノシクロヘキサンと3−t−ブチルサリチルアルデヒド、3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド、3−t−ブチル−5−メチルサリチルアルデヒド、3−i−プロピルサリチルアルデヒド、5−メチル−3−i−プロピルサリチルアルデヒド、5−t−ブチル−3−i−プロピルサリチルアルデヒド等のアルデヒド類とから製造できるイミノフェノールである。
【0027】
本発明に従えば、光学活性アルコールは、不活性気体中、溶媒及びイミノアルコール或いはイミノフェノール存在下、有機リチウムとエポキシドを−50℃〜100℃で1〜100時間反応させることにより製造できる。
【0028】
反応温度の好ましい範囲は、0℃〜50℃であり、反応時間の好ましい範囲は1〜48時間である。
【0029】
本発明に用いることができる不活性気体としては窒素、アルゴンを挙げることができる。反応に用いる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類を挙げることができる。
【0030】
好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒である。
【0031】
溶媒量に特に制限はなくエポキシド1容量部に対し3容量部以上用いればよい。反応に用いる有機リチウムはエポキシド1モルに対して1モル当量以上用いればよく特に制限はないが、経済的理由から、有機リチウムはエポキシド1モルに対し1〜5倍モル当量用いることが好ましい。
【0032】
一般式(4)或いは一般式(5)で表されるイミノアルコール或いはイミノフェノールは、エポキシド1モルに対し、1モル%以上存在させることにより反応を進行させることができるが、目的物の収量及び光学純度を向上させるため3モル%以上用いることが好ましい。
【0033】
本発明により得られる例えば光学活性2−フェニル−1−ヘキサノールはヘキサンからの再結晶等の容易な操作により光学活性99%以上の光学活性体とすることができる。
【0034】
本発明に用いたイミノアルコール及びイミノフェノール類は、たとえは反応終了後反応液を酸性イオンクロマト等で処理し、イオン交換樹脂に吸着させた後、例えばクエン酸のような酸で溶出させることにより容易に回収できる。
【0035】
以下実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
実施例1
アルゴン置換したシュレンク管に、トルエン5mlと3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒドとL−バリノールから調製したイミノアルコール0.23mmolを0℃で加えて20分間攪拌した後、フェニルリチウム1.8mmolを滴下した。滴下終了後同温度で1時間攪拌した後、シス−シクロヘキセンオキシド1.15モルの5mlトルエン溶液を滴下した。滴下終了後24時間同温度で攪拌を行った。反応終了後2N塩酸20mlを加えた後、エーテルで抽出を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に溶媒を溜去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=8:2)で精製し、2−フェニルシクロヘキサノールを得た。収率は56%であった。合成した2−フェニルシクロヘキサノールの光学純度を光学活性カラム(CHIRALCEL OD-H:ダイセル社製)を用いてHPLCで測定したところ(1S、2R)−2−フェニルシクロヘキサノールの光学純度は74%e.e.であった。
【0037】
なお、溶媒を流去した残渣をヘキサンに溶解させ、再結晶を行うと目的物が光学純度99%e.e.以上で収率65%で得られた。
【0038】
実施例2
反応温度を20℃とした以外は実施例1とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロヘキサノールを68%の収率で得た。光学純度は74%e.e.であった。
【0039】
実施例3
反応温度を40℃とした以外は実施例1とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロヘキサノールを84%の収率で得た。光学純度は68%e.e.であった。
【0040】
実施例4
溶媒をジエチルエーテルとした以外は実施例1とほぼ同様にして(1S、2R)−2−フェニルシクロヘキサノールを24%の収率で得た。光学純度は27%e.e.であった。
【0041】
実施例5
溶媒をヘキサンとし、用いるフェニルリチウム量をシクロヘキセンオキシドの2倍モル当量とした以外は実施例2とほぼ同様にして(1S、2R)−2−フェニルシクロヘキサノールを定量的に得た。光学純度は81%e.e.であった。
【0042】
実施例6
イミノアルコールを3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒドとS−2−アミノ−3,3−ジメチルブタノールから調製したものを用いた以外は、実施例5とほぼ同様にして(1S、2R)−2−フェニルシクロヘキサノールを収率92%で得た。光学純度は86%e.e.であった。
【0043】
実施例7
イミノアルコールを2−ベンゾイル−4,6−ジ−t−ブチルフェノールとL−バリノールから調製したものを用い、反応温度を0℃とした以外は実施例5とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロヘキサノールを収率16%で得た。光学純度は12%e.e.であった。
【0044】
実施例8
イミノアルコールを3−t−ブチル−5−メトキシサリチルアルデヒドとL−バリノールから調製したものを用い、溶媒としてトルエンを用いた以外は実施例5とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロヘキサノールを収率60%で得た。光学純度は50%e.e.であった。
【0045】
実施例9
イミノアルコールを3−t−ブチルサリチルアルデヒドとL−バリノールから調製したものを用いた以外は実施例5とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロヘキサノールを収率80%で得た。光学純度は78%e.e.であった。
【0046】
実施例10
イミノアルコールとフェニルリチウムの使用量をそれぞれシクロヘキセンオキシドの5モル%、当量モルとした以外は実施例5とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロヘキサノールを収率64%で得た。光学純度は84%e.e.であった。
【0047】
実施例11
フェニルリチウムの使用量をシクロヘキセンオキシドの1.3倍モル当量とした以外は実施例10とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロヘキサノールを収率80%で得た。光学純度は85%e.e.であった。
【0048】
実施例12
フェニルリチウムの使用量をシクロヘキセンオキシドの1.6倍モル当量とした以外は実施例10とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロヘキサノールを収率92%で得た。光学純度は85%e.e.であった。
【0049】
実施例13
エポキシドをシクロペンテンオキシドとした以外は、実施例11とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロペンタノールを収率78%で得た。光学純度は78%e.e.であった。
【0050】
実施例14
イミノアルコールを3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒドとS−2−アミノ−3,3−ジメチルブタノールから調製したものを用いた以外は、実施例12とほぼ同様にして(1S、2R)−2−フェニルシクロペンタノールを収率16%で得た。光学純度は78%e.e.であった。
【0051】
実施例15
イミノアルコールの代わりに1,2−トランス−シクロヘキサンジアミンとサリチルアルデヒドから調製したN,N−ビス(2‘−ヒドロキシベンジリデン)1,2−ジアミノシクロヘキサン20モル%用いた以外は実施例5とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロペンタノールを収率19%で得た。光学純度は6%e.e.であった。
【0052】
実施例16
シクロヘキサンジアミンとサリチルアルデヒドからなるジイミン化合物として、N,N−ビス(2‘−ヒドロキシ−3’−t−ブチルベンジリデン)1,2−ジアミノシクロヘキサン5モル%用い、反応時間を6時間とした以外は実施例1とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロペンタノールを収率73%で得た。光学純度は80%e.e.であった。この生成物を少量のヘキサンに溶解させ、0℃に冷却する事により結晶を得た。
【0053】
この結晶を単離したところ、光学純度100%のものが収率75%で得られた。
【0054】
実施例17
シクロヘキサンジアミンとサリチルアルデヒドからなるジイミン化合物として、N,N−ビス(2‘−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−t−ブチルベンジリデン)1,2−ジアミノシクロヘキサン20モル%用いた以外は実施例5とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロペンタノールを収率45%で得た。光学純度は64%e.e.であった。
【0055】
実施例18
ジイミン化合物として、N,N−ビス(2‘−ヒドロキシ−3’−t−ブチルベンジリデン)−スレオ−1,2−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン20モル%用いた以外は実施例5とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロペンタノールを収率30%で得た。光学純度は6%e.e.であった。
【0056】
実施例19
ジイミン化合物として、N,N−ビス(2‘−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−t−ブチルベンジリデン)−スレオ−1,2−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン20モル%用いた以外は実施例5とほぼ同様にして、(1S、2R)−2−フェニルシクロペンタノールを収率22%で得た。光学純度は12%e.e.であった。
【0057】
実施例20
エポキシドとして、シス−2−ブテンオキシドを用いた以外は、実施例1とほぼ同様にして、(2R、3S)−3−フェニル−2−ブタノールを収率63%、光学純度76%e.e.で得た。
【0058】
実施例21
エポキシドとして、シス−2−ブテンオキシドを用いた以外は、実施例16とほぼ同様にして、(2R、3S)−3−フェニル−2−ブタノールを収率34%、光学純度69%e.e.で得た。
【0059】
【発明の効果】
本発明に従えば、これまで多段階で複雑な操作により製造されていた光学活性2−アリルシクロヘキサノールを容易に製造することができる。特に本発明は、不斉炭素誘導試薬として有用な光学活性2−フェニルシクロヘキサノールの製造に有用である。
Claims (1)
- 一般式(1)
(ただし、R1、R2は同一或いは互いに相異なって各々C1〜C6の低級アルキル基或いはR1、R2が一緒になってC1〜C5のアルキレン基を表す。)で表されるエポキシドと一般式(2)
(ただし、R3は無置換或いは任意に置換してもよい芳香族基または、無置換或いは任意に置換してもよいビニル基、アセチレン基を示す。)で表される有機リチウム化合物との反応で一般式(3a)或いは(3b)
(ただし、R1,R2,R3は上記と同様のものを示す。)で表されるアルコールの製造において、一般式(4)
(ただし、R4,R5は同一或いは互いに相異なって各々水素原子、C1〜C6の直鎖或いは分岐したアルキル基またはアルコキシ基を示し、R6、R7は同一或いは互いに相異なって各々水素原子、C1〜C6の直鎖あるいは分岐したアルキル基、或いはフェニル基を示す。)で表される光学活性イミノアルコールまたは一般式(5)
(ただし、R4,R5,R6,R7は各々前記と同様であり、R8はC1〜C6の低級アルキル基、芳香族基あるいは、2つのR8が一緒になってC1〜C8のアルキレン基として環を形成することができる。)で表される光学活性イミノフェノールを共存させることを特徴とする光学活性アルコールの立体選択的製造方法。
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