JP2005088410A - インクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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秀信 大屋
Makoto Kaga
誠 加賀
Kei Kudo
圭 工藤
Shinsaku Kashiwamura
晋作 柏村
Teruyuki Fukuda
輝幸 福田
Arinori Ogasawara
有紀 小笠原
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、高い光沢、高速プリントに適応可能な速いインク吸収速度を有し、折りわれ耐性に優れ、かつ高光沢な表層と下層とを同時重層塗布可能なインクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法を提供することにある。
【解決手段】 支持体上に、コロイダルシリカ、ポリマー微粒子及び硬膜剤を含有する高光沢インク吸収層を有し、該ポリマー微粒子が、表面に該硬膜剤と反応しうる置換基を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規のインクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などのインクジェット記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。
近年、インクジェット技術の進歩は目覚ましく、プリンター技術、インク技術、専用記録媒体技術の向上と相まって写真画質と呼ばれる様になっている。しかしながら、銀塩写真画質とインクジェットプリントを比較した場合、得られる光沢感には未だ大きな差がある。
インクジェット記録媒体においても、インク吸収層が水溶性バインダーを主体に構成される、いわゆる膨潤タイプは、比較的銀塩に近い光沢感を与えるものの、インク吸収性が低く、高速印字のインクジェットプリンターに対する適性が不十分でり、更に、プリントサービス向けとして高速印字を行う場合、得られる画質が許容されない品質にある。
一方、無機微粒子と水溶性バインダーから空隙構造を形成した空隙タイプのインクジェット記録媒体は高いインク吸収速度が特徴であるが、光沢感に関しては未だ十分とは言い難い。
上記課題に対し、空隙タイプのインクジェット記録媒体の最表層に、光沢発現層を設け、光沢を上げる技術が開示されている。例えば、コロイド粒子からなる光沢発現層、高分子ラテックスからなる光沢発現層及びコロイダルシリカ複合体エマルジョンからなる光沢発現層が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、光沢発現層をウエットキャスト法にて塗設するインクジェット記録媒体であって、該光沢発現層がコロイダルシリカと有機粒子を含有する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながらこれらの開示されているいずれの方法も、光沢発現層を設けるため2回の塗布が必要であり、またカレンダー処理やキャスト処理するなど生産性が低く好ましくない。また、光沢発現層によるインク吸収速度低下が見られ、高速印字を行う場合には画質劣化を伴うため、許容できる品質には至っていないのが現状である。
一方、光沢発現層に無機顔料、空隙を有する有機顔料及びバインダーを含有する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。また、インクジェット記録媒体の最表層に、コロイダルシリカを含有する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。これら開示されている方法では、光沢発現層を設けるため2回の塗布が必要であり、生産性向上のために下層のインク吸収層との同時重層塗布に関する記載はない、また、本発明者らの検討では、上記で開示されている方法では、光沢発現層塗布液の粘度特性から、同時重層塗布で充分高い光沢を有し、かつ高速印字に適応できるインク吸収速度のインクジェット記録媒体は作製できない。
また、光沢発現層をウエットキャスト法にて塗設する記録媒体であって、該光沢発現層がコロイダルシリカ、ポリビニルアルコール及びホウ素化合物を含有する方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。この技術では、凝固法において凝固剤にホウ素化合物を用いることで、インク吸収性を損なわずに表面の微細な亀裂を減少させるとあるが、しかしながら、光沢発現層塗設によるインク吸収性の低下が見られ、高速印字適性は不十分であり、また光沢発現層を設けるため2回の塗布が必要であり、光沢も不十分である。また、凝固剤は凝固法にて光沢発現層塗布後に液供給されるものであり、光沢発現層塗布液に添加するとの記載はない。
一方、高光沢でインク吸収速度が速く、しかも柔軟なインク吸収層を形成し、丸めたり折り曲げたりしてもひび割れたり、細片が剥がれ落ちたりしないインクジェット記録媒体を提供するために、ポリビニルアルコールを用いた樹脂粒子を添加する技術が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。しかし、この技術では充分な高光沢は得られていない。
特開平7−101142号公報 特開平7−117335号公報 特開2000−289327号公報 特開2001−270239号公報 特開2003−94801号公報 特開2003−63135号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、高い光沢、高速プリントに適応可能な速いインク吸収速度を有し、折りわれ耐性に優れ、かつ高光沢な表層と下層とを同時重層塗布可能なインクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
支持体上に、コロイダルシリカ、ポリマー微粒子及び硬膜剤を含有する高光沢インク吸収層を有し、該ポリマー微粒子が、表面に該硬膜剤と反応しうる置換基を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
(請求項2)
前記支持体と前記高光沢インク吸収層の間に、少なくとも1層のインク吸収層下層を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
(請求項3)
前記インク吸収層下層が、平均重合度が3000以上、5000以下の水溶性バインダーを含有することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
(請求項4)
前記インク吸収層下層が、カチオンポリマーを固形分付量で1.6g/m2以下含有することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
(請求項5)
前記インク吸収層下層が、多価金属塩を固形分付量で0.4g/m2以上含有することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
(請求項6)
前記高光沢インク吸収層及び前記インク吸収層下層が含有する総ホウ素量(ホウ素原子換算量)が、0.085g/m2以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
(請求項7)
前記高光沢インク吸収層及び前記インク吸収層下層を塗布乾燥した後、35〜80℃の条件で、1〜30日の保存処理を施すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
(請求項8)
請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体上に、少なくとも樹脂を含有する記録インクを用いて画像記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明によれば、高い光沢、高速プリントに適応可能な速いインク吸収速度を有し、折りわれ耐性に優れ、かつ高光沢な表層と下層とを同時重層塗布可能なインクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
通常、コロイダルシリカを主成分とするインク吸収層を、インクジェット記録媒体(以下、単に記録媒体ともいう)の最表面に設けることで、高い光沢を得ることができる。これは、コロイダルシリカは一般的に他のシリカ、例えば、気相法シリカ等に比べて、粒子表面のシラノール基が少ないため不活性であり、密な充填状態となるためと思われる。しかし、一方で形成される空隙容量が少なく、インク吸収速度が低下する弊害がある。加えて、一般に塗布液粘度が低く、高光沢層の下部に他のインク吸収層を設ける場合、層界面での不均一な混合などが起こり、その結果、光沢の低下や、インク吸収性の低下等の悪影響を及ぼすことが多い。また、高光沢層は皮膜強度が弱く、折り割れなどが発生しやすいという欠点を有している。この折り割れ耐性に対しては、バインダーを加えると折り割れは改良するものの、インク吸収速度はより一層低下してしまう。
本発明者らは、高い光沢を維持したまま、インク吸収速度を上げ、かつ上記重層塗布可能とすること、折り割れの発生を減少させることを課題として検討した結果、コロイダルシリカ、ポリマー微粒子及び硬膜剤を含有する高光沢インク吸収層を有し、該ポリマー微粒子表面に該硬膜剤と反応しうる置換基を有する場合に上記課題を達成することを見出したものである。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の記録媒体で用いることのできるコロイダルシリカとしては、特に制限はないが、二酸化ケイ素をコロイド状に水に分散させた湿式法合成シリカであり、一次平均粒子径が5〜200nm程度でのものを用いることが好ましい。
コロイダルシリカの粒子形状としては、球状、鎖状(数珠状)等があるが、光沢発現効果の大きい球形のものが好ましい。また、一次平均粒子径としては、10〜100nmが光沢とインク吸収速度の両立の観点でより好ましい。10nmより大きいほうがインク吸収速度で好ましく、100nmより小さいほうが光沢の観点で好ましく、更に好ましくは30〜80nmである。
コロイダルシリカにはアニオン性、ノニオン性、カチオン性のものがあり、インク吸収層下層の特性や、用いるインクの特性に応じて、適宜選択することができる。光沢とインク吸収速度の両立の観点からは、ノニオン性あるいはカチオン性が好ましい。
コロイダルシリカは、日産化学工業社のスノーテックスシリーズ、触媒化成工業社のカタロイド−Sシリーズ、バイエル社のレバシルシリーズなど市販されているものを用いることができる。具体例としては、日産化学工業(株)社からスノーテックス20、同30、同40、同C、同N、同O、同S、同20L、同OL、同XS、同XL、同YL、同ZL、同OZL,同AK、同AK−YL、同AK−L、あるいは、スノーテックス−PSシリーズ、スノーテックス−UPシリーズなどが挙げられる。
コロイダルシリカの添加量は、本発明の効果を発現する範囲であれば、特に制限はないが、0.3g/m2より多ければ高光沢が安定して得られ、かつ生産時のひび割れ発生が少なく好ましい。更に、0.5g/m2以上であることが好ましい。また、インク吸収速度の観点からは、5g/m2以下であることが好ましく、2g/m2以下であることがより好ましい。
本発明の記録媒体において、高光沢インク吸収層で用いることのできるポリマー微粒子は、その表面に硬膜剤と反応しうる置換基を有するものである。
本発明でいう硬膜剤と反応するとは、ポリマー微粒子分散液に、硬膜剤を添加することで、反応して粘度上昇あるいはゲル化するものである。置換基の具体例としては、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、シラノール基、カルボキシル基等が挙げられる。好ましくは、ホウ素化合物や、シランカップリング剤、イソシアネート、Zr化合物などの硬膜剤と反応するもので、置換基としては、ヒドロキシ基が好ましい。
本発明に係るポリマー微粒子において、硬膜剤と反応しうる置換基を導入する方法としては、1)ポリマー微粒子を形成しているポリマーのモノマー上の置換基として導入する方法、2)ポリマーを分散している活性剤上の置換基として導入する方法、及び3)重合時の保護コロイドとして水溶性ポリマーを用いる際に、保護コロイドに導入する方法等が挙げられる。
本発明においては、光沢の発現、折り割れ耐性、同時重層塗布適性等の特性などから、3)項の重合時の保護コロイドとして水溶性ポリマーを用いる際に、保護コロイドに導入する方法が好ましく、特に、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして用いる方法が好ましい。
ポリマー微粒子の主成分を構成するポリマーとしては、アクリル系、スチレン系、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、塩化ビニリデン系および、これらの共重合体を用いることができる。また、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレン系なども用いることができる。
ポリマー微粒子の平均粒径は、20〜500nmのものを選択することが、インク吸収速度と光沢の観点から好ましく、50〜300nmがより好ましい。
また、ポリマー微粒子は、記録媒体製造プロセスで成膜するものが好ましく、折り割れ耐性の観点から、Tgとしては20℃以下が好ましく、より好ましくは0℃以下である。
ポリマー微粒子の添加量は、本発明の効果を発現する範囲であれば制限はないが、0.03g/m2以上であれば、折り割れ耐性、光沢の点で好ましく、1g/m2以下であればインク吸収速度の点で好ましい。また、コロイダルシリカの添加量に合わせて調整する必要もあり、コロイダルシリカに対し1/50〜1/5の範囲になるよう使用量を適宜調整することが、本発明の効果発現のうえで好ましく、より好ましくは1/30〜1/5である。
本発明の記録媒体において、高光沢インク吸収層で用いることのできる硬膜剤としては、前記のホウ素化合物や、シランカップリング剤、イソシアネート、Zr化合物を好ましく用いることができる。
硬膜剤の他の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
上記示した硬膜剤の中でも、好ましくはホウ素化合物であり、ホウ酸とホウ砂を組み合わせ比率を変えてpH調整して用いるのが好ましい。pHとしては、4〜6の範囲に調整することが好ましい。
本発明に係る高光沢インク吸収層には、上記説明した各化合物の他に、インクジェット記録媒体として公知の染料定着剤、蛍光増白剤、界面活性剤などの添加剤を必要に応じて適宜添加することができる。
本発明の記録媒体においては、支持体と上記説明した高光沢インク吸収層の間に、少なくとも1層のインク吸収層下層を設けることが、インク吸収速度を含めた本発明の効果発現の上で、特に好ましい形態である。
本発明の記録媒体においては、インク吸収層下層が膜厚として全インク吸収層の半分以上を占めることが好ましくさらに、80%以上を占めることが好ましい。
本発明に係るインク吸収層下層は、印字したインクを吸収し、例えば、インクとして染料インクを用いる場合には、染料を定着する機能を有するものである。
本発明に係るインク吸収層下層の主成分としては、無機微粒子、水溶性バインダー、染料定着剤及びその他添加剤である。
上記の目的で使用される無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
本発明で好ましく用いることのできるシリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカが好ましく、中でも気相法により合成された微粒子シリカは、高い空隙率が得られるだけでなく、染料を固定化する目的で用いられるカチオン性ポリマーに添加したときに、粗大凝集体が形成されにくいので好ましい。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
無機微粒子は、カチオン性ポリマーと混合する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態であるのが好ましい。
無機微粒子は、その粒径が30nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、30nm以下のものがあるが、本発明では、30nm以下の無機微粒子を用いることが好ましく、より好ましくは4〜30nm、最も好ましくは4〜20nmである。
最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサーなどにより、容易に吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
本発明においては、空隙層に水溶性バインダーを含有することができる。本発明で用いることのできる水溶性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性バインダーは、二種以上併用することも可能である。
本発明の記録媒体においては、インク吸収層下層が水溶性バインダーを含有し、その平均重合度が3000以上、5000以下であることが、折り割れ耐性を向上する上で好ましい形態である。通常、空隙型記録媒体において、ポリビニルアルコールが水溶性バインダーとして用いられており、その重合度は1000〜5000のものが選択されている。本発明に係る高光沢インク吸収層を表層に設けた場合、平均重合度が3000以上、5000以下の場合、折り割れ耐性が特に良好であり、かつ光沢、インク吸収速度的にも優れていることを見出したものである。
本発明で好ましく用いられる水溶性バインダーは、ポリビニルアルコールである。
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が3,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が3,000〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
空隙層で用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機顔料の種類、水溶性バインダーの種類に大きく依存するが、一般には、記録媒体1m2当たり、通常5〜30g、好ましくは10〜25gである。
また、空隙層に用いられる無機微粒子と水溶性バインダーの比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に、3:1〜10:1であることが好ましい。
また、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録媒体1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
空隙層において、空隙の総量(空隙容量)は記録媒体1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。
インク保持能を有する空隙層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明において、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好ましい。
本発明に係るインクジェット記録媒体においては、カチオン媒染剤を含有することが特徴の1つである。
カチオン媒染剤としては、特に制限はないが、カチオン性ポリマーあるいは多価金属塩であることが好ましい。
本発明の記録媒体においては、インク吸収層下層がカチオン性ポリマーを含有し、その固形分付量が1.6g/m2以下であることが、折り割れ耐性を向上すること、及びインク吸収速度向上の観点で好ましい形態である。好ましくは1.0g/m2以下であり、0.7g/m2以下が特に好ましい。
本発明で用いることのできるカチオン性高分の具体例としては、公知のポリマーを使用することができ、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン、ジアルキルアミンとエピクロロヒドリンの縮合物、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ジアリルジメチルアンモニウム塩の縮合物、ポリアクリル酸エステルの4級化物等が挙げられるが、特に、特開平10−193776号公報、同10−217601号公報、同11−20300号公報および特願平10−178126号公報等に記載されているものが好ましい。
本発明においては、カチオン性ポリマーは特に限定なく使用可能であるが、特に好ましいものは、重量平均分子量が2000〜10万のものである。
ポリマー媒染剤としては第1級〜第3級アミノ基および第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマー媒染剤が用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマー媒染剤が好ましい。
本発明に好ましく用いられるカチオン性ポリマーは、より好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体または他の共重合し得る1または2以上のモノマーとの共重合体である。
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの例としては例えば以下の例を挙げることが出来る。
Figure 2005088410
Figure 2005088410
第4級アンモニウム塩基と共重合し得るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば以下の具体例を挙げることが出来る。
Figure 2005088410
以下に本発明に好ましく用いられるカチオン性ポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005088410
Figure 2005088410
Figure 2005088410
Figure 2005088410
特に第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノマーの比率は通常10モル%以上、好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上である。
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーは単一でも2種類以上であっても良い。
第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーは第4級アンモニウム塩基のために水溶性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶解しないことがあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るもので有れば本発明には使用できる。
ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
ここで重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーから求められたポリエチレングリコール値に換算した値である。
カチオン性ポリマーの溶液を、表面アニオン性の微粒子含有分散液に添加する際、凝集物が激しく発生してしまうことがあり得るが、カチオン性ポリマーの重量平均分子量が10万以下の場合にはこのような現象が起こりにくく、従って、粗大粒子をあまり含まない、ほぼ均一な分散液が得られ易い。このような分散液を使用して作製したインクジェット記録用紙には、優れた光沢性が期待できるのである。同様の観点から、上記重量平均分子量は5万以下であると更に好ましい。
重量平均分子量の下限は染料の耐水性の点から通常2000以上である。
上記微粒子とカチオン性ポリマーの比率は、微粒子の種類や平均粒径又はカチオン性ポリマーの種類や重量平均分子量で変わり得ることができ、本発明においては、上記比率は微粒子の表面がカチオン性に置き換わって安定化させる為に、1:0.01〜1:1であることが好ましい。
上記の範囲であれば、微粒子のアニオン成分がカチオン成分によって完全に被覆されるので、微粒子のアニオン部分とカチオン性ポリマーのカチオン部分とがイオン結合して粗大な粒子を形成するようなおそれも生じない。
本発明の記録媒体においては、インク吸収層下層が多価金属塩を含有し、その固形分付量が0.4g/m2以上であれば、折り割れ耐性を向上すること、及びインク吸収速度向上の観点で好ましい形態である。上記のカチオンポリマーを1.6g/m2以下にすることと合わせて用いると、特に好ましい。
多価金属塩の具体例としては、例えば、Mg2 +、Ca2 +、Zn2 +、Zr2 +、Ni2 +、Al3 +などの硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩等で用いられ、好ましくはMg2 +、Zr2 +、Al3 +である。なお、塩基性ポリ水酸化アルミニウムや酢酸ジルコニルなどの無機ポリマー化合物も、好ましい水溶性多価金属化合物の例に含まれる。
本発明で使用するジルコニウム原子を含む化合物は、酸化ジルコニウムを除くものであるが、その具体例としては、二フッ化ジルコニウム、三フッ化ジルコニウム、四フッ化ジルコニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸塩(例えば、カリウム塩)、ヘプタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩やアンモニウム塩)、オクタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、リチウム塩)、フッ化酸化ジルコニウム、二塩化ジルコニウム、三塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、ヘキサクロロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩やカリウム塩)、酸塩化ジルコニウム(塩化ジルコニル)、二臭化ジルコニウム、三臭化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、臭化酸化ジルコニウム、三ヨウ化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、過酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、硫化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、p−トルエンスルホン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硫酸ジルコニルナトリウム、酸性硫酸ジルコニル三水和物、硫酸ジルコニウムカリウム、セレン酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、酢酸ジルコニルアンモニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、リン酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウム、ジルコニウムイソプロピレート、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセテート、ビス(アセチルアセトナト)ジクロロジルコニウム、トリス(アセチルアセトナト)クロロジルコニウム等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、本発明の目的とするプリント後の滲み防止効果を更に顕著に奏するという観点において、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酸塩化ジルコニル、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニルが好ましく、特に、炭酸ジルコニルアンモニウム、酸塩化ジルコニル、酢酸ジルコニルが好ましい。上記化合物の具体的商品名としては、第一希土類元素化学工業株式会社製の酢酸ジルコニルZA(商品名)や、第一希土類元素化学株式会社製の酸塩化ジルコニル(商品名)等が挙げられる。
本発明で用いることのできる分子内にアルミニウム原子を含む化合物には、酸化アルミニウムは含まず、その具体例としては、フッ化アルミニウム、ヘキサフルオロアルミン酸(例えば、カリウム塩)、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム(例えば、ポリ塩化アルミニウム)、テトラクロロアルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩)、臭化アルミニウム、テトラブロモアルミン酸塩(例えば、カリウム塩)、ヨウ化アルミニウム、アルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩)、塩素酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、チオシアン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、燐酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸水素アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸珪酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセトネート)等を挙げることができる。
これらの中でも、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硫酸珪酸アルミニウムが好ましく、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウムが最も好ましい。
本発明において、カチオン性ポリマー及び多価金属塩の使用にあたっては、その添加量が重要である。
カチオン性ポリマーを用いる場合、記録媒体1m2当たり0.2〜3gの範囲で用いることが好ましい。0.2g/m2より少ないと樹脂微粒子をインクに添加したことによる濃度変動抑制効果がやや弱いばかりか、にじみ抑制、オゾン褪色防止の効果もやや弱い。逆に、3g/m2より多い場合は、樹脂微粒子をインクに添加したことによる濃度変動抑制効果がやや弱いばかりか、オゾン褪色防止の効果もやや弱く、ブロンジングが発生しやすい。本発明の効果をより大きくする発現するためには、カチオン性ポリマーは1〜2g/m2用いることが特に好ましい。
同様の理由により多価金属塩を用いる場合、0.1〜1g/m2の範囲で用いることが好ましい。本発明の効果をより大きく発現するためには、多価金属塩は0.4〜0.8g/m2用いることが特に好ましい。
本発明に係るインク吸収層下層においては、硬膜剤を使用することが好ましい。硬膜剤は、インクジェット記録媒体作製の任意の時期に添加することができ、例えば、空隙層形成用の塗布液中に添加しても良い。
本発明で用いることのできる硬膜剤としては、前述の高光沢インク吸収層で用いることのできる硬膜剤を挙げることができる。
本発明の記録媒体においては、全インク吸収層中の総ホウ素量が、ホウ素原子換算で0.085g/m2以上であることは、インク吸収速度向上の観点で好ましい形態である。0.2g/m2より少ないほうが製造時のひび割れ故障が少なく好ましい。
次いで、本発明のインクジェット記録媒体で用いる支持体について説明する。
本発明で用いることのできる支持体としては、従来からインクジェット記録媒体に用いられている支持体、例えば、普通紙、アート紙、コート紙およびキャストコート紙などの紙支持体、プラスチック支持体、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、これらを張り合わせた複合支持体等を、適宜選択して用いることができるが、本発明においては、用いる支持体が、非吸水性支持体であることが好ましい。本発明でいう非吸水性支持体とは、水が通過しないような材質及び緻密性を有した支持体である。非吸水性支持体としては、プラスチック支持体又は両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体であることが、より酸化性ガス耐性に優れるため、特に好ましい。これらの非吸水性支持体は、記録画像が写真画質に近く、かつ低コストで高品質の画像が得られるため、特に好ましい。
以下、原紙支持体の両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体について説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて、木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSPおよびまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
上記パルプには、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、四級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は、20質量%以下であることが好ましい。原紙の坪量は、30〜250g/m2が好ましく、特に50〜200g/m2が好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のサイズ剤を使用できる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他にLLDPE(リニアローデンシティーポリエチレン)やポリプロピレン等も一部使用することができる。特に、空隙層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているように、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って、通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成した物も本発明で使用できる。
原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、空隙層やバック層を設けた後、低湿および高湿下でのカールを最適化するように選択されるが、通常、空隙層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。
更に、上記ポリエチレンで被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
1.引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい
2.引き裂き強度:JIS−P−8116に規定される方法で、縦方向が0.1〜20N、横方向が2〜20Nが好ましい
3.圧縮弾性率≧98.1MPa
4.表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、20秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い
5.不透明度:JIS−P−8138に規定された方法で測定したとき、80%以上、特に85〜98%が好ましい
6.白さ:JIS−Z−8729で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜95、a*=−3〜+5、b*=−6〜+2であることが好ましい
7.表面光沢度:JIS−Z−8741に規定される60度鏡面光沢度が、10〜95%であることが好ましい
8.クラーク剛直度:記録媒体の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm2/100である支持体が好ましい
9.中紙の含水率:中紙に対して、通常2〜100質量%、更には2〜6質量%であることが好ましい
また、本発明で用いることのできるプラスチック支持体は、透明であっても不透明であってもよく、種々の樹脂フィルムを用いることができ、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
次に、本発明の記録媒体の製造方法について説明する。
インクジェット記録媒体の製造方法としては、高光沢インク吸収層及びインク吸収層下層を、同時に公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布、乾燥して製造することが好ましい。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布および乾燥方法としては、塗布液を30℃以上に加温して、同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましい。塗布液調製時、塗布時及び乾燥時おいて、最表層に含まれるポリマー微粒子が製膜しないように、ポリマー微粒子のTg以下の温度で塗布液の調製、塗布、乾燥することが好ましい。より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
本発明においては、高光沢インク吸収層及びインク吸収層下層を塗布乾燥した後、35〜80℃の条件で、1〜30日の保存処理を施すことが、インク吸収速度向上の観点から好ましい形態であり、好ましくは45〜60℃で1〜10日保存処理するのが、高光沢を得るうえで好ましい。
次いで、本発明の記録媒体を用いたインクジェット記録方法について説明する。
本発明の記録媒体の特徴は、高い光沢と速いインク吸収速度であり、染料インク、顔料インクのどちらを用いてもよいが、染料インクを用いることが、均質で高光沢プリントを得ることができる点で好ましい。特に、少なくとも樹脂を含有する記録インクを用いて、本発明の記録媒体に記録することが、本発明のインクジェット記録方法の特徴であり、上記インクを用いることにより、鏡面反射と写像性の両方で、銀塩プリントに類似の高い光沢感が得られる点で好ましい。本発明の記録媒体では、鏡面光沢向上と同時に、特に写像性を向上することができる。記録インクに樹脂を含有させて調製すると、鏡面光沢を一段と高めることができ、これらにより、鏡面反射と写像性の両方で、良好な光沢感が得られる。
本発明に係るインクで用いる樹脂は、インク中に溶解された状態で存在しても、あるいは樹脂粒子が分散された状態で存在しても良いが、好ましくは樹脂微粒子が、媒質中、例えば、水中に分散状態にあるポリマー粒子であることが好ましい。
上記樹脂微粒子は、各種ポリマーの水分散体の形態で用いることができる。具体的には、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、酢酸ビニル−塩化ビニル系、ポリウレタン系、シリコン−アクリル系、アクリルシリコン系、ポリエステル系、エポキシ系の各ポリマーを挙げることができる。
通常、これらの樹脂微粒子は、乳化重合法によって得られる。そこで用いられる界面活性剤、重合開始剤等については、常法で用いられるものを用いれば良い。樹脂微粒子の合成法に関しては、米国特許第2,852,368号、同2,853,457号、同3,411,911号、同3,411,912号、同4,197,127号、ベルギー特許第688,882号、同691,360号、同712,823号、特公昭45−5331号、特開昭60−18540号、同51−130217号、同58−137831号、同55−50240号等に詳しく記載されている。
本発明に係るインクで用いる樹脂微粒子は、平均粒径が10〜200nmであることが好ましく、より好ましくは10〜150nm、更に好ましくは10〜100nmである。
樹脂微粒子の平均粒径が10nm以上であれば、樹脂微粒子が空隙層内部に浸透せず、空隙層表面に存在するため、光沢性の面で好ましい。また、樹脂微粒子の平均粒径が200nm以下であれば、樹脂微粒子がある程度小さいため、空隙層表面でのレベリング性の観点で有利となり、光沢性の面で好ましい。
樹脂微粒子の平均粒径は、光散乱方式やレーザードップラー方式を用いた市販の粒径測定装置、例えば、ゼータサイザー1000(マルバーン社製)等を用いて、簡便に求めることができる。
本発明に係るインクにおいては、樹脂微粒子のインク中での含有量が、0.2〜10質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。樹脂微粒子の添加量が0.2質量%以上であれば、褪色性に対しより十分な効果を発揮することができ、10質量%以下であれば、インク吐出性がより安定となり、更に保存中でのインク粘度の上昇を抑制することができより好ましい。
本発に係る樹脂微粒子においては、最低造膜温度(MFT)が、−60〜60℃であることが好ましい。本発明においては、樹脂微粒子の最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は、可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶媒)であり、例えば「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
本発明に係るインクには、上記の樹脂微粒子の他に、色材を含有している。
本発明に係るインクに用いられる色材としては、顔料あるいは染料のいずれも用いることができるが、好ましくは水溶性染料である。
本発明で用いることのできる水溶性染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができ、その具体的化合物としては、例えば、特開2002−264490号公報に例示した染料を挙げることができる。
本発明に係る記録インクにおいて、各種の界面活性剤を用いることができる。本発明で用いることのできる界面活性剤として、特に制限はないが、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
また、本発明におけるインク中に、高分子界面活性剤も用いることができ、例えば、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
本発明で用いることのできる有機溶媒は、特に制限はないが、水溶性の有機溶媒が好ましく、具体的にはアルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、スルホン酸塩類(例えば1−ブタンスルホン酸ナトリウム塩等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
本発明に係るインクでは、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号および特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
本発明に係るインクでは、安定吐出するためと、インクの記録媒体でのレベリングによる光沢性の観点から、インクの表面張力は40mN/m以下であることが好ましく、20〜40mN/mであることがより好ましい。表面張力が20mN/m以上であれば、本発明に係るインク中の樹脂微粒子の保存安定の面で好ましく、また、40mN/m以下であれば、インクの記録媒体でのレベリング性が高まり、光沢の面で好ましい。
本発明で用いることのできるプリンターは、市販されているプリンターのように、例えば、記録用紙収納部、搬送部、インクカートリッジ、インクジェットプリントヘッドを有するものであれば特に制約はないが、少なくともロール状の記録用紙収納部、搬送部、インクジェットプリントヘッド、切断部、及び、必要に応じて加熱部、加圧部、記録プリント収納部から構成される一連のプリンターセットであることが好ましい。使用するインクジェットプリントヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを挙げることができ、好ましくは、樹脂微粒子を含有するインクの連続射出安定性に優れたピエゾ方式を用いたヘッドが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《記録媒体の作製》
〔記録媒体1〕
含水率が6%、坪量が200g/m2の写真用原紙の裏面側に、押し出し塗布法により、密度が0.92の低密度ポリエチレンを35μmの厚さで塗布した。次いで、表面側にアナターゼ型酸化チタンを5.5質量%含有する密度が0.92の低密度ポリエチレンを40μmの厚さで押し出し塗布法で塗布し、両面をポリエチレンで被覆した。表側にコロナ放電を行い、ポリビニルアルコールからなる下引き層を0.03g/m2、裏面にもコロナ放電を行った後、ラテックス層を0.12g/m2の乾燥質量となるように塗布し、表面処理を行って、支持体を作製した。
上記支持体の表面側に、下記構成のインク吸収層下層及び上層を、特開2003−136836号に記載の方法に準じて、2層同時重層塗布を行った。なお、塗布に際しては、各インク吸収層に、適量の活性剤を添加し、また、インク吸収層上層、インク吸収層下層の両方にホウ酸/ホウ砂を、総ホウ酸量が表1に記載の量となるように添加した。
(インク吸収層下層:支持体側)
気相法シリカ1(一次平均粒子径:7nm) 20.0g/m2
ポリビニルアルコール(PVA217 クラレ製 重合度1700) 3.3g/m2
カチオン性ポリマーP−1 2.0g/m2
多価金属:水溶性ポリ水酸化アルミニウム 0.2g/m2
(インク吸収層上層)
コロイダルシリカ(カチオン性、一次平均粒径50nm) 1.0g/m2
ポリマー微粒子(ポリビニルアルコールを保護コロイドに用いて重合したアクリルタイプ、平均粒径150nm、Tg−30℃) 0.1g/m2
〔記録媒体2〜15の作製〕
上記記録媒体1の作製において、インク吸収層下層のバインダー(ポリビニルアルコール)の重合度、カチオン性ポリマーの添加量、多価金属の添加量、及びインク吸収層上層のコロイダルシリカの有無、種類と添加量、ポリマー微粒子の有無、硬膜剤の添加、更にインク吸収層の全硬膜剤(ホウ素)の添加量とエージング処理の有無を、表1に記載のように変更した以外は同様にして、記録媒体2〜15の作製した。
なお、記録媒体4の作製に用いたA300は、気相法シリカ、一次平均粒径7nm、日本エアロジル工業(株)製である。
〔記録媒体1A〜15Aの作製〕
上記記録媒体1〜15の作製において、インク吸収層下層を塗布乾燥した後、その上にインク吸収層上層を塗布、乾燥した以外は同様にして、記録媒体1A〜15Aを作製した。
《インクの調製》
〔イエローインクの調製〕
C.I.Acid Yellow23 3質量%
ウレタン樹脂微粒子(SF150 第一工業製薬社製 MFT5℃、平均粒径90nm、固形分濃度30%) 5質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 1質量%
イオン交換水 残量
以上の各組成物を混合、攪拌した後、濾過径が1μmのフィルターで濾過し、イエローインクを調製した。このイエローインクの粘度は3.2mPa・s、表面張力は36mN/mであった。
〔マゼンタ濃インクの調製〕
C.I.Direct Red227 2質量%
ウレタン樹脂微粒子(SF150 第一工業製薬社製 MFT5℃、平均粒径90nm、固形分濃度30%) 5質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 1質量%
イオン交換水 残量
以上の各組成物を混合、攪拌した後、濾過径が1μmのフィルターで濾過し、マゼンタ濃インクを調製した。このマゼンタ濃インクの粘度は、3.3mPa・s、表面張力は35mN/mであった。
〔マゼンタ淡インクの調製〕
C.I.Direct Red227 0.5質量%
ウレタン樹脂微粒子(SF150 第一工業製薬社製 MFT5℃、平均粒径90nm、固形分濃度30%) 5質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 残量
以上の各組成物を混合、攪拌した後、濾過径が1μmのフィルターで濾過し、マゼンタ淡インクを調製した。このマゼンタ淡インクの粘度は、3.4mPa・s、表面張力は37mN/mであった。
〔シアン濃インクの調製〕
C.I.Direct Blue199 2質量%
ウレタン樹脂微粒子(SF150 第一工業製薬社製 MFT5℃、平均粒径90nm、固形分濃度30%) 5質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 残量
以上の各組成物を混合、攪拌した後、濾過径が1μmのフィルターで濾過し、シアン濃インクを調製した。このシアン濃インクの粘度は、3.4mPa・s、表面張力は36mN/mであった。
〔シアン淡インクの調製〕
C.I.Direct Blue199 0.5質量%
ウレタン樹脂微粒子(SF150 第一工業製薬社製 MFT5℃、平均粒径90nm、固形分濃度30%) 5質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.2質量%
イオン交換水 残量
以上の各組成物を混合、攪拌した後、濾過径が1μmのフィルターで濾過し、シアン淡インクを調製した。このシアン淡インクの粘度は、3.3mPa・s、表面張力は33mN/mであった。
〔ブラックインクの調製〕
C.I.Food Black2 4質量%
ウレタン樹脂微粒子(SF150 第一工業製薬社製 MFT5℃、平均粒径90nm、固形分濃度30%) 5質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社) 0.1質量%
イオン交換水 残量
以上の各組成物を混合、攪拌した後、濾過径が1μmのフィルターで濾過し、ブラックインクを調製した。このブラックインクの粘度は、3.4mPa・s、表面張力は35mN/mであった。
《インクジェット画像記録及び評価》
記録ヘッド(ピエゾタイプ:512ノズル)を搭載したプリンタに上記調製した各色インクをセットし、上記作製した各記録媒体上に、画像出力を行った。
得られた画像について、下記の各評価を行った。
〔インク吸収性の評価〕
(評価1)
前記作製した記録媒体1A〜15A(2パス塗布試料)に、各色インクを用い、反射濃度が約1.0のニュートラルグレー色を全面ベタ印字して、得られた画像のムラの発生状態を目視観察し、下記の基準に則りインク吸収性の評価を行った。
5:ムラが全くなし
4:ムラが僅かに認められるがベタ印字しても実技上は問題ないレベル
3:ムラがベタ印字でははっきりわかる程度であるが、実際のプリントでは殆ど問題ないレベル
2:グレーの色ムラが認められ、実技上許容され得ないレベル
1:全く許容され得ないレベル
(評価2)
上記評価1において、記録媒体1A〜15A(2パス塗布試料)に代えて、記録媒体1〜15(1パス塗布試料)を用いた以外は同様にして、インク吸収性の評価を行った。
〔光沢の評価〕
黒ベタチャート画像を印字し、写像性測定器ICM−1DP(スガ試験機械社製)で反射60度、光学くし2mmでの写像性(光沢値C値%)を測定した。評価は、以下の基準によって行った。
5:C値%が61以上
4:C値%が56〜60以上
3:C値%が51〜55
2:C値%が41〜40
1:C値%が40以下
〔折り割れ耐性:亀裂限界直径の評価〕
インクジェット記録媒体を23℃、相対湿度20%で24時間調湿した後、直径が5、10、15、20、25、30、35、40、45、50mmの円筒状のアルミ製ローラーに巻きつけ、表層に亀裂が生じ始めるローラー径の直径を亀裂限界直径とする。折れない場合は0mmとする。数値が小さい程折り曲げ耐性が良好である。
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2005088410
表1より明らかなように、コロイダルシリカ、硬膜剤と反応しうる置換基を有するポリマー微粒子及び硬膜剤を含有する高光沢インク吸収層(インク吸収層上層)を有し、更に支持体と高光沢インク吸収層の間にインク吸収層下層を設けた本発明の記録媒体は、比較例に対し、インク吸収性、折り割れ耐性に優れ、また、樹脂を含有する記録インクを用いて形成した画像は、光沢に優れていることが分かる。

Claims (8)

  1. 支持体上に、コロイダルシリカ、ポリマー微粒子及び硬膜剤を含有する高光沢インク吸収層を有し、該ポリマー微粒子が、表面に該硬膜剤と反応しうる置換基を有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 前記支持体と前記高光沢インク吸収層の間に、少なくとも1層のインク吸収層下層を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
  3. 前記インク吸収層下層が、平均重合度が3000以上、5000以下の水溶性バインダーを含有することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
  4. 前記インク吸収層下層が、カチオンポリマーを固形分付量で1.6g/m2以下含有することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
  5. 前記インク吸収層下層が、多価金属塩を固形分付量で0.4g/m2以上含有することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
  6. 前記高光沢インク吸収層及び前記インク吸収層下層が含有する総ホウ素量(ホウ素原子換算量)が、0.085g/m2以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  7. 前記高光沢インク吸収層及び前記インク吸収層下層を塗布乾燥した後、35〜80℃の条件で、1〜30日の保存処理を施すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体上に、少なくとも樹脂を含有する記録インクを用いて画像記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
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