JP2005087810A - 塗布機 - Google Patents

Abstract

【課題】
本発明は、小さな駆動力で確実に塗料その他の塗布材を圧し出すことができ、洗浄時に一々分解洗浄する面倒のない塗布機を提供する。
【解決手段】
塗布材霧化機構（３）を備えた塗布機（１）の機体（２）に、予め充填した塗布材を圧し出す塗布材圧出機構（Ｐ）が形成され、その塗布材圧出機構（Ｐ）は、所定容積の塗布材圧出室（８）に、塗布材充填用の塗布材バッグ（９）を設けると共に、その塗布材バッグ（９）の外側から圧力を作用させて塗布材を圧し出す作動液の流入流出ポート（１０ａ）を設けた構成となっており、作動液を塗布材圧出室（８）に流入させることにより塗布材バッグ（９）の外側から圧力を作用させ、塗布材バッグ（９）を押し潰しながら塗料を圧し出すようにした。
【選択図】図１

Description

本発明は、塗布材を予め充填しておき、塗装時に霧化機構に対して圧し出す塗布材圧出室が形成された塗布機に関し、特に水性塗料などの導電性塗料を静電霧化する静電塗装機に適用して好適なものである。

自動車ボディの塗装では、有機溶剤を使用した塗料が主流であるが、環境保護及び公害防止の観点から、塗装工程において大量に発生する揮発性有機溶剤を削減することが要請されており、その対策として、水性塗料による塗装が注目を集めている。

水性塗料を無駄なく使用するためには、塗着効率の高い静電塗装装置で塗装するのが好ましいが、水性塗料は電気抵抗が低く、塗料供給系を流れる塗料を介して静電塗装機の回転霧化頭とアース側が導通しやすいため、塗料供給系全体に絶縁対策を施して、回転霧化頭に印加される−６０〜９０ｋＶの高電圧がリークするのを防止しなければならない。

このため、従来は塗装機内に形成した塗料タンクに塗料を充填したり、塗装機に対して着脱可能に装着されるカートリッジに塗料を充填し、この塗料タンクやカートリッジから塗料を圧し出して塗装することにより、塗料供給系を電気的に遮断して、塗装機に高電圧を印加してもリークしないようにしている。
特開平２０００−３１７３５４号公報

このような形式の静電塗装機は、通常、シリンダとなる塗料タンクやカートリッジの内周面に沿ってピストンとなる底板が摺動可能に配され、その底板を他のアクチュエータや液圧により圧し込んで塗料を圧し出すようにしている。

しかしながら、この場合、底板と内周面のシールを確実に行わなければならないため、その分摩擦が大きくなって大きな駆動力を必要とし、
底板が往復動するたびに、シールが擦れて摩耗するため、液圧駆動の場合にはその作動駅が流入して塗装品質に悪影響を及ぼすおそれがある。

また、通常のシールは、ピストンとなる底板の外周面に複数のＯリングを平行に配する構成となっているため、そのＯリングとＯリングの間に塗料が入り込んでしまい、一日の作業が終了して洗浄するときには、底板を取り外して分解洗浄しなければならないという面倒があった。

そこで本発明は、底板を摺動させることなく小さな駆動力で確実に塗料その他の塗布材を圧し出すことができ、底板を外して分解洗浄する面倒のない塗布材充填式塗装機を提供することを技術的課題としている。

この課題を解決するために、本発明は 予め充填した塗布材を霧化機構に対して圧し出す塗布材圧出機構を備えた塗布機において、前記塗布材圧出機構は、一定容積の塗布材圧出室が、塗布材及び作動液の充填により膨らむ塗布材バッグ及び作動液バッグで仕切られて、塗布材バッグに予め充填した塗料を作動液バッグに流入される作動液の液圧で圧出可能に形成されたことを特徴とする。

本発明に係る塗布機は、塗布材圧出室が塗布材バッグ及び作動液バッグで仕切られており、予め塗布材バッグに塗料などの塗布材を充填させた状態で、作動液バッグに作動液を例えば定量で流入させると、その液圧により作動液バッグが膨んで塗布材バッグが圧し潰され、塗布材が定量で圧し出されて霧化機構へ供給される。

このように、作動液を供給することにより塗布材バッグを圧し潰して塗布材を圧し出すことができるので、作動液の圧力がそのまま塗布材に作用し、比較的小さな駆動力で塗布材を圧し出すことができるという効果がある。
また、底板を摺動させる必要がないので、底板のシール漏れに起因する塗装不良がなく、さらに、塗布材が入り込む隙間もないので洗浄も簡単に行うことができるという効果がある。
さらにまた、使用中に、万一、一方のバッグが破れることがあっても、塗布材バッグ及び作動液バッグが個別に設けられているので、塗布材圧出室内で塗布材と作動液が混合するおそれもない。

本発明は、小さな駆動力で確実に塗料その他の塗布材を圧し出すことができ、分解洗浄しなくても洗浄できるようにするという目的を、ピストンとなる底板を無くすことにより実現した。
以下、本発明に係る塗布機を図面に基づいて具体的に説明する。
図１は本発明に係る塗布機を示す断面図、図２は他の実施形態を示す説明図である。

図１に示す静電塗装機（塗布機）１は、水性塗料などの導電性塗料（塗布材）の静電塗装を行うもので、機体２の先端側に塗料を回転霧化する回転霧化頭（霧化機構）３が配されると共に、その後端側には予め充填された塗料を作動液の液圧で圧し出す塗布材圧出機構Ｐが形成されたカートリッジ４が着脱可能に装着されている。

回転霧化頭３は、機体２内に配されたエアモータ５の管状回転軸６に取り付けられて高速回転駆動されると共に、高電圧発生機７から供給される高電圧が印加されて、霧化された塗料粒子を被塗物と反対極に帯電させるようになっている。

塗布材圧出機構Ｐは、所定容積の塗料（塗布材）圧出室８に、塗料流入流出ポート９ａ及び作動液流入流出ポート１０ａが形成され、塗料流入流出ポート９ａに塗料充填用の塗料バッグ９が、また、作動液流入流出ポート１０ａには塗料圧出用の作動液バッグ１０がそれぞれ着脱可能に取り付けられている。

塗料バッグ９及び作動液バッグ１０は、一端側に接続口が形成されたチューブ状又はバルーン状に形成され、夫々の接続口が夫々の流入流出ポート９ａ及び１０ａに接続されている。
これにより、機体２側から作動液流入流出ポート１０ａを介して流入された作動液により作動液バッグ１０が膨らんで塗料バッグ９の外側から圧力が作用することとなり、塗料圧出室８内の塗料バッグ９が押し潰されて塗料が圧し出されることになる。

なお、塗料圧出室８は、その内側が円筒内周面に形成されると共に、塗布材バッグ９及び作動液バッグ１０の外側が、作動液バッグ１０に流入する作動液の圧力を塗布材バッグ９に伝える圧力伝達液で満たされている。
圧力伝達液としては、作動液やシンナーが用いられ、本例では、作動液と同じ酢酸ブチルが用いられている。
また、塗料は塗料バッグ９に充填されるので塗布材圧出室８内に付着することがなく、、洗浄しきれなかった塗料が塗料バッグ９内で硬化することがあっても、塗料バッグ９を交換すれば足り、メンテナンスが非常に簡単である。

また、本例では、各バッグ９及び１０は、夫々が塗料圧出室８と略等しい大きさ及び容積に選定され、これにより、塗料バッグ９に塗料が充満されたときは作動液バッグ１０が概ね空になり、作動液バッグ１０に作動液が充満されたときは塗料バッグ９が概ね空になるように成っている。

機体２にカートリッジ４が装着されると、ジョイント１１Ａ、１１Ｂが係合されて、機体２及びカートリッジ４の双方の流路が連通される。
機体２には、塗料バッグ９から圧し出される塗料を回転霧化頭３に送給する塗料供給流路１２と、作動液バッグ１０に対して作動液の供給／排出を行う作動液流路１３が形成され、ジョイント１１Ａには、カートリッジ側のジョイント１１Ｂと係合されたときのみ各流路１２、１３を開成されるストップバルブ付の接続ポート１２ａ、１３ａが形成されている。
同様に、カートリッジ４には、塗料バッグ９に連通される塗料流路１４と、作動液バッグ１０に連通される作動液流路１５が形成され、そのジョイント１１Ｂには、機体２側のジョイント１１Ａと係合されて各流路１４、１５が前記各流路１２及び１３と連通したときに開成されるストップバルブ付の接続ポート１４ａ、１５ａが形成されている。

なお、２１は塗装機１の内部及び回転霧化頭３を洗浄する洗浄流路であって、機体２の周面に形成された洗浄コネクタ接続ポート２２から前記塗料供給流路１２の接続ポート１２ａに連通され、ジョイント１１Ａ、１１Ｂが非係合状態にあるとき、接続ポート１２ａを介して塗料供給流路１２に連通するようになっている。

以上が本発明の一構成例であって、次にその作用について説明する。
静電塗装機１の機体２に各種オペレートエア配管、排気管、電源ケーブル（いずれも図示せず）を接続して、この静電塗装機１を塗装ロボット（図示せず）などのウィービングアームに取り付ける。

そして、塗料バッグ９に塗料を予め充填しておいたカートリッジ４を機体２に装着してジョイント１１Ａ及び１１Ｂを係合させ、塗装機１を任意の塗装位置へ移動させると同時に、回転霧化頭３をエアモータ５により高速回転駆動させると共に、高電圧発生機７をオンして高電圧を印加させておく。

ここで、機体２側からカートリッジ４に作動液を定量供給すると、作動液バッグ１０が膨んでその作動液バッグ１０と塗料圧出室８の内壁の間で塗料バッグ９が圧し潰されるので、塗料は塗料供給流路１３を通って定量供給されて、回転霧化頭３で静電霧化される。

本例によれば、従来のように塗料タンクやカートリッジの底板を摺動させて塗料を圧しだすのではなく、作動液を作動液バッグ１０に流入させることにより塗料バッグ９を圧し潰して塗料を圧し出すことができるので、作動液の圧力がそのまま塗料に作用し、比較的小さな駆動力で塗料を圧し出すことができるという効果がある。
また、塗料が塗料バッグ９内に充填されて作動液とは完全に分離されているので、互いが混合するのを防止するシールを設ける必要がなく、また、シール漏れに起因する塗装不良が起こる筈もなく、さらには、塗料が入り込むような隙間も存在しないので洗浄も簡単に行うことができるという効果がある。

図２は本発明に係る他の実施形態を示す説明図である。なお、図１との共通部分は同一符号を付して詳細説明は省略する。
本例の静電塗装機（塗布機）４１は、機体４２に装着されるカートリッジ４３の塗料圧出室８に、塗料流入流出ポート９ａ〜９ｄ及び作動液流入流出ポート１０ａが形成され、塗料流入流出ポート９ａ〜９ｄに各色の水性塗料を個別に充填する複数の塗料バッグ９Ａ〜９Ｄが、また、作動液流入流出ポート１０ａには塗料圧出用の作動液バッグ１０がそれぞれ着脱可能に取り付けられている。

塗料バッグ９Ａ〜９Ｄ及び作動液バッグ１０は、一端側に接続口が形成されたチューブ状又はバルーン状に形成され、夫々の接続口が夫々の流入流出ポート９ａ〜９ｄ及び１０ａに接続されて、塗料バッグ９Ａ〜９Ｄが作動液バッグ１０を挟むようにその両側に二つずつ配されて成る。
また、各塗料バッグ９Ａ〜９Ｄはいずれも塗料圧出室８の約１／４の容積に選定され、作動液バッグ１０は全ての塗料バッグ９Ａ〜９Ｄを空にすることができるように塗料圧出室８と略同じ容積に選定されている。

機体４２及びカートリッジ４３はジョイント４４Ａ、４４Ｂを介して双方の流路が連通されている。
機体２には、各塗料バッグ９Ａ〜９Ｄから圧し出される塗料を回転霧化頭３に送給する塗料供給流路１２Ａ〜１２Ｄと、塗料吐出時にこれら塗料供給流路１２Ａ〜１２Ｄを回転霧化頭３に対して択一的に導通させるオンオフバルブ４５Ａ〜４５Ｄと、作動液バッグ１０に対して作動液の供給／排出を行う作動液流路１３が形成されている。
そして、機体４２側のジョイント４４Ａには、カートリッジ４３側のジョイント４４Ｂと係合されたときのみ開成されるストップバルブ付の接続ポート１２ａ〜１２ｄ、１３ａが各流路１２Ａ〜１２Ｄ、１３の先端に形成されている。

また、カートリッジ４３には、塗料バッグ９Ａ〜９Ｄに連通される塗料流路１４Ａ〜１４Ｄと、作動液バッグ１０に連通される作動液流路１５が形成されている。
そして、カートリッジ４３側のジョイント４４Ｂには、機体４２側のジョイント４４Ａと係合されたときのみ開成されるストップバルブ付の接続ポート１４ａ〜１４ｄ、１５ａが各流路１４Ａ〜１４Ｄ、１５の先端に形成されている。

なお、２１Ａ〜２１Ｄは塗装機１の内部及び回転霧化頭３を洗浄する洗浄流路であって、機体２の周面に形成された洗浄コネクタ接続ポート２２Ａ〜２２Ｄから前記塗料供給流路１２Ａ〜１２Ｄの接続ポート１２ａ〜１２ｄに連通され、ジョイント４４Ａ、４４Ｂが非係合状態にあるとき、接続ポート１２ａ〜１２ｄを介して塗料供給流路１２Ａ〜１２Ｄに連通するようになっている。

本例の場合、複数の塗料バッグ９Ａ〜８Ｄを配してなるので、多色色替塗装に適用することができる。
また、作動液の圧力がそのまま塗料に作用するので比較的小さな駆動力で塗料を圧し出すことができ、シール漏れに起因する塗装不良を起こすおそれがなく、塗料が入り込むようなシールの隙間も存在しないので洗浄も簡単に行うことができるという効果は前述の実施例と同様である。

なお、上記実施例では、いずれも導電性塗料用の静電塗装機に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、通常の非導電性塗料の静電塗装気やエア霧化塗装機などにも適用可能である。

以上述べたように、本発明は、導電性塗料の静電塗装機に用いて非常に有益である。

本発明に係る充填式塗布機の一例を示す断面図（実施例１）。 他の実施例を示す流体回路図（実施例２）。

符号の説明

１、４１ 静電塗装機（塗布機）
２、４２ 機体
３ 回転霧化頭（霧化機構）
Ｐ 塗布材圧出機構
４、４３ カートリッジ
５ エアモータ
６ 管状回転軸
７ 高電圧発生機
８ 塗料（塗布材）圧出室
９ ９Ａ〜９Ｄ 塗料バッグ
１０ 作動液バッグ
１０ａ 作動液流入流出ポート

Claims (7)

1. 塗布材を予め充填すると共に霧化機構に対して圧し出す塗布材圧出機構を備えた塗布機において、前記塗布材圧出機構は、所定容積の塗布材圧出室に、塗布材充填用の塗布材バッグが設けられると共に、その塗布材バッグの外側から圧力を作用させて塗布材を圧し出す作動液の流入流出ポートが設けられたことを特徴とする塗布機。
2. 前記塗布材圧出室に、複数の塗布材バッグが設けられ、各塗布材バッグから前記霧化機構に至る塗布材圧出流路には、作動液流入時に一の塗布材バッグから前記霧化機構に塗布材を択一的に供給する切換バルブが介装されてなる請求項１記載の塗布機。
3. 前記塗料バッグは、一端側に接続口が形成されたチューブ状又はバルーン状に形成されてなる請求項１又は２記載の塗布機。
4. 前記塗布材圧出室に塗布材圧出用の作動液を流入させる作動液バッグが設けられた請求項1乃至３記載の塗布機。
5. 前記塗料圧出室に配された塗布材バッグ及び作動液バッグの外側が、作動液バッグに流入する作動液の圧力を塗布材バッグに伝える圧力伝達液で満たされている請求項４記載の塗布機。
6. 前記塗布材圧出室の内側が円筒内周面に形成されてなる請求項１乃至５記載の塗布機。
7. 前記塗布材として水性塗料などの導電性塗料が用いられ、前記霧化機構として噴霧される塗料粒子を被塗物と反対極に帯電させる静電霧化機構が設けられてなる請求項１乃至６記載の塗布機。
   
   

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