JP2005087100A - リコペンの製造方法 - Google Patents

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章 坪倉
Hisashi Yoneda
久 米田
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Abstract

【課題】リコペンの安価で、安定供給可能な、安全性の高い製造方法を提供する。
【解決手段】16SリボソームRNAに対応するDNAの塩基配列が細菌由来の特定な塩基配列と実質的に相同であり、かつβ−カロテン、エキネノン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、アステロイデノン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン及びアスタキサンチンから選ばれる少なくとも一つのカロテノイド化合物を生産するカロテノイド生産微生物に突然変異を誘発し、生産されるリコペンの総カロテノイド生産量に対する比率(質量%)が親株のそれよりも高い変異株を選抜してリコペン生産微生物を取得し、前記リコペン生産微生物を培養することにより得た培養物からリコペン又はリコペンを含有するカロテノイド混合物を採取することを含むリコペン又はリコペンを含有するカロテノイド混合物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、天然赤色色素及び抗酸化作用物質として飼料用、食品用、化粧品用、医薬品用等の素材に有用なリコペン又はリコペンを含有するカロテノイド混合物の微生物的製造法に関する。
リコペンはトマトに含まれる天然の赤色カロテノイドであり食品の着色料として有用である。また、強力な抗酸化作用を有し(Arch.Biochem.Biophys.,271,532,1989)、動脈硬化に関係する低密度リポタンパク質の酸化を阻害することが知られ(Nutr.Metab.Cordiovasc.,Dis 7,433,1997)、癌細胞の増殖を抑制することが報告されている(J.Natl.Cancer Inst.91,313,1999)。これら生理的効果からリコペンは飼料用、食品用、化粧品用及び医薬品用の素材として有用である。
リコペンの製造法としてはリナロールやゲラニオールを原料に化学合成する方法(特開2001−39943)、トマトから分離精製する方法(特開2002−193850)が知られている。また微生物がリコペンを生産する例としてはドナリエラ藻類(特開2001−161391)、クロレラ藻類(特開2000−152778)、ロドバクター属細菌(特開平8−239658)が知られている。新属の細菌E−396株(FERM BP−4283)(特開平7−79796,特開平8−9964,米国特許第5,607,839号,米国特許第5,858,761号)はカロテノイド化合物を高濃度で生産することが知られているが、リコペンの生産量は極わずかである。
特開平7−79796号公報 特開平8−9964号公報 米国特許第5,607,839号明細書 米国特許第5,858,761号明細書
しかしながら、前述のリコペン化学合成法は安全性および近年の天然物指向の面で問題がある。トマトからの抽出ではリコペン含量が低いためにコストがかかりすぎるうえに天候に左右されるので安定供給が困難であるという欠点を有する。また従来の微生物による培養では生産濃度が低いので実用的でない。カロテノイド化合物生産菌として知られるE−396株は各種試験により既にその安全性が確認されアスタキサンチンを含有するカロテノイド化合物を工業的規模で高濃度に生産する方法が確立されているものの、リコペンの生成は少量か又は検出されない程度である。
このためリコペンの安価で、安定供給可能な、安全性の高い製造方法が求められていた。
上記課題を解決するため本発明者らは鋭意検討した結果、カロテノイドを生産する微生物を変異処理することにより、生産される総カロテノイド量に対するリコペンの比率が高い微生物が容易に得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の手段を提供する。
(1)16SリボソームRNAに対応するDNAの塩基配列が配列番号1に記載の塩基配列と実質的に相同であり、かつβ−カロテン、エキネノン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、アステロイデノン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン及びアスタキサンチンから選ばれる少なくとも一つのカロテノイド化合物を生産するカロテノイド生産微生物に突然変異を誘発し、生産されるリコペンの総カロテノイド生産量に対する比率(質量%)が親株のそれよりも高い変異株を選抜してリコペン生産微生物を取得し、前記リコペン生産微生物を培養することにより得た培養物からリコペン又はリコペンを含有するカロテノイド混合物を採取することを含むリコペン又はリコペンを含有するカロテノイド混合物の製造方法。
(2)生産されるリコペンの総カロテノイド生産量に対する比率(質量%)が親株のそれより高い変異株の選抜が、固体培地上で桃色〜赤紫色を呈するコロニーを選択することを含む工程により行われる前記(1)に記載の方法。
(3)前記リコペン生産微生物により生産されるリコペンの総カロテノイド生産量に対する比率が40質量%以上であることを特徴とする前記(1)に記載の方法。
(4)前記リコペン生産微生物により生産されるβ−カロテン、エキネノン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、アステロイデノン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン及びアスタキサンチンのそれぞれの総カロテノイド生産量に対する比率がいずれも20質量%未満であることを特徴とする前記(1)に記載の方法。
(5)カロテノイド生産微生物がE−396株(FERM BP−4283)およびその変異株、並びにA−581−1株(FERM BP−4671)およびその変異株から選ばれる前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
本発明により、安価で、安定供給可能な、安全性の高いリコペンの製造方法が提供される。
また、本発明の方法によれば、リコペン生産変異株の中には、主生成物としてリコペンとともに、副生成物として他のカロテノイド化合物を同時に生産する場合もあり、本発明はリコペンを主成分とするカロテノイド混合物を効率的に製造する方法としても有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法においては変異の親株としてカロテノイドを生産する微生物が用いられるが、このような微生物としては、その16SリボソームRNAに対応するDNAの塩基配列が配列番号1に記載の塩基配列と実質的に相同であるカロテノイド生産細菌が挙げられる。ここで言う実質的に相同であるとはDNAの塩基配列決定の際のエラー頻度等を考慮し98%以上の相同性であることを意味する。
上記配列と実質的に相同な配列を有するカロテノイド生産微生物としては、具体的には、E−396株(FERM BP−4283)およびA−581−1株(FERM BP−4671)、ならびにE−396株あるいはA−581−1株を変異改良することで得られる各種変異株およびこれら2種の近縁種を挙げることができる。配列番号1のDNA塩基配列は、E−396株のリボソームRNAに対応するものであり、また配列番号2のDNA塩基配列は、A−581−1株のリボソームRNAに対応するものである。E−396株とA−581−1株の16SリボソームRNAの塩基配列の相同性は99.4%であり、極めて近縁な株であることが判明した。よって、これらの菌株はカロテノイドを生産する細菌として一つのグループを形成している。本発明の方法において用いられる変異の親株は、E−396株およびA−581−1株ならびにE−396株あるいはA−581−1株の変異株およびこれらの菌株の近縁種として、16SリボソームRNAに対応するDNA塩基配列が配列番号1に記載の塩基配列と98%以上の相同性を有するカロテノイド生産微生物として定義される。
本発明に使用するカロテノイド生産微生物として挙げられるE−396株について説明する。この株は、本発明者らが新しく単離したものであり、工業技術院生命工学工業技術研究所(独立行政法人産業技術研究所 特許生物寄託センター)に平成5年4月27日にFERM BP−4283として寄託された。さらに具体的な他の微生物としてはA−581−1株を挙げることができる。この株は、発明者らが新しく単離したものであり、工業技術院生命工学工業技術研究所(独立行政法人産業技術研究所 特許生物寄託センター)に平成6年5月20日にFERM BP−4671として寄託された。
本発明に使用される変異の親株は、16SリボソームRNAに対応するDNA塩基配列が配列番号1に記載の塩基配列と98%以上の相同性を有し、かつβ−カロテン、エキネノン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、アステロイデノン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン及びアスタキサンチンから選ばれる少なくとも一つのカロテノイド化合物を生産するカロテノイド生産微生物として定義される。上記カロテノイドの少なくとも一つを生産する野生株を変異の親株に用いることができるが、人工的な突然変異処理により、例えばアスタキサンチン生産性が向上した変異株やカンタキサンチン生産性が向上した変異株、ゼアキサンチン生産性が向上した変異株、β−カロテンの生産性が向上した変異株等を親株として使用することも可能である。
本発明においてカロテノイド生産微生物を変異処理する方法は、突然変異を誘発するものであれば特に限定されない。たとえば、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)、エチルメタンスルホネート(EMS)、などの変異剤による化学的方法、紫外線照射、X線照射などの物理的方法、遺伝子組換え、トランスポゾンなどによる生物学的方法などを用いることができる。この変異処理は1回でもよいし、また、例えばこの突然変異処理によりカロテノイド生産微生物の変異体を得て、これをさらに突然変異処理するというように2回以上の変異処理を行ってもよい。
次に、上記のようにして得られるカロテノイド生産微生物の突然変異体の中から、生産されるリコペンの総カロテノイド生産量に対する比率(質量%)が親株のそれよりも高くなっている変異株を選抜してリコペン生産微生物を取得する。この目的のために、変異処理後に固体培地上にコロニーを形成させ、ランダムにコロニーを取得してもよいが、リコペン生産微生物のコロニーは桃色〜赤紫色を呈する場合が多いので、親株の赤色〜赤橙色のコロニーに比較して桃色〜赤紫色を呈するコロニーを選択することにより、効率的にリコペン生産微生物(変異株)を選抜することができる。この工程を含むことによりリコペンの総カロテノイド量に対する比率の高い変異株を取得できる確率は飛躍的に向上する。
次いで、上述のようにして選択された変異株コロニーを慣用の方法により培養し、培養終了後に各変異株の培溶液中に含まれるカロテノイド化合物を分析することにより、リコペンの生産比率が高い変異株を選抜することができる。
変異株の培養は、例えば、生産菌の生育に必要で、カロテノイド化合物を生成する成分を含む培地で培養することにより行うことができる。培養方法は試験管、フラスコなどの振とう培養、通気撹拌培養などいずれの方法でもよい。カロテノイド化合物の分析方法は、カロテノイド化合物を分離検出できる方法なら何でも良いが、たとえば、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィーなどを用いることができる。
本発明においてリコペン生産微生物の取得は、リコペンの総カロテノイド量に対する比率の高い変異株を選抜することにより行われるが、ここで言う総カロテノイド量とは、リコペン、β−カロテン、エキネノン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、アステロイデノン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン、アスタキサンチンなどのカロテノイド化合物の総量を示す。
E−396株のごときカロテノイド生産微生物は、アスタキサンチン、カンタキサンチン、アドニキサンチン、β−カロテン、エキネノン、ゼアキサンチン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、アステロイデノン、アドニルビンなど多種のカロテノイド化合物を同時に生成するので、リコペンの総カロテノイド量に対する比率は低く、通常は0〜5質量%程度である。
本発明においては、カロテノイド生産微生物に突然変異を誘発し、生産するリコペンの総カロテノイド量に対する比率が特に高い変異株を選抜する。その選抜の基準となるリコペンの比率は、変異前の親株のリコペン生産比率より高いことが最低限の条件であるが、生産される総カロテノイド量に対してリコペンを好ましくは40質量%以上、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上のリコペン比率を示す変異株を選抜する。
カロテノイドの生合成は、リコペンの両末端が環化しβ−カロテンを生成し、β−カロテンがさらにケト化酵素および水酸化酵素によりそれぞれ両端の6員環が修飾されることによりカンタキサンチン、ゼアキサンチン、アスタキサンチンなどが生成して行われると推定されている(図1参照)。この環化酵素が完全に欠損すれば、リコペンだけが生産され、リコペン以降のβ−カロテン、エキネノン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、アステロイデノン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン及びアスタキサンチンは生産されないことが推定される。またこの環化酵素が不完全に欠損すれば、リコペンの生産比率が高くなり、β−カロテン、エキネノン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、アステロイデノン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン及びアスタキサンチンの総カロテノイド生産量に対する比率が低くなることが推定される。したがって、変異株の中からリコペン生産微生物を選抜するためのもう一つの有効な手段としては、β−カロテン、エキネノン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、アステロイデノン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン及びアスタキサンチンの総カロテノイド量に対するそれぞれの比率が低いことを基準に選抜する方法を用いることができる。前述化合物それぞれの総カロテノイドに対する比率がいずれも、20質量%未満、より好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満であることを基準に選抜することができる。
本発明においてリコペン又はリコペンを含有するカロテノイド混合物を採取するために、リコペン生産微生物を培養する方法は、リコペンを生成する条件であればいずれの方法でもよいが、例えば、以下のような方法を採用できる。すなわち、培地としては生産菌が生育に必要な炭素源、窒素源、無機塩および必要であれば特殊な要求物質(例えば、ビタミン、アミノ酸、核酸等)を含むものを使用する。炭素源としてはグルコース、シュークロース、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニトール、マルトース等の糖類、酢酸、フマル酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、マロン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソブタノール等のアルコール類等が挙げられる。添加割合は炭素源の種類により異なるが、通常培地1L当たり1〜100g、好ましくは2〜50gである。窒素源としては、例えば、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニア、尿素、グルタミン酸ソーダ等の1種または2種以上が用いられる。添加割合は窒素源の種類により異なるが、通常培地1Lに対し0.1〜20g、好ましくは1〜10gである。無機塩としてはリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸マンガン、塩化マンガン、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸銅、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等の1種または2種以上が用いられる。添加割合は無機塩の種類により異なるが、通常、培地1Lに対し0.1mg〜10gである。特殊な要求物質としてはビタミン類、核酸類、酵母エキス、ペプトン、肉エキス、麦芽エキス、コーンスティープリカー、乾燥酵母、大豆粕、大豆油、オリーブ油、トウモロコシ油、アマニ油等の1種または2種以上が用いられる。添加割合は特殊な要求物質の種類により異なるが、通常、培地1Lに対し0.01mg〜100gである。培地のpHは2〜12、好ましくは6〜9に調整する。培養条件は10〜70℃、好ましくは20〜35℃の温度であり、通常1日〜20日間、好ましくは2〜9日間振とう培養あるいは通気撹拌培養を行う。
次に、以上の方法により得られた培養液から水分を除去する作業を行う。リコペン含有物を得るために、培養液からどの程度の水分除去が必要かは培養液の色素含有量等の状態により異なるが、一般にまずろ過の作業を行いさらに水分の除去が必要であれば沈殿物の乾燥を行う。ろ過の方法は、通常のろ過法、遠心分離法などにより行うことができる。さらに水分を除去する必要がある場合には、沈殿物を乾燥する方法をとることが可能である。乾燥の方法としては、通常の噴霧乾燥、ドラム乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。
必要に応じ抽出によりリコペンの含量を高くすることもできる。抽出原料としては培養液そのものを用いても、ろ過後の沈殿物またはそれを乾燥したものを用いてもよい。抽出の方法は溶媒抽出でも超臨界二酸化炭素抽出でもよい。溶媒抽出に用いる有機化合物はリコペンを抽出する能力のあるものならば水溶性有機溶媒でも非水溶性有機溶媒でも特に限定されない。得られた抽出液は減圧濃縮などにより溶媒を除去し製品とすることができる。必要により脱臭処理を行うことや植物油に懸濁することが可能である。
また、リコペンの含量をさらに高くする必要がある場合には、2種以上の溶媒の組み合わせによる液液抽出、カラムを用いる吸着分離又はクロマトグラフィーなどの分離工程をそれぞれ単独でもしくは組み合わせて使用することができる。得られた高純度の抽出液から、濃縮又は加水又はリコペンの溶けにくい溶媒の追加又は冷却を行うことにより高純度のリコペンを析出させることができる。濃縮、加水、溶媒の追加及び冷却の工程はそれぞれ単独に実施してもよいが、必要に応じいくつかを組み合わせて実施することができる。
以上の方法で得られるリコペンを含む培養沈殿物、沈殿乾燥物、抽出物、抽出精製物等の中から、飼料配合剤、食品素材、化粧品素材及び医薬品素材としてそれぞれ好適な製品形態を選択することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
〔実施例1〕
E−396株(FERM BP−4283)を濃度100mg/LのNTG(N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン)で、温度28℃、30分間静置して変異処理を行った。表1の組成からなる培地6mlを内径18mmの試験管に入れ121℃、15分間蒸気殺菌し、試験管培地を作製した。桃色〜赤紫色を呈する変異株コロニー60株を選抜し、それぞれ試験管培地に1白金耳植菌、28℃で4日間、330rpmの往復振とう培養を行った。次にこの培養物を遠心分離し、得られた菌体のカロテノイド化合物の分析を高速液体クロマトグラフィーにより行ったところ、総カロテノイド生産量に対するリコペンの比率が40質量%以上を示す菌株を1株得た。この菌株のカロテノイド化合物の分析結果を表2に示した。比較のために上記と同じ条件で培養したE−396株培養液のカロテノイド化合物の分析結果を表3に示した。
Figure 2005087100
Figure 2005087100
Figure 2005087100
〔実施例2〕
E−396株(FERM BP−4283)を濃度100mg/LのNTG(N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン)で、温度28℃、30分間静置して変異処理を行った。表1の組成からなる培地6mlを内径18mmの試験管に入れ121℃、15分間蒸気殺菌し、試験管培地を作製した。変異株コロニーをランダムに800株拾い、それぞれ試験管培地に1白金耳植菌、28℃で4日間、330rpmの往復振とう培養を行った。次にこの培養物を遠心分離し、得られた菌体のカロテノイド化合物の分析を高速液体クロマトグラフィーにより行ったところ、総カロテノイド生産量に対するリコペンの比率が40質量%以上を示す菌株を1株得た。この菌株のカロテノイド化合物の分析結果を表4に示した。比較のために上記と同じ条件で培養したE−396株培養液のカロテノイド化合物の分析結果を表3に示した。
Figure 2005087100
〔実施例3〕
E−396株(FERM BP−4283)をNTGで変異処理し、赤色の色調が濃いコロニーを選抜してアスタキサンチンの生産性が向上した変異株Y−559株を取得した。このY−559株をさらに150mg/LのNTGで変異処理した。表1の組成からなる培地6mlを内径18mmの試験管に入れ121℃、15分間蒸気殺菌し、試験管培地を作製した。桃色〜赤紫色を呈する変異株コロニー80株を選抜し、それぞれ試験管培地に1白金耳植菌、28℃で5日間、330rpmの往復振とう培養を行った。次にこの培養物を遠心分離し、得られた菌体のカロテノイド化合物の分析を高速液体クロマトグラフィーにより行ったところ、総カロテノイド生産量に対するリコペンの比率が40質量%以上を示す菌株を1株得た。この菌株のカロテノイド化合物の分析結果を表5に示した。比較のために上記と同じ条件で培養したY−559株培養液のカロテノイド化合物の分析結果を表6に示した。
Figure 2005087100
Figure 2005087100
〔実施例4〕
E−396株(FERM BP−4283)をNTGで変異処理し、橙色のコロニーを選抜してカンタキサンチンの生産性が向上した変異株CA−22株を取得した。このCA−22株をさらに200mg/LのNTGで変異処理した。表1の組成からなる培地6mlを内径18mmの試験管に入れ121℃、15分間蒸気殺菌し、試験管培地を作製した。桃色〜赤紫色を呈する変異株コロニー60株を選抜し、それぞれ試験管培地に1白金耳植菌、28℃で5日間、330rpmの往復振とう培養を行った。次にこの培養物を遠心分離し、得られた菌体のカロテノイド化合物の分析を高速液体クロマトグラフィーにより行ったところ、総カロテノイド生産量に対するリコペンの比率が40質量%以上を示す菌株を1株得た。この菌株のカロテノイド化合物の分析結果を表7に、比較のために上記と同じ条件で培養したCA−22株のカロテノイド化合物の分析結果を表8に示した。
Figure 2005087100
Figure 2005087100
〔実施例5〕
E−396株(FERM BP−4283)をNTGで変異処理し、黄色のコロニーを選抜してゼアキサンチンの生産性が向上した変異株ZE−7株を取得した。このZE−7株をさらに150mg/LのNTGで変異処理した。表1の組成からなる培地6mlを内径18mmの試験管に入れ121℃、15分間蒸気殺菌し、試験管培地を作製した。桃色〜赤紫色を呈する変異株コロニー80株を選抜し、それぞれ試験管培地に1白金耳植菌、28℃で5日間、330rpmの往復振とう培養を行った。次にこの培養物を遠心分離し、得られた菌体のカロテノイド化合物の分析を高速液体クロマトグラフィーにより行ったところ、総カロテノイド生産量に対するリコペンの比率が40質量%以上を示す菌株を1株得た。この菌株のカロテノイド化合物の分析結果を表9に、比較のために上記と同じ条件で培養したZE−7株のカロテノイド化合物分析結果を表10に示した。
Figure 2005087100
Figure 2005087100
〔実施例6〕
A−581−1株(FERM BP−4671)にUVランプで紫外線を照射し変異処理を行った。表1の組成からなる培地6mlを内径18mmの試験管に入れ121℃、15分間蒸気殺菌し、試験管培地を作製した。桃色を呈する変異コロニー100株を選抜し、それぞれ試験管培地に1白金耳植菌し、28℃で4日間、330rpmの往復振とう培養を行った。次にこの培養物を遠心分離し、得られた菌体のカロテノイド化合物の分析を高速液体クロマトグラフィーにより行ったところ、β−カロテン、エキネノン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、アステロイデノン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン及びアスタキサンチンのそれぞれの総カロテノイド生産量に対する比率がいずれも20質量%未満を示す菌株を1株得た。この菌株のカロテノイド化合物の分析結果を表11に示した。比較のために上記と同じ条件で培養したA−581−1株培養液のカロテノイド化合物の分析結果を表12に示した。
Figure 2005087100
Figure 2005087100
本発明の方法は、天然赤色色素及び抗酸化剤等に有用なリコペン及びリコペンを主成分として含有するカロテノイド混合物の製造に有用である。
カロテノイドの生合成経路を示す図である。

Claims (5)

  1. 16SリボソームRNAに対応するDNAの塩基配列が配列番号1に記載の塩基配列と実質的に相同であり、かつβ−カロテン、エキネノン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、アステロイデノン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン及びアスタキサンチンから選ばれる少なくとも一つのカロテノイド化合物を生産するカロテノイド生産微生物に突然変異を誘発し、生産されるリコペンの総カロテノイド生産量に対する比率(質量%)が親株のそれよりも高い変異株を選抜してリコペン生産微生物を取得し、前記リコペン生産微生物を培養することにより得た培養物からリコペン又はリコペンを含有するカロテノイド混合物を採取することを含むリコペン又はリコペンを含有するカロテノイド混合物の製造方法。
  2. 生産されるリコペンの総カロテノイド生産量に対する比率(質量%)が親株のそれより高い変異株の選抜が、固体培地上で桃色〜赤紫色を呈するコロニーを選択することを含む工程により行われる請求項1に記載の方法。
  3. 前記リコペン生産微生物により生産されるリコペンの総カロテノイド生産量に対する比率が40質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記リコペン生産微生物により生産されるβ−カロテン、エキネノン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、アステロイデノン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン及びアスタキサンチンのそれぞれの総カロテノイド生産量に対する比率がいずれも20質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. カロテノイド生産微生物がE−396株(FERM BP−4283)およびその変異株、並びにA−581−1株(FERM BP−4671)およびその変異株から選ばれる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
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