JP2005086004A - 基板及びその製造方法並びに電気光学装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたトランジスタ特性を得ると共に、オフリークを低減する。
【解決手段】 複数の層が積層された基板において、半導体層1aと、前記半導体層1aの下地として形成される50nm以上の厚さの高温酸化膜層12bとを具備したことを特徴とする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、液晶装置用基板等の層が積層される基板及びその製造方法並びに電気光学装置に関する。
一般に電気光学装置、例えば、電気光学物質に液晶を用いて所定の表示を行う液晶装置は、一対の基板間に液晶が挟持された構成となっている。このうち、TFT駆動、TFD駆動等によるアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置等の電気光学装置においては、縦横に夫々配列された多数の走査線(ゲート線)及びデータ線(ソース線)の各交点に対応して、画素電極及びスイッチング素子を基板(アクティブマトリクス基板)上に設けて構成される。
TFT素子等のスイッチング素子は、ゲート線に供給されるオン信号によってオンとなり、ソース線を介して供給される画像信号を画素電極(透明電極(ITO))に書込む。これにより、画素電極と対向電極相互間の液晶層に画像信号に基づく電圧を印加して、液晶分子の配列を変化させる。こうして、画素の透過率を変化させ、画素電極及び液晶層を通過する光を画像信号に応じて変化させて画像表示を行う。
このようなスイッチング素子を構成する素子基板は、ガラス又は石英基板上に、所定のパターンを有する半導体薄膜、絶縁性薄膜(層間絶縁膜)又は導電性薄膜を積層することによって構成される。即ち、各種膜の成膜工程とフォトリソグラフィ工程の繰返しによって、TFT基板等は形成されている。
例えば、TFT素子を構成する半導体層とその上下の成膜層との間にも層間絶縁膜が形成される。TFT素子を構成する半導体層の上下の層間絶縁膜としては、特にTFT素子を保護する観点から十分な膜厚の層間絶縁膜が用いられる。例えば、成膜レートが高く被覆性が良好なものとして、減圧又は常圧CVDによるTEOS(テトラ・エチル・オルソ・シリケート)ガスを用いた膜(以下、TEOS膜という)が多用されている。
このようなTEOS膜を用いた例として特許文献1に記載の装置がある。
特開2002−123192号公報
ところで、TFT素子を構成する半導体層とその上下の成膜層との間は、層間絶縁膜に開孔したコンタクトホールを介して電気的に接続される。コンタクトホールに例えばリンを含有したドープドポリシリコンを注入して、半導体層と上下の層の導電性材料とを接続することで、半導体層と上下の層の導電材料とのコンタクトが図られる。
ところが、コンタクトホールに注入されているドープドポリシリコン中のリンが、半導体層のチャネル領域まで拡散して、TFT素子のオフ抵抗が低下し、オフリークが生じてしまうことがあるという問題があった。特に、近年、微細化が進んでおり、コンタクトホールとチャネル領域との距離が縮まっていることから、チャネル領域へのリンの拡散が容易であり、オフリークによる画質劣化が顕著となっている。
また、TFT素子のオン特性も比較的悪く、TFT素子の立上がりに十分な電流供給を行うことができないという問題点もあった。
また、形成時の熱分解TEOS膜には相当の水分と炭素が含まれている。1000℃にてアニールすると一旦は水分と炭素分を気相中に放出し、窒素リッチな膜になる。その膜は、結合が弱い為、外界から水分を吸湿し、H+とOH−を発生しやくすくなる。つまり、常温でも可動可能なプロトンになる。
従って、リークビットが発生し易くなり、TFT素子を構成する半導体層へ電気的影響をもたらし易いといえる。 また、クラックが入り易くなる。
純粋なSiO2膜でないTEOS膜上にTFT素子を構成する半導体層としてポリシリコン膜を形成すると、純粋なSiO2膜上にポリシリコン膜を形成する場合よりも多くのタングリングボンドが、SiO2膜とポリシリコン膜との界面に発生する。前記ダングリングボンドの発生により界面リークが発生する。更に、ポリシリコン膜の熱酸化工程により、ゲート絶縁膜を形成する時に、熱酸化工程の1000℃のアニールを実施すると、TEOS膜よりポリシリコン膜にカーボン等の偏析等が生じ、短絡等の異常をきたす。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、半導体層のグレイン成長を大きく且つ均一化することにより、トランジスタ特性を向上させると共に、これにより、オフリークの発生を防止して画質を向上させることができる基板及びその製造方法並びに電気光学装置を提供することを目的とする。
本発明に係る基板は、複数の層が積層された基板において、半導体層と、前記半導体層の下地として形成される50nm以上の厚さの高温酸化膜層とを具備したことを特徴とする。
このような構成によれば、基板上には複数の膜が積層されている。半導体層の下層には下地として高温酸化膜層が形成される。高温酸化膜層は、膜厚が50nm以上に形成され、清浄なその表面と汚染防止機能によって、半導体層のグレインサイズの成長及び均一化を促進する。これにより、結晶欠陥が少ない半導体層が得られると共に、半導体層を含むスイッチング素子の特性を向上させることができる。
また、前記高温酸化膜層は、シラン系ガスを用いて形成された膜であることを特徴とする。
このような構成によれば、膜密度が高く清浄な表面を有し、汚染防止機能を備えた高温酸化膜層を形成することができる。
また、前記高温酸化膜層の下層に、シリケートガラス膜又は酸化シリコン膜からなる絶縁膜を更に具備したことを特徴とする。
このような構成によれば、絶縁膜によって半導体層と他の層との絶縁性を向上させることができる。
また、前記絶縁膜は、テトラ・エチル・オルソ・シリケートガスを用いて形成された膜であることを特徴とする。
このような構成によれば、絶縁性に優れた絶縁膜を得ることができる。
また、前記半導体層は、複数の走査線と前記複数の走査線に交差した複数のデータ線との各交差に対応して設けられる複数のスイッチング素子のチャネル領域を構成することを特徴とする。
このような構成によれば、半導体層は、複数の走査線と前記複数の走査線に直交した複数のデータ線との各交差に対応して設けられる複数のスイッチング素子のチャネル領域を構成する。半導体層の下方に高温酸化膜が形成されていることから、半導体層はグレインサイズが大きく均一化されており、また、結晶欠陥が少ないので、スイッチング素子の特性を向上させることができる。これにより、リークの発生を防止することができる。
また、本発明に係る基板の製造方法は、基板上に、少なくとも高温酸化膜層を含む絶縁膜層を形成する工程と、前記高温酸化膜層上に半導体層を形成する工程とを具備したことを特徴とする。
このような構成によれば、基板上には、高温酸化膜層を形成し、この高温酸化膜層を下地として半導体層を形成する。高温酸化膜層によって、大きく且つ均一化されたグレインサイズを有し、結晶欠陥が少ない半導体層が得られる。
また、前記絶縁膜層を形成する工程は、基板上にシリケートガラス膜又は酸化シリコン膜からなる第1膜を形成する工程と、前記第1膜上に前記高温酸化膜層を形成する工程とを具備したことを特徴とする。
このような構成によれば、第1膜によって十分な絶縁性が得られると共に、高温酸化膜層によって、大きく且つ均一化されたグレインサイズを有し、結晶欠陥が少ない半導体層が得られる。
また、本発明に係る電気光学装置は、上記基板を用いて構成したことを特徴とする。
このような構成によれば、半導体層の特性が優れていることから、リークの発生を防止すると共に、高画質の画像を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1乃至図9は本発明の一実施の形態に係り、図1は本実施の形態に係る基板の製造方法を示すフローチャートである。本実施の形態は基板として電気光学装置用基板であるTFT基板等の液晶装置用基板に適用したものであり、図1は層間絶縁膜及び半導体層の製造方法を示している。図2は本実施の形態における電気光学装置用基板である液晶装置用基板を用いて構成した電気光学装置である液晶装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板側から見た平面図である。図3は素子基板と対向基板とを貼り合わせて液晶を封入する組立工程終了後の液晶装置を、図2のH−H'線の位置で切断して示す断面図である。図4は図2及び図3の液晶装置の画素領域を構成する複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。図5は図2及び図3の液晶装置の画素構造を詳細に示す断面図である。図6は基板の製造方法を示すフローチャートである。図7は本実施の形態による半導体層のグレインサイズを説明するためのグラフであり、図8は本実施の形態を実施した結果を説明するためのグラフである。図9はHTO膜の膜厚とリーク不良との関係を示すグラフである。なお、上記各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
本実施の形態はTFT素子を構成する半導体層の下層の層間絶縁膜として、少なくとも半導体層に接する部分に高温酸化膜であるHTO(High Temperature Oxide)膜を50nm以上の膜厚で形成することにより、半導体層のグレイン成長を促進し、大きく且つ均一なグレインを形成することで、トランジスタ特性を向上させ、オフリークの発生を防止したものである。
先ず、図2乃至図4を参照して本実施の形態の電気光学装置用基板である液晶装置用基板を用いて構成した液晶装置の全体構成について説明する。
液晶装置は、図2及び図3に示すように、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなるTFT基板10と、これに対向配置される、例えばガラス基板や石英基板からなる対向基板20との間に液晶50を封入して構成される。対向配置されたTFT基板10と対向基板20とは、シール材52によって貼り合わされている。
TFT基板10上には画素を構成する画素電極(ITO)9a等がマトリクス状に配置される。また、対向基板20上には全面に対向電極(ITO)21が設けられる。TFT基板10の画素電極9a上には、ラビング処理が施された配向膜16が設けられている。一方、対向基板20上の全面に渡って形成された対向電極21上にも、ラビング処理が施された配向膜22が設けられている。各配向膜16,22は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。
図4は画素を構成するTFT基板10上の素子の等価回路を示している。図4に示すように、画素領域においては、複数本の走査線11と複数本のデータ線6aとが交差するように配線され、走査線11とデータ線6aとで区画された領域に画素電極9aがマトリクス状に配置される。そして、走査線11とデータ線6aの各交差部分に対応してTFT30が設けられ、このTFT30に画素電極9aが接続される。
TFT30は走査線11のON信号によってオンとなり、これにより、データ線6aに供給された画像信号が画素電極9aに供給される。この画素電極9aと対向基板20に設けられた対向電極21との間の電圧が液晶50に印加される。また、画素電極9aと並列に蓄積容量70が設けられており、蓄積容量70によって、画素電極9aの電圧はソース電圧が印加された時間よりも例えば3桁も長い時間の保持が可能となる。蓄積容量70によって、電圧保持特性が改善され、コントラスト比の高い画像表示が可能となる。
図5は一つの画素に着目した液晶装置の模式的断面図である。
画素電極9aは、TFT基板10上に、マトリクス状に複数設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線11が設けられている。データ線6aは、後述するように、アルミニウム膜等を含む積層構造からなり、走査線11は、例えば導電性のポリシリコン膜等によって構成される。また、走査線11は、半導体層1aのうち図中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a’に対向するゲート電極3aに電気的に接続されている。すなわち、走査線11とデータ線6aとの交差する箇所にはそれぞれ、走査線11に接続されたゲート電極3aとチャネル領域1a’とが対向配置されて画素スイッチング用のTFT30が構成されている。
TFT基板10上には、TFT30や画素電極9aの他、これらを含む各種の構成が積層構造をなして備えられている。この積層構造は、図5に示すように、下から順に、走査線11を含む第1層、ゲート電極3aを含むTFT30等を含む第2層、蓄積容量70を含む第3層、データ線6a等を含む第4層、シールド層400等を含む第5層、画素電極9a及び配向膜16等を含む第6層からなる。また、第1層及び第2層間には層間絶縁膜である下地絶縁膜12が、第2層及び第3層間には第1層間絶縁膜41が、第3層及び第4層間には第2層間絶縁膜42が、第4層及び第5層間には第3層間絶縁膜43が、第5層及び第6層間には第4層間絶縁膜44が、それぞれ設けられており、前述の各要素間が短絡することを防止している。また、これら各種の絶縁膜12、41、42、43及び44には、例えば、TFT30の半導体層1a中の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続するコンタクトホール等もまた設けられている。以下では、これらの各要素について、下から順に説明を行う。
第1層には、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの、或いは導電性ポリシリコン等からなる走査線11が設けられている。この走査線11は、平面的には、ストライプ状にパターニングされていると共に、データ線6aに沿って延びる突出部を有している。なお、隣接する走査線11から延びる突出部は相互に接続されることはなく、したがって、該走査線11は1本1本分断されている。
これにより、走査線11は、同一行に存在するTFT30のON・OFFを一斉に制御する機能を有することになる。また、走査線11は、画素電極9aが形成されない領域を略埋めるように形成されていることから、TFT30に下側から入射しようとする光を遮る機能をも有している。これにより、TFT30の半導体層1aにおける光リーク電流の発生を抑制し、フリッカ等のない高品質な画像表示が可能となる。
第2層には、ゲート電極3aを含むTFT30が設けられている。TFT30は、図5に示すように、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、その構成要素としては、上述したゲート電極3a、例えばポリシリコン膜からなりゲート電極3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、ゲート電極3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aにおける低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを備えている。
そして、この第2層には、上述のゲート電極3aと同一膜として中継電極719が形成されている。この中継電極719は、平面的に見て、各画素電極9aの一辺の略中央に位置するように、島状に形成されている。中継電極719とゲート電極3aとは同一膜として形成されているから、後者が例えば導電性ポリシリコン膜等からなる場合においては、前者もまた、導電性ポリシリコン膜等からなる。
なお、上述のTFT30は、好ましくは図5に示したようにLDD構造をもつが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物の打ち込みを行わないオフセット構造をもってよいし、ゲート電極3aをマスクとして高濃度で不純物を打ち込み、自己整合的に高濃度ソース領域及び高濃度ドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。また、本実施形態では、画素スイッチング用TFT30のゲート電極を、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1e間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。このようにデュアルゲート、あるいはトリプルゲート以上でTFTを構成すれば、チャネルとソース及びドレイン領域との接合部のリーク電流を防止でき、オフ時の電流を低減することができる。さらに、TFT30を構成する半導体層1aは非単結晶層でも単結晶層でも構わない。単結晶層の形成には、貼り合わせ法等の公知の方法を用いることができる。半導体層1aを単結晶層とすることで、特に周辺回路の高性能化を図ることができる。
以上説明した走査線11の上、かつ、TFT30の下には、例えばシリコン酸化膜等を含む下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、走査線11とTFT30とを絶縁する機能のほか、TFT基板10の全面に形成されることにより、TFT基板10の表面研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等による画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能を有する。
本実施の形態においては、下地絶縁膜12は、下層にTEOS膜12aを有し、上層にHTO膜12bを有する2層構造である。TEOS膜12aは成膜性が高く、比較的厚い膜厚で良好な被覆状態で形成することができ、十分な絶縁性を有している。一方、HTO膜12bは耐クラック性に優れている。また、HTO膜12bは、TEOS膜12aに残留する有機ガスのトランジスタへの影響を軽減する汚染防止膜として機能する。そして、本実施の形態においては、HTO膜12bの膜厚を、50nm以上、好ましくは200nm以上の膜厚に設定するようになっている。
下地絶縁膜12には、平面的にみて半導体層1aの両脇に、後述するデータ線6aに沿って延びる半導体層1aのチャネル長と同じ幅の溝(コンタクトホール)12cvが掘られており、この溝12cvに対応して、その上方に積層されるゲート電極3aは下側に凹状に形成された部分を含んでいる。また、この溝12cv全体を埋めるようにして、ゲート電極3aが形成されていることにより、該ゲート電極3aには、これと一体的に形成された側壁部3bが延設されるようになっている。これにより、TFT30の半導体層1aは、平面的にみて側方から覆われるようになっており、少なくともこの部分からの光の入射が抑制されるようになっている。
また、この側壁部3bは、溝12cvを埋めるように、且つ、その下端が走査線11と接するように形成されている。従って、同一行の走査線11とゲート電極3aとは、同電位となる。なお、走査線11に平行するようにして、ゲート電極3aを含む別の走査線を形成するような構造を採用してもよい。この場合においては、該走査線11と該別の走査線とは、冗長的な配線構造をとることになる。これにより、例えば、該走査線11の一部に何らかの欠陥があって、正常な通電が不可能となったような場合においても、当該走査線11と同一の行に存在する別の走査線が健全である限り、それを介してTFT30の動作制御を依然正常に行うことができることになる。
第3層には、蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての下部電極71と、固定電位側容量電極としての容量電極300とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。この蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性を顕著に高めることが可能となる。また、蓄積容量70は、画素電極9aの形成領域にほぼ対応する光透過領域には至らないように形成されているため(換言すれば、遮光領域内に収まるように形成されているため)、電気光学装置全体の画素開口率は比較的大きく維持され、これにより、より明るい画像を表示することが可能である。
より詳細には、下部電極71は、例えば導電性のポリシリコン膜からなり画素電位側容量電極として機能する。ただし、下部電極71は、金属又は合金を含む単一層膜又は多層膜から構成してもよい。また、この下部電極71は、画素電位側容量電極としての機能のほか、画素電極9aとTFT30の高濃度ドレイン領域1eとを中継接続する機能をもつ。この中継接続は、後述するように、前記中継電極719を介して行われている。
容量電極300は、蓄積容量70の固定電位側容量電極として機能する。容量電極300を固定電位とするためには、固定電位とされた後述するシールド層400と電気的接続が図られることによりなされている。
そして、この容量電極300は、TFT基板10上において、各画素に対応するように島状に形成されており、下部電極71は、当該容量電極300とほぼ同一形状を有するように形成されている。これにより、蓄積容量70は、平面的に無駄な広がりを有さず、即ち画素開口率を低落させることなく、且つ、当該状況下で最大限の容量値を実現し得ることになる。すなわち、蓄積容量70は、より小面積で、より大きな容量値をもつ。
誘電体膜75は、図5に示すように、例えば膜厚5〜200nm程度の比較的薄いHTO膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、あるいは窒化シリコン膜等から構成される。蓄積容量70を増大させる観点からは、膜の信頼性が十分に得られる限りにおいて、誘電体膜75は薄いほどよい。そして、この誘電体膜75は、図5に示すように、下層に酸化シリコン膜75a、上層に窒化シリコン膜75bからなる2層構造を有する。比較的誘電率の大きい窒化シリコン膜75bが存在することにより、蓄積容量70の容量値を増大させることが可能となると共に、酸化シリコン膜75aが存在することにより、蓄積容量70の耐圧性を低下せしめることがない。このように、誘電体膜75を2層構造とすることにより、相反する2つの作用効果を享受することが可能となる。
また、窒化シリコン膜75bが存在することにより、TFT30に対する水の浸入を未然に防止することが可能となっている。これにより、TFT30におけるスレッショルド電圧の上昇という事態を招来することがなく、比較的長期の装置運用が可能となる。なお、本実施の形態では、誘電体膜75は、2層構造を有するものとなっているが、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜及び酸化シリコン膜等というような3層構造や、あるいはそれ以上の積層構造を有するように構成してもよい。
以上説明したTFT30ないしゲート電極3a及び中継電極719の上、かつ、蓄積容量70の下には、第1層間絶縁膜41が形成されている。第1層間絶縁膜41についても、下層にTEOS膜41aを有し、上層にHTO膜41bを有する2層構造である。
この第1層間絶縁膜41には、TFT30の高濃度ソース領域1dと後述するデータ線6aとを電気的に接続するコンタクトホール81が、後述する第2層間絶縁膜42を貫通しつつ開孔されている。また、第1層間絶縁膜41には、TFT30の高濃度ドレイン領域1eと蓄積容量70を構成する下部電極71とを電気的に接続するコンタクトホール83が開孔されている。
さらに、この第1層間絶縁膜41には、蓄積容量70を構成する画素電位側容量電極としての下部電極71と中継電極719とを電気的に接続するためのコンタクトホール881が開孔されている。更に加えて、第1層間絶縁膜41には、中継電極719と後述する第2中継電極6a2とを電気的に接続するコンタクトホール882が、後述する第2層間絶縁膜42を貫通しつつ開孔されている。
図5に示すように、コンタクトホール882は、蓄積容量70以外の領域に形成されており、下部電極71を一旦下層の中継電極719に迂回させてコンタクトホール882を介して上層に引き出していることから、下部電極71を上層の画素電極9aに接続する場合でも、下部電極71を誘電体膜75及び容量電極300よりも広く形成する必要がない。従って、下部電極71、誘電体膜75及び容量電極300を1エッチング工程で同時にパターニングすることができる。これにより、下部電極71、誘電体膜75及び容量電極300の各エッチングレートの制御が容易となり、膜厚等の設計の自由度を増大させることが可能である。
また、誘電体膜75は下部電極71及び容量電極300と同一形状に形成され広がりを有していないことから、TFT30の半導体層1aに対する水素化処理を行うような場合において、該処理に用いる水素を、蓄積容量70周辺の開口部を通じて半導体層1aにまで容易に到達させることが可能となるという作用効果を得ることも可能となる。
なお、第1層間絶縁膜41に対しては、約1000°Cの焼成を行うことにより、半導体層1aやゲート電極3aを構成するポリシリコン膜に注入したイオンの活性化を図ってもよい。
第4層には、データ線6aが設けられている。このデータ線6aは、TFT30の半導体層1aの延在する方向に一致するように、ストライプ状に形成されている。このデータ線6aは、図5に示すように、下層より順に、アルミニウムからなる層(図5における符号41A)、窒化チタンからなる層(図5における符号41TN参照)、窒化シリコン膜からなる層(図5における符号401)の三層構造を有する膜として形成されている。窒化シリコン膜は、その下層のアルミニウム層と窒化チタン層を覆うように少し大きなサイズにパターンニングされている。このうちデータ線6aが、比較的低抵抗な材料たるアルミニウムを含むことにより、TFT30、画素電極9aに対する画像信号の供給を滞りなく実現することができる。他方、データ線6a上に水分の浸入をせき止める作用に比較的優れた窒化シリコン膜が形成されることにより、TFT30の耐湿性向上を図ることができ、その寿命長期化を実現することができる。窒化シリコン膜は、プラズマ窒化シリコン膜が望ましい。
また、この第4層には、データ線6aと同一膜として、シールド層用中継層6a1及び第2中継電極6a2が形成されている。これらは、平面的に見ると、データ線6aと連続した平面形状を有するように形成されているのではなく、各者間はパターニング上分断されるように形成されている。すなわち、略四辺形状を有するシールド層用中継層6a1、更にシールド層用中継層6a1よりも若干大きめの面積をもつ略四辺形状を有する第2中継電極6a2が形成されている。シールド層用中継層6a1及び第2中継電極6a2は、データ線6aと同一工程で、下層より順に、アルミニウムからなる層、窒化チタンからなる層、プラズマ窒化膜からなる層の三層構造を有する膜として形成されている。そして、プラズマ窒化膜は、その下層のアルミニウム層と窒化チタン層を覆うように少し大きなサイズにパターンニングされている。窒化チタン層は、シールド層用中継層6a1、第2中継電極6a2に対して形成するコンタクトホール803,804のエッチングの突き抜け防止のためのバリアメタルとして機能する。また、シールド層用中継層6a1及び第2中継電極6a2上に、水分の浸入をせき止める作用に比較的優れたプラズマ窒化膜が形成されることにより、TFT30の耐湿性向上を図ることができ、その寿命長期化を実現することができる。尚、プラズマ窒化膜としては、プラズマ窒化シリコン膜が望ましい。
蓄積容量70の上、かつ、データ線6aの下には、例えばNSG、PSG,BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはTEOSガスを用いたプラズマCVD法によって形成された第2層間絶縁膜42が形成されている。この第2層間絶縁膜42には、TFT30の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続するコンタクトホール81が開孔されているとともに、前記シールド層用中継層6a1と蓄積容量70の上部電極たる容量電極300とを電気的に接続するコンタクトホール801が開孔されている。さらに、第2層間絶縁膜42には、第2中継電極6a2と中継電極719とを電気的に接続するためのコンタクトホール882が形成されている。
第5層には、シールド層400が形成されている。このシールド層400は、平面的にみると、格子状に形成されている。該シールド層400のうちデータ線6a方向に延在する部分については特に、データ線6aを覆うように、且つ、該データ線6aよりも幅広に形成されている。また、走査線11方向に延在する部分については、後述の第3中継電極402を形成する領域を確保するために、各画素電極9aの一辺の中央付近に切り欠き部を有している。
さらには、データ線6a方向及び走査線11方向それぞれに延在するシールド層400の交差部分の隅部においては、該隅部を埋めるようにして、略三角形状の部分が設けられている。シールド層400に、この略三角形状の部分が設けられていることにより、TFT30の半導体層1aに対する光の遮蔽を効果的に行うことができる。すなわち、半導体層1aに対して、斜め上から進入しようとする光は、この三角形状の部分で反射又は吸収されることになり半導体層1aには至らないことになる。したがって、光リーク電流の発生を抑制して、フリッカ等のない高品質な画像を表示することが可能となる。
このシールド層400は、画素電極9aが配置された画像表示領域10aからその周囲に延設され、定電位源と電気的に接続されることで、固定電位とされている。なお、定電位源としては、後述するデータ線駆動回路101に供給される正電源や負電源の定電位源でもよいし、対向基板20の対向電極21に供給される定電位源でも構わない。
このように、データ線6aの全体を覆うように形成されているとともに、固定電位とされたシールド層400の存在によれば、該データ線6a及び画素電極9a間に生じる容量カップリングの影響を排除することが可能となる。すなわち、データ線6aへの通電に応じて、画素電極9aの電位が変動するという事態を未然に回避することが可能となり、画像上に該データ線6aに沿った表示ムラ等を発生させる可能性を低減することができる。シールド層400は格子状に形成されていることから、走査線11が延在する部分についても無用な容量カップリングが生じないように、これを抑制することが可能となっている。
また、第4層には、このようなシールド層400と同一膜として、中継層としての第3中継電極402が形成されている。この第3中継電極402は、後述のコンタクトホール89を介して、第2中継電極6a2及び画素電極9a間の電気的接続を中継する機能を有する。なお、これらシールド層400及び第3中継電極402間は、平面形状的に連続して形成されているのではなく、両者間はパターニング上分断されるように形成されている。
他方、上述のシールド層400及び第3中継電極402は、下層にアルミニウムからなる層、上層に窒化チタンからなる層の2層構造を有している。また、第3中継電極402において、下層のアルミニウムからなる層は、第2中継電極6a2と接続され、上層の窒化チタンからなる層は、ITO等からなる画素電極9aと接続されるようになっている。アルミニウムとITOとを直接に接続した場合には、両者間において電蝕が生じてしまい、アルミニウムの断線、あるいはアルミナの形成による絶縁等のため、好ましい電気的接続が実現されない。これに対し、窒化チタンとITOとが接続されていることから、コンタクト抵抗が低く良好な接続性が得られる。
このように、第3中継電極402と画素電極9aとの電気的接続を良好に実現することができることにより、該画素電極9aに対する電圧印加、あるいは該画素電極9aにおける電位保持特性を良好に維持することが可能となる。
さらには、シールド層400及び第3中継電極402は、光反射性能に比較的優れたアルミニウムを含み、且つ、光吸収性能に比較的優れた窒化チタンを含むことから、遮光層として機能し得る。すなわち、これらによれば、TFT30の半導体層1aに対する入射光(図5参照)の進行を、その上側でさえぎることが可能である。なお、このような遮光機能は、上述した容量電極300及びデータ線6aについても同様にいえる。これらシールド層400、第3中継電極402、容量電極300及びデータ線6aが、TFT基板10上に構築される積層構造の一部をなしつつ、TFT30に対する上側からの光入射を遮る上側遮光膜として機能する。
データ線6aの上、かつ、シールド層400の下には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくは、TEOSガスを用いたプラズマCVD法で形成された第3層間絶縁膜43が形成されている。この第3層間絶縁膜43には、シールド層400とシールド層用中継層6a1とを電気的に接続するためのコンタクトホール803、及び、第3中継電極402と第2中継電極6a2とを電気的に接続するためのコンタクトホール804がそれぞれ開孔されている。
なお、第2層間絶縁膜42に対しては、第1層間絶縁膜41に関して上述した焼成を行わないことにより、容量電極300の界面付近に生じるストレスの緩和を図るようにしてもよい。
第6層には、上述したように画素電極9aがマトリクス状に形成され、該画素電極9a上に配向膜16が形成されている。そして、この画素電極9a下には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはTEOSガスを用いたプラズマCVD法にて成膜されるプラズマTEOSからなる第4層間絶縁膜44が形成されている。この第4層間絶縁膜44には、画素電極9a及び第3中継電極402間を電気的に接続するためのコンタクトホール89が開孔されている。
第3及び第4層間絶縁膜43,44の表面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等により平坦化されている。平坦化された層間絶縁膜43,44の下方に存在する各種配線や素子等による段差に起因する液晶層50の配向不良が低減される。ただし、このように第3,第4層間絶縁膜43,44に平坦化処理を施すのに代えて、又は加えて、TFT基板10、下地絶縁膜12、第1層間絶縁膜41、第2層間絶縁膜42及び第3層間絶縁膜43のうち少なくとも一つに溝を掘って、データ線6a等の配線やTFT30等を埋め込むことにより、平坦化処理を行ってもよい。
また、蓄積容量70は、下から順に画素電位側容量電極、誘電体膜及び固定電位側容量電極という3層構造を構成していたが、これとは逆の構造を構成するようにしてもよい。
また、図2及び図3に示すように、対向基板20には表示領域を区画する額縁としての遮光膜53が設けられている。対向基板20の全面には、上述したように、ITO等の透明導電性膜が対向電極21として形成され、更に、対向電極21の全面にはポリイミド系の配向膜22が形成される。配向膜22は、液晶分子に所定のプレティルト角を付与するように、所定方向にラビング処理されている。
遮光膜53の外側の領域には液晶を封入するシール材52が、TFT基板10と対向基板20間に形成されている。シール材52は対向基板20の輪郭形状に略一致するように配置され、TFT基板10と対向基板20を相互に固着する。シール材52は、TFT基板10の1辺の一部において欠落しており、貼り合わされたTFT基板10及び対向基板20相互の間隙には、液晶50を注入するための液晶注入口108が形成される。液晶注入口108より液晶が注入された後、液晶注入口108を封止材109で封止するようになっている。
シール材52の外側の領域には、データ線6aに画像信号を所定のタイミングで供給することにより該データ線6aを駆動するデータ線駆動回路101及び外部回路との接続のための外部接続端子102がTFT基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に隣接する二辺に沿って、走査線11及びゲート電極3aに走査信号を所定のタイミングで供給することによりゲート電極3aを駆動する走査線駆動回路104が設けられている。走査線駆動回路104は、シール材52の内側の遮光膜53に対向する位置においてTFT基板10上に形成される。また、TFT基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、外部接続端子102及び上下導通端子107を接続する配線105が、遮光膜53の3辺に対向して設けられている。
上下導通端子107は、シール材52のコーナー部の4箇所のTFT基板10上に形成される。そして、TFT基板10と対向基板20相互間には、下端が上下導通端子107に接触し、上端が対向電極21に接触する上下導通材106が設けられており、上下導通材106によって、TFT基板10と対向基板20との間で電気的な導通がとられている。
各構成要素の立体的−平面的なレイアウトについても、本発明は、上記実施形態のような形態に限定されるものではなく、別の種々の形態が考えられ得る。
(製造プロセス)
次に、本実施形態に係る基板である電気光学装置用基板を用いた液晶装置の製造方法を図1及び図6を参照して説明する。
まず、石英基板、ガラス、シリコン基板等のTFT基板10を用意する(図6のステップS11)。ここで、好ましくはN(窒素)等の不活性ガス雰囲気で約900〜1300℃での高温でアニール処理し、後に実施される高温プロセスでTFT基板10に生じる歪が少なくなるように前処理しておく。
次に、このように処理されたTFT基板10の全面に、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の金属や金属シリサイド等の金属合金膜を、スパッタリングにより、100〜500nm程度の膜厚、好ましくは200nmの膜厚に堆積させる。そして、金属合金膜をフォトリソグラフィ及びエッチングによりパターニングして、平面形状がストライプ状の走査線11を形成する(ステップS12)。
次に、ステップS13において、走査線11上に下地絶縁膜12を形成する。図1はこの下地絶縁膜12及び半導体層1aの形成工程を示している。図1に示すように、先ず、TEOS膜12aを形成する(ステップS1 )。即ち、例えば、常圧又は減圧CVD法等によりTEOS(テトラ・エチル・オルソ・シリケート)ガスを用いて、NSGのシリケートガラス膜であるTEOS膜12aを形成する。次に、ステップS2 において、TEOS膜12a上にモノシランガス、ジクロロシランガスを用いて、HTO膜(高温酸化シリコン膜)12bを形成する。TEOS膜12aの膜厚は約400〜800nmとする。
HTO膜12b形成時の処理温度範囲は、750〜850℃の範囲である。また、TEOS膜12aの成膜温度範囲は、HTO膜12b成膜時よりも低い620〜700℃である。
本実施の形態においては、HTO膜12bの膜厚は50nm以上とする。好ましくは、HTO膜12bの膜厚は200nm以上とする。なお、下地絶縁膜12による絶縁効果及び耐クラック性を考慮して、TEOS膜12a及びHTO膜12bの膜厚を決定する。下地絶縁膜12全体の膜厚としては、例えば約400〜900nmとする。
HTO膜12bの膜密度は高く、汚染防止機能を有する。下地絶縁膜12の成膜工程では、約600℃の温度雰囲気での膜形成が行われる。これに対し、後述するゲート絶縁膜2の形成工程では、約1000℃以上の温度雰囲気での膜形成が行われる。このような高温処理においては、TEOS膜12aからエタノール、カーボン系の有機物が放出される可能性がある。半導体層1aの下層にHTO膜12bが形成されない場合又は50nmよりも薄い膜厚に形成された場合には、このような有機ガスによって半導体層1aのグレイン成長が抑制され、グレインが不均一となり、結晶欠陥が増大する。そうすると、TFT素子のオフ抵抗の増加、オン特性の劣化等が生じやすい。
そこで、本実施の形態においては、十分な膜厚のHTO膜12bを半導体層1aの下層に形成しており、半導体層1aはHTO膜12bの清浄なSiO2面に接することで、また、HTO膜12bの汚染防止機能が一因となって、半導体層1aのグレインの成長を促進させ、均一化させることができる。
なお、下地絶縁膜12としては、TEOS膜に代えて、BPSG膜等を用いてもよい。
次のステップS14(図1のステップS3 )においては、半導体層1aが形成される。即ち、先ず、下地絶縁膜12上に、約450〜550℃、好ましくは約500℃の比較的低温環境中で、流量約400〜600cc/minのモノシランガス、ジシランガス等を用いた減圧CVD(例えば、圧力約20〜40PaのCVD)によってアモルファスシリコン膜が形成される。次に、窒素雰囲気中で、約600〜700℃にて約1〜10時間、好ましくは4〜6時間の熱処理を施すことにより、p−Si(ポリシリコン)膜を約50〜200nmの厚さ、好ましくは約100nmの厚さとなるまで固相成長させる。固相成長させる方法としては、RTAを使ったアニール処理でもよいし、エキシマレーザ等を用いたレーザアニールでもよい。この際、画素スイッチング用のTFT30を、nチャネル型とするかpチャネル型とするかに応じて、V族元素やIII族元素のドーパントを僅かにイオン注入等によりドープしてもよい。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、所定パターンを有する半導体層1aを形成する。
次に、ステップS15においては、TFT30を構成する半導体層1aを約900〜1300°Cの温度、好ましくは約1000℃の温度により熱酸化して下層ゲート絶縁膜を形成し、場合により、これに続けて減圧CVD法等により上層ゲート絶緑膜を形成することにより、1層又は多層の高温酸化シリコン膜(HTO膜)や窒化シリコン膜からなる(ゲート絶縁膜を含む)絶縁膜2を形成する。この結果、半導体層1aは、約30〜150nmの厚さ、好ましくは約35〜50nmの厚さとなり、絶縁膜2の厚さは、約20〜150nmの厚さ、好ましくは約30〜100nmの厚さとなる。
上述したように、半導体層1aの下層には、十分な厚さのHTO膜12bが形成されており、このHTO膜12bによって、半導体層1aのグレインは十分な大きさで且つ均一に形成される。
図7は横軸にグレインサイズをとり縦軸にグレイン数をとって、半導体層1aの下層にHTO膜を形成した場合(実線)と形成しない場合(破線)との特性を示すグラフである。
図7に示すように、HTO膜12bを形成した場合には、形成しない場合に比して、グレインサイズが比較的大きくなると共に、グレインサイズの分布が狭くなって、均一化されていることが分かる。
次に、画素スイッチング用のTFT30のスレッシュホールド電圧Vthを制御するために、半導体層1aのうちnチャネル領域あるいはpチャネル領域に、ボロン等のドーパントを予め設定された所定量だけイオン注入等によりドープする。
次に、下地絶縁膜12に対して、走査線11に通ずる溝12cvを形成する。この溝12cvは、反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより形成する。
次に、減圧CVD法等によりポリシリコン膜を堆積し、更にリン(P)を熱拡散して、このポリシリコン膜を導電化する。この熱拡散に代えて、Pイオンをポリシリコン膜の成膜と同時に導入したドープドシリコン膜を用いてもよい。このポリシリコン膜の膜厚は、約100〜500nmの厚さ、好ましくは約350nm程度である。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、TFT30のゲート電極部を含めて所定のパターンのゲート電極3aを形成する(ステップS16 )。このゲート電極3a形成時において、これに延設される側壁部3bもまた同時に形成される。この側壁部3bは、前述のポリシリコン膜の堆積が溝12cvの内部に対しても行われることで形成される。この際、該溝12cvの底が走査線11に接していることにより、側壁部3b及び走査線11は電気的に接続されることになる。更に、このゲート電極3aのパターニング時、これと同時に、中継電極719もまた形成される。
次に、前記半導体層1aについて、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、並びに、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成する。
ここでは、TFT30をLDD構造をもつnチャネル型のTFTとする場合を説明すると、具体的にまず、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを形成するために、ゲート電極3aをマスクとして、P等のV族元素のドーパントを低濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1013cm2のドーズ量にて)ドープする。これによりゲート電極3a下の半導体層1aはチャネル領域1a’となる。このときゲート電極3aがマスクの役割を果たすことによって、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cは自己整合的に形成されることになる。次に、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成するために、ゲート電極3aよりも幅の広い平面パターンを有するレジスト層をゲート電極3a上に形成する。その後、P等のV族元素のドーパントを高濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1015 /cm2のドーズ量にて)ドープする。
なお、このように低濃度と高濃度の2段階に分けて、ドープを行わなくてもよい。例えば、低濃度のドープを行わずに、オフセット構造のTFTとしてもよく、ゲート電極3a(ゲート電極)をマスクとして、Pイオン・Bイオン等を用いたイオン注入技術によりセルフアライン型のTFTとしてもよい。この不純物のドープにより、ゲート電極3aは更に低抵抗化される。
次のステップS17において、ゲート電極3a上に、第1層間絶縁膜41を形成する。ステップS17においては、先ず、例えば、常圧又は減圧CVD法等によりTEOSガスを用いて、NSGのシリケートガラス膜であるTEOS膜41aを形成する。次に、TEOS膜41a上にモノシランガス、ジクロロシランガスを用いて、HTO膜42bを形成する。
第1層間絶縁膜41については、例えば、TEOS膜41aの膜厚を約200〜600nmとし、HTO膜41bの膜厚は200〜300nmとする。そして、第1層間絶縁膜41の全体の膜厚は、例えば約400〜900nmとする。
なお、第1層間絶縁膜41においては、下層にTEOS膜を形成し、上層にHTO膜を形成する例を示したが、下層にHTO膜を形成し、上層にTEOS膜を形成するようにしてもよい。下層にHTO膜41bを形成した場合には、HTO膜41bによって、TEOS膜41aに残留する有機ガスがTFT30に与える影響を阻止することができる。また、TEOS膜に代えて、BPSG膜等を用いてもよい。
ここで好ましくは、800°C程度の高温でアニール処理し、第1層間絶縁膜41の膜質を向上させておく。
次に、ステップS18 において、第1層間絶縁膜41に対する反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより、コンタクトホール83及びコンタクトホール881を開孔する。この際、前者は半導体層1aの高濃度ドレイン領域1eに通ずるように、後者は中継電極719へ通ずるように、それぞれ形成される。
次に、ステップS19 においては、第1層間絶縁膜41上に、Pt等の金属膜やポリシリコン膜を、減圧CVDやスパッタリングにより、100〜500nm程度の膜厚に成膜して、所定パターンをもつ下部電極71の金属膜を形成する。この場合の金属膜の成膜は、コンタクトホール83及びコンタクトホール881の両者が埋められるように行われ、これにより、高濃度ドレイン領域1e及び中継電極719と下部電極71との電気的接続が図られる。
本実施の形態においては、半導体層1aのグレインは、サイズが大きく且つ均一に形成されており、半導体層1aの結晶欠陥は著しく低減されており、コンタクトホール83に埋め込まれたドープドポリシリコンのリン等の拡散を十分に低減させることができる。
次に、下部電極71上に、誘電体膜75の膜を形成する。この誘電体膜75は、絶縁膜2の場合と同様に、一般にTFTゲート絶縁膜を形成するのに用いられる各種の公知技術により形成可能である。酸化シリコン膜75aは前述の熱酸化、或いはCVD法等によって形成され、その後に、窒化シリコン膜75bが減圧CVD法等によって形成される。この誘電体膜75は、薄くする程、蓄積容量70は大きくなるので、結局、膜破れなどの欠陥が生じないことを条件に、膜厚50nm以下のごく薄い絶縁膜となるように形成すると有利である。次に、誘電体膜75上に、ポリシリコン膜やAL(アルミニウム)等の金属膜を、減圧CVD又はスパッタリングにより、約100〜500nm程度の膜厚に成膜して、容量電極300の金属膜を形成する。
次に、下部電極71、誘電体膜75及び容量電極300の膜を一挙にパターニングして、下部電極71、誘電体膜75及び容量電極300を形成して、蓄積容量70を完成させる。
次に、例えば、TEOSガス等を用いた常圧又は減圧CVD法により、好ましくはプラズマCVD法により、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第2層間絶縁膜42を形成する(ステップS20)。容量電極300にアルミニウムを用いた場合には、プラズマCVDで低温成膜する必要がある。この第2層間絶縁膜42の膜厚は、例えば約500〜1500nm程度とする。次に、ステップS21において、第2層間絶縁膜42に対する反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより、コンタクトホール81、801及び882を開孔する。この際、コンタクトホール81は半導体層1aの高濃度ソース領域1dに通ずるように、コンタクトホール801は容量電極300へ通ずるように、また、コンタクトホール882は中継電極719に通ずるように、それぞれ形成される。
次に、ステップS22において、第2層間絶縁膜42上の全面に、スパッタリング等により、遮光性のアルミニウム等の低抵抗金属や金属シリサイド等を金属膜として、約100〜500nm程度の厚さ、好ましくは約300nmに堆積する。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、所定パターンをもつデータ線6aを形成する。この際、当該パターニング時においては、シールド層用中継層6a1及び第2中継層6a2もまた同時に形成される。シールド層用中継層6a1は、コンタクトホール801を覆うように形成されるとともに、第2中継層6a2は、コンタクトホール882を覆うように形成されることになる。
次に、これらの上層の全面にプラズマCVD法等によって窒化チタンからなる膜を形成した後、これがデータ線6a上にのみ残存するように、パターニング処理を実施する。ただし、該窒化チタンからなる層をシールド層用中継層6a1及び第2中継層6a2上にも残存するように形成してよいし、場合によってはTFT基板10の全面に関して残存するように形成してもよい。また、アルミニウムの成膜時に同時に成膜して、一括してエッチングしても良い。
次に、データ線6a等の上を覆うように、例えばTEOSガス等を用いた常圧又は減圧CVD法により、好ましくは低温成膜できるプラズマCVD法により、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第3層間絶縁膜43を形成する(ステップS23)。この第3層間絶縁膜43の膜厚は、例えば約500〜3500nm程度とする。
次に、ステップS24において、図5に示すように、第3層間絶縁膜43を例えばCMPを用いて平坦化する。
次に、ステップS25において、第3層間絶縁膜43に対する反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより、コンタクトホール803及び804を開孔する。この際、コンタクトホール803は前記のシールド層用中継層6a1に通ずるように、また、コンタクトホール804は第2中継層6a2に通ずるように、それぞれ形成されることになる。
次に、ステップS26において、第3層間絶縁膜43の上には、スパッタリング法、或いはプラズマCVD法等により、シールド層400の金属膜を形成する。ここでまず、第3層間絶縁膜43の直上には、例えばアルミニウム等の低抵抗な材料を用いて下層膜を形成し、次いで、この下層膜上に、例えば窒化チタン等その他後述の画素電極9aを構成するITOと電蝕を生じない材料を用いて上層膜を形成し、最後に、下層膜及び上層膜をともにパターニングすることで、2層構造を有するシールド層400が形成される。なお、この際、シールド層400とともに、第3中継電極402もまた形成される。
次に、例えばTEOSガス等を用いた常圧又は減圧CVD法により、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第4層間絶縁膜44を形成する(ステップS27)。この第4層間絶縁膜44の膜厚は、例えば約500〜1500nm程度とする。
次に、ステップS28において、図5に示すように、第4層間絶縁膜44を例えばCMPを用いて平坦化する。次いで、第4層間絶縁膜44に対する反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより、コンタクトホール89を開孔する(ステップS29)。この際、コンタクトホール89は前記の第3中継電極402に通ずるように形成されることになる。
次に、第4層間絶縁膜44上に、スパッタ処理等により、ITO膜等の透明導電性膜を、約50〜200nmの厚さに堆積する。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、画素電極9aを形成する(ステップS30)。
なお、当該電気光学装置を、反射型として用いる場合には、AL等の反射率の高い不透明な材料によって画素電極9aを形成してもよい。次に、画素電極9aの上に、ポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角をもつように、かつ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜16が形成される。
一方、対向基板20については、ガラス基板等がまず用意され、額縁としての遮光膜53が、例えば金属クロムをスパッタした後、フォトリソグラフィ及びエッチングを経て形成される。なお、これらの遮光膜53は、導電性である必要はなく、Cr、Ni、AL等の金属材料のほか、カーボンやTiをフォトレジストに分散した樹脂ブラック等の材料から形成してもよい。
次に、対向基板20の全面にスパッタ処理等により、ITO等の透明導電性膜を、約50〜200nmの厚さに堆積することにより、対向電極21を形成する。さらに、対向電極21の全面にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角をもつように、かつ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜22が形成される。
最後に、図2及び図3に示すように、各層が形成されたTFT基板10と対向基板20とは、例えば対向基板20の4辺に沿ってシール材52を形成すると共に、シール材52の4隅に上下導通材106を形成して、配向膜16及び22が対面するようにシール材52により貼り合わされる。これにより、上下導通材106は下端においてTFT基板10の上下導通端子107に接触し、上端において対向基板20の対向電極21に接触する。
そして、真空吸引等により、両基板間の空間に、例えば複数種のネマテッィク液晶を混合してなる液晶が吸引されて、所定層厚の液晶層50が形成される。
なお、シール材52は、両基板を貼り合わせるため、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、紫外線、加熱等により硬化させられたものである。また、このシール材52中には、本実施形態における液晶装置を、液晶装置がプロジェクタ用途のように小型で拡大表示を行う液晶装置に適用するのであれば、両基板間の距離(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ、あるいはガラスビーズ等のキャップ材(スペーサ)が散布されている。あるいは、当該液晶装置を液晶ディスプレイや液晶テレビのように大型で等倍表示を行う液晶装置に適用するのであれば、このようなギャップ材は、液晶層50中に含まれてよい。
なお、走査線11及びゲート電極3aに供給される走査信号遅延が問題にならないのならば、走査線駆動回路104は片側だけでもよいことは言うまでもない。また、データ線駆動回路101を画像表示領域10aの辺に沿って両側に配列してもよい。
また、TFT基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、複数のデータ線6aに画像信号を所定のタイミングで印加するサンプリング回路、複数のデータ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
また、上述した実施形態においては、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFT基板10上に設ける代わりに、例えばTAB(Tape Automated Bonding)基板上に実装された駆動用LSIに、TFT基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFT基板10の出射光が出射する側には、それぞれ、例えばTN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード・ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が所定の方向で配置される。
このように本実施の形態においては、半導体層の下地として50nm以上の十分な厚さのHTO膜(高温酸化膜)を形成していることから、HTO膜の清浄な膜面及び汚染防止機能によって、半導体層のグレインサイズを大きく且つ均一化することができ、トランジスタ特性を向上させることができる。また、半導体層の結晶欠陥も低減され、コンタクトホールに注入されたドープドポリシリコン中の不純物のチャネル領域への拡散を低減することができる。これにより、トランジスタのオフ抵抗を十分に高くして、オフリークの発生を防止することができ、画質を向上させることができる。
また、上記実施の形態おいては、液晶装置用基板の例について説明したが、積層構造を有する半導体基板等にも適用可能であることは明らかである。
また、HTO膜の膜厚を50nm以上に設定可能であれば、下地絶縁膜の膜厚としては種々の値を採用することができる。
(実施例)
図8は半導体層の下地膜としてHTO膜を採用した場合の効果を説明するためのものである。図8(a)は本実施の形態によるTFT素子の閾値電圧特性を示し、図8(b)は本実施の形態によるTFT素子のオン電流特性を示している。
図8は半導体層の下地膜としてHTO膜を形成しない場合、膜厚が200nmのHTO膜を形成した場合、膜厚が300nmのHTO膜を形成した場合、膜厚が400nmのHTO膜を形成した場合の特性を示している。
図8(a)に示すように、HTO膜が形成されていない場合に比して、膜厚が200〜400nmのHTO膜を形成した場合には、閾値電圧Vthを十分に低下させることができる。また、図8(b)に示すように、HTO膜が形成されていない場合に比して、膜厚が200〜400nmのHTO膜を形成した場合には、十分なオン電流を流すことがことができる。
このように、本実施の形態によって、トランジスタ特性を向上させることができる。
また、図9は横軸にHTO膜の膜厚をとり縦軸にリークビット数をとって、半導体層下層のHTO膜の膜厚とリークビットとの関係を示すグラフである。
図9に示すように、HTO膜の膜厚が50nm以上になると、リークビット数が減少し始めることが分かる。膜厚50〜200nmの範囲では、膜厚が大きくなるに従ってリークビット数は低下する。HTO膜の膜厚が200nm以上になると、リークビット数の減少は略飽和する。
従って、HTO膜の膜厚としては、200nm以上に設定した方がよい。
(電子機器)
次に、以上詳細に説明した基板を用いて構成した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに、図10は、投射型カラー表示装置の説明図である。
図10において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置を含む液晶モジュールを3個用意し、それぞれRGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロックミラー1108によって、RGBの三原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bにそれぞれ導かれる。この際特に、B光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分は、ダイクロックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
なお、本発明の基板は、パッシブマトリクス型の液晶表示パネルだけでなく、アクティブマトリクス型の液晶パネル(例えば、TFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)をスイッチング素子として備えた液晶表示パネル)にも同様に適用することが可能である。また、液晶表示パネルだけでなく、エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、電子放出を用いた装置(Field Emission Display 及び Surface-Conduction Electron-Emitter Display 等)などの各種の電気光学装置においても本発明を同様に適用することが可能である。
基板の製造方法を示すフローチャート。 本実施の形態における電気光学装置用基板である液晶装置用基板を用いて構成した電気光学装置である液晶装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板側から見た平面図。 素子基板と対向基板とを貼り合わせて液晶を封入する組立工程終了後の液晶装置を、図2のH−H'線の位置で切断して示す断面図。 図2及び図3の液晶装置の画素領域を構成する複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図。 図2及び図3の液晶装置の画素構造を詳細に示す断面図。 図6は基板の製造方法を示すフローチャート。 本実施の形態による半導体層のグレインサイズを説明するためのグラフ。 本実施の形態を実施した結果を説明するためのグラフ。 HTO膜の膜厚とリーク不良との関係を示すグラフ。 投射型カラー表示装置を示す説明図。
符号の説明
S1 …TEOS膜形成工程、S2 …HTO膜形成工程、1a…半導体層、11…走査線、30…TFT、12…下地絶縁膜、41,42,43,44…層間絶縁膜、12a,41a…TEOS膜、12b,41b…HTO膜。

Claims (8)

  1. 複数の層が積層された基板において、
    半導体層と、
    前記半導体層の下地として形成される50nm以上の厚さの高温酸化膜層とを具備したことを特徴とする基板。
  2. 前記高温酸化膜層は、シラン系ガスを用いて形成された膜であることを特徴とする請求項1に記載の基板。
  3. 前記高温酸化膜層の下層に、シリケートガラス膜又は酸化シリコン膜からなる絶縁膜を更に具備したことを特徴とする請求項1に記載の基板。
  4. 前記絶縁膜は、テトラ・エチル・オルソ・シリケートガスを用いて形成された膜であることを特徴とする請求項3に記載の基板。
  5. 前記半導体層は、複数の走査線と前記複数の走査線に交差した複数のデータ線との各交差に対応して設けられる複数のスイッチング素子のチャネル領域を構成することを特徴とする請求項1に記載の基板。
  6. 基板上に、少なくとも高温酸化膜層を含む絶縁膜層を形成する工程と、
    前記高温酸化膜層上に半導体層を形成する工程とを具備したことを特徴とする基板の製造方法。
  7. 前記絶縁膜層を形成する工程は、基板上にシリケートガラス膜又は酸化シリコン膜からなる第1膜を形成する工程と、
    前記第1膜上に前記高温酸化膜層を形成する工程とを具備したことを特徴とする請求項6に記載の基板の製造方法。
  8. 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の基板を用いて構成したことを特徴とする電気光学装置。
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