JP2005085764A - 直接メタノール燃料電池用燃料供給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 一定分量の液体燃料を均一かつ持続的に燃料電池へ供給することができ、また燃料電池における反応副産物を効率よく除去して燃料電池の効率を向上させられる直接メタノール燃料電池用燃料供給装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る直接メタノール燃料電池用燃料供給装置は、燃料タンクとウィック構造板とシートスタックと電極板とを含む。燃料タンクには、液体燃料が貯蔵される。ウィック構造板は、燃料タンクの上部に形成され、複数個のウィックと燃料供給口が形成されている。シートスタックは、ウィック構造板の上部に積層され、ウィック構造板に移動した燃料を所定速度で吸収して上部に移動させるとともに、燃料電池で発生した気体を外部へ排出する。電極板は、シートスタックの上部に積層され、シートスタックに吸収された燃料を上部に供給するとともに、燃料電池で発生した気体を外部へ排出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は直接メタノール燃料電池用燃料供給装置に関する。
燃料電池は最近の電子装置の携帯化、小型軽量化などの要求に応じて電子装置のバッテリとして関心が集まっているエネルギー源である。2次電池に比べてエネルギー密度が高くて小型軽量化に有利であり、一回の燃料供給によって長時間電子装置にエネルギー供給が可能なので携帯用装置に適している。また、反応副産物として二酸化炭素と水だけが生成されるので、大気汚染の恐れのない環境にやさしいエネルギー源である。
燃料電池はその電解質の種類に応じて、燐酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell、PAFC)、アルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell、AFC)、高分子電解質膜型燃料電池(Proton Exchange Membrane Fuel Cell、PEMFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell、MCFC)、固体酸化物燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell、SOFC)、直接メタノール燃料電池(Direct methanol fuel cells、DMFC)などがある。
燃料電池は水素イオンと酸素の反応で熱と水が生成される電気化学反応によって電気を生成する。しかし、水素を燃料として用いる場合、大きな体積の燃料タンクを必要とし、燃料タンクの体積を縮めるために高圧の水素を貯蔵すると高圧燃料貯蔵システムを必要とするため、移動型電子装置に使用するにおいて危険な問題点がある。
直接メタノール燃料電池は、液体燃料を水素供給源として用いるので、水素を気体として貯蔵する場合に比べて遥かに多量の水素を貯蔵することができる。また、既存の2次電池より長期間使用できるのみならず、充電も容易な長所があって移動型電子装置(携帯用装置)に適した燃料電池である。
直接メタノール燃料電池は、図1に示すように、アノード(負極)2、高分子電解質膜(membrane;水素イオン交換膜)1、及びカソード(正極)3を含む。アノード及びカソードで起る反応式を示すと次の通りである。
アノード : CHOH + HO → CO + 6H+6e
カソード : 1.5O + 6H + 6e → 3H
全体 : CHOH + 1.5O → CO + HO 、 E = 1.18V
液体燃料としてメタノールをそのまま使用する場合、高濃度のメタノールが反応しないまま燃料電池の高分子電解質膜を通過するようになるメタノールのクロスオーバー現象が起きることがある。このようなクロスオーバー現象は、供給した液体燃料が使用できず消耗されるため、燃料電池の効率を劣化するおそれがある。従って、クロスオーバー現象を減らすためには、メタノールと水を適正比率で混合して液体燃料中のメタノールの濃度を一定レベルに調節して供給することが必要である。また、燃料電池の効率を高めるためには、反応副産物として発生する二酸化炭素を電極層から効率よく除去して燃料電池内における化学反応が円滑に起きるようにすることが必要である。
従って、直接メタノール燃料電池に燃料を供給する際に、適正量の液体燃料を供給し続けることができ、燃料電池で発生した二酸化炭素と水を効率よく排出することができる燃料供給装置が求められる。
アメリカ特許公開第2001-051293号(以下、公開特許とする)は、燃料電池部分と燃料貯蔵所との間で毛細管現象を通じて燃料電池のアノードに液体燃料を供給するウィック構造を含む燃料供給装置を開示している。公開特許に開示された燃料電池システムでは、アノードがウィック構造を通じて液体燃料に当接して過多な液体燃料が短時間に供給され、メタノールのクロスオーバー現象の問題点を解決できないおそれがある。また、公開特許に開示された燃料電池システムでは、燃料電池で発生する反応副産物である二酸化炭素と水とを効率よく除去できないので、燃料電池の効率が劣化するおそれがある。
その他に、多孔性媒質を用いた手動型燃料供給装置に対する技術が公開されているが、このような多孔性媒質を用いた手動型燃料供給装置を取付けた燃料電池は、その効率が多孔性媒質の性能によって大幅に影響される傾向にある。多孔性媒質は、燃料電池のアノードに直接接触して毛細管力によって液体燃料を燃料タンクから燃料電池に移動させ供給する。従って、燃料電池の効率は、空隙率と気孔サイズの分布によって影響される傾向にある。多孔性媒質の気孔のサイズ分布が大きければ、電極表面に均一な燃料供給が困難となる傾向があり、二酸化炭素と水蒸気などの副産物を十分に除去できないおそれがある。そして、二酸化炭素によって液体燃料が燃料拡散層を介して触媒層に伝達される現象が妨害されると、燃料電池の効率が急激に劣化するおそれがある。また、二酸化炭素によって液体燃料が燃料拡散層を介して触媒層に伝達される現象が妨害されると、燃料が外部に漏れるおそれがある。
本発明は前述したような問題点を解決するために案出されたもので、その目的は、一定分量の液体燃料を均一かつ持続的に燃料電池へ供給することができ、また燃料電池における反応副産物を効率よく除去して燃料電池の効率を向上させられる直接メタノール燃料電池用燃料供給装置を提供するところにある。
本発明に係る直接メタノール燃料電池用燃料供給装置は、燃料タンクとウィック構造板とシートスタックと電極板とを含む。燃料タンクには、液体燃料が貯蔵される。ウィック構造板は、燃料タンクの上部に形成され、複数個のウィックと燃料供給口が形成されている。シートスタックは、ウィック構造板の上部に積層され、ウィック構造板に移動した燃料を所定速度で吸収して上部に移動させるとともに、燃料電池で発生した気体を外部へ排出する。電極板は、シートスタックの上部に積層され、シートスタックに吸収された燃料を上部に供給するとともに、燃料電池で発生した気体を外部へ排出する。
この直接メタノール燃料電池用燃料供給装置では、燃料タンクに、液体燃料が貯蔵される。液体燃料が、多孔性媒質を介することにより、燃料タンクからウィック構造板200に移動され得る。シートスタックが、ウィック構造板に移動した燃料を所定速度で吸収して上部に移動させる。シートスタックが、投影面において互いに交差するパターンが形成された複数の層により形成され得る。シートスタック及びその上部の電極板が、投影面において互いに交差する複数の層のパターンにより、毛細管現象を利用して、ウィック構造板に移動した燃料を吸収して上部に移動させることができる。投影面において互いに交差する複数の層のパターンが、半導体の微細加工技術を用いて形成されれば、シートスタック及びその上部の電極板において毛細管として働く部分の大きさを均一にすることができ、ウィック構造板に移動した液体燃料を所定速度で吸収して上部に移動させることができる。また、シートスタック及びその上部の電極板が、燃料電池で発生した気体を外部へ排出する。厚さ方向に並ぶ面に少なくとも一端が解放されるチャネルがシートスタック及びその上部の電極板に形成されれば、燃料電池で発生した気体が外部へ排出され得る。
したがって、投影面において互いに交差する複数の層のパターンが、半導体の微細加工技術を用いて形成されれば、シートスタックにおいて毛細管として働く部分の大きさを均一にすることができる。このため、一定分量の液体燃料を均一かつ持続的に燃料電池へ供給することができる。また、厚さ方向に並ぶ面に少なくとも一端が解放されるチャネルがシートスタック及びその上部の電極板に形成されれば、燃料電池における反応副産物を効率よく除去して燃料電池の効率を向上させられる直接メタノール燃料電池用燃料供給装置を提供することができる。
以上述べたような本発明によれば、一定分量の液体燃料を均一かつ持続的に燃料電池へ供給することができ、また反応副産物を効率よく除去して燃料電池の効率を向上させられる直接メタノール燃料電池用燃料供給装置を提供することができる。
以下、添付した図面に基づき本発明を詳述する。
各図面において同一な構成要素を示したものは同一な符号を付けた。
図2Aは本発明の一実施例による直接メタノール燃料電池用燃料供給装置(以下、燃料供給装置とする)10の平面図であり、図2Bは図2AのII-II'線の断面を示した図である。
図2Bを参照すれば、本発明の燃料供給装置10は燃料タンク100、ウィック構造板200、シートスタック300及び電極板400が順次に積層形成される。
液体燃料が貯蔵される燃料タンク100は燃料タンク本体110及び多孔性媒質120を含み、その上部に形成されたウィック構造板200に脱着自在である。
燃料タンク100は燃料タンク本体110だけでも構成できるが、多孔性媒質120を含むことがさらに望ましい。多孔性媒質120は、発泡体、束化繊維、マット化繊維、織造繊維、不職布繊維または無機質多孔性材料などで形成できるが、これらに限られない。多孔性媒質120の多孔性によって毛細管力で燃料タンク本体110に貯蔵された液体燃料が吸収される。多孔性媒質120は燃料タンク本体110の上部へまで拡張されている。この多孔性媒質120に沿って液体燃料が上部に形成されているウィック構造板200に移動する。
燃料タンク100は上部に形成されたウィック構造板200について脱着自在なので、燃料タンク本体110に貯蔵された液体燃料が消耗された場合、燃料タンク100をウィック構造板200から取り外して燃料タンク本体110に液体燃料を再充電させた後再びウィック構造板200に取付けられる。これを通して液体燃料の持続的な再充電が可能なことから、燃料供給装置10の半永久的な使用が可能である。燃料タンク100は液体燃料の再充電のための燃料タンク本体110に形成された燃料注入口(図示せず)をさらに含むことが望ましい。
図2Cは図2Bにおいて燃料タンク100を除き、その上部に形成された構造を示した図である。
図2Cを参照すると、次のことが分かる。ウィック構造板200の燃料供給口(図示せず)を通して移動した液体燃料はウィック構造板200の全体に拡散される。その後、その液体燃料は、ウィック構造板200の上部に形成されたシートスタック300を通して上部に移動する。
図3は図2A〜図2Cのウィック構造板200の平面図である。
図3を参照すると、次のことが分かる。ウィック構造板200は、複数個の微細なウィック210と横方向に互いに並んでおり、複数のウィック210を挟さむように形成された一対の燃料供給口220を含む。ウィック構造板200の縁部は、壁230が形成されている。
図3に示す一部拡大図はウィック210を示したもので、ウィック210はウィック構造板200について突起状に形成されている。複数個のウィック210は無作為に形成されうるが、液体燃料がウィック構造板200の全体に均一に拡散(spread)されるためには一定間隔を隔てて均一に形成されることが望ましい。図3のウィック構造板200には複数のウィック210が燃料供給口220に対して垂直な方向を横方向にして平行な列をなしながら配置されている。ウィック210の列は少なくとも2つ以上が横方向に並んで配列されることが望ましい。横方向に互いに平行なウィック210の列は縦方向には互いに平行でないことが液体燃料の均一な拡散のために望ましい。
図示していないが、ウィック210の配列はウィック構造板200の中心から放射状に複数個の円形を形成しつつ配列されることも可能である。
図4A〜図4Eはシートスタックを形成する各シートの平面図である。各シートは順次に積層されシートスタックを形成する。 図4A〜図4Eは5つのシートの平面図であるが、シートスタックは2つ以上のシートが積層形成されうる。
図4Aを参照すると、次のことが分かる。第1シート301は、燃料流入口311、パターン部321及びチャネル331を含む。燃料流入口311は、その下部に形成されたウィック構造板200(図2B,図2C参照)の燃料供給口220(図3参照)に対応する位置に形成されている。パターン部321は、第1方向の直線パターンが形成されている。チャネル331は、隣接するパターン部321の間に形成され、パターン部321の長手方向に対して平行である。チャネル331の両端部のうち少なくとも1つはシート301の側面(図4Aの上下方向の面)について開放されている。
図4Bを参照すると、次のことが分かる。第2シート302は、燃料流入口312、パターン部332、及び隣接するパターン部322の間に形成され第1シート301のチャネル331の位置に重畳する位置に形成されるチャネル332を含む。燃料流入口312は、その下部に形成された第1シート301の燃料流入口311(図4A参照)に対応する位置に形成されている。パターン部332は、第2方向の直線パターンが形成され、第1シート301のパターン部321(図4A参照)の上部に対応する位置に形成される。
第1方向の直線パターン(図4Aのパターン部321参照)と第2方向直線パターン(図4Bのパターン部322参照)とは互いに90°角度を形成する。
同様に、図4C〜図4Eは、それぞれ、第3シート303、第4シート304、第5シート305の平面図である。図4C〜図4Eを参照すると、次のことが分かる。第3シート303、第4シート304、第5シート305は、それぞれ、燃料流入口313、314、315とパターン部323、324、325とチャネル333、334、335とを含む。燃料流入口313、314、315は、第1シート301及び第2シート302の燃料流入口311、312に対応する位置に形成されている。パターン部323、324、325は、パターン部321、322に対応する位置に形成されている。チャネル333、334、335は、チャネル331、332に対応する位置に形成されている。第3シート303のパターン部323と第5シート305のパターン部325とには第1方向の直線パターンが形成されており、第4シート304のパターン部324には第2方向の直線パターンが形成されている。
図4A〜図4Eを参照すると、次のことが分かる。各シート301、302、303、304、305は順次に積層されている。各シート301、302、303、304、305のパターン部321、322、323、324、325は、互いに対応する位置に形成されているが、上部に形成されたパターン部ほどその面積が狭くなる。一方、各シート301、302、303、304、305のチャネル331、332、333、334、335は、互いに対応する位置に形成されているが、上部に形成されたチャネルのほどその幅が広まる。
上部に行きながらその幅が広まったチャネル331,332,333、334、335は、シートスタック300(図2B,図2C参照)の断面図において漏斗状に形成される。燃料供給装置10の上部(図2Bに示すシートスタック300の上部)には燃料電池(電極板400を含む)が形成されている。この燃料電池内で化学反応によってエネルギーが発生し、また反応副産物として二酸化炭素と水蒸気が発生する。二酸化炭素と水蒸気が燃料電池に残在すれば、燃料電池で期待される化学反応を阻害して燃料電池の効率を劣化させてしまう。従って、二酸化炭素と水蒸気は発生後すぐに除去されるべきである。燃料電池から発生した二酸化炭素はチャネル331,332,333、334、335(図4A〜図4E参照)に流入されチャネル331,332,333、334、335(図4A〜図4E参照)に沿って流れてからシート301、302、303、304、305の側面(図4A〜図4Eの上下方向の面)を介して外部に排出される。互いに対応したチャネル331,332,333、334、335(図4A〜図4E参照)が下部に行くほどその幅が狭くなるため、二酸化炭素はチャネルの下部の深いところまで流入されず、殆んどが最上部シート305のチャネル335(図4E参照)に沿って排出される。二酸化炭素の一部は、チャネル331,332,333、334、335(図4A〜図4E参照)の重畳部分を介して下方に流入するが、流入したチャネル331,332,333、334、335(図4A〜図4E参照)に沿って外部に排出される。従って、二酸化炭素がウィック構造板200(図2B参照)まで流入しないので、燃料タンク100の液体燃料に混合されない。
図4A〜図4Eに示す各シート301、302、303、304、305のパターン部321、322、323、324、325は、投影面においてメッシュ状のパターンを形成する。第1方向の直線パターン(図4Aのパターン部321参照)と第2方向直線パターン(図4Bのパターン部322参照)とは互いに隣接した層に形成されるので、図2Bに示すシートスタック300の平面図(図示せず)では、パターン部321、322、323、324、325における第1方向の直線パターンと第2方向の直線パターンとが投影面において交差して絡んでいる構造を形成する。
パターン部321、322、323、324、325が重畳する領域は多孔性媒質と似た働きをする。パターン部321、322、323、324、325の投影面における交差によって形成されたメッシュ構造は多くの微細なホール(hole)を有する。このメッシュ構造は、ホールを介してその下部(図2Bに示すシートスタック300の下部)に形成されたウィック構造板200(図2B参照)に貯蔵された液体燃料を毛細管力で吸い込んで上部に移動させる。従って、シートスタック300の重畳されたパターン部321、322、323、324、325領域は液体燃料を上部に移動させる通路の機能を果たし、シートスタック300の重畳されたチャネル331、332、333、334、335領域は化学反応副産物を燃料電池から外部に排出する通路として働く。
図4A〜図4Eに示された第1方向の直線パターン(図4Aのパターン部321参照)及び第2方向の直線パターン(図4Bのパターン部322参照)は、各シート301、302、303、304、305の燃料流入口311,312,313,314,315に対して垂直な横方向及び平行な縦方向に形成されているが、各シート301、302、303、304、305の対角線に並んだ方向に互いに90°角度をなすように形成されうる。
各シート301、302、303、304、305は、金属、プラスチックなどの材質で基本板を形成した後、親水性物質をコーティングして、パターン部321、322、323、324、325とチャネル331、332、333、334、335と燃料流入口311,312,313,314,315とを形成して製造されうる。パターン部321、322、323、324、325とチャネル331、332、333、334、335と燃料流入口311,312,313,314,315とを形成するには、金属エッチング、食刻などの公知の方法を利用することができる。
図5は、図2Bに示す電極板400の平面図である。電極板400は、その下部に形成されたシートスタック300(図2B参照)の最上部シート305のパターン部325(図4E参照)に対応する位置に形成されたパターン部420と、最上部シート301のチャネルに対応する位置に形成されたチャネル430とを含む。電極板400において最上部シート305の燃料流入口315に対応する位置は、ウォール(wall)が形成されているので、液体燃料の流れが一部遮断される。電極板400のパターン部420のパターンは、最上部パターン部325(図4E参照)の直線パターンに対して90°角度をなすように形成されている。パターン部420の面積は、最上部パターン部325(図4E参照)の面積に比べて狭い。一方、チャネル430の幅は、その下部に存する最上部シート305のチャネル335の幅に比べて大きい。すなわち、電極板400のパターン部420とチャネル430は、シートスタック300の各シート301〜305のパターン部321〜325とチャネル331〜335に対応して、そのパターンと面積が形成される。
図6は、図3に示すウィック構造板200、図4A〜図4Eに示す複数のシート301〜305及び図5に示す電極板400が順次に積層される様子を示した平面図である。このように順次に積層形成された構造物はその下部に形成された燃料タンク100(図2B参照)と共に燃料供給装置10として提供される。
図7は、図2Bの燃料供給装置10の上部に燃料電池500が形成され使用される形態の断面を示した参考図である。ここで、電極板400は、燃料電池500のアノード電極(図示せず)と電気的に接続されているものとする。
図7に示す燃料タンク100に貯蔵された液体燃料は、多孔性媒質120を介して上部に形成されたウィック構造板200に移動する。ウィック構造板200では、図3に示すように、ウィック210が規則的に並んでいるので、液体燃料が均一に拡散することが容易である。シートスタック210及びその上部の電極板400が、投影面において互いに交差するパターン(図4A〜図4Eのパターン部321〜325及び図5のパターン部420参照)が形成された複数のシート301〜305(図4A〜図4E参照)及び電極板400(図5参照)により形成される。シートスタック210及びその上部の電極板400が、投影面において互いに交差する複数の層(図4A〜図4E、図5参照)のパターン(図4A〜図4Eのパターン部321〜325及び図5のパターン部420参照)により、毛細管現象を利用して、ウィック構造板200に移動した液体燃料を吸収して上部(燃料電池500)に移動させることが可能である。投影面において互いに交差する複数の層(図4A〜図4E、図5参照)のパターン(図4A〜図4Eのパターン部321〜325及び図5のパターン部420参照)が、半導体の微細加工技術を用いて形成されれば、シートスタック300及びその上部の電極板400において毛細管として働く部分の大きさを均一にすることが可能であり、ウィック構造板200に移動した液体燃料を所定速度で吸収して上部(燃料電池500)に移動させることが可能である。このように、ウィック構造板200に均一に拡散された液体燃料は、ウィック構造板200の上部に形成されたシートスタック300及び電極板400のパターン部領域を通じて毛細管力により移動して、上部に存する燃料電池500に供給される。
したがって、投影面において互いに交差する複数の層(図4A〜図4E、図5参照)のパターン(図4A〜図4Eのパターン部321〜325及び図5のパターン部420参照)が、半導体の微細加工技術を用いて形成されれば、シートスタック300及びその上部の電極板400において毛細管として働く部分の大きさを均一にすることが可能である。このため、一定分量の液体燃料を均一かつ持続的に燃料電池へ供給することができる。
燃料電池500は、燃料供給装置10から供給された液体燃料を使用して化学反応を行う。シートスタック300及びその上部の電極板400には、その厚さ方向に並ぶ面に少なくとも一端が解放されるチャネル331〜335,430(図4A〜図4E、図5参照)が形成されている。このため、燃料電池500で発生した反応副産物である二酸化炭素は、燃料電池500の下部に形成された電極板400及びシートスタック300のチャネル331〜335,430(図4A〜図4E、図5参照)に流入して、外部に排出される。
したがって、厚さ方向に並ぶ面に少なくとも一端が解放されるチャネル331〜335,430(図4A〜図4E、図5参照)がシートスタック300及びその上部の電極板400に形成されているので、燃料電池500における反応副産物(二酸化炭素)を効率よく除去して燃料電池500の効率を向上することができる。
以上では本発明の望ましい実施例について示しかつ説明したが、本発明は前述した特定の望ましい実施例に限られず、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱せず当該発明の属する技術分野において通常の知識を持つ者ならば誰でも多様な変形実施が可能である。そして、そのような変更は請求の範囲の記載の範囲内にある。
本発明にかかる直接メタノール燃料電池用燃料供給装置は、一定分量の液体燃料を均一かつ持続的に燃料電池へ供給することができ、また反応副産物を効率よく除去して燃料電池の効率を向上させられる直接メタノール燃料電池用燃料供給装置を提供することができるという効果を有し、直接メタノール燃料電池用燃料供給装置等として有用である。
直接メタノール燃料電池の概略を示した図である。 本発明の一実施例による直接メタノール 燃料電池用燃料供給装置の概略的な平面図である。 図2AのII-II'線の断面図である。 図2Bの燃料タンクが取り外された構成を示す断面図である。 図2Bのウィック構造板を示す平面図である。 図2Bのシートスタックを形成するシートを示す平面図である。 図2Bのシートスタックを形成するシートを示す平面図である。 図2Bのシートスタックを形成するシートを示す平面図である。 図2Bのシートスタックを形成するシートを示す平面図である。 図2Bのシートスタックを形成するシートを示す平面図である。 図2Bの電極板を示した平面図である。 図3〜図5に示す層が積層される様子を示す平面図である。 図2Bに示した直接メタノール燃料電池用燃料供給装置の上部に燃料電池が取付けられることを示した図である。

Claims (14)

  1. 液体燃料が貯蔵される燃料タンクと、
    前記燃料タンクの上部に形成され、複数個のウィックと燃料供給口が形成されたウィック構造板と、
    前記ウィック構造板の上部に積層され、前記ウィック構造板に移動した燃料を所定速度で吸収して上部に移動させるとともに、燃料電池で発生した気体を外部へ排出するシートスタックと、
    前記シートスタックの上部に積層され、前記シートスタックに吸収された燃料を上部に供給するとともに、燃料電池で発生した気体を外部へ排出する電極板と、
    を含む
    直接メタノール燃料電池用燃料供給装置。
  2. 前記燃料タンクは、前記ウィック構造板に対して脱着自在である、
    請求項1に記載の直接メタノール燃料電池用燃料供給装置。
  3. 前記燃料タンクは、
    燃料タンク本体と、
    多孔性媒質と、
    を有する、
    請求項1に記載の直接メタノール燃料電池用燃料供給装置。
  4. 前記多孔性媒質は、前記燃料タンク本体内から前記ウィック構造板にまでのびるように形成される、
    請求項3に記載の直接メタノール燃料電池用燃料供給装置。
  5. 前記多孔性媒質は、前記ウィック構造板の前記燃料供給口と対応した位置に形成される、
    請求項3に記載の直接メタノール燃料電池用燃料供給装置。
  6. 前記ウィック構造板における前記複数個の前記ウィックは、長手方向に少なくとも2つ以上が並んだ列をなすように形成される、
    請求項1に記載の直接メタノール燃料電池用燃料供給装置。
  7. 前記ウィック構造板における前記複数個の前記ウィックは、長手方向と90度未満の角度をなして交差する方向に並んだ列をなすように形成される、
    請求項6に記載の直接メタノール燃料電池用燃料供給装置。
  8. 前記シートスタックは、
    上部から数えて奇数番目に積層された第1シートと、
    上部から数えて偶数番目に積層された第2シートと、
    を有し、
    前記第1シートは、
    第1方向に直線パターンが形成された第1パターン部と、
    前記第1パターン部の長手方向に前記第1パターン部に対して並んだ第1チャネルと、
    を備え、
    前記第2シートは、
    第2方向に直線パターンが形成された第2パターン部と、
    前記第2パターン部の長手方向に前記第2パターン部に対して並んだ第2チャネルと、
    を備え、
    前記第1シートの数と前記第2シートの数との合計は、2以上であり、
    前記第1方向の前記直線パターンと前記第2方向の前記直線パターンとは、互いに交差する方向に形成されている、
    請求項1に記載の直接メタノール 燃料電池用燃料供給装置。
  9. 前記第1パターン部と前記第2パターン部とは、重畳して形成され、
    前記第1チャネルと前記第2チャネルとは、重畳して形成される、
    請求項8に記載の直接メタノール燃料電池用燃料供給装置。
  10. 前記第1チャネルは、前記第1シートの厚さ方向に並ぶ方向であり前記第1パターン部と並ぶ方向に交差する方向の面である第1側面に少なくとも一端が開放され、
    前記第2チャネルは、前記第2シートの厚さ方向に並ぶ方向であり前記第2パターン部と並ぶ方向に交差する方向の面である第2側面に少なくとも一端が開放される、
    請求項8に記載の直接メタノール燃料電池用燃料供給装置。
  11. 前記第1シートの前記第1パターン部の面積は、上部に積層された前記第2シートの前記第2パターンの面積よりも大きい、
    請求項8に記載の直接メタノール燃料電池用燃料供給装置。
  12. 前記第1シートの前記第1チャネルの幅は、上部に積層された前記第2シートの前記第2チャネルの幅よりも小さい、
    請求項8に記載の直接メタノール燃料電池用燃料供給装置。
  13. 前記電極板は、
    前記第2方向と並ぶ方向にパターンが形成された電極パターン部と、
    前記第1シートの前記第1チャネルに対応した位置に形成されている電極チャネルと、
    を有する、
    請求項8に記載の直接メタノール燃料電池用燃料供給装置。
  14. 前記第1パターン部と前記第2パターンとは、前記第1方向の前記直線パターンと前記第2方向の前記直線パターンとにより、メッシュ構造を形成する、
    請求項8に記載の直接メタノール燃料電池用燃料供給装置。
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