JP2005082630A - ポリエチレンテレフタレートおよびそれからなる中空成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とから低次縮合物を製造し、ついでゲルマニウム化合物の存在下に重縮合させることにより製造されるポリエチレンテレフタレートであって、該ポリエチレンテレフタレートを225℃にて24時間固相重合した後のゲルマニウム元素含有量の減少量が、固相重合前に対して5ppm以下であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート。
Description
しかしながら、アンチモン化合物を触媒として製造したポリエチレンテレフタレートは透明性、耐熱性の点で、チタン化合物を触媒として製造したポリエチレンテレフタレートは色相の面でゲルマニウム化合物を触媒として製造したポリエチレンテレフタレートに劣っている。
しかしながら、ゲルマニウム化合物を触媒として製造したポリエチレンテレフタレートは、ゲルマニウム化合物を含んだ異物が成形体中に生じることがあり、成形体外観上を損なうことがあった。
本発明のポリエチレンテレフタレートの製造方法は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを重縮合させてポリエチレンテレフタレートを製造する。以下、その一例について説明する。
本発明に係るポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体を原料として用いる。
テレフタル酸または前記ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、カルボキシル基の片方ないし両方がエステル化されたもの、または酸無水物をあげることができる。
エチレングリコールおよび前記ジオール類のエステル形成性誘導体としては、ヒドロキシ基の片方ないし両方がエステル化されたもの、または環状エーテルなどの脱水化物をあげることができる。
本発明に係るポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とから低次縮合物を製造し、ついでゲルマニウム化合物の存在下に重縮合させることにより製造される。
ポリエチレンテレフタレートを製造するに際して、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化させる。具体的には、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを含むスラリーを調製する。
例えば、エステル化反応が3段階で実施される場合には、第2段目のエステル化反応の反応温度は通常245〜275℃、好ましくは250〜270℃であり、圧力は通常0〜0.2MPaG(0〜2kg/cm2 G)、好ましくは0.02〜0.15MPaG(0.2〜1.5kg/cm2 G)であればよい。
上記のようなエステル化工程で得られた低次縮合物は、次いで重縮合(液相重縮合)工程に供給される。
液相重縮合工程においては、上記した触媒の存在下に、エステル化工程で得られた低次縮合物を、減圧下で、かつポリエチレンテレフタレートの融点以上の温度(通常250〜280℃)に加熱することにより重縮合させる。この重縮合反応では、未反応のエチレングリコールを反応系外に留去させながら行われることが望ましい。
ゲルマニウム化合物からなる触媒は、重縮合反応時に存在していればよい。このため触媒の添加は、原料スラリー調製工程、エステル化工程、液相重縮合工程等のいずれの工程で行ってもよい。また、触媒全量を一括添加しても、複数回に分けて添加してもよい。
安定剤として具体的に、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ-n-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート等のリン酸エステルおよびリン酸、ポリリン酸などのリン化合物が挙げられる。
これらの塩基性窒素化合物の配合量は、ポリエチレンテレフタレート当り0.01〜1モル%、好ましくは0.05〜0.7モル%、更に好ましくは0.1〜0.5モル%である。塩基性窒素化合物の配合量が0.01モル%未満では得られたポリエチレンテレフタレートからの中空成形体、特に延伸熱固定中空成形体の透明性が非常に悪くなることがある。また、1モル%を超えるとポリエチレンテレフタレートの色調が悪くなることがある。
本発明のポリエチレンテレフタレートの製造方法において用いられる塩基性窒素化合物の反応系への添加は、初期重縮合反応が終了するまでの任意の段階で適宜選ぶことが出来、単独で行ってもよいし、他の添加剤と同時に行ってもかまわない。
この重縮合工程で得られる液相重縮合ポリエチレンテレフタレートは、通常、溶融押し出し成形されて粒状(チップ状)に成形される。
この液相重縮合工程で得られるポリエチレンテレフタレートは、さらに固相重縮合することができる。
このような予備結晶化工程は、粒状ポリエチレンテレフタレートを乾燥状態で通常、120〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度に1分から4時間加熱することによって行うことができる。またこのような予備結晶化は、粒状ポリエチレンテレフタレートを水蒸気雰囲気、水蒸気含有不活性ガス雰囲気下、または水蒸気含有空気雰囲気下で、120〜200℃の温度で1分間以上加熱することによって行うこともできる。
なお、この予備結晶化処理によっては、いわゆるポリエチレンテレフタレートの固相重縮合反応は進行せず、予備結晶化されたポリエチレンテレフタレートの固有粘度は、液相重縮合後のポリエチレンテレフタレートの固有粘度とほぼ同じであり、予備結晶化されたポリエチレンテレフタレートの固有粘度と予備結晶化される前のポリエチレンテレフタレートの固有粘度との差は、通常0.06dl/g以下である。
また、ポリアセタ−ル共重合体としては、ASTM−D792の測定法により測定した密度が1.38〜1.43g/cm3、ASTMD−1238の測定法により、190℃、荷重2160gで測定したメルトフロ−比(MFR)が0.4〜50g/10分の範囲のポリアセタ−ル共重合体が好ましい。これらの共重合成分としては、エチレンオキサイドや環状エ−テルが挙げられる。
また上記のポリエチレンテレフタレート中の環状3量体(オリゴマー)の含有量、すなわちオキシエチレンオキシテレフタロイル単位の環状3量体の含有量は0.5重量%以下、好ましくは0.4重量%以下である。
環状3量体の含有量が0.5重量%以下のポリエチレンテレフタレートを用いると中空成形体を成形する際に、金型が汚染されにくく、しかも成形体の胴部が白化しにくいので好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレートを製造する方法として例えば、前述ようにして製造したポリエチレンテレフタレートを水処理する方法、あるいはゲルマニウム含有量を30〜40ppmにする方法をあげることができる。
固相重合した後のゲルマニウムの減少量が上記の範囲だとポリエチレンテレフタレートを用いて成形品を得る場合にゲルマニウム化合物の凝集に起因する異物が生成しがたい。
粒状ポリエチレンテレフタレート20gを内径22mm、高さ80mmの円筒状ステンレス容器に充填し密閉する。この容器は底部に不活性ガス通気用のノズルを有し、上部から不活性ガスを系外に放出するようになっている。
粒状のポリエチレンテレフタレートが充填密閉されたステンレス容器を装着固定し、不活性ガスとして窒素を通気しながら実施する。
この際、用いる窒素は、露点が−50℃以下であり、酸素濃度が20ppm以下であるものを使用し、ステンレス容器に供給する前に予めバス温度と同じになるように予熱する。窒素は、毎時200NL(標準状態)の量でステンレス容器に供給する。
サンドバスは空気により流動状態とし、サンドバスの温度が均一で温度分布がないようにする。サンドバスの加熱ヒータはバスの温度がプログラムコントローラで所定の固相重合温度となるように制御される。
このようなポリエチレンテレフタレートは、成形時の異物が少なく、色相に優れ、アセトアルデヒド含有量が少なく、ボトル用途に用いることが特に好ましい。
例えば、ボトルを成形する場合には、上記ポリエチレンテレフタレートを溶融状態でダイより押出してチューブ状パリソンを形成し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、金型に着装することにより中空成形体を製造する方法、上記ポリエチレンテレフタレートから射出成形によりプリフォームを製造し、該プリフォームを延伸適性温度まで加熱し、次いでプリフォームを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、金型に着装することにより中空成形体を製造する方法などがある。
アセトアルデヒド含有量は、試料2.0gを秤量し、フリーザーミルを用いて冷凍粉砕し、次いで粉砕試料を窒素置換したバイアル瓶に投入し、さらに内部標準物質(アセトン)と水を入れて密栓する。バイアル瓶は120±2℃の乾燥機で1時間加熱した後、上澄み液をガスクロマトグラフィー GC−6(商品名、島津製作所(株)製)にて測定する。
ポリエチレンテレフタレートを、除湿エア乾燥機を用いて、170℃、4時間乾燥し、乾燥後の樹脂中の水分含量を40ppm以下とする。乾燥したポリエチレンテレフタレートを射出成形機 M−70B(商品名、(株)名機製作所製)にて成形し、段付き角板状成形体を得る。段付き角板状成形体は、図2に示すような形状をして有しており、A部の厚さは、約6.5mmであり、B部の厚さは約5mmであり、C部の厚さは約4mmである。
成形温度275℃にて成形した前述の段付き角板状成形体の5mm厚の部分をヘイズメーター NDH−20D(商品名、日本電色工業株式会社製)を用いて3回測定し、その平均値により評価する。
所定量のポリエチレンテレフタレートをo−クロロフェノールに溶解した後、テトラヒドロフランで再析出して、濾過し線状ポリエチレンテレフタレートを除いた後、ついで得られた濾液を液クロマトグラフィー(島津製作所製、LC−7A)に供給して、ポリエチレンテレフタレート中に含まれる環状3量体量を求め、この値を測定に用いたポリエチレンテレフタレート量で割って、ポリエチレンテレフタレート中に含まれるオリゴマー含有量(重量%)とする。
(段付き角板状成形体のオリゴマー含有量の測定)
成形温度295℃にて成形した前述の段付き角板状成形体をo−クロロフェノールに溶解した後、テトラヒドロフランで再析出して、濾過し線状ポリエチレンテレフタレートを除いた後、ついで得られた濾液を液クロマトグラフィー(島津製作所製、LC−7A)に供給して、ポリエチレンテレフタレート中に含まれる環状3量体量を求め、この値を測定に用いたポリエチレンテレフタレート量で割って、段付き角板状成形体のオリゴマー含有量(重量%)とする。
高純度テレフタル酸 13kg、エチレングリコール 5.83kg、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド20%水溶液 6.88gをオートクレーブに仕込み、圧力1.7kg/cm2、260℃の窒素雰囲気下にて6時間、撹拌しながら反応させた。この反応により生成した水は常時系外に留去した。
1時間かけて285℃まで昇温し、系内を2torrまで減圧し、さらに50分反応させ、エチレングリコールを系外に留去した。
反応終了後、反応物を反応器外にストランド状に抜き出し、水中に浸漬、冷却した後、ストランドカッターによりチップ状に裁断した。
このようにして得られたポリエチレンテレフタレートの固有粘度は0.76dl/gであり、密度は1.40g/cm3であり、オリゴマー含有量は0.30重量%、アセトアルデヒド含有量は1.4ppm、原子吸光分析により測定したゲルマニウム元素、リン元素の含有量は66ppm、30ppmであった。
すなわち、具体的には、水処理したポリエチレンテレフタレートを、除湿エア乾燥機を用いて170℃、4時間乾燥した。乾燥後の樹脂中の水分量は40ppm以下であった。乾燥したポリエチレンテレフタレートを日精ASB機械株式会社製ASB−50を用いて、シリンダー温度295℃、成形サイクル25秒で成形し、プリフォームを得た。
ボトルを100本成形したが、すべて異物のない透明なボトルが得られた。
高純度テレフタル酸 13kg、エチレングリコール 5.83kg、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド20%水溶液 6.88gをオートクレーブに仕込み、圧力1.7kg/cm2、260℃の窒素雰囲気下にて6時間、撹拌しながら反応させた。この反応により生成した水は常時系外に留去した。
1時間かけて285℃まで昇温し、系内を2torrまで減圧し、さらに80分反応させ、エチレングリコールを系外に留去した。
反応終了後、反応物を反応器外にストランド状に抜き出し、水中に浸漬、冷却した後、ストランドカッターによりチップ状に裁断した。
このポリエチレンテレフタレートから成形した段付き角板状成形体のオリゴマー含有量は0.43重量%であり、段付き角板状成形体の5mm厚のヘイズは3%であった。
(比較例1)
ペレットを熱水に浸漬する工程(水処理)を施さなかった以外は実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレートを製造した。
ボトルを100本成形したところ、黒色異物のあるボトルが5本確認された。
Claims (4)
- テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とから低次縮合物を製造し、ついでゲルマニウム化合物の存在下に重縮合させることにより製造されるポリエチレンテレフタレートであって、該ポリエチレンテレフタレートを225℃、24時間にて固相重合した後のゲルマニウム元素含有量の固相重合前に対する減少量が、5ppm以下であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート。
- テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とから低次縮合物を製造し、ついでゲルマニウム化合物の存在下に重縮合させることにより製造されるポリエチレンテレフタレートであって、環状3量体含有量が0.5重量%以下であり、固有粘度が0.6dl/g以上であり、かつ該ポリエチレンテレフタレートを225℃、24時間にて固相重合した際に、ゲルマニウム元素含有量の固相重合前に対する減少量が5ppm以下であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート。
- テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とから低次縮合物を製造し、ついでゲルマニウム化合物の存在下に重縮合させることにより製造されるポリエチレンテレフタレートであって、環状3量体含有量が0.5重量%以下であり、固有粘度が0.6dl/g以上であり、ゲルマニウム含有量が30ppm以上であり、かつ該ポリエチレンテレフタレートを225℃、24時間にて固相重合した際に、ゲルマニウム元素含有量の固相重合前に対する減少量が5ppm以下であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート。
- 請求項1〜3に記載のポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする中空成形体。
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