JP2005081809A - 光学的立体造形および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 マスク画像を動画的に連続的に変化させ得る複数の面状描画マスクを使用し、面状描画マスクを造形面に対して連続的に移動させると共に、面状描画マスクのマスク画像を、形成しようとする光硬化した樹脂層の断面形状パターンに対応させて面状描画マスクの移動と同期させて連続的に変えながら造形面に面状描画マスクを介して光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成する光造形方法及びそのための光造形装置。
【選択図】 図6
Description
この方法によって立体造形物を製造するに当たっては、造形精度(解像度)の点から、面状描画マスクから投影される光硬化性樹脂組成物表面での隣接する微小ドットエリア間の距離は0.1mm以下であることが必要であるとされており、そのため、画素数は、例えば、造形エリアサイズが250mm×250mmの小型のもので少なくとも2500×2500ドット程度必要であり、また造形エリアサイズが600mm×600mmの中型のものでは少なくとも6000×6000ドット程度必要である。しかしながら、現存する液晶マスク(液晶シャッター)や、デジタルマイクロミラーシャッターではこれを実現する解像度のものは存在しないか、または存在しても極めて高価である。
そのため、面状描画マスクを固定配置したこの方法による場合は、精細度(造形精度)に優れる大型の立体造形物を製造することは困難であり、精細度(造形精度)の点から小型の立体造形物の製造にしか適用できないというのが現状である。
さらに、本発明の目的は、高価な紫外線レーザー装置を用いずに、通常の紫外線ランプのような安価な光源を用いた場合にも、高い造形精度を有し、且つ硬化ムラや強度ムラのない高品質の立体造形物を、速い造形速度で円滑に製造することのできる光学的立体造形方法および光学的立体造形装置を提供することである。
さらに、本発明者は、面状描画マスクとしては、微小ドットエリアでの遮光および透光が可能な複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスク、特に液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクが好ましく用いられること、また光源と面状描画マスクとの間に面状描画マスクと同期させて連続的に移動させることのできる光集レンズを配置し、面状描画マスクと光硬化性樹脂組成物の表面との間に面状描画マスクと同期させて連続的に移動させることのできる投影レンズを配置するのが好ましいことを見出して、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
(1) 光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に面状描画マスクを介して制御下に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して光硬化性樹脂組成物よりなる造形面を形成し、その造形面に面状描画マスクを介して制御下に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する光造形工程を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことによって立体造形物を製造する方法であって;
光造形を、マスク画像を連続的に変化させ得る複数の面状描画マスクを使用して行い;且つ、
光造形工程の少なくとも一部で、前記面状描画マスクを光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に対して連続的に移動させると共に、面状描画マスクのマスク画像を、形成しようとする光硬化した樹脂層の断面形状パターンに対応させて面状描画マスクの移動と同期させて連続的に変えながら光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に面状描画マスクを介して光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成する造形操作を行う;
ことを特徴とする光学的立体造形方法である。
(2) 面状描画マスクの位置を感知するセンサーを複数配置して、それぞれの面状描画マスクの位置を2点以上で計測し、計測された値に基づいてそれぞれの面状描画マスクの位置補正を行って、複数の面状描画マスクの間の位置ずれを解消することからなる前記(1)の光学的立体造形方法;
(3) それぞれの面状描画マスクのマスク画像を通して光を照射してそれぞれの描画領域の光硬化を分担して行い、全体で所定の断面形状パターンを有する1層分の光硬化した樹脂層を形成する操作を繰り返して立体造形物を製造する前記(1)または(2)の光学的立体造形方法;
(4) 面状描画マスクとして、微小ドットエリアでの遮光および透光が可能な複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクを用い、面状描画マスクの連続移動時に、形成しようとする断面形状パターンに対応させて前記複数の微小光シャッターによりマスク画像を連続的に変えながら光硬化性樹脂組成物の表面への光照射を行う前記した(1)〜(3)のいずれかの光学的立体造形法方法;および、
(5) 面状描画マスクが、液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクである前記(4)の光学的立体造形方法;
である。
(6) 載置台上または光硬化した樹脂層上に、1層分の光硬化性樹脂組成物を順次供給するための光硬化性樹脂組成物の供給手段;
光源;
マスク画像を連続的に変えることのできる複数の面状描画マスク;
複数の面状描画マスクのそれぞれを光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に対して連続的に移動させるための移動手段;および、
それぞれの面状描画マスクのマスク画像を、面状描画マスクの移動と同期させて連続的に変化させるための手段;
を備えていることを特徴とする光学的立体造形装置である。
(7) 面状描画マスクの位置を検知・計測するための複数のセンサー、前記センサーの検知・計測値に基づいてそれぞれの面状描画マスクの位置補正を行って、複数の面状描画マスクの間の位置ずれを解消させるための手段を有する前記した(6)の光学的立体造形装置;
(8) それぞれの面状描画マスクのマスク画像を通して光を照射してそれぞれの描画領域の光硬化を分担して行わせると共に、全体で所定の断面形状パターンを有する1層分の光硬化した樹脂層を形成させるための手段を有する前記(6)または(7)の光学的立体造形装置;
(9) 面状描画マスクが、微小ドットエリアでの遮光および透光が可能な複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクである前記(6)〜(8)のいずれかの光学的立体造形装置;
(10) 面状描画マスクが液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクである前記(6)〜(9)のいずれかの光学的立体造形装置;および、
(11) 光源と面状描画マスクとの間に面状描画マスクと同期させて連続的に移動させることのできる光集レンズを有し、面状描画マスクと光硬化性樹脂組成物の表面との間に面状描画マスクと同期させて連続的に移動させることのできる投影レンズを有する前記(6)〜(10)のいずれかの光学的立体造形装置;
である。
そして、本発明による場合は、小型、中型の立体造形物に限らず、大型の立体造形物であっても、高い寸法精度および速い造形速度で円滑に製造することができる。
さらに、本発明による場合は、高価な紫外線レーザー装置を用いずに通常の紫外線ランプのような安価な光源を用いた場合にも、前記した高品質の立体造形物を、速い造形速度で円滑に製造することができる。
本発明では、光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に面状描画マスクを介して制御下に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成し、その造形面に面状描画マスクを介して制御下に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する操作を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことによって立体造形物を製造し、その際に前記造形操作を複数の面状描画マスクを用いて行う。
その際に、面状描画マスクの連続移動は、造形面に対して平行した状態で行うことが好ましいが、場合によっては非平行状態で移動させてもよい。
面状描画マスクの造形面に対する移動は、一方向(X軸方向およびY軸方向の一方)のみに行うようにしてもよいが、X軸方向とY軸方向の両方に移動可能にしておくことが、種々の形状の光硬化した断面形状パターンを良好な造形精度で形成できるので好ましい。
(i)図1の(a)に例示するように、2個の面状描画マスク3,3’を離れた位置で互いに並列させて配置し、それぞれの面状描画マスクのマスク画像を連続的に変化させつつ同じ方向に並列状態で連続移動させながらそれぞれのマスク画像を通して光照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成する方法;
(ii)図1の(b)に例示するように、2個の面状描画マスク3,3’を離れた位置に配置し、それぞれの面状描画マスクのマスク画像を連続的に変化させつつ互いに反対方向に連続移動させながらそれぞれのマスク画像を通して光照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成する方法;
(iii)図1の(c)に例示するように、2つの面状描画マスク3,3’を光造形操作の開始時に離れた位置に配置し、それぞれの面状描画マスクを同じ方向に向って連続移動させながら光造形を行い、連続的に変化する各面状描画マスクのマスク画像を通して光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成する方法;
(iv)図1の(d)に例示するように、一方の面状描画マスク3を所定の断面形状パターンにおける周縁部に沿って連続移動させると共にそのマスク画像を連続的に変化させながら光を照射して周縁部の光硬化を行い、もう一方の面状描画マスク3’を所定の断面形状パターンの内部で連続移動させると共にそのマスク画像を連続的に変化させながら光を照射して内部の光硬化を行う方法;
(v)図1の(e)に例示するように、所定の断面形状パターンに相当する描画領域を2つに区分しておき、それぞれの区分内で、各面状描画マスク3,3’を適当な移動軌跡を採用して連続移動させると共にそれらのマスク画像を連続的に変化させて光硬化を行う方法;
(vi)図1の(f)に例示するように、1つの造形面に互いに離れて位置する2つの光硬化した樹脂層部分を形成する場合に、各面状描画マスク3,3’のそれぞれを連続的に移動させると共にマスク画像をそれぞれ連続的に変化させて各々の場所で光硬化した樹脂層部分を形成する方法;
などを挙げることができる。
複数の面状描画マスクの移動速度は、形成しようとする光硬化した断面形状パターンの内容や、該パターンを形成する際の面状描画マスクの移動軌跡などに応じて決めればよく、そのため互いに同じ移動速度であっても、または異なる移動速度であってもよく、各々に適した速度を採用すればよい。
さらに、面状描画マスクは一般に板状になっており、面状描画マスクの連続移動時の角度が所定の角度からずれると、面状描画マスクのマスク画像を通して造形面に照射される光の形状も正規のものとは異なり、得られる立体造形物の寸法精度が低下する。そのため、本発明では、複数の面状描画マスクの間の位置ずれの解消と共に、それぞれの面状描画マスクの傾き角度などもセンサーで検出して調整を併せて行うことが望ましい。
複数のセンサーで計測された値に基づいて、各面状描画マスクの位置補正を行って各面状描画マスクの間の位置ずれを解消したり、また各面状描画マスクの角度の調整などを行って、光造形を行う。
センサーで計測された値に基づく各面状描画マスクの間の位置ずれの解消や面状描画マスクの角度の調整などは、適宜の時点に行うことができるが、光造形の開始直前、光造形途中、光造形の終盤などに行うことができるが、少なくとも光造形の開始直前に行うことが、寸法精度に優れる立体造形物が確実に得られる点から好ましい。
これらの面状描画マスクは、微小ドットエリアでの遮光および透光が可能な複数の微小光シャッターを面状(X−Y方向)に並列配置した正方形状または長方形状の面状描画マスクであることが好ましい。面状描画マスクに配置する微小光シャッター(画素子)の数は特に制限されず、従来から知られているものなどを使用することができる。液晶シャッター(液晶表示素子)としては、例えば、QVGA(画素数=320ドット×240ドット)、VGA(画素数=640×480ドット)、SVGA(画素数=800×600ドット)、UXGA(画素数=1024×768ドット)、QSXGA(画素数=2560×2648ドット)などを用いることができ、これらの液晶シャッターは従来から広く販売されている。
また、デジタルマイクロミラーシャッターとしては、例えば、テキサスインスツルメンツ社製の「DLPテクノロジー」(登録商標)のDMD(登録商標)デバイスなどを使用することができる。
本発明で用いる複数の面状描画マスクは、種類、サイズ、ドット数などが同じあっても、または互いに異なっていてもよい。
複数の面状描画マスクに対して、同じ種類の光源を用いてもよいし、場合によっては種類の異なる光源を用いてもよい。
また、光源は、面状描画マスクの背部側に面状描画マスクと共に連続移動可能に設けてもよいし、または造形精度の向上、造形速度の向上、装置の軽量化、保守性の向上などの目的で、光源を固定位置に動かないように設けると共に光源からの光を光ファイバー、ライトガイドやその他の光伝達手段を通して面状描画マスクの背部に導き、光ファイバーやライトガイドやその他の光伝達手段を面状描画マスクと共に連続移動可能に設けてもよい。
また、造形速度の向上のために複数の光源を用いて集光し光エネルギーを高くさせる方式を採ってもよい。特に光ファイバーやライトガイドなどを使用する場合は複数光源を集光させ易いというメリットがある。
本発明では、光硬化性樹脂組成物として、光造形において従来から用いられている、例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、エステルアクリレートオリゴマー、多官能エポキシ樹脂などの各種オリゴマー;イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルメタクリレート、ジシクロペタニルアクリレート、ジシクロペタニルメタクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、モルホリンアクリルアミド、モルホリンメタクリルアミド、アクリルアミドなどのアクリル系化合物やN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、スチレンなどの各種の単官能性ビニル化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ポリエステルジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなど多官能性ビニル化合物;水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなどの各種エポキシ系化合物などの1種または2種以上と、光重合開始剤および必要に応じて増感剤などを含有する光硬化性樹脂組成物を用いることができる。
充填材として用いる固体微粒子としては、例えば、カーボンブラック微粒子などの無機微粒子、ポリスチレン微粒子、ポリエチレン微粒子、ポリプロピレン微粒子、アクリル樹脂微粒子、合成ゴム微粒子などの有機重合体微粒子などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。固体微粒子の粒径は特に制限されないが、一般的には平均粒径が200μm以下、特に100μm以下のものが好ましく用いられる。
図2〜図5は、本発明の光造形法で用いる光造形装置の要部(各面状描画マスク単位での装置部分)の例をそれぞれ示したものである。また、図6は、図2に示したような装置部分を2つ組み合わせて、2個の面状描画マスクを有する光造形システムを構築し、それを使用して本発明の方法にしたがって光造形を行う際の一例を示したものである。
図2〜図6において、1は光源、2は集光レンズ、3(3a,3b)は面状描画マスクであって、そのうち3aは液晶シャッターを面状に配置した面状描画マスク(以下「液晶式面状描画マスク」ということがある)、3bはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスク(以下「DMD式面状描画マスク」ということがある)を示す。
また、4は投影レンズ、5は光硬化性樹脂組成物表面よりなる造形面(1層分の造形面)、5aは造形面の一方の端部、5bは造形面のもう一方の端部、6は前記造形面に形成される露光像(光硬化した樹脂層)、7は光ファイバーやライトガイドなどの光伝達手段、8はロッドレンズ、9は結像レンズ、10は反射鏡を示す。
その際に、図2および図6に示すように光源1からの光をロッドレンズ8、結像レンズ9および反射鏡10を経由して集光レンズ2に導くようにしてもよいし、図3および図4に示すように光源1を集光レンズ2の背面側に直接配置して光源1からの光を集光レンズ2に直接導くようにしてもよいし、または図5に示すように光源1を集光レンズ2とは離れた場所に配置しておいて光源1からの光を光ファイバーやライトガイドなどの光伝達手段7を介して集光レンズ2に導くようにしてもよい。
光源1の種類や形状は特に制限されず、例えば、図2〜図6に示すような、光放出部が丸形の光源であってもよいし、図示していないが、光放出部が横長(又は縦長)の棒状の光源であってもよいし、または他の形状の光源であってもよい。
光源1は、図2、図4、図6に示すように、横向きに配置することが好ましい。
さらに、面状描画マスク3(3a,3bなど)の寸法も、製造しようとする光造形物の形状や寸法(特に断面形状やその寸法)などに応じて適当な寸法のものを採用することができる。面状描画マスク3(3a,3bなど)は、例えば、図2〜図6に示すように、形成しようとする所定の光硬化した断面形状パターンの全幅(造形面の全幅)よりもその幅寸法が小さいものであってもよいし、図示していないが形成しようとする所定の光硬化した形状パターンの全幅(造形面の全幅)をカバーし得るような幅寸法を有するものであってもよい。
また、面状描画マスク3として、DMD式面状描画マスク3bを用いた場合は、形成しようとする所定の断面形状とDMD式面状描画マスク3bの連続移動に対応させてコンピューターなどに予め記憶させた情報に応じて、面状に配置された複数の微小なミラーシャッターのうち特定のミラーシャッターは光が投影レンズ4および透光面5の方向に反射される(導かれる)方向に向き、一方光を遮蔽させるべき箇所に位置するミラーシャッターは光が投影レンズ4および造形面5の方向に反射されない(導かれない)方向に向き、そのような操作を、所定の断面形状を有する光硬化した樹脂層が形成されるまで連続的(動画的)に繰り返すように設計されている。
そして、面状描画マスク3(3a,3bなど)におけるマスク画像(マスクパターン)が、上記したように、予めコンピューターなどに記憶されているマスク画像に関する情報に基づいて、形成しようとする光硬化した樹脂層の所定の断面形状パターンに対応して、面状描画マスク3(3a,3bなど)の連続移動と同期して、動画的に連続的に変化しながら、造形面5(光硬化性樹脂組成物の表面)に光照射が行われて、所定の断面形状を有する光硬化した樹脂層(露光像6)が連続的に形成される。
図6で例示した光造形操作を行うに当たっては、1層分の光硬化した樹脂層(露光像6)の形成時(連続造形操作時)に、断面形状パターン(露光像6)の各部における光照射量を等しくするために、光源1(または光伝達手段7)、ロッドレンズ8、結像レンズ9、反射鏡10、集光レンズ2、面状描画マスク3(3a,3b)、投影レンズ4などの連続移動時の速度を等速とし且つ面状描画マスク3aおよび投影レンズ4を経て造形面5に到達する光の強度が光造形操作中に変化しないようにすることが好ましい。
その上、光照射によって形成される露光像6(光硬化した樹脂層)の各部は、単に1回の光照射のみによって硬化されるのではなく、投影レンズ4を経て造形面5に照射される連続的に変化する動画的な所定パターンの光が、該各部を完全に通過し終えるまでの間中、連続的に照射されて光硬化した樹脂層が形成される。そのため、本発明による場合は、光造形時の照射光の移動速度を速くしても十分な光硬化を行うことができ、目的とする光造形物を短時間で生産性良く製造することができる。しかも、本発明による場合は、形成される露光像6(所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂)の各部における光照射量が前記した連続的な光照射によって均一化されるので、面状描画マスクを停止した状態で光を照射する上記した従来技術におけるような隣接する照射部間の不連続性や光照射の不均一が生じず、断面形状パターン全体に均一な斑のない光照射が行われて、光造形物の寸法精度および造形精度が向上し、さらに強度斑がなくなり、外観により優れたものとなる。
(1) 光源1として120W超高圧水銀ランプを備え、面状描画マスク3aとしてカシオ社製のTFT方式VGA(640×480画素)の液晶を備える、図2に示す装置単位を、図6に示すようにして2組横方向に離して並列配置し、それぞれの面状描画マスク3aを同じ速度で同方向に連続移動させて光造形を行って、図7の断面形状パターンを有する立体造形物(縦×横×厚さ=220mm×220mm×15mm)を製造した。
前記光造形操作では、それぞれの面状描画マスク3aによる描画領域をその移動方向に真中で2等分した形状にし、また光硬化性樹脂組成物としてシーメット株式会社製「CPX−1000」(硬化感度2.5mJ)を用いて、1つの面状描画マスクによる造形面5(光硬化性樹脂組成物表面)への投影サイズ=28.8mm(装置の進行方向)×38.4mm(進行方向と直角の方向)(方形)、造形面5での光エネルギー強度2.5mW/cm2、光源1、ロッドレンズ8、結像レンズ9、反射鏡10、集光レンズ2、面状描画マスク3aおよび投影レンズ4を一体した装置の光照射時の連続移動速度=28.8mm/secの条件を採用した。
(2) この実施例1で要した全造形時間は58分であり、1枚の面状描画マスクを使用して同じ立体造形物を製造した場合の約1/2の造形時間で、また光ビーム(光ビームのエネルギー強度=120mW、移動速度=5m/sec)により造形を行って同じ立体造形物を製造した場合の約1/20の造形時間で済み、極めて高速で短時間で光造形を行うことができた。得られた立体造形物は、外観、強度に優れるものであった。
そして、本発明の光学的立体造形方法および装置は、小型から大型に至る各種の立体造形物の製造に有効に使用することができる。
本発明の光学的立体造形方法および装置による場合は、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物、金型、母型などのためのモデルや加工用モデル、複雑な熱媒回路の設計用の部品、複雑な構造の熱媒挙動の解析企画用の部品、その他の複雑な形状や構造を有する各種の立体造形物を、高い造形速度および寸法精度で円滑に製造することができる。
2 集光レンズ
3 面状描画マスク
3’ 面状描画マスク
3a 液晶シャッターを面状に配置した面状描画マスク
3b デジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスク
4 投影レンズ
5 造形面
6 露光像
7 光伝達手段
8 ロッドレンズ
9 結像レンズ
10 反射鏡
Claims (11)
- 光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に面状描画マスクを介して制御下に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して光硬化性樹脂組成物よりなる造形面を形成し、その造形面に面状描画マスクを介して制御下に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する光造形工程を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことによって立体造形物を製造する方法であって;
光造形を、マスク画像を連続的に変化させ得る複数の面状描画マスクを使用して行い;且つ、
光造形工程の少なくとも一部で、前記面状描画マスクを光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に対して連続的に移動させると共に、面状描画マスクのマスク画像を、形成しようとする光硬化した樹脂層の断面形状パターンに対応させて面状描画マスクの移動と同期させて連続的に変えながら光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に面状描画マスクを介して光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成する造形操作を行う;
ことを特徴とする光学的立体造形方法。 - 面状描画マスクの位置を感知するセンサーを複数配置して、それぞれの面状描画マスクの位置を2点以上で計測し、計測された値に基づいてそれぞれの面状描画マスクの位置補正を行って、複数の面状描画マスクの間の位置ずれを解消することからなる請求項1に記載の光学的立体造形方法。
- それぞれの面状描画マスクのマスク画像を通して光を照射してそれぞれの描画領域の光硬化を分担して行い、全体で所定の断面形状パターンを有する1層分の光硬化した樹脂層を形成する操作を繰り返して立体造形物を製造する請求項1または2に記載の光学的立体造形方法。
- 面状描画マスクとして、微小ドットエリアでの遮光および透光が可能な複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクを用い、面状描画マスクの連続移動時に、形成しようとする断面形状パターンに対応させて前記複数の微小光シャッターによりマスク画像を連続的に変えながら光硬化性樹脂組成物の表面への光照射を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学的立体造形法方法。
- 面状描画マスクが、液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクである請求項4に記載の光学的立体造形方法。
- 載置台上または光硬化した樹脂層上に、1層分の光硬化性樹脂組成物を順次供給するための光硬化性樹脂組成物の供給手段;
光源;
マスク画像を連続的に変えることのできる複数の面状描画マスク;
複数の面状描画マスクのそれぞれを光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に対して連続的に移動させるための移動手段;および、
それぞれの面状描画マスクのマスク画像を、面状描画マスクの移動と同期させて連続的に変化させるための手段;
を備えていることを特徴とする光学的立体造形装置。 - 面状描画マスクの位置を検知・計測するための複数のセンサー、前記センサーの検知・計測値に基づいてそれぞれの面状描画マスクの位置補正を行って、複数の面状描画マスクの間の位置ずれを解消させるための手段を有する請求項6に記載の光学的立体造形装置。
- それぞれの面状描画マスクのマスク画像を通して光を照射してそれぞれの描画領域の光硬化を分担して行わせると共に、全体で所定の断面形状パターンを有する1層分の光硬化した樹脂層を形成させるための手段を有する請求項6または7に記載の光学的立体造形装置。
- 面状描画マスクが、微小ドットエリアでの遮光および透光が可能な複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクである請求項6〜8のいずれか1項に記載の光学的立体造形装置。
- 面状描画マスクが液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクである請求項6〜9のいずれか1項に記載の光学的立体造形装置。
- 光源と面状描画マスクとの間に面状描画マスクと同期させて連続的に移動させることのできる光集レンズを有し、面状描画マスクと光硬化性樹脂組成物の表面との間に面状描画マスクと同期させて連続的に移動させることのできる投影レンズを有する請求項6〜10のいずれか1項に記載の光学的立体造形装置。
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