JP2005081706A - スクラッチシート - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱転写方式により転写された剥離性隠蔽層の周縁部の転写品質を向上させ、商品品位の良好なスクラッチシートを提供する。
【解決手段】 文字又は図柄等からなる隠蔽情報10及びこの隠蔽情報10の上層に位置する剥離層11が基材2上に形成され、隠蔽情報10を剥離可能に隠蔽する剥離性隠蔽層12が熱転写方式により形成されているスクラッチシートにおいて、剥離層11の周縁部に剥離性隠蔽層12との接着強度が剥離層よりも強い隠蔽層接着部13を設け、剥離性隠蔽層12の周縁部を隠蔽層接着部13上に形成する。これにより、剥離性隠蔽層12と隠蔽層接着部13の転写部位の密着が良好になり、端部において非転写部に熱拡散しても端部を良好に切断することができる。その結果、熱転写方式により転写された剥離性隠蔽層12の周縁部の転写品質を向上させることができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、剥離性隠蔽層を熱転写記録方式により形成したスクラッチシートに関する。
紙、フィルム等の基材上に文字又は図柄等の隠蔽情報を記録し、その上層に爪やコイン等の機械的な手段により簡単に剥離可能な隠蔽層が設けられたスクラッチシートは、スピードくじやゲーム等に使用されている。
このようなスクラッチシートを実現する方法としては、オフセット印刷により形成する方法や、隠蔽情報をオフセット印刷や凸版印刷により形成し、剥離性隠蔽層をスクリーン印刷法やグラビア印刷法により形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記したような印刷法によれば、比較的大型な装置を用いて製造するため、オンデマンドに情報を入れたりすることが困難であること、スクラッチシートの消費量が期待するより少なかったりすると設備償却費等の比率が増大し、コストが比較的に高価になる等の問題がある。
そこで、このような問題を解決すべく、基材上に電子供与性化合物と電子受容性化合物を含有する感熱記録層、電子線又は紫外線硬化型の樹脂からなる剥離層を設け、剥離性隠蔽層を熱転写記録方式により形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば、隠蔽したい隠蔽情報をサーマルヘッド等により記録し、さらにその上層に形成された剥離層上に熱転写方式により剥離性隠蔽層を積層して隠蔽情報を隠蔽することにより、オンデマンドで必要な部分に隠蔽情報及び剥離性隠蔽層を形成できる利点があり、経済的である。
特開平04-220399号公報 特開2003−103936公報
ところで、上述したような熱転写方式により基材に転写された剥離性隠蔽層は、転写直後においては、剥離層にある程度の密着性を要し、一方では、容易に剥離可能であることが要求される。このように剥離性隠蔽層に要請される特性を満たすためには転写時の熱エネルギーの細かな制御が必要になり、安定した剥離性隠蔽層を形成するのが困難である。
ここで、図13及び図14を参照して剥離性隠蔽層を転写した際の問題について詳述する。図13及び図14に示すように、剥離層101に文字又は図柄等の隠蔽情報103を隠蔽する剥離性隠蔽層102を転写して形成する場合、剥離性隠蔽層102の転写が開始される端部102aの辺はさほど問題ないが、各コーナー部102c、サイド部102dや終端部102bは、ぎざ状になり易い。このように熱転写方式により転写された剥離性隠蔽層102の周縁部がぎざ状に形成されたスクラッチシート100は、見栄えが悪く、商品品位が低下してしまうという問題がある。
本発明は、熱転写方式により転写された剥離性隠蔽層の周縁部の転写品質を向上させ、商品品位の良好なスクラッチシートを提供することを目的とする。
本発明のスクラッチシートは、隠蔽情報及びこの隠蔽情報の上層に位置する剥離層が基材上に形成され、前記隠蔽情報を機械的に剥離可能に隠蔽する剥離性隠蔽層が熱転写方式により形成されているスクラッチシートにおいて、前記剥離層の周縁部に前記剥離性隠蔽層との接着強度が前記剥離層よりも強い隠蔽層接着部を設け、前記剥離性隠蔽層の周縁部が前記隠蔽層接着部上に形成されている。
したがって、剥離性隠蔽層と隠蔽層接着部の転写部位の密着が良好になり、端部において非転写部に熱拡散しても端部が良好に切断される。その結果、隠蔽層周辺部でも良好な転写が得られる熱エネルギーマージンを拡大することが可能になる。
本発明によれば、熱転写方式により転写された剥離性隠蔽層の周縁部の転写品質を向上させることができ、商品品位の良好なスクラッチシートを提供することができる。
本発明の第一の実施の形態を図1ないし図6に基づいて説明する。
ここで、図1はスクラッチシート1を概略的に示す平面図、図2はスクラッチシート1の剥離性隠蔽層12の一部を剥離した例を示す平面図である。図1及び図2に示すように、スクラッチシート1は、基材2上にプレ印刷部3及びスクラッチ部4を有している。これらの基材2、プレ印刷部3及びスクラッチ部4により、スクラッチシート部材1a(図6参照)が構成される。すなわち、スクラッチシート部材1aとは、後述する剥離性隠蔽層12が形成される前のスクラッチシート1の状態を指す。
プレ印刷部3は、スクラッチシート1の説明等の情報をオフセット印刷や凸版印刷等により印刷するためのもので、例えばUV硬化型印刷インキの乾燥皮膜により形成されている。
スクラッチ部4には、基材2上に記録された文字又は図柄等の隠蔽情報10を覆うように剥離性隠蔽層12が設けられている。このような剥離性隠蔽層12は、爪やコイン等の機械的手段により容易に剥離可能であり、スクラッチ部4の剥離性隠蔽層12を爪やコイン等の機械的手段により剥離することにより(剥離箇所5(図2参照))、下部に隠蔽されている隠蔽情報10(図2参照)が視認可能になる。図2には、スクラッチ部4の剥離箇所5を剥離すると「はずれ」等の隠蔽情報10が視認できることを示している。
ここで、スクラッチシート1のスクラッチ部4について詳述する。
ここで、図3はスクラッチ部4の剥離性隠蔽層12の一部を剥離した例を拡大して示す平面図、図4はその断面図である。図3及び図4に示すように、基材2上には、文字又は図柄等の隠蔽情報10が印刷されている。ここで、隠蔽情報10の印刷には、例えば、UV硬化型アクリル樹脂等を含有する印刷インキや、T&K TOKA社製のUV RNC、UV NVRシリーズ等の印刷インキが使用可能である。
このような隠蔽情報10上には、UV硬化型シリコーン樹脂である剥離層11が、隠蔽情報10を覆うようにオフセット印刷等により印刷されている。具体的な印刷材料としては、例えば、T&K TOKA社製のUVハクリOPニス等が使用可能である。
このような剥離層11の周囲には、隠蔽層接着部13が設けられてる。この隠蔽層接着部13は、基材2の一部をそのまま利用するようにしても良い。
このようにして得られたスクラッチシート部材1aに対して、剥離性隠蔽層12が熱転写方式により形成される。この剥離性隠蔽層12は、隠蔽情報10を覆うとともに隠蔽層接着部13の終端部からはみ出さないように形成される。
ここで、剥離性隠蔽層12の熱転写方式による形成について詳述する。図5は剥離性隠蔽層12を形成する剥離性隠蔽熱転写リボン20を示す断面図である。図5に示すように、剥離性隠蔽熱転写リボン20は、PET(Polyethylene Terephthalate)フィルム21の一方の面に剥離性隠蔽層を形成する隠蔽熱転写インク層22が設けられ、隠蔽熱転写インク層22の逆側の面には、後述するサーマルヘッド31(図6参照)により熱が印加されてもスティッキングが生じないようにバックコート層23が設けられている。本実施の形態においては、剥離性隠蔽層12の形成に用いる剥離性隠蔽熱転写リボン20は、KURZ社製の型番K−102を使用した。
熱転写方式による剥離性隠蔽層12の形成には、熱転写プリンタ30として、東芝テック(株)製のCI―200名刺はがきプリンタを用いて行った。図6は、剥離性隠蔽層12を形成するのに使用した熱転写プリンタ30の各部の構成を概略的に示す構成図である。図6においては、サーマルヘッド31は1つしか図示していないが、実際には、2つのサーマルヘッド31が剥離性隠蔽熱転写リボン20の搬送方向に向けて並設されている。図6に示すように、スクラッチシート部材1aへの剥離性隠蔽層12の形成は、サーマルヘッド31からの熱エネルギーにより巻き出しロール34から供給された剥離性隠蔽熱転写リボン20が溶融し、サーマルヘッド31とプラテンロール32の間に狭持されたスクラッチシート部材1aに隠蔽熱転写インク層22を転写することにより行われる。スクラッチシート部材1aへの剥離性隠蔽層12の転写は、冷時ユニット33である程度冷却した後に剥離性隠蔽熱転写リボン20の基材のPETフィルム21から引き離されることにより行われる。転写後不要な剥離性隠蔽熱転写リボン20は、巻取りロール35で巻き取られる。冷時ユニット33は、端面型サーマルヘッド31を用いても平面型サーマルヘッドと同一の転写条件になるように、端面型サーマルヘッド31により熱印加直後に、剥離性隠蔽熱転写リボン20を鋭角に巻上げることなく、しばらくスクラッチシート1に押し当てられながら、巻上げることが可能にする。すなわち、ある程度冷えた後に巻上げることにより、熱が印加された部分の隠蔽熱転写インク層22が剥離シートに転写される方法である。
なお、剥離性隠蔽層12の転写パターンは、隠蔽情報10を完全に覆い、かつ、その端部が剥離層11の周りに設けられた隠蔽層接着部13上に剥離性隠蔽層12が位置するように設定される。
ところで、剥離性隠蔽層12と剥離層11との密着性は、転写後容易に剥離できるように構成材料が選ばれているために弱くなっている。そのため、このような相互の関係で、剥離性隠蔽層12の剥離層11への熱転写方式による転写品質を確保することは難しい。すなわち、相性の悪い剥離層11への転写は、一度転写しても剥離性隠蔽熱転写リボン20とPETフィルム21の方が相性は良いので、バック転写(転写したインク層がPETフィルム21側に戻る現象)を生じやすい。このようなバック転写を少なくするためには、剥離性隠蔽熱転写リボン20の中心部と周辺部での転写条件を変える必要がある。通常、剥離性隠蔽熱転写リボン20には熱伝導性の良いアルミ紛が多く含有したものが用いられていることから、周辺部には熱が印加されていない部分への熱拡散があるのに対し、中央部にはその周りにも熱が印加されているので、周りの部位との温度勾配が少ないので熱拡散は少ない。したがって、周辺部は中央部よりも多く熱を印加しないと、中央部とは同一な条件にならないからである。しかしながら、上述したように熱転写プリンタ30として東芝テック(株)製のCI―200名刺はがきプリンタを用いており、熱転写プリンタ30はスクラッチシート専用でないため、中心部と周辺部での転写条件を細かくコントロールすることは困難である。
そこで、本実施の形態においては、どのようなプリンタ30でも転写品質が良好な剥離性隠蔽層12を形成するために、剥離層11よりも剥離性隠蔽層12と相性のよい隠蔽層接着部13を剥離層11の周縁部に設け、この部分に剥離性隠蔽層12の端部(周辺部)を転写するようにした。これにより、剥離性隠蔽層12と隠蔽層接着部13の転写部位の密着が良好になり、端部において非転写部に熱拡散しても端部が良好に切断される。その結果、隠蔽層周辺部でも良好な転写が得られる熱エネルギーマージンを拡大することができる。このことにより剥離性隠蔽層12の周辺部はPETフィルム21へのバック転写が減少し、良好な転写品質を得ることが可能になる。
剥離層11の周縁部の隠蔽層接着部13上に形成されている剥離性隠蔽層12は、わずかに隠蔽層接着部13上に設けるだけでも隠蔽層接着部13が全くない部分に形成する場合と比較して、剥離性隠蔽層12の端部は下地との密着性が向上し、ぎざ状等が発生し難くなる効果はあるが、好ましくは、スクラッチシート1のサイズにも依存するが約2mm程度以上設けることが望ましい。これは、プリンタ30における蛇行等も考慮すると隠蔽層接着部13の幅を2mm程度以上設けると安定して剥離性隠蔽層12の端部は、ぎざ状等が認められない良好な転写を実現することができる。
また、基材2は、紙だけでなくPET等プラスチック基材でも剥離性隠蔽層12の転写性能が、剥離層11よりも良好であれば、全体の転写性能は向上するので本発明の目的として使用可能である。
次に、本発明の第二の実施の形態を図7及び図8に基づいて説明する。なお、本発明の第一の実施の形態において説明した部分と同一部分については同一符号を用い、説明も省略する。第二の実施の形態以降の実施の形態についても同様とする。
ここで、図7は第二の実施の形態のスクラッチシート1のスクラッチ部4の剥離性隠蔽層12の一部を剥離した例を拡大して示す平面図、図8はその断面図である。図7及び図8に示すように、基材2上にオフセット印刷等により隠蔽情報10を印刷する。ここで用いる隠蔽情報10は、例えばUV硬化型のアクリル系樹脂を用いた印刷インキが使用可能である。
また、隠蔽情報10上には、UV硬化型のシリコーン樹脂で剥離層11をオフセット印刷等により印刷する。加えて、剥離層11の周縁部には、UV硬化型アクリル樹脂を含有するオフセット印刷等のプレ印刷により隠蔽層接着部13を形成する。
そして、剥離層11及び隠蔽層接着部13の一部には、第一の実施の形態と同様に、剥離性隠蔽層12を形成する。
これにより、プレ印刷による隠蔽層接着部13は、剥離層11よりも剥離性隠蔽層12との相性が良いので、第一の実施の形態と同様に、剥離性隠蔽層12の端部はぎざ状の少ない綺麗な転写となる。
次に、本発明の第三の実施の形態を図9ないし図12に基づいて説明する。第一の実施の形態及び第二の実施の形態においては、隠蔽情報10は、予め印刷が必要な微塗工紙等の印刷用の基材2上に形成した。本実施の形態においては、基材2として基材上に感熱発色層を有した感熱紙を用いた場合について説明する。
ここで、図9は第三の実施の形態のスクラッチシート1のスクラッチ部4の剥離性隠蔽層12の一部を剥離した例を拡大して示す平面図、図10はその断面図である。図9及び図10に示すように、スクラッチシート1の基材2である感熱紙14は、感熱紙基材14a、感熱紙アンダーコート層14b、感熱紙発色層14c及び感熱紙保護層14dから構成されている。そして、第一の実施の形態及び第二の実施の形態と同様に、感熱紙14に対してプレ印刷部3及び剥離層11をオフセット印刷で形成することによって、スクラッチシート部材1aを生成する。また、剥離層11の周縁部の隠蔽層接着部13については、感熱紙保護層14dの一部をそのまま利用する。
このようにして得られたスクラッチシート部材1aにおいては、熱転写プリンタ30に設置されている2つのサーマルヘッド31の内の第1のサーマルヘッドにより感熱紙14に熱エネルギーを印加することで、感熱紙14に隠蔽情報10を直接形成する。さらに、第2のサーマルヘッド(図示せず)により剥離性隠蔽層12をすでに形成されている隠蔽情報10とその上部に積層されている剥離層11の上部に転写することにより隠蔽し、さらに隠蔽層接着部13の周端部からはみ出さないように転写する。この場合、剥離性隠蔽層12の転写領域について、転写の際に転写位置ずれが生じても隠蔽層接着部13の周端部より内側になるように予め設定することにより、剥離性隠蔽層12がはみ出すのを防止することができる。
また、感熱紙14は、剥離性隠蔽層12を第2のサーマルヘッド31により熱を印加しても地発色しない程度の感度を有する必要がある。地発色すれば、すでに印字された隠蔽情報10が視認できなくなるからである。さらに、地発色した感熱紙の部分に転写された剥離性隠蔽層12は、隠蔽層接着部13との密着性が低下し、その剥離性隠蔽層12は、ぎざ状に転写されてしまう。これは、感熱紙発色層14cの溶けた成分が感熱紙保護層14dを通過し、隠蔽層接着部13に滲みだすためと考えられる。
そこで、本実施の形態においては、剥離性隠蔽層12の転写の際に印加するエネルギーでも地発色しない感熱紙発色層14cを有する感熱紙14を使用している。より具体的には、感熱紙14にはリコー社製の120LBを使用し、プレ印刷部3、隠蔽層接着部13、剥離層11を設ける。剥離性隠蔽層12の融点は、感熱紙が転写時に発色しない程度の温度の特性を有するものを選定する。熱転写プリンタ30(東芝テック社製のCI―200)の第1のサーマルヘッド31により印加エネルギー0.25mj/dotで印字し、剥離性隠蔽層12は第2のサーマルヘッド31により印加エネルギー0.11〜0.21mj/dotで形成する。これにより、感熱紙14であるリコー社製の120LBは地発色せず、隠蔽層接着部13により剥離性隠蔽層12の端部にぎざ状のなく転写品質は良好であることが確認することができた。このように隠蔽情報の視認性を確保し、かつ剥離性隠蔽層12と隠蔽層接着部13との密着強度を確保するためには、熱転写により形成される剥離性隠蔽層12を形成する際の転写エネルギーが感熱紙14の感熱紙発色層14cの発色エネルギーより小さい材料を選択することが必要である。
なお、隠蔽層接着部13を設けずに全面を剥離層11とした場合には、ぎざ状の印字になる。微妙に熱エネルギーをコントロールしても、凡そ最適な印加エネルギーが0.2mj/dot程度で微妙な制御をしてもぎざ状が幾分減少しする程度で、印字品位としては不十分である。それ以上のエネルギーやそれ以下のエネルギーでは急激にぎざ状が増し転写品質が悪化してしまう。
このように剥離層11の周縁部に隠蔽層接着部13を設けることにより、良好な剥離性隠蔽層12の転写エネルギーである印加エネルギーを細かく制御しなくても良好な転写品位を確保することができる。
なお、本実施の形態においては、隠蔽層接着部13として感熱紙保護層14dの一部をそのまま使用したが、第二の実施の形態と同様に、UV硬化型アクリル系樹脂を用いるようにしても良い。
また、図11や図12のような変形例も考えられる。図11においては、隠蔽層接着部13が変形部15に無い例を示している。この場合でも、隠蔽層接着部13が変形部15により剥離性隠蔽層12の転写品質に問題ない程度の大きさであれば良い。また、剥離性隠蔽層12との密着強度が、隠蔽層接着部13より弱くても剥離層11よりも強ければ、この変形部15も隠蔽層接着部13と同等の役割を果たすことはいうまでも無い。
また、図12においては、剥離層11が長方形でなく、変形部16の部分まであった場合でも、変形部16のエリアが転写品質に問題ない程度であれば、剥離層11の周縁部に隠蔽層接着部13が設けられたものとして考えて良い。
このように剥離層11に転写後剥離可能な剥離性隠蔽層12を形成する場合に、剥離性隠蔽層12との接着性が良好な新たな隠蔽層接着部13を設けることにより、確実な転写品質を得ることができる。言い換えれば、剥離性隠蔽層12の転写条件を緩和することができる。これは、転写マージンを拡大することができるからである。
特に、基材2として感熱紙発色層14cを有する感熱紙14を用いた場合で、周囲温度(環境温度)により、周囲温度に対する剥離性隠蔽熱転写リボン20と感熱紙14の感度の影響度が異なることから、転写マージンが大きくないと周囲温度により安定した転写品質が得られない。具体的には、低温環境下では、感熱紙14の感度低下よりも剥離性隠蔽熱転写リボン20の感度低下は大きい。ここで、熱転写プリンタ30(例えば、東芝テック社製のCI―200)は、剥離性隠蔽熱転写リボン20に印加するエネルギーは周囲温度により大きく変化させる。低温の場合、剥離性隠蔽熱転写リボン20に高エネルギーを印加するので、感熱紙14の地発色が生じやすい。感熱紙14は低温でもそれほど感度の低下がないので、前述したように低温時にかぶりやすい、転写品質が低下する等の問題が生じなかった。
なお、本実施の形態では、四角の剥離層11や隠蔽層接着部13、剥離性隠蔽層12について説明したが、円形、楕円形等での剥離層11の周縁部に隠蔽層接着部13を設けることにより、剥離性隠蔽層12の転写品質が向上することは言うまでも無い。
また、隠蔽層接着部13と剥離性隠蔽層12の相性は、転写後の剥離性隠蔽層12が剥離できない程度密着性が得られたほうが、転写の品質は良くなりより好ましい。
なお、各実施の形態では、剥離性隠蔽層12を形成する剥離性隠蔽熱転写リボン20にKURZ社製K−102を使用したが、これに限られるものではない。
また、各実施の形態においては、隠蔽層接着部13は剥離層11の周辺全領域に設けたが、剥離性隠蔽層12の転写開始部12a周辺には設けなくてもさほどこの部位の転写品位が見劣りするほど(ぎざ状の程度がごくわずか)でないので問題にはならない。転写開始時においては、通常、熱転写プリンタ30(例えば、東芝テック社製のCI―200)は転写履歴によりサーマルヘッド31に印加する熱エネルギーをコントロールする。剥離性隠蔽層12の転写開始部12aを転写する際、サーマルヘッド31の蓄熱がないので(転写開始部12aの前に剥離性隠蔽層12の転写が行われていないため)、通常の印字の際よりも比較的大きい熱エネルギーを印加する。この場合、剥離性隠蔽熱転写リボン20上に付着されている剥離性隠蔽層12として転写される熱転写インク層22の熱が印加された部分と熱転写されていない熱転写層は未だ熱エネルギーが付与されていないので温度は室温のままである。そのために、剥離性隠蔽層12と未転写層の隣接部位において、剥離性隠蔽層12が転写されるときは、その転写される端部は、比較的シャープに未転写層と切断される。その結果、剥離性隠蔽層12の転写開始部12aは、ぎざ状にはなり難く、比較的良好な転写品位が得られる。
しかし、剥離性隠蔽層12の終端部12bや剥離性隠蔽層のコーナー部12cは、サーマルヘッド31の蓄熱等もあり、熱転写インクリボンの隠蔽熱転写インク層22を転写する際の印加される熱が印加されていない周辺部にも熱が伝わってしまうため熱が印加された部分とされていない部分の温度差が少なくなっているので、これらの熱転写層の切断部位における切断がシャープにできないので、その結果転写層の端部はぎざ状等になってしまう。したがって、少なくとも剥離性隠蔽層12の転写開始部12a以外の3辺周辺には隠蔽層接着部13が設けられていることが望ましいが、隠蔽層接着部13が、剥離性隠蔽層12の全ての周縁部に設けられていることがよりも望ましいことは言うまでもない。
本発明の第一の実施の形態のスクラッチシートを概略的に示す平面図である。 スクラッチシートの剥離性隠蔽層の一部を剥離した例を示す平面図である。 スクラッチ部の剥離性隠蔽層の一部を剥離した例を拡大して示す平面図である。 その断面図である。 剥離性隠蔽層を形成する剥離性隠蔽熱転写リボンを示す断面図である。 剥離性隠蔽層を形成するのに使用した熱転写プリンタの各部の構成を概略的に示す構成図である。 本発明の第二の実施の形態のスクラッチシートのスクラッチ部の剥離性隠蔽層の一部を剥離した例を拡大して示す平面図である。 その断面図である。 本発明の第三の実施の形態のスクラッチシートのスクラッチ部の剥離性隠蔽層の一部を剥離した例を拡大して示す平面図である。 その断面図である。 スクラッチシートのスクラッチ部の変形例を示す平面図である。 スクラッチシートのスクラッチ部の別の変形例を示す平面図である。 従来のスクラッチシートの構成を示す断面図である。 剥離層上に隠蔽情報を隠蔽する剥離性隠蔽層を転写した状態を示す説明図である。
符号の説明
1 スクラッチシート
2 基材
10 隠蔽情報
11 剥離層
12 剥離性隠蔽層
13 隠蔽層接着部
14 感熱紙
14c 感熱紙発色層
31 サーマルヘッド

Claims (5)

  1. 隠蔽情報及びこの隠蔽情報の上層に位置する剥離層が基材上に形成され、前記隠蔽情報を機械的に剥離可能に隠蔽する剥離性隠蔽層が熱転写方式により形成されているスクラッチシートにおいて、
    前記剥離層の周縁部に前記剥離性隠蔽層との接着強度が前記剥離層よりも強い隠蔽層接着部を設け、前記剥離性隠蔽層の周縁部が前記隠蔽層接着部上に形成されている、
    ことを特徴とするスクラッチシート。
  2. 前記剥離性隠蔽層の周縁部の端部が前記隠蔽層接着部上に形成されている、
    ことを特徴とする請求項1記載のスクラッチシート。
  3. 前記剥離性隠蔽層が熱転写される際に、転写開始される部位以外の周縁部が少なくとも前記隠蔽層接着部上に形成されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のスクラッチシート。
  4. 前記基材が熱エネルギーにより発色する感熱発色層を有した感熱紙であり、この感熱紙の表面を前記隠蔽性接着部として用いた、
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のスクラッチシート。
  5. 前記感熱紙の前記感熱発色層が、サーマルヘッドにより印加される熱エネルギーによって前記剥離性隠蔽層を転写する際に、前記熱エネルギーによって発色しない発色感度を有する、
    ことを特徴とする請求項4記載のスクラッチシート。
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