JP2005080596A - 菌床の作成方法、茸類の栽培方法、冶具 - Google Patents

菌床の作成方法、茸類の栽培方法、冶具 Download PDF

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Abstract

【課題】 菌床へのカビや雑菌による汚染を防止し、子実体の収穫量および歩留まりを増大させることのできる菌床の作成方法、茸類の栽培方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】 培地に万年茸の菌を蔓延させて菌床を生成した後、子実体を生育させる過程に移行する先立ち、培養袋13を、培地の表面よりも下方の位置Lで切開し、培地の表面に生成された菌糸の塊を除去するようにした。このとき、切開した位置Lよりも上方部分の培地ごと、菌糸の塊を除去するようにした。その後、菌床を所定の環境下に保持することで、培地表面の菌糸を再生することも有効である。
【選択図】図3

Description

本発明は、万年茸をはじめとする茸類を栽培する際に用いて好適な、菌床の作成方法、茸類の栽培方法、冶具に関する。
万年茸はサイワイタケとも称される茸類であり、中国名では霊芝(れいし)とも称され、旧来より床飾り等の鑑賞用とされていた。
近年、霊芝の薬効効果が注目され、霊芝は顆粒、錠剤等の形態で健康補助食品として提供されている。
万年茸を栽培するには、おが屑や米ぬか、ふすま等を混ぜたもの(これを培地と称する)を培養袋や広口ビン等の容器に充填した後、この培地に菌を植え付け、これを一定期間培養させる。すると、菌(菌糸)が容器内の培地に蔓延し、いわゆる菌床が得られる。この菌床を、所定範囲内の湿度・温度・照度環境に維持することで菌床から万年茸の子実体が生えてくるので、この環境を一定期間維持することで所望の大きさの万年茸を栽培することができる。
培地に菌を植え付け、一定期間培養することで、菌を培地に蔓延させる過程では、外部から雑菌等が入り込むのを防ぐため、なるべく密封状態にするのが好ましい。その一方、菌が蔓延して菌床が得られた後、子実体を生育させる過程では、菌床から子実体を生やすため、容器に開口部分が必要である。
このため、菌を培地に蔓延させる過程では、容器の開口部を綿状体で閉塞しておき、菌が蔓延した後に綿状体を除去する方法等が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
また、上蓋と下蓋とからなる培養袋の上蓋を除去することで、菌床の表面を露出させる方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平11−146728号公報(請求項1) 特開2001−269164号公報(第3頁)
ところで、培地に菌を植え付け、一定期間培養することで、菌が培地に蔓延した時点では、図14および図15に示すように、培養袋1の開口部側の培地2の表面上に、菌糸の塊Kが形成されていることが多い。
しかしながら、このような菌糸の塊Kは既に活性度が低下しており、乾燥等により生育条件がわずかでも悪化すると、生育が停止し、カビや雑菌の発生箇所となってしまう。カビが発生したり、雑菌が繁殖したりすると、その菌床は不良品となるばかりか、カビや雑菌が他の菌床にも移り、その結果、子実体の収穫量が減少し、歩留まりを低下させるという問題がある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、菌床へのカビや雑菌による汚染を防止し、子実体の収穫量および歩留まりを増大させることのできる菌床の作成方法、茸類の栽培方法等を提供することを目的とする。
かかる目的のもとになされた本発明は、茸類を生育させるための菌床の作成方法であっ
て、容器に培地を充填し、茸類の菌を植え付ける工程と、菌を培地に蔓延させることで菌床を生成する工程と、容器内の培地の表面に形成された菌糸の塊を、培地の表層部とともに除去する工程と、を含むことを特徴とする。このように、菌糸の塊を除去することで、活性度の高い菌糸から茸類の子実体を生育させることができる。このとき、菌糸の塊を、培地の表層部とともに除去することで、菌糸の塊を容易かつ確実に除去できる。
菌糸の塊を除去する工程では、容器内の培地の表面よりも下方の位置で容器を切開し、この位置よりも上方の容器を除去するとともに、この位置よりも上方の部分の培地を、培地の表面に形成された菌糸の塊とともに除去することができる。容器を切開するには、ナイフやカッター等の器具の他、先端部が鋭利に形成されたリブを有する冶具を用いることもできる。
また、菌糸の塊を除去する工程では、容器内の培地の表面よりも下方の位置に、容器の周方向に連続するリブを食い込ませた後、リブを食い込ませることで培地に形成される溝から上方の部分の培地を、培地の表面に形成された菌糸の塊とともに除去することもできる。
ところで、広口ビン等の容器を用いている場合には、スピンドル先端に設けられた回転刃により、容器開口部の菌糸の塊を除去するようなことも考えられる。しかし、このような回転刃では、複数の容器の菌糸の塊を順次除去するため、例えば一つの容器で雑菌汚染等が生じていた場合、他の容器にこの雑菌を感染させてしまうことになる。また、容器に、広口ビン以外のビニール製の袋等を用いる場合、袋の固定が困難であることや、培地を充填した状態での袋の形状が広口ビン等に比較すればバラつくために、回転刃等による菌糸の塊の除去は、実質的に困難である。
これに対し、ナイフやカッター等の器具や、リブを有した冶具で容器を切開する場合には、容器がビニール製の袋であって形状にバラつきがあっても、これに容易に対応できる。また、ナイフやカッター等の器具、冶具のリブは、殺菌あるいは消毒すれば良く、少なくともスピンドルに取り付けられた状態の回転刃を殺菌あるいは消毒するのに比較すれば手間がかからない。
さらに、リブを食い込ませるのみであれば、リブは培地に接触しないので、さらに手間がかからない。
菌糸の塊を除去する工程の後は、菌床を、所定期間、所定の湿度環境下に保持することで、菌糸の塊とともに培地の表層部が除去されることで露出した菌床の表面を再生する工程をさらに含むことが好ましい。ここで、万年茸の場合、菌床を保持する環境としては、湿度70%以上、さらに好ましくは90%以上、温度25〜35℃、さらに好ましくは26℃〜30℃とし、これを1日以上、さらに好ましくは3日以上維持するのが好ましい。これにより、培地の表層部を除去することで切断されたり引き千切られた菌糸が乾燥するのを防止し、活性度の高い状態に再生することができる。
本発明は、茸類の栽培方法として捉えることもできる。この方法は、茸類の菌を培地に蔓延させることで菌床を生成する工程と、菌床を、所定期間、所定の環境下に保持することで、菌床から茸類を生育させる工程と、を備え、菌床を生成する工程では、培地の表面よりも内部側の位置で培地を分割し、その、内部側の培地を菌床とすることを特徴とする。
このとき、菌床を生成する工程では、培地の表面よりも内部側の複数の位置で培地を分割し、菌床を複数生成することもできる。このようにして、ブロック状の菌床を作成することができる。
なお、この菌床を生成する際には容器に培地を充填してもよいが、培地を予め所定の形状に成形し、容器を用いない構成とすることもできる。
また本発明は、茸類を生育させるための菌床を作成する際に用いる冶具とすることもで
き、茸類の菌が蔓延した培地を収容した容器を外周側から挟み込む冶具本体と、冶具本体の容器に対向する面に突出形成され、容器の周方向に形成されたリブと、を備えることを特徴とすることができる。ここで、リブは、容器の周方向に連続しているのが好ましいが、リブを培地に食い込ませることで培地の一部を除去するための溝や凹部、切れ目を形成できるのであれば、不連続であってもよい。
なお、本発明が対象とする茸類としては、例えば万年茸があるが、これに限るものではない。本発明が対象とする茸類としては、他に、例えば、シイタケ、ナメコ、ヒラタケ、シメジ、エノキタケ、キクラゲ、マイタケ、スエヒロタケ、チョレイマイタケ、コフキサルノコシカケ、カワラタケ、メシマコブ、アガリクス、ヤマブシタケ、ハナビラタケ等が挙げられる。
本発明によれば、培地表面上に形成された菌糸の塊を確実かつ容易に除去することができ、これによって菌床へのカビや雑菌による汚染を防止し、子実体の収穫量および歩留まりを増大させることが可能となる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
[第一の実施の形態]
ここでまず、万年茸の栽培方法全般について説明する。
図1は、万年茸の子実体を生育させるための菌床10を示すものである。
菌床10は、その一面が開口した袋体11内に、培地12が充填され、この培地12に万年茸の菌が蔓延した状態のものである。
この菌床10を得るには、まず、ブナ、ナラ等の広葉樹のおが屑に、栄養材として、米ぬか、ふすま、コーンブラン(とうもろこしの実の皮などを粉砕したもの)等を所定の配合比で配合し、必要に応じて水を加え、水分率を例えば65%程度に調製し、培地12を準備する。
そして、この培地12を、図2に示すような培養袋13に所定量(例えば2kg)充填する。この培養袋12には、その開口部近傍に通気フィルタ14が設けられている。
続いて、培養袋13に充填された培地12を、例えば直方体状の所定形状に成形する。そして、この培地12を、高温殺菌装置等において、所定温度(例えば120℃)で所定時間(例えば60分)殺菌した後、所定時間放置して室温まで放冷させる。
その後、培養袋13の開口部から、培地12上に、万年茸の菌(種菌)を所定量(例えば30g)供給し、いわゆる植菌を行う。続いて、培養袋13の開口部を、ヒートシーラーで熱圧着する等して、密閉する(図2において、符号13aが密閉部分である)。このとき、培養袋13の通気フィルタ14は、密閉部分13aよりも下方にあり、これによって培地12の呼吸が可能となっている。
植菌を行った培地12は、日光の当たらない室内で、所定温度(例えば28℃)で所定期間(例えば30日間)置かれ、いわゆる培養が行われる。
培養の結果、植菌された万年茸の菌が培地12の全体に蔓延し、白色を呈した状態となる。
図3に示すように、培養期間の終了後、菌が蔓延した状態の培地12が収められた培養袋13を、側面全周にわたってカッターやナイフNで切開する。ここでカッターやナイフNは予め殺菌あるいは消毒しておくのが好ましい。
このとき、図3、図4に示すように、ナイフNでは、培養袋13に収められた培地12の表面よりも下方の位置L、例えば培地12の表面から1〜2cm下方の位置にて、培養
袋13を側面全周にわたって切開する。また、切開時のナイフNの切込み量は、1〜2cmとする。
そして、培養袋13の上部13bを、切開された位置Lから上方に引き上げて除去する。これにより、図5に示すように、培養袋13の下部13cから、培地12が上方に突出して露出した状態となる。そして、培地12の表面には、菌糸の塊Kが綿状に形成されている。
そこで、殺菌された手袋等を装着した作業者が、培養袋13の下部13cの上端部よりも上方に突出している部分の培地12、つまり培地12の表層部を、ナイフやヘラ等を用いて掻き取ったり、あるいは掴んで上方に引き上げる。すると、培地12の上部およびその表面に形成された菌糸の塊Kが、切開された位置Lにおいて引き剥がされ、図1に示したように、培養袋13の下部13cには、その上端部とほぼ同レベルの培地12が残る。この状態で、培地12の表面は、ナイフNで切り込んだ部分以外、万年茸の菌が蔓延した白色を呈した状態となっている。
これにより、上面が開口した袋体11内に、万年茸の菌が蔓延した状態の培地12が充填された、菌床10が得られる。また、切開後、その切開部分より下方に残る培養袋13の下部13cが、前記の袋体11である。
この時点で、菌床10の切開面では、菌糸が切断あるいは引き千切られた状態であり、その切断部あるいは引き千切られた部分から乾燥しやすく、菌糸が死滅しやすい状態となっている。これを再生するため、本実施の形態では、菌床10を、一定期間、所定の環境下に維持する。例えば、温度を25〜35℃、より好ましくは28℃付近、湿度を70%以上、より好ましくは90%以上とした雰囲気下に、菌床10を、1日以上、より好ましくは3日以上置くのである。このような再生過程を経ることで、菌糸が再生して活性度の高い元の状態となり、乾燥しにくい状態になる。
また、この再生過程では、当然のことながら雑菌の侵入を防止する対策をとるのが好ましく、このため、後述する生育過程で用いる生育ラック20上に菌床10をセットし、これをビニール製のカバーや囲いで囲った状態とし、このカバーや囲いの内部を上記条件に保つのが好ましい。
上記再生過程を経た後、このような菌床10は、生育過程として、栽培室内で、所定期間、所定の栽培環境に維持され、菌床10から子実体100を生育させる。
さて、図6は、このような生育過程で用いる生育ラック20を示すものである。
この生育ラック20は、例えば金属製のパイプ材、アングル材等によって形成することができ、所定本数の支柱21に、複数段(例えば3段)の棚段22a、22b、22cと、天板23とが支持されている。最下段の棚段22aの底面には、この生育ラック20を移動可能とするための車輪24が所定数設けられている。
また、生育ラック20には、照明25が、棚段22a、22b、22c上の空間を、その中央部において貫通するよう設けられている。
図7に示すように、生育ラック20の棚段22a、22b、22c上には、菌床10を載せた手持ち用のトレー19が、所定数セットされる。
菌床10をセットした後、生育ラック20の周囲全周をカバー30によって覆う。
このカバー30は、例えば所定幅を有したフィルムを生育ラック20の周囲に巻きつけること等で形成することができる。カバー30を形成するフィルムの材質としては、例えば、ポリブテン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネイト、ポリアミド、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリシロキサン、ポリビニルイミダゾール、シリコーン、シリコーンポリカーボネイト等が挙げられる。このカバー30は、必ずしも透明
である必要はないが、成長過程の観察などのために、透明、若しくは半透明であることが望ましい。
図8に示すように、上記のようにしてカバー30を装着した生育ラック20は、生育ラック20内の菌床10から子実体100を生育させるために、所定期間栽培室40内に置かれる。
栽培室40内は、所定の生育環境を実現するため、所定温度、所定湿度を維持するための空調設備や加湿設備を備えている。万年茸の子実体100を生育させる場合、温度を例えば20〜35℃、より具体的には例えば27℃、湿度を例えば40%以上、より具体的には例えば50〜70%に維持した栽培室40内に、生育ラック20を約60日間置く。すると、図9に示すように、生育ラック20内の菌床10から子実体100が生え、最終的に鹿角状に生長する。
このとき、子実体100は、酸素を吸って二酸化炭素を放出して呼吸を行っている。また呼吸とともに、子実体100は水分を放出しているが、この水分により、カバー30によって囲まれた生育ラック20の内部は加湿され、栽培室40内(生育ラック20の外部)よりも高い湿度、例えば70%以上、の状態となる。また、カバー30により、雑菌等による外部からの汚染、他の生育ラック20への拡散が防止できる。
上述したように、培地12に万年茸の菌を蔓延させて菌床10を生成した後、子実体100を生育させる過程に移行する先立ち、培養袋13を、培地12の表面よりも下方の位置Lで切開し、培地12の表面に生成された菌糸の塊Kを除去するようにした。
このとき、切開した位置Lよりも上方の部分の培地12ごと菌糸の塊Kを除去するようにしたので、菌糸の塊Kだけを除去する場合に比較し、その作業を容易かつ確実に行うことができる。
しかも、切開した位置Lよりも上方の部分の培地12ごと菌糸の塊Kを除去した後、菌床10を所定の環境下に保持することで、培地12(菌床10)表面の菌糸の乾燥を防止するとともに再生することができる。
このようにして、菌糸の塊Kを除去することで、これを原因とするカビの発生や雑菌による汚染を抑制することができる。その結果、子実体100の収穫量および歩留まりを増大させることが可能となるのである。
[第二の実施の形態]
次に、本発明の第二の実施の形態について説明する。
上記第一の実施の形態では、ナイフNを用いて培養袋13を切開し、さらに培地12の上部を除去する構成としたが、以下に説明する第二の実施の形態では、培地12の上部を除去するため、冶具50を用いる構成を採用した。なお、培地12の上部を除去する過程以外は、上記第一の実施の形態と同様であるので、以下の説明では、第一の実施の形態と相違する点のみを説明し、共通する構成についてはその説明を省略する。
図10は、第二の実施の形態において、培地12の上部の除去に用いる冶具50を示すものである。
この図10に示すように、冶具50は、培地12が充填されたブロック状の培養袋13を、側方から挟み込むべく形成された二個一対の冶具部材(冶具本体)51からなっている。冶具部材51は、断面コ字状で、その内周面には、所定の位置に、コ字型の内方に向けて所定寸法突出するリブ52が連続して形成されている。
図11および図12に示すように、このような冶具50は、二個一対の冶具部材51で、培地12が充填されたブロック状の培養袋13を両側から挟み込むと、リブ52が培地12に食い込み、その結果、培地12には、その外周部において周方向に連続する溝53が形成されたような状態となる。このため、冶具50は、リブ52が、培地12の表面から所定寸法、例えば1〜2cm下方の位置に食い込むよう、リブ52を形成するのが好ま
しい。
この冶具50を用いることで、培養期間が完了し、培地12に菌糸が蔓延した状態で、培地12の外周部に連続する溝53を形成することができる。これにより、培養袋13を開いた後、培地12を、溝53から上方の部分を容易に引き剥がすことができる。
これによっても、上記第一の実施の形態と同様の効果を得ることが可能である。しかも、冶具50を用いることにより、溝53を常に同じ位置に容易に形成することができるという効果もある。
このとき、リブ52の先端部を鋭利に形成すれば、上記第一の実施の形態でナイフNで切開した場合と同様、溝53を形成する際に培養袋13を合わせて切断することができ、培養袋13の切開と、培地12への切れ目の形成を合わせて一度で行うことができる。
一方、リブ52の先端部を鈍く形成すれば、リブ52は、溝53を形成する際に培養袋13を切断することなく押し込むような形態となる。このような場合、培養袋13を別途切り開く必要があるが、リブ52が培地12に接触しないため、雑菌等による汚染の拡散防止に寄与することが可能である。
なお、上記実施の形態では、培地12が充填された培養袋13の上部を切開する構成を例示したが、これに限るものではなく、図13に示すように、複数の位置L1、L2、L3において、上記第一または第二の実施の形態に示した手段によって切開することもできる。これにより、複数の菌床10を効率良く形成することができる。なお、切断後の菌床10の大きさは、子実体100の収穫量にも影響する。すなわち、菌床10が小さければ、得られる栄養分も限られるため、子実体100の成長が抑制されてしまう可能性もある。一方、分割数を減らし、個々の菌床10を大きくしても、菌床10から子実体100が生えてくる部分、すなわち位置L1、L2、L3における切開面の合計面積が限られるため、子実体100の収量が抑制されてしまうことがある。したがって、子実体100の成長と、収量とがバランスのよい状態となるよう、分割数を適宜設定するのが好ましい。
ここで、菌床10を生成した時点で、切開を行うことの効果を確認するための実験を行ったので以下にその結果を示す。
(1)培地12の作製
ブナやナラなどの広葉樹のおが屑粉に、栄養材として、米ぬか、ふすま、コーンブランなどを添加し、水分率を65%程度に調製した。培地12は、市販の通気フィルタ付きの培養袋13に約2kg充填し、120℃で約1時間程度保持して殺菌処理を行い、これを培地12とした。培地12のサイズは、縦130mm、横200mm、高さ120mm、体積0.00312m3の略直方体とした。
(2)植菌
殺菌処理後、室温まで放冷した培地12に、万年茸の種菌約30gを接種し、培養袋13の開口部をヒートシーラーで熱圧着して密閉した。
(3)培養
約28℃の温度で30日間、万年茸の菌を培養し、培地12全体に万年茸の菌が蔓延し、培地12全体が白色を呈するまで培養を行った。
(4)発生処理
<実施例A:第一の実施の形態に相当>
培養袋13を、培地12の表面から1〜2cmの位置Lで切開し、菌床10の上部を開放した。そして、培養袋13を切開する際に、ナイフNが切り込むことで形成された切れ目から、その上部の培地12と、培地12の表面にできた菌糸の塊Kを剥離・除去した。
この後、残った菌床10を、温度28℃、湿度70%以上に3日間保持することで、菌床10の切開面の菌糸を再生させた。
<実施例B:図13に相当>
培養袋13を、ほぼ均等の大きさとなるよう、培地12の表面にほぼ平行な面、つまり水平面に沿って、洗浄したのこぎりで5つの分割片に分割した。培地12の表面を含む最上部の分割片は廃棄した。残りの菌床10の分割片は、温度28℃、湿度70%以上に3日間保持することで、菌床10の切開面の菌糸を再生させた。
<比較例>
培養袋13を、培地12の上方約1cmの位置で切開し、菌床10の表面を開放した。菌床10の表面に形成された菌糸の塊Kは、除去せずにそのまま残した。
(5)子実体100の生育
実施例A、実施例B、比較例とも、生育ラック20中の菌床10の占有体積比が8%以上となるように、生育ラック20に複数個の菌床10を設置した。
すべての菌床10の設置後、カバー30で生育ラック20全体を覆い、ほぼ密閉した。
栽培室40において、実施例A、実施例B、比較例とも、カバー30で密閉した生育ラック20の外部を温度約27℃、湿度40%以上に維持し、約60日間かけて、子実体100の生育を行った。生育期間中は生育室(生育ラック20を設置した部屋)の内部は湿度70%以上を維持した。
生育期間の完了後、実施例A、実施例B、比較例で、それぞれ、菌床10へのカビや雑菌の発生、生育した子実体100を観察した。
その結果、菌床10から、その表面に形成された菌床の塊Kを除去した実施例A、実施例Bでは、子実体100の良好な生育が観察され、また生育した子実体100は、傘がなく、鹿の角状に分岐した形状となった。そして、菌床10や生育ラック20の内部には、カビや雑菌の発生は見られなかった。
これに対し、菌床10から、その表面に形成された菌床の塊Kを除去しなかった比較例では、子実体100は生育したものの、12.9%の菌床10にカビの発生が認められた。
このように、子実体100の生育に先立ち、菌床10の表面に形成された菌床の塊Kを除去することで、菌床10へのカビ等の発生を抑制できることが確認できた。
また、上記実施の形態では、菌床10を生育ラック20に載せ、さらに生育ラック20にカバー30をかけて子実体100の生育を行う構成としたが、カバー30や、生育ラック20を用いることは本発明の必須の構成では無い。
これ以外にも、子実体100の生育過程等、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
第一の実施の形態における菌床を示す斜視図である。 菌床を生成するため、培養過程にて、培地を充填した培養袋を示す斜視図である。 培養過程を経て、培養袋を切開している状態を示す図である。 切開位置を示す断面図である。 培養袋を切開した状態を示す図である。 菌床から子実体を生育させる過程で用いる生育ラックを示す斜視図である。 生育ラックに菌床を載せ、カバーを取り付けた状態を示す斜視図である。 生育過程にて、生育ラックを収める栽培室を示す斜視図である。 子実体が生育した状態を示す図である。 第二の実施の形態で用いる冶具を示す斜視図である。 冶具で培養袋を挟み込んだ状態を示す斜視図である。 図11の断面図である。 培養袋を複数に分割して菌床を作成する場合を示す図である。 従来の菌床において、菌糸の塊が形成されている状態を示す図である。 図14の断面図である。
符号の説明
10…菌床、11…袋体、12…培地、13…培養袋、20…生育ラック、30…カバー、40…栽培室、50…冶具、51…冶具部材(冶具本体)、52…リブ、53…溝、100…子実体、K…菌糸の塊、L、L1、L2、L3…位置、N…ナイフ

Claims (7)

  1. 茸類を生育させるための菌床の作成方法であって、
    容器に培地を充填し、前記茸類の菌を植え付ける工程と、
    前記菌を前記培地に蔓延させることで前記菌床を生成する工程と、
    前記容器内の前記培地の表面に形成された菌糸の塊を、当該培地の表層部とともに除去する工程と、を含むことを特徴とする菌床の作成方法。
  2. 前記菌糸の塊を除去する工程では、前記容器を、当該容器内の前記培地の表面よりも下方の位置で切開し、前記位置よりも上方の前記容器を除去するとともに、前記位置よりも上方の部分の前記培地を、当該培地の表面に形成された前記菌糸の塊とともに除去することを特徴とする請求項1に記載の菌床の作成方法。
  3. 前記菌糸の塊を除去する工程では、前記容器内の前記培地の表面よりも下方の位置に、当該容器の周方向に連続するリブを食い込ませた後、前記リブを食い込ませることで前記培地に形成される溝から上方の部分の前記培地を、当該培地の表面に形成された前記菌糸の塊とともに除去することを特徴とする請求項1に記載の菌床の作成方法。
  4. 前記菌糸の塊を除去する工程の後、前記菌床を、所定期間、所定の湿度環境下に保持することで、前記菌糸の塊とともに前記培地の表層部が除去されることで露出した前記菌床の表面を再生する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の菌床の作成方法。
  5. 茸類の栽培方法であって、
    前記茸類の菌を培地に蔓延させることで菌床を生成する工程と、
    前記菌床を、所定期間、所定の環境下に保持することで、前記菌床から茸類を生育させる工程と、を備え、
    前記菌床を生成する工程では、前記培地の表面よりも内部側の位置で当該培地を分割し、前記内部側の前記培地を前記菌床とすることを特徴とする茸類の栽培方法。
  6. 前記菌床を生成する工程では、前記培地の表面よりも内部側の複数の位置で当該培地を分割し、前記菌床を複数生成することを特徴とする請求項5に記載の茸類の栽培方法。
  7. 茸類を生育させるための菌床を作成する際に用いる冶具であって、
    前記茸類の菌が蔓延した培地を収容した容器を外周側から挟み込む冶具本体と、
    前記冶具本体の前記容器に対向する面に突出形成され、前記容器の周方向に形成されたリブと、
    を備えることを特徴とする冶具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014140309A (ja) * 2013-01-22 2014-08-07 Okierabu Kinoko Kk キクラゲの生産方法
JP2020000037A (ja) * 2018-06-26 2020-01-09 株式会社北研 展伸性フィルムによるキノコ栽培方法

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