JP2005080384A - 電動ファン制御装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 主制御部とモータ駆動部との間のデータ通信が正常に行なわれない場合は、モータ駆動部を用いずにモータへ強制通電することで、モータを強制駆動しファンを回動させる。
【解決手段】 ラジエータ冷却用ファンおよびコンデンサ冷却用ファンを駆動する各モータ２，３をＰＷＭ制御方式で駆動するモータ駆動部２０と主制御部（エンジンＥＣＵ）１０とは、各データ通信部１３，２２を介して接続される。主制御部１０は、モータ駆動部２０に対してデータ送信要求を所定の時間間隔で送信する。モータ駆動部２０は、データ送信要求が供給されるたびに応答情報を主制御部１０へ送信する。主制御部１０は、応答情報が返ってこない場合は、モータ駆動部２０またはデータ通信が正常に動作していないものと判断し、強制通電部４０の各リレー接点４１２，４１３を開状態に駆動し、モータ駆動部２０を用いずに各モータ２，３にバッテリ電源４を通電する。
【選択図】 図１

Description

本発明は、冷却用ファンや送風用ファン等を駆動する電動ファン制御装置に関するものである。

エアコン付き車両においては、コンデンサ、ラジエータ内を流れる冷却媒体を２つの冷却ファンを作動させて冷却している。冷却ファン駆動用のモータをパルス幅変調制御で駆動することで、モータの回転速度を連続的に可変している（特許文献１参照）。

モータを駆動する半導体スイッチング素子に流れる電流を監視し、パルス幅変調制御におけるパルス幅を一定値に制限することでモータ電流を制限したり、半導体スイッチング素子の駆動を停止したりすることで、過電流に対する保護を図っている（特許文献２参照）。

また、モータ駆動装置（モータ駆動部）とシステムコントローラ（主制御部）とが通信手段により接続され、システムコントローラからモータの起動停止指令および回転速度指令が送信され、モータ駆動装置からは過負荷、過熱、回転速度情報が送信されるようにしたものが知られている（特許文献３参照）。
特開平１０−２２２２号公報 特開平１０−８９５９号公報 特開平７−６７３８９号公報

主制御部とモータ駆動部とを通信手段で接続する構成の電動ファン制御装置では、通信が正常になされなくなった場合にファンを駆動できなくなる虞れがある。例えば、冷却ファンが停止すると冷却不足となり、空調用送風ファンが停止すると空調機能が正常に作動しなくなる。

本発明はこのような課題を解決するためなされたもので、主制御部とモータ駆動部との間の通信に異常が生じた場合でもファンの運転を継続できる電動ファン制御装置を提供することを目的とする。

前記課題を解決するため本発明に係る電動ファン制御装置は、ファンを駆動するモータと、データ通信部を備え、このデータ通信部を介して主制御部側から供給される運転指令に基づいて出力段を構成する１または複数の半導体スイッチング素子のスイッチング動作を制御してモータへ供給する電力を制御するとともに、半導体スイッチング素子の動作状態に関する情報をデータ通信部を介して主制御部へ供給するモータ駆動部と、モータに強制通電する強制通電部と、データ通信部を備え、運転指令をモータ駆動部へ供給するとともに、モータ駆動部からの情報が受信できない場合には強制通電部を強制通電状態または一定時間強制通電状態に制御する主制御部とを備えることを特徴とする。

なお、モータ駆動部は、主制御部側から送信されたデータ送信要求を受信するたびに、半導体スイッチング素子の動作状態に関する情報または任意の応答情報を主制御部側へ送信するようにしてもよい。

また、モータ駆動部は、半導体スイッチング素子の動作状態に関する情報を所定の時間間隔で主制御部側へ送信するようにしてもよい。

さらに、モータ駆動部は、運転指令を受信できない場合には、予め設定した運転条件でモータへ供給する電力を制御するようにしてもよい。

本発明に係る他の電動ファン制御装置は、ファンを駆動するモータと、データ通信部を備え、データ通信部を介して主制御部側から供給される運転指令に基づいて出力段を構成する１または複数の半導体スイッチング素子のスイッチング動作を制御してモータへ供給する電力を制御するとともに、運転指令が供給されない場合には予め設定した運転条件でモータへ供給する電力を制御するモータ駆動部とを備えることを特徴とする。

本発明に係る電動ファン制御装置は、主制御装置とモータ駆動部との間の通信が正常になされない場合でも、ファンを駆動することができる。

以下、発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明する。

図１は本発明に係る電動ファン制御装置の一実施例を示すブロック図であり、自動車用冷却システムの電動ファン制御に適用した例を示している。この電動ファン制御装置１は、図示しないラジエータ冷却用ファンを駆動する直流モータ（以下、モータと記す）２とおよび図示しないコンデンサ冷却用ファンを駆動する直流モータ（以下、モータと記す）３を制御する。電動ファン制御装置１は、エンジン電子制御ユニット（エンジンＥＣＵ）からなる主制御部１０と、各モータ２，３を駆動するモータ駆動部２０と、各モータ２，３およびモータ駆動部２０へバッテリ電源４を供給するモータ電源供給用リレー３１と、モータ駆動部２０を用いずに各モータ２，３に通電する強制通電部４０と、イグニッションスイッチ５および各ヒューズ６，７等からなる。

イグニッションスイッチ５がオン状態に操作されると、ヒューズ６を介して主制御部１０へバッテリ電源４が供給されるとともに、モータ電源供給用リレー３１の励磁巻線３１１にバッテリ電源４が通電されリレー接点３１２が閉状態に駆動されて、ヒューズ７、リレー接点３１２を介してモータ駆動部２０へバッテリ電源４が供給される。

主制御部１０は、図示しないエンジン制御部と、電源部１１と、モータ運転指令部１２と、データ通信部１３と、強制通電制御部１４とを備える。図示しないエンジン制御部は、各種センサ等１６〜１９からの信号に基づいて図示しないエンジンの制御を行なう。電源部１０は、バッテリ電源４から電力の供給を受けて例えば５ボルトの安定化電源ＶＣを生成して各回路部へ供給する。

モータ運転指令部１２は、各種センサ（エンジン冷却水の水温センサ１６、車速センサ１７、冷媒圧力センサ１８）からの信号及びエアコンスイッチ１９の信号に基づいて各モータ２，３の要求回転速度を求め、要求回転速度に関するデータをデータ通信部１３を介してモータ駆動部２０へ供給する。

データ通信部１３は、モータ駆動部２０側のデータ通信部２２との間で例えば調歩同期方式のシリアルデータ通信を行なう。データ通信部１３は、誤りチェックコードまたは誤り訂正コードを含めた送信データを生成して送信する。データ通信部１３は、モータ駆動部２０から送信されたデータを受信すると、その受信データ中の誤りチェックコードまたは誤り訂正コードに基づいて受信データに誤りがないかチェックする。データ通信部１３は、受信データに誤りがある状態が所定回数連続した場合には、通信異常情報を強制通電制御部１４へ供給する。

また、データ通信部１３は、モータ駆動部２０に対してデータ送信要求を所定の時間間隔で送信し、そのデータ送信要求に対してモータ駆動部２０側から半導体スイッチング素子の動作状態に関する情報または任意の応答情報が送られてこない場合には、通信異常情報を強制通電制御部１４へ供給する。

なお、モータ駆動部２０側が半導体スイッチング素子の動作状態に関する情報を所定の時間間隔で送信する構成の場合、データ通信部１３は、所定の時間を経過してもモータ駆動部２０側からの情報を受信できないときには、通信異常情報を強制通電制御部１４へ供給する。

強制通電制御部１４は、主制御部１０に電源が供給された初期状態において強制通電部１４を非動作状態にしている。具体的には、強制通電部４０を構成する強制通電用リレー４１の励磁巻線４１１への通電を停止している。強制通電制御部１４は、モータ駆動部２０側からデータ通信部１３を介して異常情報が供給された場合、および、データ通信部１３から通信異常情報が供給された場合には、強制通電部４０を動作状態に制御する。具体的には、強制通電部４０を構成する強制通電用リレー４１の励磁巻線４１１に通電し、各リレー接点４１２，４１３を閉状態に駆動する。各リレー接点４１２，４１３が閉状態になると、各モータ２，３にバッテリ電源４が通電される。したがって、モータ駆動部２０を用いることなく各モータ２，３を駆動することができる。なお、モータ運転指令部１２が異常情報の内容に基づいて強制通電を行なうか否かを判断し、強制通電制御部１４および強制通電部４０を介して各モータ２，３を強制駆動するようにしてもよい。

モータ駆動部２０は、電源部２１と、データ通信部２２と、ＰＷＭ制御部２３と、出力段駆動部２４と、一方のモータ２を駆動する半導体スイッチング素子としてのＦＥＴ（電界効果トランジスタ）２５と、他方のモータ３を駆動する半導体スイッチング素子としてのＦＥＴ（電界効果トランジスタ）２６と、各ＦＥＴ２５，２６の温度をそれぞれ検出する各温度センサ２７，２８と、各ＦＥＴ２５，２６で構成される出力段の異常を検出する異常検出部２９と、一方のモータ２の逆起電圧を吸収するダイオード８と、他方のモータ３の逆起電圧を吸収するダイオード９とを備える。なお、図１では半導体スイッチング素子としてＭＯＳ型のＦＥＴを例示したが、半導体スイッチング素子としてバイポーラトランジスタや絶縁ゲート型のバイポーラトランジスタ等を用いてもよい。

バッテリ電源４は、ヒューズ７およびリレー接点３１２を介してモータ駆動部２０へ供給される。モータ駆動部２０内の電源部２１は、バッテリ電源４から電力の供給を受けて例えば５ボルトの安定化電源ＶＣＣを生成して各回路部へ供給する。

データ通信部２２は、主制御部１０内のデータ通信部１３との間で例えば調歩同期方式のシリアルデータ通信を行なう。データ通信部２２は、誤りチェックコードまたは誤り訂正コードを含めた送信データを生成して送信する。データ通信部２２は、主制御部１０から送信されたデータを受信すると、その受信データ中の誤りチェックコードまたは誤り訂正コードに基づいて受信データに誤りがないかチェックする。データ通信部２２は、受信データに誤りがある状態が所定回数連続した場合には、通信異常情報をＰＷＭ制御部２３へ供給する。また、データ通信部２２は、データ送信要求を受信すると、半導体スイッチング素子の動作状態に関する情報または任意の応答情報を送信する。なお、データ通信部２２は、半導体スイッチング素子の動作状態に関する情報を所定の時間間隔で送信するようにしてもよい。

ＰＷＭ制御部２３は、主制御部１０側からデータ通信部２２を介して供給されるモータの要求回転速度に関するデータに基づいて、要求回転速度に対応したデューティ比のＰＷＭ信号を生成して出力する。出力段駆動部２４は、ＰＷＭ制御部２３から供給されるＰＷＭ信号に基づいて各ＦＥＴ２５，２６のゲートを駆動する。これにより、各ＦＥＴ２５，２６がＰＷＭ信号に基づいてスイッチング駆動され、各モータ２，３に供給する電力がＰＷＭ制御される。ＰＷＭ制御部２３は、データ通信部２２から通信異常情報が供給されると、ＰＷＭ信号の出力を停止する。

なお、ＰＷＭ制御部２３は、主制御部１０側からモータの要求回転速度に関するデータ（運転指令）が供給されない場合、および、データ通信部２２から通信異常情報が供給された場合には、予め設定した運転条件（例えばＰＷＭ信号のデューティ比７０パーセント）に基づいて各モータ２，３を駆動するようにしてもよい。これにより、データ通信が正常になされない場合でも、各冷却用ファンを駆動できる。

異常検出部２９は、過電圧検出部２９１と過電流検出部２９２と過温度検出部２９３と動作異常検出部２９４とを備える。

過電圧検出部２９１は、各ＦＥＴ２５，２６に供給される電圧を監視し、予め設定した許容電圧を越える場合には過電圧検出情報を出力する。過電圧検出部２９１は、各ＦＥＴ２５，２６に供給される電圧を抵抗分圧回路で分圧して得た電圧と、予め設定したしきい値電圧とを比較器等で比較することで過電圧を検出するようにしてもよい。過電圧検出部２９１は、各ＦＥＴ２５，２６に供給される電圧を抵抗分圧回路で分圧して得た電圧をＡ／Ｄ変換器を介してＡ／Ｄ変換し、Ａ／Ｄ変換された電圧データに基づいて過電圧を判定するようにしてもよい。

過電流検出部２９２は、各ＦＥＴ２５，２６がオン状態にあるときのオン電圧に基づいて各ＦＥＴ２５，２６に流れる電流（モータ電流）を監視し、予め設定した許容電流を越える場合には過電流検出情報を出力する。なお、各ＦＥＴ２５，２６に流れる電流（モータ電流）の検出は、各ＦＥＴ２５，２６に直列に電流検出用の抵抗を介設し、電流検出用の抵抗の両端に発生した電圧に基づいて行なうようにしてもよい。

過温度検出部２９３は、各温度センサ２７，２８の出力に基づいて各ＦＥＴ２５，２６の温度を監視し、予め設定した許容温度を越える場合には過温度検出情報を出力する。各温度センサ２７，２８は、各ＦＥＴ２５，２６の近傍に設けられている。各温度センサ２７，２８は、サーミスタ等の感熱抵抗素子を用いて構成している。各温度センサ２７，２８はダイオードを用いて構成し、ダイオードの順方向降下電圧の温度特性から温度を検出するようにしてもよい。

動作異常検出部２９４は、オン状態に駆動されているときの各ＦＥＴ２５，２６のオン電圧（オン状態のドレイン−ソース間電圧）が予め設定した許容値を越えた場合、および、オフ状態に駆動されているときの各ＦＥＴ２５，２６のドレイン電圧または漏れ電流が予め設定した許容値を下回った場合に、スイッチング素子のスイッチング動作に異常がある旨の動作異常検出情報を出力する。

異常検出部２９は、過電圧、過電流、過温度、動作異常のいずれかが検出されると、その異常情報をデータ通信部２２を介して主制御部１０側へ供給するとともに、異常情報をＰＷＭ制御部２３へ供給する。ＰＷＭ制御部２３は、異常情報が供給されると、ＰＷＭ信号の出力を停止し、出力段駆動部２４を介して各ＦＥＴ２５，２６をオフ状態に駆動する。

異常検出部２９は、過電圧、過電流、過温度、動作異常のいずれも検出されない正常動作状態では、予め設定した周期（例えば１秒周期）で正常情報をデータ通信部２２を介して主制御部１０側へ供給するようにしてもよい。

次に実施例１の動作を説明する。イグニッションスイッチ５がオン状態に操作されると、主制御部１０にバッテリ電源４が供給されるとともに、リレー３１が駆動されモータ駆動部２０へバッテリ電源４が供給される。主制御部１０内のモータ運転指令部１２によって各モータ２，３の要求回転速度が求められ、要求回転速度に関するデータ（運転指令）がデータ通信部１３を介してモータ駆動部２０へ供給される。モータ駆動部２０内のＰＷＭ制御部２３は、回転速度とデューティ比の対応テーブル等を参照して要求回転速度に対応するデューティ比を求めるとともに、要求回転速度に対応するデューティ比のＰＷＭ信号を生成し、出力段駆動部２４を介して各ＦＥＴ２５，２６を駆動する。なお、モータ運転指令部１２側で要求回転速度に対応するデューティ比を求め、デューティ比をモータ駆動部２０側へ供給するようにしてもよい。これにより、各モータ２，３は、要求回転速度で回転され、図示しない各冷却用ファンが回動される。なお、ＰＷＭ制御部２３は、各モータ２，３を起動させる際には、ＰＷＭ信号のデューティ比を徐々に増加させるソフトスタート処理を行なうことで、モータ起動時の突入電流を低減させるようにしている。

異常検出部２９は、各モータ２，３を駆動する各ＦＥＴ２５，２６の動作状態を継続的に監視しており、過電圧、過電流、過温度および動作異常が検出されると、出力段の異常を示す情報（異常情報）をデータ通信部２２を介して主制御部１０側へ供給する。

図２はモータ駆動部の出力段異常に対するモータ強制通電処理を示すフローチャートである。主制御部１０は、モータ駆動部２０側から供給されるデータを受信すると（ステップＳ１）、受信したデータに基づいてモータ駆動部２０の出力段が異常であるか否かを判断する（ステップＳ２）。そして、異常情報を受信した場合には、強制通電部４０を介して各モータ２，３へバッテリ電源４を供給させる（ステップＳ３）。これにより、モータ駆動部２０を用いずに、各モータ２，３が強制駆動される。したがって、車両の走行中等にモータ駆動部２０の出力段の動作に異常が生じても、各ファンモータの運転を継続できる。

主制御部１０は、出力段の異常情報を受信した場合に各モータ２，３を所定時間に亘って強制通電した後に、強制通電状態を解除するようにしてもよい。強制通電状態を解除した時点で、モータ駆動部２０の各ＦＥＴ２５，２６の例えば過温度が解消されていれば、モータ駆動部２０によって各モータ２，３を駆動できる。さらに、主制御部１０は、所定時間の強制通電を行なった回数をカウントし、所定回数（例えば３回）に達した場合には、強制通電状態を継続するようにしてもよい。

図３は通信異常時のモータ強制通電処理を示すフローチャートである。主制御部１０は、予め設定した時間間隔でモータ駆動部２０に対してデータ送信要求を送信する（ステップＳ１１）。そして、このデータ送信要求に対してモータ駆動部２０側から半導体スイッチング素子の動作状態に関する情報または任意の応答情報が送信されてくるか否かをチェックする（ステップＳ１２）。主制御部２０は、モータ駆動部２０側からのデータを受信できない場合には、強制通電部４０を介して各モータ２，３へバッテリ電源４を供給させる（ステップＳ１３）。これにより、データ通信が正常になされない場合でも、各冷却用ファンを駆動できる。

なお、モータ駆動部２０側が半導体スイッチング素子の動作状態に関する情報を所定の時間間隔で送信する構成の場合、主制御部１０は、所定の時間を経過してもモータ駆動部２０側からの情報を受信できないときには、強制通電部４０を介して各モータ２，３に強制通電する。

主制御部１０は、各モータ２，３を強制通電によって駆動した際には、図示しない表示部にモータ駆動部２０に異常が発生している旨の表示を行なわせるようにしてもよい。主制御部１０は、図示しない車両診断装置に対して異常情報を供給して、モータ駆動部２０の異常状態の発生日時や異常内容、および、通信異常の発生日時と通信異常の内容等を記憶させるようにしてもよい。

なお、モータ駆動部２０側は、主制御部１０側からモータの要求回転速度に関するデータ（運転指令）が供給されない場合、および、データ通信部２２から通信異常情報が供給された場合には、予め設定した運転条件（例えばＰＷＭ信号のデューティ比７０パーセント）に基づいて各モータ２，３を駆動する構成であるときは、予め設定した運転条件（デューティ比７０パーセント）と強制通電状態（デューティ比１００パーセントに相当）との２段階のモータ回転速度調整が可能である。

図４は本発明に係る電動ファン制御装置の他の実施例を示すブロック図である。図４に示す電動ファン制御装置５０は、図１に示した電動ファン制御装置１に電源遮断部３０と電流検出部３５と電源遮断制御部１５とを追加したものである。

イグニッションスイッチ５がオン状態に操作され主制御部１０にバッテリ電源４が供給された初期状態において、電源遮断制御部１５は電源遮断部３０を構成するモータ電源供給用リレー３１の励磁巻線３１１を通電状態に制御する。これにより、リレー接点３１２が閉状態になり、各モータ２，３およびモータ駆動部２０へバッテリ電源４が供給される。

電源遮断制御部１５は、電流検出部３５によって検出される各モータ２，３およびモータ駆動部２０への供給電流が予め設定した許容値（例えばモータのロックに伴う大電流値）を越えた状態が所定時間継続した場合は、電源遮断部３０を遮断状態に制御する。具体的には、モータ電源供給用リレー３１の励磁巻線３１１への通電を停止し、リレー接点３１２を開状態にして、各モータ２，３およびモータ駆動部２０への電源供給を遮断する。

電源遮断制御部１５は、モータ駆動部２０側から異常情報が供給された場合には、電源遮断部３０を遮断状態に制御する。電源遮断制御部１５は、強制通電制御部１４によって各モータ２，３への強制通電がなされている場合には、電源遮断部３０を通電状態に制御するとともに、電流検出部３５の出力に基づいてモータ電流を監視し、各モータ２，３への供給電流が予め設定した許容値（例えばモータのロックに伴う大電流値）を越えた状態が所定時間継続した場合は、電源遮断部３０を遮断状態に制御する。したがって、強制通電部４０を介して各モータ２，３を強制通電している状態であっても、モータのロックやモータ巻線の短絡等による過電流が生じた場合には、電源供給を遮断することができる。

電流検出部３５は、電流変成器（カレントトランス）を用いたものや電流によって発生する磁束を検出する構成のものを用いている。なお、電流検出部３５は電流検出用の抵抗を備える構成のものであってもよい。

図５は本発明に係る電動ファン制御装置のさらに他の実施例を示すブロック図であり、自動車用オートエアコン装置のブロワファン制御に適用した例を示している。図５に示す電動ファン制御装置６０は、オートエアコン電子制御ユニット（オートエアコンＥＣＵ）からなる主制御部７０と、図示しないブロワファンを駆動する直流モータ（以下、モータと記す）６２と、モータ駆動部８０と、電源遮断部３０と、強制通電部９０とからなる。

主制御部７０内のモータ運転指令部７１は、図示しないエアコン操作パネル部の設定条件等に基づいてブロワファン駆動用のモータ６２の要求回転速度を決定し、要求回転速度に関するデータをデータ通信部７２を介してモータ駆動部８０へ供給する。モータ駆動部８０内のＰＷＭ制御部８１は、データ通信部８２を介して受信した要求回転速度に関するデータに基づいて、要求回転速度に対応したデューティ比のＰＷＭ信号を生成し、出力段駆動部８３を介してＦＥＴ２５をスイッチング駆動する。これにより、モータ６２へ供給される電力がＰＷＭ制御され、モータ６２の回転速度が制御される。なお、ＰＷＭ制御部８１は、要求回転速度に関するデータを受信できない場合には、予め設定したデューティ比（例えばデューティ比７０パーセント）のＰＷＭ信号を生成し、出力段駆動部８３を介してＦＥＴ２５をスイッチング駆動する。これにより、データ通信が正常になされない場合でも、ブロワファンを回動させることができる。

異常検出部８４は、モータ６２を駆動するＦＥＴ２５の動作状態を継続的に監視しており、各検出部８４１，８４２，８４３，８４４によって過電圧、過電流、過温度、スイッチング動作異常が検出されると、出力段の異常を示す情報（異常情報）をデータ通信部８２を介して主制御部７０側へ供給する。

各データ通信部７２，８２間では、データ線（ＢＵＳ）７５を介して双方向のシリアルデータ通信が調歩同期方式によってなされる。通信プロトコルは、ＬＩＮ（Ｌｏｃａｌ Ｉｎｔｅｒｃｏｎｅｃｔ Ｎｅｔｗｏｒｋ）に準拠している。

主制御部７０内の電源遮断制御部７３は、異常情報を受信すると電源遮断部３０を所定時間（例えば数秒間）に亘って電源供給遮断状態にした後に、電源供給を再開する。モータ運転指令部７１は、モータ駆動部８０への電源供給を再開した後も、モータ駆動部８０側から異常情報が供給される場合はモータ駆動部８０が正常に動作できない状態にあるものと判断し、強制通電制御部７４を起動する。強制通電制御部７４は、強制通電部９０を構成するリレー９１の励磁巻線９１１を通電状態に制御することで、リレー９１の接点９１２を閉状態に駆動する。これにより、リレー９１の接点９１２を介してモータ６２に通電がなされ、モータ６２が駆動される。電源遮断制御部７３は、電流検出部３５の出力に基づいてモータ電流を監視しており、予め設定した許容値を越える状態が所定時間継続した場合には電源遮断部３０を遮断状態に制御する。

主制御部７０は、モータ駆動部８０に対してデータ送信要求を所定の時間間隔で送信し、そのデータ送信要求に対してモータ駆動部８０側から半導体素子の動作状態に関する情報または任意の応答情報が送られてこない場合には、データ通信が正常になされていないものと判断し、強制通電部９０を介してモータ６２に強制通電する。また、モータ駆動部８０側が半導体スイッチング素子の動作状態に関する情報を所定の時間間隔で送信する構成である場合、主制御部７０は所定時間を経過してもモータ駆動部８０側からの情報を受信できないときには、データ通信が正常になされていないものと判断し、強制通電部９０を介してモータ６２に強制通電する。これにより、データ通信が正常に行なわれない場合でも、ブロワファンを駆動することができる。

また、ＰＷＭ制御部８１は、要求回転速度に関するデータを受信できない場合には、予め設定したデューティ比（例えばデューティ比７０パーセント）のＰＷＭ信号を生成してモータ６２を駆動する構成であるときには、予め設定したデューティ比（例えばデューティ比７０パーセント）と強制通電状態（デューティ比１００パーセントに相当）との２段階のモータ回転速度調整が可能である。

なお、各実施例ではリレー４１，９１を用いて強制通電部４０，９０を構成する例を示したが、強制通電部４０，９０は半導体スイッチング素子を用いて構成してもよい。また、モータ駆動部２０，８０の電源入力端子部の前段側にリレー接点または半導体スイッチング素子を介設し、強制通電部４０，９０を介してモータ２，３，６２へ強制通電を行なっている状態では、モータ駆動部２０，８０の電源入力端子部の前段側に設けたリレー接点または半導体スイッチング素子をオフ状態に駆動することで、モータ駆動部２０，８０への電源供給を停止するようにしてもよい。これにより、モータ強制通電状態においてモータ駆動部２０，８０での電力消費をなくすことができる。さらに、強制通電状態では、モータ２，３，６２の端子とモータ駆動部２０，８０との間の接続をリレー接点等を用いて全て遮断するようにしてもよい。これにより、モータ駆動部２０，８０の動作状態に影響されることなく、モータ２，３，６２を強制通電によって駆動できる。

図６は本発明に係る電動ファン制御装置のさらに他の実施例を示すブロック図である。図６は本発明に係る電動ファン制御装置をブラシレスモータの駆動制御に適用した例を示している。図６に示す電動ファン制御装置１００は、オートエアコン電子制御ユニット（オートエアコンＥＣＵ）からなる主制御部１１０と、図示しないブロワファンを駆動するブラシレスモータ（以下、モータと記す）１０２と、モータ１０２を駆動するモータ駆動部１２０と、電源遮断部３０と、電流検出部３５等からなる。

モータ駆動部１２０は、電源部１２１と、６個の半導体スイッチング素子（例えばＦＥＴ）を３相ブリッジ接続してなるインバータ回路部１２２と、モータ１０２の各相の電流をそれぞれ検出する電流検出器１２３，１２４，１２５と、インバータ回路部１２２の温度を検出する１個または複数個の温度センサ１２６と、データ通信部１２７と、インバータＰＷＭ制御部１２８と、出力段駆動部１２９と、インバータ回路部１２２の動作状態を監視して異常を検出する異常検出部１３０とを備える。

インバータＰＷＭ制御部１２８は、主制御部１１０側から供給されるモータの要求回転速度データ等のモータ運転指令に基づいて、インバータ回路部１２２の各アームを構成する６個の半導体スイッチング素子（例えばＦＥＴ）をそれぞれスイッチング駆動するための６系統のＰＷＭ信号を生成し、出力段駆動部１２９を介してインバータ回路部１２２の各半導体スイッチング素子（例えばＦＥＴ）をそれぞれスイッチング駆動させる。

インバータＰＷＭ制御部１２８は、モータの要求回転速度データ等のモータ運転指令が供給されない場合には、予め設定したモータ運転条件に基づいてインバータ回路部１２２を駆動し、モータ１０２を回動させる。したがって、主制御部１１０とモータ駆動部１２０との間のデータ通信が正常になされない場合でも、ブロワファンを駆動できる。なお、主制御部１１０は、データ通信が正常になされない場合は、電流検出部３５の出力に基づいてモータ１０２が駆動されているか否かを判断するようにしている。

異常検出部１３０は、インバータ回路部１２２の動作状態を継続的に監視しており、各検出部１３１，１３２，１３３，１３４によって過電圧、過電流、過温度、各半導体スイッチング素子のスイッチング動作異常が検出されると、インバータ回路部１２２の異常を示す情報（異常情報）をデータ通信部１２７を介して主制御部１１０側へ供給するともに、インバータ回路部１２２の異常を示す情報（異常情報）をインバータＰＷＭ制御部１２８へ供給する。インバータＰＷＭ制御部１２８は、インバータ回路部１２２の異常を示す情報（異常情報）が供給されると、ＰＷＭ信号の出力を停止する。

主制御部１１０は、電源部１１１と、モータ運転指令部１１２と、データ通信部１１３と、電源遮断制御部１１４とを備える。モータ運転指令部１１２は、図示しないエアコン操作パネルの設定条件等に基づいてブロワファン駆動用のモータ１０２の要求回転速度を決定し、要求回転速度に関するデータをデータ通信部１１３を介してモータ駆動部１２０へ供給する。電源遮断制御部１１４は、モータ駆動部１２０側からインバータ回路部１２２の異常を示す異常情報が供給されると、電源遮断部３０を電源遮断状態に制御する。これにより、インバータ回路部１２２の動作異常状態が継続するのが回避され、インバータ回路部１２２を構成する各半導体スイッチング素子の異常過熱等を防止できる。また、電源遮断制御部１１４は電流検出部３５の出力を監視しており、予め設定した許容値を越える状態が継続した場合には、電源遮断部３０を遮断状態に制御する。

なお、各実施例では、自動車用電動ファンモータの制御装置を例示したが、本発明に係る電動ファン制御装置は自動車以外の各種の用途に適用することができる。

電動ファン制御装置のブロック図である。（実施例１） モータ駆動部出力段異常時の強制通電断処理のフローチャートである。 通信異常時の強制通電遮断処理のフローチャートである。 電動ファン制御装置のブロック図である。（実施例２） 電動ファン制御装置のブロック図である。（実施例３） 電動ファン制御装置のブロック図である。（実施例４）

符号の説明

１，５０，６０，１００ 電動ファン制御装置
２，３，６２，１０２ モータ
４ バッテリ電源
１０，７０，１１０ 主制御部
１２，７１，１１２ モータ運転指令部
１３，２２，７２，８２，１１３，１２７ データ通信部
１４，７４ 強制通電制御部
２０，８０，１２０ モータ駆動部
２３，８１ ＰＷＭ制御部
２４，８３，１２９ 出力段駆動部
２５，２６ 半導体スイッチング素子（ＦＥＴ）
２７，２８，１２６ 温度センサ
２９，８４，１３０ 異常検出部
３０ 電源遮断部
３５ 電流検出部
１２２ インバータ回路部
１２８ インバータＰＷＭ制御部

Claims (5)

1. ファンを駆動するモータと、
   データ通信部を備え、前記データ通信部を介して主制御部側から供給される運転指令に基づいて出力段を構成する１または複数の半導体スイッチング素子のスイッチング動作を制御して前記モータへ供給する電力を制御するとともに、前記半導体スイッチング素子の動作状態に関する情報を前記データ通信部を介して前記主制御部へ供給するモータ駆動部と、
   前記モータに強制通電する強制通電部と、
   データ通信部を備え、前記運転指令を前記モータ駆動部へ供給するとともに、前記モータ駆動部からの情報が受信できない場合には前記強制通電部を強制通電状態または一定時間強制通電状態に制御する主制御部とを備えることを特徴とする電動ファン制御装置。
2. 前記モータ駆動部は、前記主制御部側から送信されたデータ送信要求を受信するたびに、前記半導体スイッチング素子の動作状態に関する情報または任意の応答情報を前記主制御部側へ送信することを特徴とする請求項１記載の電動ファン制御装置。
3. 前記モータ駆動部は、前記半導体スイッチング素子の動作状態に関する情報を所定の時間間隔で前記主制御部側へ送信することを特徴とする請求項１記載の電動ファン制御装置。
4. 前記モータ駆動部は、前記運転指令を受信できない場合には、予め設定した運転条件で前記モータへ供給する電力を制御することを特徴とする請求項１記載の電動ファン制御装置。
5. ファンを駆動するモータと、
   データ通信部を備え、前記データ通信部を介して主制御部側から供給される運転指令に基づいて出力段を構成する１または複数の半導体スイッチング素子のスイッチング動作を制御して前記モータへ供給する電力を制御するともに、前記運転指令が供給されない場合には予め設定した運転条件で前記モータへ供給する電力を制御するモータ駆動部とを備えることを特徴とする電動ファン制御装置。
   
   

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