JP2005075782A - イソチオシアネート系水中生物付着防止剤および生物付着防止塗料 - Google Patents

イソチオシアネート系水中生物付着防止剤および生物付着防止塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の水中生物付着防止剤に代わる、重金属を含まない安全で有効な水中生物付着防止剤および水中生物付着防止塗料を提供する。
【解決手段】
式(a);

(式中、nは1〜12の整数を、Rは特定の化学式を有するモノテルペン誘導体のイソチオシアン酸エステルを含有することを特徴とする水中生物付着防止剤および水中生物付着防止塗料。
【選択図】なし

Description

本発明は、貝類などの有害な水中生物が付着するのを防止するための水中生物付着防止剤および水中生物付着防止塗料に関する。とくに、船舶の船底部、漁網、ブイなどの海水中に置かれる設備、火力もしくは原子力発電所および各種工業の冷却用水の取水口路、海洋構築物、水中構築物または貯水池などに水中生物が付着することを防止するために用いる水中生物付着防止剤および水中生物付着防止塗料に関する。
船舶の船底部、ブイやオイルフェンスなどの海水中に置かれる設備、養殖または定置用漁網、橋脚や水門などの海洋構築物、火力または原子力発電所の復水器冷却水系、化学工業の熱交換機冷却用水の取水路、ダムの付属設備などの水中構築物、貯水池など、常時海水や淡水と接触する部分には、ムラサキガイ、フジツボ、カキ、ヒドロムシ、ヒドラ、セルプラ、ホヤ、コケムシ、タニシなどの水棲動物およびアオサ、アオノリ、シオミドロなどの藻類が付着繁殖する。
これら水中生物の船舶への付着は、流体抵抗の増加を引き起こし、その結果、航行速度の低下、消費燃料の増加、さらに船底の清掃費用などの損失を招く。また、これらの水中生物が養殖網に付着した場合、海水の流通が低下し、養殖魚の発育阻害や魚病の多発を招く。
海洋設備、海洋および水中構築物への水中生物の付着は、重量増加や操作上の著しい不都合を生じ、美観も損ねる。取水路への付着は、取水路の閉塞による取水量の減少などが起こり、さらに熱伝導度の低下などの問題も生じる。従来、これらの海水および淡水水中生物の付着繁殖を防止するため、有機スズ化合物または亜酸化銅などを含有する水中生物付着防止塗料が使用されてきた。
本発明者らは、先にモノテルペン誘導体のチオシアン酸エステルが水中生物付着に対して優れた防止硬貨を発揮することを見出し、特願2002-47100号として出願した。
特願2002−47100号
近年、重金属や有害化合物による、海洋、河川などの水質汚濁や、汚染物による人体への悪影響が懸念されている。このような観点から、水中生物付着防止剤についても規制の対象となっている物質が多く、とくに有機スズ化合物は厳しく規制されている。本発明は、これら従来の水中生物付着防止剤に代わる、重金属を含まない安全で有効な水中生物付着防止剤および水中生物付着防止塗料を提供することを目的とする。
本発明者らは、水中生物付着防止剤として、より有効で環境に有意な化合物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、モノテルペン誘導体のイソチオシアン酸エステルが水中生物付着防止に対して有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、式(a)
(式中、nは1〜12の整数を、Rは
のいずれかを示す)で示されるモノテルペン誘導体のイソチオシアン酸エステルを含有することを特徴とする水中生物付着防止剤に関する。
本発明は、また、式(a)で示されるモノテルペン誘導体のイソチオシアン酸エステルを含有する水中生物付着防止塗料に関する。
本発明の水中生物付着防止剤、とくに水中生物付着防止塗料は、水中生物付着防止性能が高く、たとえば、船舶の船底部、漁網、ブイ、水門、冷却用水の取水配水管などの海中構築物に対する水中生物による汚損を防止するために極めて有用である。しかも、本発明の水中生物付着防止剤は、海洋環境に与える負荷が少ない。
本発明の水中生物付着防止剤は、有効成分として、式(a)で示される化合物(モノテルペン誘導体のイソチオシアン酸エステル)を含有する。式(a)で示される化合物中のメチレン基の数nは1〜12、好ましくは6〜12の整数である。nが13以上のイソチオシアン酸エステルは合成が困難である。
式(a)で示される化合物は、モノテルペンにメチレン側鎖を形成した後、チオシアン酸塩を反応させチオシアン酸エステルを合成し、さらに、これを異性化することにより作製することができる。例えば、水酸基含有モノテルペンに強アルカリを作用させ水酸基含有モノテルペンの水酸基をイオン化することで1,nージハロゲノアルカンを反応させることができ、メチレン側鎖を形成することができる。水酸基含有モノテルペンに1,nージハロゲノアルカンと反応させメチレン側鎖を形成したモノテルペン誘導体にチオシアン酸塩を反応させて、モノテルペン誘導体のチオシアン酸エステルを作製することができる。さらにこのモノテルペン誘導体のチオシアン酸エステルを、高温で加熱することにより異性化して、式(a)で示される化合物を製造することができる。
水酸基含有モノテルペンとしては、ゲラニオール、βーシトロネロール、リナロール、メントール、αーテルピネオールまたはボルネオールを使用する。
水酸基含有モノテルペンとして、ゲラニオールを使用することにより、式(h)で示されるイソチオシアン酸エステルを、βーシトロネロールを使用することにより、式(i)で示されるイソチオシアン酸エステルを、リナロールを使用することにより、式(j)で示されるイソチオシアン酸エステルを、メントールを使用することにより、式(k)で示されるイソチオシアン酸エステルを、αーテルピネオールを使用することにより、式(l)で示されるイソチオシアン酸エステルを、ボルネオールを使用することにより、式(m)で示されるイソチオシアン酸エステルを製造することができる。





1,nージハロゲノアルカンとしては、1,2−ジブロモエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,6ージブロモヘキサン、1,10−ジブロモデカン、1,12−ジブロモドデカンなどのジブロモアルカン、1,10−ジクロロデカンなどのジクロロアルカンをあげることができる。1,nージハロゲノアルカンのnは、1〜12の整数を示し、アルキレン基の炭素数、すなわち、得られるイソチオシアン酸エステルのメチレン基の数nに相当する。
強アルカリとしては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、酸化銀などの塩基性金属酸化物などをあげることができる。
チオシアン酸塩としては、たとえば、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸リチウムなどのアルカリ金属塩などを用いることができる。
水酸基含有モノテルペンのイオン化を行うときには、反応溶媒を使用しなくてもよいし、反応溶媒を使用することもできる。反応溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることができる。反応温度は、溶媒の沸点以上、通常、好ましくは0〜100゜C、より好ましくは10〜75゜Cとすることができる。0゜C未満では、水酸基含有モノテルペンのイオン化
が起こりにくくなり、100゜Cを越えると、副反応が起こりやすくなる。
イオン化した水酸基含有モノテルペンに1,nージハロゲノアルカンを添加してメチレン側鎖の導入を行う反応には、メタノール、エタノールなどのアルコールを溶媒として用いることができる。反応温度は、溶媒の沸点以下、通常、好ましくは0〜100゜C、より好ましくは20〜80゜Cである。0゜C未満では、イオン化した水酸基含有モノテルペンと1,nージハロゲノアルカンとの反応が起こりにくくなり、100゜Cを越えると、副反応が起こりやすくなるからである。反応溶媒として使用するメタノールおよびエタノールの沸点を反応温度とすることが好ましい。
水酸基含有モノテルペンに1,nージハロゲノアルカンを作用させメチレン側鎖を形成したモノテルペン誘導体とチオシアン酸塩との反応は、反応溶媒を使用することにより行うことができる。反応溶媒としては、アセトンなどのケトン、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミドを用いることができる。反応温度は、溶媒の沸点以下、通常、好ましくはー60〜180゜C、より好ましくは20〜80゜Cとすることができる。ー60゜C未満では、メチレン側鎖を形成したモノテルペン誘導体とチオシアン酸塩との反応が起こりにくくなり、180゜Cを越えると、副反応が起こりやすくなる。反応溶媒としては、アセトンを使用するときには、アセトンの沸点を反応温度とすることが好ましい。
モノテルペン誘導体のチオシアン酸エステルの異性化は、反応溶媒を使用することにより行うことができる。反応溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類を用いることができる。反応温度は、通常好ましくは30〜80゜C、より好ましくは50〜120゜Cである。30゜C未満では、異性化が起こりにくくなり、180゜Cを超えると、副反応が起こりやすくなる。
得られた式(a)で示される化合物は、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなどを用いて精製することができる。
本発明の水中生物付着防止剤には、式(a)で示される化合物が1種または2種以上含有される。本発明の水中生物付着防止剤には式(a)で示される化合物を0.001〜50重量%含有することが可能である。少ないと、効果が少なく付着生物による汚染を受けやすい傾向があり、多いと、付着物に対する効果があまり増大しない傾向があり、式(a)で示される化合物を0.01〜10重量%含有することが好ましく、1〜10重量%含有することがより好ましい。
本発明の水中生物付着防止剤には、式(a)で示される化合物が以外の他の成分を含有することができる。本発明の水中生物付着防止剤は、他の成分として、水中生物付着防止剤の有効成分として作用する化合物を含有することができる。式(a)で示される化合物以外の水中生物付着防止剤の有効成分として作用する化合物としては、亜酸化銅、銅粉、チオシアン酸第一銅、硫酸銅、硫酸亜鉛、硫酸ニッケルなどの無機化合物;オキシン銅、酢酸銅、ナフテン酸銅、銅ピリチオンなどの有機銅系化合物;酢酸ニッケル、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケルなどの有機ニッケル系化合物;酢酸亜鉛、カルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジンクピリチオンなどの有機亜鉛系化合物、N−トリクロロメチルチオフタルイミド、N−フルオロジクロロメチルチオフタルイミドなどのN−トリハロメチルチオフタルイミド;ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド、N−メチルジチオカルバミン酸アンモニウム、エチレンビス(ジチオカルバミン酸)アンモニウムなどのジチオカルバミン酸;N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−4−トリルマレイミド、n−3−クロロフェニルマレイミドなどのN−アリールマレイミド;3−ベンジリデンアミノ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、3−(4−メチルベンジリデンアミノ)−1,3−チアゾリジンー2,4−ジオンなどの3−置換アミノー1,3−チアゾリジンー2,4−ジオン;ジチオシアノメタン、ジチオシアノエタン、2,5−ジチオシアノチオフェンなどのジチオシアノ系化合物;2−メチルチオー4−t−ブチルアミノー6−シクロプロピルアミノーS−トリアジンなどのチリアジン系化合物;2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルN’ージクロロフェニル尿素、4、5−ジクロロー2−nーオクチルーイソチアゾリンー3−オン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−(Nーフルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、テトラメチルチウラムジスルフィド、3−ヨードー2−プロピニルブチルカルバメート、2−(メトキシカルボニルアミノ)ベンズイミダゾール、2,3,5,6−テトラクロロー4ー(メチルスルフォニル)ピリジン、ジヨードメチルパラトリルスルホン、フェニル(ビスピリジン)ビスマスジクロライド、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、ピリジンチリフェニルボランなどを使用することができる。
本発明の水中生物付着防止剤は、塗料の形態(水中生物付着防止塗料)、溶液の形態、乳剤の形態などの各種の形態に調製することができる。本発明の水中生物付着防止剤は、その形態に応じて、各種の他の成分を含有することができる。各形態の水中生物付着防止剤の調製は、通常行われる一般的な処方にておこなうことができる。
たとえば、本発明の水中生物付着防止塗料は、式(a)で示される化合物を塗料に含有させることにより得られる。本発明の水中生物付着防止塗料は、式(a)で示される化合物以外の他の成分として、と膜形成成分、顔料、添加剤、溶剤などを含むことができる。
塗膜形成成分としては、アマニ油などの油類、ロジンなどの天然樹脂、塩化ビニルなどの合成樹脂をあげることができる。顔料としては、チタン白、亜鉛華、ベンガラなどの着色顔料、亜鉛末、鉛丹などの錆止め顔料、炭酸カルシウム、クレー、タルク、硫酸バリウムなどの体質顔料、アルミニウムペースト、亜酸化銅、ガラスビーズ、マイカなどの特殊機能顔料をあげることができる。添加剤としては、アルキルアミン、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ステアリン酸アルミニウム、ベントナイト、メチルセルロース、シリコーン、界面活性剤、ナフテン酸金属石鹸などをあげることができる。溶剤としては、石油系混合溶剤、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、セロソルブ、ケトン、エステル、水などをあげることができる。
本発明の水中生物付着防止塗料は、式(a)で示される化合物を0.001〜50重量%含有することが可能である。少ないと、効果が少なく付着生物による汚染を受けやすい傾向があり、多いと、付着物に対する効果があまり増大しない傾向があり、式(a)で示される化合物を0.01〜10重量%含有することが好ましく、1〜10重量%含有することがより好ましい。
本発明の溶液の形態に調製した水中生物付着防止剤は、たとえば、式(a)で示される化合物を塗膜形成剤に配合することにより、調製することができる。塗膜形成剤としては、たとえば、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、メタノールなどを使用することができる。溶液の形態に調製した水中生物付着防止剤は、式(a)で示される化合物を0.001〜50重量%含有することが可能である。少ないと、効果が少なく付着生物による汚染を受けやすい傾向があり、多いと、付着物に対する効果があまり増大しない傾向があり、式(a)で示される化合物を0.01〜10重量%含有することが好ましく、1〜10重量%含有することがより好ましい。
本発明の乳剤の形態に調製した水中生物付着防止剤は、溶剤中に式(a)で示される化合物を溶解させ、さらに界面活性剤を添加する常法により調製することができる。溶媒としては、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、メタノールなどを使用することができる。界面活性剤としては,非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両イオン性のものを適宜使用することができる。たとえば、アルキルフェノール、高級アルコール、アルキルナフトール、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、ジアルキルリン酸アミンなどに対してエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを重合させたもの;ラウリル酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩;2−エチルヘキセンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアリールスルホン酸塩などを使用することができる。
乳剤の形態に調製した水中生物付着防止剤は、式(a)で示される化合物を、好ましくは0.001〜50重量%。より好ましくは0.01〜10重量%含有することができる。0.01重量%未満では、付着生物により汚染を受けやすい傾向があり、10重量%を越えても、付着生物に対する効果があまり増大しない傾向がある。
本発明の水中生物付着防止剤は、船舶の船底部、漁網、ブイなどの海水中に置かれる設備、火力もしくは原子力発電所および各種工業の冷却用水の取水路、海洋構築物、水中構築物または貯水池などに用いることができ、貝類などの有害な水中生物が付着するのを防止することができる。
本発明の水中生物付着防止塗料を、水中生物の付着を防止する必要のある適用対象に塗布して、塗膜を形成させることにより、適用対象に対する水中生物の付着を防止することができる。
本発明の溶液または乳剤の形態に調製した水中生物付着防止剤は、水中生物の付着を防止する必要のある適用対象、とくに、養殖魚網、定置魚網などに塗布することにより、水中生物の付着を防止することができる。
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
実施例1
<モノテルペン誘導体のイソチアン酸エステルの製造>
冷却管、温度計および攪拌機を設置した三口フラスコにゲラニオール88mlおよびジエチルエーテル50mlを仕込み、そこに細かく切断したナトリウム10gを加えた。そこに、ヨウ化カリウム2gを添加した後、1,10−ジブロモデカン100mlを約1時間かけて滴下し、さらに、エタノール300mlを約3時間かけて滴下し、還流条件下にて10時間反応させた。反応物を、エーテル抽出した後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、中間体(モノテルペン誘導体)(1)を60g得た。
同様の装置に中間体(1)を50g、チオシアン酸カリウム15gおよびN,N−ジメチルホルムアミド200mlを仕込み、80゜Cにて25時間反応させた。反応生成物を、エーテル抽出した後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、モノテルペン誘導体のチオシアン酸エステル(1)を39g得た。
同様の装置にモノテルペン誘導体のチオシアン酸エステル(1)を39gおよびN,N−ジメチルホルムアミド200mlを仕込み、100゜Cにて25時間反応させた。反応生成物をエーテル抽出した後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、モノテルペン誘導体のイソチオシアン酸エステル(1)を26g得た。
<水中生物付着防止塗料の製造>
イソチオシアン酸エステル(1)を用いて、表2に示す配合割合により本発明の水中生物付着防止塗料を調製した。
<水中生物付着防止性能の評価>
前記水中生物付着防止塗料をFRP(ガラス繊維強化ポリエステル)板(150x300mm)の両面に、乾燥膜厚が70μmになるように刷毛塗りして試験板を作製した。この試験板を、兵庫県赤穂市坂越沖に設置したテスト用の筏から深度1.0mの海中に浸漬し、試験板表面の生物の付着状況を定期的に調査した。4ヶ月後および6ヶ月後の調査結果を表3に示す。コントロールとして、水中生物付着防止塗料を使用しなかった場合の結果を示す。
なお、水中生物付着防止性能の評価は、目視に寄って塗膜面積の付着生物による被覆率を6段階で評価した。数字が大きいほど被覆率が小さいことを示す。すなわち、表3中、「5」は汚損生物の付着がなかったこと、「4」は汚損生物の付着(被覆率)が5%以下であったこと、「3」は6〜10%であったこと、「2」は11〜25%であったこと、「1」は26〜50%であったこと、「0」は51%以上であったことを示す。
実施例2〜9
実施例1と同様の装置に、表1に示す所定量の各モノテルペン(A)およびジエチルエーテル50mlを仕込み、そこに細かく切断したナトリウム10gを加えた。そこに、ヨウ化カリウム2gを添加した後、表1に示す所定量の各ジブロモアルカン(B)を約1時間かけて滴下し、さらに、エタノール300mlを約3時間かけて滴下し、還流条件下にて10時間反応させた。反応物を、エーテル抽出した後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、中間体(モノテルペン誘導体)(2)〜(9)を得た。得られた各中間体の収量を表1に示す。
同様の装置に中間体(2)〜(9)を50g、表1に示す量のチオシアン酸カリウム(C)およびN,N−ジメチルホルムアミド200mlを仕込み、80゜Cにて25時間反応させた。反応生成物を、エーテル抽出した後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、モノテルペン誘導体のチオシアン酸エステル(2)〜(9)を得た。得られたモノテルペン誘導体のチオシアン酸エステル(2)〜(9)の収量を表1に示す。
同様の装置にモノテルペン誘導体のチオシアン酸エステル(2)〜(9)の表1に示す収量分およびN,N−ジメチルホルムアミド200mlを仕込み、100゜Cにて25時間反応させた。反応生成物をエーテル抽出した後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、モノテルペン誘導体のイソチオシアン酸エステル(2)〜(9)を得た。得られたモノテルペン誘導体のイソチオシアン酸エステル(2)〜(9)の収量を表1に示す。
ついで得られたイソチオシアン酸エステル(2)〜(9)を用いて、表2に示す配合割合により本発明の水中生物付着防止塗料を調製し、実施例1と同様にして水中生物付着防止性能の評価を行った。その結果を表3に示す。
比較例1
実施例1におけるイソチオシアン酸エステルに代えて亜酸化銅を用いて、表2に示す配合割合にて塗料を調製し、実施例1と同様にして水中生物付着防災性能の評価を行った。
結果を表3に示す。
比較例2
市販の水中生物付着防止剤(ピリジントリフェニルボラン)を用いて表2に示す配合割合にて塗料を調製し、実施例1と同様にして水中生物付着防止性能の評価を行った。
結果を表3に示す。
実施例10
実施例1と同様の装置に、ゲラニオール88mlおよびジエチルエーテル50mlを仕込み、そこに細かく切断したナトリウム10gを加えた。そこに、ヨウ化カリウム2gを添加した後、1,2−ジブロモエタン50mlを約1時間かけて滴下し、さらに、エタノール300mlを約3時間かけて滴下し、還流条件下にて10時間反応させた。反応物を、エーテル抽出した後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、中間体(モノテルペン誘導体)(10)を53g得た。
同様の装置に中間体(10)を50g、チオシアン酸カリウム20gおよびN,N−ジメチルホルムアミド200mlを仕込み、80゜Cにて25時間反応させた。反応生成物を、エーテル抽出した後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、モノテルペン誘導体のチオシアン酸エステル(10)を41g得た。
同様の装置にモノテルペン誘導体のチオシアン酸エステル(10)を41gおよびN,N−ジメチルホルムアミド200mlを仕込み、100゜Cにて25時間反応させた。反応生成物をエーテル抽出した後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、モノテルペン誘導体のイソチオシアン酸エステル(10)を20g得た。
ついで、得られたイソチオシアン酸エステル(10)を用いて、表2に示す配合割合により本発明の水中生物付着防止塗料を調製し、実施例1と同様にして水中生物付着防止性能の評価を行った。性能評価の結果は、4ヶ月後が「3」、6ヶ月後が「2」であった。
1)ピリジントリフェニルボラン
2)塩化ビニル樹脂(ピーエーエスエスジャパン(株))「ラロフレックス」)
表3に示す結果からも明らかなように、イソチオシアン酸エステル(1)〜(9)を用いた水中生物付着防止塗料(実施例1〜9)は、比較例1および2の塗料と同等以上の高い水中生物付着防止性能を有することが確認された。実施例9で調製した塗料の性能は、亜酸化銅を使用した比較例1とほぼ同等であったが、比較例1に使用した亜酸化銅は、重金属化合物であり、その溶出物が海洋環境に悪影響を与えるものと考えられる。

Claims (8)

  1. 式(a);

    (式中、nは1〜12の整数を、Rは
    のいずれかを示す)で示されるモノテルペン誘導体のイソチオシアン酸エステルを含有することを特徴とする水中生物付着防止剤。
  2. 前記イソチオシアン酸エステルが式(h)
    で示される請求項1記載の水中生物付着防止剤。
  3. 前記イソチオシアン酸エステルが式(i)
    で示される請求項1記載の水中生物付着防止剤。
  4. 前記イソチオシアン酸エステルが式(j)
    で示される請求項1 記載の水中生物付着防止剤。
  5. 前記イソチオシアン酸エステルが式(k)
    で示される請求項1記載の水中生物付着防止剤。
  6. 前記イソチオシアン酸エステルが式(l)
    で示される請求項記載の水中生物付着防止剤。
  7. 前記イソチオシアン酸エステルが式(m)
    で示される請求項1記載の水中生物付着防止剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の水中生物付着防止剤を用いた塗料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007169168A (ja) * 2005-12-19 2007-07-05 Nichirin Co Ltd チオシアン酸エステル(共)重合体を用いた水中生物付着防止材

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