JP2005075241A - 車両用サスペンション装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ばね下部材の共振周波数を見かけ上高めるようにショックアブソーバの減衰係数を制御して乗員が感じるばね下部材のばたつきを低減する。
【解決手段】 マイクロコンピュータ40のプログラム処理により、ばね下加速度センサ41および積分器43によるばね下変位を用いて、同ばね下変位と仮想のばね定数増加値とを積算して、目標可変減衰力が計算される。この目標可変減衰力を、ストロークセンサ42および微分器44によるストローク速度で除算した値に応じてショックアブソーバ10の減衰係数が制御される。ばね下加速度センサ41によるばね下加速度を用いて、同ばね下加速度と仮想のばね下質量低減値とを積算して、目標可変減衰力が計算され、この目標可変減衰力を、ストロークセンサ42および微分器44によるストローク速度で除算した値に応じてショックアブソーバ10の減衰係数が制御されるようにしてもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】 マイクロコンピュータ40のプログラム処理により、ばね下加速度センサ41および積分器43によるばね下変位を用いて、同ばね下変位と仮想のばね定数増加値とを積算して、目標可変減衰力が計算される。この目標可変減衰力を、ストロークセンサ42および微分器44によるストローク速度で除算した値に応じてショックアブソーバ10の減衰係数が制御される。ばね下加速度センサ41によるばね下加速度を用いて、同ばね下加速度と仮想のばね下質量低減値とを積算して、目標可変減衰力が計算され、この目標可変減衰力を、ストロークセンサ42および微分器44によるストローク速度で除算した値に応じてショックアブソーバ10の減衰係数が制御されるようにしてもよい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両のばね下部材とばね上部材との間に介装されてばね上部材の振動を抑制する減衰力発生機構を備えた車両用サスペンション装置に関する。
従来から、この種のサスペンション装置として、例えば下記特許文献1に記載されているように、荷重センサによる検出値に基づいて車輪の接地荷重を検出し、この検出された接地荷重の変動に応じてショックアブソーバの減衰力を制御するようにしたものは知られている。これは、旋回時におけるばね上部材の荷重移動を抑制することで接地荷重変動を抑制して車両の接地性を向上させたものである。
特開平11−151923号公報
接地性向上のためには、上記のように接地荷重変動を抑制することが重要である。しかし、一般に接地荷重変動は乗員に対してばね下部材の振動に伴うばたつき感やばたつき音として感じられることが多いので、このような乗員の受振感性を考慮すればばね上部材による荷重変動を抑制することに限らず、ばね下部材によるばたつき感やばたつき音を低減することも官能評価として必要になる。この場合、ばね下部材によるばたつき感やばたつき音を低減するために、ホイール、アームなどのばね下部材を軽量化することが考えられるが、強度上の制約やコスト面においてその軽量化にも限界がある。
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、ばね下部材の共振周波数を見かけ上高めるように減衰力発生機構の減衰係数を制御することにより乗員が感じるばね下部材のばたつきを低減することが可能なサスペンション装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、車両のばね下部材とばね上部材との間に介装されてばね上部材の振動を抑制する減衰力発生機構を備えた車両用サスペンション装置において、ばね下部材に対するばね上部材の上下方向の相対速度をばね上相対速度として検出するばね上相対速度検出手段と、ばね下部材の共振周波数を見かけ上高めるように減衰力発生機構によって発生される減衰力を変更するための目標可変減衰力を決定する目標可変減衰力決定手段と、決定した目標可変減衰力と検出したばね上相対速度とを用いて減衰力発生機構の減衰係数を可変制御する制御手段とを備えたことにある。
この場合、前記目標可変減衰力決定手段を、路面に対するばね下部材の上下方向の相対変位をばね下相対変位として検出するばね下相対変位検出手段と、検出されたばね下相対変位を用いてばね下部材の共振周波数を見かけ上高めるように目標可変減衰力を計算する目標可変減衰力計算手段とで構成するとよい。そして、この目標可変減衰力計算手段は、車輪の上下方向のばね定数を大きくするための予め決められたばね定数増加値を用いて、同ばね定数増加値と検出されたばね下相対変位とを積算して目標可変減衰力を計算するものであるように構成するとよい。
また、前記目標可変減衰力決定手段を、ばね下部材の上下方向の加速度をばね下加速度として検出するばね下加速度検出手段と、検出されたばね下加速度を用いてばね下部材の共振周波数を見かけ上高めるように目標可変減衰力を計算する目標可変減衰力計算手段とで構成するとよい。そして、この目標可変減衰力計算手段は、ばね下部材の質量を小さくするための予め決められたばね下質量低減値を用いて、同ばね下質量低減値と検出されたばね下加速度とを積算して目標可変減衰力を計算するものであるように構成するとよい。
これによれば、目標可変減衰力決定手段が、ばね下部材の共振周波数を見かけ上高めるように減衰力発生機構によって発生される減衰力を変更するための目標可変減衰力を決定する。そして、制御手段が、決定した目標可変減衰力と検出したばね上相対速度とを用いて減衰力発生機構の減衰係数を可変制御する。このため、シート上の乗員にはばね下部材の共振周波数よりも見かけ上高い周波数の振動が伝達されるので、乗員が感じるばね下部材のばたつきが低減することになる。
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明すると、図1は同第1実施形態に係る車両のサスペンション装置の全体を表す概略図である。このサスペンション装置は、サスペンション機構SPと電気制御装置ELを備えている。
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明すると、図1は同第1実施形態に係る車両のサスペンション装置の全体を表す概略図である。このサスペンション装置は、サスペンション機構SPと電気制御装置ELを備えている。
サスペンション機構SPは、ショックアブソーバ10とコイルスプリング20を備えている。ショックアブソーバ10は、車輪Wに接続されたロアアーム、ナックル等のばね下部材LAと、車体BD(ばね上部材)との間に介装されていて、シリンダ11の下端にてばね下部材LAに連結されるとともに、同シリンダ11に上下動可能に挿入されたピストンロッド12の上端にて車体BDに固定されている。コイルスプリング20はショックアブソーバ10と並列に設けられている。シリンダ11は、その内周面上を液密的に摺動するピストン13により上下室R1,R2に区画されている。
ピストン13には、可変絞り機構30が組み付けられている。可変絞り機構30は、その一部を構成するアクチュエータ31の作動により、シリンダ11の上下室R1,R2間を連通させる連通路の開度を複数段階に切り換える。この切り換え段階に応じて、連通路の開度が大きくなるとショックアブソーバ10の減衰力がソフト側に設定され、連通路の開度が小さくなると同ショックアブソーバ10の減衰力がハード側に設定されるようになっている。
電気制御装置ELは、アクチュエータ31の作動を制御するマイクロコンピュータ40を備えている。マイクロコンピュータ40は、イグニッションスイッチのオン後の所定時間ごとに図3の減衰力変更制御プログラムを繰り返し実行してアクチュエータ31の作動を制御する。このマイクロコンピュータ40には、ばね下加速度センサ41およびストロークセンサ42が接続されている。
ばね下加速度センサ41は、ばね下部材LAに組み付けられてばね下部材LAの絶対空間に対する上下方向のばね下加速度G1を検出する。このばね下加速度センサ41には積分器43が接続されており、同積分器43は前記ばね下加速度G1を表す検出信号を2回積分することにより、同ばね下加速度G1をばね下部材LAの上下方向の絶対変位(ばね下変位)X1に変換する。このばね下変位X1は、上方向が正で表されるとともに下方向が負で表される。ストロークセンサ42は、車体BDとばね下部材LAとの間に設けられて車体BDのばね下部材LAに対するストローク変位Sを検出する。このストロークセンサ42には微分器44が接続されており、同微分器44は前記ストローク変位Sを表す検出信号を微分することにより、同変位Sをばね下部材LAに対する車体BDの上下方向のストローク速度Vに変換する。なお、このストローク速度Vは、車体BDとばね下部材LAとの間隔が広がる方向、すなわち車体BDがばね下部材LAに対して上方に相対移動するときを正とし、車体BDとばね下部材LAとの間隔が狭まる方向、すなわち車体BDがばね下部材LAに対して下方に相対移動するときを負とする。
ここで、本発明の第1実施形態に係るサスペンション装置の作動を説明する前に、図2に示す車両単輪モデルを使ってサスペンション系の運動の概略を説明しておく。
図2(A)は、実際のサスペンション装置を表したものであり、図2(B)は、車輪のばね定数KtをΔKだけ大きくしたと仮定したときの仮想のサスペンション装置を表したものである。この場合、ばね下部材LAの質量をmとし、車体BDの絶対空間における上方向の変位量、速度をX2,V2とし、ばね下部材LAの絶対空間における上方向の変位量、速度および加速度をX1,V1,G1とし、路面の絶対空間における上方向の変位量をX0とし、コイルスプリング20のばね定数、車輪Wのばね定数をそれぞれKs,Ktとすれば、ばね下部材LAの運動方程式は、図2(A)に示す実際のサスペンション装置においては、下記式(1)を用いて表される。
m・G1=Ks・(X2−X1)+C・(V2−V1)−Kt・(X1−X0) …(1)
ここで、Cはショックアブソーバ10の減衰係数である。この減衰係数Cは、固定減衰係数C0と可変減衰係数Cvとの和で表すことができる。この場合、固定減衰係数C0は、ある大きさに予め設定された所定の値であり、例えば初期の減衰係数として設定されるものである。これに対して、可変減衰係数Cvは、減衰係数の変動分であり、例えば初期の減衰係数を固定減衰係数C0に設定した場合には、可変減衰係数Cvに応じてショックアブソーバ10の減衰力を制御すればよいことになる。これにより、上記式(1)は下記式(2)のように表される。
m・G1=Ks・(X2−X1)+(C0+Cv)・(V2−V1)−Kt・(X1−X0) …(2)
m・G1=Ks・(X2−X1)+C・(V2−V1)−Kt・(X1−X0) …(1)
ここで、Cはショックアブソーバ10の減衰係数である。この減衰係数Cは、固定減衰係数C0と可変減衰係数Cvとの和で表すことができる。この場合、固定減衰係数C0は、ある大きさに予め設定された所定の値であり、例えば初期の減衰係数として設定されるものである。これに対して、可変減衰係数Cvは、減衰係数の変動分であり、例えば初期の減衰係数を固定減衰係数C0に設定した場合には、可変減衰係数Cvに応じてショックアブソーバ10の減衰力を制御すればよいことになる。これにより、上記式(1)は下記式(2)のように表される。
m・G1=Ks・(X2−X1)+(C0+Cv)・(V2−V1)−Kt・(X1−X0) …(2)
また、図2(B)に示す仮想のサスペンション装置においては、ばね下部材LAの運動方程式は、下記式(3)を用いて表される。
m・G1=Ks・(X2−X1)+C0・(V2−V1)−(Kt+ΔK)・(X1−X0) …(3)
上記式(2)の両辺から上記式(3)の両辺を引くと下記式(4)が得られる。
Cv=−ΔK・(X1−X0)/(V2−V1) …(4)
したがって、目標可変減衰力Fvは、下記式(5)を用いて表される。
Fv=Cv・(V2−V1)=−ΔK・(X1−X0) …(5)
ここで、路面変位X0は、厳密に求めることが困難な値である。したがって、ばね下共振帯域では路面変位X0がばね下部材LAの絶対変位X1よりも十分小さいものと仮定して、路面変位X0≒0と近似すれば、上記式(5)から下記式(6)が得られる。
Fv=−ΔK・X1 …(6)
m・G1=Ks・(X2−X1)+C0・(V2−V1)−(Kt+ΔK)・(X1−X0) …(3)
上記式(2)の両辺から上記式(3)の両辺を引くと下記式(4)が得られる。
Cv=−ΔK・(X1−X0)/(V2−V1) …(4)
したがって、目標可変減衰力Fvは、下記式(5)を用いて表される。
Fv=Cv・(V2−V1)=−ΔK・(X1−X0) …(5)
ここで、路面変位X0は、厳密に求めることが困難な値である。したがって、ばね下共振帯域では路面変位X0がばね下部材LAの絶対変位X1よりも十分小さいものと仮定して、路面変位X0≒0と近似すれば、上記式(5)から下記式(6)が得られる。
Fv=−ΔK・X1 …(6)
したがって、上記式(6)から目標可変減衰力Fvが−ΔK・X1となるようにショックアブソーバ10の減衰力を制御することにより、車輪のばね定数を(Kt+ΔK)に設定した場合と見かけ上等価な共振周波数が得られる。すなわち、車輪のばね定数をKtに設定した場合と比べて、ばね下部材LAの共振周波数が見かけ上高められることになる。
以上の結果、ショックアブソーバ10に要求される目標減衰力Fは、目標可変減衰力Fvを用いて下記式(7)のように表される。
F=C0・(V2−V1)+Fv …(7)
F=C0・(V2−V1)+Fv …(7)
次に、上記のように構成した第1実施形態の作動について説明する。乗員がイグニッションキーを操作してイグニッションスイッチがオンすると、マイクロコンピュータ40は、図3の減衰力変更制御プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行し始める。
この減衰力変更制御プログラムの実行はステップ100にて開始され、ステップ102にて、ばね下加速度センサ41によって検出されたばね下加速度G1を積分器43で変換したばね下変位X1、ストロークセンサ42によって検出されたストローク変位Sを微分器44で変換したばね下部材LAに対する車体BDのストローク速度Vを入力する。
次に、ステップ104にて、車輪Wのばね定数ΔKを入力する。このばね定数ΔKは、車輪Wのばね定数を大きくするための仮想のばね定数増加値であり、シート上の乗員がばね下部材LAの共振によるばたつきを感じない程度の大きさの所定の値に予め設定されている。ステップ104の処理後、ステップ106にて、上記式(6)に基づいて目標可変減衰力Fvを計算し、ステップ108にて、上記式(7)に基づいて目標減衰力Fを計算する。ステップ108の処理後、ステップ110以降の処理を実行する。
ステップ110,112においては、マイクロコンピュータ40に内蔵されている減衰力テーブルを参照して、目標減衰力Fが減衰力制御可能な領域内にあるか否かを判定する。この減衰力テーブルは、図4に示すように、ショックアブソーバ10により発生される減衰力Fとストローク速度Vとの関係を示すデータを記憶している。ここで、減衰力Fhardは、ストローク速度Vに応じてショックアブソーバ10により発生される最大の減衰力を示し、減衰力Fsoftは、ストローク速度Vに応じてショックアブソーバ10により発生される最小の減衰力を示している。
ステップ110,112にて、それぞれ「Yes」すなわち目標減衰力Fがストローク速度Vに応じた最大減衰力Fhard未満であり、かつストローク速度Vに応じた最小減衰力Fsoftよりも大きければ、ステップ114にて、ステップ108にて計算した目標減衰力Fを最終的に必要な必要減衰力Fdに設定する。一方、目標減衰力Fがストローク速度Vに応じた最大減衰力Fhard以上であれば、ステップ110にて「No」と判定し、ステップ116にて同減衰力Fhardを必要減衰力Fdに設定する。また、目標減衰力Fがストローク速度Vに応じた最小減衰力Fsoft以下であれば、ステップ110にて「Yes」、ステップ112にて「No」と判定し、ステップ118にて同減衰力Fsoftを必要減衰力Fdに設定する。
ステップ114,116または118の処理後、ステップ120にて、必要減衰力Fdをストローク速度Vで除算して得られた減衰係数Cに応じてアクチュエータ31を作動制御してショックアブソーバ10による減衰力を増減させる。これにより、ばね下部材LAの共振周波数が見かけ上高められる。すなわち、シート上の乗員にはばね下部材LAの共振周波数よりも見かけ上高い周波数の振動が伝達されることになるので、乗員が感じるばね下部材LAのばたつきが低減する。ステップ120の処理後、ステップ130にてこの減衰力変更制御プログラムの実行を終了する。
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、上記第1実施形態とほぼ同じ構成とされているが、この第2実施形態のマイクロコンピュータ40は、図3の減衰力変更制御プログラムに代えて、図6の減衰力変更制御プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、上記第1実施形態とほぼ同じ構成とされているが、この第2実施形態のマイクロコンピュータ40は、図3の減衰力変更制御プログラムに代えて、図6の減衰力変更制御プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行する。
この第2実施形態に係るサスペンション装置は、図5に示す仮想のサスペンション装置を制御モデルとしている。この仮想のサスペンション装置は、ばね下部材LAの質量mをΔmだけ小さくしたと仮定したものである。この仮想のサスペンション装置において、ばね下部材LAの運動方程式は、下記式(8)を用いて表される。
(m−Δm)・G1=Ks・(X2−X1)+C0・(V2−V1)−Kt・(X1−X0) …(8)
また、実際のサスペンション装置においては、第1実施形態と同様に、ばね下部材LAの運動方程式は、上記式(2)を用いて下記のように表される。
m・G1=Ks・(X2−X1)+(C0+Cv)・(V2−V1)−Kt・(X1−X0) …(2)
上記式(2)の両辺から上記式(8)の両辺を引くと下記式(9)が得られる。
Cv=Δm・G1/(V2−V1) …(9)
したがって、目標可変減衰力Fvは、下記式(10)を用いて表される。
Fv=Cv・(V2−V1)=Δm・G1 …(10)
(m−Δm)・G1=Ks・(X2−X1)+C0・(V2−V1)−Kt・(X1−X0) …(8)
また、実際のサスペンション装置においては、第1実施形態と同様に、ばね下部材LAの運動方程式は、上記式(2)を用いて下記のように表される。
m・G1=Ks・(X2−X1)+(C0+Cv)・(V2−V1)−Kt・(X1−X0) …(2)
上記式(2)の両辺から上記式(8)の両辺を引くと下記式(9)が得られる。
Cv=Δm・G1/(V2−V1) …(9)
したがって、目標可変減衰力Fvは、下記式(10)を用いて表される。
Fv=Cv・(V2−V1)=Δm・G1 …(10)
したがって、上記式(10)から目標可変減衰力FvがΔm・G1となるようにショックアブソーバ10の減衰力を制御することにより、ばね下部材LAの質量を(m−Δm)に設定した場合と見かけ上等価な共振周波数が得られる。すなわち、ばね下部材LAの質量をmに設定した場合と比べて、ばね下部材LAの共振周波数が見かけ上高められることになる。
ショックアブソーバ10に要求される目標減衰力Fは、第1実施形態と同様に、上記式(7)を用いて下記のように表される。
F=C0・(V2−V1)+Fv …(7)
F=C0・(V2−V1)+Fv …(7)
次に、上記のように構成した第2実施形態の作動について説明する。乗員がイグニッションキーを操作してイグニッションスイッチがオンすると、マイクロコンピュータ40は、図6の減衰力変更制御プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行し始める。
この減衰力変更制御プログラムの実行はステップ200にて開始され、ステップ202にて、ばね下加速度センサ41によって検出されたばね下加速度G1、ストロークセンサ42によって検出されたストローク変位Sを微分器44で変換したばね下部材LAに対する車体BDのストローク速度Vを入力する。ステップ202の処理後、ステップ204にて、入力したばね下加速度G1をバンドパスフィルタ処理することによりばね下共振帯域のばね下加速度G1を導出する。
次に、ステップ206にて、ばね下部材LAの質量Δmを入力する。この質量Δmは、ばね下部材LAの質量mを小さくするための仮想のばね下質量低減値であり、シート上の乗員がばね下部材LAの共振によるばたつきを感じない程度の大きさの所定の値に予め設定されている。ステップ206の処理後、ステップ208にて、上記式(10)に基づいて目標可変減衰力Fvを計算し、ステップ210にて、上記式(7)に基づいて目標減衰力Fを計算する。ステップ210の処理後、上記第1実施形態におけるステップ110以降の処理と同様に、ステップ212以降の処理を実行する。
ステップ212,214においては、図4に示す減衰力テーブルを参照して、目標減衰力Fが減衰力制御可能な領域内にあるか否かを判定する。ステップ212,214にて、それぞれ「Yes」すなわち目標減衰力Fがストローク速度Vに応じた最大減衰力Fhard未満であり、かつストローク速度Vに応じた最小減衰力Fsoftよりも大きければ、ステップ216にて、ステップ210にて計算した目標減衰力Fを最終的に必要な必要減衰力Fdに設定する。一方、目標減衰力Fがストローク速度Vに応じた最大減衰力Fhard以上であれば、ステップ212にて「No」と判定し、ステップ218にて同減衰力Fhardを必要減衰力Fdに設定する。また、目標減衰力Fがストローク速度Vに応じた最小減衰力Fsoft以下であれば、ステップ212にて「Yes」、ステップ214にて「No」と判定し、ステップ220にて同減衰力Fsoftを必要減衰力Fdに設定する。
ステップ216,218または220の処理後、ステップ222にて、必要減衰力Fdをストローク速度Vで除算して得られた減衰係数Cに応じてアクチュエータ31を作動制御してショックアブソーバ10による減衰力を増減させる。この第2実施形態によっても、第1実施形態とほぼ同様に、ばね下部材LAの共振周波数が見かけ上高められる。すなわち、シート上の乗員にはばね下部材LAの共振周波数よりも見かけ上高い周波数の振動が伝達されることになるので、乗員が感じるばね下部材LAのばたつきが低減する。ステップ222の処理後、ステップ230にてこの減衰力変更制御プログラムの実行を終了する。
上記第1および第2実施形態においては、ステップ106、208の処理によってそれぞれ目標可変減衰力Fvを計算し、ステップ108、210の処理によってそれぞれ目標減衰力Fを計算して、図4に示す減衰力テーブルを参照して目標減衰力Fが減衰力制御可能な領域内にあるか否かをそれぞれ判定するようにした。しかし、このように目標減衰力Fに基づく場合に限らず、例えば目標可変減衰力Fvとストローク速度Vとの関係を示すデータを記憶しているテーブルを用いて、同テーブルを参照して目標可変減衰力Fvが減衰力制御可能な領域内にあるか否かを判定するとともに、目標可変減衰力Fvをストローク速度Vで除算して得られた可変減衰係数Cvに応じてアクチュエータ31を作動制御するようにしてもよい。
以上、本発明の第1および第2実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記第1実施形態においては、ばね下加速度センサ41により検出されたばね下加速度G1を表す信号をそれぞれ積分器43が時間積分することによりばね下変位X1に変換するとともに、第1および第2実施形態においては、ストロークセンサ42により検出されたストローク変位Sを表す信号を微分器44が時間微分することによりストローク速度Vに変換するようにしたが、積分器43および微分器44を省略し、ばね下加速度G1およびストローク変位Sを表す信号を入力してマイクロコンピュータ40内にてそれぞれ積分演算および微分演算することにより、ばね下変位X1およびストローク速度Vを計算するようにしてもよい。
また、ストロークセンサ42を省略し、車体BDに組み付けられて車体BDの絶対空間に対する上下方向のばね上加速度G2を検出するばね上加速度センサを用いて、同ばね上加速度センサおよびばね下加速度センサ41により検出されたばね上加速度G2およびばね下加速度G1に基づいてストローク速度Vを計算したり、ばね上加速度センサ、ばね下加速度センサ41およびストロークセンサ42のうち少なくとも2つのセンサを用いて、ストローク速度V、ばね下変位X1またはばね下加速度G1を計算するようにしてもよい。
BD…車体(ばね上部材)、LA…ばね下部材、SP…サスペンション機構、EL…電気制御装置、10…ショックアブソーバ、20…コイルスプリング、30…可変絞り機構、31…アクチュエータ、40…マイクロコンピュータ、41…ばね下加速度センサ、42…ストロークセンサ
Claims (5)
- 車両のばね下部材とばね上部材との間に介装されてばね上部材の振動を抑制する減衰力発生機構を備えた車両用サスペンション装置において、
ばね下部材に対するばね上部材の上下方向の相対速度をばね上相対速度として検出するばね上相対速度検出手段と、
ばね下部材の共振周波数を見かけ上高めるように前記減衰力発生機構によって発生される減衰力を変更するための目標可変減衰力を決定する目標可変減衰力決定手段と、
前記決定した目標可変減衰力と前記検出したばね上相対速度とを用いて前記減衰力発生機構の減衰係数を可変制御する制御手段とを備えたことを特徴とする車両用サスペンション装置。 - 請求項1に記載した車両用サスペンション装置において、
前記目標可変減衰力決定手段を、
路面に対するばね下部材の上下方向の相対変位をばね下相対変位として検出するばね下相対変位検出手段と、
前記検出されたばね下相対変位を用いてばね下部材の共振周波数を見かけ上高めるように前記目標可変減衰力を計算する目標可変減衰力計算手段とで構成した車両用サスペンション装置。 - 請求項2に記載した車両用サスペンション装置において、
前記目標可変減衰力計算手段は、車輪の上下方向のばね定数を大きくするための予め決められたばね定数増加値を用いて、同ばね定数増加値と前記検出されたばね下相対変位とを積算して前記目標可変減衰力を計算するものである車両用サスペンション装置。 - 請求項1に記載した車両用サスペンション装置において、
前記目標可変減衰力決定手段を、
ばね下部材の上下方向の加速度をばね下加速度として検出するばね下加速度検出手段と、
前記検出されたばね下加速度を用いてばね下部材の共振周波数を見かけ上高めるように前記目標可変減衰力を計算する目標可変減衰力計算手段とで構成した車両用サスペンション装置。 - 請求項4に記載した車両用サスペンション装置において、
前記目標可変減衰力計算手段は、ばね下部材の質量を小さくするための予め決められたばね下質量低減値を用いて、同ばね下質量低減値と前記検出されたばね下加速度とを積算して前記目標可変減衰力を計算するものである車両用サスペンション装置。
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JP2003310538A JP2005075241A (ja) | 2003-09-02 | 2003-09-02 | 車両用サスペンション装置 |
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JP2011025776A (ja) * | 2009-07-23 | 2011-02-10 | Honda Motor Co Ltd | 減衰力可変ダンパの制御装置 |
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2003
- 2003-09-02 JP JP2003310538A patent/JP2005075241A/ja active Pending
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