JP2005072251A - 基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基板に対する処理を均一に施すことができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】 基板Wが待機位置にある場合には、インラインヒータ13と槽用加熱器17の両方で処理液を加熱し、基板Wが処理位置に搬送されて処理液に浸漬される場合には、インラインヒータ13による加熱を停止して、槽用加熱器17でのみ処理槽1内の処理液を加熱する。つまり、加熱直後の処理液が基板Wに対して供給されることがなく、槽用加熱器17で全体的に加熱されている処理液で処理が施されることになる。したがって、基板Wの表面全体がほぼ均一な温度の処理液で処理されるので、基板Wに対する処理を均一化できる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板等の基板(以下、単に「基板」と称する)を処理液で処理する基板処理装置に関する。
従来、この種の装置として、例えば基板表面のシリコン窒化膜を高温度の燐酸(H3PO4)溶液を用いてエッチング処理する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
以下、図4を参照して説明する。この装置は、燐酸溶液を貯留する処理槽101と、この処理槽101から溢れた燐酸溶液を回収する回収槽103と、この回収槽103に回収された燐酸溶液を処理槽101に戻す循環系105と、この循環系105を流通している処理液を加熱しているインラインヒータ107と、処理槽101の底部に配設され、処理槽101内に移動された基板Wの処理位置に向けて処理液を供給する注入管108と、処理槽101内の燐酸溶液を絶えず加熱している加熱器109と、燐酸の供給部111と、燐酸溶液の温度調整のために処理槽101に純水を補充する開閉弁113とを備えている。
このような構成の装置では、シリコン酸化膜との高エッチングレートを維持した状態で処理を施すことがある。その場合には、所定濃度に調整された燐酸溶液を、その濃度に応じた沸点直前の高温度(120〜170℃)に保つことが行われる。そして、燐酸溶液の温度が設定温度よりも高い場合は、その程度に応じて開閉弁113の開放時間を長めに調整して処理槽101内に純水を補充することによりその温度が下げられ、逆に設定温度よりも低い場合は、純水を補充せずにその程度に応じてインラインヒータ107及び加熱器109によってその温度が上げられる。
特開平9−181041号公報(第3頁、第1図)
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、処理槽101の下方に位置する基板Wの下部付近が、その他の部分に比較してエッチングが進行するという現象が生じ、基板Wの面内におけるエッチングの均一性が悪いという問題がある。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板に対する処理を均一に施すことができる基板処理装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の問題を解決するために鋭意研究した結果、次のような知見を得た。
すなわち、処理槽101に処理液を供給している注入管108の処理液供給方向を調整すると、それに応じて基板W面においてエッチングが進行する部分が面内において移動することが実験によって明らかになった。このことから、インラインヒータ107を介して加熱された直後の処理液が、注入管108より基板Wの特定箇所に向けて供給されていることが原因で、基板Wの表面が部分的にエッチングされて処理が不均一になっていることが判った。
因みに、インラインヒータ107の消費電力は約9kWであり、加熱器109の消費電力は約2kWであることから、インラインヒータ107で加熱された処理液による影響が顕著に基板Wに対して現れていると推測される。
このような知見に基づく本発明は、次のように構成されている。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板に所定の処理を行う基板処理装置において、処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽内の処理位置と前記処理槽外との待機位置との間で、基板の搬送を行う搬送手段と、前記処理槽内に処理液を供給する供給手段と、前記処理槽内の処理液を加熱する第1加熱手段と、前記供給手段に流通する処理液を加熱する第2加熱手段と、基板が待機位置にある場合には、前記第1加熱手段及び前記第2加熱手段により処理液を加熱し、基板が処理位置に搬送されて前記処理槽内の処理液に浸漬される場合には、前記第2加熱手段による加熱を停止して前記第1加熱手段により処理液を加熱する制御手段と、を備えていることを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、基板が待機位置にある場合には、第1加熱手段と第2加熱手段の両方で処理液を加熱し、基板が処理位置に搬送されて処理液に浸漬される場合には、第2加熱手段による加熱を停止して、第1加熱手段でのみ処理槽内の処理液を加熱する。つまり、供給手段から供給される処理液は加熱されておらず、処理槽に供給された処理液が第1加熱手段でのみ継続して加熱されるので、加熱直後の処理液が基板に対して供給されることがなく、第1加熱手段で全体的に加熱されている処理液で基板に対する処理が施されることになる。したがって、基板の表面全体がほぼ均一な温度の処理液で処理されるので、基板に対する処理を均一化することができる。
なお、ここでいう「基板が処理位置に搬送されて処理槽内の処理液に浸漬される場合」とは、基板が処理液に浸漬される前から、基板が処理槽内の処理位置に移動されるまでを含むものである。したがって、基板が処理槽の上方などの待機位置にあって処理位置に移動される前に予め第2加熱手段による加熱を停止したり、待機位置から処理位置に基板が搬送手段で搬送される間に第2加熱手段による加熱を停止したり、待機位置から処理位置に基板が搬送手段で搬送された時点で第2加熱手段による加熱を停止したりすることも含む。
また、第2加熱手段による加熱は、余熱を考慮して基板が処理位置に搬送されるより所定時間だけ前に停止されることが好ましい(請求項2)。加熱を停止しても処理液に対する加熱が即座に停止されることはなく、余熱による加熱が生じるので、これによる処理不均一を抑制するためである。
また、供給手段は、前記処理槽から溢れた処理液を、前記第2加熱手段を介して前記処理槽に再び供給する循環式であることが好ましい(請求項3)。処理液を循環させて処理することにより、処理液の消費量を抑制することができる。
この発明に係る基板処理装置によれば、加熱直後の処理液が基板に対して供給されることがなく、第1加熱手段で全体的に加熱されている処理液により基板に対する処理が施される。したがって、基板の表面全体がほぼ均一な温度の処理液で処理されるので、基板に対する処理を均一化することができる。
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。ここでは薬液として燐酸と希釈液として純水とを混合して得られた処理液である燐酸溶液を加熱し、この燐酸溶液中に基板(例えば半導体ウエハ)を浸漬してエッチング処理する装置を例に採って説明する。
この基板処理装置は、燐酸溶液を貯留する処理槽1を備えている。この処理槽1の周囲には、処理槽1から溢れ出た燐酸溶液を回収するための回収槽3が設けられている。回収槽3で回収された燐酸溶液は循環系5を介して処理槽1に戻される。この循環系5は、回収槽3と処理槽1の底部に設けられた噴出管7とを連通接続する配管9に、循環ポンプ11、インラインヒータ13、およびフィルタ15備えている。インラインヒータ13は処理槽1に戻される燐酸溶液を加熱するためのものであり、フィルタ15は処理槽1に戻される燐酸溶液からパーティクルを除去するためのものである。処理槽1と回収槽3の外周囲には、槽内の燐酸溶液を加熱するための槽用加熱器17が設けられている。
なお、上記のインラインヒータ13が本発明の第2加熱手段に相当し、槽用加熱器17が本発明における第1加熱手段に相当する。また、循環系5が本発明の供給手段に相当する。
処理槽1の上部には開閉自在のカバー19が設けられている。処理対象である複数枚の基板Wは昇降自在の保持アーム21に等間隔に直立姿勢で保持されている。昇降自在の保持アーム21が槽外の待機位置にあるときには、カバー19は閉じられている。一方、基板Wを保持アーム21に保持して槽内の処理位置に投入するときには、カバー19が開けられる。基板W群が槽内に投入されてエッチング処理を施している間、カバー19は再び閉じられる。
なお、上記の保持アーム21が本発明における搬送手段に相当する。
回収槽3へ燐酸を供給する燐酸供給部23が配設されている。燐酸供給部23は、回収槽3の上部に配設されたノズル25と、このノズル25を燐酸供給源に連通接続する配管27と、この配管27に介在する流量調整弁29とを備えている。また、処理槽1へ純水を補充するための純水補充部31が配設されている。この純水補充部31は、処理槽1の縁近傍に配設されたノズル33と、このノズル33を純水供給源に連通接続する配管35と、この配管35に配設された流量調整弁37とを備えている。
処理槽1内には燐酸溶液の温度を検出する温度センサ41が設けられている。この温度センサ41の検出信号は温度制御部43に与えられる。温度制御部43は、この検出信号に基づいてインラインヒータ13をPID(比例・積分・微分)制御するとともに、槽用加熱器17をON/OFF制御する。具体的には、温度制御部43は、燐酸溶液の温度が159.7〜160.3°Cの範囲に入るようにインラインヒータ13を制御する。また、温度制御部43は、燐酸溶液の温度が160.3°C以下では槽用加熱器17をON状態に維持し、160.3°Cを超えるとOFF状態にする。
本発明における制御手段に相当する上記の温度制御部43は、上記のような制御の他に、次のような制御も行う。
すなわち、保持アーム21が待機位置や処理位置以外にある場合には、インラインヒータ13と槽用加熱器17を上記のように制御する。一方、保持アーム21が待機位置から処理位置に移動する前には、インラインヒータ13による加熱を停止し、槽用加熱器17による加熱だけに切り替える。そして、基板Wへの処理が完了して保持アーム21が処理位置から待機位置に戻ると、再びインラインヒータ13による加熱を再開する。換言すると、基板Wを処理槽1に移動して処理するのに先立ち、インラインヒータ13及び槽用加熱器17による加熱から、槽用加熱器17による加熱だけに切り替える。なお、保持アーム21がどの位置にあるか等の情報は、後述する主制御部57から与えられる。
さらに処理槽1には、燐酸溶液の濃度を検出する濃度検出装置45が付設されている。この濃度検出装置45は、燐酸溶液の濃度と燐酸溶液の比重との間に相関関係があることに着目して、燐酸溶液の比重を実質的に検出することにより、燐酸溶液の濃度を検出するものである。また、燐酸溶液の比重は処理槽1内の所定深さにおける圧力と相関関係を有するので、濃度検出装置45は、処理槽1内の所定深さに検出端を有し、この検出端に付与される処理液の圧力を検出することによって、燐酸溶液の濃度を検出している。以下に、濃度検出装置45の構成を具体的に説明する。
濃度検出装置45は、検出管47と、レギュレータ49と、圧力検出部51と、濃度算出部53とを備えている。検出管47は、燐酸溶液に耐性を有するフッ素樹脂等で形成されており、その先端部である圧力検出端は処理槽1内の所定深さに位置するように設けられている。レギュレータ49は、窒素ガス供給源からの窒素ガスを一定流量にして検出管47に供給する。すると、定常状態においては、窒素ガスの放出圧力は、処理槽1の液面から所定深さにおける液圧にほぼ等しいものとみなすことができる。圧力検出部51は、この検出管47内の窒素ガス圧力を測定する圧力センサを備えている。したがって、この圧力検出部51からの出力信号は、処理槽1の液面からの所定深さにおける液圧であるとみなすことができる。濃度算出部53は、圧力検出部51からの圧力に応じた電圧と濃度との対応関係を表した検量線データを予め記憶しており、圧力検出部51からの検出信号(電圧)に基づいて、処理槽1内の燐酸溶液の濃度を求める。
具体的な濃度算出手法は、特開平11−219931号公報に詳述されているので詳細な説明を省略するが、簡単に説明すると以下のようなものである。
すなわち、圧力検出部51からの検出信号(電圧)と液圧とは所定の関数関係を有し、液圧は、液面から検出管47の検出端までの距離(深さ)と、燐酸溶液の比重との積に比例する値に大気圧を加えたものとしても表すことができる。したがって、検出端における液圧は、燐酸溶液の濃度と、検出端の深さとを変数とする関数で表現することができる。このため濃度及び深さは、圧力検出部51が出力した電圧との間に一定の関係が成り立つ。この関係から、所定深さに対して濃度と電圧との関係を予め求めておくことにより、圧力検出部51からの電圧に基づいて燐酸溶液の濃度を求めることができる。
濃度検出装置45で得られた燐酸溶液の濃度データは濃度制御部55に与えられる。濃度制御部55は、燐酸溶液の検出濃度が燐酸溶液の設定温度に対応した沸点濃度よりも少し高くなるように、上述した流量調整弁37を調整し、これによりノズル33から処理槽1に供給される純水の補充量を調整する。具体的には、濃度制御部55は、燐酸溶液の検出濃度に基づいてPID(比例・積分・微分)制御によって流量調整弁37を操作する。
主制御部57は、本基板処理装置の全体を管理するために設けられている。具体的には、主制御部57は、温度制御部43に対する燐酸溶液の設定温度の指令、濃度制御部55に対する燐酸溶液の目標濃度の指令、および燐酸の流量調整弁29の操作指令などを与える。
次に本基板処理装置の動作を図2のフローチャートを参照して説明する。
ステップS1,S2
まず、燐酸の流量調整弁29が開けられて、ノズル25から回収槽3に燐酸が供給される。回収槽3に供給された燐酸は、循環系5を介して処理槽1に送られる間にインラインヒータ13によって加熱される。また、処理槽1に導入された燐酸は槽用加熱器17によっても加熱される。
ステップS3,S4,S5
処理槽1内の燐酸の温度は温度センサ41によって検出されて温度制御部43に与えられる。この温度制御部43は、設定温度160°Cに対して±0.3°Cの範囲内で温度管理している。具体的には、液温度が159.7°C未満のときは、循環系加熱器13および槽用加熱器17による加熱を継続する。液温度が160.3°Cを超えるときは、インラインヒータ13および槽用加熱器17による加熱を停止して自然冷却によって液温度を下げる。液温度が159.7°Cから160.3°Cの範囲内に入ると次のステップS6に進む。
ステップS6
処理槽1内の液濃度が濃度検出装置45によって逐次検出される。濃度制御部45は、この検出濃度が予め設定された目標濃度になるように、PID制御により流量調整弁39を調整することにより処理槽1に純水を補充する。この目標濃度は、燐酸溶液の設定温度に対応した沸点濃度よりも少し高くなるよう設定される。処理槽1内の燐酸溶液の検出濃度が目標濃度範囲を超える場合は純水の補充が継続される。一方、検出濃度が目標濃度範囲を下回る場合は、純水の補充が停止される。純水の補充が停止されると、燐酸溶液の加熱により燐酸溶液中の純水が蒸発して、燐酸溶液の濃度は自然に上昇する。
ステップS7
処理槽1内の燐酸溶液が目標濃度範囲に入って安定すると、保持アーム21に保持された基板W群が処理槽1内の処理位置に移動される前に、温度制御部43はインラインヒータ13による加熱を停止する。なお、槽用加熱器17による加熱及び循環ポンプ11による処理液の循環は継続される。
上記の「基板W群が処理位置に移動される前に」とは、基板Wが保持アーム21により待機位置に移動された時点や、処理位置に移動するまでの間等を含む。具体的には、基板Wが処理槽1の上方などの待機位置にあって処理位置に移動される前に予めインラインヒータ13による加熱を停止したり、待機位置から処理位置に基板Wが保持アーム21で搬送される間にインラインヒータ13による加熱を停止したり、待機位置から処理位置に基板が搬送手段で搬送された時点でインラインヒータ13による加熱を停止したりすることも含む。但し、余熱を考慮し、基板Wが処理位置に搬送されるより所定時間だけ前に停止されることが好ましい。これにより余熱による悪影響を抑制できる。なお、上記の所定時間とは、循環系5による燐酸溶液の循環速度にもよるが、例えば、30〜90秒程度である。
ステップS8,S9,S10
インラインヒータ13による加熱が停止された後、保持アーム21に保持された基板W群が処理槽1内に投入されて、基板W群のエッチング処理が始まる。基板Wが処理位置に移動した時点から予め定められた処理時間が経過するまで、インラインヒータ13を除いてステップS2〜S6の温度制御および濃度制御が繰り返し行なわれる。処理時間が経過すると基板W群が槽内から引き上げられて待機位置に移動し、その後、次の処理槽へ移送される。
ステップS11
基板Wが処理槽1から引き上げられると、温度制御部43は再びインラインヒータ13による加熱を再開する。
このように本実施例では、基板Wが待機位置にある場合には、インラインヒータ13と槽用加熱器17の両方で処理液を加熱し、基板Wが処理位置に搬送されて処理液に浸漬される場合には、インラインヒータ13による加熱を停止して、槽用加熱器17でのみ処理槽1内の処理液を加熱する。つまり、循環系5を介して噴出管7から供給される処理液は加熱されておらず、処理槽1に供給された処理液が槽用加熱器17でのみ継続して加熱されるので、加熱直後の処理液が基板Wに対して供給されることがなく、槽用加熱器17で全体的に加熱されている処理液で処理が施されることになる。したがって、基板Wの表面全体がほぼ均一な温度の処理液で処理されるので、基板Wに対する処理を均一化することができる。
次に本実施例における燐酸溶液の温度制御と濃度制御との関係を、図3を参照して説明する。なお、図3は、燐酸溶液の濃度および温度と、シリコン窒化膜エッチングレートとの関係を示すグラフである。
この図3に示すように、沸点BPは、燐酸溶液の濃度が高くなるにつれて高くなる性質を有する。また、本実施例では、温度制御部43が燐酸溶液の温度を一定に保つように制御していることから、シリコン窒化膜のエッチング時の選択比(エッチングレート)は、濃度の変動に応じて、温度ごとのエッチングレート曲線ERCに沿って移動することになる。ここでは、温度150℃の場合を曲線ERC1とし、温度160℃の場合を曲線ERC2とし、温度170℃の場合を曲線ERC3としている。本実施例では燐酸溶液の設定温度は160℃であるので、曲線ERC2に沿って濃度が変動する。曲線ERC2上の沸点濃度BPよりも少し高めの濃度域がサブ沸点SBPである。燐酸溶液の濃度を沸点BP境界の乱域TZ側に位置するサブ沸点SBPに維持することでエッチングレートを最も高く維持することができる。本実施例の燐酸溶液の目標濃度は、このサブ沸点域に設定されている。
上述したように、本実施例おいて、燐酸溶液の温度が設定温度範囲を超えたときに、純水を供給することなく加熱停止によって燐酸溶液の温度を下げ(図2のステップS5)、また、濃度制御は、燐酸溶液の温度が159.7〜160.3℃の範囲に入ったときに行うようにしている(ステップS6)。
上記のような制御を行う理由は次のとおりである。燐酸溶液が例えば170℃にまで上昇したときに、温度を下げるために純水を供給すると、燐酸溶液の濃度は図3の曲線ERC3に沿って左方向(濃度が低下する方向)に変化する。すると、燐酸溶液が設定温度に対応した目標濃度(図3の曲線ERC2上のサブ沸点SBP)に達する前に、沸点BPに達して突沸を引き起こす恐れがある。突沸を避けるためには、純水の補充を徐々に行う必要があるが、そうすると燐酸溶液を設定温度にするのに長時間を要する。
これに対して本実施例では、燐酸溶液の温度をインラインヒータ13と槽用加熱器17の操作のみで制御しているので、燐酸溶液の温度を昇降させても燐酸溶液の濃度が変動しない。したがって、燐酸溶液の突沸を未然に防止することができる。また、燐酸溶液の濃度調整のための純水補充は、燐酸溶液の温度が設定温度範囲に入っている場合にのみ行うので、純水の補充により突沸が発生することもない。
以上のように本実施例によれば、燐酸溶液の設定温度に対応した曲線ERC2に沿って、燐酸溶液の濃度が目標濃度よりも高い場合は純水が補充されて濃度が下げられ、逆に、燐酸溶液の濃度が目標濃度よりも低い場合は純水の供給が停止されて、加熱された燐酸溶液からの純水の蒸発によって濃度を上げているので、燐酸溶液の濃度をサブ沸点に精度よく維持することができ、もって燐酸溶液のエッチングレートを高い状態で維持することができる。
本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形実施が可能である。
(1)上記の実施例では、処理液として燐酸溶液を例に採って説明したが、硫酸溶液等の他の処理液であっても本発明を適用することができる。
(2)上記の実施例では、処理液の設定温度に対応した沸点濃度よりも少し高くなるように処理液の濃度を調整しているが、このような制御を行うことなく、薬液や純水などを処理槽に補充する基板処理装置であれば本発明を適用することができる。
(3)本発明は、上述したような処理液を循環させる循環系の配管を備えた装置でなく、処理槽1から溢れた処理液を回収槽3を介して排出する形態の処理装置であっても適用可能である。
(4)槽用加熱器17はON/OFF制御を行っているが、インラインヒータ13をオフにした後は、槽用加熱器17をPID(比例・積分・微分)制御して温度調節の精度を維持するように構成してもよい。
実施例に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。 処理の流れを示すフローチャートである。 燐酸溶液の濃度および温度とシリコン窒化膜エッチングレートとの関係を示すグラフである。 従来装置の説明に供する図である。
符号の説明
W … 基板
1 … 処理槽
3 … 回収槽
5 … 循環系(供給手段)
7 … 噴出管
13 … インラインヒータ(第2加熱手段)
17 … 槽用加熱器(第1加熱手段)
19 … カバー
21 … 保持アーム(搬送手段)
23 … 燐酸供給部
31 … 純水補充部
43 … 温度制御部(制御手段)
45 … 濃度検出装置

Claims (3)

  1. 基板に所定の処理を行う基板処理装置において、
    処理液を貯留する処理槽と、
    前記処理槽内の処理位置と前記処理槽外との待機位置との間で、基板の搬送を行う搬送手段と、
    前記処理槽内に処理液を供給する供給手段と、
    前記処理槽内の処理液を加熱する第1加熱手段と、
    前記供給手段に流通する処理液を加熱する第2加熱手段と、
    基板が待機位置にある場合には、前記第1加熱手段及び前記第2加熱手段により処理液を加熱し、基板が処理位置に搬送されて前記処理槽内の処理液に浸漬される場合には、前記第2加熱手段による加熱を停止して前記第1加熱手段により処理液を加熱する制御手段と、
    を備えていることを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1に記載の基板処理装置において、
    前記第2加熱手段による加熱は、余熱を考慮して基板が処理位置に搬送されるより所定時間だけ前に停止されることを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項1または2に記載の基板処理装置において、
    前記供給手段は、前記処理槽から溢れた処理液を、前記第2加熱手段を介して前記処理槽に再び供給する循環式であることを特徴とする基板処理装置。
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